骨軟部腫瘍には原発性骨軟部腫瘍と転移性骨軟部腫瘍があり,原発性腫瘍は稀な疾患である一方,転移性腫瘍は非常に数が多く,その発生部位,病態も多岐にわたる.一方,近年のがん治療の進歩に伴い,がんを有したまま生活する患者数は増加の一途をたどっており,がん患者の運動器の問題に取り組む腫瘍整形外科学(oncoorthopaedics)は,整形外科全体として取り組むべき重要な課題となっている.本特集の前半では,これら21世紀前半の骨軟部腫瘍を取り巻く諸課題について,各分野のエキスパートの先生方にご執筆いただいた.
小倉浩一先生には,全国がん登録および全国骨・軟部腫瘍登録のデータを用いて,日本における骨腫瘍の疫学に関して概説いただいた.今西淳悟先生には,近年重要性が増している腫瘍整形外科学に関して,その誕生の背景と,超高齢社会におけるがん診療の新たな展開について解説いただいた.大鹿周佐先生には,整形外科の重要な治療対象である転移性骨腫瘍に関して,がん治療の進歩に伴う病態の変化と,その治療法に関して解説いただいた.遠藤誠先生には,21世紀最初の25年間における軟部肉腫薬物療法の進歩に関して概説いただくとともに,竹中聡先生には,少子高齢化が進む2050 年を見据えた骨軟部腫瘍診療体制のあり方について論考いただいた.
本特集の後半は「整形外科診療必携」と題して,本特集を手に取った整形外科医が,実際の診療現場で気軽に参照することができる骨軟部腫瘍の解説を,現在,第一線でご活躍の先生方にご執筆いただいた.良性骨腫瘍は永野昭仁先生に,良性・中間群軟部腫瘍の診断とマネジメントに関しては根津悠先生に,原発性悪性骨腫瘍は川島寛之先生に,原発性悪性軟部腫瘍に関しては藤原智洋先生にご執筆いただいた.いずれも簡潔かつ大変わかりやすい解説になっており,ぜひ診察机の傍らに置いてご活用いただければと願っている.
ピックアップ
臨床整形外科
61巻3号
2026年3月
pp.213-220