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耳鼻咽喉科・頭頸部外科 97巻13号 (2025年12月発行)
書評
Facial Danger Zones日本語版(フェイシャルデンジャーゾーン)[Web動画付]—手術・注入療法・非侵襲機器療法を安全に行うために 閲覧可
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山田 秀和 1
1近畿大学アンチエイジングセンター
pp.1137 , 発行年月 2025年12月

原書編集: Rod J. Rohrich,James M. Stuzin,Erez Dayan,
E. Victor Ross
監訳:宮脇 剛司,石田 勝大
訳者代表:西村 礼司

A4・頁160 2024 年11 月 定価:22,000 円(本体20,000 円+税10%)
[ISBN978‒4‒260‒05739‒4]医学書院刊

実践的な顔面解剖書が必要な医療従事者へ

 本書は,形成外科や美容医療,あるいは顔面外科に携わる医師にとって必携の一冊だ。原著はRod J.Rohrichらが編集し,日本語版は東京慈恵会医科大学の宮脇剛司主任教授と石田勝大教授の監訳により出版された。本書の出版により,日本の医療従事者にとって,より実践的で信頼できるリソースが提供されることになった。
 原書は,1994年の発刊当時から顔面を扱う医師にとって待望の書籍だった。評者自身,海外の学会展示で初めて手に取ったときの喜びを今でも鮮明に記憶している。基礎的でありながら実践的な内容が詰まっており,「助かった」と直感的に感じた瞬間が思い出される。初版から30年経って,Facial Danger Zonesの最新情報を再定義してもらったことはありがたい。本書は,顔面の「危険領域」に焦点を当て,手術,フィラー注入,非侵襲デバイスの使用における安全確保のための具体的なアプローチを解説している。研修医にとっての基礎教材としてはもちろん,表在の顔面解剖を必要とする,幅広い診療科で活用できる内容である。
 解剖学的なリスクやSMAS(顔面の筋膜系:表情筋と皮膚の間に存在する支持組織)の詳細な解説を通じて,施術の安全性と効果を最大化する方法を学ぶことができる。特にフィラーやボトックス治療においては,注入部位周辺の血管や神経の走行を理解することが,合併症予防の観点から極めて重要となる。豊富な図解や写真による説明は,顔面の解剖学的変異の理解を深めるうえで大きな助けとなる。本書の最大の特徴は,解剖学的リスクに基づいた安全な施術ガイドの提示と,充実したWeb動画コンテンツの提供だ。二次元バーコードを介して閲覧できる動画は,顔面の構造的な危険領域の理解を深めるうえで非常に効果的だ。静止画では伝えきれない立体的な解剖学的構造や,実際の手術手技における注意点を,動画を通じて具体的に学ぶことができる。これにより,初心者からベテランの医師まで,それぞれのレベルに応じた学習が可能となろう。
 現代の美容医療は,従来の手術療法に加え,ヒアルロン酸注入やレーザー治療,高密度焦点式超音波(HIFU)など,多様な手法が採用される時代に突入した。患者の安全を守るためには,解剖学的変異や血管・神経走行の理解が不可欠だ。本書は,形成外科医や美容外科医だけでなく,皮膚科医,美容皮膚科医にも強く推奨される一冊だ。また,研修医にとっては,顔面外科や美容医療を学ぶための基礎教材として最適だ。特に顔面の立体構造や血管・神経走行に関する知識を深めたい医師にとって,重要なリソースとなるだろう。
 『Facial Danger Zones』は,手術や非侵襲的治療を行うすべての医師にとって,施術の安全性を高めるための必須書籍だ。初版が顔面外科に革命をもたらしたように,日本語版はより多くの医療従事者に安全な施術を提供するためのガイドラインとなるだろう。顔面医療がますます多様化するなか,医療現場での必携書として強く推奨される。

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耳鼻咽喉科・頭頸部外科 97巻13号 2025年12月 pp.1138-1142
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耳鼻咽喉科・頭頸部外科 97巻13号 2025年12月 pp.1143-1147
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耳鼻咽喉科・頭頸部外科 97巻12号 2025年11月 pp.1011-1016
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