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耳鼻咽喉科・頭頸部外科 98巻4号 (2026年4月発行)
書評
Facial Danger Zones日本語版(フェイシャルデンジャーゾーン)[Web動画付]—手術・注入療法・非侵襲機器療法を安全に行うために
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外木 守雄 1
1亀田総合病院顎変形症治療センター
pp.315 , 発行年月 2026年4月

A4・頁160 2024年11月
定価:22,000円(本体20,000円+税10%)
[ISBN978-4-260-05739-4]医学書院刊

知識は転ばぬ先の杖 正しい知識でQOLを守る!

 医学書院から発刊された『Facial Danger Zones日本語版(フェイシャルデンジャーゾーン)[Web動画付]』は,口腔顎顔面解剖学の複雑さを臨床場面に即した形で明確に解説した,極めて実用的な良書です。特に口腔顎顔面領域の手術に携わる形成外科,皮膚科,美容外科,耳鼻咽喉科,頭頸部外科,さらには口腔外科の医師,歯科医師にとっても,本書は不可欠な名書となるでしょう。
 ご存じのように,顎顔面には,外傷や腫瘍の手術中に損傷を避けるべき重要な神経,血管,筋肉が網の目のように存在しています。これらを熟知しないと,患者の顔面機能や審美性に深刻な影響を及ぼすリスクが高まります。本書は,このようなリスクを回避するための指針として,専門医はもとより,研修医にとっても極めて優れた役割を果たします。
 本書の最大の魅力は,解剖学的な基礎を詳細かつ視覚的に解説している点です。豊富なイラストや解剖写真,症例写真,Web動画が掲載されており,視覚的な理解が大変容易です。また,顔面神経の走行や枝分かれ,血管網の配置などが具体的に示されているため,理論的な知識としてだけでなく,実際の臨床現場での即応的な知識として活用できます。
 また,術後合併症を防ぐためのポイントも数多く挙げられており,術中だけでなくリハビリを含めた術後管理にも役立つ情報が満載です。特に,腫瘍切除や再建手術など,美容的および機能的な側面を考慮した計画立案の方法が丁寧に解説されています。
 さらに,最新の技術や手法についても触れています。例えば,神経モニタリング技術を用いた手術の安全性向上に関する具体例や,リスクを最小化するための標準的なアプローチが解説されており,これらは全ての外科医にとって大いに役立つでしょう。
 また,本書は,外科医としての倫理的観点や患者への配慮についても踏み込んでいます。顔面は患者の生活の質(QOL)に直結する領域であるため,美容的・機能的な側面を総合的に考慮する必要があります。本書では,これらを反映した治療計画の立て方についてもアドバイスがなされており,単なる技術書にとどまらない包括的な内容となっています。
 今回,監訳された宮脇剛司先生と石田勝大先生は,日本を代表する優れた形成外科医であり,本書の勘所を日本語でうまく誘導してさまざまなレベルの読者に適した内容となっています。また,翻訳の任に当たられた,訳者代表の西村礼司先生,東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学講座の山本裕先生,同・形成外科学講座同門の先生方の適切な訳,特に日本の医学事情に即した対応が素晴らしく,本書の内容をより高めているといっても過言ではありません。
 本書は,口腔顎顔面領域の手術に携わる医師のみならず,多くの医療関係者にとって,その負うべきリスクを最小化し,安全かつ効果的な治療を実現するための貴重な一冊です。この本を手に取ることで,口腔・顎顔面外科の奥深さに触れ,患者の生命と生活の質を守る医療の本質を再確認することができるでしょう。

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