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耳鼻咽喉科・頭頸部外科 98巻4号 (2026年4月発行)
書評
Facial Danger Zones日本語版(フェイシャルデンジャーゾーン)[Web動画付]—手術・注入療法・非侵襲機器療法を安全に行うために
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鈴木 芳郎 1,2
1ドクタースパ・クリニック
2日本美容医療協会
pp.363 , 発行年月 2026年4月

A4・頁160 2024年11月
定価:22,000円(本体20,000円+税10%)
[ISBN978-4-260-05739-4]医学書院刊

顔面手術の必携バイブル,動画で学ぶ安全術!

 私自身,過去約30年にわたりフェイスリフト手術にかかわってきましたが,この『Facial DangerZones』は,フェイスリフトを行うドクターにとっては必ず持つべきバイブル的な書であると感じさせられました。本書の最大の特徴は,これまでに類を見ないほど詳細な顔面神経の走行の解説と,それに基づいた危険回避の具体的な方法の提示です。これにより,術中および術後の合併症リスクを大幅に低減するための実践的な知識を得ることができます。
 フェイスリフトを含む顔面手術では,顔面神経や主要な血管の解剖学的理解が安全性の要です。しかし,顔面神経の詳細な走行とその周囲でのリスク管理に関する文献は,これまで一部の断片的な情報に限られていました。本書では,これらの情報が精緻な図解とともに網羅されており,特に以下の点が際立っていると感じました。

1.顔面神経の詳細な走行の解説

 顔面各部位での顔面神経の走行や,危険領域の解剖学的特徴が細部に至るまで記載されています。これにより,例えばSMAS層を扱う際にどの深さで剝離すべきか,どの方向に牽引すべきかといった具体的なガイドラインが得られます。また,術中に注意が必要な領域が明確に示されており,実際の手術手技に直結する情報が充実しています。

2.術中の危険回避に向けた実践的アドバイス

 危険領域における神経・血管損傷を防ぐための具体的な手法が解説されています。例えば,深部組織への侵襲を最小限に抑えるためのアプローチや,出血リスクを抑えつつ解剖学的境界を確認するための実践的なポイントが示されています。

3.注入療法や非侵襲的機器療法への応用

 本書はフェイスリフト手術にとどまらず,注入療法や非侵襲的機器療法を行う美容外科医師にとっても極めて有用です。ヒアルロン酸やボツリヌス毒素の注入を行う際,顔面神経や主要血管の走行を正確に把握することは合併症を回避するうえで不可欠です。本書では,これらの治療における具体的な注意点や推奨される手技が詳述されています。また,非侵襲的機器を用いた治療では,エネルギーデバイスが神経や血管に与える潜在的な影響を考慮した安全な方法についての示唆も得られます。

4.付録のWeb動画による理解の促進

 本書には付録のWeb動画があり,これが内容理解をさらに助ける大きな役割を果たしています。図解やテキストだけではとらえにくい顔面神経や血管の立体的な配置が動画内のキャダバー(献体)を用いた説明から可視化され,解剖学的構造をリアルな視点で学ぶことができます。これにより理解が飛躍的に深まり,手術に応用できる具体例として非常に参考になります。このように静的な情報にとどまらず,動的な視点から解剖学的知識を学べる点は本書の大きな魅力です。
 総じて,本書は,顔面の美容外科手術を日常的に行うドクターにとってこれまでにないほど有用なリソースです。特に,顔面神経の詳細な走行を明示し,その知識を基に危険を回避する手法を提示している点は,他の解剖学書や手術ガイドにはない独自性を有しています。また,注入療法や非侵襲的機器療法を行うドクターにとっても,神経や血管への配慮を深めるための強力なサポートとなるとともに,付録のWeb動画が実際の施術方法も示してくれており,その習得をさらに容易にしてくれるものと期待しています。初心者から熟練医まで幅広い層にとって価値ある内容だと確信しております。

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耳鼻咽喉科・頭頸部外科 98巻3号 2026年3月 pp.280-284
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