Point
◆漢方エキス製剤は湯剤の課題を克服し,品質・保存性・服用性が向上した.
◆厳格なGACP,GMP管理に加え,先進的な分析技術により多成分の把握が可能となり,品質管理が高度化している.
◆QbD手法と統計的アプローチにより,科学的根拠に基づく製品設計と品質保証のさらなる進展が期待される.
はじめに
漢方薬が医薬品としての信頼性を確保するためには,その品質および均質性を一定水準以上に保つことが不可欠である.しかしながら,漢方薬は天然由来の生薬を原料とするため,季節や気象条件,栽培環境などの自然的要因に大きく影響され,構成成分の安定的な確保は容易ではない.古来より湯剤として用いられてきた漢方薬は,生薬の選品や煎じ方に熟練を要し,品質の均質化や保存安定性に課題があった.これらの課題を克服するために,標準湯剤の調製法が厚生科学研究の成果として提案され,漢方エキス製剤の品質設計に活用されてきた.各製薬企業は標準湯剤を基準に独自の製法を構築し,安定した品質を担保する製剤を開発してきた.本稿では,漢方エキス製剤の品質管理の現状と製造工程における取り組み,さらに将来に向けた技術的展望について論じる.