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BRAIN and NERVE 78巻2号 (2026年2月発行)
書評
「—ケースカンファレンスから学ぶ—新生児神経の診かた[Web動画付]」—阿部裕一,伊藤裕司【監修】 国立成育医療研究センター 神経内科・新生児科【編】
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早川 昌弘 1
1医療法人社団葵鐘会小児科
pp.158 , 発行年月 2026年2月

  新生児医療の目標は救命にとどまらず,児の長期予後を改善することであり,その意味で新生児神経は極めて重要な分野である。しかし,多くの新生児科医にとって新生児神経は難解で,苦手意識を抱くことも少なくない。その理由として,病態や責任病巣がわかりにくく,診察から得られる神経学的所見が限られることが挙げられる。
 このたび刊行された,国立成育医療研究センター神経内科・新生児科の先生方による『ケースカンファレンスから学ぶ新生児神経の診かた』は,新生児神経の基礎から診察のTipsまでを丁寧にまとめた一冊であり,理解を深める上で大変有用である。
 本書は「総論」と「症例検討」の二部構成である。総論では,新生児の神経学,0歳児の発達,新生児神経診察でわかること・わからないこと,基本的症候の診察法,と根幹となる内容が体系的に整理されている。特に,新生児の神経学(成人・小児・新生児の神経学の同じところ,違うところ,新生児の神経学で出てくる独特な概念),新生児神経診察でわかること・わからないことの解説は,新生児神経を理解する
上で極めて重要である。
 症例検討では,成育医療研究センターで定期的に行われているケースカンファレンスが紙上で再現され,13例が提示されている。新生児科から神経内科への対診依頼に始まり,神経内科医による診察,詳細な神経学的所見,病巣推定,鑑別診断へと進む構成で,思考過程が明確に示されている。
 また鑑別の考え方として,大脳から脊髄,筋に至る構造図を用いて,推定される主病巣,症状や所見との対応,関連が考えられる他部位が整理されており,病態理解が非常に容易になる。さらに合同カンファレンスでは,新生児科医からの質問に神経内科医が詳細に回答し,合同カンファレンスの後日談として,その後の追加検査や確定診断,経過が簡潔にまとめられている。家族向けの病状説明資料も掲載され,実際の説明を具体的にイメージできる。まさに合同カンファレンスをそのまま紙上に再現したような構成であり,読者はその場に参加しているかのような臨場感を得られる。
 特筆すべきは,QRコードから児の神経学的症状や診察の実際の動画を視聴できる点である。文章や画像ではとらえにくい動きの特徴が直感的に理解でき,新生児神経の学習に大いに役立つ。また,各コラムでは病態生理だけでなく,治療の実際や臨床上のジレンマなど,教科書にはあまりみられない,臨床ならではの貴重な知見も紹介されている。
 本書は,新生児医療に携わる全ての医療者にとって,新生児神経への抵抗感を軽減し,理解を深める上で大きな助けとなる一冊である。初心者だけでなく,新生児専門医にとっても多くの示唆が得られ,本書を読み進めることで新生児神経への理解が一層深まり,ひいては新生児の長期予後の改善にも貢献することであろう。

 

B5・216頁
2025年10月
定価:8,800円
(本体8,000円+税10%)
[ISBN978-4-260-06016-5]
医学書院刊

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