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呼吸器ジャーナル 73巻4号 (2025年11月発行)
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難治性喘息—なぜこの喘息患者はよくならないのか?
Ⅰ.難治性喘息の本質を理解する
吸入ステロイド療法だけでなぜ改善しないのか?—難治性喘息を見抜くための基礎知識
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原田 紀宏 1
1順天堂大学医学部内科学教室呼吸器内科学講座
キーワード: ステロイド抵抗性喘息 , 2型炎症 , Th2細胞 , ILC2 , 非2型炎症
pp.494-501 , 発行年月 2025年11月

POINT

● 難治性喘息とは,増悪因子への十分な対応と既存の治療に対して抵抗性の喘息である.
● 難治性喘息では,高用量ICS治療下においても気道炎症所見が認められる.
● 喘息における気道炎症は好酸球性炎症とⅠ型アレルギー性炎症からなる2型炎症が主たる炎症である.
● 2型炎症はTh2細胞とILC2が産生する2型サイトカインIL-4,IL-5.IL-13を介する.
● 難治性喘息の中にはステロイド抵抗性喘息が含まれ,ステロイド抵抗性の原因は多岐にわたる.
● 難治性喘息では生物学的製剤が未使用であれば生物学的製剤による治療が検討される.

はじめに

 難治性喘息とは,喘息の増悪因子に対して十分に対応しているにもかかわらず,症状管理に高用量吸入ステロイド(inhaled corticosteroid ; ICS)に加えて,長時間作用性β2刺激薬(long-acting β2-agonist ; LABA),長時間作用性抗コリン薬(long-acting muscarinic antagonist ; LAMA),ロイコトリエン受容体拮抗薬,テオフィリン徐放薬の投与を必要とし,さらには内服ステロイド薬や生物学的製剤を必要とする喘息,または,これら既存の治療に抵抗性の喘息である.増悪因子としては,服薬手技不良,服薬アドヒアランス不良,ペットやダニ,ホコリ,喫煙などの環境因子,鼻副鼻腔疾患や胃食道逆流症などの併存疾患などが挙げられる.まず,ICS療法だけで改善しない難治性喘息ではこれら増悪因子を含む以下について検討を行う.
 ①喘息に診断の確からしさを確認し,他疾患を除外する.②服薬手技や服薬アドヒアランスを確認する.③禁煙などの環境整備の徹底と増悪に関与する薬剤を中止する.④併存症管理を徹底する.
 これらをもってしてもなおコントロールできず,かつ既存の治療に抵抗性の場合には,吸入治療薬への反応性の低下を視野に診療が必要であり,気道炎症の表現型やバイオマーカーに基づいたより専門性の高い治療戦略が求められる.本稿では,喘息に関わる気道炎症とリモデリング,さらには,ICSだけでは改善しない難治性喘息における吸入治療薬への反応性の低下の原因について概説する.

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