企画:石川 賀代(社会医療法人石川記念会HITO病院理事長)
病院の経営が極めて困難な時代となる中,データを徹底的に活用し,経営における意思決定や戦略につなげ,変化に迅速に対応するためにデータ駆動型のマネジメントが求められている.またAI技術の進展により,莫大なデータを収集・分析・可視化することが可能となった.
本特集では,電子カルテのデータクラウド活用による医療の質向上と経営効率化,人材の育成プロセス,データビジュアライゼーションの実践,行動変容デザインの役割,組織変革,看護必要度を基にした病棟運営,といった多岐にわたるテーマを取り上げた.また,病院経営者が直面する課題に対する解決策を示唆するとともに,医療業界に限らず他業界の成功事例や識者の見解を紹介していただいたので,本特集を通してデータドリブン経営の理解をより一層深めていただきたい.
本特集の論旨が分かるPoint一覧
p.764
クラウドを利用したデータ可視化とデータドリブン経営は,医療機関が戦略的な意思決定を行うための有効な手段であり,リアルタイムでのデータアクセスやコスト最適化,組織のコラボレーション強化を通じて,医療の質や経営効率の向上を図ることが可能である.
(川原 純一郎)
p.771
医療現場ではデータが存在していても,活用されず“見えない”状態にあることが多い.本稿では,病院経営におけるデータ可視化の意義と,その裏側を支えるデータマネジメント・データガバナンスの重要性を現場視点で整理し,実例を通じて現場が“使い続ける可視化”のための第一歩を提示する.
(永田 ゆかり)
p.778
病院DX推進の人材戦略として,既に完成している経験者のSEを雇い入れる方法と内部育成の方法がある.双方のバランスを取りつつ,日次・週次・月次・年次など各種PDCAサイクルを回して,病院経営で求められるアウトカムを出すことがDXを推進する上で重要となる.
(太田 昇蔵)
p.787
データドリブン経営に行動変容デザインを組み合わせて,現場でプロセスマネジメントしていくことで,現場職員の自発的な行動と組織文化の変革を実現できる.これは医療の安全性・効率性の両立と持続的改善を可能にする新たな経営アプローチである.
(山口 太一)
p.794
Microsoft Fabric とPower BIを活用し,看護必要度B項目のデータを可視化.病棟管理者がiPadでリアルタイムに患者状態を把握し,看護師の業務負担の平準化と最適配置に取り組んでいる.
(佐伯 潤)