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検査と技術 53巻12号 (2025年12月発行)
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病態・類似疾患別心エコー図検査のルーティン[Web動画付] 閲覧可
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種村 正 1
1仙波内科医院
pp.1275 , 発行年月 2025年12月

臨床現場に寄り添う,心エコー検査の“教科書以上”の一冊

 私と小谷敦志氏が親しくなったのは,それほど昔のことではありません.学会などで同氏のご活躍は存じていましたが,直接の面識はありませんでした.2009年ごろ,東大病院の竹中克先生から「近畿大病院の小谷さんが検体検査に異動させられて“ダークサイド”に堕ちているぞ」と聞かされ,なんて気の毒なことだろうと心配したのを覚えています.
 その後,2011年5月に開催された日本超音波医学会第84回学術集会(大会長 竹中克先生)の際に一緒に杯を交わしたことが,交流のきっかけでした.同年の2月,ようやく生理検査に復帰されたそうですが,自分の進むべき方向性について葛藤を抱えておられました.研究に取り組む中で「医師と同じように進めてよいのか?」という迷いがあり,私自身もかつて悩んだ経験があったため,「技師は技師としてのプライドを持ち,得意分野で勝負すれば良いのでは?」と話した記憶があります.それが妙にふに落ちたようで,小谷氏の生き方に何らかの影響を与えたのかもしれません.
 それ以来,小谷氏は2014年には初の共著となる血管エコーの単行本を,2016年には心エコーの単行本を出版することができました.また,日本超音波検査学会では編集委員長を担当され,学会誌の編集にも尽力されました.
 そんな小谷氏が満を持して初の単独編集に挑んだのが本書です.執筆はOSAKA心エコー研究会の若手メンバーと小谷氏が担当しています.本書は『臨床検査』Vol.66No.4(2022年4月・増大号)を書籍化したものであり,内容を大幅に改訂するとともに,計158本ものWeb動画を収録しているのが特長です.私が本書を手にした際の第一印象は,「エコー画像が美しい」の一言に尽きます.私は画像に厳しい評価をするほうですが,本書の画像はまさに“見る人に訴える力”があります.古くから「百聞は一見にしかず」と言いますが,それは心エコーにも通じるもの.どんなに豊富な知識があっても,実際に見て経験しなければ臨床に生かせません.「まず私たちの撮った画像を見てほしい」という執筆陣の熱意が感じられます.
 心エコーを始めるに当たっては,画像描出・計測・記録・レポート作成といった一連のルーティンを身につける必要があります.そして日々の臨床の中で経験を積み,知識を増やし,適切な“引き出し”を開けて判断していく.その“引き出しの整理”に初心者は苦労しますが,本書は病態・類似疾患別に整理するという画期的な視点を提供しており,臨床の思考プロセスに即した内容です.
 どのような所見に対して,何を考え,何を計測し,どうグレード評価し,どうレポートをまとめるか─それらが簡潔に示されています.計測項目・評価断面・時相・基準値が一目でわかる構成も秀逸です.また,レポート作成を効率化し,表現力を高める“鉄板フレーズ”も充実しています.SHD(structural heart disease)への対応も手厚く,TAVI(transcatheter aortic valve implantation)後などの治療評価にも応用可能で,ベテランにとっても有用です.
 まさに臨床現場に寄り添った,心エコー検査の“教科書以上”の一冊であると言えるでしょう.

 

●AB判/頁288/2025年
 定価:6,820円
 (本体6,200円+税10%)
 [ISBN978-4-260-05979-4]
 医学書院 刊

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