ピックアップ

検査と技術 54巻3号 (2026年3月発行)
投稿
技術講座 一般
—step up編—体腔液(胸水,腹水,心囊液など)における塗抹標本作製
利用登録
ビューアーで読む
高橋 隆也 1
1聖路加国際病院臨床検査科
pp.306-313 , 発行年月 2026年3月

Point

●一般検査室における体腔液中の標本作製は,検体の性状(粘性,血性など)や遠心後の沈渣量(細胞数など)に応じて,適切な塗抹法(引きガラス法,すり合わせ法など)を選択する必要がある.
●適切な塗抹法の選択が正確な細胞鑑別につながっていくことから,良好な標本を作製するよう日常検査での心がけが重要である.

はじめに

 体腔液中の細胞鑑別は,疾患の推定や病態(状態)の把握において重要な役割を果たす.好中球が優位であれば急性炎症(化膿性など),リンパ球が優位であれば慢性炎症(長期にわたる体腔液貯留や結核など)が示唆される.また,異型細胞(本稿では悪性および悪性を疑う細胞とする)が検出された場合には,癌性胸膜炎や癌性腹膜炎が考えられることから,速やかに臨床へ報告する.これにより,次に実施する細胞診検査や病理組織学的検査(セルブロック法による免疫染色や特殊染色)などの診断に必要な追加検査へ,一般検査室から迅速にアプローチすることができる.
 一方で,体腔液中の中皮細胞,組織球および異型細胞は時として細胞鑑別が困難な場合があり,鏡検者には的確に細胞鑑別を実施することができる力量が求められる.さらに,細胞鑑別に至るまでには,体腔液の採取,検査室への検体搬送,検体の前処理,塗抹標本の作製,標本の染色など複数の工程が関与する.そのなかでも特に一般検査室でできる“塗抹標本の作製”の適正化を実施することで,より正確な細胞判定が可能となる.
 本稿では,一般検査室で日常的に実施されている体腔液の塗抹標本作製について,“引きガラス法”および“すり合わせ法”を中心に解説する.

ここから先は限定記事です。
(残り約3900文字)
利用登録 (無料) すると全てを閲覧できます。
利用登録(無料)に進む ログイン
-広告-
+
-
メニュー