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検査と技術 54巻4号 (2026年4月発行)
書評
国循・天理よろづ印 症例とエコー×イラストで学ぶ成人先天性心疾患[Web動画付]
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中谷 敏 1
1大阪府済生会千里病院
pp.429 , 発行年月 2026年4月

苦手意識を持ちがちな先天性心疾患のガイドブック

 大好評の『国循・天理よろづ印 心エコー読影ドリル』に続き,その姉妹書『国循・天理よろづ印 症例とエコー×イラストで学ぶ成人先天性心疾患』が刊行されました.先天性心疾患と聞くとどうも苦手意識が先行する循環器内科医は多いのではないでしょうか.しかし先天性心疾患患者さんがどんどん成人となってきている昨今,いつまでも尻込みしているわけにはいきません.そんなときに頼りになるガイドブックが本書です.
 まず心房中隔欠損のように比較的抵抗感の少ない疾患から始まるので入っていきやすいです.また各疾患が動画付きの症例ベースで簡潔に紹介されているので読みやすく頭に残ります(登場人物がイラストで出てきて親しみやすいのですが,3名しか紹介されていないのはなぜでしょう?もっとたくさん出てきているのに).心エコー所見もレポートの書き方の参考になってありがたいです(国循の逆流評価がいまだに4段階評価なのが懐かしく思われました).適宜ガイドラインや最新文献も盛り込まれていて向学心をそそります.
 応用編になるといろいろな術式が出てきて手術がイメージしにくい身には少し難しいかもしれません.しかしそこは腰を据えて読むことで徐々にわかるようになります.そしていざ実際に症例に遭遇したときには,読む前よりは自信を持って検査を行うことができるでしょう.とは言え,Rastelli手術なんてめったにお目にかかりませんよね.なのでとりあえずこの本を一読してどこに何が書かれているかをつかんでおいて,いざ症例に当たったときにこの本を横に置いて検査すればよいのではないでしょうか.解剖や血行動態や予測すべき合併症などをわかった上で症例を経験すれば素晴らしく理解が進みます.教科書なので覚えないと,と思いこまなくとも,ガイドブックということで常に脇において気軽に参照するという使い方をしたらよいと思います.
 さて編集の泉知里先生は前著の心エコー読影ドリルでは序文に「2021年2月 コロナと藤川球児引退と嵐の活動休止で落ち込みながら」と書かれていましたが,今回は「2025年8月 藤川球児監督の胴上げを心待ちにしながら」と書かれていました.阪神リーグ優勝,そして藤川球児監督の胴上げ,おめでとうございます.日本一はかないませんでしたが,また来年の楽しみとしましょう.日本一になったときはまた新たな国循・天理よろづ印を出してください.

●B5/頁152/2025年
 定価:7,920円
 (本体7,200円+税10%)
 [ISBN978-4-260-06220-6]
 医学書院 刊

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