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理学療法ジャーナル 59巻9号 (2025年9月発行)
特集
特集 不安定関節に対する理学療法
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pp.1020-1021 , 発行年月 2025年9月

 関節が安定しないままだと適切な運動が不可能である.また関節不安定性に対する理学療法はある意味拘縮より困難でもある.肩関節や膝関節に代表されるように,可動性を要求される関節では骨だけではなく軟部組織にも安定性をより委ねているが,さらに難しいのは不安定性が他の隣接した関節や身体他部位と関連するからである.局所の不安定性がなぜ生じたのかという,動作に対する深い理解と推察力が症例のもつ問題点を浮かび上がらせ,解決を図る鍵となる.

肩関節 ゼロポジション 田村将希

 Zero外旋,Zeroリリースの機能低下は全身の機能障害の結果生じている.そのため,全身の機能評価を行うことが重要になるが,やみくもに全身の評価を行うのではなく,ゼロポジション保持機能に関連づけて評価,治療を行うことが重要である.

肩関節 求心性 遊佐 隆

 肩関節には凍結肩のように運動制限を呈する病態が起こり得る一方で,反復性肩関節脱臼のように外傷を契機に不安定になる病態や動揺性肩関節や習慣性肩関節脱臼のように非外傷性にもかかわらずゆるく不安定になる病態も存在する.理学療法によって外傷性不安定性を改善するには,関節窩に対して上腕骨頭が求心位を保ちながら肩甲帯が追従することが必要となるが,それには機能的関節窩の概念を活用した肩甲帯および腱板の機能向上が鍵となる.

肘関節 外反制動 坂田 淳

 野球肘はオーバーヘッドスポーツにおける肘関節障害の総称であり,その主たる機能不全は静的・動的肘外反制動機能の低下である.学童期は骨癒合と不良な投球動作を矯正することが重要である一方,骨端線閉鎖後は肘内側側副靱帯機能不全を考慮し,浅指屈筋を中心とした動的肘外反制動機能の改善が重要となる.その代表的な改善方法として,新聞紙エクササイズが有効である.

手関節 構造破綻と疼痛 二村 涼

 三角線維軟骨複合体損傷の主症状は,関節不安定性ならびに不安定性に付随した痛みであり,これらが治療方針を見極めるポイントになる.構造破綻に起因した関節不安定性に対しては,装具療法やテーピングによる固定が第一選択となる.一方で,痛みに対しては末梢神経を基軸とした痛みの解釈ならびにアプローチを行うことで改善する例が多いことから,まずは痛みの改善に主眼を置いた評価と運動療法が重要であると考えている.

股関節 筋インバランス 来間弘展

 弾発股のうち関節外弾発股は筋が骨上を乗り越えるところで生じる.股関節の詳細な検査に加え,全身の筋に着目して,筋インバランスが生じていないかを評価し,関節の不安定性の原因を明らかにする必要がある.特に体幹部が安定していないと,股関節筋は筋の発揮ができないため不安定になりやすい.体幹部を含めた股関節の安定化運動が理学療法として重要となる.

膝関節 荷重と非荷重のアプローチ 森下 聖,他

 前十字靱帯(anterior cruciate ligament:ACL)不全膝と再建膝に対し,画像や力学データを用いて,臨床評価と運動療法の可視化と客観性の向上を重ねてきた.これにより,膝関節の不安定性が荷重下の下肢と体幹の姿勢制御に及ぼす影響,膝伸展時における前方剪断力の抑制効果が明らかとなった.さらに,新たな弾性素材と生体力学的な構造により開発した弾性サポーターとストラップは,再損傷を含むACL損傷の予防と治療に貢献する可能性が示された.

足関節 短腓骨筋 壇 順司

 前距腓靱帯損傷(anterior talofibular ligament:ATFL)は,足関節の不安定性を引き起こし,慢性足関節不安定症へと移行するリスクがある.本稿では,ATFL損傷後のバランス機能低下に対する短腓骨筋トレーニングの効果を検討した.トレーニングの実施により,長短腓骨筋の協調性向上やcenter of pressureの外側移動の適正化が促され,リーチ距離の改善が確認された.今後,理学療法戦略を最適化し,再発防止のためのアプローチを確立する必要がある.

頸椎 頸部深層筋 谷田惣亮

 頸椎は重要な神経や脈管が通ることから,理学療法評価や治療においては安全に行うことが必要である.頸椎不安定症の評価では,問診とともに不安定性のテストを実施することが必須である.また,分節における可動性や最終域感により量的・質的に評価することで不安定性を見出す.頸椎の安定化には特に頸部深層筋の賦活と再教育が重要であり,眼球運動を付加しながら段階的に行うことが有効である.

腰椎 包括的アプローチ 多米一矢

 腰椎圧迫骨折後の不安定性に対する理学療法では,腹横筋や多裂筋の強化,疼痛管理,姿勢・動作の再教育,呼吸機能改善,生活環境の調整を通じて機能回復と再発予防を図り,QOLの向上をめざす包括的アプローチが重要である.

仙腸関節 協調性 三上紘史,他

 仙腸関節は,脊柱から下肢への荷重伝達と衝撃吸収を担う滑膜関節であり,構造的および力学的安定性が重要である.仙腸関節障害に対する診断方法はいまだ確立していないが,仙腸関節スコアや疼痛誘発テストが有用とされる.治療では,関節の安定化を図ることが重要であり,インナーユニットとアウターユニットの協調性改善が有効である.適切な評価と患者教育を通じ,疼痛軽減と機能改善をめざす総合的なアプローチが求められる.

仙腸関節 インナーユニット 横井悠加

 妊娠関連骨盤帯痛(pregnancy-related pelvic girdle pain:PPGP)は周産期に生じる骨盤帯痛であり,内分泌および力学的変化に伴う仙腸関節の不安定性が主因と考えられる.PPGPは産後に自然軽快する一過性の疼痛であることが多く,心理社会的要因が関与し慢性化しやすい妊娠関連腰痛とは異なる傾向がある.また,PPGPと尿失禁は,インナーユニットの機能低下など共要因によって併存しやすいが,直接的な関連は少ないと考える.PPGPに対する理学療法では,仙腸関節へのせん断力を制御することで,関節の安定化と疼痛軽減を図る.

 

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