今月のハイライト
2021年に開催された東京大会を契機にパラスポーツの認知度は医療分野だけでなく社会のなかでも高まり,また,パラアスリート強化育成だけでなく,パラスポーツの普及やインクルーシブな社会の実現にむけて意識が高まる契機となった.東京大会から5年余りが過ぎ,今年はミラノ・コルティナ冬季大会が開催される.パラスポーツは今どのように展開し,何に取り組んでいるのか,第一線でパラスポーツ支援にかかわっている先生方にご寄稿をいただいた.トップアスリートへの医科学支援,競技団体からの視点,地域や社会からの視点など多面的な内容となっており,パラスポーツの今を立体的に感じていただける特集となっている.
パラアスリートの医学的支援の今
はじめに
東京2020パラリンピック競技大会,北京2022パラリンピック冬季競技大会,パリ2024パラリンピック競技大会(以下,パリ大会)の開催を経て,メディアやイベントを通じたパラスポーツに対する認知,関心の変化とともに,パラスポーツを体験できる機会や,障害者,健常者らが一緒に参加可能な大会,スポーツ教室なども増えつつある.このようにパラスポーツという言葉が広く国民に認識されるようになったことを背景に,2021年10月,公益財団法人日本障害者スポーツ協会は,日本パラスポーツ協会(Japanese Para Sports Association:JPSA)へと名称変更した.パラスポーツへの関心の高まりは,障害者,健常者がともに楽しめるスポーツとしての普及効果だけでなく,障害者に対する社会環境面での肯定的な意見によって共生社会の実現を進める効果が期待される.
パリ大会での日本代表選手団の獲得メダル数は,金14,銀10,銅17,計41と前大会を上回る金メダル数,過去最多となる8競技での金メダル獲得により,国別ランキング10位という結果であった.過去大会に比べて初出場者の割合が増え,30歳未満のアスリートが50.3%と若手の台頭が目立つ大会となった.また,女性アスリートの占める割合は42.9%と前大会の41.7%を上回り,男女比率の同等化が少しずつ進んでいる1).
このようなパラアスリートらの競技力強化に向けた医学的支援には,医師,理学療法士,作業療法士,義肢装具士,エンジニア,薬剤師,栄養士,看護師などの医療従事者がさまざまな立場でかかわっている.近年,デジタル技術をはじめとする技術革新や社会的価値観の多様化が進むなかで,パラアスリートの医学的支援の内容も,時代の変化に適合しながら発展している.
本稿では,筆者のこれまでの国際総合競技大会帯同や競技団体チームドクター,女性スポーツ支援などの経験を踏まえて,パラアスリートの医学的支援の変遷と今後の課題について考える.
冬季パラスポーツ競技の今—ミラノ・コルティナ大会を前に
はじめに
東京2020パラリンピック競技大会はコロナ禍で無観客という厳しい状況であったが成功裏に終わり,マスコミを通して社会に大きなインパクトを与え,日本におけるパラリンピックムーブメント(パラスポーツを通じて互いに理解し合い共生する社会をめざす世界的な運動)を進めるきっかけとなった.2026年3月のミラノ・コルティナパラリンピックを控え,本稿では冬季パラスポーツを概説し,その特徴,現状,またこれからの課題についても紹介する.
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