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総合リハビリテーション 53巻11号 (2025年11月発行)
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プレハビリテーションの時代—回復力を最大化する術前戦略
プレハビリテーションにおける運動の評価と指導 年間購読
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井上 順一朗 1
1神戸大学医学部附属病院 リハビリテーション部
キーワード: 周術期管理 , プレハビリテーション , 運動療法 , 心肺運動負荷試験 , フレイル
pp.1117-1124 , 発行年月 2025年11月

 近年,周術期管理において,術前から患者の予備能を高めるプレハビリテーション(prehabilitation)の重要性が広く認識されるようになっている.手術侵襲は代謝亢進や骨格筋量減少,呼吸・循環機能障害を引き起こし,術後合併症の発症,入院期間の延長,退院後の日常生活活動(activities of daily living:ADL)の制限,生活の質(quality of life:QOL)の低下などをもたらす.特に高齢患者やフレイル患者ではその影響は大きい1)
 プレハビリテーションは,術後の回復力を最大化する目的で,術前に運動療法,栄養管理,心理的支援を多職種連携で実践する包括的戦略であり,現在,がん,心臓血管外科,整形外科など多領域で導入が進んでいる.例えば,がん領域では,大腸癌手術予定患者に対してマルチモーダルプレハビリテーションを実施することにより,術前の運動耐容能が有意に改善し,その効果は術後にも長期的に持続したことが報告されている2),また,がん手術前の運動介入が治療関連有害事象や術後合併症,再入院率を減少させたとの報告もある3).心臓血管外科領域においても,術前の有酸素運動や呼吸筋トレーニングが術後合併症の予防や入院期間の短縮に有効とされている4).さらに,整形外科領域では,人工関節置換術や脊椎手術患者において,プレハビリテーションが術前の身体機能やQOLを改善し,その効果が術後6か月まで持続したことが報告されている5)
 このように,プレハビリテーションは対象領域を問わず,周術期アウトカムの改善に有効であることが示されている.本稿では,プレハビリテーションにおける運動療法に焦点をあて,その意義とエビデンス,臨床における評価方法・実践方法について概説する.

プレハビリテーションにおける運動の意義と効果

 プレハビリテーションにおいて,運動療法は術前から身体的予備能を増強し,周術期の生理的ストレスに対する耐性を高めることで,術後合併症を予防し早期回復を促進する重要な戦略である.手術侵襲は代謝亢進,骨格筋量の減少,運動耐容能および呼吸・循環機能の低下を招くが1),術前からの適切な運動療法はこれらの機能低下を抑制し,術後の回復力を高める.以下にプレハビリテーションにおける運動療法の意義とそのエビデンスを提示する.

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