近年,医療分野において全国規模の診療データベースとして,レセプト情報などを集積したNational Database(NDB),急性期入院の診断群分類データベースであるDiagnosis Procedure Combination(DPC),疾患レジストリに加え,介護保険領域の科学的介護情報システム(Long-term careInformation system For Evidence:LIFE)など,多様なデータベースが活用可能になることでビッグデータ解析が急速に発展し,多彩な情報を活用してエビデンスに基づく医療(evidence-based medicine:EBM)を推進する試みが広がっている.
リハビリテーション医療においても,急性期・回復期・生活期のいずれの段階においても,患者の経過を統合的に把握し,効果的な介入方法を検証していくためのビッグデータ活用が期待されている.しかしながら,リハビリテーション医療におけるビッグデータの活用は,他の医療分野と比して十分に進んでいなかったのが実情である.それは,リハビリテーション医療は疾患・障害および介入内容の個別性が強いことが一因である.また,リハビリテーション医療のアウトカムは死亡や再入院といったハードアウトカムのみならず,activities of daily living(ADL)やinstrumental ADL(IADL)などを目標とするため,多様であることも要因である.
このような「ブラックボックス」となっていたリハビリテーション医療の実態を大規模に分析する道が開くためには,「標準化」と「可視化」という二つの視点が重要である.昨今,研究や制度改正により,リハビリテーション医療の「標準化」と「可視化」の取り組みが進んでおり,本稿では回復期リハビリテーション病棟におけるデータ活用の現状と今後の展望を概説する.なお,本稿のデータは中央社会保険医療協議会(中医協)およびその下部組織である入院・外来医療などの調査・評価分科会で公表された内容を基本としている.
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回復期リハビリテーション病棟におけるビッグデータ活用
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pp.205-208 , 発行年月 2026年2月
臨床整形外科
61巻3号
2026年3月
pp.213-220