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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術12巻11号

1984年11月発行

雑誌目次

病気のはなし

高血圧症

著者: 松永正人

ページ範囲:P.964 - P.970

高血圧は病気か?
 血圧(動脈圧)の高い人に心臓の肥大や脳卒中,腎障害がよく見られることは,19世紀に血圧が現在のような方法で広く測定されるようになった頃からよく知られていた.そこで英国のPickeringは,病的な高血圧の範囲を区分しようとして一般成人の血圧分布を調査したが,身長と同様に単一モードの分布を示し,どこにも境界となるような指標を認めえなかった1)
 また血圧は同一人でも一定ではなく,身体運動や精神緊張などの必要に応じて生理的に上昇する.したがって,単に血圧が高いというだけでは病気とは言い難いのであるが,大規模な保険会社やその他種々の機関による統計資料によれば,血圧が高い人ほど心血管系の障害を起こしやすく短命であることが示されている2).このような事実は,少なくともある程度以上の慢性的高血圧は病的とみなして対処すべきことを物語る.

技術講座 生化学

尿中酵素の測定3—LDH,LDHアイソザイム

著者: 杉田収

ページ範囲:P.983 - P.987

 尿を検査材料にした場合では,血液の採取に比較して検体の採取が容易なために,乳児から重症患者まで,ほとんど苦痛を伴わずに頻繁に採尿し,繰り返し検査が可能である.尿LDH活性の定量では尿量の因子が加わること,尿LDHは低活性の場合が多いために尿を濃縮しなければならないこと,さらに高濃度の妨害物質など不利な面もあるが,泌尿器系疾患では血清LDHより豊かな情報が得られる場合も多い.
 尿LDHの供給源は,血清,腎,尿管,膀胱,血球および前立腺分泌物などである.これらの供給源からは,一定量のLDHが常に供給されているはずである.腎からは血清中のLDHがわずかながら漏出していることが考えられ,また腎をはじめそれぞれの泌尿器系組織を構成する細胞には,古い細胞は壊れ,新しい細胞が形成される代謝があるからである.腎はLDHをはじめ多くの酵素を含んでいるために,その腎組織の癌化や病変は,血清LDHとともに尿LDHにもなんらかの変化を引き起こすことが考えられる.さらに尿管や膀胱の病変は,もっと直接的に尿LDHに影響を与えるものと想像される.尿LDHと腎癌や膀胱癌との関係についてはすでに報告1〜3)があり,尿LDHは上昇するとされている.

輸血

交差適合試験

著者: 山本一恵

ページ範囲:P.988 - P.992

輸血に占める交差適合試験の位置
 輸血の目的は受血者に不足している血液成分を輸注して補い,かつそれが受血者の体内において,あたかも健康時そのままのごとく作用することで達せられる.しかし,せっかくの輸血が無効であっても残念だし,まして副作用などを引き起こすようなことになれば大変なことである.その危険を防止するためにさまざまな工夫がなされている.例えば,
 1)輸血血液の安全確保および保存管理
 2)スムーズな流通機構
 3)的確な輸血指示
 4)輸血前検査:①血液型検査,②不規則抗体検査,③交差適合試験
 5)輸血後副作用の有無確認およびその処置
 などである.交差適合試験はそのうちの一つの関門であって,輸血の安全を保証するすべてではないが,輸血直前の最終の防波堤ともいうべき非常に重要な検査である.また輸血過誤の中で見落としてはならないものに,事務ミスや取り違いがかなりの比率を占めているということである.
 そこで交差適合試験を精確に行うことはもちろんであるが,できるだけ簡略に,そして早く対応できるようなシステムを作ることが必要である.事前に次の1)〜5)のようなことを知っておくと,能率よく作業ができる.

血液

血球計数4—自動法(2) 血小板

著者: 大竹順子

ページ範囲:P.993 - P.998

血小板算定法(自動計数器法)
 血小板算定法は視算法,自動計数器を用いる方法に分けられる.検体処理スピードが速い,再現性が良い,などの点から,自動計数器を導入している施設が多い.
 自動計数器には前処理として希釈を用手法で行わなければならない半自動タイプと,全血をそのまま測定できる全自動タイプとがある.

細菌

医真菌検査法—特に糸状菌について

著者: 松田良夫

ページ範囲:P.999 - P.1004

 臨床真菌検査は,1)病的材料の直接顕微鏡検査で胞子集団や菌糸などの菌要素を確認する 2)培養検査で真菌を分離,同定することが基本で 3)さらに,病理組織標本検査で菌要素を確認することも必要である.特に深在性真菌症を疑う検査では,必ず検体を二分し,1),2)の検査と病理組織学的検査をする.
 表1,図1に我が国の真菌症と検査法手順を示した.

病理

脳大切片標本の作り方—通常パラフィン標本作製機器を用いる方法

著者: 諏訪幸次 ,   渡辺直子 ,   長嶋和郎

ページ範囲:P.1005 - P.1008

 古来,大きな脳の標本はツェロイジン包埋で長い日数をかけて作られていたが,最近,パラフィン切片による脳大切片作製法が確立され1),標本作製過程が早く,かつ容易となり,種々のルーチン染色も可能となったため,多くの施設ではこの方法が用いられてきている.しかし,薄切するのに超大型ミクロトーム(テトランダー型)を使用しなければならない.頻繁に大切片を作製する施設は別として,一般病理検査室で超大型用の機械を設置し使用するには,高価であること,広い場所を必要とすること,機械の使用法に慣れなければならないことなどの理由で,脳の小切片を多数作ることで間に合わせているのが現状であろう.しかし,脳に限らず大きな標本で,病変の広がりなどが一目暸然となる標本を作ることが必要な場合もあろう.
 我々は普段用いている通常パラフィン標本作製機器を用いて大切片の作製を試みたところ,比較的容易に,かつ超大型ミクロトームを使用した場合と同様の標本を作製することが可能となった.ここに我々が使用した機器と作製方法の概略を作製手順に沿って紹介し,作製過程に生ずる重要な注意事項を付記する.

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

抗生物質の作用メカニズムと耐性獲得3—アミノ配糖体

著者: 西野武志

ページ範囲:P.971 - P.976

 アミノ配糖体抗生物質は,テトラサイクリン,マクロライド,クロラムフェニコール系抗生物質と同様に,蛋白合成阻害作用を有する.これらの蛋白合成阻害剤の抗菌作用形式は主として静菌的な作用(bacteriostatic action)であるが,アミノ配糖体抗生物質は短時間内に非常に優れた殺菌作用(bactericidal action)を示す.したがってアミノ配糖体抗生物質は,いわゆる切れ味のよい抗生物質として,臨床的に使用されているが,第8脳神経障害や腎毒性などの副作用を有するために,第一次選択剤というよりは,むしろ第二次選択剤として使用されてきたように思われる.
 近年,β-ラクタム抗生物質に耐性を示す日和見病原体による日和見感染が増加してきており,それに伴ってアミノ配糖体抗生物質の使用量も増加してきている.一方,これらの使用に伴いアミノ配糖体抗生物質に対する耐性菌も多く出現してきており,これらの耐性菌に有効な新しいアミノ配糖体抗生物質の開発も活発に行われている.

アレルギー反応2—Ⅱ型

著者: 河野通史 ,   松山隆治 ,   宮田亮

ページ範囲:P.977 - P.982

 この反応は,標的細胞や細胞表面に存在する抗原に抗体(IgGあるいはIgM抗体)が結合することにより,その細胞が補体,食細胞あるいはキラー細胞(K cell)などから障害を受けるものである(図1).
 抗原に抗体が反応すると,その抗体が補体結合性であれば補体の活性化が起こり,C3レセプターを介して貧食を受けやすくなったり,C5b-9複合体による膜侵襲により細胞の溶解を招いたりする.このとき補体の活性化には,抗原が細胞の場合にはIgM抗体であれば1分子,IgG抗体であれば抗原膜上に隣接して結合した場合でも抗体が最低2分子,それぞれ必要とされる.一方,補体が結合しなくても,主に抗体のFc部分のもつ生物活性により貧食されたり,FcレセプターをもつK cellにより非特異的に溶解されたりして障害を受ける場合もある.K cellによるこの現象は,抗体依存性細胞障害(antibody dependent cell-mediated cytotoxicity;ADCC)と呼ばれる.

アーチファクト

細菌

著者: 小栗豊子

ページ範囲:P.1009 - P.1009

 写真1 ザブロー培地に発育したカビの集落より,ラクトフェノールコトン青染色したもの.胞子嚢胞子を思わせる.
 写真2 写真1の標本の別の視野の所見である.頂嚢,梗子の像が認められ,周囲には分生子がたくさんある.アスペルギルスと決定できる.

マスターしよう基礎操作

薬剤感受性試験—1濃度ディスク法

著者: 金澤裕 ,   重野和子

ページ範囲:P.1011 - P.1018

 ディスク法による薬剤感受性試験は,主として細菌感染症治療のための有効薬剤の選択を目的として行う簡易検査である.
 現在わが国では1濃度法,3濃度法が行われているが,規定された方式によって実施することが正しい成績を得るための必須条件である.ディスク法で成績判定の基準となる発育阻止円は,平板培地上の菌の発育とディスクからの薬剤の拡散という二つの異なった要因により形成されるので,それらに大きな影響を与える使用培地,接種菌量および培養時間は規定された条件を守る必要がある.また現われた発育阻止円の形状もその境界が鮮明な場合が多いが,不鮮明な際は成績の個人差を生ずる原因となりかねない.したがって規定された判定に習熟する一方,阻止円の形状,二重リングの観察から,菌と化学療法剤のかかわりあいについて貴重な情報を得ることも念頭に置く必要がある.以下,1濃度法実施の要点について紹介したい.

トピックス

組織プラスミノーゲンアクチベータ

著者: 松尾理

ページ範囲:P.1021 - P.1022

 プラスミノーゲンアクチベータは,その名のとおりプラスミノーゲンを活性化してプラスミンという酵素を生じさせる酵素である.プラスミンはフィブリンあるいはフィブリンの前駆体のフィブリノーゲンを分解してFDP(フィブリンあるいはフィブリノーゲン分解産物)を生じさせる.これが線溶系の活性化機構である.プラスミノーゲンアクチベータは,尿中に存在するウロキナーゼ(以下,UKと略)タイプと組織中に存在する組織性プラスミノーゲンアクチベータ(tissue-type plasminogen activator:以下,t-PAと略)の二種に大別される.
 t-PAは,身体の多くの組織,特に肺,前立腺,子宮,卵巣などに存在し,さらに血管壁内皮細胞やある種の癌細胞中にも存在している.従来のt-PA研究が主に組織抽出液を中心に行われていたため,研究材料の入手難および最終産物の超微量という難点が生じ,十分に研究できなかった.ところが,t-PA研究が最近飛躍的に進歩したのは,t-PAの材料としてメラノーマ細胞の培養液を用いたためで,材料の制約がなくなり,さらに培養液そのものに夾雑する蛋白が非常に少なく,精製t-PAを得るのにたいへん有利となった.このため,in vitro実験のみならず,in vivo実験もまかなえるほどt-PAが取得できたのである.

卵巣癌腫瘍マーカーとしてのCA125

著者: 葛谷和夫

ページ範囲:P.1022 - P.1023

 卵巣癌は我が国ではいまだ発生頻度は低いが,近年増加傾向にある.卵巣癌全体の5年生存率は現在30〜40%と非常に悪く,その診断,治療に苦慮しているのが現状である.予後不良の主な原因は,卵巣癌がsilent diseaseであり,初期の症状に乏しく,早期発見が難しいことにある.
 代表的な自覚症状に腹部膨満,下腹部痛などがみられるが,これらは既に癌が骨盤内浸潤ないし腹腔内播種をきたしている結果の症状であり,卵巣癌の大半はこのような進行癌として発見されている.したがって,その治療に際しては外科的切除のみでは不十分であり,組織型をも加味した化学療法,放射線療法などの組み合わせによる集学的治療が,他臓器癌に比しより必要とされる.こういった観点からも,治療効果を含めて病態の推移を正確に反映し,治療経過の追跡により適した腫瘍マーカーが待ち望まれている.

脳腫瘍の中性子捕捉療法

著者: 畠中坦

ページ範囲:P.1023 - P.1023

 脳腫瘍の治療は今日でもまだまだ難しい.下垂体腺腫,髄膜腫,聴神経腫といったものは,治癒率もかなり高いが,これらは本当は脳実質の腫瘍ではなく「脳の外にある」所属器官の腫瘍なので,手術の腕さえよければよく治るのが当然である.ただ残る問題点は,脳腫瘍というものが,人口10万人あたり1年間に5〜6人しか発生しないというやや少ないものなので,脳腫瘍を手術する技術の習熟度(いわゆる腕)がなかなか上がらないという事実である(日本全国で1年間に5,000〜6,000人の脳腫瘍が発生し,それを3,000人の脳外科医で手術すれば,1人の脳外科医が1年に手術できる脳腫瘍例は2人ぐらいしかない.脳外科医を志して10年選手になった医師でも,脳腫瘍を自ら執刀したのは20例ぐらいしかないことである.幸い私はこれまでに400例ぐらい執刀しているが).
 脳実質から発生するものをグリオーマ(膠腫)と呼ぶが,グリオーマでは上に挙げた髄膜腫,神経腫,腺腫などと違って正常脳とグリオーマの境界がつきにくいことが多く,特に顕微鏡で見ると正常脳実質の中にグリオーマ細胞が点々と入りこんでいる(浸潤している)ものが多く,このようなものでは,胃切除や乳房切除のようにバッサリと大きく脳を切り取るということができないため,再発がほとんど必至である.

君はアメリカの試験にパスできるか(英和対訳)

臨床検査機器—費用分析と備品選択

著者: 秋吉龍二

ページ範囲:P.1024 - P.1026

[1] The purpose of prioritizing the items on thecapital equipment budget is to:
 A.keep costs down.
 B.improve its appearance.

基礎実習講座

凍結乾燥法

著者: 岡崎雄交

ページ範囲:P.1027 - P.1030

 凍結乾燥とは字句のとおり,試料水溶液を凍結させ,その凍結物から水分を水蒸気圧以下に減圧して除去し,乾燥することで,分解しやすい物質を低温で迅速に乾燥して保存する目的で行われる.
 わが国において古くから行われている寒天や高野豆腐の製法も,広い意味で凍結乾燥法である.

チョコレート寒天培地の作り方

著者: 矢越美智子 ,   奥山清子

ページ範囲:P.1031 - P.1034

 臨床検査における省力化の波は,細菌検査においても古くは市販小川培地,乾燥粉末培地に始まり,同定用キット類,各種生培地の活用,さらには染色液にまで及んでいる.しかしながら,正しい自家製培地の作り方を知っておくことは,正しく培地を選択して使用し,ひいては正しい成績を報告するために不可欠のものと考えられる.ここでは,チョコレート寒天培地の作り方について述べるとともに,市販生培地についても簡単にふれることにする.

検査技師のためのME講座

分極作用と不分極電極

著者: 菊地眞

ページ範囲:P.1035 - P.1038

 臨床生理検査では,日ごろ心電図や脳波などの生体電気現象を何気なく,比較的容易に誘導・記録している.しかしながら,生体電気現象をできる限り正確に観察するには,そこで用いる電極の性質をよく理解しておかなければならない.一般に生体用電極あるいは生体用誘導電極などと称されるものは,その用途に応じて,形状・材質などが異なり,極めて多くの種類が存在する.ここではそれらのすべてを紹介するのではなく,むしろそれらの電極に関連して知っておくべき基本的現象や事項について述べることにする.
 電極を介して生体電気信号を誘導することを考えると,

ザ・トレーニング

BASICに挑戦3—相関図作成

著者: 川上行雄

ページ範囲:P.1041 - P.1044

 ある観察対象に関してその特性を表わす2種類の測定値χ,уがn組ある時,この二つの変数の間の関係の強さは相関係数γで表わすことができ,その推定を行うのが相関分析である.
 次にこの2変数の一方(χ)を原因とみなし,他方(у)を結果として取り扱い,その推定を行うのが回帰分析であり,前者の変数を説明変数,後者の目的変数などと呼んでいる.今回は2変数における相関分析,回帰分析およびこの的確な表現である散布図の作成を行う.

検査を築いた人びと

尿ビリルビン検出法を発明した レオポルト・グメリン

著者: 深瀬泰旦

ページ範囲:P.1010 - P.1010

 尿中のいろいろな成分を確認するのに,ペーパーテストが普及してからは,人名のついた試験は影をひそめてしまった.以前はウロビリノーゲンの検出には,エーリッヒのアルデヒド試薬が用いられ,アセトン体にはロテラ氏法といった具合いであった.そして血液中の直接ビリルビンが尿中に遊出してビリルビン尿となったとき,これを検出するテストにはグメリン法があった.
 グメリン家は18世紀から19世紀にかけて,医師や自然科学者を輩出した有名な家系である.初代ヨハン・グメリンは1674年に生まれたチュービンゲンの薬剤師で,このヨハンの曽孫に当たるのが,胆汁色素の研究で名を挙げたレオポルド・グメリンである.

私たちの本棚

おっちょこちょいの魅力—おっちょこちょ医—なだいなだ 著

著者: 斉藤裕美子

ページ範囲:P.1019 - P.1019

 頭の中に生えたカビを退治してくれるような本はないか,と入った書店で見つけたのがこの本.『おっちょこちょ医」の「医」のところに目が吸い寄せられたのは,どういうわけ?ヤッパシ,ほとんど"職業病"なのかしら…….日頃たまったストレスを,衝動買いで発散させる癖が私にはありまして,時々あとで違うストレスを背負うこともありますが,この本には質,値段ともに満足.運が向いてきたのかしら.
 通勤電車の中,気負って読み始めたのがいけなかった.笑いをこらえるのに一苦労.腹筋は痛くなるし,涙は出るし,本で顔を隠したってもう遅い.こういうと何だかこの本がドタバタで終わってしまうように聞こえるかもしれませんが,なかなかどうして.笑いながら考えさせられ,最後にはしんみりとしてしまうという,軽くさわやかにしてズシンとくる,そんな作品なのです.

けんさアラカルト

ブラインドプールは語る

著者: 稲次洋子

ページ範囲:P.1039 - P.1040

 臨床検査における分析上の精度管理はx-R管理をはじめさまざまな管理方法が用いられ,一般化しています.また自動分析装置の普及に伴い,コンピューターを導入した方法も考案され一般化しつつあります.しかし,個々のデータの信頼性を保証するためには,分析を含む検査システム全体の管理が不可欠で,この検査の流れの中で生ずるさまざまな誤りを検査過誤と呼びますが,これについては本誌vol.11 no.3〜5の本欄を参照されるとよろしいでしょう.
 この日常業務に組み込まれた管理システムの網の目をくぐり抜けてしまう過誤発見の一助として,我々の検査室では昭和48年からブラインドプールによる管理を実施しています.この方法で発見できる検査過誤はあまり多くはありませんが,今までに遭遇した例を紹介するとともに,今後は氷山の一角をもう少し出させたいと思っています.

りんりんダイヤル

waningとは

著者: 鳥居順三

ページ範囲:P.1047 - P.1047

 問 重症筋無力症の電気生理学的診断に反復刺激によるM波のwaningを指標としますが,健常人でも高頻度の刺激で多少M波の変動がみられました.waningとはどの程度の減衰をいうのでしょうか.

ME図記号に強くなろう

5電源のオン・オフ

著者: 小野哲章

ページ範囲:P.987 - P.987

 機器の電源のオン・オフ状態を示す図記号で,オン状態が縦の1本棒,オフ状態が丸印である.これは,機器のバネル面に表示するものである(応用例として押ボタン式の電源スイッチの表示を示した).
 これはIEC(国際電気標準会議)で決められているもので,JIS「医用電気機器の安全通則」の中にも定められている.

コーヒーブレイク

浅間山麓2日間

著者:

ページ範囲:P.1004 - P.1004

 8月,旧盆の過ぎた頃,医学技術学校の同窓生で軽井沢にある浅間高原寮に出かけた.
 当日,朝早く起きたものの,ついのんびりしてしまい,あわててタクシーで上野駅に向かう.「8時半の汽車に乗るんですけど,間に合いますかネー」「多分,大丈夫じゃないですか」発車6分前に上野駅着.自動販売機の切符で,車内で待ち合せた仲間に合流.

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医学用語における接頭語・接尾語

著者: 富田仁

ページ範囲:P.1034 - P.1034

 myelo-(ギ) 骨髄,脊髄の意.ギリシャ語myelos(脊髄).例えば,myeloblast(骨髄芽球),myeloencephalitis(脊髄脳炎),myelography(脊髄造影法).
 myo-(ギ) 筋肉の意.ギリシャ語mys.例えば,myocarditis(心筋炎),myodegeneration(筋変性症〉,myositis(筋炎),myogram(筋電図).

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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