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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術13巻8号

1985年08月発行

雑誌目次

病気のはなし

再生不良性貧血

著者: 高久史麿

ページ範囲:P.698 - P.703

再生不良性貧血とは1)
 再生不良性貧血は骨髄内での血球の産生が全般的に低下し,そのため骨髄の低形成,骨髄内全有核細胞数の減少をきたすことを特徴とする血液疾患である.骨髄内での血球の産生が低下するため,その反映として末梢血液中のすべての系統の血球が減少し,貧血,白血球減少,血小板減少が同時に起こり,汎血球減少症の状態を呈してくるようになる.
 再生不良性貧血の際の骨髄の低形成は徐々に起こることが多く,患者自身はいつ始まったか気づかないのが常である.しかし,症例によっては貧血や血小板減少が急速に進行し,重症の貧血,血小板の減少による出血傾向,顆粒球の減少による感染症が急に現われ,重要な臓器への出血や肺炎,敗血症などの重症感染症のために早期に死亡する場合もある.

技術講座 生化学

尿酸の測定法

著者: 影山信雄

ページ範囲:P.717 - P.722

 尿酸はヒトにおけるプリン塩基を構成成分とする核酸の最終代謝産物として,主に肝で生成される.生成された尿酸の大部分は,血液中から腎を経て尿中に排泄される.したがって,血中の尿酸量は生成と排泄のバランスの上に成り立っており,このいずれか,または両者に異常をきたしたときに変動する.
 血中尿酸の増加する代表的な疾患は,遺伝性のプリン体生成過剰によって起こる痛風である.このほかに,白血病や悪性腫瘍も細胞や核の崩壊によって多量の核酸が遊離されるので,血中尿酸量が増加する.また,尿酸の排泄は大部分が腎で行われるので,慢性糸球体腎炎をはじめとする各種腎疾患における尿酸排泄機能低下や,サイアザイド系降圧利尿剤,ピラチナマイド,サリチル酸製剤なども高尿酸血症の成因となる.

血液

血液凝固検査5—血液凝固因子の測定2—抗原量測定のための免疫学的測定法

著者: 羽田雅夫

ページ範囲:P.723 - P.728

 前号にて欠乏血漿を基質にした凝固活性による凝固因子測定法について解説したが,今回は凝固因子を抗原量としてとらえる免疫学的測定法について述べる.
 従来,凝固因子定量法の主体は凝固因子の活性機能検査であったが,近年,血液凝固学領域においても免疫学的測定法が応用されるようになった.免疫学的測定法による検討は凝固因子を分子量また分子構造の面から観察する方法であり,その免疫活性と凝固活性の両面から検討することにより,凝血学の概念に新知見が加えられてきている.例えば,凝血学的測定法では,ある因子が凝固活性を失っている場合に測定値は減少した値を示し,検体中にその因子は減少しているかのごとき成績を得るが,この検体を免疫学的方法にて測定すると正常と同様の抗原量が存在しているという.両者の測定値の相違が認められ,分子レベルでの異常が考えられる場合がある1,2)

細菌

培養検査法5—胆汁

著者: 吉田知孝

ページ範囲:P.729 - P.734

 胆汁は肝細胞で作られて毛細胆管に排泄され,胆管を経て総胆管から十二指腸に排泄される.肝から排泄された胆汁(肝胆汁)は淡黄色であるが,胆嚢に貯留している間に水分・電解質などが胆嚢壁から再吸収されて,5〜10倍に濃縮される(胆嚢胆汁).食物,特に脂肪性に富む食物が十二指腸に到達すると十二指腸壁の刺激により胆嚢が収縮し,濃厚な胆嚢胆汁が十二指腸内に排泄され,栄養素の吸収を助ける.十二指腸液は胆汁,膵液および固有の十二指腸液の混合物である.
 肝胆汁の排出量は1日約700〜1,000 mlにも及び,胆道に多少の細菌が存在しても0.6ml/分という正常な胆汁の流れにより十二指腸乳頭(Vater乳頭)から十二指腸へ排泄されるので,胆道感染症は起こらない.胆石,胆道癌,膵頭部の腫瘍などによる胆道閉塞が存在し,うっ滞した胆汁中で腸管内の細菌(特にグラム陰性桿菌)が増殖して胆道感染症が発症する1)

輸血

ABO式,Rh式以外の輸血副作用のある血液型判定法—臨床的重要性の解明を中心に

著者: 田村眞 ,   松田仁志

ページ範囲:P.735 - P.742

 血液型にかかわる輸血副作用の発生が,赤血球にのみ限定されるものではないことは周知のとおりである.白血球,血小板はもちろん血漿でもそれぞれ個有の血液型をもち,共通する血液型とともにそれぞれの副作用は,免疫学的機序の側面からも徐々に解明されるようになってきた.輸血副作用を起こす赤血球の血液型をあえて分類するならば,その重要度から
 1) ABO式,Rh式血液型 2)その他の血液型と分けるのが一般的のようである.ABO式血液型はLandsteinerの法則に基づき,規則的に抗体を保有し,その型不適合輸血は最も重篤な溶血性の副作用をもたらす.Rh式血液型のRh0(D)は,日本において抗体を産生できる可能性のある型の頻度が低いにもかかわらず,その免疫原性が強いために抗体が産生されやすい.また,いったん抗体が産生された場合の適合血の入手が極めて困難なことから,重要視されているものと推測される.

病理

酵素抗体法による組織内病原体の検索

著者: 川井健司 ,   堤寛

ページ範囲:P.743 - P.748

 日常の病理検査室で行われている組織内病原体(細菌,真菌,ウイルスなど)の検索には,グラム染色,グロコット染色,チール・ニールセン染色(Z-N染色),ビクトリアブルー染色などがある.しかし,これら病原体は通常の組織化学染色では,特異性をもって同定できないものが多く,ことにウイルスの証明は困難なことが多い.我々は,特殊染色として広く普及しつつある酵素抗体法染色を用いて,ホルマリン固定・パラフィン包埋されたルーチンの病理切片における組織内病原体の特異的同定に関する検討を行ったので,以下に紹介する.

ラボ・クイズ

糞便から検出された短楕円形の小型虫卵

ページ範囲:P.704 - P.704

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

基礎代謝測定法の原理

著者: 中野昭一

ページ範囲:P.706 - P.710

 私たちは,毎日摂取している食物中の栄養素を消化・吸収してからだの各部に蓄え,必要に応じ,呼吸によって肺から体内に取り込んでいる酸素(O2)によって,それらの栄養素を酸化し,その発生するエネルギーを生活に利用している.したがって肺から一定時間内に摂取されるO2と,そこに排出されるCO2などの量を測定すれば,体内で行われているであろうエネルギーの産生をうかがい知ることができるわけである.
 このように体内で栄養素が酸化されて生ずるエネルギーの出納からみた体内の代謝をエネルギー代謝といい,このエネルギー発生の過程で栄養素が同化あるいは異化されていく過程をその化学的変化としてとらえる場合,中間代謝といっている.

血球の成熟と形態の変化2—リンパ球・単球および血小板

著者: 浜口裕之 ,   坂巻壽 ,   古沢新平

ページ範囲:P.711 - P.716

 前稿では造血幹細胞の分化と血球の成熟に伴う一般的変化について述べ,次いで赤血球系および顆粒球系細胞における成熟に伴う変化を光顕像と電顕像を対比させつつ概説した.本稿では,前回に引き続きリンパ球系,単球系,および血小板系細胞について同様に解説する.これらの系統の細胞も成熟に伴う一般的変化については共通する点が多いので,前稿を参照されたい.

マスターしよう基本操作

心電計周波数特性の測定法方

著者: 小林悌二 ,   清水加代子

ページ範囲:P.751 - P.757

 臨床診断で使われる心電図の波形は,およそ0.05〜100Hzの範囲の周波数成分から成る電圧波形であ.入力波形を構成する各成分波が心電計内で同一増幅度,同一時間遅れを受けるならば,出力波形に波形歪を生じない.しかし,この条件がほぼ満たされるのはある周波数範囲fL≲f≲fHのみである(fL;低域遮断周波数,fH;高域遮断周波数).この帯域外では増幅度が大幅に低下し,これに伴い必然的に遅延時間にも周波数依存性が生じる.このため,通過成分波の重ね合わせの様子が出力時点では入力時と変わるので,fL,fHの値によっては出力波としての記録波形に無視できない歪みが生じる.通常,増幅度の周波数依存性を周波数特性と呼ぶ.本稿ではその測定技法を解説する.波形歪が生じる原理を理解するために,初めに単純化したモデルで歪みの発生を誇張して示し(I),続いて周波数特性の測定法の具体的手順について述べる(II).

トピックス

微量金属と糖尿病

著者: 大久保昭行

ページ範囲:P.758 - P.758

1.亜鉛(Zn)
 ヒトでは,膵のラ氏島のβ細胞内の分泌顆粒でZnがプロインスリンのヘキサマーと結合して,インスリンの貯蔵に一役を買っていることが明らかにされている.しかし,モルモットやコイプーでは,β細胞にZnが認められない.また,ラットでは細胞外液のZn濃度とインスリン分泌との間に明らかな関連を示す実験データは得られなかった,という報告もある.したがって,Znがインスリン分泌過程に不可欠の元素である,という証拠はまだない.
 Znの急性欠乏では,味覚異常や腸性肢端皮膚炎が出現する.慢性欠乏では,発育遅延,生殖不能,細胞性免疫不全などの症状のほかに,糖負荷時のインスリン分泌の亢進反応が認められなかった,という報告がある.また,健康者では糖負荷後のインスリン分泌亢進に随伴して血清Zn値の上昇がみられるのに,Zn欠乏状態ではZnの上昇もみられなかったという.筆者らが,糖尿病患者群について空腹時の血清Zn値を測定したところ,健康者群との間に有意差はみられなかった.

微量金属と高血圧症

著者: 青木久三 ,   佐藤孝一

ページ範囲:P.759 - P.759

 生体には多数の金属イオンが存在している1).それらの中で高血圧症に関与している可能性のある主たる金属イオンは,Na,K,Mg2+,およびCa2+である1).生体内では,細胞外液と細胞内液の中に遊離(自由)イオンとして存在している金属と,そのほかに細胞小器官である細胞膜,筋小胞体膜,ミトコンドリア膜,カルモジュリン,収縮蛋白などに結合している金属とがある.
 まず,Na,K,Mg2+,およびCa2+の中での微量金属を決める.その微量金属の生体細胞機能での役割を,高血圧症との因果関係において論じてみる.

抗インスリン抗体と抗インスリン受容体抗体

著者: 大森安恵

ページ範囲:P.760 - P.760

 抗インスリン抗体も,抗インスリン受容体抗体も,ともに糖尿病と深い関係をもっている.抗インスリン抗体には,糖尿病の治療のために注射したインスリンが抗原となってできた抗体と,自己免疫症候群としてのインスリン抗体とがある.
 抗インスリン抗体は正常者には存在しない.したがって,インスリン注射を行っていないのに抗インスリン抗体が存在することは,インスリン自己免疫症候群1)であるか,過去にインスリン注射を行ったことの既往があることを示すものである.これは抗体法で免疫反応性インスリン(IRI)の検査を行う際,異常高値をとるものである.

基礎実習講座

濾過滅菌法

著者: 大門良男

ページ範囲:P.761 - P.764

 濾過滅菌は,熱によって壊れたり変性したりしやすい物質,例えば尿素や糖の溶液,血清などを滅菌するとき1,2),およびウイルス乳剤や毒素液などから菌を除くときに使用され,細菌を通さない細かい孔の濾過器を通過させることにより細菌を除く方法である1).濾過滅菌は熱が加わらないという利点がある反面,使用される濾過器の種類によっては,液中の物質が吸着されるという欠点をもつことがある.濾過器の種類としては,シャンベラン型,ベルケフェルド型,ザイツ型,メンブランフィルター型があるが,現在用いられているのは,ほとんどがメンブランフィルター型である1,3)

Kmの求め方

著者: 塚田敏彦

ページ範囲:P.765 - P.768

 Kmについて理論上の式の導き方は,学校などで学んでいる.しかし,実際に酵素活性や基質濃度の測定法を検討するに当たっては,各基質濃度に対する酵素活性(初速度)を測定し,計算や多くはLineweaver-Burk式などのグラフにプロットしてKmを求める.そのうえで誤差や試薬の溶解度・安定性および経済性なども考慮して,測定機器にマッチした測定条件を決定しなければならない.
 そこで今回は,そのKmの求め方について解析する.実習には多くの施設で経験できるよう,わずかな試薬と簡単な比色計のみがあれば,容易にKm値が求められる基質フェニルリン酸に対する酵素アルカリホスファターゼ(ALP:EC, 3.1.3.1)のKmの求め方を取り上げた1)

ザ・トレーニング

老年者の婦人科細胞診

著者: 小池昇

ページ範囲:P.769 - P.771

 細胞診の中で婦人科領域におけるそれは現在最も進歩し普及している分野で,細胞検査士にとってもいちばん見る機会の多い材料となっています.しかしながら,老年者では婦人科を受診する,あるいは子宮癌検診を受ける割合はまだまだ低く,また,その細胞像の多様性ゆえにこれを苦手とする人が多いようです.そこで今回,老年者の一例を使って婦人科細胞診のトレーニングを試みたいと思います.

検査技師のためのME講座 エレクトロニクス入門・5

過渡現象

著者: 田頭功

ページ範囲:P.773 - P.776

 前回は,抵抗R,インダクタンスL,コンデンサCを含む回路の,正弦波交流に対する働きについて述べました.今回は,少し趣きを変えて,R-L回路あるいはR-C回路に,スイッチを用いて瞬間的に電圧を加えたときの様子について説明します.このように,瞬間的に電圧が加えられるときの回路の働きの様子は,回路の過渡現象と呼ばれます.
 本講座の第3回,「回路の受動素子」のところで説明したLやCの働きが,これから述べる回路の回路方程式をつくるときの参考になります.

学会印象記 第47回日本血液学会総会

日常性の中の進歩

著者: 大竹順子

ページ範囲:P.777 - P.777

 第47回日本血液学会総会が1985年4月12(金)〜14日(日),東京において小宮正文会長の下で開催された.会場は日本都市センター(第1〜11会場),全共連ビル(第12会場〜20会場)であり,20会場にも及ぶ多数の演題が発表された.プログラムの内容は一般演題661題,シンポジウム4題,特別講演8題,招請講演2題,宿題講演2題,および661題の一般演題の中で同一テーマに集中したものを集め,集中討議4題という構成であった.
 第1日目は,集中討議を除く一般演題が口演と示説で発表された.演題数多数のためか示説は同一会場で午前,午後と示説が異なり,参加者にとって発表を聞く時間配分が難しく思われた.一般演題は白血病に関するもの,従来あまり取り上げられなかったリンパ球以外の好中球,単球に関するもの,造血幹細胞,鉄代謝,貧血,凝固線溶関係の臨床例と基礎,特に血小板に関する演題が目についた.

ひとくち英会話 English Conversation in Your Laboratory

Make a tight fist.

著者: 𠮷野二男 ,   常田正

ページ範囲:P.778 - P.779

患者:こちらで血液凝固の検査をやっていただけるのですか.
技師:こちらにおかけください.鈴木さんですね,採血しますから上衣をぬいで腕を出してください.

検査を築いた人びと

腰椎穿刺を創めた ハインリッヒ・クインケ

著者: 深瀬泰旦

ページ範囲:P.750 - P.750

 病巣に一歩でも近づいて,自分の眼でその変化を確かめてみたい.それも,できるだけ患者に負担をかけないで,と考えるのは,臨床家の常である.腰椎穿刺によって脳脊髄液を採取し,その中の変化から脳それ自身の変化を知ろうとしたのが,クインケである.中枢神経系の疾患を解明するうえで,それまでにこのような簡単な臨床手技はなかった.この一事だけでも,クインケは医学の歴史に名をとどめるに値する.
 ハインリッヒ・クインケは立派な医師の息子として,1842年8月26日にフランクフルト・アン・デア・オーデルに生まれた.のち家族とともにベルリンに移り,ギムナジウムを卒業後,ベルリンをはじめ各地の大学で,ウィルヒョウ,フォン・ケリカー,ヘルムホルツ,フレーリクスなどの著名な学者のもとで医学を学び,1867年フレーリクスの助手となった.

私たちの本棚

混沌たる現代も進化の一過程—地球外文明をさぐる—C. ポナムペルマ & A. G. W. カメロン 編 大島泰郎 訳

著者: 平野哲夫

ページ範囲:P.772 - P.772

 この宇宙のどこかに"宇宙人"がいるのではないだろうか? 夜空に無数にきらめく星を眺めて,誰もがこんな疑問を一度は抱いたことがあるに違いない.
 1970年夏,この昔からの疑問を最新の科学を土台に検討しようという科学者たちが,アメリカ航空宇宙局エームス研究センターに集まり,一連の講演と討論を行った.この中には宇宙の起源から,生命の起源,知性ある生物が宇宙に存在する確率の問題,宇宙人と交信する具体的方法まで,ロマンに満ちた壮大なテーマに含まれるあらゆる問題が取り上げられている.

けんさアラカルト

検査技師の国家試験はこれでよいのか

著者: 富田仁

ページ範囲:P.780 - P.780

 臨床検査技師の国家試験は,1958年(昭和33年)に第1回衛生検査技師国家試験として始まり,第28回がこの3月に行われた.初期の頃から,五者択一の試験であり,次の○○に関する文章のうち正しいものはどれかとか,誤っているものはどれか,という程度のもので,正解がないという問題はほとんどなかった.しかも,内容は臨床検査技師教育のための教科書に載っている程度の常識的なもので,どこを探しても見つからないような難問や奇問はほとんどなかった.
 しかるに,しだいに教科書にはどこにも載っていないような問題も出題されるようになり,しかも,文章ないし字句が,a, b, c, dないしeと四つないし五つあって,解答肢が,「1.aとb 2.cとd……5.いずれでもない」というような形式が多くとり入れられるようになり,a,……dないしeの文章について正しい知識を持っていないと解答し難くなった.特に,「いずれでもない」とか,「すべて」というような答えが含まれていると,案外,正解らしいものが二つ残って難しくなる.

偽陽性と偽陰性

著者: 水谷昭夫

ページ範囲:P.781 - P.781

 他の領域の臨床検査では,これに似たようなことがあるのかどうかわからないが,私の専攻する血清検査においては,偽陽性,偽陰性ということが問題となることがある.時には,それが,もめ事に発展する場合すらある.
 そこで考えるのだが,偽陽性,偽陰性という表現が第一おかしい.

りんりんダイヤル

仮性菌糸の認められない酵母様真菌の同定検査

著者: 阿部美知子

ページ範囲:P.783 - P.783

問 髄液以外の材料で仮性菌糸の認められない酵母様真菌が見つかったとき,どのように同定検査を進めればよいのでしょうか.また,C. neoformance以外のクリプトコッカスはヒトの臨床材料から検出されるでしょうか.

ME図記号に強くなろう

13トランジスタ

著者: 小野哲章

ページ範囲:P.716 - P.716

 半導体増幅素子の代表例がトランジスタである.現在のトランジスタはP型半導体とN型半導体の接合でできている.出力用の電力増幅素子としては単体で使われるが,多くはIC(集積回路)内に多数個が集積形成された形で使われている.
 ①ベース:真ん中の薄い半導体層(PNP型ならN型,NPN型ならP型)で,T字型の縦棒は抵抗性の接続を意味している.

コーヒーブレイク

ある老婦人の話

著者:

ページ範囲:P.771 - P.771

 私の病院は,約400人の患者さんを入院させていて,1か月間に10人前後の死亡者が出る高齢者患者と,精神神経患者の慢性病中心の病院である.
 医学的には,もちろん興味深い症例もあるけれども,それを述べようとするものではない.この春,老衰のために亡くなった79歳のおばあさんの話をしよう.

エトランゼ

チップ

著者: 常田正

ページ範囲:P.779 - P.779

 外国旅行をしていて気が重いのはチップである.レストランの給仕,ホテルのボーイ,タクシーの運転手,床屋などは,いつもチップを欲しがっている.日本のサムライたちは,チップというものはよいサービスに対するお礼であるのだから,サービスが悪いときにはチップをやりたくない,やるべきではないと考えている.ヨーロッパや米国のボーイたちは,チップをくれそうな人にはせっせとサービスをするが,くれなさそうな人にサービスしてもつまらないと考えている.日本人は小柄で風采が上がらないので,だいたい後者に属する.
 そこで次のような実験をアメリカでしてみたことがある.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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