Letter from Abroad 海外で活躍する日本の検査技師
意外に少ない勉強会や交流—スイスからの手紙(6) スイス6
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ページ範囲:P.1324 - P.1325
■ルツェルンの夏
ルツェルンの夏はさわやかです.湿度の低い,からりとしたよい天気が続きます.車にクーラーは不必要です.ここでは,さんさんと陽の降り注いでいる日は,猫も杓子も戸外へ飛び出し,太陽を全身に浴びます.ルツェルンは,Vierwaldstätter Seeと呼ばれる大きな湖のほとりに発展した古都で,街の中にヨットハーバーを抱いた広々としたSeepark(湖公園)があります.その公園は湖に面しており,そこで泳ぐこともできます.夏の天気のよい週末などにその公園に行くと,太陽に誘われて繰り出して来た多くの市民で,公園はパッと花が咲いたように活気づいています.湖辺で泳いでいるのは小さな子供ぐらいで,ほとんどの人は,薄物や水着をつけて,芝生の上に寝そべったり,ボール遊びに興じたりしています.ラウドスピーカーや,物売りなどがないので,あのいやな,神経を逆なでする騒々しさとは無縁です.
ここで,ルツェルンの夏に趣きを添える一つの催し物があることを,この手紙に書かないわけにはいきません.それは,Luzern Internationale Musikfestwochenという,4週間にわたる音楽祭です.この音楽祭は毎夏やって来て,古都の真夏の夜を麗美な調べで包みます.1984年には,小沢征爾が,Boston Symphony Orchestraを引き連れて来て,指揮棒を振りました.Herbert von Karajanは毎年来ます.その他,Claudio Abbado,Lorin Maazel,Anne-Sophie Mutter,そしてJames Galwayなどのそうそうたる音楽家が,洗練された調べを古都の夕べに織りなします.