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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術15巻13号

1987年12月発行

雑誌目次

病気のはなし

子宮頸管炎

著者: 二宮敬宇 ,   保田仁介

ページ範囲:P.1352 - P.1355

 子宮頸管の炎症(cervicitis)は感染性,非感染性ともに幅広い病因をもっている.感染性のcervicitisのほとんどが腟炎を伴っており,特に,慢性の頸管炎(chronic cervicitis)は婦人科疾患中でもっとも多く,腟炎と同様,帯下の原因としてももっとも頻度が多い.また.chronic cervicitisでは初期頸癌との肉眼的鑑別が困難な場合がみられ,安易な治療指針は慎しまねばならない.日常よくみられる疾患でありながら,病因論的研究は少ない.これは先に述べたように,複雑多岐な成因があるため,研究的アプローチが困難なためと考えられる.本稿では子宮頸管炎(infectious cervicitis)について解説する.

技術講座 血液

第XIII因子測定法

著者: 秋山淑子

ページ範囲:P.1368 - P.1372

 酵素活性を持つ凝固因子のほとんどがセリンプロテアーゼであるのに対してXIII因子はトランスグルタミナーゼであり1),主要な役割はフィブリンの架橋形成に働き,強固なフィブリン塊を形成することにある2).血漿XIII因子は分子量320000の糖蛋白で,おのおの2個のa鎖とb鎖を持つ4量体(a2b2)の形で存在し,トロンビンとCa++で活性化されa′2とb2に解離し,最終的にはa"2とb2になる.このa"2がトランスグルタミナーゼ活性を持つサブユニットaと呼ばれる活性XIII因子で,測定法3)の多くがこの部分を測定対象としている.
 XIII囚子は凝固系のスクリーニング検査では異常がないにもかかわらず,生下時の臍帯出血や,外傷,手術の傷口からの出血などから疾患が見いだされるもので,先天性の欠損症では数%,時には0.5%あれば止血管理ができるとされており4),従来,臨床検査では必須の検査とはされていなかった.しかし,創傷治癒とXIII因子との関係が明らかになり5),大手術後の活性低下による創傷治癒不全がXIII因子の補充によって改善される症例6,7)があることからXIII因子製剤による治療が行われるようになった.社会保険診療による適用条件としてはXIII因子活性70%以下の疾患に限られたため,治療にあたってはXIII因子活性の測定が必要となってきた.また,創傷治癒不全だけでなくDIC,重症肝障害,悪性腫瘍などでも低下するため,検査としての重要性は増すと思われる.

細菌

インフルエンザウイルスの検査法

著者: 川名林治 ,   宮勉

ページ範囲:P.1373 - P.1378

 かぜ症候群は,日常診療においてもっとも普遍的に遭遇する感染症である.臨床ウイルス学の進歩により,その病原学的診断も細菌検査のみに傾いていたがウイルス検査が普及しつつある.
 インフルエンザは以前からその検査が実施されているが,将来は,ワクチンの効果判定や疫学的な面から,かぜ症候群の起因ウイルス全体を含めて検査することが望ましい.

病理

軟部腫瘍鑑別診断のための染色

著者: 台丸裕

ページ範囲:P.1379 - P.1382

 軟部組織に発生する腫瘍および腫瘍状病変は極めて多種類があり,しかも一人の病理医が経験する病変の例数は限られている.したがって,その組織診断はしばしば困難なことが多く,電子顕微鏡,組織化学,免疫組織化学など特殊検査法の診断への応用が必要となる.
 ここでは,私どもの教室で軟部腫瘍の収集に当たり日常行っている材料の処理や染色法について解説し,さらに組織診断上の注意点についても述べてみたい.

一般

尿沈渣のための採尿法

著者: 稲垣勇夫

ページ範囲:P.1383 - P.1387

 尿検査を行ううえで尿の採取は,誤差や過誤を生じないようにするために,慎重にかつ適切に行われなければならない.
 各種多様な検査項目があるが,検体採取そのものについてわれわれは直接タッチしないことが多く,注意を怠りやすい.特にスクリーニング検査ということで,尿の採取についてはとかく患者まかせで採尿についての注意点を忘れがちである.正しく採尿されなかった場合,検査結果に重大な誤りをもたらす可能性がある.採尿そのものは単純な作業であり,尿を使用する検査の目的に応じて採尿の方法は異なってくる.

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

血清スーパーオキサイドジスムターゼ活性測定法とその臨床的意義

著者: 坂岸良克

ページ範囲:P.1357 - P.1362

 スーパーオキサイドジスムターゼという酵素を理解するためには,まずスーパーオキサイドという陰イオンを知らねばならないであろう.したがってスーパーオキサイドアニオンを知るためには酸素分子そのものから述べなければならない.
 われわれが呼吸し,また化学反応に関与する酵素は通常,分子の形で存在し,K殼のP(π)電子各4個のうち3個が分子軌道を構成している(図1).これを2個の酸素原子についてエネルギー準位で示すと図2-(a)のように反結合軌道に不対のπ電子が並ぶ.このことからわかるように,酸素分子はビラジカルで常磁性なのである.これを三重項酸素と呼び3O2で表す.
 ところで,放電その他の際に酸素はかなり作用の激しい型に変わる.従来はこれを原子状酸素と考えていたが,実はそうではなくて,図2-(b)のようなπ電子の偏りまたは逆スピン化によることがわかってきた.これらの酸素分子を一重項酸素と呼び,多くの反応で見られるのは1△gの方と思われる.この状態では空席の軌道は求電子性が強くなるので,電子を渡しやすい物質が近くに存在すると,図2-(c)のようになる.これがスーパーオキサイドアニオンで,生体の中でも観察される.記号としてはO-2で表すが,この分子は三重項酸素というより,むしろ一重項酸素に近い性質がある.

骨格筋の電気生理学的検査

著者: 中西孝雄

ページ範囲:P.1363 - P.1367

 最近,健康のためにジョギングをしている人をしばしば見受けるが,それは四肢の骨格筋が神経系の命令を受けて行われるものである.しかし,骨格筋自体が障害されたり,神経系自体が障害されたりすると,骨格筋は動きにくくなり,力が弱くなる.その際,力が弱くなった機序を確かめておくことは,臨床上診断,治療のためにぜひ必要であるが,それを機能的に検査できるのが電気生理学的検査法である.
 しかし,電気生理学的検査法を用いて骨格筋や神経系の障害部位と原因を解明するためには,まず,骨格筋を支配する神経系の解剖と生理学を知り,検査法の原理と意義を理解しておく必要がある.ここではそれらのことについて述べることにする.

ラボクイズ

全身倦怠感を訴え著明な貧血と脾腫を認めた小児

ページ範囲:P.1388 - P.1388

心電図アーチファクトの除去法

ページ範囲:P.1389 - P.1389

マスターしよう基本操作

NCCLS法による感受性ディスク法

著者: 小栗豊子

ページ範囲:P.1393 - P.1399

 NCCLS感受性ディスク法は,NCCLS(National Committee for Clinical Laboratory Standards,米国臨床検査標準委員会)が日常検査法として推奨する薬剤感受性測定法の一つである.本法は約2年前から日本でも用いられるようになり普及しつつある.本法は1濃度ディスク法で原理は昭和ディスクと同様,カービー・バウエル(Kirby-Bauer)法を基礎としている.しかし,NCCLSディスク法と昭和ディスク法は種々の点で相違がみられる(ディスクの薬剤含有量,接種菌量,接種法,成績の記載法など).NCCLS法は技術によるバラツキが大きいので,特に検査室で採用する前に十分な練習を必要とする.練習には指定された管理用菌株を用いるのがよい.成績は阻止円の大きさから2または3段階に感性度を表示する.同一の薬剤でも菌種によって阻止円直径の解釈,感性度の表示方法が異なる場合がある(PCG,ABPCなど)ので注意を要する.NCCLSディスク法は現在,好気性菌のみが対象にされ,嫌気性菌にはディスク法以外の別の方法が提案されている.

検査ファイル 項目

Davidsohn吸収試験

著者: 堀井隆

ページ範囲:P.1400 - P.1401

 1932年にPaulとBunnell1)により報告されたPaul-Bunnell反応は,伝染性単核症(infectious mononucleosis)の患者血清中にヒツジ赤血球に対する異好抗体(heterophile antibody)が存在することを示した.その後,Davidsohnら2)は異好抗体は血清病の患者血清,正常のヒト血清(Forssman抗体)にも存在するが,煮沸したモルモット腎臓と煮沸したウシ赤血球により吸収を行うことによってこれらの抗体を鑑別できることを報告した.これがDavidsohn吸収試験である.

サコマノ集細胞法

著者: 武智昭和

ページ範囲:P.1402 - P.1403

 サコマノ(Saccomanno)集細胞法とはSaccomannoが,ウラニウム鉱山夫を対象に喀痰細胞診を実施するにあたり,従来の直接塗抹法ではなく細胞のみを採取し標本を作製した方法である.
 長年にわたる成績より扁平上皮化生の軽度異型より中等度および高度異型を経て上皮内癌となり,浸潤癌に移行したと報告している.我が国においても近年,肺癌の増加に伴い喀痰細胞診において広く実施されている.

機器

血小板凝集計

著者: 小野文子 ,   渡辺清明

ページ範囲:P.1404 - P.1405

 血小板が異物面に付着する現象が粘着であるのに対し,遊離血小板が互いに付着して凝集塊を形成する現象を凝集(aggregation)という.血小板凝集能検査は,血小板無力症などの先天性血小板機能異常症の診断に必須な検査であるが,最近,種々の疾患に合併する出血傾向の解明,および血栓性疾患における血小板機能亢進の検索,抗血小板剤の治療効果の検査など,その必要性が増加している.

用語

EIAとELISA

著者: 中島公雄

ページ範囲:P.1406 - P.1407

1.EIAとは
 enzyme immunoassay(エンザイムイムノアッセイ)の略号であって,酵素を標識物質とし抗原抗体反応を利用して,抗原あるいは抗体を測定する方法をいう.ほぼ同義語として,酵素免疫測定法,enzymoimmunoassay,enzyme labeled immunoassay,enzyme linked immunoassay,enzyme coupled immunoassay,"エライザ""エリザ"(enzyme linked immunosorbent assay;ELISA)などがある.
 抗原抗体反応は古くから微量の抗原あるいは抗体を検出する手段として利用されてきた.多価抗原と抗体との反応の結果生じる沈降物は肉眼でも観察でき,ゲル内免疫拡散法として現在も用いられている.しかし,より微量の抗原あるいは抗体を検出しようとするとき,その沈降物は肉眼では観察できないほど少量となってくる.そこで,それを観察しうるなんらかの"しるし",すなわち標識が必要となる.これが標識免疫測定法(labeled immunoassay)である.この標識物質には赤血球を用いた方法が古くから行われてきた.

Letter from Abroad 海外で活躍する日本の検査技師

難しいきれいな水の確保—スリランカ4

著者: 石原美子

ページ範囲:P.1408 - P.1409

十分機能してない日本援助の病院
 私たち臨床検査技師6人は,いくつかの国内の病院を見学する機会を得ましたので,その様子をお知らせします.
 私たちがまず見学したのは,日本の無償援助で完成した,スリジャヤワルダナ・プラ・ホスピタルでした.日本の大学病院を思わせる大きな建物です.TeachingHospitalとして建てられ,ベッド数は1000床あります.中で使用されている機器もほとんど日本製の近代的な病院です.一般にはスリランカの首都はコロンボと思われていますが,現在,コロンボ郊外のスリジャヤワルダナ・プラに遷都しています.ここに,新国会議事堂が建ち,首都も移ったのです.しかし,首都といっても広い水田や森林などの中にポツンポツンと民家が点在する,いたって寂しい所です.

ひとくち英会話 English Conversation in Your Laboratory

〔国際総会(5)—さよならパーティーにて〕

著者: 𠮷野二男 ,   常田正

ページ範囲:P.1410 - P.1411

田中:すばらしい総会でしたね.
ウィルソン:はい,そうです.総会は大盛会でした.

ザ・トレーニング

交差適合試験

著者: 伊東満子

ページ範囲:P.1413 - P.1416

交差適合試験とは
 Q 交差適合試験(以下,クロスマッチ)の検査を始めることになりましたが,生命に直結する検査と思うと不安でしかたがありません.
 A クロスマッチは血液型・不規則性抗体スクリーニングの検査と同様に一連の輸血検査の一つで,クロスマッチの適合,不適合だけで輸血を実施することは日常輸血検査を業務としている私でも非常な恐怖を感じます.緊急時であっても必ずクロスマッチとABO式血液型の"おもて"と"うら"検査は同時に行うべきでしょうね.

検査技師のためのME講座 計測器・19

発振器(正弦波,パルス)

著者: 白井康之 ,   石山陽事

ページ範囲:P.1417 - P.1419

 発振器とは,電気的な振動を発生させる装置で,電気回路の試験やタイミング制御などに使われています.ME機器では心電計や脳波計などの増幅器の周波数特性を試験するのに発振器を用います.このときには周波数可変で良好な形状の正弦波を発生するものが必要です.またパルスを発生するのも発振器で,脳波や筋電図,各種誘発電位検査などに用いる刺激装置で刺激のトリガとなります.さらに各種ME機器内のコンピュータのクロックパルスを発生するのも,広い意味での発振器の応用です.このように発振器は臨床検査の分野において単独で使用することはほとんどありませんが,ME機器との組み合わせにおいて重要な役割を持っています.

トピックス

Gardnerella vaginallsの検出

著者: 設楽政次

ページ範囲:P.1421 - P.1422

 Gardnerella vaginalisは,GardnerとDuke(1955)が非特異性腟炎から,初めて分離して以来,多くの研究者により研究が進められ,腟炎,非淋菌性尿道炎,膀胱炎の原因菌としての報告がみられるようになった.一方,健常人からも検出されることから,病原性については長い間議論されてきたが,現在ではSTD(sexually transmitted disease:性行為感染症)の原因菌とされ,欧米では注目されている.しかし,わが国ではほとんど注目されず,本菌種の検索を臨床細菌検査に導入している施設は,かぎられているのが現状である.以下,検査法について述べる.

検査を築いた人びと

医学の偉大な父 ヒポクラテス

著者: 酒井シヅ

ページ範囲:P.1356 - P.1356

 医学の父ヒポクラテス(紀元前460頃〜前377頃)は,検査法の発達に直接かかわった人でない.しかし,臨床検査とは,病気の経過ならびに診断を正確にするために体内の情報を得ることという根本に立戻れば,ヒポクラテスはその先駆者といえる.ソクラテスと同時代の人ヒポクラテスは,エーゲ海の東岸に接したコス島に生まれた.生家は医神アスクレピオスを先祖とする医者の家系に属していたと伝えられる.
 ヒポクラテスが医学の父といわれる理由は,迷信や自然哲学的な仮説で病気を説明してきたそれまでの医学を,経験科学の中に位置づけたからである.しかも,それをいまわれわれが手にすることができる『ヒポクラテス全集』の中にはっきりと認めうるのである.しかし,全集は紀元前4世紀にアレクサンドリアで編集されたものであり,ヒポクラテスの遺著だけでなく,それまでのギリシャ医学を総集成したものである.したがって,内容に一貫性を欠くところがあるが,ソクラテス以前のギリシャ科学を伝える唯一の書物としても注目されている.

私たちの本棚

理想に燃える青年教師を描く—エデンの海—若杉 慧 著

著者: 真鍋直子

ページ範囲:P.1390 - P.1390

 つい先日,新聞を読んでいたら,若杉慧が亡くなった記事が目に止まりました.若杉慧といえば『エデンの海』と返ってくるほどにこの作品は彼の代表作と言われており,学生時代に読んだ時のそのさわやかな感動を思い出し,もう一度読んでみたい衝動にかられました.どちらかというとあまり小説を読むことが好きでなかった私にとって,なぜか教師と生徒とを扱ったものだけはよく読んだものでした.父母が学校の教員だった私は,五人兄弟の末っ子でした.親たちは一人くらいは自分たちの跡を継ぐ子がいるのでは,と最後のはかない望みを私にかけていたせいでしょうか.しかし,この期待も見事に外れ,私もまた親の望みとは違ったこの仕事に入ってしまいました.
 さて,この小説は瀬戸内海に面する広島県尾道市に近い小さな町の女学校を背景に,赴任した青年教師・南条と女学生・清水巴との淡い恋愛感情のやりとりがある時は大人の眼から,ある時は学生たちの眼からと,異なった視点から豊かな情景とともに鮮明に描かれています.巴は女学校の寄宿舎に住んでおり,他の生徒より2年遅れて入学したためか個性が強く,しかも他の生徒とは違った性向を持ち,常に生徒間,職員間で問題視される娘でした.例えば,授業中教科書の内側に文庫本を重ねて読んでいたとか,編物に熱中した時は学校を休み宿舎の押入れに隠れてまで編んでいたとか,宿舎の塀の外に集まって騒ぐ男子中学生に水をぶっかけたり,といった具合です.その行動は大人の成熟した眼からは不逞と映り,未熟な側からは可燐に見えるのです.彼女が次々と巻き起こす騒動に対し退学でヤミに葬ってしまおうとする学校側の機械的な物事の処理方針に大いに反発し,青年らしい情熱の倫理で更生論をぶつ南条は,そのつど彼女を擁護し,内部の満たされない部分を理解しようと努力するのです.しかし,彼女の異常な行動はとどまるところを知らず,それが一部の生徒たちの歪んだ目で増幅されて立場はますます悪くなってしまいます.しかも南条自身も冷静な眼で見ていたはずの彼女に対して,ともすれば特別な感情を持つようになり,彼女をかばうあまり他の教師,生徒たちの間に誤解を招き,教師としての地位が危うくなるのでした.

けんさアラカルト

プライマリー・ケアと臨床検査

著者: 丸山正義

ページ範囲:P.1392 - P.1392

 プライマリー・ケアにおける検査は迅速かつ簡単にできるものを選ぶことが必要であり,診察が終わった段階で検査結果と併せて患者に病状説明ができることにある.したがって,30分以内に結果がでるものを選ばなくてはならない.場合によっては,スクリーニング検査では翌日に結果が出るものもあるが,ベッドサイドまたは外来でできる検査を見直すべきであり,外注検査の時代から診察室検査の時代になりつつあると思われる.以下にその検査について記述する.

りんりんダイヤル

封入体含有細胞の鏡検識別

著者: 今井宣子

ページ範囲:P.1425 - P.1425

問 先日,尿沈渣中に封入体含有細胞と思われる円形の細胞が毎視野3〜7程度見られました.その数日後,再検したところ,まったく見られず,扁平上皮細胞ばかりでした.この場合の鏡検識別と疾患との関係についてお教えください.なお,この患者は眼科に入院中で,38℃の不明熱があったということです.(福島 I子)
答 封入体含有細胞は,核内または細胞質内に無構造の封入体を認める細胞をいう.封入体含有細胞とウイルス感染との関係はよく知られており1),一般に核内封入体はDNAウイルスの,また細胞質内封入体はRNAウイルスの感染で見られるといわれている.すなわち,ヘルペスウイルス,サイトメガロウイルス,ポリオーマウイルスでは核内に,麻疹ウイルス,風疹ウイルス,おたふくかぜウイルスでは細胞質内に封入体を認める.しかし,ヘルペスウイルス,サイトメガロウイルスでは細胞質にも封入体を認めることがある.

ME図記号に強くなろう

40医用超音波機器図記号(6) 映像調整・その他

著者: 小野哲章

ページ範囲:P.1362 - P.1362

 本コーナーも今回をもって終わりとする.締めくくりは,医用超音波機器図記号の最後として映像調整機能(その2)とその他の図記号をまとめておく.
 ①リジクション:増幅度に非線形性を持たせて,あるレベル以上の信号から増幅するようにし,不要な小さい信号をカットして,画像上のノイズを消す機能を意味する.

エトランゼ

マッカーサー元帥の秘話三題

著者: 常田正

ページ範囲:P.1411 - P.1411

 マッカーサー元帥が厚木飛行場に着陸した時の雄姿は,今でも目に焼きついている.当時は厚木という地名よりも座間のほうが新聞などでよく使われていた.米軍の星条旗紙はZAMAと綴っていた.マ元帥はなぜ羽田飛行場に着陸しないでZAMAのほうを選んだのか.それには大きな理由があった.
 古来戦史に残る偉人と言えばアレキサンダー,ハンニバル,シーザー,そしてナポレオンであろう.その大将軍のひとりカルタゴのハンニバルを最後に撃破したのがローマのスキピオであり,最後の決戦場がカルタゴ郊外のZAMAであったのだ.ZAMAにおり立ったマ元帥はスキピオ将軍の心境であったに違いない.

コーヒーブレイク

老人講話の難しさ

著者: S.T.

ページ範囲:P.1416 - P.1416

 医学生,臨床検査学生,看護学生,医療秘書学生など学生の講義のほか,医師会,臨床検査技師会,諸会社,諸団体などからの講演の依頼が多くなったが,老人対象の医療講話ほど難しいものはない.
 あまり大きくない部屋でもマイクがつけてあって,どんな小さな声で話しても聞こえるような会場で,かなり大きな声で話をしても聞こえないという方がおられるし,とくに,早口でなるべく多くのことを話そうと思ったり,理論的に話そうと思って講演すると,大抵失敗する.どうやら,漫才式に,面白おかしく,笑わせながら,ゼスチャーたっぷりに話さないと印象にも残らないし,よい講演とは言われないようである.

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新設欄紹介

ページ範囲:P.1391 - P.1391

マスターしよう検査技術
 「マスターしよう基本操作」に代わる欄.検査の基本操作ばかりでなく,さらに一歩進んだ検査技法や機器を写真やイラストによって解説する.
やさしい統計のはなし
 「統計学」というとアレルギーが走る人が多い.アメリカの大病院や研究機関には「生物・医学統計学」のセクションがあって相談にのってくれる.これからの検査技師の必須科目として,新進の大橋靖雄先生が,検査業務に即してわかりやすく執筆.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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