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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術16巻2号

1988年02月発行

雑誌目次

病気のはなし

多臓器障害

著者: 吉川恵次 ,   武藤輝一

ページ範囲:P.118 - P.122

サマリー
 多臓器障害(MOF)とは,大手術,重症外傷,熱傷,重症感染症などの侵襲(主として外科的ストレス)およびこれらに伴うショックを契機として心,肺,腎,肝などの主要臓器が同時にまたは次々に障害されてくる病態である.歴史的にみるとMOFは人工腎,人工呼吸器などの人工臓器の発達を背景に生まれてきた現代の症候群ともいうべきものであり,はなはだ難治かつ予後不良な病態である.上記のような侵襲に暴露された患者の治療に当たってはつねにMOFの発生を念頭に置き,その予防に努めることがたいせつである.現在MOFの治療はいまだ各障害臓器に対する,主として人工臓器による治療の総和の域を出ない.今後よりよい人工臓器の開発,代謝栄養学的あるいは生体防御機構に関する全身的治療法の進歩が期待される.

技術講座 生化学

アルファフェトプロテイン亜種の測定法—フコシル化AFPを中心に

著者: 青柳豊 ,   青木幸枝 ,   市田文弘

ページ範囲:P.133 - P.138

サマリー
 肝細胞癌由来アルファフェトプロテイン(AFP)において,そのフコシル化分画は,肝硬変などの良性肝疾患のそれに比較して統計学的に有意な上昇を示した.この上昇は,早期の肝細胞癌とされる最大径2cm未満でかつ血清AFP値400ng/ml以下の症例においても認められ,肝細胞癌早期診断における有用性が示された.また,フコシル化分画の定量法であるレンズマメレクチンを用いたcrossed immuno-affinoelectrophoresisについて概説した.

細菌

抗菌剤の体液中濃度測定法

著者: 中山一誠 ,   山地恵美子

ページ範囲:P.139 - P.143

サマリー
 抗菌剤の濃度測定法には生物学的・化学的方法および器機分析などがあり,生物学的測定法としては,カップ法,濾紙法,アガーウェル法がルーチンの方法である.測定限界,感度に関しては,カップ法と濾紙法では差が認められ,また標準曲線としてPBSか血清かにより測定方法が異なる.現在もっとも普及した方法はHPLCである.治療薬剤の血中濃度を測定し,治療効果を促進し副作用を阻止する考えは,古くからある.
 化学療法剤におけるTDMは最近における研究の成果であろう.その背景には器機分析の発達,RIA,EIAの導入,コンピューターの進歩が大きな役割を果たした.

病理

染色体標本の作りかた

著者: 紺谷信子 ,   松近尚子 ,   鎌田七男

ページ範囲:P.144 - P.148

サマリー
 染色体検査は病気の確定診断や予後の推定などに役だつとともに,腫瘍性疾患の病態研究に必要なものとなっている.本稿では染色体標本の作製法を原理と手技について,具体的に解説した.

生理

治療機器の取り扱いかた・1—除細動器

著者: 野村智之 ,   渡辺敏

ページ範囲:P.149 - P.154

サマリー
 除細動器は日常頻繁に使用されるME機器ではないが,それが用いられる場合には心室細動など緊急事態のことが多いため,日頃から適切な保守管理を行うと同時に,その正しい取り扱い方法に慣れておく必要がある.本稿では除細動の基礎,除細動器の構造,正しい取り扱い方法,使用上の注意点,適切な保守管理方法などについて述べた.

一般

尿沈渣の見かた・1—上皮細胞成分

著者: 西国広

ページ範囲:P.155 - P.160

サマリー
 尿沈渣の観察を行う場合,採尿法による細胞像の違いを鏡検に先だち理解しておくことが重要である.上皮細胞成分の分類は基本的にはそれらの細胞の組織由来に基づき行い,扁平上皮細胞,移行上皮細胞,尿細管上皮細胞,円柱上皮細胞などに大別する.
 上皮細胞を分類するうえでもっとも重要なことは,悪性異型細胞の見落としがないことである.一般に異型細胞は良性異型細胞(封入体細胞,decoy cell,腫大した尿細管上皮細胞の集塊など)と悪性異型細胞(移行上皮癌,腺癌,扁平上皮癌など)に分けて観察所見を把握することがたいせつであり,特に血尿を伴った異型細胞は悪性細胞である可能性が高いので慎重に観察する必要がある.

検査法の基礎理論

喀痰培養

著者: 朝野和典 ,   山口恵三

ページ範囲:P.123 - P.128

サマリー
 呼吸器における細菌感染症の診断,治療には,喀痰からの菌の分離がもっとも効率的である.しかし,分離された菌の起炎性の判定は容易ではない.したがって,喀痰培養は,起炎病原菌決定のプロセスの中で,もっとも主要な部分を占めてはいるものの,あくまでも一つの所見にすぎない.これを有意ならしめるためには起炎菌決定のための諸々の因子を一つ一つ確実に解析し,それらを総合的に判断することによってより正しい結果が得られる.

生体の物性・1—電気特性

著者: 斎藤正男

ページ範囲:P.129 - P.131

サマリー
 生体の電気物性は,受動的性質と能動的性質に分けられる.受動的性質は,導電率と誘電率によって表される.この二つの定数は,周波数が変化すると,決して一定ではなく,数十Hz,数MHz,約19GHzの付近で大きく変化する.これは,生体組織の構造の不均一性,イオン,水分子の運動などの影響のためである.生体の誘電率は,低周波において非常に大きい.これらの電気的性質を知ることは,多くの診療技術を理解するうえで重要である.

ラボクイズ

〈問題〉細胞診

ページ範囲:P.162 - P.162

1月号の解答と解説

ページ範囲:P.163 - P.163

マスターしよう検査技術

心機図の記録法

著者: 山本誠一

ページ範囲:P.165 - P.169

 心機図法(mechanocardiography;MCG)とは,心臓から発生するすべての機械的振動(周波数で表せば0.1〜1000Hzの振動)を非観血的に記録する方法である.すなわち,本法は聴診で得られる心音,視診・触診によってとらえられる頸静脈拍動,頸動脈拍動および心尖拍動を客観的にグラフ化したものである.心機図の臨床的意義としては,
 1)心音図と種々の脈波を同時記録することにより,心音図の診断的価値を高めることができる
 2)左室収縮時間を測定することにより,左心機能の評価ができる
 などが挙げられる.

検査ファイル 項目

クラミジア抗体

著者: 小野一男

ページ範囲:P.170 - P.171

 近年,クラミジアはオウム病や性行為感染症(STD),呼吸器感染症などの起因菌として注目されており,その迅速,簡便,正確な検査法の普及が待望されている.

パラコート

著者: 小林正子 ,   田中晃 ,   大野陽子

ページ範囲:P.172 - P.173

 パラコート中毒を処置するうえで,来院時および治療中の患者の血中・尿中パラコートの分析は重要な意味を持つ1,2)
 パラコートの分析方法は種々報告されている.表に代表的なパラコート分析法の種類とその概略を示した.なお,パラコート単剤(商品名:グラモキソン,パラゼット)に加え,パラコート・ジクワット混合製剤(商品名:プリグロックスL,マイゼット)が販売されているので,ジクワットの分析法についても紹介する.

機器

免疫学的検査用専用自動分析機

著者: 林秀生

ページ範囲:P.174 - P.175

 現在実用化されているラジオイムノアッセイ(RIA)やエンザイムイムノアッセイ(EIA)は高感度で特異性の高い測定法であり,EIAにおいては,特別な設備がなくとも実施できる汎用性の高い測定法である.しかしながら,これらの測定法は,短時間に多数の検体を処理するには適さない.そこで短時間で多項目,多数検体を処理するために,従来から行われてきたラテックス凝集反応などの免疫反応系を改良した,迅速・高感度免疫定量法が開発され,試薬とともに新しい専用自動分析機が登場するに至った.
 これらの専用自動分析装置は,従来煩雑な用手法によりバッチ処理をしていた血清検査を迅速に多数検体処理することを可能とし,免疫血清学的検査の自動化,省力化に大きく寄与している.

用語

large granular lymphocyte

著者: 押味和夫

ページ範囲:P.176 - P.177

[1]概念
 抗原による感作を必要とせずにある種の標的細胞を障害することのできるリンパ球が末梢血中に存在することが機能的に推定され,natural killer(NK)細胞と呼ばれるようになった.1979年Sakselaらは,NKに感受性を示す標的細胞に付着するのが,胞体にアズール顆粒を有する大型のリンパ球であり,このリンパ球がNK細胞であることを証明した1).彼らはこの大型細胞をlarge granular lymphocyte(LGL)と名づけた(図).ここでlargeはlymphocyteを形容する.つまり顆粒が大きいという意味ではなく,リンパ球が大きいという意味であることに注意してほしい.

検査技師のための新英語講座 English for Medical Technologists・2

英文を書き始める前に

著者: 今井宣子 ,  

ページ範囲:P.178 - P.179

 英文編集者:多くの日本人著者は最初は日本語で公表し,それから英語で公表すると聞いています.国際的規範からすると,この慣例は倫理に反することとされていることを知っていましたか?これを"priorpublication"といいます.都合のいいことに(?),欧米の科学雑誌の編集者のほとんどは日本語を読めません.でなければ,きっともうとっくにみんなこのことを知っていたはずです.最初に日本語で,次に英語で論文を公表することを悪いと考えている編集者ならば,その著者によるすべての論文を将来にわたって拒絶するかもしれません.このことは著者にとっては非常に不都合なことです.もし最初から英語で書けば,こういった問題は避けられます,ただし,初めの論文の言語が広く通じていないものなら,"prior pubiication"は悪くないと考える編集者もいます.そのときは,もちろん何の問題もありません.

トピックス

B細胞活性化とIgE抗体産生

著者: 前田裕弘 ,   堀内篤 ,   淀井淳司

ページ範囲:P.180 - P.180

 最近,われわれの施設ではIgE抗体産生系に関与するFcεレセプター(FcεR)を研究し,新しい知見を得ている.FcεRはIgEに対応するFcレセプター(FcR)であり,BasophilおよびMast cellに発現する高親和性のFcεR1とMacrophage, Eosinophil,およびT/B cellに発現する低親和性のFcεR2が存在する.最近,われわれを含む3研究グループでFcεR2の遺伝子クローニングが行われたが,この分子はEpstein-Barウイルス(EBV)の感染などによりB細胞表面に発現するCD23抗原と同一であるので,リンパ球系の活性化抗原とも考えられる.われわれは,抗ヒトFcεR2抗体(H107)を作製し,細胞集団の解析を行った.正常リンパ球にはFcεR2はほとんど検出されないが,アレルギー性疾患および木村氏病のような血清IgE値が高値を示す患者ではFcεR2陽性リンパ球が増加しており,その値は血清IgE値と相関する結果が得られた.また,FcεR2は細胞表面に存在するものと,細胞外に放出されたものとに分けられ,後者はIgE結合因子(IgE-BF)と呼ばれている.
 EBVの研究者間でもこのような可溶性FcεR2の生物活性が注目されている.RPM 18866細胞の培養上清から得られた25kDのIgE-BFは,末梢血のIgE産生を増強することが認められた.アレルギー患者においてはIgE-BFが増加しており,FcεR2陽性細胞が増加した結果であるか,IgEが高値によるための二次的現象かは不明であるが,アレルギーなどの高IgE血症ではIgE-BFがIgE産生系において悪循環に働いていることは確実と思われる.

多剤耐性遺伝子

著者: 中川和彦 ,   西條長宏

ページ範囲:P.181 - P.181

 近年,分子生物学の長足の進歩による薬剤耐性機構が遺伝子レベルで解明されつつある.activeeffluxに関与する多剤耐性遺伝子(mdr遺伝子)がP-グリコプロテインをコードする遺伝子としてクローニングされたことから,薬剤耐性研究は現在もっともホットな領域として注目されている.

Osteoclast-activating factor

著者: 佐藤幹二 ,   藤井裕子

ページ範囲:P.183 - P.184

 骨はその強度を保つために,絶えず一部を取り壊しては新たに造り直している.骨を造るのは骨芽細胞(osteoblast)によって行われており,骨を壊すのは破骨細胞(osteoclast)によって行われている.破骨細胞の機能は副甲状腺ホルモン(PTH)や活性型ビタミンDによって刺激され,カルシトニンにより抑制されているが,そのほかにもさまざまな液性因子により調節されているらしい.
 ヒトの末梢単核球(これにはlymphocyteとmonocyteが含まれていることに注意)をphytohemagglutininなどのレクチンで刺激してやると,メジウム中に強力な骨吸収促進因子が産生されてくる.これは当初は単一のlymphokineと考えられており,破骨細胞刺激因子(osteoclast-activating factor;OAF)と呼ばれていた.このOAFが臨床的に注目されてきたのは,白血病や悪性リンパ腫や多発性骨髄腫に伴う高カルシウム血症に,これらの腫瘍細胞が産生するOAFが関与していると推測されていたからである.OAFの骨吸収活性は非常に強力であるものの,ごくわずかにしか産生されておらず,また骨吸収活性のバイオアッセイが煩雑なため,その精製は遅々として進まず,OAFの本態に関しては一時期,混乱が見られていた.

ザ・トレーニング

補体価測定と単位の求めかた

著者: 堀井隆

ページ範囲:P.185 - P.188

 問題1 補体の測定法にはどのような方法があるか.
解答と解説
 補体を測定するには大きく分けて,補体の各成分の蛋白量をみる方法と,補体の機能をみる方法があります.

やさしい統計のはなし・2

平均値って何?

著者: 大橋靖雄

ページ範囲:P.189 - P.191

歪んだ分布の平均値
 前回のクイズを再掲しよう.
 「T君は中学3年のときと高校1年のときに次のような成績をとった.もちろん100点満点である.

学園だより

大阪府立公衆衛生専門学校臨床検査科

著者: 川端邦弘

ページ範囲:P.132 - P.132

■沿革
 当科は,1962年4月に,大阪城公園の南側(環状線森ノ宮駅下車)にある大阪府立公衆衛生研究所内に開設された.
 その後,1967年4月には,保健医療の各専門職である保健婦,看護婦,栄養士,歯科衛生士,そして衛生検査技師を総合的に養成するために,大阪府立公衆衛生学院として現在地(大阪市住吉区)に統合された.71年4月には,法改正によって,衛生検査部から臨床検査部に移行され,78年4月からは,専修学校の制度化に伴い校名を大阪府立公衆衛生専門学校と改称し,今日に至っている.

けんさアラカルト

臨床検査技師学校夜間部の一部廃止

著者: 小長谷勝利

ページ範囲:P.164 - P.164

 臨床検査領域において,夜間部が果たしてきた役割が大きいことは,周知のことである.特に昭和30年代から40年代にかけての夜間部の存在意義は大きい.衛生検査・臨床検査の制度的過渡期にあって,検査助手が働きながら資格を得るためのたいせつな途であったし,また,急速に発展する検査の現場に対しては重要な即戦力の供給源でもあった.もちろん,高度成長下の日本社会にあって,価値ある資格を得るための勉学の場を一般勤労者に提供してきたということも無視できない.
 このような存在意義のもとに,わが国には,現在19校の夜間課程教育施設が存在する.いずれも歴史と実績のある学校である.しかるに,昭和62年度学生募集を行った学校は,このうちわずか5校のみであった.総募集定員も,930名から200名に激減した.

けんさ質問箱

体腔液の鑑別診断上の問題点

著者: 瀬田章 ,   金子伸行 ,   松島常

ページ範囲:P.192 - P.193

問 体腔液の細胞診で中皮細胞,マクロファージの鑑別が,簡単につくでしょうか.これらの細胞と腺癌細胞の鑑別に迷うことがありますが,鑑別法をお教えください.(埼玉・W正)
答 腺癌細胞と中皮細胞,組織球との鑑別方法としてはPapanicolau染色(PaP染色),だけではなく,最低でもMay-Giemsa染色(M-G染色),PAS染色を併用しなくてはならない.PaP染色は主に上皮性腫瘍の鑑別に役だつ.M-G染色は,細胞の大きさ,細胞質,核,核小体を観察するのに有用で,血液疾患,悪性リンパ腫,肺の小細胞癌などの鑑別に役だつ.PAS染色はその細胞が,悪性細胞か,良性細胞かを鑑別するのに便利である.

LDHのみの異常低値

著者: 須藤加代子

ページ範囲:P.193 - P.194

問 他のデータが正常で,LDHが異常に低い場合には,何を考えて,どのように検査を進めたらよいのでしょうか.(東京・I子)
答 LDHのみ異常低値の原因としては,①遺伝的なLDHの低活性1),②LDH活性を特異的に失活させる因子2,3)の存在,この二つが考えられる.

AIDSと梅毒とでの抗体陽性の意味の違い

著者: 山崎誠 ,   片庭義雄

ページ範囲:P.195 - P.196

問 AIDSの抗体陽性者をウイルス保有者としてみていますが,抗体が産生される時期は,ウイルスは減少するか,またはなくなっていると考えてよいと思います.ところで,梅毒についてはAIDSのこの考えかたができないのはなぜなのでしょうか.(島根・A子)
答 多くのウイルス感染症では抗体価の上昇期には抗原は血中から消失ないし検出できなくなりますが,すべての疾患においてそういうわけではありません.例えばAIDSの病原体であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染では血中に抗原と抗体が共存することが知られており,また単純疱疹(単純ヘルペス感染症)のように抗体価が上昇していても症状の発現が抑えられない例も多くあります.はじめに抗体による生体の防衛機序について簡単に述べてみます.

ワンポイントアドバイス

交流雑音の混入について

著者: 清水加代子

ページ範囲:P.122 - P.122

 心電図の検査をしているとき,交流雑音が混入して困ったことはありませんか.
 交流雑音の混入原因には,次のようなものがあります.すなわち,誘導コードの断線,アース線の断線または接続不良,右足コードの断線,電極との誘導コードとの接触不良,増幅器の弁別比の低下,静電誘導や電磁誘導などです.

コーヒーブレイク

身辺の整理

著者:

ページ範囲:P.128 - P.128

 お正月になるといつも思い出すのは、何年か前に山で死んだ友のことである。彼女は元旦の朝、前人未踏の冬山コースを仲間と共に頂上目指して登はん中、雪崩に遭い不幸にして亡くなった。山が好きで、ヨーロッパのアルプスにまで行くほどの本格派の山女であった。何度も事故に遭い大けがをしたこともあるが、それでも山をやめず、山で死ねたら本望だと笑っていたが、そのとおりになってしまった。
 彼女は山へ行く前には必ず、身辺を整理した。デスクをかたづけ、ロッカーも掃除した。仕事もやりかけのものやわけのわからないものは残さず、いつもきれいにしてから出かけた。いつ、山で死んでもいいようにという理由からだと言っていたが、冗談だと思っていた。しかし、彼女の遺品を整理している時、本当にいつも彼女は死を覚悟していたのだなと思った。それほど、見事に彼女の身辺はきれいにかたづけられていたのである。

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読者のひろば

著者: 宮地千栄子 ,   三橋百合子

ページ範囲:P.197 - P.197

●大学病院から検査センターに移って
 検査センターで働きだして,はや1年以上が過ぎました.この1年を振り返ってみて感じることは,学会への参加や講演を聞きに行ったりする機会が極端に減ってしまったということです.
 大学病院にいたころは情報量も多く,同僚といっしょに気軽に参加していました.講演されている先生方には失礼なことですが,途中でウツラウツラしてしまうことも時々….でも,そのときの断片的な知識でも非常に有用でした.医師から,メーカーの立場から,技師から,といろいろな分野の方の講演を聞くことができました.病院どうしのつながりもあり,絶えずいろいろな情報が交換されていました.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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