単核食細胞系
著者:
内藤眞
ページ範囲:P.1345 - P.1346
単核食細胞系(MononuclearPhagocyte System;MPS)とは単球・マクロファージ系細胞を体系化した学説であり,1969年に開催された単核食細胞に関する国際学会においてvan Furthらによって提唱され1,2),今日,広く認められている.
MPSの概念を要約すると,全身に存在する遊離性,固定性のマクロファージはすべて骨髄に由来し,骨髄の多能性造血幹細胞から分化した単能性幹細胞から単芽球(monoblast)が発生し,前単球(promonocyte)から単球(monocyte),さらにマクロファージになる.MPSにおけるマクロファージとは,結合織内組織球,脾臓,リンパ節,骨髄,胸腔,腹腔内のマクロファージや炎症巣に出現する滲出マクロファージ,滲出在住マクロファージ,類上皮細胞,多核巨細胞などであり,破骨細胞や小膠細胞も本系統に加えられている.interdigitating cell, Langerhanscell, veiled cell,滑膜A細胞などはMPSの候補細胞として挙げられている3,4)(図).これらのMPSに属する細胞はアメーバ状の特徴的な形態に加えて,豊富なライソゾーム,Fcレセプター,C3レセプター,異物レセプターを有し,異物(免疫)貧食能,化学活性物質の分泌能,異物表面への付着能を発揮し,細胞化学的に非特異的エステラーゼ,リゾチームや種々の抗マクロファージモノクローナル抗体に陽性であることによって同定される細胞群であり,炎症のみならず各種代謝過程,免疫機構に多面的に関与する.