はじめに
中枢神経系に生じた病変をうかがい知ることは,脳や脊髄が頭蓋骨や椎骨の中に納まっているため容易ではない.最近,X線CTやMRIの導入によって,中枢神経系の病変の解剖学的検索は比較的しやすくなった.しかし,それらの病変の性質を知るには髄液検査が重要な役割を担っている.
しかし,髄液検査は常に患者に痛みを与えるし,後で述べるように検査による合併症が現われることも少なくない.そのため,髄液検査の適応や禁忌を十分にわきまえたうえで,慎重に行う必要がある.本稿では,髄液に関する基本的な項目,検査の進めかた,髄液検査の適応と禁忌について述べる.
雑誌目次
検査と技術18巻6号
1990年05月発行
雑誌目次
増刊号 血液・尿以外の体液検査法
カラー図譜
ページ範囲:P.523 - P.532
1 髄液
A.総論
著者: 中村重信
ページ範囲:P.533 - P.536
C.生化学検査
著者: 井宣隆
ページ範囲:P.540 - P.544
はじめに
髄液は脳室と脊髄腔内に存在するので,髄液検査の対象となるのは中枢神経系疾患であり,疾患の性質上,緊急検査として対応しなければならないケースが多い.
D.微生物学的検査
著者: 奥住捷子
ページ範囲:P.544 - P.548
はじめに
髄液が検査材料として採取され,検査指示が出されるときは,髄膜炎(脳と脊髄を覆う髄膜の炎症)の原因を検索することを主な目的とする.感染性髄膜炎の発症頻度は低いが,抗生物質の発達した今日でも予後はあまりよくなく,後遺症を残したり死に至る例も多い.
髄膜炎の起因微生物は多様で,一般細菌,抗酸菌,真菌,ウイルス,原虫,スピロヘータなどによる感染性髄膜炎と非感染性髄膜炎とに区別される.表4にそれらの髄膜炎の分類を記した.
E.細胞診
著者: 佐竹公一
ページ範囲:P.548 - P.552
はじめに
脳脊髄液細胞診は,一般検査とともに日常の脳神経系疾患の診断に欠かすことのできない検査手段である.しかし採取量に制限があり,細胞数も限定される検体であるため適切な処理が必須の条件となる.最近は形態的把握の進歩と免疫組織化学の導入によって,その診断的価値はますます高まってきている.
2 涙液
A.総論
著者: 白井久行 , 北澤克明
ページ範囲:P.553 - P.554
涙液とは
涙液は,結膜嚢に存在する液であり,主に主涙腺および副涙腺の分泌液から成るが,これに,結膜杯細胞,マイボーム腺,ツァイス腺およびモル腺などの分泌液が加わり,さらに結膜・角膜上皮や血液から遊出した細胞成分などが含まれている.主涙腺は眼窩上壁の前外方にある涙腺窩に存在し,上円蓋耳側部にその開口部がある.副涙腺には,クラウゼ腺,ウオルフリング腺があり,それぞれ結膜円蓋部,眼瞼結膜に開口している.
正常時に結膜嚢に存在する涙液は,副涙腺,結膜杯細胞およびマイボーム腺からの分泌液であり,基礎的(生理的)分泌と呼ばれる。三叉神経や視神経への外界刺激や精神的な刺激が加わったときには,主涙腺からの分泌が行われ,反射性分泌と呼ばれる.涙腺分泌は,涙腺神経,交感神経および副交感神経の支配を受けていると考えられているが,その分泌機構については不明な点が多い.過剰の涙液は,瞬目運動により,涙道を介して鼻腔へ排出される.
B.一般検査
著者: 白井久行 , 北澤克明
ページ範囲:P.554 - P.556
はじめに
涙液の物理・化学・生理学的性質を調べるためには,一定量以上の涙液が必要である.しかし,涙腺から分泌されたばかりの涙液を採取することは不可能であり,採取される涙液は結膜?に存在する涙液である.しかも,結膜?に存在する涙液は極めて少量なうえ,採取方法も難しいため,種々の刺激を加えて,その反射で分泌される涙液を混じえて採取し測定が行われている.そのため,測定された涙液の性質が,結膜?に存在する涙液の性質を必ずしも正確に反映しているわけではないことに留意すべきである.
C.生化学検査
著者: 三國郁夫
ページ範囲:P.556 - P.557
はじめに
涙の生化学検査として一般化した検査は,現在のところ日本ではないと考える。将来,これから述べる検査法のいくつかは,一般的な生化学検査として根づいていくものと考える.
涙液は試料が少量で,蒸発しやすいので,安定した試料をとることが難しい.濾紙に吸引した涙を使う方法,涙を直ちに凍結する方法が考えられる.試料の採集方法が確立していないので,ここから始めていく必要がある.
D.微生物学的検査
著者: 大石正夫 , 宮尾益也
ページ範囲:P.557 - P.560
はじめに
涙液は結膜嚢内に生理的に存在する液で,涙腺を主体とする分泌腺からの分泌液である.結膜嚢内を潤して,特に角膜の乾燥を防止し,結膜嚢内から眼外にあふれ出るか,鼻腔内へ流れこむ.
涙液は外界に直接さらされるため,多数の微生物に汚染されている.この微生物はopportunistic pathogen(平素無害菌)のことが多いが,時には眼局所の抵抗性減弱(眼の炎症,外傷,手術などによる)の際,いわゆるcompromised eyeの状態で病原性を発揮して,眼の日和見感染症の原因菌の一つとなりうる.したがって,涙液の正常細菌叢の状態を検討することは,眼感染症の原因菌を推定するうえに重要である.
3 唾液
A.総論
著者: 谷岡博昭 , 長門俊一
ページ範囲:P.561 - P.564
はじめに
口腔粘膜上皮に由来する外分泌腺組織を総称して唾液腺と呼び,この分泌物が唾液である.耳下腺,顎下腺,舌下腺の三者を三大唾液腺と呼び,口唇腺,舌腺,口蓋腺,頬腺などを総称して小唾液腺という.分泌物(唾液)の性状は腺の種類により異なり,それぞれ耳下腺唾液,顎下腺唾液,舌下腺唾液と呼ぶ.一般に唾液とは,これらに小唾液腺唾液の加わったものを指し,混合唾液または全唾液ともいう.
B.一般検査
著者: 谷岡博昭 , 長門俊一
ページ範囲:P.565 - P.566
一般性状
唾液の性状や組成は,唾液腺の種類により,また同一唾液腺からの唾液であっても動物の種類,分泌刺激の条件,唾液分泌速度,さらには血液組成,精神状態などの差異に基づいて大きく変動する.よって,その平均値は単なる目安であることを常に念頭に置いておくことが必要である.また口腔内に貯留した唾液中には食片,脱落細胞成分,微生物などが混在しており,組成は極めて多様である.
唾液分泌量は1日1〜1.5lとされているが,安静時分泌量は個体間で大きく異なり,このため1日分泌量も個体により大きく変動する.色調は無色透明で適度の粘性を有する.粘性はムチンの含有量に左右され,舌下腺唾液が高く,耳下腺唾液は低い.顎下腺唾液は両者の中間値を示す(表3).
C.生化学検査
著者: 芝紀代子 , 芝燁彦
ページ範囲:P.566 - P.568
はじめに
唾液は被検者に負担をかけず随時に採取できる貴重な検査材料の一つである.唾液と同様に無侵襲で採取できる尿が広く検査材料として用いられているのに比べると,利用のされかたが少ない.その原因として考えられるのは,唾液が歯科領域の材料というイメージが強すぎるため医科領域で使われにくかったこと,そして診断の決め手として唾液を材料としなければならない決定的なものがないとの認識が強すぎたことであろう.
しかしながら,無侵襲でしかも十分量が簡便にどこでも採取できる唾液を見逃すことはない.そこで本稿では,唾液が生化学検査の中で診断に役立っている項目について触れてみる.
D.微生物学的検査
著者: 森鼻健史
ページ範囲:P.568 - P.570
唾液の微生物学的検査は,疫学的検索,内因性感染が疑われる場合の病因微生物の検索,compromisedhostの感染予防,および唾液腺炎の起炎菌検索などで行われる.
4 汗
A.総論
著者: 野村洋文
ページ範囲:P.571 - P.572
はじめに
汗は体表全体に分布する汗腺から分泌される.その主なる生理的機能は,①皮脂とともに皮膚の乾燥を防ぎ,皮膚表面を正常に保つ,②気化熱により体温を調節し,高温環境下あるいは激しい運動による体温上昇を抑制する,という二つのことである1).
B.一般検査
著者: 野村洋文
ページ範囲:P.572 - P.574
一般性状
汗を分泌する汗腺にはエックリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類があり,体温調節などの生理作用は主にエックリン汗腺がつかさどる.発汗の種類には不感知性発汗,温熱性発汗,精神性発汗,味覚性発汗がある.
汗腺の分泌部から分泌され,表皮内導管を通り皮表に出てくる最終汗は無色,無臭で,pH 5.7〜6.5であり,水分が99〜99.5%を占め,残り1〜0.5%が固形成分である.後者の中ではNaC1が最も多く,その他尿素,乳酸,アンモニア,尿酸,アミノ酸,硫化物,クレアチニンなどから構成される.しかし,総論で述べた汗の成分異常をきたす疾患では,細菌,血液なども混入する.汗の分泌量は不感知性発汗で1日500〜600mlである.夏期または運動時には4〜101に達することもある.単一の汗腺当たりの発汗量は最高7〜8ml/分に達する.熱放出量は540cal/lである1).
C.生化学検査
著者: 二宮恒夫
ページ範囲:P.574 - P.575
はじめに
汗は99%の水分と,ナトリウム(Na),クロール(Cl)の電解質のほかに,極めてわずかの尿素,乳酸,アンモニア,アミノ酸などを含んでいる.
汗の検査としては,電解質の測定が膵嚢胞性線維症の確定診断のために有用である.膵嚢胞性線維症は全身性外分泌腺異常を示す疾患であり,慢性呼吸器疾患,膵外分泌不全と汗のNa, C1の異常高値を主徴とする常染色体劣性の遺伝性疾患である1).すなわち,慢性および再発性呼吸器感染症,胎便性イレウス,脂肪便,家族歴で膵嚢胞性線維症を認める患者に遭遇したときは,汗のNa, Clの測定は必須検査である.
D.微生物学的検査
著者: 中山一誠 , 山地恵美子
ページ範囲:P.576 - P.578
汗腺と汗
汗腺には分泌様式の異なるエクリン腺(eccrinegland)とアポクリン腺(apocrine gland)の2種類がある.アポクリン腺は腺細胞自体の破壊によって分泌が行われる.ヒトでは大部分が腋窩に,一部は乳頭や外陰部に限局している.したがって,発汗は全身に分布するエクリン腺からの分泌によって行われる.
肝腺の総量は200万〜500万個といわれるが,実動している汗腺は180万〜280万個ぐらいと考えられている.汗線は腋窩,手掌,足蹠,前額などに多く,全身の皮膚に分布している.汗の量は家事で毎時間100ml以上,歩行で400ml,過激な運動では1時間に1,500mlもの汗が出るといわれる.汗の効用は熱放散による体温の調節と,皮脂とともに皮膚の乾燥を防御することにある.
5 乳汁
A.総論
著者: 吉川明男 , 小池通夫
ページ範囲:P.579 - P.580
はじめに
乳汁は《栄養》として児という他者に利用される点で,他の体液とは根本的に異なる.したがって,その分析は診断治療の目的ではなく,栄養成分としての価値の検討を主眼としてきた.最近,ようやく乳汁中薬物分析,乳汁汚染(農薬,重金属)など,乳汁本来の成分以外の物質の分析も行われるようになった.感染防御の観点から,母乳中液性免疫物質や細胞の役割,さらに脳神経系発達との関連も強調されている,精神面からは母児相互作用の研究が進められ,児のパーソナリティー形成や授乳で母に生じる変化などの知識が積み重ねられてきている.
B.一般検査
著者: 吉川明男 , 小池通夫
ページ範囲:P.580 - P.585
外観・成分の概要
乳汁成分の分析,方法,意義に関する報告は多く,すべてを網羅することは不可能であるから,基礎的成分と最近の話題について概説するにとどめる(表1).
母乳は,特に脂肪組成などに対する時代の変化が知られているが,もちろん,それ以上に授乳時期,1回の哺乳中でも組成,性状が大きく変化する.分泌開始初期の変化は急激である.泌乳量,外観,成分などから分娩5日目までを初乳,6〜10日目を移行乳,その後を成熟乳と区別する.
C.生化学検査
著者: 谷中誠
ページ範囲:P.586 - P.590
検体の前処理
乳汁は他の体液成分と比べて脂質成分が多く含まれていること,カゼインを除去したほうがよい測定項目があることから,測定項目によって全乳,脱脂乳,乳清に分けて検査材料とする.
D.微生物学的検査
著者: 辨野義己
ページ範囲:P.591 - P.593
検査の意義
母乳は,新生児にとって栄養学的に最も優れた食物であるとともに,感染症1,2)や壊死性腸炎3)の防止にも有効とされている.一方,母乳にはコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negative staphylococci;CNS),α-溶血性レンサ球菌(α-hemolytic streptococci),コリネフォルム細菌および皮膚常在フローラなどが常に含まれている4〜6).また,女性の5〜15%の母乳中にGram陰性桿菌が存在していることも知られている7).しかしながら,母乳中のこれらの存在とその菌数についての安全領域とはいかなるものなのかはよく知られていない.乳汁の微生物学的検査の意義として,①乳房組織内の術後感染症の診断,および②乳児の口腔および消化管内感染症の診断などの起因菌の検査が挙げられる.
E.細胞診
著者: 石井保𠮷 , 藤井雅彦
ページ範囲:P.593 - P.596
はじめに
昭和62年度から乳癌検診が老人保健法に組み込まれた.老健法の目的は,早期乳癌の発見または完治可能な乳癌の効率的な検出にある.検診の流れには,一次検診として問診,指診,触診があり,二次検診に超音波,軟X線乳房撮影が行われている.また諸検査の後,腫瘤を触知するものには積極的に針吸引細胞診が施行され,80〜90%という高い陽性率が得られている.これは針吸引にて採取された細胞に対する客観的な判定基準が設置されたこと,および細胞判定に必要かつ十分量の細胞成分が得られるようになったことによると思われる.
しかし,針吸引細胞診の高い評価に対し,乳頭分泌物細胞診における検査の位置づけは高いとは言い難い.これは,全乳癌患者中の乳頭分泌を認める頻度が7〜10%と低いことに加えて,陽性率が30〜50%と針吸引細胞診に比較して著しく低いことに起因していると思われる1,2).陽性率が低い原因としては細胞量・細胞の変性および乾燥など種々の因子が考えられ,これらの点を改善していくことが分泌物細胞診の精度向上のために必要であろう.
6 胃液
A.総論
著者: 谷礼夫 , 三輪剛
ページ範囲:P.597 - P.600
検査の意義
A.胃の分泌機能を知ることができる
胃の機能は分泌と運動が主なものである(その他,吸収機能も若干ある).このうち臨床検査で最もよくとらえることのできるのは分泌機能である――分泌物である胃液を調べればよい.すなわち,一定の条件における胃液の量や成分の濃度を調べることによって,胃の分泌機能を知ることができる.
B.一般検査
著者: 黒川正典
ページ範囲:P.601 - P.603
一般性状
1)外観
通常,水様透明であり,粘液成分が多い場合はやや乳白色調となる.胆汁の混入により黄色調,血液の混入により薄茶褐色調となる.
C.生化学検査
著者: 森賀本幸
ページ範囲:P.603 - P.608
はじめに
胃液検査法によって得られた胃液分泌機能は,①胃粘膜組織像と対比する,②消化管ホルモンの血中動態との関連をみる,③胃疾患の臨床経過における変動をみる,また④消化性潰瘍治療剤の有効性の根拠を求める,など詳細な胃の生理や病態の追究の手段となるものとして注目されている1,2).現在,日本消化器病学会胃液測定法検討委員会の討議を経て標準化された胃液検査法が,わが国において確立している.その検査法に従って採取した胃液,すなわち基礎分泌と刺激分泌について検査が行われている1〜3).
D.微生物学的検査法
著者: 大門良男
ページ範囲:P.608 - P.610
はじめに
胃液は健康人では1日に約2〜3l分泌され,性状はpH 1.6〜2.0と強酸性で,粘稠かつ乳白色である1).したがって,抗酸性を示す菌以外は一般に生存できないとされる.本稿では胃液中に存在する微生物と感染症との関係,塗抹培養検査および検査成績の解釈について述べる.
E.細胞診
著者: 川地素崇
ページ範囲:P.610 - P.612
はじめに
胃液の細胞診は今日では以前ほどは行われていない.従来施行されていた生理食塩水や蛋白融解酵素による洗浄などの盲目的洗浄法は,胃ファイバースコープの発達により,胃直視下生検による塗抹法やブラシによる擦過法に替わってしまった.しかし,細胞診の利点の一つに,肉眼的所見では診断しづらい癌の発見,すなわち微小癌の発見がある.胃において,このような微小胃癌の発見,あるいはIIbtypeの早期胃癌の発見にα-キモトリプシンによる選択的胃洗浄細胞診が用いられ,その有効性についての報告例がみられるようになり,胃洗浄細胞診も見直されてきている.
胃癌の検出のための胃液は,通常の胃液検査として提出されるものより細胞診用として提出されるものが望ましく,選択的胃洗浄法は細胞診用の検体である.
7 十二指腸液
A.総論
著者: 神津忠彦
ページ範囲:P.613 - P.615
十二指腸液の検査
十二指腸液はさまざまな情報を提供する.日常臨床の場において,十二指腸液を採取し検査することの目的,あるいは意義を表1に示す.
膵液および胆汁の検査については,それぞれ項目ごとにあらためて詳述されているので参照されたい.
B.一般検査
著者: 奥野優
ページ範囲:P.615 - P.615
はじめに
十二指腸液を十二指腸内腔に存在する液とすると,大部分は膵液,胆汁であるが,そのほかに十二指腸粘膜からの分泌液,幽門輪から流れ込んでくる胃液が混入している.それらを分離することは実際上不可能であり,実地臨床では,十二指腸ゾンデ法により主として胆汁から成る十二指腸液を,セクレチンテストなどにより主として膵液から成る十二指腸液を,それぞれ採取し分析を行っている.胆汁,膵液についてはそれぞれの項で解説があるので,ここでは十二指腸粘膜からの固有分泌液について述べる.
C.生化学検査
著者: 平沢豊 , 渡辺伸一郎
ページ範囲:P.616 - P.617
はじめに
十二指腸液検査の主たる目的は,胆道系疾患の診断にある.しかし,純粋な胆汁を得るには,患者に対する侵襲が大きいため,十二指腸にゾンデを挿入することにより比較的容易に得られる体液を検査するところから名づけられている.したがって,十二指腸液検査は胆汁のほかに膵液,腸液を含んだ体液の検査といえる.
十二指腸液の生化学検査では,胆石の成因を知る目的で胆汁中のコレステロール,リン脂質,胆汁酸などを測定するが,ルーチン検査としては,十二指腸液の色調やpHの測定,顕微鏡検査が主体で,生化学的な検査はあまり行われていない.
D.微生物学的検査
著者: 国広誠子
ページ範囲:P.617 - P.619
常在菌叢
十二指腸液の細菌学的検査は,肝・胆道系感染症の原因微生物の検出を目的としたスクリーニング検査として行われ,後述する胆汁・膵液の検査とその術式に大差はない.しかし,十二指腸液は,その性質上常在菌叢の混入が避けられないために,成績の判定は,常在菌感染症の発症機序を十分理解したうえで行わなければならず,本稿ではその要点について記載する.
十二指腸液は,固有の十二指腸分泌液のほかに胆汁,膵液,胃液が混合したものであり,通常,胃液が正酸であれば胃液と同じようにほとんど無菌状態に等しく,Streptococcus spp.,Lactobacillus Sspp.,Bifidobacterium spp. や酵母様真菌などのGram陽性菌が少数存在するにすぎない.しかし,食物を摂取したり,胃液が低酸あるいは無酸状態になったりすると,十二指腸液の総菌数は増加し,小腸下部や大腸の腸内菌叢を構成している細菌が定着し始める.
E.細胞診
著者: 川地素崇
ページ範囲:P.619 - P.620
はじめに
通常,十二指腸液は十二指腸粘膜から分泌される粘液と胆汁および膵液の総称をさしている(時に胃液の混入もみられる).十二指腸チューブを口から約65cmほど入れたときに採取される,弱アルカリ性,黄金色,透明〜不透明の液である.十二指腸液細胞診において対象となる臓器は膵,胆管,肝,胆嚢および十二指腸における各がんである.
十二指腸液の採取には,十二指腸内腔にチューブを用いて採取する方法と,内視鏡を用いる方法とがある.チューブを用いる方法にはさらに,十二指腸液を単純に吸引する方法と,C-S試験注)の際に得られる十二指腸液がある.
8 胆汁
A.総論
著者: 石原扶美武 , 亀田治男
ページ範囲:P.621 - P.624
検査の意義
胆汁は正常の状態では持続的に肝から分泌されて胆管へ排泄され,主として胆嚢に貯留されて,食餌の十二指腸への到達による刺激によって再び胆管を経て腸管へ放出される.この間,貯留,濃縮,排泄,胆道内圧調節などの多くの機能が営まれているが,これには自律神経,内分泌性反応,食餌,心因性などの多くの因子が関与していると考えられているが,なお不明確な問題も残されている.肝で生成され胆道に排出される胆汁量は1日約500〜1,200ml,平均800mlであるが,その人の状態によって変動するし,1日の間でも一定しているとは限らない.
胆汁採取法としては,かつてはMeltzer-Lyon法と呼ばれる十二指腸ゾンデによる方法および術後に総担管に留置したTチューブから採取する方法が主なものであったが,最近は各種胆道ドレナージ法が発達した結果,ドレナージチューブからの採取法も一般的なものとなってきている.十二指腸ゾンデ法により得られる胆汁は,まず最初に採取される胆管内胆汁(A胆汁),胆嚢内に貯留して濃縮されている胆嚢胆汁(B胆汁),肝臓から流出したままの肝胆汁(C胆汁)と区別して呼ばれている.
B.一般検査
著者: 竹田喜信
ページ範囲:P.624 - P.629
胆汁の採取法と胆汁の性状
胆汁採取法として十二指腸ゾンデを用い,硫酸マグネシウムのゾンデ内注入やセルレインの筋注などによって胆嚢を収縮させた後,十二指腸液として吸引採取する方法が従来から行われてきた.
しかし,この方法は胆嚢の収縮や濃縮などを含めた胆道系の機能面での異常をある程度判定できるものの,採取試料は口腔や咽頭内の常在菌の混入が避けられず,また胆汁のみならず膵液も混入した十二指腸液であり,胆道疾患の急性期での検査適応もないこともあって,現在ではあまり利用されなくなっている.ところが最近,体外衝撃波による胆嚢結石破砕療法(ESWL)が行われるようになり,胆石破砕片の形態や排出状況を知るためや,経口胆石溶解療法の適応症に対する本法の応用など胆道の機能不全の診断のみならず,採取胆汁の内容物の分析手段としても必要な検査方法としての期待が持てる.
C.生化学検査
著者: 田中直見
ページ範囲:P.629 - P.633
はじめに
胆汁の生成は,通常その生成位置に従って毛細胆管胆汁(肝細胞源性胆汁)と遠位(細)胆管胆汁に分けられる.第1の毛細胆管胆汁とは,肝細胞毛細胆管側表面膜を通じて肝細胞から分泌する胆汁と,細胞間隙であるtight junctionを含むjunctional complexを通じた傍細胞経路(paracellular pathway)からの胆汁を含んだ総称である.一方,細胆管胆汁は,胆管上皮で活発に行われている物質や水分の移動によるものである.細胆管源性の水分移動は比較的小分子(無機陰イオンや尿素など)の受動的な移動を伴う.
D.微生物学的検査
著者: 国広誠子
ページ範囲:P.633 - P.636
常在菌
胆汁は肝細胞で産生され,一度胆嚢に貯留されるが,胆嚢に貯留されている間に水分や電解質などが胆嚢壁から再吸収され,5〜10倍に濃縮される.十二指腸を脂肪性に富む食物などが通ると,十二指腸壁の刺激によって胆嚢が収縮し,濃厚な胆嚢胆汁が胆管を経て総胆管から十二指腸内に排泄される.胆汁が胆道を経て十二指腸へ排泄される量は,1日約500〜1,000mlといわれている.
胆汁内には原則として細菌は存在しないとされているが,腸管内の常在菌が十二指腸を介して逆流したり,門脈を経て血行的に胆汁内に侵入したりする機会は多い.しかし,胆道内に多少の細菌が存在しても一定した胆汁の流れ(0.6ml/分)とOdii括約筋により,胆道内に細菌が定着することを防いでいる.
E.細胞診
著者: 川地素崇
ページ範囲:P.636 - P.638
はじめに
胆道,膵,十二指腸の癌は,わが国では1933年に加瀬により十二指腸液により初めて検出され報告された.その後,少数報告も見られたが,検出率は低く普及されず,採取法の改良・開発を待たねばならなかった.今日では表10のように胆汁細胞診の採取法が考えられている.
胆汁において悪性腫瘍の対象となる臓器は肝,胆道,膵,胆嚢および十二指腸の各《がん》であるが,胆汁細胞診を行うには胆汁がどこに存在するかを知らなくてはならない.胆汁は肝内胆管,総肝管,胆嚢管,胆嚢,総胆管およびVater乳頭部周辺にみられる.それゆえ各部位からの胆汁採取法が考えられる.しかし,臨床的には黄疸の有無により各検査法が選択され,胆汁が採取される.胆汁細胞診は病理組織検査の困難な部位における《がん》の診断あるいは組織型の推定という利点を持っている.しかし,①細胞採取が内視鏡のように可視的ではなく,不安定である,②細胞変性が強く判定が困難である,③早期癌の発見のためではない,といった面も持ち併せている.
9 膵液
A.総論
著者: 中澤三郎
ページ範囲:P.639 - P.643
はじめに
膵の外分泌液は経口的に摂取された脂肪,蛋白および炭水化物の消化に必要な消化酵素,リパーゼ,トリプシンおよびアミラーゼなどを多量に含む.
脂肪はモノグリセリドと脂肪酸に,蛋白質はペプチドおよびアミノ酸に,炭水化物は単糖および2糖類に分解される.そして,腸管吸収上皮の刷子縁で加水分解酵素によりさらに分解され,吸収される.膵外分泌には少なくとも19の蛋白質があるが,大部分は消化酵素である.これらはすべて膵の腺細胞の小胞体で合成される.
B.一般検査
著者: 竹田喜信
ページ範囲:P.643 - P.649
一般的性状
膵液は水および高濃度のHCO3-濃度を含むアルカリ性の電解質成分と大部分が酵素蛋白(約90%)で占める蛋白成分とから成っている.HCO3-濃度の分泌は胃からの酸性内容物のpHを調節して十二指腸内でアルカリ性に保ち,各種の膵消化酵素の至適pHに導く.外見上,水様で無色透明の液であるが,粘液を少量含むため,わずかに粘稠性をもち,比重は1.007〜1.042の範囲にある.pHはHCO3-濃度が最大濃度の150mEq/lまで達すると約8.6になるが,膵液の分泌量によってpH8.0〜8.6の範囲内で変動する.
膵液中の電解質は陰イオンと陽イオンによって構成され,陰イオンの主なものはHCO3-とCl-であり,分泌膵液中のHCO3-濃度は血漿中の濃度よりも明らかに高い.そのほか,ごく少量のHPO42-,SO42-も含まれている.陽イオンの大部分を占めるのがNa+とK+であり,両者の濃度は血漿中の濃度にほぼ近い.
C.生化学検査
著者: 新谷寛 , 中條忍
ページ範囲:P.649 - P.655
性状および組成
正常者の膵液は,無色の清澄な液で,アルカリ性を呈する.その主成分は,NaHCO3,NaClなどの塩類およびアミラーゼ,リパーゼ,トリプシンなどの消化酵素であり,その分泌量は1日1,000〜3,000 mlにも及ぶ1)(表5).膵臓は肝臓と並ぶ蛋白代謝の盛んな臓器であり,組織1g当たりにすると全臓器中第1位である.このため,膵液の電解質や酵素,他の組成を検査することは膵機能,ひいては全身状態を把握するうえで重要なものと考えられる1,2).
D.微生物学的検査
著者: 国広誠子
ページ範囲:P.655 - P.656
常在菌
膵液は無色透明,無臭で,やや粘稠性のアルカリ性(pH7.6〜8.7)の液である.その主成分はNaHCO3,NaClなどの塩類と膵消化酵素であり,1日の分泌量は1,000〜3,000 mlに及んでいる.膵消化酵素にはトリプシン,キモトリプシン,エラスターゼなどの蛋白分解酵素(膵酵素の70%)とアミラーゼなどの殿粉分解酵素やリパーゼ,ホスホリパーゼAなどの脂肪分解酵素が存在する.
膵は正常状態では前述の膵消化酵素を非活性型で分泌し,十二指腸内で活性化され,また膵消化酵素の阻害物質の作用などにより自己消化より保護されている。したがって,膵液中にはこれらの消化作用などの影響により細菌は存在しないとされている.
E.細胞診
著者: 川地素崇
ページ範囲:P.656 - P.658
はじめに
膵液は外分泌腺としての膵管上皮が分泌する,無色,透明でやや粘稠性の少量の液体である.正常量は少ないが膵炎,悪性腫瘍などのときは分泌量が増加する.また,細胞診などの検査のときはセクレチンを静注し,分泌機能を促進させて採取される.
10 前立腺液
A.総論
著者: 町田豊平 , 池本庸
ページ範囲:P.659 - P.661
はじめに
前立腺は,男子の膀胱頸部から尿道膜様部にかけて尿道を輪状に取り巻いている,栗実状をなした分泌臓器である.組織学的にはおよそ30〜50個の管胞状腺と,これを包む結合織および筋組織からできている.腺の排泄管は後部尿道の精阜付近に求心性に集まり,ここから前立腺部尿道精阜に開口する1).これらの分泌液が前立腺液である.
前立腺液の分泌はほとんど射精に伴って起こり,射精の前半部分,すなわち分画射精の第1分画に前立腺液が含まれている.射精液の約3割は前立腺液であるが,残り7割のほとんどは精嚢腺由来である.また前立腺液は前立腺マッサージででも直接得られる.したがって,前立腺液は精液でも分析可能であるが,マッサージによって前立腺液のみが採取できれば,前立腺固有の疾患を診断するのに役立つ.
B.一般検査
著者: 町田豊平 , 池本庸
ページ範囲:P.661 - P.662
前立腺液の一般性状
正常の前立腺液は白濁した粘稠な水様液で,中性またはアルカリ性である.鏡検により多数の上皮細胞,少量のレシチン顆粒(レシチン小体,リポイド小体とも呼ばれる)殿粉様小体(層状をなす上皮細胞由来の物質)などがみられる.生化学的検討では,前立腺液にはクエン酸,亜鉛,リン化合物,アミノ酸,プロスタグランディンなどが含まれる.精嚢腺液中には多い果糖はまったく含まれない.またヒト精液の特有の臭気は,前立腺液中のスペルミンという物質によるといわれる1).
C.生化学検査
著者: 守殿貞夫 , 荒川創一
ページ範囲:P.662 - P.664
はじめに
前立腺液(prostatic fluid)は,前立腺実質から腺腔内へ分泌される漿液で,その性状を解析することは,前立腺疾患の病態を知り,かつ各種下部尿路や性器疾患の鑑別診断上の手がかりを得るうえで有用である.
本稿では,正常の前立腺液および各種前立線疾患における前立腺液の生化学検査について概括的に述べる.なお,ここでいう前立腺液とは前立腺圧出液(肛門から直腸内に挿入した手指による前立腺マッサージにて採取された前立腺分泌液)である.以下に述べる検査項目の測定法,手技などは,一般的な方法で可能であり,特別なものはなく,多くの場合,上述の前立腺圧出液を血液などの検体と同様に処理し検査する.
D.微生物学的検査
著者: 河村信夫
ページ範囲:P.664 - P.666
採取法
前立腺液の検体の採りかたは大きく分ければ,①分泌液そのもの(前立腺マッサージ液),②分泌液を含んだ尿(前立腺マッサージ後尿),③精液,④前立腺からの液体の直接吸引,である.通常行われるのは①,②である.
前立腺液を直接採取する場合,なるべく前立腺のみをマッサージし,精嚢はマッサージしないようにしても,精嚢液の混入は避けられないであろう.また尿道の菌の混入,採りかたによっては,尿道口周辺の菌の混入も十分ありうるものである.
11 精液
A.総論
著者: 岩動孝一郎
ページ範囲:P.667 - P.668
はじめに
精液(semen)は,射精によって排出される男性の精巣およびその他副性器由来の分泌液である.その成分としては精子(spermatozoa)と,それらが浮遊する液体成分である精漿(seminal plasma)とから成っている.
精子はいうまでもなく精巣で形成され,精巣上体,さらに精管を通して輸送される過程で成熟を遂げ,精管膨大部に貯蔵される.そして,精嚢,前立腺あるいは尿道からの分泌液が加わって精液が完成されることになる.したがって,精液は種々の臓器由来の成分から成り,そのおよそ5%が精子を含んだ精巣由来のものであり,約60〜70%は精嚢分泌液で占められる.精嚢分泌液には精子の運動エネルギーを供給する果糖が多量に含まれている.そのほか精巣上体液,前立腺分泌液,さらには尿道分泌液などで残りの精液成分を作っている.
C.生化学検査
著者: 押尾茂 , 石川博通
ページ範囲:P.674 - P.676
はじめに
精漿は精巣,精巣上体,精嚢,前立腺などからの分泌液の集合体であり,その生化学的組成を検索することによりそれぞれの機能を推定することが可能となると考えられている.表2に,今までに明らかにされている精漿成分の生化学的分析値を示した.しかしながら,このように多くの項目について測定値が知られているものの,実際に機能が明らかなものは少ないのが現状である.現在,機能が推定されている項目を表3にまとめたが,これらについては,現在多くの研究者によって簡便な測定法の開発やその生理的意義の確定をめぐって議論がなされているところである.
D.微生物学的検査
著者: 河村信夫
ページ範囲:P.676 - P.677
採取・取り扱い上の注意点
精液の培養はそのpHが弱アルカリ性であることと,ヒアルロニダーゼを含み,酸性ホスファターゼも多いなどの生化学的特殊性から,いくつか注意しなければならない点がある.
検体の採りかたは別としても,検体を採取する容器は必ず滅菌しておかなければならない.尿道炎を通って出てくる検体であるから,必ず尿道常在菌を含んでくる.また前章にあるように精液の培養を行いたい場合は必ず炎症性疾患の疑われる場合であるから,起炎菌をとにかく探し出さねばならないという使命がある.したがって,さらにその他のコンタミネーションが検体の中に入ってほしくない.
12 羊水
A.総論
著者: 桑原慶紀 , 海野信也
ページ範囲:P.679 - P.683
はじめに
羊水は妊娠中に比較的容易に得られる唯一の胎児成分であり,羊水腔の直接穿刺によって採取することができる.羊水は,胎児が生存し発育するための,胎児にとっての外部環境を構成する重要な要素となっており,羊水の産生や羊水中諸物質の組成には胎児が深くかかわっている.それらを分析・検討することによって,胎児の発達・成熟状態,胎内環境の変化などに関する情報を得ることができる.また,羊水中に浮遊する細胞は,胎児皮膚,口腔気道粘膜,羊膜などに由来しており,胎児と同一の染色体構成をもっているので,これを培養し,その染色体分析を行うことによって,出生前に染色体異常の有無について知ることが可能である.
羊水穿刺検査法は,その検査目的によって大きく二つに分けられる.遺伝相談の一環として行われる先天異常の出生前診断のための羊水穿刺はgenetic amniocentesis,その他は診断的羊水穿刺(diagnostic amniocentesis)と呼ばれている.
B.一般検査
著者: 桑原慶紀 , 海野信也
ページ範囲:P.683 - P.688
性状
1)色調
羊水は胎便の混入や感染のない限り淡黄色〜無色であり,妊娠6か月頃ビリルビン濃度の高さを反映して最も黄色を帯びている.
C.生化学検査
著者: 工藤尚文 , 岸本廉夫
ページ範囲:P.688 - P.695
はじめに
胎児環境を直接形成し,胎児細胞外液とも考えることができる羊水には,成人の尿,血液にも匹敵する胎児由来の各種物質が存在している.そのため羊水は胎児発育・成熟あるいは胎児の病態把握の情報源として注目されており,特に生化学的分析情報は胎児管理を行ううえで必要不可欠で,その臨床的意義は極めて大きい.
現在まで数多くの羊水中物質の生化学的分析が報告されているが,本稿では主に,胎児診断として実地臨床に導入されている羊水生化学分析について解説する.
D.微生物学的検査
著者: 松田静治
ページ範囲:P.695 - P.697
羊水検査の意義
胎児の情報源である羊水が妊娠,分娩時に果たす役割は極めて大きく,非適時破水をきたすと微弱陣痛,遷延分娩,fetal distressなどを招来したり,上行性羊水感染(胎児,新生児感染),母体の子宮内感染を起こしたりする危険が予測されるため,これに対する対策は重要である.羊水感染は主として腟内細菌が上行性に羊膜腔に達し,児の肺炎,髄膜炎,中耳炎,副鼻腔炎,胃腸炎,皮膚炎などを起こす場合と,これに合併して胎盤炎から胎児に及ぶ血行播種型(敗血症)の形をとるものとがある.
羊水感染の検出菌は表10のとおりで,このうちEscherichia coli(大腸菌)が最も多く,そのほかStaphylococcus(ブドウ球菌),Streptococcus(レンサ球菌;最近はB群レンサ球菌感染など)などもみられる.ここで話題として取り上げるものは,B群レンサ球菌(group-B streptococci)による新生児感染症である.
E.細胞診
著者: 是松元子
ページ範囲:P.698 - P.699
検査の意義
羊水における細胞診検査の第一の目的は,胎児の成熟度の判定である.これには,月経歴不確実な妊婦のための未熟児出産防止を目的としておおよその妊娠末期週数の推定に使用する場合と,合併症妊娠(Rh不適合妊娠,糖尿病妊娠,重症妊娠中毒症など)における胎児の成熟度に合わせた人工早産時期を決定するのに使用する場合とがある.
羊水中に含まれる上皮細胞は,羊膜由来の細胞と胎児に由来する細胞の2種類に大別できる.羊膜に由来する細胞は妊娠後期に急速に減少するといわれている.一方,胎児に由来する細胞では,皮膚,毳毛,口腔,気管,泌尿生殖器から剥離する細胞が出現する.しかし,胎児に由来する細胞のほとんどは皮膚の扁平上皮細胞であり,これは妊娠末期に増加の傾向を示し,特に36週以降は無核の扁平上皮細胞が急速に増加する.
13 関節液
A.総論
著者: 三橋尚志 , 榊田喜三郎 , 万波健二
ページ範囲:P.701 - P.705
はじめに
関節液は発生学的に結合組織の細胞外間隙である関節腔を満たす液状の基質であり,血漿の漏出液に滑膜細胞の特異産生物質が加わったものである.関節液の重要な役割は関節の衝撃緩和,潤滑や関節軟骨の栄養であるが,その性状,組成は局所関節の病態によって大きく変化する.関節液検査は一般性状の検査のほかに生化学的検査法,微生物学的検査法,免疫学的検査法などを用いて関節疾患の診断に用いられている.
B.一般検査
著者: 三橋尚志 , 榊田喜三郎 , 万波健二
ページ範囲:P.705 - P.708
はじめに
関節液検査は関節疾患の際,局所の病態に関して多くの情報をもたらしてくれると期待されるが,実際には結晶の検出や細菌培養などを除けば直接診断に役立つものは少ない.しかしながら,慢性関節リウマチ(RA)をはじめとする炎症性疾患などでは病態の把握や,治療変更の補助としての関節液検査の役割は重要である.本稿では,関節液の一般性状ならびに通常検査室で行える検査について述べる.
C.生化学検査
著者: 阿部重人
ページ範囲:P.709 - P.711
はじめに
関節穿刺を行ったり,関節液の検査結果を解釈したりする能力は,リウマチ学のトレーニングプログラムに不可欠なものと考えられている.しかし実際には検査件数はそれほど多くなく,病院の検査室当たり1か月に3.9件というものが最も多い頻度で,平均すると1か月に1.5件であった(医学部附属病院では1か月当たり10〜30件の検査がある).
検査項目の中で日常的に行われているものは,頻度の高いものから白血球数,赤血球数,白血球分画,Gram染色,ムチン塊(mucin clot),偏光顕微鏡による結晶の同定,細菌培養,蛋白・ブドウ糖・粘度の測定などである.LDHやその他の酵素活性が測定されることは非常にまれであり,約20%の病院検査室はまったく行っていない1).実際,関節液の検査の中で診断的価値の高いものは,細菌検査と結晶の同定であり,そのほかの検査はまったく補助診断的な検査である.
D.微生物学的検査
著者: 酒井美智子 , 相原雅典
ページ範囲:P.712 - P.714
はじめに
感染性関節炎は共存する他の感染病巣から血行性に病原菌が伝播されて起きるいわゆるseptic arthritisが最も重要な成因であるが,汚染粘膜での侵襲性の高い医療処置,あるいは関節腔内への薬物の注入および人工関節置換術により感染が成立することも少なくはない.本症は単独で患者の生命に影響を及ぼすほどの疾患ではないが,診断・治療の遅れは病巣となった関節軟骨の速やかな破壊と骨変性を招き,難治化や治癒後の関節機能の損失の原因となる.感染性関節炎の診断は,関節液からの病原菌検出が決め手となる.しかし,関節液の細菌学的検査だけでは本症の原因となる多様な病原菌を検出することは困難であり,血液培養の併用や免疫学的診断法を駆使した検査体系の確立が必要である.
E.細胞診
著者: 古田則行
ページ範囲:P.714 - P.717
はじめに
関節には平面関節,半関節,可動関節などの種類があるが(表9),通常,関節液が貯留し細胞診の対象となるのは可動関節である.その中でも膝関節が最も多く,手関節,足関節,指関節がこれに次ぐ.
可動関節は関節嚢によって閉ざされる(図6).この腔を関節腔という.関節腔内は0.1〜0.5mlの滑液によって満たされている.滑液は,コンドロイチン硫酸,ヒアルロン酸を含む粘稠な液体で,関節の潤滑性を保つほかに,関節軟骨に栄養を与える働きをする.
14 胸水
A.総論
著者: 北村諭 , 石井芳樹
ページ範囲:P.719 - P.722
検査の意義
健常者においても胸膜腔内に10〜15ml以下の少量の胸水が存在しており,極めて薄い層をなして臓側胸膜と壁側胸膜の間の潤滑液の役目をしている.この正常量の胸水はX線写真にてとらえることはできない.臨床的にX線写真で検知できる量の胸水貯留は明らかに病的であり,なんらかの原因疾患が存在する.
胸水検査によって多くの情報を得ることが可能であり,心不全などで原因が明らかな場合を除いて,原則的に胸水穿刺による胸水検査が診断上必要不可欠である.胸水が急速に器質化したり,消失する場合もあるので,時機を逸せずに検査を行うことが重要である.
B.一般検査
著者: 島袋宏明
ページ範囲:P.722 - P.725
はじめに
胸水が貯留した場合,その原因検索,病態把握,治療のために穿刺液が採液され,諸種の検査が実施される.一般(性状)検査の主な内容には,最も基本的な外観の観察に始まり,物理化学的特性・反応の定性的判定および定量的測定,形態的検査(細胞数算定,脂肪染色,結晶鑑別)などがある.検査項目の中にはメカニズムが十分に解明されていないものや,開発当時の検査技術水準のまま現在も慣習的に実施されている古典的方法もある.
C.生化学検査
著者: 田内一民
ページ範囲:P.726 - P.729
はじめに
胸水の生化学検査は,原因疾患鑑別のための補助診断として行われる.穿刺液中には細胞成分,フィブリノーゲンが含まれている可能性があり,採取後変性をきたしやすいので検査は検体採取直後に行うことが望ましい.やむをえず保存する場合には,抗凝固剤を加えるなどの処置が必要である.
D.微生物学的検査
著者: 林智恵子 , 菅原和行 , 山口恵三
ページ範囲:P.730 - P.734
はじめに
胸水貯留の生じる微生物感染症の代表的なものとしては,胸膜炎,膿胸,血胸などが挙げられる.胸膜炎は,一般には細菌性,結核性,ウイルス性,マイコプラズマ性,真菌性肺感染症に引き続いてみられ,胸水を伴う湿性胸膜炎と胸水を伴わない乾性胸膜炎とに分けられる.膿胸は肺実質の感染に続発するものや,食道疾患,横隔膜下膿瘍から胸腔へ炎症の波及したもの,および外傷,手術後に続発するものなどがある.血胸は外傷性,続発性血胸,開胸術または肺針生検などに続発するものが主であるが,感染性疾患としては肺結核などにみられる.
胸水貯留性疾患の中で悪性腫瘍と炎症性疾患とは,胸部X線像などの所見のみでは鑑別が困難なことが多い.そのため明確な病原因子または特徴的臨床症状を呈するもの以外については,胸水検査や胸膜生検が必要となる.また胸水はその性状により滲出液,濾出液とに分けられ,両者の細胞性・液性構成成分は大きく異なる.
E.細胞診
著者: 國實久秋
ページ範囲:P.734 - P.737
はじめに
胸水は正常では極めてわずかにしか認められず,潤滑液的役割を果たす.したがって,胸水として認めた場合はすでに異常貯留液であり,正常状態の細胞診ではなく,他の検査材料とはやや違っている.胸水のたまる疾患には,癌性胸膜炎,結核性胸膜炎,化膿性胸膜炎,心疾患,腎疾患,低蛋白血症などが挙げられる.
15 腹水
A.総論
著者: 与芝真
ページ範囲:P.739 - P.742
はじめに
腹水は,肝,胆,膵をはじめとする多くの腹部臓器の疾患の際にしばしばみられる重要な症候の一つである.それのみならず,ネフローゼ,うっ血性心不全,上大静脈塞栓など,必ずしも腹部臓器でない他臓器疾患の際にも腹水貯留はみられるので,腹水患者を診る場合には,常にそのような総合的な視点を持つことが要求される.また,腹水をきたした原疾患の診断に腹水の性状の分析が有用だが,この際も必ずしもそれだけで明確に鑑別することは不可能であり,やはり,腹水を起こす疾患についての十分な知識を持つことと,総合的に考えて鑑別する能力が必要である.
B.一般検査
著者: 伊瀬恵子
ページ範囲:P.743 - P.746
はじめに
腹水は,腹腔内に貯留した体液であり,腹腔を穿刺して採取することができる.正常人でも腹腔内には20〜50mlの液体があり,臓器の可動性を高めている.疾患によっては,1l以上もの腹水が貯留し,腹部膨隆を呈することがある.
C.生化学検査
著者: 田内一民
ページ範囲:P.746 - P.748
腹水の生化学検査は,原因疾患鑑別のための補助診断として行われる.腹水の場合には,大量かつ長期間貯留すること,局所性因子と全身性因子が複雑に関与するため,典型的な漏出液,滲出液は少なく,両者の鑑別は困難なことが多い.このため両者の区別にこだわることなく,生化学検査などから原因疾患を総合的に診断することになる.
腹水はフィブリンの析出により凝固することがあるので,穿刺後速やかに検査を行うことが望ましい.やむをえず保存する場合には,抗凝固剤を加えるなどの処置が必要である.
D.微生物学的検査
著者: 森伴雄
ページ範囲:P.749 - P.752
はじめに
健常人でも腹腔に通常20〜50mlの漿液が存在し,腹腔内臓器の運動の潤滑油的な機能を果たしている.腹水は各種の病的状態で多量の貯留をきたし,その出現機序により一般に漏出液と滲出液とに大別され,さらに外観から膿性,血性,乳び性,脂肪性,胆汁性,粘液性に分類される.感染性の腹水は急性化膿性腹膜炎,結核性腹膜炎などのときに出現する.ここでは,腹水の微生物学検査について述べる.
E.細胞診
著者: 國實久秋
ページ範囲:P.753 - P.756
はじめに
腹水とは腹腔内に貯留した可動性液体をいい,生理的にも約20〜50ml貯留している.異常貯留をきたす因子としては,内因性因子(毛細血管,リンパ系の通過障害など),全身性因子(血漿膠質浸透圧の低下,神経性因子など)が関係するとされている.腹水の貯留する疾患には,癌性腹膜炎,結核性腹膜炎,化膿性腹膜炎,腎疾患,心疾患,肝硬変,低蛋白血症,Banti症候群などがある.
16 心嚢液
A.総論
著者: 谷川直
ページ範囲:P.757 - P.759
はじめに
心嚢液貯留の診断は過去には胸部X線写真などにより推測されていたが,近年は心エコー図が最も重要な方法となっている.心嚢液貯留の適切な診断は心臓の血行動態の把握に極めて重要であり,また,その液性状の評価は心嚢液貯留の原因を知るために欠かせないものである.
B.一般検査
著者: 木庭敏和
ページ範囲:P.760 - P.762
はじめに
心臓は心外膜で包まれ,さらにそれの反転した心膜から成る心包内に存在する.心外膜と心膜との間は心膜腔でその中に心嚢液(心膜液)が存在し,心臓本体を浮遊させている.健常人の心嚢液1)は,麦藁色透明で,約20ml存在し,心臓運動による摩擦を少なくしている.外傷や種々の原因による心膜炎,粘液水腫などでは,しばしば大量の心嚢液が貯留し,心臓を外側から圧迫して死に至らしめる心タンポナーデを呈することがある.
心嚢液貯留の有無およびその原因を知る検査は古くはもっぱら心膜穿刺に頼っていたが,近年の心エコー技術の発達はその診断を極めて容易にした.ここでは心嚢穿刺液の一般検査について記載する.
C.生化学検査
著者: 外間政哲
ページ範囲:P.762 - P.764
試料(検体)の取り扱いかた
穿刺して採取された心嚢液は,できるだけ早めに検査を行う.フイブリン析出が生じている場合も多いので,その際は血液同様に遠心沈殿を行い,上清を用いて生化学検査を行う.
D.微生物学的検査
著者: 松田淳一 , 菅原和行
ページ範囲:P.764 - P.767
はじめに
心臓は,心外膜と心嚢とに包まれ,その心膜腔には,通常15〜20mlの心嚢液と呼ばれる漿液性の液体が存在しており,心膜の摩擦緩和や,炎症に対する防御機能を営んでいる.心膜や心筋に病原微生物が感染した場合,心嚢液の貯留や心膜の繊維化などの病変をきたすとともに,うっ血性心不全や冠状動脈の血流障害による心筋梗塞などを合併することもある.
心嚢液の貯留異常をきたす主な疾患としては,急性心膜炎などがあるが,その病因は表4に示すように,種々存在する.今回,これらの疾患の中で病因が感染に起因するものを中心に,その検査法について述べる.
E.細胞診
著者: 國實久秋
ページ範囲:P.767 - P.770
はじめに
心嚢水(液)は正常でも5〜20mlが貯留しているが,異常貯留すると1,000ml以上にまで達する.異常貯留をきたす病因としては,リウマチ性心外膜炎,結核性心外膜炎,特発性心外膜炎,癌性心外膜炎などがある.癌性心外膜炎を起こすものには男性では肺癌,女性では乳癌が多く,悪性リンパ腫もかなり多く出現する.また肺癌のうち腺癌,扁平上皮癌,小細胞癌の出現率は三者ほぼ同率である.
17 血腫内容液
A.総論
著者: 益子邦洋 , 大塚敏文
ページ範囲:P.771 - P.773
はじめに
血腫とは,Dorlandの“Medical Dictionary”によれば,‘a localized collection of blood, usually clotted, in an organ, space, or tissue, due to a breakin the wall of a blood vessel’,すなわち,なんらかの原因により血管壁が破綻し,そこから出た血液が臓器や体腔内あるいは組織内に貯留したものであり,通常は凝血塊を形成しているのである.さまざまな原因によりいろいろな場所に形成されるが,打撲などの鈍性外力により皮下組織にみられるものを皮下血腫と呼び,感染さえ合併しなければ自然に吸収して予後良好である.これに対して頭蓋内に形成される硬膜外血腫や硬膜下血腫,縦隔内に形成される縦隔血腫,胸腔内に形成される血胸,後腹膜に形成される後腹膜血腫などでは,血腫の排除や出血源に対する処置を行わなければ時に生命の危険を伴うこともある.また,四肢の関節腔内に形成される関節血腫では,可動域の減少など将来にわたる機能的予後が問題となる.
以下,代表的な血腫内容液について具体的に述べる.
B.一般検査
著者: 益子邦洋 , 大塚敏文
ページ範囲:P.773 - P.773
前項で述べたとおり,血腫内容液を検査することの意義は,血腫が体のどの部分に形成されたものであるかによって大きく異なっており,血腫の種類によっては内容液の検索がほとんど無意味であるものすらある.それゆえ,これらを一概に論ずることは困難であるが,あえていうならば,血液以外の物の混入の有無と感染の有無の2点の検索に集約されよう.
血液以外の混入物としては,頭蓋内では脳実質や脳脊髄液など,縦隔および胸腔内では食物,リンパ液,胆汁など,また腹腔内や後腹膜腔内では胆汁,膵液,食物,尿など,関節内では軟骨,脂肪滴,関節液などが挙げられこれらを念頭に置いたうえで血腫内容液の評価を行うことが肝要である.すなわち,外観からは純粋な血液であるか,凝血塊を混じているか,漿液性であるか,あるいは食物の一部や脂肪成分が混入しているか否か,などを判断し,色調からは動脈血主体か静脈血主体か,また胆汁の混入はないか,などを評価する.
C.生化学検査
著者: 森三樹雄
ページ範囲:P.774 - P.775
はじめに
血腫とは,血管が破裂することによって出血して局所的に血液が貯留したものをいう.血腫と呼ばれるものは表1に示すように頭皮下血腫,頭蓋内血腫,肺血腫,腎血腫,大動脈瘤血腫などがあり,病因としては外傷によるものが多い.これらのうちで日常比較的多く遭遇するのは頭蓋内血腫で,その中でも慢性硬膜化血腫や脳実質内血腫の頻度が高い.
慢性硬膜下血腫では穿頭法,脳実質内血腫では定位的血腫吸引法が行われ,血腫内容物が除去される.血腫内容物は発生した場所,溶血の度合い,血腫の古さ,髄液などの体腔液の混じり具合などによりその化学成分は異なる.このような理由で一般的には生化学検査を行ってもその値はまちまちとなるために,血腫内容物の生化学検査を実施することはほとんどない.
D.微生物学的検査
著者: 長沢光章
ページ範囲:P.775 - P.777
血腫は,血管の破綻,外部衝撃,外傷などの出血により局所的に血液が貯留したもので,臓器,組織,空隙などに起こり,通常,微生物は存在しないが,まれに微生物の感染を起こす.特に,外傷がある場合は感染率が高くなる.
E.細胞診
著者: 平田哲士
ページ範囲:P.778 - P.779
はじめに
血液中の全成分が,心臓または血管腔から器官の管腔,体腔,組織,体外などへ出ることを出血(bleedinghemorrhage)という.出血はさまざまな観点から,つまり出血した原因,血管,部位,量などによって特別な名称で呼ばれている.
出血と血腫は同じ意味で使われたり,貯留した血液をすべて血腫と呼んだり,凝固した血液だけを血腫と呼び出血と区別することもある.また腔や嚢状の部位に血液が貯留した場合は血瘤(hematocele),留血腫,血洞,血嚢腫と呼んで,血腫と区別したり,血腫や出血と同じ意味で使われたりすることもある.例えば真皮なしい皮下組織内の出血によって生じる皮疹を紫斑(1〜5mm程度のものを点状出血,より大きいものを斑状出血)といい,血液が貯留するものを皮下血腫(ecchymoma)という.陰嚢鞘膜腔内の血液貯留を陰嚢血瘤,鞘膜腔外のものを陰嚢血腫といったり,両者とも血腫ということもある.頭蓋内では硬膜下腔でも脳実質内でも,貯留した血液が凝固すれば血腫といい,体腔内でも凝固したものを血腫,血瘤などといい,いずれも出血と同じ意味に使われることもある(表4).
18 嚢胞
A.総論
著者: 曽和融生 , 加藤保之
ページ範囲:P.781 - P.784
定義と分類
一般に嚢胞あるいは嚢腫とは,液体または半流動体を内容とする完全に閉鎖された嚢状物とされているが,その成因から次の四つに大別される.
(1)貯留液嚢胞:ある種の分泌腺の排泄口または排泄管が先天的または後天的に閉塞されることによって発生するもの
B.一般検査
著者: 曽和融生 , 加藤保之
ページ範囲:P.784 - P.785
嚢胞が体表近くに存在する場合,コンタミネーションを避けるために,皮膚を消毒した後,滅菌注射器で穿刺し,嚢胞内容を採取する.材料はできるだけ多量に採ることが望ましく,乾燥を避け,採取後なるべく早く検査を行う.嚢胞からの検体は下記の事項につき検査を行う.
C.生化学検査
著者: 久保信彦 , 熊坂一成
ページ範囲:P.785 - P.786
はじめに
近年,超音波診断やCTなどの画像診断の発達に伴い,嚢胞は全身の各臓器において比較的容易に発見され,診断されるようになった.発見頻度の増加ほど生化学的検索の依頼件数の増加をみない理由には,多くの場合,小さな嚢胞は放置しても生命予後に大きな影響を及ぼさないこと,画像診断的に良性,悪性の鑑別がかなりのところまで可能になったことに伴って,穿刺検査自体の意義に変遷のあること,などが挙げられる.しかし,由来不明の嚢胞の内容物の生化学的性状が,その由来臓器の判定に補助的な意味をもっ場合もあり,どのような検索が行われるかなどの一般的知識は必要である.
D.微生物学的検査
著者: 長沢光章
ページ範囲:P.787 - P.790
嚢胞は,液体または半流動体を内容とする完全に閉鎖された嚢状物で,通常,微生物は存在しない.まれに細菌などの感染を起こして化膿性炎症を呈し膿嚢腫となり,さらに炎症が進行すると膿瘍となり,鑑別が困難になることもある.また,寄生虫〔Echinococcusgranulosus(単包条虫),Echinococcus multilocularis(多包条虫)の幼虫期である包虫(hydatid),Entamoeba histolytica(赤痢アメーバ)など〕によって形成する嚢胞があり,寄生性嚢胞と呼ばれる.
微生物検査は嚢胞自体あるいは嚢胞周囲の微生物感染,寄生虫検査は寄生性嚢胞が疑われる場合に行う.
E.細胞診
著者: 平田哲士
ページ範囲:P.790 - P.791
はじめに
嚢胞(cyst)という名称における概念や定義は必ずしも明確なものではなく,慣用的なものである.一般的には,固有の壁で閉ざされ,内容物の充満によって球状に膨らんだもので,病的に生じたものを嚢胞という.壁の内面は上皮細胞で覆われていることが多いが,そうでないこともあり,内容物は液体のことが多く,ゼリー状のことや,気体のこともある.
分類は,発生機序,部位,上皮の有無(仮生,真性)単房性か多房性か,単発性か多発性か,などによって行われているが,諸家によりさまざまである.
19 尿道分泌液
A.総論
著者: 清水保夫
ページ範囲:P.793 - P.795
はじめに
尿道や口腔,結膜嚢,下部消化管,女性外性器などの生体と外界との接点では,常在菌叢が形成され,これらの細菌の節度を保った増殖により,外界から新たな病原菌が侵入することを阻止すると考えられている.加えて,尿道では排尿による洗浄が繰り返されるので,常在菌の過剰な増殖が抑制を受けてバリアーとしての任を全うする.それゆえ,臨床材料は常に常在菌による汚染が生じやすいので,健常者の尿道擦過検体や尿からもかなり大量の細菌が検出されることがある.さらに,男性の尿道は精路としての役割も担っていること,女性では外性器や肛門に近接することなどから,隣接臓器からの分泌物や汚染物が混入しやすいので,検体の採取や所見の評価に際しては,これらのことを十分に理解して対処するべきである.ことに,非淋菌性尿道炎や尿道症候群は,常在性の弱毒菌や細菌以外の微生物も関与するので,特に意を払う必要がある.
B.一般検査
著者: 清水保夫
ページ範囲:P.795 - P.796
疾患との関係
後天性免疫不全症候群(AIDS)の例を引くまでもなく,性風俗,性行動の多様化に伴い,既知の概念では包括することができない伝染性疾患が急増している.こうした疾患群を性行為感染症(sexually transmitteddisease;STD)として一括して取り扱うようになり,1987年の12月には日本性感染症学会が発足した.
尿道炎は従来から,淋菌性尿道炎(GU)と非淋菌性尿道炎(NGU)とに群別して論じられてきたが,NGUの中ではChlamydia trachomatisの検出が可能になったことを反映して,クラミジア性尿道炎が独立疾患として取り扱われるようになった.
D.微生物学的検査
著者: 山中喜代治
ページ範囲:P.797 - P.800
はじめに
尿道炎,特に男性尿道炎では,Neisseria gonorrhoeae(淋菌)検出の有無が重視され,そのための検査が優先される.さらに,外性器感染症との関係上,他の性行為感染症(sexually transmitted diseases;STD)の原因微生物検索も大切であり,臨床症状に合わせた対応が望まれる.
ここではSTDを中心に尿道分泌物の検査法について概説するが,基礎疾患をもつ尿路感染症患者に続発する尿道炎などは,その性質上,尿道炎のみを単独に扱えないので,他の項を参照されたい.
E.細胞診
著者: 平田哲士
ページ範囲:P.801 - P.802
はじめに
尿道分泌物は生理的には性的興奮時に増加するが,外尿道口に分泌されることはまずない.分泌物のほとんどが粘液であり,その中には少数の上皮細胞とごく少数の白血球が認められる.下着を汚すほどの分泌増加は尿道の病的状態と考えられ,その多くは,性感染症(sexually transmitted disease;STD)としての尿道炎であり,病原微生物の同定・検出が重要である.
尿道炎を惹起する可能性のある微生物は,一般細菌からウイルス,マイコプラズマ,クラミジア,真菌,原虫と広範囲で,それぞれの培養法や検出法は特殊であり,すべての微生物を対象として同時に検査することは困難である.一般に尿道分泌物が認められる場合,まずGiemsa染色,Gram染色などで白血球数と細菌の有無を確認するが,このとき細胞診を行うことによりウイルス感染細胞,トリコモナス,カンジダなども迅速にしかも比較的簡単に推定できる場合がある.したがって,尿道炎の広範囲にわたる病原微生物を効率よく培養,検出するためのスクリーニングとして細胞診は有用であると思われる.
20 鼻汁
C.生化学検査
著者: 坂倉康夫 , 浜口幸吉
ページ範囲:P.806 - P.808
鼻汁の採取
正常の鼻汁は極めて微量であるので,その採取は極めて困難である.この際,粘膜に対する刺激をいかに最小にするかが,共通の問題である.鼻汁分泌量には日内変動1)があるので,採取には一定の時間を定めて行わなければならない.
D.微生物学的検査法
著者: 目黒英典 , 川上小夜子
ページ範囲:P.808 - P.811
はじめに
鼻腔および鼻咽頭は,出生直後の新生児を除いて常在菌の存在する部位である.病原性の強い菌も常在菌叢の一部を形成することはしばしばあるので,培養に当たってその結果の解釈は非常に難しい.特に気管支炎・肺炎の起炎菌を上気道の検体の培養で決定することはできないとされている.しかし,血行性の肺炎は別だが,ほとんどの気管支炎・肺炎の起炎菌は上気道に存在するはずであり,それを決定する簡単な方法は今後も研究すべきであろう.
本稿では筆者らの新しい試みも紹介しながら主に小児科領域における鼻汁検査について解説する.
E.細胞診
著者: 関口桂子 , 石原力 , 城下尚
ページ範囲:P.812 - P.815
検査と意義
鼻汁細胞診は患者への負担が少なく,材料の採取が簡単であるにもかかわらず,あまり普及されていない.これは,鼻腔内の病変部から比較的容易に生検組織や擦過材料を採取できるので,鼻腔の悪性腫瘍に対しての鼻汁の細胞診断的意義が低いことによると考えられる.肺癌に対して喀痰細胞診が有用であり,ことに中心型肺癌の早期発見に極めて効果的な検査であることに比べると,鼻汁細胞診の重要性は比較にならないほど低いのが現状である.またアレルギー性鼻炎における細胞学的検査も重要であるが,不可欠というほどのものではない.
一方,呼吸器系細胞診で一般的な喀痰細胞診には,唾液性検体不良のほかに,いまだ十分に知られていないが鼻汁性検体不良が含まれており,これらの不良検体をなくすことは肺癌の発見率の向上のために不可欠である.その意味では鼻汁の細胞診に精通し,鼻汁性偽喀痰をチェックし,これを排除することは,喀痰細胞診を検鏡するうえで極めて意義が高いことである.
21 腟・頸管分泌液
A.総論
著者: 牧野恒久 , 斉藤優 , 飯塚理八
ページ範囲:P.817 - P.820
腟分泌液の意義
腟は,重層扁平上皮に覆われた,筒状の単純な構造物である.しかし,外陰と子宮・卵管の間を連絡するという解剖学的位置に存在し,交接器として,また子宮・卵管からの分泌物の排出通路として重要な役割を担っている.したがって,その分泌物からは腟内のみならず,子宮内や性ホルモンの状態などといった多くの情報が得られ,産婦人科学にとって重要な情報源の一つである.
B.一般検査
著者: 牧野恒久 , 斉藤優 , 飯塚理八
ページ範囲:P.820 - P.821
一般性状
1.腟分泌液
腟分泌液は通常,白色で,外観は擬乳様であるが,さまざまな条件によってむしろ漿液性に近かったり,より軟膏状に近かったりする.量は,子宮が存在する場合で1.89±0.12g/日,子宮がない場合で1.56±0.05g/日であり,分泌物の量と性状は,エストロゲンとプロゲステロンの量に関連する.特に排卵直前のエストロゲン増加に伴う子宮頸管粘液の著しい増量に伴って,この時期の腟分泌液は,無色透明もしくはやや黄色調で量が多い場合が多い.
帯下感や陰部掻痒感などの症状があり,腟分泌液が白色泡沫状のものはTrichomonas(トリコモナス),白色滓状のものはCandida(カンジタ)の感染を疑わせる.特に抗生剤の投与を受けた後発症した場合やセックスパートナーに感染があった場合にはより疑われる.もちろん確診には,鏡検によるトリコモナス虫体や仮性菌糸の確認,培養などが必要である.膿性帯下や黄色調帯下を認める場合,Neisseria gonorrhoeae(淋菌)やその他の化膿菌による腟炎が疑われる.悪臭のある帯下では,嫌気性菌が疑われ,悪性腫瘍や子宮体内膜炎のことが多い.
C.生化学検査
著者: 岡本良平
ページ範囲:P.821 - P.823
腟分泌液
腟は重層扁平上皮に覆われていて腺構造がないから,正確にいえば腟分泌液は存在しない.しかし,上位にある卵管,子宮内膜,頸管からの分泌液,あるいは腟壁からの濾出液がたまっていて,この中には各種の酵素,グロブリンなどの蛋白,酸,芳香族化合物などが含まれている.臨床的には,細胞・組織学的,あるいは微生物学的検査が主で,生化学的検査はそれほど行われない.しかし性暴行の時期の判断など法医学的には生化学的検査の意義が大きい.ここには腟分泌液についてのItoh & Manakaの報告1)を紹介する.
試料は消毒した綿ガーゼで腟内から採取し,5〜10mlの食塩水に浸して3,500rpmの遠心により細胞残渣を除く.上清は口径0.45μmの膜で濾過してから濃縮し,測定まで-20℃で保存する.産婦人科疾患による血液または精液の混じっている場合は使用しない.
D.微生物学的検査
著者: 山博
ページ範囲:P.823 - P.826
常在菌
腟の常在菌は,卵巣機能,腟上皮細胞のグリコーゲン量と密接な関係があり,一度に完成するものではない.誕生数時間後には,Staphylococcus属菌,Enterococcus属菌,Corynebacterium属菌,Lactobacillus属菌が増殖してくる.母体から受け取った女性ホルモンの働きによって腟内にグリコーゲンが作られ,これを細菌が分解して酸を産生するために腟内は酸性となり,その選択性によってLactobacillus属菌のみが生残する.しかし,ホルモンが消費されてしまうとともに,腟内pHは上がりCorynebacterium属菌,Staphylococcus属菌,Micrococcus属菌,Escherichia coli,Candida属菌,嫌気性菌などが増殖してくる.その後,思春期に至り,女性ホルモンの分泌が開始されると再びLactobacillus属菌が最も多くなり,分泌液1ml当たり約108程度になる.月経閉止とともに菌叢は変動し,いろいろな菌が検出される.
E.細胞診
著者: 浅見英一 , 坂本穆彦
ページ範囲:P.827 - P.828
はじめに
一般的に腟分泌液とは帯下(fluor)を意味し,腟内容液が増量した状態をいう.これはあらゆる年齢の正常女性にも認められるが,大部分は腟炎,すなわちトリコモナス腟炎,カンジダ腟炎,非特異性腟炎などに多く認められる.また,時には子宮頸癌,子宮体癌でも認められることがあり,臨床上重要な所見となりうる.
22 膿汁
A.総論
著者: 関正威
ページ範囲:P.829 - P.832
検査の意義
1)明らかな化膿性炎症の場合
定性的には病原菌の有無ないし同定と感受性薬物の決定ができ,定量的には病原菌の量を把握できる.さらに,検査を継時的に行うことによって,病原菌の種類の消長や感受性の変化,菌数の増減傾向を確認することができる.
B.一般検査
著者: 関正威
ページ範囲:P.832 - P.833
一般性状—外観,色調,臭気
特徴的な所見を示す病原菌について,まとめて示す(表1).胆汁が混じていると,細菌によって黄色のビリルビンが酸化されて緑色のビリベルジンとなるため,ガーゼが緑色になってPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)と誤ることがある.
C.生化学検査
著者: 猪狩淳
ページ範囲:P.834 - P.835
膿汁は炎症性変化,特に化膿性炎症による産物であり,半液体状の,黄色〜黄緑色を呈し,主として白血球と血清から成る.膿汁中に含まれるいろいろな成分の分析に関する報告は微生物学的検査については多くあるが,生化学的成分については極めて少ない.血液,尿やその他の生体試料と異なり,生理的な体液ではなく,病的変化があって初めて産生される物質であることが,その大きな理由の一つであろう.
そこで,最近報告された膿汁の生化学分析の論文を基に,膿汁の生化学的成分について述べることにする.
D.微生物学的検査
著者: 安達桂子
ページ範囲:P.835 - P.839
膿汁の微生物学的検査は主に毛包炎,蜂窩織炎,皮下膿瘍,創感染などの皮膚・軟部組織感染症に際して行われる.本項では膿汁を皮膚化膿巣(癤,蜂窩織炎,膿皮症,感染性粉瘤など),褥瘡,および手術創の三つに分け,さらに肝膿瘍も含めて,高齢者を対象とする東京都老人医療センターの成績を合わせて述べてみたい.
E.細胞診
著者: 平田哲士
ページ範囲:P.839 - P.840
はじめに
炎症の過程において,好中球の滲出を主体とするものが化膿または化膿性炎であり,その典型例では,いわゆる膿を形成する.膿という状態をとらなくても,好中球が多く滲出する炎症を化膿性炎と呼び,その炎症性滲出物を一般に膿汁と呼んでいる.
膿汁は,膿清と膿球に分けられる.膿清は血漿成分が主体で,さらに蛋白分解酵素やその他の酵素,蛋白,脂肪,核酸などを含んでいる.
23 気道分泌液
A.総論
著者: 佐々木憲二
ページ範囲:P.841 - P.843
はじめに
気道分泌物は,次の点に大きな特徴を有する.
(1)気道分泌物は,内臓(=肺・気管支)からの直接の分泌液であるから,尿と同じく自然排出物で,患者の苦痛なく採取でき,かつ多くの情報がこめられていることを忘れてはならない.
C.生化学検査
著者: 岩永知秋
ページ範囲:P.847 - P.848
本稿では最近種々の生化学的,免疫学的解析が進みつつある気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage;BAL)について述べる.
D.微生物学的検査
著者: 川上由行
ページ範囲:P.848 - P.853
気道分泌液の採取
1.気道分泌液とは
無菌的に採取された気道分泌液は,下気道由来分泌物が口腔経由で喀出された痰とは明確に区別される.
気道は上気道と下気道に大別され,前者は鼻腔から咽頭までを指し,感染好発部位は副鼻腔,鼻咽頭,口腔咽頭,扁桃である.一方,後者は気管から肺胞までの範囲を指す.気管と気管支は繊毛上皮と杯細胞で覆われ,さらに粘液とともにアミラーゼ,リゾチームなどを産生する気管(支)腺を有する.繊毛上皮表面を覆う粘液層は,杯細胞および気管(支)腺由来分泌液から成り,混入した微生物などを捕捉し,繊毛の規則的運動と協調して上行性に体外へ排出する.下気道由来分泌液や膿は咳嗽とともに気管支から気管を経て上部へと運搬されるので,喀出された痰は上気道常在菌で汚染されている.
E.細胞診
著者: 畠山重春
ページ範囲:P.853 - P.858
検査の意義
気道分泌液は,上気道から肺胞に至る呼吸器系統から排泄されるが,生理的に分泌されるほか,種々の病的状態を反映することが知られている.中でも気管支より末梢の肺領域から排泄される分泌液の細胞学的検査は,特に肺癌の診断上重要視されている.
24 耳漏
A.総論
著者: 髙坂知節 , 八木沼裕司 , 小林俊光
ページ範囲:P.859 - P.862
臨床的意義
耳漏(aural discharge,otorrhea)とは外耳道から分泌される分泌物の総称であり,外耳および中耳,さらに内耳における各種の炎症,腫瘍,外傷,異物などにより生じる.欧米人に多い黄色軟性耳垢が耳漏のような外観を呈することもある.耳漏の性状,色,量,臭い,漏出部位,検出される菌およびその薬剤感受性などは耳疾患の病態を知るうえで不可欠の情報である.
C.生化学検査
著者: 森山寛
ページ範囲:P.863 - P.864
はじめに
耳漏は外耳道に貯留あるいは外耳道から流れ出るものであり,耳介,外耳道,鼓膜,中耳腔,乳突腔および蜂巣,内耳,頭蓋内の病変などが原因となる.患者の中には軟らかい耳垢を耳漏と勘違いする人もいるので,注意が必要である.
耳漏は一般的に,その性状より,漿液性(水様性),粘液性,膿性,血性およびその混合型に分けられる.そして,その性状からだけでもある程度疑える疾患が絞られる.最も多いのが膿性や粘性耳漏で,慢性中耳炎の特徴であり,無臭の粘性のものから悪臭のある膿性の耳漏までさまざまである.粘性の耳漏は鼓膜穿孔のある例に上気道感染が加わったときよく出現する.また治療してもなかなか止まらない膿性耳漏は,中耳真珠腫などが疑える.
D.微生物学的検査
著者: 渡辺正治
ページ範囲:P.865 - P.868
はじめに
耳漏の細菌学的検査にとって最も大切なことは,その検体が適切に採取されたかどうかである.外耳道の内面を覆うものは上皮であり,ここにはアポクリン汗腺の変化した耳道腺があり,脂肪性の分泌物は剥離した上皮とともに耳垢を作り,多数の常在菌が存在する.このため検体採取時の外耳道の常在菌による汚染を考慮しなければならない.外耳道の常在菌は,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negative staphylococci;CNS),Corynebacterium,Micrococcus,Propionibacteriumが中心となり,時にStaphylococcus aureusがみられる.菌数もかなり多く,CNSでは純培養状に認められることがある.中耳は,耳管によって咽頭に通じているが,内耳とともに一般的に無菌である.
資料
免疫組織化学
著者: 覚道健一
ページ範囲:P.870 - P.873
原理と種類
免疫組織化学とは,特異的に反応する抗体を用いて組織(細胞)中の抗原の局在を検出する方法である.抗原抗体反応は高い特異性と感度を持っているが,そのままでは光学顕微鏡的に検出できないため,抗原の局在を可視的なものとするために種々の方法が考案されている(表1).一般によく用いられているものとしては,蛍光色素を標識する蛍光抗体法と,酵素を標識する酵素抗体法がある.一次抗体には標識せず,アビジンとビオチンを介して間接的に標識する力法(ABC法,avidin-biotin peroxidase complex法)や,ペルオキシダーゼと抗ペルオキシダーゼ抗体の複合物を二次抗体を介して一次抗体に標識する方法(PAP法,peroxidase-antiperoxiadse法)も一般に酵素抗体法の中に含めて呼ばれている.
蛍光抗体法は高い感度を持っているが,標本の保存ができないこと(退色する),蛍光顕微鏡が必要なこと,電顕的観察ができないことなどの理由で,われわれは酵素標識による免疫組織化学を日常用いている.
フローサイトメトリーの細胞診への応用
著者: 高浜素秀
ページ範囲:P.873 - P.877
フローサイトメトリーとは
高速細胞定量・分取装置である.細胞を高速で流し(flow),細胞のいろいろの成分を定量する技術(cytometry)であり,これに用いる装置をflow cytometerという.この装置の大きな特長は,細胞定量のみならず,特定した細胞を母集団から選別・分離・採取する(sorting)機能をもつことである(cell sorter).
細胞診に用いられる固定,染色法—Papanicolaou染色を中心に
著者: 南雲サチ子
ページ範囲:P.877 - P.880
はじめに
細胞診断は,細胞標本を顕微鏡下て観察し,癌細胞か否かを判定する癌の診断法の一つである.細胞採取法の進歩に伴い細胞診もあらゆる臓器が対象となりうるが,特に生検を簡単に行うことができない臓器では細胞診が極めて重要である.そして最近では早期癌の診断には欠かすことのできない検査法である.今回のテーマである《体液》の細胞診も癌の診断だけでなく,原発巣の推定も可能であり,また抗癌剤の治療効果などの判定にも応用されている.
細胞診には,Papanicolaou染色のほかにGiemsa染色,periodic acid Schiff(PAS)反応,アルシャン青染色などもよく使用されるが,ここではPapanicolaou染色について述べる.
顕微蛍光測光法
著者: 小俣好作 , 大塚重則 , 田中昇
ページ範囲:P.881 - P.883
はじめに
画像診断機器の普及,精度の向上に伴って,各臓器の腫瘤状あるいは嚢胞状病変が多数発見されるようになってきたが,その本体を究めるために映像下に穿刺吸引が施行され,生化学的なあるいは細胞診断学的な検索が頻繁に行われるようになってきた1〜3).穿刺細胞診では,その塗抹された細胞により腫瘍性,非腫瘍性の,前者とすればその良・悪性の鑑別を目的とするが,その補助的診断の一つとして以下に述べる顕微蛍光測光法を併用することにより,悪性度や予後の判断など臨床病理学的な評価について客観的な指標が得られる.
超音波顕微鏡
著者: 伊東紘一
ページ範囲:P.883 - P.885
超音波顕微鏡の登場
物の形態はマクロレベルとミクロレベルとで観察される.マクロは肉眼で観察されるレベルを示している.ミクロとは肉眼で見ることのできないレベルの細かな部分を,レンズなどを利用して拡大して観察する場合を意味している.ミクロの世界は顕微鏡の発明により開かれてきた.光学顕微鏡によって生体内部の微細な構造や細胞,さらに細胞の内部の構造までもが観察されるようになった.次には電子顕微鏡の発達によってさらに細かな構造を見ることができるようになり,分子や原子のレベルの観察まで可能になってきている.また立体視するために位相差顕微鏡,走査型電子顕微鏡なども出現した.このように光学顕微鏡と電子顕微鏡とによってミクロの世界が開けてきたわけであるが,ここに新しい第三の顕微鏡として超音波顕微鏡が現われた.
超音波顕微鏡はソ連の物理学者S.Y.Sokolov(1936)により提案され,近年C.F.QuateやL.W.Kesslerらにより使用可能な装置として完成された.日本においても東北大学の中鉢らによる研究がある.Kesslerらの装置は一台日本に入っているようであるが,医学方面には利用されていない.オリンパスや日立ではすでに超音波顕微鏡を完成させている.Kesslerの方式はレーザー干渉縞を利用するものであるのに対して,多くの研究者が用いているのはQuate方式の機械走査によるものである.
偏光顕微鏡を用いた検査
著者: 鈴木悦
ページ範囲:P.885 - P.887
種々疾患と結晶成分
胆汁,膵液,前立腺液,唾液,関節液などの体液中には結晶成分がみられる場合がある.結晶成分の種類により臨床症状,合併症,治療,予後などが異なり,その同定・解析は極めて重要である.
痛風時の関節液および関節組織内に見いだされる結晶成分は,尿酸ナトリウム結晶が主である.
皮下結晶成分の解析法
著者: 今野稔
ページ範囲:P.887 - P.889
はじめに
皮膚科領域においては,異物沈着症の一種として《石灰沈着》(calcinosis cutis, calcification,またはcalcium deposition)例があり,小児の皮膚筋炎に伴っている例が多い.これらは,「不溶性のカルシウム塩が皮膚ないし皮下組織に沈着巣を作っている場合」であり,皮下組織では塊状に,真皮では顆粒状に沈着するといわれている.石灰沈着が起こると硬くて白い丘疹ないしは結節として認められ,内容物は白色クリーム状か泥状を呈し,自然に排出されることもあると報告されている.
上記のような石灰沈着例以外に,皮下に結晶が沈着する例があると思われるが,ここでは筆者らが経験した石灰沈着例の中で,ヒドロキシアパタイト〔Ca5(PO4)3OH・2H2O〕と解析された例を提示しながら,結晶成分の解析方法について解説する.
ICP発光分析法による胃液中の金属の測定
著者: 竹内重雄
ページ範囲:P.890 - P.892
はじめに
正常人の生体内微量元素は動的平衡状態にあり,摂取量ならびに排出量が調節されているが,時としてその平衡関係は崩れ,微量金属欠乏ならびに過剰による障害を起こしている.微量金属の排出経路として尿,毛髪,胆汁,膵液などの消化液などがあり,その中の一つである胃液中にも金属が分泌されている.
直接採取した胃液中の金属量の測定は食物などによる残存物質の影響が多いため,生理的分泌量を測定するためには不適である.そこで,胃液中の微量金属の測定には,ガストリン刺激による胃液酸度測定のための検査法を利用して分泌胃液中の金属量を測定する.
涙液中の薬物濃度測定法
著者: 西原カズヨ , 春山尚美
ページ範囲:P.892 - P.893
はじめに
治療における薬物濃度モニタリング(therapeutic drug-level monitoring;TDM)が現在多くの施設で行われている.その濃度測定(therapeutic drug assay;TDA)のための試料としては血漿,血清,あるいは全血が用いられている.一般に測定された薬物濃度は,蛋白質と結合した薬物(結合型薬物)と結合していない薬物(非結合型薬物,free薬物)との濃度の総和である.
血漿中で分子量の大きいアルブミンなどと結合した薬物は,組織中へ移行できない.一方,free薬物は組織膜を通過して血漿と組織との間を往復できる.このことから,血漿中と組織中の薬物濃度は平衡状態に維持される.さらに,血漿中のfree薬物が少なくなると結合型薬物が蛋白質から離れてfree薬物になり,結合型薬物濃度とfree薬物濃度の割合は一定になる.血漿中free薬物濃度は,作用部位でのfree薬物濃度を反映するので,血漿中濃度よりも効果と密接に関連することが知られている.このため,TDMにおいては,蛋白結合率が高く,蛋白濃度が病態により変化したり薬物相互作用などにより蛋白結合率が変化する薬物では,血漿中薬物濃度よりも血漿中free薬物濃度の測定が必要とされる.そのための試料としては限外濾過法により得られる血漿水などが用いられるが,その代替試料として髄液,唾液,涙液などが用いられる.
HPLCによる母乳中脂肪酸の分析法
著者: 奥村一忠 , 足立恵子
ページ範囲:P.894 - P.896
はじめに
母乳中の脂質の大部分はグリセリドで,残りの数%がリン脂質,コレステロールといわれている1).したがって,脂肪酸はほとんどグリセリド中にエステル型としてあり,ほかに遊離の脂肪酸がわずかに存在するのみである.通常のアルカリ加水分解(ケン化)をして総脂肪酸として測定する場合は両者の合計となり,遊離脂肪酸のみの際は直接母乳から抽出する.
筆者らの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による母乳の脂肪酸分析法3)は,血清での蛍光ラベル化法を応用した4).ラベル化剤は9-anthryldiazomethane(ADAM)で,二村らにより開発されたものである4).
唾液による体液の非侵襲的検査
著者: 奥田清
ページ範囲:P.896 - P.898
はじめに
急激にその進歩の度合いを加速しつつある臨床検査は,従来のメディカルケア中心の医学,医療の領域からヘルスケアの手段の一つとして,さらに需要を拡大しつつある.また一方,疾病構造の変遷に伴って増大しつつある慢性疾患患者の在宅ケア,自己管理のための無侵襲ないし軽侵襲検査の必要性も高まってきているといえよう.
電気生理学的な生体検査は別として,体液,その他を材料とする検体検査の試料の採取には,通常,患者になんらかの侵襲を加えなければならない.たとえ非観血的であっても,胃液や胆汁など患者に苦痛を強いなければならないものもある.無観血,無痛で,リアルタイムの臨床情報がベッドサイドで得られる方法があれば,臨床検査の一つの理想的な型ということができる.非侵襲的に得られる体液としては尿,涙液,唾液,汗,乳汁,精液,腟分泌液,痰,鼻汁などを挙げることができ,剥離細胞診,微生物学的検査などに用いられている.しかし,臨床化学的検査に関しては,ほぼ常時採取可能で,分析に十分な量が得られる材料としては尿,唾液などが一般的に考えられる.
イオン選択電極法による生体試料の電解質測定における留意点
著者: 関口光夫
ページ範囲:P.898 - P.899
はじめに
生体試料のマトリックスは複雑であり,正確に分析することは大変難しいとされている.その主たる原因は,臨床化学分析法の多くが,複雑なマトリックス中に共存する分析対象成分を抽出・分別などの前処理操作を行わないで分析することにあろう.すなわち,マトリックスの構成成分のいくつかが分析反応を妨害したり,助長したりするからである.中でも血清は,マトリックスが一定で,かつ固体差が少ないことから,比較的正確さの高い分析が可能となっている.一方,その他の試料においては,マトリックスの固体差が大きいとされている.試料中の成分が分析に影響を与える挙動は,その分析法の原理によってそれぞれ異なるのは当然である.
ここではイオン選択電極法(ion-selective electrode;ISE法)で血清・尿以外の試料を測定するときに予測される留意点を,その原理に照らし合わせて整理してみたい.
体液の電解質濃度の測定
著者: 桑克彦
ページ範囲:P.899 - P.900
体液電解質としてNa,K,Cl,Ca,P,Mgがよく測定される.いずれの項目も試料の特性から,希釈,溶解,抽出,除蛋白操作などの前処理を必要に応じて行う.用いる測定法は日常検査法によるが,血清や尿の場合に比べて測定濃度範囲が一定していないので,特に低濃度領域では,低濃度用の検量線を別に立てること,また測定系への干渉物質の混在も多いので,少なくとも測光系への影響が多い試料では,試料ブランクをとること,などが必要となる.したがって,自動分析法などで血清試料と同一に測定できないことがあるので,用手法の活用を図る.
なお,項目によってはイオン電極法,特に希釈電位差法での測定も可能であるが,これについては別項「イオン電極法による体液試料の電解質測定における留意点」を参照.
体液からの感染—特にウイルス感染について
著者: 山口一成
ページ範囲:P.901 - P.902
はじめに
血液以外の体液が他への感染源として今日重要な意味をもつようになったのは,成人T細胞白血病(adultT cell leukemia;ATL),後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome;AIDS),肝炎などの原因となる病原ウイルスの登場と発見の結果である.本稿ではこれらのウイルスの感染性について述べる.いずれのウイルスもいったん個体に感染してしまうと排除が困難であり,感染を防止することがこれらの病気を根絶することの最良の道であることは論をまたない.
体液への抗菌薬の移行
著者: 平泻洋一 , 山口惠三
ページ範囲:P.903 - P.907
はじめに
細菌感染症患者に対して抗菌薬の投与を行う際,必ずしも適切な薬剤の選択がなされていないことも少なくない.選択に際して考慮すべき点は非常に多く(表9),最小発育阻止濃度(MIC)などのin vitroのデータが,臨床上の効果としばしば合致しないのは周知の事実で,その原因として考えられる項目を表10に示した1).
特に抗菌薬の病巣への移行性は,その臨床上の効果に多大な影響を与える因子であるにもかかわらず,見落とされていることが少なくない.起炎菌に対して強い抗菌力を有する抗菌薬を投与した場合でも,感染病巣における濃度が低ければ当然その効果は期待できない.
穿刺液の汚染菌
著者: 小栗豊子
ページ範囲:P.908 - P.909
はじめに
穿刺液は本来,無菌であるから,検出された微生物は直ちに,感染症の原因微生物と解釈されがちである.しかしながら,穿刺部位の常在微生物などによるコンタミネーションも起こりうる.ここでは穿刺液の細菌,真菌検査に限り,コンタミネーションを疑うのはどのような場合であるか,また,その際の主な汚染菌にはどのようなものがあるかについて述べる.
Helicobacter pylori(Campylobacter pylori)の意義
著者: 深見トシヱ
ページ範囲:P.910 - P.912
Helicobacter pyloriの研究
1983年オーストラリアのWaren1)とMarshall2)は,ヒトの胃粘膜から初めて螺旋状の細菌を分離することに成功し,この菌をCampylobacter Pyloriと命名した.また1988年Fox3,4)らは,フェレットの胃内から検出される,徴好気環境下で発育する彎曲したGram陰性桿菌に対して,Campylobacter mustelaeと命名した.次に1989年Goodwinは5)はリボ核酸,形態学,細胞脂肪酸,酵素,発育態度などの相違点から,Helicobacterと新しい属名を提案し,C.PyloriとC.mustelaeをCampylobacter属から移し,Helicobacter PyloriおよびH.mustelaeとした.その後,世界各国の研究者によって追試され,胃,十二指腸疾患の患者生検材料から,この菌が50〜100%と高率に検出されることが判明した.
一方,病理組織学的にH.pyloriは粘液に覆われた胃粘膜細胞表面に接着して,特に細胞間隙に,または腺窩の中に集簇6)していることが明らかにされた.病因論ではH.Pyloriは強いウレアーゼ活性を有し,胃内でアンモニアを産生し,このアンモニアを介する胃粘膜障害や,プロテアーゼ活性により胃粘膜糖蛋白質を分解して胃粘膜防御因子を弱めることにより胃腸粘膜障害を引き起こす,と推定7)されている.
ポリメレース・チェイン・リアクション(PCR)を用いた感染症の診断
著者: 永井良三 , 大久保昭行
ページ範囲:P.912 - P.914
はじめに
ポリメレース・チェイン・リアクション(PCR)は特定の遺伝子の一部を,2種類のプライマー,4種類のデオキシヌクレオチド,そしてDNAポリメレースを用いてin vitroで増幅する方法である.PCRは当初,大腸菌(Escherichia coli)由来のDNAポリメレースを用いて開発された.しかし大腸菌のDNAポリメレースは,試料DNAを一本鎖に変性させるための高温反応時に失活してしまい,増幅反応を一回行うごとに酵素を追加する必要があった.この問題を解決したのが耐熱性桿菌(Thermus aquaticus)から抽出されたTaqDNAポリメレースである.この酵素は94〜95℃の高温でも失活しないためDNAの一本鎖への変性,プライマーのアニーリング,DNA合成というステップが酵素を追加せずに繰り返し行うことが可能となった.PCRにより遺伝子の一部(1〜2kb以下)を数時間で20万〜100万倍に増幅することができる(図19).
PCRの開発により遺伝子の構造解析が容易になっただけでなく,本来生体に存在しないDNAの検出,すなわち感染性病原体の検出に新しい手法を導入することとなった.
尿道炎の生化学キットによる検査
著者: 岡田敬司 , 伊藤機一
ページ範囲:P.914 - P.916
はじめに
尿道分泌物を生ずるのは一般細菌,Neisseria gonorrhoeae,Chlamydia trachomatisによる尿道炎で,これら以外の病原微生物ではまれである.性(行為)感染症の代表的起炎菌であるN. gonorrhoeae,C. Trachomatisは培養条件が厳しく,種々の器具が必要で,結果を得るまでに日数もかかる.多くの検査室では抗原抗体反応を利用した検査キットが使用されているので,これらについて述べる.
C. trachomatisは細胞寄生性であるため,尿道粘膜上皮細胞を採取する必要がある.尿道分泌物の検査とはいい難いが,取り上げることにした.
嚢胞を作る寄生虫症
著者: 澁谷敏朗
ページ範囲:P.916 - P.920
はじめに
嚢胞とは,正常あるいは異常の,閉鎖された嚢状の構造物で,その内面は上皮に覆われ,内部に液状物を満たすものである.寄生虫による嚢胞の形成は条虫類(サナダムシ)のうち円葉目に属するものによる感染にだけ認められる.嚢胞はすべて,これらの条虫類の幼虫期に形成される.だから,ヒトが中間宿主となる場合に体内に嚢胞が形成されるのである.
円葉目の条虫類は普通,ウシやブタのような脊椎動物,あるいは甲虫やノミのような節足動物のどちらかを中間宿主とし,条虫に感染したこれらの中間宿主を経口的に摂取することにより成虫が人体に感染をきたすことが多い.しかし,以下に記するごとくある種の条虫が幼虫期に人体寄生をきたし,各種臓器に嚢胞を形成する場合もある(表21).腸管内に条虫類の成虫が寄生して虫体や虫卵の排出がみられる状態と比較すると,寄生虫による嚢胞症は診断,治療が困難である場合が多い.
Rivalta反応の標準化
著者: 稲垣勇夫
ページ範囲:P.920 - P.921
Rivalta反応は1896年,イタリアのRivaltaによって報告されたものである.このRivalta反応の術式は「メスシリンダーに水道水200mlを採り,それに酢酸数滴を加えて混和し,穿刺液を上から滴下して生じた白濁が管底まで到着したものを陽性とする」ものである.Rivalta反応は穿刺液の滲出液(陽性)または漏出液(陰性)との鑑別に従来から用いられており,蛋白量が3g/dlを超えると陽性になるといわれている.
このRivalta反応は添加する酢酸量によってpHが変化し(図24),陽性度もかなり異なってくる(図25).酢酸量を一定量正確に加えることが重要である.この酢酸水に反応する蛋白種類は酢酸10,50および200μl/水道水200mlにて生じた白濁沈渣を希アルカリにて再溶解させて電気泳動させた結果,10μlにてγ>β領域,50μlにてα〜β領域が優位のパターン,200μlではアルブミンが優位であった1).50μlの泳動パターンおよびpH(4近辺)から考察される蛋白種類の等電点から50μlはおおよそ急性期炎症性蛋白が反応しているようである.
検査外注時の試料の取り扱い
著者: 金村茂
ページ範囲:P.921 - P.924
はじめに
検体検査において臨床に役立つ検査成績を報告するためには,検体を正しく採取すること,採取した検体を測定が行われるまで変性などが生じないように適切に保管すること,正確に測定すること,そして測定値が正しく報告書に反映されること,これらの点が大切な要因となる.厳密な測定であっても採取や検体保存などが不適切であるならば,目的成分の体内での状態を正確に把握することが困難となるから,測定の主旨がまったく失われてくる.特に検査の外注に当たっては,検体を採取してから測定にとりかかるまで長時間の保管が必要となってくるので,その間の検体の管理に対して十分な対策を講じておく必要がある.
そこでここでは,検体の外注時に特に注意しなければらない事項について述べることとする.
基本情報
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11巻12号(1983年12月発行)
技術講座 一般
11巻11号(1983年11月発行)
技術講座 細菌
11巻10号(1983年10月発行)
技術講座 細胞診
11巻9号(1983年9月発行)
技術講座 一般
11巻8号(1983年8月発行)
技術講座 血清
11巻7号(1983年7月発行)
技術講座 細菌
11巻6号(1983年6月発行)
技術講座 一般
11巻5号(1983年5月発行)
技術講座 病理
11巻4号(1983年4月発行)
技術講座 一般
11巻3号(1983年3月発行)
技術講座 血液
11巻2号(1983年2月発行)
技術講座 一般
11巻1号(1983年1月発行)
技術講座 血液
10巻12号(1982年12月発行)
技術講座 一般
10巻11号(1982年11月発行)
技術講座 生理
10巻10号(1982年10月発行)
技術講座 血清
10巻9号(1982年9月発行)
技術講座 細菌
10巻8号(1982年8月発行)
技術講座 一般
10巻7号(1982年7月発行)
技術講座 病理
10巻6号(1982年6月発行)
技術講座 細菌
10巻5号(1982年5月発行)
技術講座 病理
10巻4号(1982年4月発行)
技術講座 血清
10巻3号(1982年3月発行)
技術講座 生化学
10巻2号(1982年2月発行)
技術講座 病理
10巻1号(1982年1月発行)
技術講座 生化学
9巻12号(1981年12月発行)
技術講座 細菌
9巻11号(1981年11月発行)
技術講座 生理
9巻10号(1981年10月発行)
技術講座 一般
9巻9号(1981年9月発行)
技術講座 血清
9巻8号(1981年8月発行)
技術講座 血清
9巻7号(1981年7月発行)
技術講座 生理
9巻6号(1981年6月発行)
技術講座 細菌
9巻5号(1981年5月発行)
技術講座 一般
9巻4号(1981年4月発行)
技術講座 一般
9巻3号(1981年3月発行)
技術講座 血清
9巻2号(1981年2月発行)
技術講座 一般
9巻1号(1981年1月発行)
技術講座 生化学
8巻12号(1980年12月発行)
技術講座 一般
8巻11号(1980年11月発行)
技術講座 生理
8巻10号(1980年10月発行)
技術講座 検体の取り扱いと保存
8巻9号(1980年9月発行)
技術講座 病理
8巻8号(1980年8月発行)
技術講座 生化学
8巻7号(1980年7月発行)
技術講座 一般
8巻6号(1980年6月発行)
技術講座 生理
8巻5号(1980年5月発行)
技術講座 生化学
8巻4号(1980年4月発行)
技術講座 血清
8巻3号(1980年3月発行)
技術講座 病理
8巻2号(1980年2月発行)
技術講座 一般
8巻1号(1980年1月発行)
技術講座 生化学
7巻12号(1979年12月発行)
技術講座 一般
7巻11号(1979年11月発行)
技術講座 一般
7巻10号(1979年10月発行)
技術講座 細菌
7巻9号(1979年9月発行)
技術講座 生理
7巻8号(1979年8月発行)
技術講座 病理
7巻7号(1979年7月発行)
技術講座 生理
7巻6号(1979年6月発行)
技術講座 一般
7巻5号(1979年5月発行)
技術講座 血液
7巻4号(1979年4月発行)
技術講座 生理
7巻3号(1979年3月発行)
技術講座 病理
7巻2号(1979年2月発行)
技術講座 細菌
7巻1号(1979年1月発行)
技術講座 生化学
6巻12号(1978年12月発行)
技術講座 細菌
6巻11号(1978年11月発行)
技術講座 病理
6巻10号(1978年10月発行)
技術講座 血清
6巻9号(1978年9月発行)
技術講座 細菌
6巻8号(1978年8月発行)
技術講座 生化学
6巻7号(1978年7月発行)
技術講座 一般
6巻6号(1978年6月発行)
技術講座 病理
6巻5号(1978年5月発行)
技術講座 生理
6巻4号(1978年4月発行)
技術講座 一般
6巻3号(1978年3月発行)
技術講座 病理
6巻2号(1978年2月発行)
技術講座 一般
6巻1号(1978年1月発行)
技術講座 病理
5巻12号(1977年12月発行)
技術講座 生理
5巻11号(1977年11月発行)
技術講座 一般
5巻10号(1977年10月発行)
技術講座 細菌付録
5巻9号(1977年9月発行)
技術講座 一般
5巻8号(1977年8月発行)
技術講座 生理
5巻7号(1977年7月発行)
技術講座 一般
5巻6号(1977年6月発行)
技術講座 一般
5巻5号(1977年5月発行)
技術講座 一般
5巻4号(1977年4月発行)
技術講座 一般
5巻3号(1977年3月発行)
技術講座 一般
5巻2号(1977年2月発行)
技術講座 一般
5巻1号(1977年1月発行)
技術講座 一般
4巻12号(1976年12月発行)
技術講座 一般
4巻11号(1976年11月発行)
技術講座 一般
4巻10号(1976年10月発行)
技術講座 一般
4巻9号(1976年9月発行)
技術講座 一般
4巻8号(1976年8月発行)
技術講座 一般
4巻7号(1976年7月発行)
技術講座 一般
4巻6号(1976年6月発行)
技術講座 一般
4巻5号(1976年5月発行)
技術講座 一般
4巻4号(1976年4月発行)
技術講座 一般
4巻3号(1976年3月発行)
技術講座 一般
4巻2号(1976年2月発行)
技術講座 一般
4巻1号(1976年1月発行)
技術講座 一般
3巻12号(1975年12月発行)
技術講座 一般
3巻11号(1975年11月発行)
技術講座 一般
3巻10号(1975年10月発行)
技術講座 一般
3巻9号(1975年9月発行)
技術講座 一般
3巻7号(1975年8月発行)
特集 必修 日常検査の実技
3巻6号(1975年6月発行)
技術講座 生理
3巻5号(1975年5月発行)
技術講座 一般
3巻4号(1975年4月発行)
技術講座 一般
3巻3号(1975年3月発行)
技術講座 一般
3巻2号(1975年2月発行)
技術講座 一般
3巻1号(1975年1月発行)
技術講座 一般