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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術19巻6号

1991年06月発行

雑誌目次

病気のはなし

結節性動脈周囲炎

著者: 岩本幸子

ページ範囲:P.500 - P.505

サマリー
 結節性動脈周囲炎(結節性多発動脈炎)は,病理組織学的に中小動脈のフィブリノイド壊死を伴う,血管全層炎が全身に認められる系統的血管疾患である.病態発生機序は不明であるが,血清病との類似性から免疫複合体病が考えられている.臨床症状が多彩であり,疾患マーカーとなるべき特異的検査所見もないことから,臨床診断が困難であり,確定診断には生検組織像が不可欠である.予後不良の疾患で,未治療の場合には80%が1年以内に死亡する.ステロイド剤と免疫抑制剤の併用療法が有効で,病初期に治療が開始された場合は寛解に導入できる.

検査法の基礎

酵素法による電解質の測定—クロール,マグネシウム,カルシウムを中心にして

著者: 栢森裕三 ,   片山善章

ページ範囲:P.507 - P.512

サマリー
 日常の臨床化学検査における測定法の多くは,酵素的測定法に替わりつつある.総コレステロール,中性脂肪に代表される脂質類,グルコース,尿酸,クレアチニン,尿素窒素などの糖含窒素化合物の測定には,酵素的測定法が主流を占めている.それに比較し,Na,K,Cl,Ca,Mgなど一価ないしは二価の電解質類の測定には,化学的反応や電極を利用した方法が依然として繁用されている.最近ようやく,それらの項目で酵素法を利用した測定方法が報告され,その中のいくつかは市販されるようになってきた.今後,電解質類の測定においても広く酵素的測定法が導入されるようになるものと考えられる.

塩化アンモニウム負荷試験と重曹負荷試験

著者: 堀尾勝 ,   福原吉典 ,   折田義正

ページ範囲:P.513 - P.517

サマリー
 体液の酸塩基平衡を保つためには,腎糸球体で濾過される重炭酸塩をほぼ100%再吸収したうえで,体内で産生される非揮発性酸を滴定酸,アンモニウムの形で排泄する必要がある.重炭酸塩の再吸収は近位尿細管,滴定酸などの排泄は遠位尿細管と機能する部位が異なっているため,それぞれの部位の障害による尿細管性アシドーシスが知られている.本稿では尿細管の尿酸性化機構とその検査法である重炭酸負荷試験,塩化アンモニウム負荷試験について述べた.

技術講座 生化学

糖負荷試験と血糖検査

著者: 藤川淳

ページ範囲:P.519 - P.525

サマリー
 糖尿病の診断には経口糖負荷試験が行われており,国際的にも国内的にもそのため判定基準が提唱されている.その解説とともに,その問題点を提示した.
 血糖測定法に関しては還元法,縮合法などはほとんどその姿を消し,酵素を用いる法に替わった.その酵素法もAACC,日本臨床化学会では基準法としてHK-G6PD法が提唱されているが,現在わが国ではGOD-POD法を中心に実施されている.なおここでは,わが国で開発されたピラノース酸化酵素-POD法,GK-G6PD法およびグルコース脱水素酵素法などについて述べた.

血清

CA 19-9の測定法

著者: 柴田宏 ,   松岡瑛

ページ範囲:P.527 - P.531

サマリー
 膵・胆道系腫瘍は,画像診断でも判定困難なことが多いが,糖鎖関連抗原であるCA 19-9が有用な腫瘍マーカーとして知られている.現在,CA 19-9の検出試薬は,4種類市販されている.さらに迅速,高感度の検出法が開発されつつあるが,本稿では,特別な施設や機器,および専用機器を必要としないEIA法キット,イムノクロンCA 19-9を例に操作上の注意点を述べるとともに,検査成績判定上の問題点を解説した.

微生物

コレラ毒素の検出法

著者: 竹田美文

ページ範囲:P.532 - P.536

サマリー
 コレラ毒素の検出法としては,ウサギ結紮腸管ループ液体貯留試験,ウサギ皮膚毛細血管透過性亢進試験,チャイニーズハムスターオバリー細胞形態変化試験などが,従来から使われている.現在試薬が市販されている方法としては,逆受身ラテックス凝集反応とビーズELISA法とがある.また,コレラ毒素遺伝子を検出する方法として,DNAプローブを用いるDNA-DNA hybridization法やpolymerase chain reaction法も開発されている.

病理

良い顕微鏡写真の作りかた

著者: 宮澤六郎

ページ範囲:P.537 - P.544

サマリー
 光学顕微鏡による写真撮影は,われわれ医学写真技師では日常の仕事として頻繁に行われている.良い顕微鏡写真を撮影するにはどのようにしたらよいのか,ということもよく聞くことである.最近の顕微鏡技術は大きく進歩して,ピントはオートフォーカス,露出は自動露出になってはいるが,はたして機械まかせで良い写真はとれるのであろうか.本稿では顕微鏡写真撮影について基本的な機械の調整,フィルムの選択,フィルターの選択などについて紹介することにする.「顕微鏡写真を悪くする原因」の一覧表をそれぞれの現象写真に対応させて,黒白写真では標本の特徴を描出するための「コントラストフィルター選択の早見図」を,誰にでもわかりやすい形で掲載してみた.

生理

消化器領域における超音波検査の進めかた—[1]スクリーニング検査

著者: 細野明男

ページ範囲:P.545 - P.550

サマリー
 超音波検査の利用がますます進み,量的にも質的にも検査担当者への期待が高まっている.術者の技量が直接結果に影響する検査なので,十分なトレーニングが必要である.
 上腹部の正常像については,パターン認識によって基本的な断面の解剖をマスターするとよい.目的臓器の検索には常に端から端までの原則を忘れず,特有の死角をカバーし,可能な限りの情報を引き出すことが求められる.そして,これらのテクニックを織り込んだ自分なりの検査手順を確立する必要がある.

マスターしよう検査技術

黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型別法

著者: 潮田弘

ページ範囲:P.555 - P.561

はじめに
 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)とを分類するうえで,コアグラーゼ産生性は最も重要な性状とされてきた.しかし,近年,ブドウ球菌の分類が大幅に改訂され,コアグラーゼ陽性菌もS.aureus(subsp.aureusとsubsp.anaerobius),Staphylococcus intermediusおよびStaphylococcus hyicus(subsp.dyicus)の3菌種(3亜種)になった.
 コアグラーゼ型別法1,2)は黄色ブドウ球菌の分類,型別法の一つである.黄色ブドウ球菌の型別法には世界的に普及しているファージ型別法3)と血清学的型別法4,5)があるが,血清型別法は類属反応などが多く,確立されるまでに至らなかった.広く普及してきたファージ型別法は23種のファージ(細菌ウイルス)を常備し,使用時にそのつど力価測定(RTD)を行うなど,手技が煩雑なうえに,どこの施設で行ってもよいというものではないなどの制約がある.

検査ファイル

項目●オリゴクローナルバンド

著者: 山田正仁

ページ範囲:P.562 - P.563

はじめに—オリゴクローナルバンドとは?
 多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)は,中枢神経系において,多発性に脱髄(髄鞘の脱落)性の病巣を生ずる疾患である.その原因はいまだ不明であるが,脱髄の機序は炎症性であり,中枢神経系における免疫異常に基づくとされている1)
 MSや神経系感染症では,脳脊髄液中の免疫グロブリンが増加する.これは髄液中〔脳血液関門(BBB)内〕での抗体産生を反映している.感染症では,感染因子の各種抗原に対する特異的な抗体産生がみられるわけだが,MSにおいても髄液中の免疫グロブリン,特にIgGの質的な異常が見いだされる.これは,MS患者の髄液IgGを電気泳動したとき,ユニークな数本のバンド,すなわちオリゴクローナルバンド(oligoclonal band;OCB)がみられること(oligoclonal banding)として知られている.MSの髄液IgGにみられるOCBは,BBB内で産生されるIgGの多様性に制限があること(oligoclonal IgG)を意味しているが,それがある種の特異的な免疫反応の存在を示唆しているのか否か,などについていまだ不明である2)

項目●前立腺特異抗原

著者: 山田俊幸 ,   松井朝子

ページ範囲:P.564 - P.565

 前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)は,前立腺酸性ホスファターゼ(PAP),γ-セミノプロテイン(γ-Sm)と並ぶ前立腺癌診断マーカーの一つである.
 本抗原は前立腺の腺上皮細胞に存在する,分子量33,000の糖蛋白で,1979年,Wangら1)によって前立腺肥大症の組織から分離された.血中のPSAは,この腺上皮が悪性腫瘍,その他の要因で傷害を受けた際に循環血中に遊離してきたものである.

用語●コロニー刺激因子(CSF)

著者: 岡部哲郎

ページ範囲:P.566 - P.567

[1]概念
 赤血球,白血球,血小板などの血球系細胞は,多能性造血幹細胞(pluripotent stem cell)と呼ばれる共通の細胞から増殖・分化を経て生ずる.この増殖・分化の過程はin vitroにおいてシャーレ内で再現できる.骨髄の細胞を寒天培地などの半固形培地で培養することにより,1個の幹細胞から種々の血球系細胞に増殖・分化する過程(細胞のコロニー形成)が観察できる.この過程には分化してくる細胞に対応して,特異的な因子の存在が必要とされ,血球系のうちでも顆粒球(granulocyte)白血球や単球(monocyte),マクロファージ(macrophage)のコロニー形成を刺激する因子がコロニー刺激因子(colony stimulating factor;CSF)と総称される1)

試薬●コラーゲンペプチド測定試薬

著者: 中野博 ,   中林仁美 ,   辻井啓之 ,   高松正剛

ページ範囲:P.568 - P.570

はじめに
 コラーゲンは,線維芽細胞をはじめ多くの体細胞で産生される.産生細胞内で合成されたコラーゲン蛋白(プロコラーゲンと呼ばれる)は,細胞外に分泌された後,分子のN,C両末端が切断される.コラーゲンは分子量約10万の3本のペプチドから構成され,中間部はペプチドがらせん状により合わさった構造(ヘリックス構造)を持っている.
 コラーゲンの分解では,まずコラゲナーゼにより3:1に切断され,次にペプチダーゼによって小さく分解される(図1).血中あるいは尿中のコラーゲンは,NならびにC末端部,および中間部分の分解産物がペプチドの形で存在し,体内のコラーゲンの合成,分解が亢進する場合に増量する.

トピックス

免疫抑制療法の進歩

著者: 原田実根

ページ範囲:P.580 - P.582

はじめに
 免疫抑制療法は,臓器移植では当然起こりうる移植免疫反応である拒絶反応や移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)を予防するために,自己免疫疾患では異常な免疫反応によってもたらされる病態を改善するために実施される.また,免疫抑制療法は,その作用機序から,抗原特異的免疫抑制と抗原非特異的免疫抑制に区別される.免疫反応の理解が深まるにつれて,免疫抑制療法はより選択性の高い方法に変化し,優れた免疫抑制剤が新しく開発されている.

受信者動作特性(ROC)分析

著者: 辻一郎

ページ範囲:P.582 - P.583

■ROC分析とは
 近年の技術進歩は検査法の開発ペースを加速度的なものにし,医療の現場にいる者は多種多様な検査法の中から選択を迫られている.そこで,検査技術の有用性を評価すること,すなわち,「検査を検査する」ことの重要性が増している.
 その方法の一つに受信者動作特性(receiver-operating characteristic;ROC)分析がある.ROC分析は1950年代に通信工学の分野で開発されたものである.それは,受信機器(receiver)の電圧や整調器のレベルをさまざまに変えてみて(operating),出力(信号音の明瞭さ,雑音の混入程度)への影響特性(characteristic)を調べる方法であった.その後,1970年代には放射線診断学で,また近年では臨床検査でも応用されるに至った.

小円形細胞肉腫

著者: 野島孝之 ,   福島ゆかり ,   清水幹雄

ページ範囲:P.583 - P.584

はじめに
 小円形細胞腫瘍とは,顕微鏡で観察したとき小円形細胞が主体をなす腫瘍で,鑑別診断学的に便宜上まとめられた腫瘍群をいう.発生する臓器や組織は多岐にわたり,癌腫(上皮性腫瘍)でも小円形細胞から成る腫瘍もあるが,大部分は発生年齢,部位,臨床所見や組織学的に典型的な癌腫の部分を混在することから,診断は比較的容易である.一方,骨や軟部組織に発生する小円形細胞腫瘍は,組織発生母地が多彩であり,本来,発生頻度が低く,病理医が実際に症例に接する機会が少ないため,病理診断に難渋することが多い.本稿では,骨や軟部に発生する小円形細胞肉腫を紹介する.

ラボクイズ

[問題]寄生虫

ページ範囲:P.552 - P.552

5月号の解答と解説

ページ範囲:P.553 - P.553

検査データを考える

尿糖

著者: 島健二

ページ範囲:P.571 - P.574

はじめに
 尿検査は,①患者に苦痛を与えることなく常時検体採取が可能である,②異常成分が濃縮され異常が検出されやすい,③時間変化も,1日の総合変化も観察できる,④自己検査が可能である,などの特徴を有している.このような特徴から尿検査は,①スクリーニング,②慢性疾患の経過観察,③治療効果の判定などの目的に使用されている.糖尿病診療においての尿検査の意義も例外ではなく,その目的はこのあたりにある.
 糖尿は狭義にはブドウ糖尿(glucosuria)を意味するが,ブドウ糖以外の還元糖をも含み広義(glycosuria)に用いられることもある.本稿ではブドウ糖以外の還元糖尿については簡単に触れるにとどめ,主としてブドウ糖尿についての解釈,臨床的意義を述べる.

生体のメカニズム・6

サイトカインと細胞間相互作用

著者: 宮坂信之

ページ範囲:P.575 - P.577

はじめに
 サイトカインとは,種々の細胞から産生される液性の生理活性物質である.細胞同士が互いに相互作用を営む際には心要不可欠といってよい.実際に細胞同士の相互作用には,①細胞同士が互いに接触し合う場合(cognate interaction)と,②細胞がサイトカインなどを産生することによって,隣り合わせの細胞のみならず,近傍の細胞にも広く作用する場合(factor-mediated interaction)の二つがある.生体内において細胞同士が接触し合う確率はそれほど高いものではないから,サイトカインを介して相互作用をするほうがずっと能率がよいことになる.ここでは,サイトカインが細胞間相互作用に果たす役割を,生体で起きている事例を挙げて説明することにしてみたい.

講座 英語論文を読む・6

エリスロポエチンのラジオイムノアッセイ:測定性能と血液学における臨床応用

著者: 弘田明成

ページ範囲:P.578 - P.579

 CarnotとDeflandre(Fr Acad Sci 1906;148:384)がいわゆる“造血素”としての活性を証明したというよりは示唆したエリスロポエチン(EPO)は,造血成長因子として記述された最初のホルモンである.EPOはJacobsenらによって,1950年代にアメリカ合衆国において再発見された.それ以来,その生理的重要性は客観的に研究され,そして,その生化学的,遺伝子学的同定はすでに完了された.最近,EPOは数種類の重症貧血において臨床的治験がなされてきた.
 EPO濃度はバイオアッセイで測定するのは常に困難で,時間と費用のかかるものであった.例えば,多血症マウス(輸血または低酸素状態による)への59Fe(放射性鉄)の取り込み,in vitroでの新生ラットの浮遊肝細胞への59Feの取り込みや,in vitroでの正常ないし赤白血病細胞系の赤血球コロニーの成長など(による測定方法)である.初期のラジオイムノアッセイ(RIA)は,主に抗原精製が不十分なために不完全なものであった.

明日の検査技師に望む

日々の自己研鑽に励むこと

著者: 米満博

ページ範囲:P.506 - P.506

 本欄への原稿を依頼され,あらためてこの欄に記された先達たちの検査技師諸君に対する考えかたをしみじみと読ませていただいた.永年,臨床検査の分野における指導的立場にある方々のご御意見だけに,いずれも臨床検査とそれを担う検査技師に対する深い愛情と哲学がにじみ出ている.
 臨床検査の分野が質,量ともに長足の進歩を遂げ,臨床医学に重要な位置を占めるに至ったことはあらためて言うまでもない.その進展の速さが目まぐるしいほどである.この進歩の中核となったのが中央検査室制度であり,検査技師である.しかし,最近は検査室に対する考えかたに一部変化が生じていることも事実である.このような流動的な情況の中で,明日に向けて,今以上に検査技師全体の立場を高め,一人一人が臨床検査の進歩に対応していくには,どうしたらよいであろうか.

けんさアラカルト

臨床検査技師生涯教育の提言

著者: 吉田安雄

ページ範囲:P.518 - P.518

 医療技術者における生涯教育は医療現場のみならず,あらゆる分野に及んでいる.福祉施設,在宅医療など,医療技術者に対する期待は増す一方である.
 一方,中央教育審議会答申(平成2年1月)「生涯学習体制の整備について」においては,大学,短大などに「生涯学習センター」を設置することが提言されている.答申では,体系的,継続的講座の開設,生涯学習にかかわるプログラムについての研究・開発,短大などにおける学習機会に関する情報提供,学習相談などを行うこと,とされている.生涯学習社会に対応した,教育の必要性が盛り込まれた答申である.

けんさ質問箱

Q ホルター心電図の電極取り付け上の注意点

著者: 千葉賢治 ,   M.U.

ページ範囲:P.585 - P.587

 昨年の夏は特に猛暑だったせいか,ホルター心電図検査の記録状態の悪いものが多かったようです.これは,発汗や,睡眠中無意識のうちにコードや電極へ接触したことによるものと考えられます.これらに伴って起きる一時的断線(接続不良)や基線の揺れを少なくするような電極の貼り付けかたや,位置などについて,よい方法をお教えください.

Q 便の糖検査をするよい方法は/Q 右胸心心電図の判読法

著者: 中村孝司 ,   T.T. ,   柳谷泰三 ,   K.T.

ページ範囲:P.588 - P.589

 便の糖検査としてクリニテストを用いているのですが,そのほかにもっとよい方法はないでしょうか.また,この検査の臨床的意義についてもお教えください.

今月の表紙

肺末梢領域の画像解析装置による組織計測

著者: 大坪浩一郎

ページ範囲:P.526 - P.526

 肺胞組織の形態計測をフランスのNachet Vision社製イメージ・プロセッサーNS 15000により,数理形態学の像変換および像検出機能を駆使して行った.肺胞壁および毛細血管壁の不明瞭な境界線(図1)も通常このシステムでの画像検出で使われるthresholding(グレーレベルを数値化する)のみでなく,valley変換(周囲と比較して最も暗い部分を谷の線として検出する),gradient変換(隣接部分とのグレーレベルの差を検出して2値化する),skeleton(2値化した像の中心線を求める)などの像浄化の諸機能を用いて自動的に検出できた.ここに示す画像は28か月齢のラット肺の肺胞壁,毛細血管,肺胞腔など各構成分を検出するものである.
 肺は右心室から灌流固定し,エポン包埋後1μmに薄切し,トルイジンブルー染色を施した.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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