はじめに
重要な血液検査の一つとして,血液細胞(赤血球,白血球,血小板)を観察する末梢血液像検査がある.血液細胞は主に骨髄で造られ,おのおの複雑な機能を果たしつつ体内を循環する.血液像検査は,これらの細胞の数的・質的変化を観察し,造血器および生体内からの種々の情報を得ようとするものである.他の検査に比較して一滴の血液から確定診断がなされる場合もしばしばあり,重要な検査である.
雑誌目次
検査と技術19巻7号
1991年06月発行
雑誌目次
I.形態学的検査 1.形態学的検査の実際
1)末梢血液像の見かた
著者: 亀井喜恵子
ページ範囲:P.10 - P.16
2)骨髄像の見かた
著者: 相賀静子
ページ範囲:P.17 - P.22
はじめに
骨髄穿刺は,血液疾患のすべてに適用されるものではなく,限られた疾患とその治療効果の判定,疑わしい細胞や病原菌などを確認するために行われる.絶対実施してならないのは血友病,呼吸器系,循環器系の疾患である.
臨床検査技師としての業務は,骨髄穿刺の依頼を受けたら検体採取時に立ち合い,直接検体を医師の手から受け取るところから始まる.わずかな検体の種々な処理(骨髄像・有核細胞数の算定,組織検査,染免体検査など)を行うことも技師の仕事である.
3)特殊染色法
著者: 古沢新平
ページ範囲:P.23 - P.30
特殊染色には多くの種類があるが,ここでは現在でも臨床血液学的に意義の高いペルオキシダーゼ,エステラーゼ,アルカリ性ホスファターゼ,鉄の各染色法について述べる.
4)自動白血球分類装置による方法
著者: 西村敏治
ページ範囲:P.31 - P.37
はじめに
自動白血球分類装置は1974年頃,塗抹染色標本を用い形態学的特徴で鑑別する,パターン認識による方法から始まり,次に細胞化学的特徴と細胞の大きさを組み合わせたレーザーフローサイトメトリー(ライトスキッタ法)と進み,近年になって電気抵抗を応用し,細胞の大きさ,密度から分類する粒度分布法へと発展した.
ここでは赤血球形態,白血病症例は割愛し,主に白血球分類について述べる.
5)自動血球計数機の使用法
著者: 浅井正樹 , 稲垣恵章
ページ範囲:P.38 - P.46
はじめに
従来,赤血球数,白血球数,ヘモグロビン量などの血球計数測定は,計算盤を用いる視算法または用手法で実施されていた.
自動血球計数機は計測する血球数が圧倒的に多く,計数誤差が少なく,再現性がよいなどの理由に加え,1回の操作で多くの情報が瞬時に得られる点からスクリーニング検査としての意義が大きく,日常検査において短期間で急速に普及した.
6)網(状)赤血球の測定法
著者: 新谷和夫
ページ範囲:P.47 - P.49
はじめに
骨髄の赤芽球が成熟して末梢へ出るとき脱核するが,これが網赤血球である.網赤血球は一番若い赤血球で,胞体にはリボ核酸(RNA)が多く含まれ,内部に網状顆粒質が存在するが,これは超生体染色で証明されるので超生体染色顆粒とも呼ばれる.末梢血に入った網赤血球は約1日で成熟赤血球となり,120日の寿命がくるまでガス代謝に貢献している.
循環血中の網赤血球は寿命が1日という点から考えると,全赤血球中に占める割合は1/120,約0.8%になる.このように末梢血中での網赤血球は僅少成分ではあるが,これの多い少ないは骨髄での増血状態を示すものとして極めて貴重な情報である.本稿では末梢血網赤血球数の算定法を中心として記述する.
7)フローサイトメトリー
著者: 中原一彦
ページ範囲:P.49 - P.54
はじめに
人類の英知は,時としてすばらしい底力を見せてくれ,その無限の可能性に眼を見張ることがある.それがスペース空間に向けられれば宇宙開発となり,ミクロの世界に向けられれば医学,生物学研究となる.フローサイトメトリーも,人間の知識を結集した結果できあがった,まさに夢の器械といっても過言ではないだろう.
フローサイトメトリーは,主として細胞表面抗原の解析のために用いられるが,近年はそのほかにも核内DNAや細胞内pH,カルシウムの測定,貪食能や殺菌能の検索など,多方面にわたって利用されるようになってきた.今後ますますの発展が期待されるが,本稿では細胞表面抗原の解析に的を絞って記述することとする.
8)染色体検査—造血器疾患を対象として
著者: 篠原多美子
ページ範囲:P.55 - P.64
はじめに
造血器疾患が主たる対象となるため,ここでは骨髄細胞の染色体検査の技術を述べ,分析に当たっての注意点を説明し,なお種々の造血器疾患に認められる染色体異常の一部を示したいと思う.
一般に,白血病細胞の染色体は,分裂像が多く得られないことや鮮明でないことから,分析が困難であり,染色体検査を行うことを躊躇する傾向がある.だが,一方,骨髄は分裂旺盛な細胞を得る数少ない部位であり,組織培養の設備がなくとも,染色体を実際に見てみたいという場合,最も扱いやすい材料であることもまた事実である.したがって,染色体分析に必要な標本を作製する技術は,それ自体が分裂能をもつ細胞をいかに多く,いかにきれいな分裂像としてとらえるかに尽きる.
9)in situ hybridization
著者: 佐藤裕子
ページ範囲:P.65 - P.70
はじめに
近年の遺伝子工学や細胞遺伝学の進展は目覚ましく,数多くの癌遺伝子や疾患の病因と密接に結びついていると思われる種々の遺伝子が次々に発見されている1).こうした新しい遺伝子が発見されると,その遺伝子の局在部位を決定したり,さらに特定疾患における当該遺伝子の移動の有無を検討したりする必要性が出てくる.その際に必要な手法が,染色体標本上で行うin situ hybridizationである.この手法は,原理は同じであっても,実際の手技は報告者により多少の違いがある2,3).本稿では,筆者らが実際に行っている簡便なin situ hybridizationの手技について述べる.
10)Southern blot法
著者: 池田健 , 西井一浩 , 北堅吉
ページ範囲:P.71 - P.76
はじめに
造血器腫瘍の診断,研究において急性白血病のFrench-American-British(FAB)分類や非Hodgkinリンパ腫のLymphoma Study Group(LSG)分類に代表される純形態学的側面に加え,表現型解析,すなわち表面膜抗原を中心とした表現型に基づく分類がそれらの臨床病態と密接な関係が認められ,高い有用性が得られている.
近年の分子生物学や遺伝子工学の目覚ましい進歩により免疫グロブリン遺伝子やT細胞抗原受容体遺伝子が,多彩な抗原の認識に遺伝子構造の組換え(再構成)により対応していることが明らかにされ,後述するように各種造血器腫瘍の系統の決定や単一性の証明に遺伝子型解析が導入されるようになってきた.この稿においては,Southern blot法1)を用いるDNA診断法について血液腫瘍における免疫関連遺伝子のDNAプローブを用いた結果を中心に概説する.
11)Northern blot法
著者: 長谷聖美 , 青木洋祐
ページ範囲:P.76 - P.81
はじめに
DNAが転写されてメッセンジャーRNA(mRNA)が作られ,さらにこのmRNAが翻訳されて蛋白質が合成される.ここで,ある蛋白質が合成されているかどうかを調べるのに,その鋳型となったmRNAの定量,解析が行われる.この際に用いられる技法がNorthern blottingであり,医学,分子生物学などの分野では欠かすことのできない技術となっている.
実際には,まずRNAを変性条件下でアガロースゲル電気泳動をして大きさにより分画した後,ニトロセルロースフィルターあるいはナイロンメンブランに移し,特定のプローブとhybridizeさせて,RNAの量的・質的解析を行う.
12)polymerase chain reaction法
著者: 北村聖
ページ範囲:P.82 - P.87
はじめに
polymerase chain reaction(PCR)はDNAポリメラーゼ反応を利用したDNAの増幅法である.この方法は最近,開発され,短期間に多くの分野で応用された,遺伝子解析における画期的方法である.
この反応の媒体である酵素DNAポリメラーゼは,一本鎖DNAを鋳型にして相補的なDNAを合成するが,その反応の開始にはプライマーすなわち開始点に当たる短い二重鎖部分を必要とする.したがって,適当なプライマーを利用することにより,それを開始点とする目的のDNA領域を合成できる.生体のDNAは通常,二本鎖であるので,分析したいDNA領域を挟む二つのプライマーを用いることにより,1回の反応でその領域を倍化できる.このDNAポリメラーゼ反応を繰り返すのがPCR法の原理であり,n回のサイクルにより原理的には2のn乗倍(2n)にDNAを増幅できることになる.重要な点は,PCR法を用いれば検体中の分析したいDNA領域だけを数十万倍にも増幅できるので,分析の大幅な高感度化,微量化を達成することができるようになったことである.PCRの感度は計算上も,文献的にも,1分子のDNAを検出できるという驚くべきものである.
2.その他の検査
2)血液幹細胞の培養法とサイトカイン
著者: 中畑龍俊
ページ範囲:P.95 - P.103
はじめに
血液中には形態と機能を異にする種々の血球が存在するが,それらはいずれも固有の寿命で崩壊している.しかし,正常な個体では各血球数はほぼ一定に保たれており,出血,感染などに際しては,それに反応して速やかに赤血球,好中球が増加する.このように血球の産生には,極めて巧妙な造血調節機構が存在していると考えられる.
すべての血球は共通の母細胞である全能性(pluripotent)造血幹細胞(stem cell)に由来することが証明されている.造血幹細胞から各血球系の終末細胞への増殖・分化の調節機構は,近年,多大の関心を集めている分野であり,これに関与する種々の造血因子(サイトカイン)の存在が明らかにされてきた.
3)顆粒球機能検査
著者: 北川誠一
ページ範囲:P.103 - P.108
はじめに
主要な顆粒球機能異常症とその特徴を表9に示した.これらの疾患の中で顆粒球機能検査を必要とする最も重要な疾患は,慢性肉芽腫症である.C3biレセプター欠損症の頻度は慢性肉芽腫症よりはるかに少ないが,確定診断のために顆粒球機能検査を必要とする.また,最近増加傾向にある骨髄異形成症候群の一部の症例においては,顆粒球数の減少に加えて著明な顆粒球機能の異常が易感染性の一因と考えられている.Chediak-東症候群,ミエロペルオキシダーゼ欠損症および特殊顆粒欠損症は通常の末梢血塗抹標本および特殊染色で診断可能であり,顆粒球機能検査は病態把握の補助的な役割を果たしている.
これらの観点に立ち,本稿では末梢血からの顆粒球(好中球)分離法,ニトロブルーテトラゾリウム(nitroblue tetrazolium;NBT)テスト,スーパーオキシド産生能,粘着能,貪食能および遊走能の測定法について概説する.
1)溶血性貧血の検査
(1)溶血性貧血と生体
著者: 松本昇
ページ範囲:P.88 - P.89
溶血とは,赤血球膜が破れてヘモグロビンが血球外に流出する現象である.溶血が主要原因となって血液中のヘモグロビン濃度が減少した病態を溶血性貧血(hemolytic anemia)と総称する.
溶血性貧血の検査は,①溶血の存在を裏づける検査,②溶血の原因を明確にする検査,③貧血の代償機序を示す検査,に分けられる.
(2)赤血球浸透圧脆弱性試験,Ham試験,sugar-water試験
著者: 藤岡成德
ページ範囲:P.90 - P.92
■赤血球浸透圧脆弱性試験
1.測定の定義
遺伝性球状赤血球性溶血性貧血(hereditary spherocytosis;HS)の診断に用いる.先天性溶血性貧血はわが国では必ずしも多くないが,家族性に,時には孤立性に球状赤血球のみられる貧血の診断に必要である.
(3)異常ヘモグロビン
著者: 原野昭雄 , 原野恵子 , 上田智
ページ範囲:P.93 - P.95
はじめに
ヘモグロビン(hemoglobin;Hb)はα鎖と非α鎖(β,γ,δ)グロビンがそれぞれヘムと結合し会合して四量体(テトラマー)を形成した赤色の複合蛋白である.赤血球中の大部分はHbで占められており,その組成は正常人で,HbA(α2,β2,約90%),HbA2(α2δ2,約3%),HbF(α2γ2,約1%)のほか,HbAが糖と結合したHbA1(HbA1c)である.これらHbを構成するグロビンのアミノ酸配列上の1個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたHbが異常Hbである.またα鎖と非α鎖間の合成不均衡が原因のサラセミア症,特にα鎖の合成が抑制されたαサラセミア症患者の血中にみられるβ鎖やγ鎖が四量体を形成したHbH(β4)やHb Bart's(γ4)も異常Hbに数えられる.これらの異常Hbは,無症状なものから溶血性貧血,チアノーゼ,多血症など多様な臨床症状を呈する.
異常Hbはアミノ酸置換のため正常Hbとの間に電気的差異を生ずるので,その検索に電気泳動法が応用される.これには支持体の種類により,①セルロースアセテート(CA)膜電気泳動,②寒天ゲル電気泳動,③殿粉ゲル電気泳動や,④アンホライトを含むポリアクリルアミドゲルで等電点差を利用して分画する等電点電気泳動などがある.またアミノ酸の置換によって起こるHb分子の不安定化を検索する⑤イソプロパノール沈殿試験や,⑥熱不安定性試験などがある.
II.止血機能検査 1.検査の考えかた
1)生体の止血機構
著者: 藤巻道男
ページ範囲:P.118 - P.125
はじめに
血液は生体内において循環し,その流動性を保っており,血液凝固の促進因子としての前駆因子(procoagulants)と阻止因子(inhibitors)とが調和された状態にあるため,血管内凝固は起こりにくい.また,生理的状態では血管が傷害されて出血が起こっても,直ちに止血される.この止血機構(hemostasis)には,①血管の収縮および血管周囲組織の状態,②血小板の粘着・凝集・放出反応,③血漿凝固因子の機能,④フィブリンを溶解させる線溶現象,⑤凝固や線溶の過剰な反応を抑制する阻止因子,これらが相互に関与しているのである.これらの機構が互いに動的平衡(homeostasis)を保ち,血管を中心として調和した機能を営んでおり,これを血管統合性(vascular integrity)という.この機能の均衡の破綻として因子の欠損や活性化が起こると,出血や血栓が発現し,止血異常としての凝血障害症(coagulopathy)となる.このような生体の止血機構について,その概略を述べる.
2)止血異常における検査とその組み立てかた
(1)止血異常患者へのアプローチとスクリーニングテスト
著者: 中村克己
ページ範囲:P.125 - P.128
はじめに
健常人にあっては,血管内皮をはじめとする血管壁,血流に異常がなく,しかも血小板・凝固・線溶各因子,さらにはこれらの諸因子に対する生理的阻止因子が互いに凝血学的バランスを保っているので,容易に出血することはなく,血栓を形成することもない.このような止血機構に破綻を生じた場合に止血異常となるわけで,この止血異常は出血しやすく止血困難な出血性素因(出血傾向)と,それとは裏腹の血栓を形成しやすい血栓性素因(血栓傾向)とに大別される.
これらの素因のある患者が受診した場合,いきなり検査を施行するわけではなく,まず問診をはじめとする診察が十分になされる必要がある.つまり,検査以前に診断上秘められた問題のあることを忘れてはならない.検査以前にあるもの,検査の裏にあるものに想いを致し,より有意義な検査へと努力することが肝心である.
以下,二つの素因それぞれの患者へのアプローチとスクリーニングテストについて述べる.
(2)出血傾向の検査方針
著者: 櫻川信男
ページ範囲:P.129 - P.136
はじめに
出血傾向は先天性,あるいは肝・腎疾患や膠原病などで続発する後天性の凝固障害による出血をきたしやすい状態である.凝血機序は血管系,血小板系,凝固系,線溶系および阻害系の五つの要因から成立し,それぞれが関連し合い血管壁を中心に作動して出血を防御している.しかし,加齢による動脈硬化,重症感染時のエンドトキシンやスーパーオキシドなどの毒性要因,サイトカインなどの免疫要因や糖尿病などの代謝異常で血管壁が障害されると出血をみるが,逆に凝固系の活性化をきたし血栓形成に傾き,血小板や凝固因子が消費されて減少し,出血をもたらす播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulationsyndrome;DIC)がある.
出血傾向をきたす各種疾患の病態生理を理解しつつ,その確定診断のための検査方針を述べる.
(3)血栓症,播種性血管内凝固症候群(DIC)の検査指針
著者: 出口克巳
ページ範囲:P.136 - P.140
はじめに
血管内に血栓が形成されると,その存在部位より末梢部では虚血状態に陥り,組織や臓器の機能障害をもたらし,時には致死的転帰をとることすらある.1989年の『厚生の指標』によれば,精神障害を除き6か月以上入院した65歳以上の患者の60.6%が循環器系の疾患であり,その41.8%は脳血管疾患であったと報告している.この循環器系疾患の多くは血栓性疾患である.血栓発症に至るまでには血小板機能亢進,凝固亢進あるいは低線溶を特徴とする血栓準備状態(prethrombotic state)と呼ばれる時期が存在することが考えられる.このような病態を早期に把握し,適切な治療により血栓発症を予防することは,現代医療の重要な課題の一つでもある.
播種性血管内凝固症候群(DIC)は,なんらかの原因により急激に全身の微小血管内に血栓が形成される結果,凝固因子量・血小板数の低下,線溶亢進による出血や臓器障害に基づく症状をきたすものである.DICにおいては臓器症状が著明となった時点での治療開始では治療効果を期待し難いことが多い.したがって,DICの早期診断と早期治療開始が望まれ,DIC準備状態,pre DICなどと表現される病態が注目されている.このような現状を踏まえ,今回,血栓症ならびにDICの検査方針に関しても早期診断のための検査を主に記載する.
(4)止血学的分子マーカー
著者: 風間睦美
ページ範囲:P.140 - P.145
■止血学的分子マーカーの種類
生体の止血機能は血小板,凝固系,線溶系および血管系の四大機能によって有機的に営まれているが,この機能の低下によって出血傾向が,他方,異常亢進によって血栓症や播種性血管内凝固症候群(DIC)がもたらされる.止血機能検査としては出血時間,血小板数,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),プロトロンビン時間(PT),トロンボテストおよびフィブリノゲンなどの測定,および合成基質を用いるアンチトロンビンIII(ATIII),プラスミノゲン,α2-プラスミンインヒビター(α2PI;α2-アンチプラスミン)の定量法などがある.しかし,血小板数や凝固・線溶系因子のこのような定量的測定によっては,凝固亢進を検出することは不可能で,止血機能の活動性を把握するには止血学的分子マーカーの測定によらねばならない.現在,止血の四大機能の亢進を検出する数多くの分子マーカーが測定されるようになった(表12).
血小板が刺激を受けると粘着,凝集などの反応を起こし,種々の代謝産物や顆粒中の貯蔵物質を放出する(図8).これらのうち,トロンボキサンA2(TXA2)の代謝産物であるトロンボキサンB2(TXB2),α顆粒から放出されるβ-トロンボグロブリン(βTG)や血小板第4因子(PF4)が血小板活性化の分子マーカーとなる.
2.検査の実際と症例の解釈 1)血小板機能検査 A.検査法
(1)出血時間
著者: 松野一彦
ページ範囲:P.146 - P.149
■出血時間測定の意義
血小板は,損傷を受けた血管の内皮下(膠原線維など)に粘着して活性化され,放出・凝集反応を介して血小板血栓を形成し,一次止血を完了する.出血時間の測定は,血管を穿刺してから,上記の諸反応を経て止血するまでの全経過をトータルに把握できる検査と考えられている.従来は,血小板減少を簡単にスクリーニングできる検査法として用いられてきたが,血小板数の計測が容易にできるようになった現在では,血小板機能異常のスクリーニング検査,あるいは抗血小板薬治療のモニターのための検査としての意義が大きくなってくるものと思われる.
(2)毛細血管抵抗性
著者: 藤村欣吾
ページ範囲:P.150 - P.151
■測定の意義
血管は血液を液状に保ちながら,内腔に保持し,種々の物質の輸送経路として重要な役割を担っている.血管の破綻は出血として表現され,これに対して生体はまず血管の収縮による破綻部位の機械的な縮小を図り,止血への方向づけをする.また血管内皮細胞におけるvon Willebrand因子(vWF),第V因子などの凝固因子やコラゲン,トロンボスポンジン,フィブロネクチン,エラスチンなどの高分子接着蛋白の生合成を高め,止血に作用する.一方,破綻面に露出した内皮下組織,特にコラゲンやフィブロネクチンなどにはvWFを介して血小板が粘着して活性化されるとともに,凝固因子も組織破綻によって生じる組織因子を介して活性化される.この結果,血管壁,血管内皮細胞,血小板,凝固因子が総合的に作用して止血が完了する.
これら一連の止血機構をin vivoで総合的に検査する方法の一つとして,毛細血管抵抗試験は位置づけることができる.すなわち,本試験はこれら止血機構によって裏づけられている毛細血管の脆弱性と透過性を併せ測定していることになる.
(3)血餅退縮能
著者: 藤村欣吾
ページ範囲:P.151 - P.152
■測定の意義
血液凝固が始まると,血小板を中核としたフィブリン血栓(血餅)が形成される.すなわち,活性化された血小板膜上の血小板膜糖蛋白(GPIIb-IIIa複合体)はフィブリノゲンあるいはフィブリンのレセプターとして働き,これらの蛋白を結合する.その結果,血小板は高分子蛋白を介して互いに凝集し合い,他の血球成分や血漿成分を中に取り込んで血小板血栓を形成するとともに,凝固因子の活性化によって生じたトロンビンにより,さらに強固なフィブリン網が形成されて血栓が完成する.血栓はその後,血小板の収縮蛋白(主としてアクトミオシン)の作用によって血小板を中心としたフィブリン網を収縮させ,よりコンパクトな強固な血栓となる.このとき血栓内に取り込んだ血清成分を圧出する.
したがって,本試験は血小板数,機能,フィブリノゲン量,機能,他の凝固因子量と機能,線溶能などを反映していると考えられている.
(4)血小板粘着能
著者: 新倉春男
ページ範囲:P.153 - P.156
はじめに
血小板は止血機構および血栓形成に中心的役割を演じており,その基本的機能が粘着(adhesion),凝集(aggregation),放出反応(release reaction)である.血管壁が傷害されると,露出した血管内皮下組織に血小板が粘着し,さらに凝集・放出反応が起こり,不可逆的な凝集へと進み,血小板血栓が形成される.これらの一連の過程は急速に進むので,純粋に血小板の粘着のみを測定できる簡便な日常検査法は長い間待望されているのにもかかわらず,まだ開発されていない.
現在までさまざまな血小板粘着能の検査法が考案されているが,その中で,血小板がガラス面に粘着しやすい性質を利用したガラスビーズカラム法が日常検査として最も普及している.また,日常検査としては行いにくいが,内皮細胞を剥離させた家兎大動脈壁を用いる方法がBaumgartnerによって開発されており,より生理的に近い条件で粘着能を測定できると考えられる.
(5)血小板凝集能
著者: 久米章司
ページ範囲:P.156 - P.160
■測定の意義
血小板の役割は,血管の損傷部位での血小板血栓形成であり,これにより止血機構において重要な役割を果たしている.血管内皮が損傷を受けて内皮下組織が露出すると,それに対する血小板の粘着,粘着血小板からの放出,放出物質(アデノシン二リン酸〔adenosine-5′-diphosphate;ADP〕による血小板の凝集という一連の反応が起こり,血小板血栓が形成される.この生体内における血小板の凝集の度合いをin vitroで確かめる検査が,血小板凝集能検査である.
血小板凝集能検査は血小板機能検査の中心的位置を占め,臨床検査室で行われる日常検査の一つとなっている.血小板凝集能検査は,従来,質的血小板機能異常症の診断にのみ限定されているきらいがあったが,最近では血栓傾向あるいは血栓準備状態の発見やその一つの指標としての,また抗血小板剤の効果判定あるいは血栓症治療のモニターとしての利用がなされている.しかし,日常検査として用いられている止血血栓関係の検査法のうちでは,その標準化が最も遅れている検査法といっても過言でなく,その意味で血小板凝集能検査の統一化,標準化,施設間差の是正などの大きな問題が残っている.
(6)β-トロンボグロブリン,血小板第4因子
著者: 塚里孝和
ページ範囲:P.161 - P.164
■測定の意義
β-トロンボグロブリン(β-thromboglobulin;βTG)と血小板第4因子(platelet factor 4;PF4)は,血小板のα顆粒に存在する血小板固有の蛋白質で,血小板以外の組織には存在しないことが指摘されており,血小板の活性化に伴い循環血中に放出される.
βTGは,81個のアミノ酸(分子量8,850)のサブユニットから成る四量体(テトラマー)で,血中の半減期は約100分と短く,主に尿中に排泄される.一方,PF4は血漿中では,70個のアミノ酸(分子量6,900)のサブユニットから成る四量体として存在し尿中に排泄されるが,ヘパリンに親和性が強く,α顆粒から放出された後,速やかに血管内皮細胞表面のヘパリン様分子に結合して循環血中から消失するため,半減期は測定不能なほどに極めて短いと考えられている1).したがって,βTGとPF4は,in vivoにおける血小板活性化のよい指標として有用な検査とされているが,両者を同時に測定することが重要である.
(7)トロンボキサンB2
著者: 森田育男
ページ範囲:P.164 - P.168
■測定の意義
血小板で作られるトロンボキサン(TX)A2と血管内皮細胞で作られるプロスタサイクリン(PGI2)の陰陽バランスが,循環器系の恒常性維持にとって極めて大切であるということは,すでによく知られている.両物質の血中動態を知ることにより,循環器疾患の状態を診断したり,循環器系に働く薬剤の効果を判定したりしようとする試みがなされている.しかし,TXA2の水溶液中の半減期は,32.5±2.5秒,PGI2のそれは約5分と,ともに極めて短寿命で,このままの形では臨床への応用は不可能であった.そこで,それぞれの非酵素的分解産物で安定な,TXB2と6-ケトープロスタグランジン(PG)F1αがその測定マーカーとして用いられてきた.しかし,最近になりTXB2を生体内TXA2のマーカーとしていたことに対する疑問が生じてきた.それは,TXB2は生体内ではすぐに代謝されてしまい,血液中にはほとんど存在しないことが示されたことによる.
アスピリン投与後に100μgのTXB2を静脈注射し,その50分後の血中濃度を調べたところ,50pg/ml以下にまで低下していたが,アスピリン非投与後では2,300pg/mlと高値を示した1).このことは,①TXB2はヒト血液中にはほとんど存在していない,②採血時の刺激によりTXB2が産生される,ということを意味している.
(8)血小板抗体
著者: 降旗謙一 , 石田文宏
ページ範囲:P.168 - P.171
■測定の意義
慢性特発性血小板減少性紫斑病(chronic idiopathicthrombocytopenic purpura;ITP)をはじめとする自己免疫性血小板減少症,新生児同種免疫性血小板減少性紫斑病(neonatal alloimmune thrombocytopenicpurpura;NATP)や血小板輸血不応状態(platelettransfusion refractoriness;PTR)などの同種免疫性血小板減少症の診断のために,抗血小板抗体の検出は不可避である.最近,この目的のために血小板膜糖蛋白(glycoprotein;GP)に対するモノクローナル抗体を利用して感度および特異性を向上させた方法が開発された1〜3).本稿ではこれらのモノクローナル抗体を利用した方法のうち,われわれが開発したmodifiedantigen capture ELISA(MACE)法を中心に紹介する.なお,血小板特異抗原系を表6に示した.
B.症例呈示
(1)血小板無力症の一姉妹例
著者: 粉川皓年 , 野村昌作
ページ範囲:P.172 - P.176
はじめに
先天性血小板機能異常症の診断には,血小板機能検査とともに膜の詳細な解析が必要である.血小板の膜には,血小板の粘着,凝集などの機能に中心的な役割を果たす膜糖蛋白(glycoprotein;GP)が多数存在しており,中でもGPIb,IIb,IIIaの3種類の糖蛋白は特に重要である.代表的な先天性血小板機能異常症である血小板無力症(Glanzmann's thrombasthenia;GT)は,アデノシン二リン酸(ADP)凝集の減弱,血餅退縮不良,出血時間の延長を特徴とし,GPIIbとGPIIIaの量的欠損がみられる.
本稿では,われわれが経験したGTの姉妹例について,血小板機能および血小板膜糖蛋白の解析結果について報告し,若干の考察を加えたい.
(2)抗血小板剤の効果
著者: 田上憲次郎 , 川越栄
ページ範囲:P.176 - P.180
はじめに
血小板は正常人の流血中では,せんべい状の形態を保って循環している.かかる条件下での血小板を一般には(活性化刺激を受けていない)静止状態の血小板という.しかしながら,傷害された血管壁あるいは内皮細胞に被われていない異物と接触すると,血小板は速やかに粘着(adhesion),せんべい状から球状への形態変化(shape change),放出反応(分泌)(release reaction,またはsecretion),および凝集(aggregation)といわれる一連の反応を引き起こす.そして,その部位において血小板血栓(止血血栓)が形成される.このような反応は止血血栓の形成時のみでなく,いわゆる動脈血栓の形成時にも生じるとされる.実験的に血小板凝集計を用いて,多血小板血漿(platelet-rich plasma;PRP)に種々の刺激剤(アデノシン二リン酸〔ADP〕,コラゲン,トロンビンなど)を添加した場合にも,ほぼ似たような反応が生じるのは周知のことである.
抗血小板剤はこのような血小板の反応のうちで生体にとって害になるようなものに対して,予防もしくは治療の目的で考案されたものであり,上記の一連の反応をどこかで断ち切ることにより,血栓の形成を阻止することを目的とする.
(3)特発性血小板減少性紫斑病
著者: 渡辺清明
ページ範囲:P.180 - P.185
はじめに
特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)は免疫機序により血小板が体内で破壊されるために生じる血小板減少症である1).
大別して急性と慢性のものがある.急性ITPは多くの場合,小児に認められる.その特徴は,①急激に生じる血小板減少,②先行するウイルス感染,③1〜2か月以内に自然治癒する,などである.一方,慢性ITPは20〜50歳の成人に認められるもので,①比較的慢性に経過する血小板減少,②女性に多くみられる,③自己免疫機序を有する,④自然治癒することもあるが,多くはなんらかの治療を要する,などの特徴を有する2).内科においては特に後者の慢性ITPが主流であるので,本稿では慢性ITPについてのみ記述する.急性ITPについては他の論文を参照されたい.
本稿では最初に慢性ITPの病因,検査所見,診断ならびに鑑別診断などを概説し,最後に症例を4例呈示する.
2)凝固検査 A.検査法
(1)活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
著者: 髙宮脩
ページ範囲:P.187 - P.190
はじめに
部分トロンボプラスチン時間(partial thromboplastin time;PTT)は,血友病のスクリーニング検査としてLangdell1)によって考案された.組織トロンボプラスチン(脂質蛋白質)を用いて外因系凝固を測定するプロトロンビン時間(prothrombin time;PT)を完全トロンボプラスチン時間,これに対して組織トロンボプラスチンのクロロホルムやエーテル抽出物(リン脂質:粗製セファリン)を用いて内因系凝固を測定する方法をPTTと称した.その後,Proctor2)らにより,PTTの測定値の安定性を向上させるためにカオリンを加えたカオリン加活性部分トロンボプラスチン時間(KPTT)が開発された.同様の目的でセライトやエラジン酸などの活性化剤を加えたものを含めて,活性化部分トロンボプラスチン時間(activated PTT;APTT)と総称する.
(2)プロトロンビン時間(PT),トロンボテスト(TTO)
著者: 鈴木節子
ページ範囲:P.191 - P.195
■測定の意義
1935年にA. J. Quickがプロトロンビン時間(prothrombin time;PT)測定一段法を考案したが,これは血漿中のプロトロンビン(凝固II因子;F. II)および第V因子(F. V),第VII因子(F. VII),第X因子(F. X),フィブリノゲン(I因子),それらの阻止因子などを包括した外因系凝固異常の検出に適用され,因子の欠損,消費による止血作用の低下状態を総合的に検知する検査法である.
本測定法の適応には,①スクリーニング検査として病状の把握・出血時や手術時に補給すべき因子を検索する,②肝臓で合成されるビタミンK依存性凝固因子の減少を検出し,これらの合成能障害(新生児メレナ・ビタミンK欠乏症,肝疾患など)の指標となる,③虚血性心疾患(心筋梗塞など),人工弁使用者でのクマリン系経口抗凝血薬療法のモニタリング,このほか血友病ではPTは延長を示さないが,ウシ脳由来の組織トロンボプラスチンを使用すると延長する血友病BMの検査がある.また,血液中に組織液や細胞破壊物が流入して起こる凝固亢進状態では,凝固時間が短縮することになるが,PTでは,十分量のトロンボプラスチンを加えて検査するため,その変化は凝固亢進をとらえ難い.
(3)ヘパプラスチンテスト(HPT)
著者: 安室洋子
ページ範囲:P.195 - P.198
はじめに
外因性凝固検査法としては,従来からプロトロンビン時間(Quick一段法;PT)測定が凝固異常のスクリーニングテストとして用いられている.PTに関与する因子のうちフィブリノゲン,第II因子(F. II),第V因子(F. V),第VII因子(F. VII),第X因子(F. X)は主に肝臓で産生されるので,PT測定は肝機能検査法の一つとしても重視されている.
1959年Owren1)により考案されたトロンボテスト(TTO)は,クマリン系抗凝固薬投与時に低下するF. II,F. VII,F. Xの総合的定量に主眼を置いた測定法で,正常値の30%以下の範囲での定量性が高くなるように調整されている.なお,抗凝血薬服用者のTTO値はF. II,F. VII,F. Xが,同じ程度に低下した肝疾患患者のTTO値よりも延長することがHemkerら2)によって報告されているが,これは前者の血漿に阻害物質(protein induced by vitamin K absence or antagonist;PIVKA)が存在するためと考えられている.
(4)凝固因子活性 a)凝固因子欠乏試剤を用いた一段法
著者: 江川宏
ページ範囲:P.199 - P.202
■測定の意義
各凝固因子についてその生物学的活性を知ることは,以下の事項において有意義である.
(1)先天性凝固因子欠乏症の診断.
(2)(1)の場合,免疫学的測定法による抗原量と併せ考察することにより,その症例が量的欠乏症か分子異常症かを鑑別する.
(3)先天性凝固因子欠乏症の保因者診断.特に血友病Aの場合,保因者の第VIII因子(F.VIII)凝固活性(coagulant activity;C)(F. VIII;C)/von Willebrand因子(vWF)抗原(vWF:Ag)比は正常女性のそれと比較すると有意に低いことから,保因者の約90%は診断が可能である.
(4)凝固因子欠乏症患者の止血管理のモニターとして有用である(特に血友病において).
(5)凝固因子抑制物質(インヒビター)の検出とその力価測定およびその中和能の測定ができる.
(6)後天性要因による各凝固因子の変動を知ること,すなわち,重症肝実質障害,播種性血管内凝固症候群(DIC)およびビタミンK依存性因子のビタミンK不足などにおける凝固因子活性の低下,妊娠や経口避妊薬による上昇など.
(4)凝固因子活性 b)発色性合成基質を用いた凝固因子定量法
著者: 本射滋己
ページ範囲:P.202 - P.206
はじめに
血液凝固は蛋白分解酵素の連鎖反応系であり,その過程において種々の活性化凝固因子(プロテアーゼ)が生成される.近年,これらのプロテアーゼと特異的に反応する発色性合成ペプチド基質(合成基質)が開発され,それ以前には測定が困難であった阻害物質の特異的定量法が確立された.さらに最近では凝固因子定量法にも応用され,注目されている.
従来から凝固因子定量は目的因子の欠乏血漿を使用し,フィブリン形成に要する時間を測定しているが,合成基質を用いると,目的の凝固因子が関与している酵素反応の部分だけを活性化させることで,目的因子の活性量を産生されたプロテアーゼの活性量として定量できる.しかし凝固因子には①プロテアーゼ前駆体として存在するもの,②プロテアーゼの補酵素作用を担うものなどがあり,それぞれ測定原理も異なる.また,測定用試薬は特殊な生物試薬,精製凝固因子およびプロテアーゼなど自家調製あるいは試薬管理に難がある.このため,本稿では①に属する第X因子(F.X)と②に属する第VIII因子(F.VIII)について,おのおのの測定用試薬キットであるテストチームFactor X,テストチームFVIII(ともに第一化学薬品)を用いた測定方法を以下に解説する.
(4)凝固因子活性 c)第XIII因子測定法
著者: 富田幸治
ページ範囲:P.207 - P.209
はじめに
血漿第XIII因子(F. XIII;fibrin stabilizing factor)は2種類のポリペプチドサブユニット,すなわちサブユニットa(a,a鎖)とサブユニットb(b,b鎖)から成り,血漿中にはa2b2の分子形態(分子量=320,000±20,000)で存在する.これに対して血小板,胎盤などにもF. XIIIが存在し,サブユニットaのみから構成され,a2の分子形態(分子量=146,000±10,000)をとる.サブユニットaは分子量75,000で6個の-SH基を持ち,そのうちの一つが活性中心を構成する.サブユニットbは分子量88,000でS-S結合を16〜17個有するが-SH基はなく,酵素活性のない運搬蛋白(carrier protein)と考えられている.
血漿F. XIIIは,血液凝固の最終段階でトロンビンとカルシウムイオン(Ca2+)によって活性化され,活性型血漿第XIII因子(F. XIIIa,活性型フィブリン安定化因子〔activated FSF〕,血漿トランスグルタミナーゼ)となる(図49).F. XIIIaはフィブリン分子間にγ-グルタミル-ε-リジン結合による架橋結合(γ-ダイマー,α-ポリマー)を形成し,フィブリン血栓を安定化させる.F. XIIIaのその他の重要な生理的作用としては,α2-プラスミンインヒビター(α2PI)とフィブリンα鎖,フィプロネクチンとフィブリンα鎖の架橋結合が挙げられる.
(5)凝固因子抗原
著者: 高橋芳右
ページ範囲:P.210 - P.215
はじめに
各種凝固因子の測定は一般に血漿凝固時間(活性化部分トロンボプラスチン時間〔APTT〕,プロトロンビン時間〔PT〕)や発色性合成基質を用いた生物学的活性の定量として行われる.しかし凝固因子も蛋白質であり,ある臨床病態においては蛋白(抗原量)としては存在しながら,凝固活性が欠如している場合も存在する.これは凝固因子に限らず,線溶系因子および凝固・線溶阻止因子の場合も同様である.このため免疫学的手技を用いた凝固因子および関連因子の抗原測定も重要となる.
本稿では凝固因子抗原測定法の原理と手技について概説し,臨床的意義についても触れることとする.
(6)von Willebrand因子
著者: 藤村吉博 , 西尾健治 , 西田幸世 , 福井弘 , 宇佐美好子 , 千谷晃一
ページ範囲:P.215 - P.220
はじめに
von Willebrand因子(vWF)は,出血時に露出した損傷血管内皮細胞下組織に血小板が粘着,そして凝集する一次止血において,血小板と内皮細胞下組織を接着させる《接着分子(一種の糊)》として働く巨大分子糖蛋白質である.血管内皮細胞および骨髄巨核球内で産生され,血漿中では分子量270kDaの単一サブユニットが,種々の程度に重合して分子量0.5×106〜20×106の不連続に分布するマルチマーとして存在している.また凝固第VIII因子(F.VIII)と複合体を形成するキャリアー蛋白として,またF.VIIIの安定化因子としても働く1,2).
(7)フィブリノゲン
著者: 桜井典子
ページ範囲:P.221 - P.224
はじめに
フィブリノゲンは分子量約340,000で,生体内半減期は3〜4日の糖蛋白である.肝実質細胞で産生され,その約80%は血漿に,残りが組織に分布しているといわれている.フィブリノゲンは血液凝固第I因子(F.I)と呼ばれ,血液凝固の最終段階でトロンビンによってフィブリンとなり,血栓,止血に重要な役割を果たしているので,その測定は臨床上意義が大きい.
(8)PIVKA-II
著者: 目黒嵩 , 高山成伸 , 山崎哲
ページ範囲:P.224 - P.228
はじめに
古くから,新生児が出産2〜4日目頃に突然出血症状をきたすことが知られていた.1976年,Stenfloらは第II因子(F. II:プロトロンビン)のC末端にγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)が存在するが,ビタミンKが欠乏するとグルタミン酸(Glu)はGlaにならずPIVKA(protein-induced by vitamin K absence orits antagonist)-IIになることを明らかにした.ビタミンKは,このカルボキシル化反応に必要であり,カルボシキル化酵素(GCase;γ-カルボキシラーゼ)の活性を促す.dicumarolの薬効は,このGCaseの活性を阻害することにより,通常の凝固活性を持たない物質であるPIVKAを血中に出現させるものである.プロトロンビンの場合,1分子中に10個のGlaを持ち,カルシウムイオン(Ca2+)と強い結合を示し,リン脂質の作用を受けて凝固活性を示す.肝ではプロトロンビンの前駆体であるポリペプチドとして合成される.次いで,ビタミンKの存在下で前駆ポリペプチドのグルタミン酸残基(Glu)のγ位の炭素が,GCase作用でカルボキシル化を受けGlaに転換される.筆者の経験では免疫学的に必ずしも同一でなく,二次元免疫電気泳動法によりプロトロンビンとPIVKA-IIを観察した場合,プロトロンビンの沈降線は明瞭であるのに対して,PIVKA-IIの沈降線は不明瞭である.
(9)プロテインC,プロテインS
著者: 西岡淳二 , 小坂義種 , 林辰弥 , 鈴木宏治
ページ範囲:P.228 - P.234
はじめに
血液凝固反応で生成された活性化第X因子(F.Xa)やトロンビンは,血液中のセリンプロテアーゼインヒビターのアンチトロンビンIII(ATIII)によって阻害される.それに対して血管内皮細胞には,F.Xaやトロンビンの生成を阻害するプロテインC制御系が存在する.凝固反応で生じたトロンビンは,血管内皮細胞上のトロンビンレセプターであるトロンボモジュリンに結合する.トロンボモジュリン結合トロンビンは,フィブリノゲン凝固活性,血小板活性化作用などの向凝固活性が阻害され,セリンプロテアーゼ前駆体のプロテインCを特異的に活性化する.活性化プロテインCは,プロテインSをレセプターとして血小板や血管内皮細胞に結合し,凝固系活性化第VIII因子(F.VIIIa),活性化第V因子(F.Va)を特異的に分解・失活化し,凝固反応を阻害する.
本稿では,プロテインC,プロテインSの構造と機能,測定の臨床的意義を概説した後に,両因子の測定法を紹介する.
(10)アンチトロンビンIII
著者: 新谷憲治 , 櫻川信男
ページ範囲:P.235 - P.238
■測定の意義
アンチトロンビンIII(ATIII)は,セリンプロテアーゼ・インヒビター(serpin)ファミリー1)の一員で,血液凝固因子のトロンビンや,活性化第X因子(F. Xa),活性化第IX因子(F. IXa)を不活化する重要な血漿因子である.このAT IIIの最も特異的なところは,その抗トロンビン作用が,ヘパリンの存在で約1,000倍にもスピードアップされる点にある(progressive inhibitorからimmediate inhibitorとなる)2).ATIII以外にもう一つ,ヘパリンにより抗トロンビン活性の増強される血漿因子が存在し,ヘパリンコファクターII(heparin cofactor II;HC II)と呼ばれている3).
ATIIIはヘパリンとトロンビンに対して異なった結合部位を持つ.トロンビンはATIIIのC端に位置するArg393-Ser394のペプチド結合を切断し,その結果フリーとなる断端Argのカルボキシル基とトロンビンの活性中心に位置するセリンの水酸基がアシル結合して複合体を作り不活化される4).一方,ATIIIのN端側にあるTrp49,Arg47,Pro41などのアミノ酸残基やこの付近に集まっているLys残基などがヘパリンの結合に深くかかわっている5〜7).
(11)後天性インヒビター a)第VIII,第XI因子インヒビター
著者: 木下忠俊
ページ範囲:P.238 - P.241
第VIII因子インヒビター
補充療法を受けている血友病患者の5〜10%に第VIII因子(F.VIII)インヒビターが生ずる.インヒビターはF.VIIIに対する同種抗体であり,それが生ずると,出血の頻度や症状に変わりはないが,投与したF.VIIIが不活性化されるので補充療法の効果が薄れ,止血が非常に困難になる.
血友病以外でも,まれに全身性エリテマトーデス(SLE)や慢性関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患,アレルギー疾患,癌や出産に伴って,また特に疾患を有しない高齢者に,自己抗体としてF.VIIIインヒビターが生ずることがある.F.VIII欠乏となって出血傾向が現れ,この場合も止血治療は困難である.
(11)後天性インヒビター b)抗リン脂質抗体—ループスアンチコアグラント,抗カルジオリピン抗体
著者: 滝正志 , 山本美保子
ページ範囲:P.241 - P.244
はじめに
近年,ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant〔LA〕;循環抗凝血素)や抗カルジオリピン抗体(anticardiolipin antibody;ACA)などの陰性荷電を有するリン脂質(phospholipid)に対する抗体が注目されている.これは,これらの抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibody;APA)を有する患者が,血栓症を高頻度に合併するからである.
APAの検出法として現在3種類の方法がとられている.その一つは,固相化したリン脂質に被検血清を反応させる免疫学的検出法である.本法は,Harrisらにより開発された方法1)で,ラジオイムノアッセイ(RIA)法やエンザイムイムノアッセイ(EIA)法を用い高感度のAPAの定量を可能とした.以後,APAの検出方法として広く臨床の場で用いられ,本抗体に伴う臨床症状の解析は飛躍的に進歩した.2番目の方法は,LAを検出することである.
(12)ヘパリン—その抗凝固作用とモニター法
著者: 松尾武文 , 苅尾七臣
ページ範囲:P.244 - P.249
■ヘパリンとは
ヘパリンは,酸性ムコ多糖体で,生物学的製剤であるため分子量は4,000から40,000の範囲にわたっているが,平均分子量は約15,000である.生物学的製剤であるため,抗凝固作用としてのヘパリンの単位は動物の全血凝固時間の延長で決めているが,最近では国際的にも標準化が進み,国際標準品と比較して決められるようになった.
ヘパリンは,多くの薬理作用を持っているが,代表的なものは抗凝固作用と抗血栓作用である.前者は,後述するようにアンチトロンビンIII(ATIII)を介しての作用である.ヘパリンを抗凝固薬として用いる場合には,この作用を利用したもので,他の抗凝固剤と比較して,即時的な効果が得られる特徴がある.また,その半減期は1時間と短く,血中の有効濃度を維持するために注射(静注,皮下注)によって投与される.ヘパリンの抗血栓作用については,血管内皮上に存在するヘパラン硫酸結合レセプターに結合し内皮の陰性荷電を増強するためとされている.そのほかにも,血栓の溶解を促進する作用があるとされているが,その機序については解明されていない.
(13)可溶性フィブリンモノマー複合体
著者: 掛端健一
ページ範囲:P.249 - P.252
■測定の意義
種々の原因により,血液凝固が開始すると血液中にトロンビンが生成される.このトロンビンの作用によりフィブリノゲン(Fbg)が分解されてフィブリノペプチドA(FPA)とフィブリノペプチドB(FPB)を遊離し,フィブリンモノマー(Fm)が形成される.このFmはFbg,分解初期のフィブリン体分解産物(FDP),寒冷不溶性グロブリン(Clg;別名フィブロネクチン)と親和性が強く,複合体を形成する.これが可溶性フィブリンモノマー複合体(soluble fibrin monomer complex;SFMC)である.したがって,血漿中のSFMCは,微量のトロンビンが生成されたことを示す指標であり,SFMCの検査は臨床的には凝固亢進状態の把握や,血栓症,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)の凝血学的スクリーニング検査として用いられている.
最近,厚生省DIC診断基準項目における補助的検査項目にも取り入れられ,他の検査と併用することにより,その病態が詳細に把握できると言われている.
(14)トロンビン・アンチトロンビンIII複合体
著者: 朝倉英策
ページ範囲:P.252 - P.255
■測定の意義
近年の凝固・線溶分子マーカーの開発は目覚ましいものがあり,臨床例においての凝固・線溶病態をより詳細かつ鋭敏に把握することが可能となりつつある.その中でも,トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(thrombin-antithrombin III complex;TAT)を臨床の場で広く測定しうるようになった点は特記すべきことの一つで,凝固活性化の程度を知るうえで極めて有用な情報を提供することになった.
トロンビンは凝固系カスケードの最後のプロテイナーゼ(proteinase)であるため,もし血中に生じたトロンビンの産生量を知ることができれば,凝固活性化の程度を明確にしうる.ただし,流血中のトロンビンは,早急にフィブリン,アンチトロンビンIII(ATIII),トロンボモジュリン,ヘパリンコファクターIIなどと結合して中和されて消失するので,直接これを測定することは不可能であった.TATの測定はこの問題点の解決策となり,血中でのトロンビン産生量を推定することが可能となった(図92).
(15)フィブリノペプチドA
著者: 長谷川淳
ページ範囲:P.256 - P.259
はじめに
フィブリノペプチドA(fibrinopeptide A;FPA)は,フィブリノゲンのAα鎖のNH2未端側のArg(α16)-Gly(α17)結合がトロンビンによって切断されて遊離したペプチドである(図98).
FPAはトロンビン作用を直接反映する指標であると考えられている.したがって,この指標を測定する目的は,フィブリノゲンに対するトロンビン作用を間接的に知ることによって,その生体の凝固動態を推測することにある.表現はpmol/mlで可能である.
B.症例呈示
(1)血友病とvon Wille-brand病
著者: 西野正人 , 吉岡章
ページ範囲:P.259 - P.264
血友病
血友病は伴性劣性遺伝形式をとる先天性出血性疾患で,内因性血液凝固因子の量的・質的異常に起因するが,第VIII因子(F. VIII)の異常によるものを血友病A,第IX因子(F. IX)の異常によるものを血友病Bと分類されている.その頻度は先天性凝固障害症の中で最も多く,日本人男性10万人当たり約7人存在し,そのうち血友病Aが4/5を占めている1).
近年,遺伝子工学の進歩により血友病におけるこれら凝固因子の蛋白構造異常や遺伝子構造異常が検索され,しだいに本症の病態が明らかにされつつある.
(2)播種性血管内凝固症候群(DIC)
著者: 新名主宏一
ページ範囲:P.265 - P.274
はじめに
播種性血管内凝固症候群(disseminated or diffuseintravascular coagulation syndrome;DIC)の主病態は,ひと言でいえば《血管内における持続性,大過剰のトロンビンの産生》であり,極端な凝固活性化状態といえる.その結果として,①微小循環系の血栓形成に基づく虚血性臓器機能障害→多臓器不全(multipleorgan failure;MOF)と②凝固因子・血小板の消費性減少あるいは二次性線溶能の亢進に基づく生理的止血機転の破綻→出血,という致命的な病態がもたらされる.したがって,救命的な治療をなしうるためには早期の診断が必要であり,的確な早期診断のためにはDICの病態生理についての理解が不可欠である.
本稿では,まずDICの病態生理について述べ,次に興味ある基礎疾患を有するDICの一症例を呈示し,本症例におけるDICの発症機序について概説する.
(3)アンチトロンビンIII欠損,分子異常症
著者: 辻肇 , 中川雅夫
ページ範囲:P.274 - P.278
はじめに
血栓形成に,血管壁あるいは血液の性状の変化,血流の異常が関与することは,広く知られている.《血液性状の変化》として,血液凝固・線溶調節機構に関与する因子の遺伝的欠損あるいは異常が知られ,血栓症発症の病因として重要と考えられている.
本稿においては,先天性アンチトロンビンIII(ATIII)欠損症,分子異常症について自験例を紹介しながら小括する.
(4)プロテインC,プロテインS欠乏症
著者: 高松純樹
ページ範囲:P.278 - P.283
はじめに
プロテインC,プロテインSが凝固系の重要な調節機能を有していることはすでに別の項で詳細に述べられており,これらの蛋白が欠乏ないしは機能異常を呈した場合には血栓症を惹起することは容易に理解できる.本項ではこれら蛋白の欠乏症の症例を呈示して,診断,検査所見,鑑別点などについて述べる.
3)線溶検査 A.検査法
(1)プラスミノゲン
著者: 前川久登 , 坂田洋一
ページ範囲:P.283 - P.285
■測定の意義
プラスミノゲンは,線維素溶解酵素プラスミンの前駆物質として血中に存在する,分子量80,000〜87,000の蛋白質である.血管内においては,プラスミノゲンは,主として血管内皮細胞から遊離される組織型プラスミノゲンアクチベーター(tPA)により活性化され,プラスミンとなる.線維素溶解反応(線溶反応)は,このプラスミンによりフィブリン血栓が溶解されてフィブリン分解産物(FDP)となる反応である.生じたプラスミンは主として,血中に存在するプラスミンの生理的阻害物質であるα2-プラスミンインヒビター(α2PI)により活性が中和され,網内系細胞により処理される.
血中のプラスミノゲンの測定は,活性化を受けずに残存したプラスミノゲンを後述する方法で定量することである.ところが,プラスミノゲンは肝臓で合成されるため,DICなどによる消費性の低下以外に,重症肝疾患などによる合成障害でも低下がみられる1).
(2)α2-プラスミンインヒビター
著者: 飯島憲司
ページ範囲:P.286 - P.288
α2-プラスミンインヒビター(α2PI)は線溶反応を抑制する主要な生理的インヒビターであり,その先天性欠損症1)は特異な出血症状を示すことからも,生体内での止血機構に重要な役割を果たしていることがうかがえる.また,α2PIの動態は生体内における線溶現象を反映すると考えられ,現在では凝固・線溶検査の必須の項目となっている.
(3)フィブリン/フィブリノゲン分解産物,Dダイマー
著者: 緇莊和子
ページ範囲:P.288 - P.291
はじめに
線溶の亢進によって血中に生じたプラスミンは,フィブリノゲンやフィブリンを分解するが,これらの分解物をフィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)と総称する.
フィブリノゲン1分子は,プラスミンによる作用を受けると,図1241)左に示すように,X,Y分画という中間産物を経て,終末産物である2分子のD分画(Dモノマー;Dmonomer)と,1分子のE分画へと分解される.一方,凝固過程によってクロスリンクを受けた安定化フィブリンが分解されると,DdimerとE分画が非共有結合的に会合したDD/E構造を保持する形で,DD/E複合体(DD/E complex)や,YD/DY,YY/DXDなどのさまざまなD dimer関連物質(以下,Dダイマー)が出現する(図124-右).
(4)プラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体
著者: 川合陽子
ページ範囲:P.292 - P.294
■測定の意義
生体における血栓・止血機構の制御には非常に多くの血漿蛋白が関与して,凝固系と線溶系のバランスを巧みに保っている.その中で,凝固・線溶動態の鍵はトロンビンとプラスミンが握っているといっても過言ではない.
プラスミンは生体内における線溶現象の中心的役割を演じ,線維素溶解酵素(セリンプロテアーゼ;serineprotease)として機能している.そのプラスミンを直接測定することは現在のところ不可能である.従来,線溶活性の指標としては,プラスミンの前駆物質であるプラスミノゲンおよびプラスミン阻止物質であるα2-プラスミンインヒビター(α2PI)を測定し,その減少の程度によりプラスミン活性を推測してきた.しかし両者は,血中半減期は数日であり,真のプラスミン活性を反映していないと考えられる.
(5)組織型プラスミノゲンアクチベーター,プラスミノゲンアクチベーターインヒビター
著者: 渡辺尚 , 玉田太朗 , 坂田洋一
ページ範囲:P.295 - P.299
■測定の意義
失血に対する防御作用の一つとして生じた止血栓も,長期に存在すると組織の虚血性変化をきたす結果となってしまう.これを防ぐための機構の一つが,血栓溶解反応である.血栓溶解反応とは「プラスミノゲンアクチベーター(PA)によるプラスミノゲンの限定分解に始まり,その際生じたプラスミンによる線維素(フィブリン)の溶解」と解釈される(図128).現在,主な血中PAとしては,血管内皮細胞由来の組織型PA(tPA)と,主として尿中に含まれるウロキナーゼ型PA(uPA)が知られているが,そのうち血栓溶解活性の律速酵素としてはtPAが重要視されている1).
血栓溶解反応は,主として血栓が生成するときにtPAとプラスミノゲンが血栓に特異的に結合濃縮し,血栓上で進行することが知られている2).しかし,あまり速く止血栓が溶解すると再出血の危険を惹起するため,これを適度に制御する機構がある.その開始段階ではプラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が関与し,最終段階ではプラスミンのインヒビターが関与する.また,線溶反応とは,現在,より広義に解釈されており,単に血管内血栓溶解に関与するのみならず,腫瘍の浸潤や排卵などにも重要な働きを果たしていることが明らかにされつつあるため2),tPAおよびPAIの血中抗原量,活性の変動,その生理的意義,病態との関連などが各分野で注目を集め検討されている.
(6)Bβフラグメント
著者: 小林紀夫
ページ範囲:P.299 - P.302
■測定の意義
血栓症や血栓症を伴いやすい病態の患者では,各種凝固・線溶・阻害因子の血中濃度の変動を伴っていることが多い.一般に,これらの疾患患者ではフィブリノゲンなどの凝固因子の血中濃度は増加し,線溶・阻害因子のそれはむしろ低下して血液は凝固しやすく溶け難い,いわゆる凝固亢進状態にあることが指摘されている.血液凝固亢進状態はなんらかの原因による血管内凝固の活性化のためと考えられている.血管内凝固により凝固因子は消費されるが,これら因子の産生も亢進し,産生が消費を上回るため多くの凝固因子の血中濃度は上昇する.一方,播種性血管内凝固症候群(DIC)では逆に消費が産生を超え,凝固因子の血中濃度は低下する.したがって,1回の各種因子の血中濃度の測定で,このような凝固・線溶・阻害因子の生体内における動態を正確に把握することは困難である.凝固因子の生体内代謝の測定に,ラジオアイソトープ(RIで標識したトレーサーを用いる方法がある.本法により因子の1日産生量,消費量を定量的に測定しうるものの,RIを用いることや,測定に時間を要するなど一般的に用いうる方法ではない.
近年,各種の血液凝固の中間産物や最終産物の微量測定が可能となった.フィブリノペプチドA(FPA)やフィブリノペプチドBβ15-42(FPBβ15-42)は,比較的早くにその測定法が確立した血液凝固・線溶の分子マーカーである1,2).
B.症例呈示
(1)プラスミノゲン異常症
著者: 前川久登 , 坂田洋一
ページ範囲:P.302 - P.306
はじめに
生体はその恒常性を保つために,数々の制御機構を生体内に有している.その一つとして,血液の量的な保持,および流動性の維持がある.この血液を失血から守るものの一つとして,血液凝固系がある.そして,いったん生じた止血栓を融解させ血液の流動性を維持する機序の一つとして,網内系細胞による貪食処理があり,さらにプラスミノゲン-プラスミンによる線維素溶解系(線溶系)が存在している.生体においては後者の線溶系が主要な役割を果たしているものと考えられており,この制御系になんらかの障害が生じた場合,生じた止血栓を融解する能力が低下するために,止血栓の進展を招いてしまう可能性があるのである.
血栓症をきたした原因として現在までにいくつかの分子異常症が報告されている1〜3).これらの異常症は日常の検査においてそう頻繁に遭遇するものではないが,知識として,また病態を理解するという意味においても認識しておく必要はあると考えうる.
(2)肝疾患—線溶系マーカーの血中変動との関係
著者: 吉川雄二
ページ範囲:P.307 - P.310
■線維素溶解(線溶)とその制御
血管壁が傷害されると,傷害部に血栓が生じて止血する.止血の目的を遂げた血栓は,線維素溶解(線溶)機構と貪食細胞によって処理される.線溶反応は,線維素溶解酵素プラスミンによりフィブリン血栓が溶解し,フィブリン分解産物(FDP)が生成する反応であるが,このプラスミンは肝臓で合成される酵素原であるプラスミノゲンがプラスミノゲンアクチベーター(PA)により活性化されることで生じる.
血栓は必要な場所に,必要なときに,必要な時間とどまることが生体にとっては不可欠であり,この機構の破綻や,出血症状や病的な血栓形成傾向を引き起こすことになる.すなわち,フィブリン血栓が止血の目的を達する前に早期に溶解して出血を起こさないよう,また長期にとどまって臓器に虚血性の障害をきたさないよう,線溶機構は巧妙に制御されているわけである.
4)血管系検査 A.検査法
(1)トロンボモジュリン
著者: 田原千枝子
ページ範囲:P.311 - P.314
■トロンボモジュリンの作用1)
トロンボモジュリンは血管内皮の細胞膜を構成する糖蛋白で,血管が持つ強い抗血栓作用の一面を担う物質として,最近,注目を浴びている.トロンボモジュリンはトロンビンと高い親和性を持ち,両者は一対一の複合体を形成するが,トロンボモジュリンと結合したトロンビンはフィブリノゲンに対する凝固活性を失うと同時に,ビタミンK依存性凝固因子であるプロテインCを活性化するようになる.トロンビンは単独でもプロテインCを活性化するが,トロンボモジュリンと複合体を形成したトロンビンは2,000倍も強いプロテインC活性化作用を現すようになる.活性化プロテインCは活性化凝固第V因子(F. V),第VIII因子(F. VIII)(それぞれF. Va,F. VIII a)を分解して失活化させ,凝固系のインヒビターとみなされる(図144).
凝固系の活性化によって形成されたトロンビンは本来,凝固を遂行する因子であるのに,トロンボモジュリンと結合するとプロテインCを介して抗凝固作用を現すようになるので,この物質がトロンビン作用をmodulateすなわち調節する物質としてトロンボモジュリンと命名された.
(2)6-ケト-プロスタグランジンF1α
著者: 大野安男
ページ範囲:P.314 - P.318
はじめに
1976年,Moncadaらは,大動脈のミクロソームを用いて実験を行い,強力な血小板凝集抑制作用および血管平滑筋弛緩作用のある物質を発見した1).その後,この物質は,プロスタサイクリン(またはプロスタグランジンI2;PGI2)と呼ばれている.
PGI2は,アラキドン酸のシクロオキシゲナーゼによる代謝系の生理活性物質の一つで,プロスタグランジンH2からのPGI2合成酵素の作用により生産される.PGI2は強い生理活性を有するが,半減期が約10分と不安定な物質であり2),測定に当たっては無酵素的にPGI2から派生する6-ケト-プロスタグランジンF1α(6-keto-PGF1α)が対象とされる場合が多い(図146).
III.血液病理検査 1.組織学的検査
1)骨髄
著者: 糸山進次
ページ範囲:P.364 - P.370
■血栓や出血に関係のある病態
止血機能の異常に関係のある病態は数えきれないほどあるが,主として血小板の異常,凝固因子の異常,それに血管の異常に大別できる.血管の破綻によって出血が起こったとき,血管には収縮することによって出血を防ごうという反応が生理的に起こり,血小板がそこに凝集し,さらに凝固因子の活性化により最終的にフィブリノゲンがフィブリンに変化して血栓を形成する.また,血栓形成の一方的な進行を抑制するプラスミン系の因子がある.これらは互いに関連の深い変化であるので,実際の症例においても単一の系の変化だけにとどまらないものが少なくない.
病態はさらに先天的異常と後天的異常,アレルギー疾患や自己免疫疾患,代謝異常や変性疾患といった見方からも分類される.例えば,先天性異常としては,Down症に伴う血液細胞の異常,血友病やvon Willebrand病などの凝固因子の異常,Ehlers-Danlos症候群やMarfan症候群など結合織の異常に関連した血管変化,Gaucher病やNiemann-Pick病などの先天性代謝異常が骨髄を含む細胞内皮系全般に及ぼす変化がある.
2)リンパ組織—免疫染色in situ hybridizationを中心に
著者: 三方淳男 , 田丸淳一
ページ範囲:P.371 - P.376
はじめに
一般病理組織検査において,リンパ節生検材料を見る機会は多い.これは,リンパ節腫脹として採取されてくるわけであるが,リンパ節は生体防御器官であって,リンパ節腫脹はその機能発現のあかしといえよう.ウイルス,細菌などの病原微生物の侵入や膠原病を含む全身性疾患に見られるリンパ節炎・リンパ節症,さらに悪性リンパ腫,そして悪性腫瘍の転移など,その原因は幅広い.
リンパ節腫脹をきたす疾患を思いつくままに列記すると,表のようになる.これらの数多くの疾患の中から的確な診断を下すことが病理組織検査の目的であり,それは病理組織標本のできばえにかかっているといっても過言ではない.そして診断の客観性・確実性を得るためにいくつかの補助検査も必要である.
2.細胞学的検査
1)細胞診—血液凝固と血液疾患を対象として
著者: 福島範子
ページ範囲:P.377 - P.384
はじめに
臨床血液検査の止血機能を主題とする特集の中での「細胞診」が,筆者に与えられたテーマである.この範疇で筆者が書きうることは,体腔液中での特異な凝固関連物質の動態と,これにかかわる大食細胞(マクロファージ),中皮細胞の反応,および血液疾患の細胞診である.
2)フローサイトメトリー
著者: 神林宏
ページ範囲:P.384 - P.392
はじめに
血液病理学検査においてフローサイトメトリー(flow cytometry;FCM)を行う意義は,浮遊細胞集団の持つパラメーターを定量的にとらえることにより,従来の顕微鏡的な組織診断に細胞学的な要素を加え診断価値を向上させるところにある.さらに近年,組織培養の技術や単クローン抗体(モノクローナル抗体)などを併用して構成細胞の性質を経時的に調べることにより,動的な病態の把握が可能となりつつある.ほかにもFCMの技術は染色体分析,DNAやRNAの核酸解析などに応用され,さまざまな分野で急速な発展を遂げつつあり,今や血液病理学検査においても必須のテクニックとなっている.
しかし,このFCMの技術は複雑かつ熟練を要することもあり,技術者間や施設間でのばらつきが見られ,FCMの普及の障害となっていることも事実である.この克服には的確なマニュアル作りと緻密な情報交換が必要であろう.
3.電子顕微鏡検査
電子顕微鏡検査
著者: 鎌田義正
ページ範囲:P.393 - P.398
はじめに
末梢血や骨髄,リンパ組織を電子顕微鏡(以下,電顕)で検査することは,血液細胞の形態と機能をより分解能の高いレベルで観察し,理解することを可能とする.臨床血液学の診断においては,塗抹細胞診,組織診,組織化学,免疫組織化学で得られた所見と合わせて総合的に判定することが大切であるが,血液疾患の確定診断にはしばしば超微形態が不可欠になる.ここでは誌面の都合上,取り扱いが比較的特殊な未梢血と骨髄穿刺液の透過電顕の試料作製法および二,三の特殊検査法を中心に述べ,そのあとで大切な電顕所見とその意義を簡単に述べる.
4.特殊な技術
1)マイクロウェーブによる急速固定法
著者: 布施恒和 , 宮沢光瑞
ページ範囲:P.399 - P.402
はじめに
形態学分野における固定の目的は,第一に,生体から取り出された組織の自己融解や腐敗などの変化を停止させ,組織,細胞の構造や酵素活性および抗原性をできるだけ生体時に近い状態に保持することである.第二は,組織学的・細胞学的な観察に適する状態にすることである.そのためには,物理化学的方法を用い,組織や細胞内物質を不動化させて,流出や拡散を抑制すると同時に,不都合な物質を溶出させる必要がある1).
組織,細胞は大量の水分と蛋白質,脂質,糖質,その他の物質から構成されているが,これらのすべてを前述の目的に沿って完全に満足させることは,個々の組織や細胞の成分が異なるため不可能である.したがって,最初に組織を構成している蛋白質を安定化させ,組織細胞の微細構造を保持させることが必要である.次に,観察目的に応じた固定法,すなわち適切な固定法,固定液の選択が要求される.
2)パラフィン切片によるDNA解析
著者: 保坂義雄
ページ範囲:P.403 - P.406
はじめに
パラフィンブロックによるDNA解析として古くからSchiff試薬を用いたFeulgen反応があり,顕微分光測光法により個々の細胞のDNA定量を行い分裂サイクルのヒストグラムを得ている.最近はプロテアーゼなどを用いてパラフィンブロックからDNAを抽出し,癌遺伝子の増幅などが調べられるようになってきた.しかし,Feulgen法は手間がかかり,測定細胞数も通常3桁で一般の臨床検査向きとはいえず,DNA抽出法はまだ研究レベルのものである.
ここでは最近数年の間に研究レベルから中検レベルになった観のあるフローサイトメトリー(FCM)によるDNAプロイディー(ploidy)分析について,その手技と結果判定上の注意点を中心に述べることとする.なお,FCM一般については本書49ページ,および384ページに解説されている.
資料
クラスター分類
著者: 高瀬浩造
ページ範囲:P.109 - P.112
■クラスター分類およびCDとは
ここでのクラスター分類とは,白血球の分化抗原に対するモノクローナル抗体(MoAb)の分類体系であり,CD(cluster of differentiation)番号により具体的な分類が行われる.これから明らかなように,CDは本来,抗体の分類であって,認識される抗原を表示するものではない.しかし,最近では,抗原の名称としても「CD××抗原」という形で使用される傾向にあり,また「anti-CD××」といった一見奇妙な使用も見られるため,不必要な誤解を招かないよう留意する必要がある.このような事態が生じた背景には,検出される抗原側にCD番号の借用以外に適当な名称のない場合が多いことが挙げられる.
臨床検査の現場では,特にリンパ球サブセット分析と白血病細胞タイピングにおいてCD番号による表現が一般化している.
FAB分類
著者: 亀井喜恵子
ページ範囲:P.112 - P.115
はじめに
FAB分類とは急性白血病の病型分類法の一つであり,1976年French-American-Britishの7名の血液学者によって提唱された方法である.この方法は,誰でも,どこの検査室でも日常検査として行っている普通染色(Romanowsky染色)やペルオキシダーゼなど細胞化学染色を用いて末梢血液や骨髄液中の細胞所見から客観的に細胞分類を行うことを特徴としている.
サイトカイン・カスケード
著者: 笠倉新平
ページ範囲:P.319 - P.321
■サイトカインとは
免疫担当細胞は,抗原に対して応答する際に種々の活性物質を産生するが,これらの活性物質のうち,免疫グロブリンを除く物質がサイトカインと総称されている.
血小板膜糖蛋白
著者: 渡辺清明
ページ範囲:P.321 - P.324
■血小板膜糖蛋白の種類と機能1)
血小板は種々の刺激物と反応し,粘着,凝集などの,止血に重要な機能を発現する.血小板膜上には各種の糖蛋白(glycoprotein;GP)が存在し,おのおの受容体として作用している.表2にその大略を示した.膜糖蛋白は10種類以上あるが,多くは表に示すように一分子では存在せず,ヘテロダイマーを形成している.つまり,GPIb-IX,GPIIb-IIIa,GPIIa-Ia,GPIIa-Icなどのような形をとって,二つのGPが複合体として存在している.
糖蛋白は血小板の機能発現に非常に重要であるが,代表的なものはGPIb-IX,GPIIb-IIIaおよびGPIa-IIaであるので,これらを中心に記す.
異常フィブリノゲンと出血・血栓
著者: 松田道生
ページ範囲:P.324 - P.327
■定義
異常フィブリノゲンとは,フィブリノゲンに構造異常があるためにフィブリノゲン固有の機能が障害されているものを総称する.フィブリノゲンに固有の機能には次のようなものが挙げられる.
1)トロンビンによるフィブリノペプチドAおよびB(fbrinopeptides A and B〔FPA,FPB〕)の切断,放出→フィブリンモノマーへの転換
ビタミンK
著者: 白幡聡
ページ範囲:P.328 - P.330
はじめに
1929年,Damにより発見された新しいビタミンは発見当初,抗出血性因子と考えられたところから,ドイツ語で血液凝固を意味するKoagulationの頭文字をとりビタミンK(以下,VK)と命名された.しかし,その後の研究でVKは4種類の血液凝固因子(第II,第VII,第IX,第X因子)以外にもさまざまな蛋白の産生に関与していることが明らかにされた.例えばVK依存性因子の一つであるプロテインCは,血管内皮細胞上のトロンボモジュリンに結合したトロンビンにより活性化された後,同じくVK依存性因子であるプロテインSを補助因子として,活性化第V・第VIII因子(F. Va,F. VIIIa)を不活化する.
このようにVKが血液の持つ相反する性質,すなわち凝固性(止血)と流動性(抗血栓)の双方に深くかかわっている点は興味深い.
International Normalized Ratio(INR)
著者: 風間睦美
ページ範囲:P.330 - P.332
■経口抗凝血薬療法のモニタリング標準化
わが国においても人口の老齢化,生活習慣の変化に伴って,血栓性疾患が増加し,経口抗凝血薬療法を含めて各種抗血栓療法が普及しつつある.
経口抗凝血薬療法の効果は,プロトロンビン時間(prothrombin time;PT)でコントロールされており,その適正治療域はPTで15〜25%,トロンボテストで5〜10%とされてきた.しかし,これらの測定に用いられるトロンボプラスチン試薬は,リン脂質を主成分とする動物あるいはヒト臓器の抽出物であるため,製品によって,また製造ロットによって,血漿中の凝固因子低下に対する感度が異なる.したがって,トロンボプラスチン試薬で経口抗凝血薬療法をモニターする場合,英国を中心としたヒト脳由来,北欧でのトロンボテスト,アメリカを中心としたウサギ由来を用いると,それぞれ適正治療域が異なる.また成績の表示法にも,秒,活性パーセント,比,Indexなどがある.
凝固・線溶因子心日内変動
著者: 秋山淑子
ページ範囲:P.332 - P.335
■検討の内容1)
臨床検査においては通常,早朝空腹時に採血を行っているが,日内変動がある場合には測定結果の評価に際しては,それを考慮しなければならない.そこで,止血学的指標の日内変動を検討するために,健常者16名から16時,20時,0時,翌朝8時,9時,12時,16時の7回にわたって真空採血管を用いた採血を行った.採血は食前に行ったが,朝9時の採血のみ食餌の影響をみる目的で食後に採血した.また,安静を保ったのは夜半の0時過ぎから翌朝7時の間のみで,それ以外はすべて動作時に採血を行い,表8の22項目について測定した.
有意差検定は採血時刻ごとに測定値の平均と標準偏差を求め,起点とした16時の値と他の時刻の成績をそれぞれ比較し,Studentのt検定により解析した.
免疫染色の自動化
著者: 森茂郎 , 森下保幸
ページ範囲:P.407 - P.409
はじめに
免疫組織学的技術(免疫染色)は,いうまでもなく組織切片上に特定の抗原物質を同定する方法であり,昨今,病理組織診断をはじめとする形態学の諸領域で繁用されている.この方法論の発達とそれに対応できる良質の抗体が多く開発されたことによって,組織切片から得られる情報量が非常に増え,この分野の近代化ともいうべき状況があることも周知のところである.
しかし,これらに必要な手技は,経験のある人の多くが感じるように,煩雑である.染色手技においても,抗体管理の面でも,従来の病理のルーチン業務とは異なる面倒さがある.抗体に関していうと,多くは10以上,施設によっては100以上もの,特異性や有効期限,希釈度の異なる抗体を扱うことになる.これらの劣化やコンタミネーションはあってはならず,たえず目を行き届かせている必要がある.特に希釈ずみの抗体は劣化しやすく,その管理は煩雑である.手技についても細かな配慮が必要である.各ステップでの作業は,実は化学や血清学で行う作業と本質的に異なるものではないが,他の検査室では単純に処理できることが,病理学の検査室ではその経験に乏しいことが悩みである.プロトコールが一定であれば同一の効果が得られるということはこと免疫染色に関してはあまり期待できないのであって,技術者によって,また,その日のちょっとしたコンディションの違いで,結果がバラつくということは日常的に経験しているところである.
急速凍結置換による電顕法
著者: 小畑秀一 , 臼倉治郎
ページ範囲:P.409 - P.410
■固定法の変遷
電子顕微鏡で組織や細胞を観察するためには,固定,脱水,樹脂包埋の後,非常に薄い切片を作製する.固定のポイントは,細胞をできるだけ生きているときの形に近いまま保存することであり,脱水は細胞中に含まれる水を除き,有機溶媒に置き換え,樹脂への包埋を可能にする.
わだい
組織因子
著者: 小林紀夫
ページ範囲:P.336 - P.337
はじめに
血液凝固に関する知見の多くは,1964年に提唱された血液凝固のwaterfallあるいはcascade説に立脚したものである.この説では第X因子(F.X)の活性化に至る過程は,内因系と外因系に明確に区別され,前者は異物面との接触による第XII因子(F.XII)の活性化から開始され,後者は組織因子(TF)が血液に露出することにより血液凝固が開始する.しかし,最近TFと第VII因子(F.VII)(または活性化F.VII〔F.VIIa〕)がF.Xとともに,第IX因子(F.IX)をも活性化させることが指摘され1),生理的あるいは病的な血液凝固の開始機構におけるTFの役割が注目されるようになった.
エンドセリン
著者: 眞崎知生
ページ範囲:P.337 - P.338
■合成・分泌のメカニズム
エンドセリン(ET)は,血管内皮細胞の産生する,強力な血管収縮ペプチドである.アミノ酸21個から成り,分子内に2個のジスルフィド結合を持つ.血管内に投与すると血圧上昇が起こり,長時間持続する.このことからETは血圧の維持に関係するのではないかと考えられている.ETの内皮細胞内における合成あるいは分泌が,他の血管活性物質,例えばアンギオテンシンIIやアルギニンバゾプレッシンなどによって調節されているらしいこともわかってきており,したがって内皮細胞内で同様に合成・分泌される内皮由来弛緩因子(EDRF)とともに,血管のトーヌス維持を局所的に調節するメカニズムがあるのではないかと考えられている.
さらに,内皮細胞内でETが合成される過程でビッグETと呼ばれる中間体が存在することが知られており,これが未知の変換酵素によってETとなると考えられている.ビッグETの血管収縮活性はETのそれに比して約100分の1と低いため,このビッグETからETへの変換は,アンギオテンシンの変換と同様に血管収縮活性発現に意味があると考えられている.したがって,この変換酵素の検索が精力的に行われているが,精製されたという報告はまだない.この変換酵素の抑制薬が発見されれば,アンギオテンシン変換酵素抑制薬と同様に臨床的に有用な薬物となる可能性がある.ET受容体の拮抗薬開発とともに現在多くの人が興味を持っている問題である.
フィブロネクチン
著者: 松田道生
ページ範囲:P.338 - P.339
■フィブロネクチンとは
フィブロネクチン(fibronectin;FN)とは,種々の線維性蛋白質と結合し,相互連携にあずかる蛋白質ということから,ラテン語のfbra(線維)とnectere(結合する)の2語を合わせて作られたものであり1),次の四つの条件を満たす,特定の蛋白質に対する総称である.FNは大きく血漿FN(plasma FN;以下pFN)と細胞性FN(cellular FN;cFN)あるいは組織FN(tissue FN;tFN)とに分けられる2,3).
ヘパリンコファクターII
著者: 櫻川信男 , 広川慎一郎
ページ範囲:P.340 - P.342
はじめに
高齢化社会を迎えた今日,死因としての血栓症は上位を占め,出血性素因の血友病(hemophilia)に対して,血栓形成傾向(thrombophilia)と称され,その治療や予防法の開発が重要である.失天性代謝異常,高脂血症あるいは動脈硬化などを起因とした血管内皮細胞障害による凝固促進(組織型プラスミノゲンアクチベーター〔tPA〕放出障害,プラスミノゲンアクチベーターインヒビター〔PAI〕-1放出促進,組織因子〔TF〕放出促進,プロスタサイクリン〔PGI2〕,トロンボモジュリン,グルコサミノグリカン産生低下など)や血小板機能亢進とともに阻害因子(アンチトロンビンIII〔ATIII〕,ヘパリンコファクター〔HC〕II,プロテインC,プロテインS)や線溶系因子(プラスミノゲンやフィブリノゲン)の欠乏や異常が誘因あるいは原因とされる.阻害因子や線溶系因子に関連する血栓症には,深部静脈血栓症(deep vein〔またはvenous〕thrombosis;DVT)が多発するが,クマリン系抗凝固薬よりもデルマタン硫酸や(dermatan sulfate;DS)やペントサン硫酸(pentosan sulfate;PS)が有効であり1,2),これは血管内皮細胞のプロテオグリカン(特にグリコサミノグリカン)も関連するATIIIやHCIIの重要性を意味している3).
本稿ではHCIIにつき概説する.
高ヒスチジン糖蛋白
著者: 小出武比古
ページ範囲:P.342 - P.343
■性状と構造
高ヒスチジン糖蛋白(histidine-rich glycoprotein;HRG)は肝臓で合成され,血漿中のほか血小板と巨核球中に存在する分子量67,000の一本鎖の糖蛋白質である.ヒスチジン含量が異常に高い(13%)ところから,HRGと命名された.
HRGは,近年,さまざまな角度から精力的に研究され,ヘパリン中和作用をはじめ,プラスミノゲン,フィブリノゲン(フィブリン),トロンボスポンジンなどとの相互作用,活性化血小板への結合能,種々の二価金属イオンやヘム結合能,赤血球とTリンパ球間の自己ロゼット形成阻害能,Tリンパ球結合能,さらにヘパリンの血管平滑筋細胞増殖阻害作用の中和能など,数多くの性質が明らかにされている(詳細は総説1,2)を参照のこと).HRGは種々の構造ドメインによって構成された融合蛋白質で,HRGの多機能性は,各構造ドメインがそれぞれ独立した機能を担っていることによるものと想像される.
ビトロネクチン
著者: 窪田歴 , 林正男
ページ範囲:P.343 - P.344
はじめに
ビトロネクチン(vitronectin)1)は,フィブロネクチンと同様の細胞接着活性を持つ血漿糖蛋白質である.1985年,一次構造が決定され,免疫補体系の調節蛋白質Sプロテインと同一分子であることが明らかとなった.血漿中に0.3mg/mlとかなり高濃度で存在しているほか,結合組織,細胞外マトリックス,血小板にも存在する.ビトロネクチンの分子量は75,000であるが,通常,分子の一部が切断された,分子量65,000の分子種と混在している2,3).
トロンボスポンジン
著者: 安藤泰彦
ページ範囲:P.344 - P.345
■正体の解明
トロンボスポンジン(thrombospondin)は血小板α顆粒に大量に貯蔵されている糖蛋白で,血小板総蛋白量の3%を占めている.血漿中の濃度は微量(20ng/ml)であるが,血小板刺激により放出されて,局所的には比較的高濃度になる(2μg/ml).
1971年,洗浄血小板をトロンビンで刺激すると,血小板から190kDaのポリペプチド・バンドが消失して,浮遊液中に105kDaのポリペプチド・バンドが新たに出現することが発見され,当初は,トロンビンの酵素作用の血小板における基質であろう,と考えられて,thrombin sensitive proteinと命名されていた.しかし,間もなくトロンボスポンジンは血小板α顆粒に貯蔵されていることが判明し,トロンボスポンジンと命名され,純化され,その性質が精力的に研究された.
外因系凝固抑制因子
著者: 近藤信一
ページ範囲:P.346 - P.347
はじめに
外因系凝固は,血管内皮の損傷により暴露された線維芽細胞上の組織因子(TF),あるいは刺激を受けて内皮細胞,単球上に現れたTFと血中の凝固因子が反応することにより開始すると考えられている.TFの周辺のリン脂質に,活性化凝固第VII因子(F.VIIa)と凝固第IX因子(F.IX)あるいは第X因子(F.X)がカルシウムイオン(Ca2+)を介して結合することにより,三者複合体が形成され,そこでTF・F.VIIaによりF.IXあるいはF.Xの活性化が起こる.活性化した凝固第IX因子(F.IXa)あるいは凝固第X因子(F.X)は新たなF.IXあるいはF.Xと置き換わり,凝固の活性化は持続する.
外因系凝固抑制因子は,このTF・F.VIIaによるF.IXaおよびF.Xaの産生を抑制し,凝固第VIII因子(F.VIII),凝固第V因子(F.V)を補助因子とする二段の凝固増幅ステップに,活性化凝固因子を提供しない働きをする.
血小板由来増殖因子
著者: 益田順一
ページ範囲:P.347 - P.348
■PDGFは血小板のみならず,他の多くの細胞でも作られている
血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor;PDGF)は,1974年にRossらによって発見された,線維芽細胞や平滑筋細胞などの間葉系細胞に対する増殖促進因子である.血小板のα顆粒中に存在し,血小板の粘着・凝集の際の脱顆粒に伴って放出され,血清中に含まれる主要な細胞増殖因子の一つである.
現在ではPDGFは,表2に示すように,血小板のみならず血管壁を取り囲む多くの細胞でも産生・分泌されることが明らかになっている.また,多くの腫瘍細胞でも産生されており,PDGF-B鎖がsimian sarcoma virusから作られるp28slsと93%のhomologyを持つことにより癌遺伝子(oncogene)との関連が注目されている.
カルフォバインディン
著者: 真木正博
ページ範囲:P.349 - P.350
カルフォバインディン(calphobindin;以下CPBと略)はcalcium phospholipid binding proteinの略語で,その名の示すとおり,カルシウム-リン脂質結合蛋白である.
CPB-Iは胎盤性抗凝固物質として,世界に先がけて,われわれが分離・固定したものである.アミノ酸配列解析の結果,リポコルチンと約50%の相同性があることがわかった.その後,同一物質あるいは同族物質について,異なった目的や名称で多岐にわたる研究が世界各国で展開されていることが明らかになってきた.混乱を避け,相互の理解の目的で,「アネクシン(annexin)」という名称で統一し,構造決定ずみのものについて,番号づけによって分類することが合意された.現在,少なくとも8種のアネクシンが知られている(表3).以下,その概略を示す.
血友病の遺伝子診断
著者: 三上貞昭
ページ範囲:P.350 - P.351
血友病は伴性劣性遺伝の出血性疾患であり,血液凝固第VIII因子(F.VIII)欠乏症である血友病Aと第IX因子(F.IX)欠乏症である血友病Bとに分類される.血友病Aのほうが頻度が高い.
血友病Aと遺伝子診断とのかかわりは,F.VIII遺伝子が極めて長い遺伝子であり,また血中F.VIII蛋白が微量であるため分析は困難を極めたが,遺伝子工学手法を用いて治療用のrecombinant F.VIIIを作製する試みが精力的に行われるにつれ,遺伝子が同定され,cDNA配列も明らかとなり,広く遺伝子診断に応用されるに至った.
組織因子と外因系凝固開始機構
著者: 宮田敏行
ページ範囲:P.351 - P.352
■組織因子の作用と構造
組織因子(tissue factor;TF.組織トロンボプラスチンとも呼ばれる)は,外因系血液凝固反応を作動させる,生理的に重要な蛋白性コファクターである.TF自身ではプロテアーゼ活性を持たないが,血漿中の活性型第VII因子(F. VIIa)と1:1のモル比で複合体を形成することにより,F. VIIaによる第X因子(F. X)の活性化を促進し,最終的に凝固を引き起こす.
1987年,米国の三つのグループがTFをクローン化し,その全塩基配列を決定した.それによると,32残基の疎水性シグナルペプチドに続いて,成熟蛋白質は263残基のアミノ酸から成っていた.これを詳しくみると,219残基から成る細胞外ドメイン,23残基から成る膜貫通ドメイン,21残基から成る細胞内ドメインで構成されていた.一方,F. VIIはビタミンK依存性血漿蛋白質のセリンプロテアーゼ前駆体であり,ヒト血漿中では10nmol/l,ウシでは13nmol/lの濃度で存在する.活性型F. X(F. Xa)により活性される.F. VIIaは軽鎖(L鎖)と重鎖(H鎖)がジスルフィド結合でつながった二本鎖糖蛋白質で,軽鎖は分子のN末端側にあり,ヒトでは10個,ウシでは11個のγ-カルボキシグルタミン酸(γ-Gla)がある.このGla残基の生合成にはビタミンKが必要とされる.
血管内皮機能
著者: 島田和幸
ページ範囲:P.352 - P.353
■抗血栓性機序
血管機能の大きな特徴は,血液が血管内面に接触しても凝固しない,あるいは血小板がその表面で凝集,付着しないという,抗血栓,抗凝固性である.しかし,血管内面の破綻により,積極的に止血する機構が活性化される.血管,中でもじかに血液と接触する血管内皮細胞は,血中の各種凝固関連因子と相互に反応して,血栓止血機構の制御になくてはならない重要な役割を演じている.
正常な血管内皮細胞が有する抗血栓性機序は,①強力な血小板凝集抑制因子であるプロスタサイクリン(PGI2)の産生・遊離②その表面に局在するトロンボモジュリン(トロンビン結合蛋白で,プロテインCを活性化して,活性化第V因子〔F.Va〕,活性化第VIII因子〔F.VIIIa〕などの凝固促進因子を不活化する),③細胞周囲,表面に存在するヘパリン様多糖類(アンチトロンビンIII〔ATIII〕を結合することにより,トロンビン,活性化第X因子〔F.Xa〕などの活性化凝固因子を不活化する),さらに④すでに生じた血栓を溶解させるプラスミノゲンアクチベーター(PA)の産生・遊離(線溶系を活性化)などによって,維持されていると考えられている.さらに,平滑筋弛緩作用が注目されている内皮由来弛緩因子(EDRF)は,血小板凝集を抑制する働きもある.
低分子ヘパリン
著者: 中川雅夫
ページ範囲:P.354 - P.355
はじめに
ヘパリンの抗凝固薬としての作用は1930年半ばから知られており,抗血栓薬としての臨床効果についても従来からよく知られているところである.近年に至り,その構造と活性発現との関係に関する検討結果から,分子サイズにより抗凝固活性に差異のあることが知られ,従来から使用されてきたヘパリンに比較して低分子分画のヘパリンでは抗活性化第II因子(F.IIa)作用が弱く,抗活性化第X因子(F.Xa)作用は高値を示すこと,また活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)に対する延長作用も弱いことが報告されている.臨床的にはこうした検討成績に基づいて抗凝固剤としての検討がなされ,低分子ヘパリンの使用によるいくつかの臨床的有用性が報告され,近年,注目を集めるようになってきた.
本稿では現在までに報告されている低分子ヘパリンの基礎的検討成績とともに,臨床応用の成績に関する報告を紹介することにする.
mixed lineage leukemia
著者: 戸川敦
ページ範囲:P.355 - P.356
■mixed leukemiaとは
小児科領域でよくみられるundifferentiated leukemiaの中にmixed leukemiaが含まれている可能性はあるが,従来の血球の形態学的検査や細胞化学染色によっていわゆるmixed leukemia(hybrid leukemia)と診断できる症例はあまりない.最近mixed leukemiaが多く報告されるようになったのは,血球の種類や分化段階を同定できる多数のモノクローナル抗体による検討や,免疫グロブリンおよびT細胞抗原受容体遺伝子解析が容易に行われるようになったからであろう.表4に,これらの方法を用いたリンパ球,骨髄単球細胞の診断基準を示す.
診断方法の緻密化に従って,mixedあるいはhybridleukemiaの内容も整理されてきた.同一細胞が同時に両形質を有するbiphenotype型と,各形質を有する2種の細胞が混在するbilineal型がこの中に含まれる.この分類に従えば,hybrid leukemiaという名は,その語感からするとbiphenotype型を指すことになるから,biphenotype型とbilineal型を合わせてhybridleukemiaというより,mixed lineage leukemiaと総称したほうがよいかもしれない.
多剤耐性(MDR)遺伝子
著者: 佐藤宏
ページ範囲:P.357 - P.358
■多剤耐性(multidrug resistance;MDR)
白血病や悪性リンパ腫の治療として多剤併用化学療法が選択されることがほとんどであるが,これに伴い臨床家を悩ませ患者を苦しませるものが,薬剤耐性現象である.十分な治療効果が期待される投与量・投与方法であるにもかかわらず化学療法後に相当量の腫瘍細胞が残存する場合や,以前は奏功していた化学療法を反復してももはや反応を認めない場合などが,これに当てはまる.特に,化学構造や作用機序に共通性の少ない複数の薬物に対して,同時に抵抗性を示す現象を多剤耐性と呼ぶ.実際の症例に認められる薬剤耐性はMDRであることが多い.
初診時には薬剤感受性であった白血病細胞が治療継続中や再発時に耐性となる事実を研究するために,腫瘍細胞から樹立された細胞株を抗癌剤を含む培養液中で増殖・継代させ,液中の薬物濃度を漸増させる方法が広く用いられた.これによって数多くの薬剤耐性培養細胞が得られたが,それらの中には耐性誘導に使用された薬物のみならず,他の複数の抗癌剤に対しても同様に耐性を示すものが見いだされた.
静脈うっ滞試験
著者: 三宅良彦 , 鴨川旭 , 安室洋子
ページ範囲:P.358 - P.359
静脈うっ滞試験(venous occlusion test)とは,上腕を一定時間駆血して静脈血をうっ滞させて凝固・線溶因子の変動を調べる方法で,特に血管内皮細胞由来のものに焦点を絞り血管内皮細胞機能を評価しようとする検査法である.
RFLPによる遺伝子診断
著者: 野島博
ページ範囲:P.359 - P.361
■RFLPの適用範囲
制限酵素断片多型性(RFLP;restriction fragmentlength polymorphism)を利用した遺伝子診断は,適用可能な疾患も年々増加してきており,臨床検査において日常的な検査の一つになる日もそう遠い将来のことではなかろう.特に試料となるDNAについては,PCR(polymerase chain reaction)法の開発により,ごく少量の血液(10μl),患者にうがいをさせて得られる口粘膜細胞,はては毛根1本や布に付着した血痕などからも大量に増幅できるようになったおかげで,その対象とできる範囲も広くなってきた.
その原理を図15に示す1).病因となる遺伝子の欠損部位あるいはその近傍に起きた,DNA塩基配列の挿入,欠失,点変異などにより生じた制限酵素による切断されるDNA断片の長さの違いを,アガロース電気泳動とSouthern blot法を用いてプローブ(図15)により検出するものである.この技法は非常に感度が高く簡便ではあるが,いくつかの欠点も持つ.一つは点変異の場合,適当な制限酵素の認識サイトで起きない限り検出できないことであり,二つには,疾患の原因と無関係なRFLPも多々存在し,結果の解釈を複雑にする点などである.
nucleolar organizer region(NOR)
著者: 中村忍
ページ範囲:P.361 - P.362
■nucleolar organizer region(NOR)とは
NORは,休止期の核では核小体にあり,リボソームRNA(ribosomal RNA;rRNA)の前駆体の生成に関与するDNAのループである.また,分裂中期の細胞では,NORは染色体の第二次狭窄に存在し,ヒトでは,第13,14,15,21および22番の5個の染色体上にある.
NORに関連する蛋白は好銀性を示すことから,銀染色を施すことにより光学顕微鏡下で観察でき,argyrophilic proteins of the nucleolar organizer regions(Ag-NORs)と称されている.Ag-NORはリボソームの生成と密接に関係していることから,細胞の増殖および代謝の状態を知るよい指標となると考えられ,主として悪性腫瘍細胞の増殖能の解析法の一つとして検討されている.
基本情報
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16巻1号(1988年1月発行)
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技術講座 細胞診
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技術講座 病理
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技術講座 病理
15巻5号(1987年4月発行)
臨床生理検査と技術 座談会
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14巻13号(1986年12月発行)
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12巻9号(1984年9月発行)
技術講座 一般
12巻8号(1984年8月発行)
技術講座 細菌
12巻7号(1984年7月発行)
技術講座 細菌
12巻6号(1984年6月発行)
技術講座 生理
12巻5号(1984年5月発行)
技術講座 一般
12巻4号(1984年4月発行)
技術講座 病理
12巻3号(1984年3月発行)
技術講座 血液
12巻2号(1984年2月発行)
技術講座 一般
12巻1号(1983年12月発行)
技術講座 血清
11巻12号(1983年12月発行)
技術講座 一般
11巻11号(1983年11月発行)
技術講座 細菌
11巻10号(1983年10月発行)
技術講座 細胞診
11巻9号(1983年9月発行)
技術講座 一般
11巻8号(1983年8月発行)
技術講座 血清
11巻7号(1983年7月発行)
技術講座 細菌
11巻6号(1983年6月発行)
技術講座 一般
11巻5号(1983年5月発行)
技術講座 病理
11巻4号(1983年4月発行)
技術講座 一般
11巻3号(1983年3月発行)
技術講座 血液
11巻2号(1983年2月発行)
技術講座 一般
11巻1号(1983年1月発行)
技術講座 血液
10巻12号(1982年12月発行)
技術講座 一般
10巻11号(1982年11月発行)
技術講座 生理
10巻10号(1982年10月発行)
技術講座 血清
10巻9号(1982年9月発行)
技術講座 細菌
10巻8号(1982年8月発行)
技術講座 一般
10巻7号(1982年7月発行)
技術講座 病理
10巻6号(1982年6月発行)
技術講座 細菌
10巻5号(1982年5月発行)
技術講座 病理
10巻4号(1982年4月発行)
技術講座 血清
10巻3号(1982年3月発行)
技術講座 生化学
10巻2号(1982年2月発行)
技術講座 病理
10巻1号(1982年1月発行)
技術講座 生化学
9巻12号(1981年12月発行)
技術講座 細菌
9巻11号(1981年11月発行)
技術講座 生理
9巻10号(1981年10月発行)
技術講座 一般
9巻9号(1981年9月発行)
技術講座 血清
9巻8号(1981年8月発行)
技術講座 血清
9巻7号(1981年7月発行)
技術講座 生理
9巻6号(1981年6月発行)
技術講座 細菌
9巻5号(1981年5月発行)
技術講座 一般
9巻4号(1981年4月発行)
技術講座 一般
9巻3号(1981年3月発行)
技術講座 血清
9巻2号(1981年2月発行)
技術講座 一般
9巻1号(1981年1月発行)
技術講座 生化学
8巻12号(1980年12月発行)
技術講座 一般
8巻11号(1980年11月発行)
技術講座 生理
8巻10号(1980年10月発行)
技術講座 検体の取り扱いと保存
8巻9号(1980年9月発行)
技術講座 病理
8巻8号(1980年8月発行)
技術講座 生化学
8巻7号(1980年7月発行)
技術講座 一般
8巻6号(1980年6月発行)
技術講座 生理
8巻5号(1980年5月発行)
技術講座 生化学
8巻4号(1980年4月発行)
技術講座 血清
8巻3号(1980年3月発行)
技術講座 病理
8巻2号(1980年2月発行)
技術講座 一般
8巻1号(1980年1月発行)
技術講座 生化学
7巻12号(1979年12月発行)
技術講座 一般
7巻11号(1979年11月発行)
技術講座 一般
7巻10号(1979年10月発行)
技術講座 細菌
7巻9号(1979年9月発行)
技術講座 生理
7巻8号(1979年8月発行)
技術講座 病理
7巻7号(1979年7月発行)
技術講座 生理
7巻6号(1979年6月発行)
技術講座 一般
7巻5号(1979年5月発行)
技術講座 血液
7巻4号(1979年4月発行)
技術講座 生理
7巻3号(1979年3月発行)
技術講座 病理
7巻2号(1979年2月発行)
技術講座 細菌
7巻1号(1979年1月発行)
技術講座 生化学
6巻12号(1978年12月発行)
技術講座 細菌
6巻11号(1978年11月発行)
技術講座 病理
6巻10号(1978年10月発行)
技術講座 血清
6巻9号(1978年9月発行)
技術講座 細菌
6巻8号(1978年8月発行)
技術講座 生化学
6巻7号(1978年7月発行)
技術講座 一般
6巻6号(1978年6月発行)
技術講座 病理
6巻5号(1978年5月発行)
技術講座 生理
6巻4号(1978年4月発行)
技術講座 一般
6巻3号(1978年3月発行)
技術講座 病理
6巻2号(1978年2月発行)
技術講座 一般
6巻1号(1978年1月発行)
技術講座 病理
5巻12号(1977年12月発行)
技術講座 生理
5巻11号(1977年11月発行)
技術講座 一般
5巻10号(1977年10月発行)
技術講座 細菌付録
5巻9号(1977年9月発行)
技術講座 一般
5巻8号(1977年8月発行)
技術講座 生理
5巻7号(1977年7月発行)
技術講座 一般
5巻6号(1977年6月発行)
技術講座 一般
5巻5号(1977年5月発行)
技術講座 一般
5巻4号(1977年4月発行)
技術講座 一般
5巻3号(1977年3月発行)
技術講座 一般
5巻2号(1977年2月発行)
技術講座 一般
5巻1号(1977年1月発行)
技術講座 一般
4巻12号(1976年12月発行)
技術講座 一般
4巻11号(1976年11月発行)
技術講座 一般
4巻10号(1976年10月発行)
技術講座 一般
4巻9号(1976年9月発行)
技術講座 一般
4巻8号(1976年8月発行)
技術講座 一般
4巻7号(1976年7月発行)
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4巻6号(1976年6月発行)
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4巻5号(1976年5月発行)
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4巻4号(1976年4月発行)
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4巻3号(1976年3月発行)
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4巻2号(1976年2月発行)
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4巻1号(1976年1月発行)
技術講座 一般
3巻12号(1975年12月発行)
技術講座 一般
3巻11号(1975年11月発行)
技術講座 一般
3巻10号(1975年10月発行)
技術講座 一般
3巻9号(1975年9月発行)
技術講座 一般
3巻7号(1975年8月発行)
特集 必修 日常検査の実技
3巻6号(1975年6月発行)
技術講座 生理
3巻5号(1975年5月発行)
技術講座 一般
3巻4号(1975年4月発行)
技術講座 一般
3巻3号(1975年3月発行)
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3巻2号(1975年2月発行)
技術講座 一般
3巻1号(1975年1月発行)
技術講座 一般