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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術19巻9号

1991年08月発行

雑誌目次

病気のはなし

アミロイドーシス(アミロイド症)

著者: 磯部敬

ページ範囲:P.714 - P.719

サマリー
 アミロイドーシス(アミロイド症)は,多彩な臨床症状をもつ診断の困難な厚生省指定の難病の一つである.アミロイドの診断は,生検によるコンゴ赤染色で病理学的にされねばならない.しかしそれに至るまで,かなりの知識が必要とされる.病像・臨床経過・診断への手助けをここに述べた.予後不良であり,われわれは早期診断に力を注ぐ必要があろう.

検査法の基礎

免疫学的血中薬物濃度測定

著者: 三浦裕

ページ範囲:P.721 - P.727

サマリー
 血中薬物の測定がなぜ必要か,どんな薬物が測定対象になっているか,そしてそれらの免疫学的測定法について,ここでは主として基本的な考えかたやそのよってきたるところについて述べた.
 抗体と標識抗原(薬物)あるいは固定化抗体と標識抗体といった組み合わせで試薬を用いる場合,①これらの試薬と測定対象の薬物との間での免疫反応のしかたにより競合反応と非競合反応に,②次いでB/F分離の有無により均一法と不均一法に分けられる.
 実際に用いられている測定法を,Ab+Ag・M→Ab-Ag・Mのように記号で表してみた.

A群溶血性レンサ球菌感染症の免疫学的検査

著者: 寺嶋周

ページ範囲:P.728 - P.730

サマリー
 A群溶レン菌感染症は咽頭炎,猩紅熱,丹毒など急性化膿性病変を生ずるが,リウマチ熱,糸球体腎炎,アレルギー性紫斑病などの自己免疫疾患の病因ともなりうる.これらの疾患および疫学的調査において,retrospectiveに本菌の感染を検知しうる血清学的,免疫学的検査法の意義について述べる.

技術講座 血液

フローサイトメトリーによる顆粒球機能検査

著者: 鎌倉正英 ,   浜渦俊和 ,   河野純一

ページ範囲:P.731 - P.736

サマリー
 顆粒球は,生体に侵入した微生物を貪食,殺菌することにより生体防御の第一線に立っている.それらの機能を詳細に検索することは,ほかの免疫機能検査とともに種々の疾患患者の生命予後を知るうえにも重要である.これまで,いろいろな貪食,殺菌能検査法が開発されてきたが,それらのほとんどが操作が繁雑であるためにある程度の熟練を必要とすること,および白血球分離をはじめとする種々の人為的操作を必要とするために,それに伴う細胞のダメージが避けることのできない問題であった.しかし最近,フローサイトメトリーの開発が進み,微量の全血で,しかも複雑な操作を必要とせず,大量の,目的とする細胞の機能を短時間に測定することが可能になった.
 本稿では,筆者らが現在行っているフローサイトメトリーを用いた顆粒球の貪食能,活性酸素産生能(殺菌能)の測定法とその結果の解析について述べる.

免疫

Lewis式血液型の検査法

著者: 内山英一

ページ範囲:P.737 - P.739

サマリー
 輸血検査技術の進歩に伴い,抗体同定に際し血球側からの確認,抗体を持っている患者への適合血液の選択など,ABO,Rh式血液型判定のほかに各種の血液型の判定が必要となる場合が多くなっている.その中で,特にLewis式血液型は,ほかの血液型とは違った特徴を持っており,その判定には注意が必要である.そこでLewis式血液型の検査法について解説する.

微生物

市販生培地の品質管理

著者: 長沢光章

ページ範囲:P.741 - P.745

サマリー
 市販生培地は,品質の向上とともに多くの施設で使用されているが,メーカーおよびロット差,保存および経時変化などにより発育性,溶血性,選択性などに違いや影響がある場合があり,正しい成績を得るためには品質管理が不可欠である.しかし,ほとんどの施設では実施されておらず,また国内における基準法も確立されていない.
 検査室における品質管理には,培地の外観,検定菌を用いた性能試験,培地の保管などがある.

生理

消化器領域における超音波検査の進めかた—[3]主な肝疾患

著者: 佐久間浩

ページ範囲:P.747 - P.752

サマリー
 腹部超音波検査を行うに当たり,いくつかの代表的な肝疾患の超音波像を知っておく必要がある.肝疾患は限局性肝疾患と,びまん性肝疾患とに大別され,限局性肝疾患としては肝嚢胞・肝血管腫・肝膿瘍・肝内石灰化・肝細胞癌・転移性肝癌などが,びまん性肝疾患としては肝硬変や慢性肝炎といったいわゆる慢性肝障害と脂肪肝が,その頻度も高く重要である.
 本稿ではこれらの疾患の超音波像について解脱するが,いずれの場合においても,多くの非典型例および境界病変が存在するため,あらゆる可能性を念頭において検査を進めていく必要がある.

一般

尿蛋白定量検査の精度管理

著者: 水谷博 ,   松崎頼子 ,   藤森勲

ページ範囲:P.753 - P.758

サマリー
 精度管理の基本は,誤差因の解析とその除去にある.その過程を介して測定法が改良されていく.尿蛋白定量検査の精度管理もまったく同様である.ここでは,静岡県精度管理調査結果の解析と比濁法誤差因の解明を中心に,精度管理の技術を解説した.
 尿蛋白定量検査がかかえる精度の問題は,尿蛋白組成の多様性によって生じている.色素法採用率の漸増は,比濁法に比して誤差因が少ないことに起因する.その結果として施設間格差は縮小していった.しかしながら,測定法と較正用物質の統一化が行われても,所期の目標を達成することはできない.基本的な測定技術の安定化をないがしろにしてはならない.

マスターしよう検査技術

装置定数法による実測K値の求めかた—(酵素活性測定の自動分析法における検量の実際)

著者: 大貫経一 ,   山崎忠夫 ,   桑克彦

ページ範囲:P.763 - P.768

はじめに
 酵素活性を同一の測定原理と測定条件の方法で測定したとき,測定装置が異なっても同じ値にならなくてはいけない.このとき装置ごとに異なった値になるのは,検量係数の設定に誤りがあるからである.
 連続計測法による酵素活性値の表しかたは,反応指示物質の1分間当たりの吸光度変化量に一定の係数を乗じて行う.すなわち,酵素活性値を37℃の測定温度下で,国際単位U/lで表現するときは,U/l,37℃=⊿A/min×1/ε×1/l×SV+RV/SV×106(ε:モル吸光係数l・mol-1・mm-1,l:光路長mm,SV:試料容量μl,RV:試薬容量μl)となる.このとき1/ε×1/l×SV+RV/SV×106=Kと置き,Kの正確な値を求める必要がある.しかし,自動分析装置ではこれらの各パラメーター(ε,l,SV,RV)の正確な値はまったく不明である.すなわちK値は装置ごとに,かつ反応ラインごとにすべて異なる.したがって,正しい検量のためのKの値は各パラメーターについてそれぞれ正しい値を求めて計算するか,あるいは個々のパラメーターを求めないで一括してK値を求めるかを行う.このように求めたK値を実測K値という.このうち前者は技術的に実施が容易でない.しかし後者はいたって簡単に求まる.これは測定試薬を用いて既知濃度の反応指示物質の吸光度を求めて算出するものである.そして,そのための反応指示物質も,現在5種類のものがいつでも入手できる.

検査ファイル

項目●マイクロプレートハイブリダイゼーション法

著者: 江崎孝行 ,   三宅正美

ページ範囲:P.770 - P.771

 マイクロプレートハイプリダイゼーション(microplate hybridization)法は,2つの菌株間の遺伝学的類似度を測定するために開発された定量的DNA-DNAハイブリダイゼーション法であるが,この方法はDNAの標識にアイソトープを使わないため,一般の細菌検査室で菌種の同定に応用できる.同定に利用する場合は,図に示した手順で実験を行う.市販のキットを使う場合は,DNAを固定したプレートはすでに作製してあるのでこの操作は必要なくなる.
 まず,分離された菌株のDNAを抽出しフォトビオチンで標識する.同定したい菌株と類似した菌種のDNAが固定された96穴のプレートに標識DNAを分注し,ハイブリダイゼーションを行う.90分後,未反応の標識DNAを洗い流した後,streptavidin-conjugated enzymeを加え,ビチオンとストレプトアビジンを結合させる.洗浄後酵素の基質を加え,二本鎖になったDNA量を定量し,標識菌と基準株のDNAの相同性を算出し最も近い基準株を探す.菌液を作製してから同定まで約3時間しかかからず,細菌の迅速同定が可能になった1).以下この方法を解説する.

項目●パルスエコー法

著者: 石出信正

ページ範囲:P.772 - P.773

 超音波を用いた検査法は非侵襲的で,かつ得られる情報が豊富なことから,日常診療に欠かせない手段となっている.その中でパルスエコー法は最も一般的に行われている方法である.この方法では超音波(数メガヘルツ)をごく短時間,例えば百万分の数秒だけ,すなわちパルス状に生体に入射し,反射された音(エコー)が帰ってくるまでの時間を測定し,反射を起こす物体の存在と距離を計算する.この操作は高速度(例えば1秒間に数千回)で繰り返すことが可能なので,超音波振動子(プローブ)から物体までの距離の変化を時間分解能よく測定できる.反射の強さを輝度の強さとして示し,Y軸には距離,X軸には時間をとって表示するのがMモード表示である.
 超音波ビームを入射する位置あるいは入射方向を変えることにより,反射を起こす物体がどこにあるかを知ることができる.以前,単一方向にしかビームを出せない振動子を用いていた時代には,この操作を検査者が用手的に行っていた(例えばMモードスキャン法).その後,高速度で振動子を動かすメカニカルスキャン法が開発され,生体内組織の断層像をほぼリアルタイムで表示するBモード法が可能になった.現在では電子式にビームを制御する電子スキャン方式が主流になっている.

機器●簡易血液凝固検査用機器

著者: 米満博

ページ範囲:P.774 - P.776

はじめに
 Losnerらが自動血液凝固測定装置を用いプロトロンビン時間(PT)を測定(1950)1)して以来,血液凝固線溶を測定する機器が数多く開発され使用されている.その大半は種々の測定原理によりフィブリンの析出をとらえるものであるが,その終末点の判定が異なる.
 これらの機器は,操作法により,全自動と半自動機器に大別される.自動化の当初は,高度の熟練を要する用手法を自動化することにより,測定者個人あるいは測定者間の測定値のバラツキをなくす目的に大きな比重がかかっていた.しかし,最近は多項目測定が同時に可能な,検体処理能力の大きい,高精度の,しかも測定操作のより簡易な大型の全自動測定装置が次々と開発されるようになった.一方,検体数の少ない施設や緊急性ということを考えると,大型機器はむしろ不便であり,小型で簡単に操作ができ,緊急用や抗凝固療法のモニター用にも対応でき,しかも精度の高い簡易測定機器が望まれる.本稿では,このような条件を満足するような機器を選び,簡易血液凝固検査用機器とした.

用語●アゾール系抗真菌剤

著者: 伊藤章

ページ範囲:P.777 - P.779

[1]概念 窒素を2つ有する非置換型のイミダゾール環を有するイミダゾール系抗真菌剤と,イミダゾール環を窒素3つを有する非置換型のトリアゾール環に替えたトリアゾール系抗真菌剤を総称してアゾール系抗真菌剤という.
 イミダゾール環,トリアゾール環とも他の構造部分とはN-C配位で結合しており,基本的構造としては図1に示す構造式を有している.

トピックス

“bubble cell”と“bubble cast”/HLA遺伝子群

著者: 今井宣子 ,   徳永勝士

ページ範囲:P.790 - P.791

 腎疾患患者の尿沈渣中に空泡状の円柱や空泡状の細胞を見ることがある.特に,重症のネフローゼ症候群(慢性糸球体腎炎,糖尿病性腎症,ループス腎炎など)のときには,多量の円柱(顆粒円柱,上皮円柱,赤血球円柱,白血球円柱,脂肪円柱,ロウ様円柱,血液円柱など)や,腎尿細管上皮,卵円形脂肪体などとともにみられる.
 空泡状の円柱は,大きさは多様で,空泡の形状,大小もいろいろである.時に,赤血球円柱に酷似して見えることもある.空泡状の細胞は,形状,大きさは多様であるが,核は1個で,空泡は1個から数個まで,また細胞は多数集合している場合もある.

突発性発疹とHHV-6

著者: 山西弘一

ページ範囲:P.792 - P.792

 突発性発疹という病気は,古くからよく知られている疾患で,1910年には小児科の教科書に独立した疾患として記載されている.病気は生後6〜12か月の乳児を中心に見いだされ,症状は数日の発熱の後,解熱と時を合わせて全身に発疹がみられる.発疹は1〜2日で消失し,通常は後遺症は認められない.病状は通常軽症であるが,時には熱性痙攣が見受けられることがある.
 この疾患の原因は,1950年代に行われたヒトへの接種実験よりウイルス説が有力であったが,原因ウイルスの分離同定には至らなかった.そこで1988年に筆者らは,この疾患の原因ウイルスはヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)であることを報告した.

Mycobacterium xenopi

著者: 小林栄子

ページ範囲:P.793 - P.793

はじめに
 Mycobacterium xenopiは,1959年Schwabacker1)によってヒキガエルから分離され,ヨーロッパではこの菌による肺感染症は数多く報告2)されている.しかし本邦ではこの菌による肺感染症は少なく,1984年束村ら3)の報告が初めてである.筆者らは1988年4)M.xenopi肺感染症と診断された症例に遭遇したので,その症例および細菌学的検査について紹介する.

ラボクイズ

[問題]血液腫瘍

ページ範囲:P.760 - P.760

7月号の解答と解説

ページ範囲:P.761 - P.761

検査データを考える

一次線溶と二次線溶

著者: 新谷憲治 ,   櫻川信男

ページ範囲:P.782 - P.786

はじめに
 生体は,出血に対して血小板およびフィブリン(fibrin)塊を形成して対応し,さらに血管内に形成された血栓を溶解して,血流を回復する機構を有している.後者は,線維素溶解(線溶)と呼ばれ,血栓を形成している重合したフィブリンが蛋白分解酵素であるプラスミン(plasmin)により分解され,消失していく現象と理解される.プラスミンは,血中で不活性型の前駆物質であるプラスミノゲン(plasminogen)として存在し,血管内皮細胞や白血球から放出されるプラスミノゲン・アクチベータ(plasminogen activators)により活性化され,プラスミンに転換される.
 このプラスミノゲンのプラスミン変換は,通常凝固系が働いて血栓が形成されたときに二次的に惹起され,二次線溶(secondary fibrinolysis)と呼ばれる.一方,血栓形成と無関係に,線溶療法のときのように血中でプラスミン・アクチベータが増加し,その結果,活性化されたプラスミンによりフィブリノゲン(fibrinogen)の溶解(fibrinogenolysis)が惹起される現象も知られており,二次線溶と区別して,一次線溶(primary fibrinolysis)と呼ばれる.

生体のメカニズム・8

補体とそのレセプター

著者: 戸澤秀樹

ページ範囲:P.787 - P.789

 古典的経路や別経路により補体の活性化が起こると,C3やC4が異物に共有結合し,①異物処理細胞群の活動,②標的細胞膜やウイルス膜の破壊(MAC形成),③補体複合体やアナフィラトキシンによる炎症反応,④抗体産生の調整,などが誘引される.このときの中心的因子がC3であり,補体活性化の過程で生ずるその分解産物(図)が,各種補体レセプターとの結合性を獲得し,その結合を通じて上記の反応が起こる.誌面の都合で,補体活性化のメカニズムについては教科書程度の基礎知識のあることを前提として,解説を進めたい.

講座 英語論文を読む・8

健常者における対側腎切除に対する心房性Na利尿ホルモンおよび残存腎の適応

著者: 弘田明成

ページ範囲:P.780 - P.781

 正常者においては,片腎切除後でも,代償性変化により水と電解質の恒常性(ホメオスターシス)を十分に維持することができる.この機能的適応の作用機序は実験系およびヒトにおける研究で明らかにされてきた.以前の研究でわれわれは,生体腎移植の健常提供者における腎切除後の尿細管および糸球体機能を検索した.腎切除後の最初の5日間以内に残存腎の糸球体濾過量が30%増加することがわかった.リチウムクリアランス法を用いることにより,初期には,この増加した濾過量の負荷は近位尿細管からより遠位のネフロンの部分へと移行することが示された.2〜4週以内に近位における液体の再吸収の増加が観察され,その結果,糸球体-尿細管バランスはほとんど正常化された.これらの代償性変化に寄与する因子は不明であるが,しかし血中Na利尿因子が関与しているかもしれないことは従来から示唆されていた.ANPはナトリウムと水の平衡化の維持に寄与していると考えられている.したがって,このホルモンの作用として,腎への直接効果によるナトリウム利尿作用およびレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系に対する調節作用が想定されてきた.われわれの知る限りでは,ANPが腎重量の急激な減少に対する機能的適応に関与していることに関する情報はない.

明日の検査技師に望む

技と知と愛と

著者: 鈴木泰三

ページ範囲:P.720 - P.720

 最近,医療の場でよく「心あたたまる医療」とか「親切な医療」といった声が聞かれます.本当に患者を心からなぐさめることのできる医療こそが真の医療の姿でありましょう.そのことはまったく正しいと思います.しかし,本当に患者をなぐさめるためには単なる表面的な親切さだけではとおりません.医療の現場の人たちはそれぞれの職種の技術がしっかり身についていて,それがよく発揮されていることがすべての親切な医療の前提ではないでしょうか.

けんさ質問箱

Q マハラノビス汎距離

著者: 飯塚悦功 ,   N.Y.

ページ範囲:P.794 - P.795

 多変量解析の一手法である「マハラノビス汎距離」について,わかりやすく,例を挙げてご解説ください.パソコンで使えるパッケージソフトの有無についてもお教えください.

Q PSP試験/Q ウラ血球の自家調製上の注意点

著者: 折田義正 ,   ,   神白和正 ,  

ページ範囲:P.796 - P.797

 PSP試験において,被検者に水の代わりに麦茶,またはウーロン茶を飲ませた場合,検査データに影響が出るでしょうか.

Q 心電図,脳波計測における交流誘導障害対策

著者: 田頭功 ,   K.Y.

ページ範囲:P.797 - P.799

 特別に天井,壁,床などにシールドを施していない部屋で心電図検査を行っていますが,周囲が工場地帯や飛行場のためかと思われる交流障害で困っています.アース線は取り,シールドマットを敷き,磁場発生防止のためにコードの絡まりなどがないよう注意していますが,測定中急に交流が入ったり,測定できなくなったりするという経験をします.ハム,交流,ドリフトのいずれのフィルターをかけても,大きく交流が入ってしまいます.対策をお教えください.また心電図室の特別な施工法や設計などもお教えください.

けんさアラカルト

行政で活躍する臨床検査技師—静岡県を例に

著者: 伊藤機一 ,   杉枝正明

ページ範囲:P.740 - P.740

 静岡県(保健衛生部)に採用されている臨床検査技師(以下技師と略す)は総数69名で,病院に55名,保健所に12名,衛生環境センター(地方衛生研究所)に2名が配属されている.県の掲げるスローガン「日本一の健康県づくり」の達成のため,360万県民の地域医療,健康増進,疾病予防,環境保全などの各分野で検査業務に携わっている.

今月の表紙

三次元画像による肝臓の組織構築(A:正常例,B:肝硬変)

著者: 高橋徹

ページ範囲:P.746 - P.746

 慢性肝炎やアルコール性肝障害などは進行すれば最後には肝硬変の状態に到達する.肝臓は結節といわれる球状の実質塊の集合によって置き換えられ,この肝硬変の肉眼像は極めて特徴的である.結節と結節の間,すなわち間質(または隔膜)は線維性の組織であって,ここはウイルス肝炎やアルコール性肝障害によって実質組織が壊死に陥った後に生じた瘢痕と考えてよい.結節は壊死を免れた実質が再生し,膨大することにより生じた構造で,再生結節と呼ばれることもある.
 こういってしまえば簡単だが,慢性肝病変からの肝硬変の成り立ちにはまだわからない点が沢山ある.肝硬変になってゆく道筋は病理学では小葉改築と表現されており,「小葉改築傾向を伴う慢性肝炎」といえば,それを伴わない慢性肝炎よりは肝硬変に一歩近づいた状態とみなされる.このように,肝硬変とは正常の小葉構造からの偏り,あるいはその作り変えの過程と考えるべき病変であることは確かだが,実をいえば正常の肝小葉とはそもそもどのような構造か,この問題さえ解決がついておらず,とても改築の実体に迫るところまではいっていない.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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