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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術2巻10号

1974年10月発行

雑誌目次

病気のはなし

骨・関節の病気

著者: 永野柾巨

ページ範囲:P.16 - P.19

 私たちが手足を動かしたり口を動かしたり,あるいは歩いたり走ったりという運動をするのに主役を演ずるのが,神経・筋系と共同した骨・関節です.筋の働きは骨というテコが,関節という支点のまわりで回ることによって初めて,生体の存在の表現といわれる外部環境への働きかけ-つまり個体からみれば運動-という姿をとることになります.骨・関節はまた,バックボーンということばどおり私たちの全身を支持することや,私たちの体内諸器官を外部から保護する働きを持っています.これらの働きは骨の強固さと弾力性,関節のなめらかさと安定性が基礎にあってこそ完全な機能を現せます.一方,体内環境にあっては骨格は,その無機成分である骨塩(リン酸やCaを主成分とするアパタイトと呼ばれる微細結晶と考えられている)が,体液の電解質,特にCa,PO4,Na,Mg2+のホメオスタシスに重要な働きをしていること,また骨髄では血液固形成分,つまり血球の産生が行われ,この面でも骨格が内部環境の維持に関与していることが知られています.
 したがって,骨・関節の病気は,こういった運動という機械学的な面での考慮と,内部環境での代謝,物質出納という面での考察を常に要求することになります.もちろん,ある病気では前者が大きく前景に立つし,ある障害では後者が重要な症状として取り上げられますが,この二面を忘れてはなりません.機械学的な障害は,たとえば外傷で骨折,脱臼,捻挫といったものがすぐ思い浮かびます.足関節を捻挫して,痛みのためそこをかばって歩くうちに膝や腰,または反対の下肢,ときには肩こりまで起こったという経験をした方もあるでしょう.このように私たちの骨・関節は全体として一連の鎖のような関係を持ち,全体がじょうずに調節されたチームワークを保っているので,一部の障害が他の部分に障害を起こすこと,逆に全身の病気が,どこか一部の骨・関節の機能障害を引き起こすことが普通にみられます.代謝という面からは,骨・関節に全く関係ないような肝臓や膵臓の病気が骨・関節に姿を現すことがありますし,骨塩の代謝に関係する内分泌腺の異常は当然,骨・関節に病気を起こしてきます.

技術講座 生理

シグナルとノイズ・7

著者: 石山陽事 ,   村崎義紀 ,   根岸勇

ページ範囲:P.57 - P.59

《サンプル1》
 1.解答
 村崎 まずざっと見て,ちょうど記録の中央部で前頭部に非常にとがった一見スパイク状の波が2,3回と,それに続いてδ帯域のゆっくりした波が出ています.それから中心部のところにやはりがとがった波が,位相は逆転しているんですが,前頭部の波とだいたい時間的には一致した状態で出現している.これが大きく目につくところじゃないかと思います.
 これがはたしてなんによるものか,雑音とは思うんですが,スパイク状の波形がくずれているというのがちょっと気になるんですね.それから前頭部と中心部で位相が違うというのがやはり気になります.それから徐波みたいなゆっくりした波が,前側頭部でちょっとですが位相の逆転が起こっているんですね.眼球の水平運動を単極誘導でやらせますと,前側頭部で非常にクリアーに位相が逆転する場合がありますので,そういう点から眼球運動も少しは含まれているのではないかと思うんです.

生化学

検体の保存

著者: 野本昭三

ページ範囲:P.60 - P.61

 検査は診療のためにあるから,検体が長く放置されることは通常ないが,短時間に変化を受けやすいものとか,現実の条件で保存しなければならない場合は珍しくない.保存の知識は次のような時,特にたいせつである.
 (1)目的成分がきわめて不安定で採取後そのままでは刻々変化が進むもの,(2)血清または血漿中の含量を目的とする場合で,血球の影響(血球内外の移行)によって変化するもの,(3)一定時間,試料を蓄積して検体とするもの,(4)特殊な検査で,そのつど測定することが困難なため,検体をある程度まとめて測定することが必要になる場合,または外部に検査を依頼する場合,(5)特殊な症例で,のちに広範な検討が必要と考えられる場合,(6)精度管理用試料として一定期間安定に保たなければならない場合,などである.

血液

トロンボプラスチン形成試験

著者: 大竹順子

ページ範囲:P.62 - P.63

 トロンボプラスチン形成試験は割合に手技が煩雑なためと検査結果の解釈上の意味において,凝固機能検査のスクリーニングテスト(血小板算定,部分トロンボプラスチン時間,プロトロンビン時間,トロンボプラスチンスクリーニングテストなど)を行い第Ⅷ,第Ⅸ,第【ⅩⅠ】,第ⅩⅡI因子の欠乏が考えられる場合に行う検査である.

血清

梅毒血清反応・2 沈降反応

著者: 堀越晃

ページ範囲:P.64 - P.65

 梅毒の血清学的診断として開発された沈降反応(ガラス板法,梅毒凝集法,RPRカードテスト)は鋭敏度,特異度の点で補体結合反応(緒方法,ほか)より高く,しかも短時間に多数の検体を処理できる利点を持っている.特に材料,器具の面でも少なくてすむことから,各検査法に定められた注意を守って正しく行えばよい成績が得られるので,多くの検査室で採用されている.なお3つの方法について解説するが,おのおの特徴があり,検査室の実状に応じて他の方法と組み合わせて実施することがたいせつである.

細菌

嫌気性菌検査・2

著者: 小栗豊子

ページ範囲:P.66 - P.67

 嫌気性菌の培養は好気性菌と異なり,嫌気的な環境で培養することが必須であるが,この際の嫌気環境の作り方はその主な方法を前の号で紹介した.今回は嫌気性菌の培地,検査法について解説する.

病理

検体の処理法・7—電子顕微鏡

著者: 宮本博泰

ページ範囲:P.68 - P.69

 病理組織の電子顕微鏡試料は,主に超薄切片法によって作製される.この方法は光学顕微鏡の試料作製法とプロセスが非常によく似ており,いずれも組織の固定に始まって脱水,包埋,薄切,染色を経て検鏡試料となる.しかし両者の大きな相違点は,光顕がたかだか1,500倍ぐらいの拡大で0.2μ以上の微細構造を観察の対象としているのに対して,電顕では15万倍以上に拡大して20Å(0.002μ)に達する超微細構造を観察の対象にする.そこで当然のことながら電顕試料では,光顕試料の1/100の超微細構造が保存されているような試料作製法が考えられてきた.
 この作製法の詳細については成書を参考にしていただいて,ここでは作製法のアウトラインと,臨床病理の検索材料の取り扱いについて述べてみたい.

一般

尿タンパク定量法の問題点

著者: 真重文子

ページ範囲:P.70 - P.71

 タンパク尿中には,各種のタンパク質が含まれている.主に血清由来(一部組織由来)のアルブミンおよびグロブリンであるが,ベンス・ジョーンズ・タンパク,アルブモーゼ,ムチン,タンパク酵素などのタンパク体が排泄されている場合がある.性質の異なる多種類のタンパクが混在する尿タンパクの定量には,当然問題点も多い.タンパク定量法とその問題点を理解するために,まずタンパク質の構造を思い出してみよう.

マクロとミクロ

骨・関節

著者: 佐々木憲一

ページ範囲:P.6 - P.7

 骨は質が硬くかつ弾力性を持っている.成人では約200個の骨が集まって骨格系となり(軸骨格—頭蓋骨23,脊柱26,肪骨および胸骨25,付属骨格—上肢骨64,下肢骨62),身体を支持し,脳,脊髄,肺その他の臓器を保護しており,骨格筋を能動運動器と呼ぶのに対して,骨格は受動運動器とも呼ばれている.
 骨はその形により5種に区別されている.

クローズアップ

吉岡 環—広島市医師会臨床検査センター細菌検査室主任

著者: 綿岡静枝

ページ範囲:P.8 - P.9

基礎的知識がたいせつな世界
 "細菌検査がいちばん古くから行われている分野で,その奥行も深い"と専門講義の初めの時間に言われたことが頭から離れず,就職の時には迷わず細菌を選んだ.それも小さな病院でかけ持ちでする程度ではおもしろくないので,専門として確立している検査センターを選んだという.お兄さんも検査技師で,仕事の内容は入学前からよく知っていただけに,学生時代,ちょっとしたことばも聞きのがさない細心さを持っていたのであろう.
 検査センターは検体の届く午後3時すぎからが忙しく,化学関係のように"血清分離をして翌日検査"というわけにはいかない.その日の5,6時ごろまでが勝負である.1日100件近い検体を6人で処理する.部屋の仲間はほとんど学校の後輩……卒業して3年,今や細菌検査室の中心である.試薬の発注から伝票の管理まで,雑用も皆吉岡さんの肩にかかっている.

ひとこと

医師会立臨床検査センターと検査技師

著者: 斎藤藤二郎

ページ範囲:P.10 - P.11

医師会立臨床検査センター誕生の歴史
 戦後の診断技術のめざましい進歩は,多種多様な臨床検査の開発によるところが多く,かつアメリカ医学の導入により,臨床検査の効率化から大病院は中央検査室制度を次々と採用するに至った.1950年に武見現日医会長が日医副会長当時,"官公立病院の中央検査室に比敵する第一線実地開業医家の共同検査室なる構想"を発表した.これは医学の進歩に対応する第一線実地開業医家の"医療の近代化"を企図したものであった.この武見構想を実現した第1号が1953年に生まれた栃木県下都賀郡の医師会立病院であった.東京都内の第1号は1961年に誕生した調布医師会の臨床検査センターで,当時医師界はもちろん,各方面の注目を集めた.これに刺激されてわが荏原医師会は新会館を建設し,同時に臨床検査センターを設立した.1962年12月のことで,都内の第2号で,全国では23番めのものであった.その後医師会立臨床検査センターは続々と設立されて,現在では全国に115施設の多きを数える.当時私はわが荏原医師会臨床検査センターの設立準備から建設,その後の運営と3期6年の長きにわたり担当副会長として在任し,当時の大橋会長を補佐した.

病人と病気と病院

救急医療の体制づくり

著者: 宇山理雄

ページ範囲:P.12 - P.15

救急医療とは
 救急医療とはいったい何を言うのかを簡単に定義することはむずかしい.すぐ適切な医療を施さなければ生命に危険が及ぶような重症患者の処置が救急医療であることは,だれもが理解できるが,休日や夜間の診療時間外に病院を訪れて,食べすぎてお腹が痛いとか,風邪をひいて熱が高いという程度の患者を診るのも救急医療かと言われると疑問なのである.しかし現実には救急病院は後者の患者に追いまわされているのである.このように翌日まで診察を待とうと思えば待てないこともないような軽症患者の処置も救急医療に含めなければならないために,たいへんな混乱が起こってくるのである.
 なぜこのような軽症の急患が最近にふえたのだろうか.これには種々の原因があるが,国民皆保険による受診率の増加,核家族化,診療所の医師の職住分離傾向がはっきりしてきたことによる休日夜間の休診増加(医師も人間である.せめて夜や休日ぐらいは人なみに休みたい),診療所の従業員の確保が休日や夜間は困難になったこと(看護婦不足や人件費の高騰)などがあげられる.したがって救急医療を論ずる場合には休日夜間の急患(軽症)を除外して考えることはできないようになってきたのである.

基礎から応用へ

周期波形の計測

著者: 三上智久

ページ範囲:P.20 - P.23

 生体には多くの周期的な現象がある.心拍や呼吸のリズムはもとより,神経を伝わるインパルス列の信号,消化管などにみられる蠕動(ぜんどう)や線毛運動も固有の周期を持っている.周期の長いものでは,ほぼ24時間を周期とした概日リズムや1か月を周期とするもの,1年を周期とするものなど,様式や間隔は種々雑多である.
 周期とは次のくり返しが始まるまでの時間で,1周期の波形の計測が診断の重要な資料となることが多い.

実験用動物—その生物学・2

著者: 佐藤やす子

ページ範囲:P.24 - P.27

1.ネズミの繁栄とその特性
 実験用動物とは何を指すかについて,先月号でその概略にふれた.
 実験動物として使われているネズミ類の代表はいわゆるマゥスとラットであるが,これらは生物学的には,学名にしたがってそれぞれMus musculus(Musはネズミ,musculusはコネズミの意味を表すラテン語),およびRattusnorvegicusと呼んでいる.実験用に使われるマウスもラットも,生物学的にはおのおのひとつの"種"(species)から使用目的に合うように育成された多くの系統(strain)を含んでいて,系統ごとの呼び名がついている.モルモットもMusやRattusと同じネズミ科(Muridae)に属するが,ネズミ科を含む齧歯目(Rodentia)にはこのほかにハムスターがあり,また野生種の中からもシマリス,ハタネズミ,ヒメネズミ,アカネズミ,ヤマネなどが研究用動物として使われている.兎目(Lagomorpha)は,以前は齧歯目に亜目(suborder)として含まれていて分類学的に近縁であり,代表的なウサギも重要な実験動物で,発熱試験,血清学的研究,妊娠診断用に使われている.

シッフ反応とPAS染色

著者: 坂岸良克

ページ範囲:P.28 - P.31

 電気泳動法は今ではどこの検査室でも手軽に行える分析法となった.ことにセルロースアセテート膜を支持体とするようになってから分離能も作業能率も一段と向上した.
 ところで,この方法が他のどの分析法よりわずかの検体量でしかも多くの病態情報を提供することについて,一般の人はそのありがたみを無視しがちではなかろうか.わずか1〜5μlの血清を塗布し,40〜50分の泳動時間でアルブミン,α1,α2,βおよびγ-グロブリンが分離されるが,これをポンソー3Rで染めれば通常のタンパク分画が,クロモジェニックな基質とインキュベートすれば種々のアイソザイム分画が検出される.さらにシッフ試薬を使えば糖タンパク分画が検定出量され肝炎,胃炎などの病態解析に役だつし,オゾン化してからシッフ試薬で検出すればリポタンパク分画が定量でき,脂質代謝の程度をうかがい知ることができる.ここではセルロースアセテート膜による糖タンパク,リポタンパク分画の検出に広く利用されているPAS染色と,その原理であるシッフ(Schiff)反応について述べてみよう.

実習日誌

技師への道の1ページ

著者: 大町早苗

ページ範囲:P.32 - P.32

 今年の春休み,病院実習はどこになるのだろう,何をどうやって勉強しようかと思った.考えても考えどおりいかないとわかっていても,頭の中は実習のことが大半を占めていたのを覚えている.そうしているうちに,4月となった.1つの病院で充実して実習ができるようにと,大村国立病院にした.ここは寮生活で,時間にとらわれずに実習に打ち込めると思った.その反面,16週間でマスターできるかと不安に陥った.それも束の間,実習の前日は"日常検査とは,検査法の決定の仕方は……そしてできるだけ多くのことをマスターしよう"と考え決意した.
 当日,何となく身の引きしまるのを覚えた.それにいつもの自分でないみたい.始めに院長室,検査室で紹介があった.新たな希望と"やるぞ"という気持をひしひしと感じながら歩いたことを記憶している.私は一般検査からローテーションが始まったのである.以前,一般検査,血液検査は長崎市民病院で実習していたので,一応のことは知っていた.けれどもやはり緊張したのは確かだった.そして再びここで感じた,理屈でなく頭でなく,長年の経験が物を言う世界だと.この瞬間,"最初の考えはまちがいだ"と知った.最初の考えは自尊心だけしか満足していないのだ.欲ばってはだめだ.

最近の検査技術

フローボリュームメーター

著者: 佐々木英忠 ,   滝島任

ページ範囲:P.33 - P.39

フローボリューム曲線の原理
 肺という臓器は空気を吸い酸素を体内に取り入れ,また呼出することによって炭酸ガスを体外にはき出すという役割を持つ性質上,空気の出はいりがどの程度円滑に行われているかという成績を把握しておくことは,肺機能検査のうちで最も基本的な検査目的であり,その一つにフローボリューム(Flow-volume)曲線があげられる.
 フローボリューム曲線は通常図1の右側のごとくに描かれ,縦軸にフローを横軸に肺気量をとり,最大吸気位から最大呼気位まで力いっぱい呼出した時,A,B,C,D点を通る連続線で描かれる曲線を言う.今ここでA〜D点でのフローを解説してみよう.左図に示すごとく,縦軸にフローを横軸に肺胞内圧をとってみると,A点での肺気量においては,左側上図のごとく肺胞内圧を高めれば高めるほど,フローがふえることが確かめられている.同様にB〜D点での肺気量においてフロー・肺胞内圧曲線をとってみると,ある肺胞内圧まではフローがふえるが,ある点,b〜d点からはいくら肺胞内圧を高めてもフローが一定値をとり増加しない事実が確かめられている.

マスターしよう基本操作

マイクロピペッティング

著者: 宮地隆興 ,   亀岡満子 ,   藤井玲子

ページ範囲:P.41 - P.45

 検体数の激増と多種目分析の実施のために,臨床検査の定量が通常法から微量法へ,そして超微量法へと発展し,ピペットの取り扱いが簡単で能率よく,しかも精度がよいうえに廉価な微量ピペット(超微量ピペット)が望まれている.この目的のためにデリバリーピペット,コンストリクションピペット,オーバーフローピペット,エッペンドルフピペットやサンズピペットなどが発売されている.このうちでサンズ式のマイクロピペットは上記の条件を満足してくれるものの一つである.また多くの検査室で技師学校の実習に利用されている.そこでサンズ式ピペットの扱い方,注意点を解説してみることとする.

学園だより

広島医学技術専門学校

ページ範囲:P.46 - P.48

 広島市より日本三大景勝地宮島へ向けて電車で約20分,緑と太陽にあふれた静かな環境に広大な敷地を有した山陽女学園の一画,広島医学技術専門学校は女子のみの落ち着いた学園である.敷地内には高校,短大,歯科衛生技工士の学校がある.キャンパス中央には各学校共通のホールがあり,また学校裏手には学生寮も整っている.
 母体が戦前の女学校だったせいか,学生は礼儀正しく人がらはおっとりしている.反面,実習となるときびしい.時間中に終わらなかった者は夜遅くまで残ることもあれば,昼休みに追い込むこともある.またそれだけに教師陣も熱意に満ちた指導をする.

おかしな検査データ

硫化水素非産生のプロテウス・ミラビリスの同定

著者: 小栗豊子

ページ範囲:P.49 - P.49

 喀痰より次のような性状を有するグラム陰性杵菌が分離された.
 (1)血液カンテン培地で遊走を認める.(2)チトクロームオキシダーゼ陰性.(3)クリグラー培地:乳糖非分解,ブドウ糖分解,ガス産生せず,硫化水素産生せず,斜面部はわずかに暗色がかった紅色.(4)サッカローゼ・マンニット培地:斜面,高層とも深緑色で黄変は認めない.(5)シモンズのクエン酸塩培地:わずかに発育.(6)VP反応:陰性.(7)SIM培地:IPA反応陽性,運動性あり.硫化水素産生せず.インドール反応陰性.

医学の進歩をになった人々

セオボールド・スミス・1

著者: 飯田広夫

ページ範囲:P.50 - P.52

修業時代
 1854年,この物語の主人公であるセオボールド・スミス(Theobald Smith)の両親,フィリップおよびテレジア・シュミットは,ドイツから新大陸のアメリカへ移住して来た.シュミット(Schmidt)というドイツ名は,ここではスミス(Smith)となり,彼らはニューヨーク州,オルバニー(Albany)に居を構えた.父親のフィリップは洋服屋で,セオボールドは1859年ここに生まれた.
 1869年,彼らはアレキサンダー通りに新しい家を買ったが,その時セオボールドは10歳,姉のベルタは12歳であった.

あなたとわたしの検査室

ラジオイムノアッセイについて

著者: 宮井潔 ,   H生

ページ範囲:P.54 - P.54

 質問 ラジオイムノアッセイ,ラジオステレオアッセイで測定できる物質はどんなものがありますか.抗体が作り出せる物質の性質についてもお教え下さい.

ニュース

第6回日本臨床検査自動化研究会を迎えて

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.56 - P.56

 1958年わが国にオートアナライザーが初めて導入され,革命的な自動機器として急速に普及したが,1960年,本機の臨床検査への応用を効率的に行うためオートアナライザー研究会が発足した.これが本研究会の前身である.ルーチンへの適用法,方法の検討,精度の検討などを目的としてきた.その後,ディスクリートの機種の開発がめざましく,オートアナライザー以外の機種がルーチンで使用されはじめた機会に,1965年臨床化学自動分析研究会として再発足した.そして内容もユーザーのみでなく,機械のメーカーや試薬メーカーなども加えて広く自動化の開発,研究,普及を図るのを目的とした.本研究会の発表会は日本臨床病理学会中に併行して行われた.本研究会は化学分析機器についてのみの研究であったが,その後化学分析以外の自動機器や方法が開発・普及してきたのでこれらをも含めることにし,1969年,再度改称して日本臨床検査自動化研究会とし独自の研究会を開催することとし,今年で第6回を迎えた.
 さて本年の研究会は,一般演題66題,シンポジゥム演者6人,それに特別講演が行われた.シンポジウムには,"自動分析機器の保守上の諸問題"を取り上げ,分析機器の使い方についていろいろの面から討議された.特別講演では,UCLAのLubran教授がアメリカでの検査自動化の現況について話された.一般演題で目だつのは,まず機器の開発に関する演題の多いことである.なかでも興味あったのは自動遠心分注機の試作と,2波長測光自動機器の開発である.

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医学用語集

著者: 山中學

ページ範囲:P.53 - P.53

61)胃切除後症候群;postgastrectomy syndrome
 胃を切除したために起こる障害をいう.代表的なものにダンピング症候群がある.食後早期に起こる胃部の膨満感や嘔気,めまい,心悸充進などの症状を訴える.

検査室で必要な数表—自然対数

ページ範囲:P.55 - P.55

国家試験問題 解答と解説

ページ範囲:P.72 - P.75

切取りカード

試薬の組成

著者: 坂岸良克

ページ範囲:P.77 - P.78

CPK活性測定試薬(ドイツ標準法)
Reagents for CPK assay(German Standard method)
組成
トリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)100mmol/l
クレアチンリン酸(MW211.12)35mmol/l

培地の組成

著者: 田村和満

ページ範囲:P.79 - P.80

トリプトース-カンテン培地
 製品名
 Difco.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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