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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術20巻1号

1992年01月発行

雑誌目次

病気のはなし

動脈硬化

著者: 藤井潤

ページ範囲:P.6 - P.11

サマリー
 動脈硬化(粥状硬化)は,動脈内膜に脂質が侵入してアテローム(粥状腫)を形成し,やがてカルシウムが沈着する病変である.その結果,大動脈では拡張,アテロームの潰瘍化,分枝部狭窄が起こる.アテロームの内容が流出し,末梢臓器にアテローム塞栓を起こすことがある.脳動脈,冠動脈,腎動脈,下肢動脈などでは内腔の狭窄,閉塞をきたし,臓器の虚血,梗塞(壊死)を招く.疫学調査によると,動脈硬化性疾患に罹患する危険を増加させる因子として高血圧,高コレステロール血症,喫煙などが挙げられ,これらは危険因子と呼ばれている.

検査法の基礎

共役酵素反応の基礎

著者: 小川善資 ,   伊藤啓

ページ範囲:P.13 - P.18

サマリー
 酵素活性を測定する場合も,物質の定量をする場合も,2〜3種類の酵素を組み合わせて使うことが多い.このように数種類の酵素を組み合わせた場合の2段階目以降の酵素のことを共役酵素と呼ぶが,十分に理解し,使用されているとは思えないことが多い.利用方法を誤れば,酵素の無駄使いとなるだけでなく,測定の正確性を低下させることとなる.本稿ではなるべく興味を持っていただくような内容としたが,共役酵素反応の解析は複雑であるため,興味を持たれた方は文献を利用し,もう少し正確な知識を入手していただきたい.

医用センサ—電位,振動,磁気

著者: 白井康之 ,   石山陽事

ページ範囲:P.19 - P.23

サマリー
 生体内では電気的,機械的,化学的その他さまざまな現象が起きている.電気以外の現象に関しては,電気エネルギーと電気以外のエネルギーを相互に変換する素子が必要になる.この変化素子を,変換器(トランスデューサ),または計測用として使用するときは,センサという.医療分野のエレクトロニクス化も進み,体内の物理的状態を得るために,各種の物理センサが用いられ,時々刻々に変化する生体の活動状態が観測されている.ここでは電位センサとして電極,磁気センサとしてSQUID磁束計,振動センサとして心音マイクロホンについて述べた.

技術講座 生化学

粘度の測定

著者: 内村功

ページ範囲:P.25 - P.29

サマリー
 粘度なかでも血液粘度は各種疾患において変化し,疾患の重症度の評価や予後の判定に利用される.血液粘度の上昇する疾患としては,マクログロブリン血症・多発性骨髄腫など血清蛋白の増加によるもの,多血症のように血球成分の増加するもの,炎症性疾患にみられる急性期蛋白なかでもフィブリノーゲンの増加によるものなどに分けられる.このほか心筋梗塞や脳梗塞,さらに糖尿病などいろいろな疾患で血液粘度の増加がみられる.
 測定法は回転粘度計を用い,いくつかのずり速度を用いて測定する方法が一般的である.このほか毛細管粘度計によって血漿粘度が測定される.

血液

骨髄塗抹標本の免疫細胞化学染色

著者: 堀田知光 ,   津下圭太郎 ,   丹羽民和

ページ範囲:P.31 - P.36

サマリー
 骨髄は多系統の細胞で構成されている不均一な組織であるので,個々の細胞の識別には形態的特徴に加えて細胞系統に固有の抗原を認識する抗体を用いた解析法が有用である.モノクローナル抗体を用いた免疫細胞化学染色法は通常の骨髄塗抹標本上で目的とする細胞を頻度が低い場合でも比較的簡便に同定することができる.免疫化学染色にはPAP法とABC法が基本であるが,血液細胞の染色には標識酵素としてアルカリホスファターゼを用いるのがよい.良好な標本を得るには固定,洗浄,発色の各段階での工夫が必要である.

病理

酵素組織化学

著者: 引野利明 ,   福田利夫 ,   町並陸生

ページ範囲:P.37 - P.46

サマリー
 新しい抗体が次々と出現し躍進を遂げる免疫組織化学や分子生物学的手法の発展,導入のめざましい今日の病理学においては,酵素組織化学はその影がやや薄らいでいるように思えるが,目的や材料さらに施設によってはいまだその手法において使用される頻度が高い.本稿では酵素組織化学とは何か,その基本的原理を中心に述べるとともに筆者らが行っている方法について解説する.なお,詳細については誌面の制約上,記載できないこともあるため,後述の文献などの成書を参照されたい.

生理

危険な不整脈の読みかた,見分けかた

著者: 渡辺淳

ページ範囲:P.47 - P.52

サマリー
 不整脈は日常よく遭遇する疾患であるが,極めて危険性の高いものからまったく無害のものまで多岐にわたっている.ここでは患者にとって危険な不整脈を,その程度により次の3段階に分けて解説した,①致死性不整脈:心室細動および心停止,②警告不整脈:心室頻拍,心室性期外収縮,房室ブロック,洞徐脈.③準緊急不整脈:上室性頻拍症および持続的徐脈.これらの不整脈の危険性の判断は難しいこともあるが,急性心筋梗塞や器質的心疾患の増悪に伴うものは致死性不整脈を生じやすいので注意を要する.

マスターしよう検査技術

パラフィン切片からのDNA抽出

著者: 土橋洋 ,   柴田龍弘 ,   川渕紅代

ページ範囲:P.57 - P.62

はじめに
 近年,分子生物学の分野における進歩にはめざましいものがあり,またその手法がどんどん簡便化され病理学の分野にも“分子病理学”という名で普及している.それに大きく貢献しているのがPCR(polymerase chain reaction)法であり,つい先日までは細菌学的検索のみに頼らざるを得なかった感染症の診断も,喀痰,パラフィン切片からのDNA抽出,そしてPCRといった手順で,結核菌,ニューモシスチスなどをも短時間で検出できる時代となった.
 病理学の領域で常に主役の座を占めてきたパラフィン切片は,HE染色,特殊染色から酵素抗体法を用いた免疫組織化学,in situ hybridizationとあらゆる手技に対して適応し,今またDNA診断に関しても主役であり続けることが可能となった.上述の感染症の診断のみならず,癌遺伝子,癌抑制遺伝子といった最近の注目の的となっている対照の検索にも,パラフィンブロックから抽出したDNAを用いてPCR,Southern blottingが行われている.これは,どの施設にも過去何年,何十年にわたり保管されているパラフィンブロックの数を考えると,レトロスペクティヴな検索ができるという非常に大きな意味を持つのである.

生体のメカニズム ホルモン・1

ホルモンによる情報伝達

著者: 内村英正

ページ範囲:P.63 - P.67

はじめに
 外界からの情報を生体が種々な形式で受けとめ,これを生体の細胞内に伝達し,それらの情報に特有の反応を起こす機構は,単細胞動物でもヒトでも基本的には変わるところがない.しかし,生物の進化の過程で特殊な刺激を受ける部分は,感覚器すなわち神経系となる.そのほかに外界からの情報を細胞表面で受けとめたり,あるいは細胞内に取り込み,その生物学的な効果を引き起こすしくみが存在する.すなわちホルモンあるいはその他の生物学的活性物質の刺激を受けとめる機構である.
 外界からの情報伝達物質としてのホルモンを大きく分類すれば,①ペプチド,②アミン類,③ステロイドの3種類が存在する.これらの情報伝達物質(ホルモン)の情報を最初に受けとる部分が受容体といわれるものである.

検査データを考える

新しい抗凝固療法薬と凝固データ

著者: 柏原紀文 ,   佐藤俊一

ページ範囲:P.70 - P.76

はじめに
 抗凝固療法薬の評価には,その評価を下すに足る凝固線溶動態の知識が必要である.そこで本稿では,ひとまず凝固線溶動態をいかに読んでいくかを述べ,しかるのちに臨床応用,さらには薬剤の評価を言及したいと考える.

講座 英語論文を読む・13

さまぎまなハイリスク群および非A非B型肝炎が疑われる患者間におけるC型肝炎ウイルス抗体

著者: 弘田明成

ページ範囲:P.68 - P.69

 C100-3を抗原としたELISA法を用いて4,000検体の血清中の抗C型肝炎ウイルス抗体を測定した.輸血後に非A非B型肝炎となった患者108名の38.9%がHCV抗体を有した.原因不明の慢性肝障害患者316名中30.4%が抗HCV抗体陽性であり,さらにトランスアミナーゼが一過性にまたは慢性的に上昇した2,506名の患者の14.8%にHCV抗体が認められた.26名中65.4%が抗HCV抗体陽性であった血友病患者と46名中56.5%が抗HCV抗体陽性であった薬物中毒者は,ハイリスク群の中でも最も高い浸透率を示した.薬物濫用で瀕死の患者216名とHIV陽性者127名において,それぞれ抗HCV陽性者が37.5%と26.0%であった.透析患者331名中HCVに対する抗体を有するものが12.4%であった.医療関連従事者の間では抗HCV抗体陽性率がわずか2.8%にすぎず,比較的リスクが低いように思われる.今までのところでわれわれが調べた46症例においては,HCVの家族間感染は一例も発見することができなかった.したがって,汚染体液ないし血液によるHCVの感染力はB型肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルスタイプⅠのキャリアのそれらよりは低いものとわれわれは考えている.

検査ファイル

クリプトスポリジウム

著者: 井関基弘

ページ範囲:P.77 - P.77

 クリプトスポリジウム(Cryptosporodium)はトキソプラズマやイソスポーラと近縁で,胞子虫類の中のコクシジウム類に属する消化管寄生原虫である.
 哺乳類では主として腸管に寄生する小型種Cryptosporidium parvumと,胃腺に寄生する大型種Cruptosporidium murisとの2種があり,ヒトがC. Parvumに感染すると激しい下痢を起こす.小児下痢症,旅行者下痢症の一因であり,また,エイズや先天性免疫不全患者,免疫抑制療法を受けている患者などが感染すると下痢は長期間持続し,輸液などの対症療法を受けても衰弱して死に至ることもまれではない.特に,エイズの日和見感染症として重要であるが,まだ有効な治療薬,治療法はみつかっていない.

標準トノメトリー

著者: 林浩次

ページ範囲:P.78 - P.78

[1]血液ガス(PO2およびPCO2)の基準と標準物質
 血液ガス分析は,臨床上重要であり一般的には電極法により行われている.しかし,その測定値の正確さについてはほとんど把握されていないのが実状である.電極法による血液ガスの測定においては,マトリックスの影響を大きく受けるため,精度管理に用いられているアンプル入り緩衝液では正確さについて把握することができない.電極法により,血液のPO2およびPCO2を正確に測定するためには,血液と同様なマトリックス効果を持つ正確さの基準となる物質,すなわち実試料標準物質が必要となる.また,血液ガスの基準は標準ガスのトレーサビリティ体系の中に求めるのが合理的である.図1に血液ガスの測定体系を示す.

組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)

著者: 飯島憲司

ページ範囲:P.79 - P.79

 血液凝固反応の結果,血管内に生じたフィブリン塊はやがて溶解され,血液循環は正常状態に回復される.このフィブリン塊を溶解する酵素はプラスミンであるが,通常はプラスミノゲンとして血液中に存在している.プラスミノゲンをプラスミンに転換する酵素を,プラスミノゲンアクチベータ(plasminogen activator;PA)と総称する.PAにはウロキナーゼが知られていたが,近年生体内で最も重要な働きを担うものとして組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue-plasmiogen activator;t-PA)の存在が明らかにされた.

カルシウムイオノフォア

著者: 緒方隆之

ページ範囲:P.80 - P.80

[1]イオノフォアとは
 イオノフォアとは,特定のイオンを選択的に捕捉し生体膜あるいは人工脂質膜でのイオン輸送を促進する物質をいう.生体膜系ではこれまで数多くの天然イオノフォアが見いだされており,カリウムイオノフォアであるバリノマイシン,ナトリウムイオノフォアであるモネンシンなどは特によく知られている.また天然イオノフォアのもつ機能を有機合成化合物により再現し(合成イオノフォア),さらにそれを分離,分析などに応用する研究がここ十数年の間に急速に進展しつつある.合成イオノフォアとしてはクラウンエーテル,クリプタンドなどの大環状化合物がよく知られている.

ラボ・クイズ

問題/腹部超音波像の判読

ページ範囲:P.54 - P.54

'91年12月号の解答と解説

ページ範囲:P.55 - P.55

明日の検査技師に望む

入力の重要性

著者: 斎藤正男

ページ範囲:P.12 - P.12

 最近の傾向として,診断がいっそう自動化されつつある.データが与えられると,コンピュータがすべてを処理し,曖昧な情報が入ってきてもそれなりに処理して,結果を出すというのである.推計学的な処理とか,ファジィ理論という技術の応用が考えられている.
 一度でもこの種の応用を試みるとわかることであるが,入力が確かでないときに,それをソフトウェアで処理しようとすると,たちまち精度の壁に突き当たる.入力の精度がどうしても改善できないときには,ソフトウェアで工夫するのもよいが,本当は,データ処理を工夫するよりも,入力の精度を改善するほうが賢明である.

けんさアラカルト

ブランチ検査室の定義

著者: 高橋正雄

ページ範囲:P.24 - P.24

 そもそも,ブランチ検査室なるものが成り立つのかと疑問に思うものだから,その定義となると,これがまことにややこしい問題になる.
 形態は千差万別あるにしても,現に存在し機能している以上,放っておくわけにもいかない関心事ではある.

今,病棟の中へ—アルコール依存症患者の学習カリキュラムの1つを担当して

著者: 佐藤マキ

ページ範囲:P.53 - P.53

 ちまたでは,薬剤師外来とか栄養士外来とか,新しい医療の場へ進出して行こうとする動きが盛んです.
 医療の中で,私たち検査技師は,患者さんに接する機会が特に少ない職種に入るのではないでしょうか.

トピックス

感覚代行機器とその開発上の問題点

著者: 伊福部達

ページ範囲:P.81 - P.82

はじめに
 感覚代行は失われた視覚や聴覚の機能を残された感覚や神経で代行できるようにすることを目的としている.最先端の情報工学や生体工学の技術を駆使すれば目や耳の不自由な人のための目や耳の代わりになる機器ができるのではないかという考えの基に20年ほど前から本格的な研究を開始している.
 感覚代行研究には3つのアプローチがある.第一は,文字や音声の情報を残された皮膚の感覚を介して伝達できるように変換する方法であり,第二は,視覚障害者の聴覚,聴覚障害者の視覚を利用する方法であり,第三は,残された視神経や聴神経を直接電気刺激して大脳に情報を伝達する方法である.

ATPセンサー

著者: 宇都正幸

ページ範囲:P.82 - P.83

はじめに
 健康診断や病気の診断を行うための科学的な根拠として,生体中の化学情報(化学物質の量あるいは形態)を正確にかつ迅速に検知することは非常に重要である.リアルタイムあるいはそれに近い測定,つまり病状の進行や体調に即した測定を行うに当たって化学センサーによる測定は重要な地位を占める.本稿では生体中におけるエネルギー伝達体として数多くのエネルギー代謝に関与しているアデノシン-5'-三リン酸(ATP)を検知するセンサー開発の試みについて紹介する.

マクロファージ円柱

著者: 伊藤恵 ,   八木靖二 ,   三宅一徳

ページ範囲:P.83 - P.84

はじめに
 筆者らの施設では尿路悪性腫瘍患者の頻度が多いこともあり,尿沈渣中の細胞をできる限り形態学的に分類し,その由来を特定しようと試み,系統的観察を行っている.特に尿円柱内に封入されている細胞については,ほぼ腎由来と特定でき,腎病変を反映するものと考えられるため,円柱内細胞の形態には十分な注意を払っている.このような尿沈渣鏡検法を施行するなかで,筆者らは形態学的にマクロファージと思われる細胞が封入された円柱,すなわちマクロファージ円柱を見いだした.従来,尿沈渣中に認められるマクロファージは下部尿路の炎症性疾患に由来すると考えられ,腎由来とする報告はない.そこで,この円柱内の細胞の固定と病態を検討し,興味深い結果を得ることができた1)

心筋症と遺伝子異常

著者: 小澤高将

ページ範囲:P.84 - P.86

 分子生物学の進歩により,遺伝子異常と疾患との関係が注目されている.心筋症でも核DNAの変異が報告されている1)
 細胞のエネルギー供給はほとんどミトコンドリアによって行われている.すなわち,ミトコンドリアは食事から得られたブドウ糖,脂肪を分解して得られる水素を酸素と反応させ,この過程で得られるエネルギーを利用してアデノシン3リン酸(ATP)を産生している.エネルギー産生系は電子を酸素に渡して水に変えて,エネルギーを取り出す電子伝達系(複合体Ⅰ〜Ⅳ)とそのエネルギーによってATPを合成するATPase(複合体Ⅴ)から成り立っている.それぞれの複合体は,数個〜十数個のサブユニットから構成されている.ミトコンドリアは他の細胞内小器官と異なり,DNAを持っている.1つの細胞は一組の核DNAしか持たないが,1つのミトコンドリアは2,3個の環状二重鎖DNAを保有している.この環状DNAに,全体で約60個あるミトコンドリアエネルギー産生系のサブユニットのうち13個の遺伝情報が納められている(図).残りのサブユニットの情報は核DNAに遺伝子転移されている.ヒトミトコンドリアDNAは1981年にその全塩基配列が決定されている2)

けんさ質問箱

Q 業務量・内容と人員

著者: 仁科甫啓 ,  

ページ範囲:P.87 - P.88

 私の属している病院はベッド数が400(そのうち精神科250,内科150)の病院で,検査室は臨床検査技師1名,准看護婦2名(うち1名は一般検査士の資格あり),助手1名の計4名で運用しています.検査内容は生化学,凝固,尿一般,喀痰・便などの細菌検査や,その他心電図,脳波,超音波検査,交差適合試験などひと通りのものは含んでおり,特殊検査,培養,感受性検査は外注しています.これだけの検査を現在の人員でこなすのは少し無理なようにも感じていますが,客観的にはどうなのでしょうか.また,資格の違うそれぞれがどこまで業務をすることができるかも,お教えください.

Q 中性脂肪球とリポイドの鑑別

著者: 今井宣子 ,  

ページ範囲:P.88 - P.89

 尿蛋白陰性検体で脂肪滴らしきものがみられ,ズダンⅢで染色すると橙赤色に染まったのですが,生標本に偏光をかけてもマルタ十字がみられませんでした.成書によると,中性脂肪球とリポイドの鑑別について,リポイドではマルタ十字がみられるとあったので,これを中性脂肪球と判定してよいのでしょうか.また,外部からの混入を除いて,蛋白陰性尿で脂肪球の出る症例があればお教えください.

Q 血小板の交差適合試験不要の理由

著者: 西川健一 ,  

ページ範囲:P.89 - P.90

 血小板は交差適合試験が不要といわれていますが,その理由をお教えください.

Q 脳波の保管法と保管期間

著者: 島崎昭彦 ,  

ページ範囲:P.90 - P.92

 脳波の波形図の保管方法と保管期間についてお教えください.

今月の表紙

骨軟化症の診断

著者: 町並陸生 ,   諸傑

ページ範囲:P.18 - P.18

 骨軟化症(osteomalacia)は石灰化不全をきたす代謝異常の結果,骨に生じる病変である.骨軟化症では,非脱灰骨標本を組織学的に調べると,類骨(osteoid)の量的増加が認められる.類骨は骨梁表面に存在する非石灰化部分で,ここに石灰が沈着すれば骨となる組織である.脱灰を行った骨組織では骨と類骨の区別がつかなくなるので,類骨の有無や量的増加を知るためには,非脱灰骨標本を作製し,組織学的に観察する必要がある.写真左上は,腎不全のため長期透析を受けた患者の脊椎骨の非脱灰標本のトルイジンブルー染色で,類骨は青,骨は白く見える.写真右上は,類骨の面積を画像解析装置で測定するために,類骨部分を緑色に置き換えたものである.写真左下は類骨部分を白,骨部分を青に置き換え,写真右下は,類骨を含めた骨梁全体を緑色に置き換えたものである.緑色の部分の面積を画像解析装置で測定すると,類骨は19,833×102μm2,骨梁全体は38,677×102μm2という結果になった.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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