はじめに
腎臓は尿を生成することにより体内の過剰な物質を排泄し,必要な物質を保持する重要な働きをしている臓器である.腎は,臓器血流と酸素消費量のもっとも多い臓器であり,腎には心拍出量の約20%の血液が流れている.糸球体では1日に150〜180lの血液が濾過されているが,濾過された原尿のうち尿として排泄されるのは1〜1.5l程度(1日尿量)である.
腎臓は,尿を生成し体内の代謝産物を排泄することが重要な機能のひとつであるが,単に老廃物の排泄器官だけでなく常に内部環境の恒常性を維持するという高度な働きをしている.腎の働きは大きく分けると,①排泄機能,②水・電解質代謝調節,③細胞外液量と浸透圧調節,④酸・塩基平衡の調節,⑤内分泌機能の5つになる.これらの尿の生成,排泄機構は,糸球体で糸球体濾過液(原尿)をつくるための濾過機能と,尿細管での再吸収と分泌機能という3つの基本機能からなっている.腎はこれらの機能を維持するため,解剖学的,生理学的に大きな特徴を持っている.
雑誌目次
検査と技術20巻6号
1992年05月発行
雑誌目次
I.総論 1.尿の生成と排泄
尿の生成と排泄
著者: 酒井紀 , 栗山哲
ページ範囲:P.8 - P.13
2.尿からみた水・電解質と酸・塩基平衡
(1)水・ナトリウム代謝調節
著者: 田村展一 , 磯田和雄
ページ範囲:P.14 - P.15
尿細管の働き
糸球体を形成する毛細血管で濾過されてできる原尿は水と溶質からなる溶液で,これは尿細管腔から尿細管周囲血管に再吸収されたり,反対に尿細管周囲血管から溶質が尿細管腔へ分泌されるなどの過程を経て最終的な尿が生成され体外に排出される.腎糸球体からは1日に約150 lの原尿が濾過形成されるが,Naと水を含めてその大部分(約99%)は尿細管から再吸収される.腎臓はNaと水の排泄量を調節し体液量と血清浸透圧を一定に保持するが,尿細管の分泌と再吸収には腎血流量や糸球体毛細血管圧などの血行動態や多くの液性因子が関与している.
ネフロンは部位別にさまざまな機能を持つ細胞から形成されている.ネフロンの各部位は図1のように区別され,そのうちNaと水を再吸収する部位は近位尿細管,ヘンレ係蹄の上行脚(ただし水は透過しない),遠位尿細管,集合管である.
(2)カリウム代謝調節
著者: 古谷裕章 , 浅野泰
ページ範囲:P.16 - P.17
生体内には約3,500mEqのカリウム(K)が含まれており,その98%までが細胞内に存在する.細胞外には残りわずか2%しか存在せず,血清Kは3.5〜4.5mEq/lと非常に狭い範囲に調節されている.Kの調節機序は大きく分けて腎性と腎外性の両者から成るが,本稿ではその前者,腎におけるK代謝調節について解説する.
(3)カルシウムとリン代謝調節
著者: 小椋陽介
ページ範囲:P.18 - P.20
カルシウム
成人の体内総カルシウム(Ca)量は,1,000〜1,200g,その99%は骨にあり,血液中には0.1%,約1g弱がある.血漿Ca濃度は8.5〜10.2mg/dlに維持され,腸管,骨,腎におけるCaの出入りと副甲状腺ホルモン(PTH),1.25(OH)2D3,カルシトニン(CT)の働きによって調節されている.血漿Caは,約46%がアルブミンと結合し,遊離Caイオンは48%,6%が他の陰イオンと複合体をつくっている.血漿Caの測定はこれらの分画を含むため血清アルブミン値によって実測値が影響をうける.そこで種々の補正式が提唱されているがPaneの式が簡便であり,広く用いられている.
(4)酸・塩基平衡の調節
著者: 北岡建樹
ページ範囲:P.21 - P.23
生体の血液pHは,正常では7.40±0.05の範囲に調節されている.われわれは毎日食事や飲料水などから酸あるいは塩基を取り入れ,また体内代謝により絶えず負荷がかけられている.しかしながら,どのような負荷があっても酸・塩基調節機構が正常であるかぎり,体内のpHは一定に保たれている.このことは体液量あるいは体液浸透圧の調節機構と同様に,生命の維持に必須の事項だからである.これは以下に述べる巧妙な調節機構が存在するためにほかならない.
3.尿の異常
(1)尿量
著者: 石田尚志 , 鈴木透理 , 吉村聡
ページ範囲:P.24 - P.25
日常生活において,体内水分量は日々刻々と変化しており,この変化に対して尿量の調節が巧みに行われている.そのなかで主要な役割を果たしているのが腎臓および抗利尿ホルモン,レニン-アルドステロン系などの内分泌系,交感神経系などである.本稿では,無尿,乏尿および多尿という症候と病態を中心として述べる.
(2)性状
著者: 町田勝彦
ページ範囲:P.26 - P.28
尿は,血漿中の水分や低分子成分が腎臓の糸球体で濾過されてボウマン腔に流出し,近位尿細管で血漿成分の多くが再吸収され,遠位尿細管で水分の濃縮と無機イオン類の分泌が行われた結果として生成され,腎盂,尿管,膀胱および尿道を通って体外に排泄される.健康成人の尿量は1,000〜1,500 ml/日であるが,尿生成には多くの反応系が関与しており,また血漿成分の変動にも敏感に反応するために,新鮮尿の検査によって得られる情報は多項目にわたるとともに,大変利用価値の高いものである.本稿では尿の色調,混濁,pH,比重および浸透圧について触れる.
(3)蛋白尿
著者: 長瀬光昌 , 日高寿美
ページ範囲:P.29 - P.31
はじめに
正常人でもわずかながら(<150mg/日)蛋白を尿中に排泄する.また尿蛋白は思春期にはわずかに増加し,10〜16歳の女性,12〜18歳の男性では300mg/日に及ぶことがあるという.通常,蛋白尿の検出にはスポット尿が対象となる.
蛋白尿検出法としては,従来より行われてきたスルホサリチル酸法では1.5mg/dl以上を感知するが,この精度では正常人でも蛋白尿陽性とされる可能性がある.また本法では,造影剤,サリチル酸投与後などでは偽陽性を呈することがある.試験紙法は現在ではより広く普及しており,15〜20mg/dl以上で陽性を示す.試験紙法陰性の蛋白濃度は2.0mg/dl,偽陽性は15〜35mg/dlであるという.これによると正常人でも偽陽性の判定をうけることが十分考えられる.また逆に,両方法で偽陰性となる可能性はごく少ないといえよう.留意すべき点としては,試験紙法ではL鎖蛋白を検出しないことがある.以上のことから蛋白尿が病的であるか否かについては慎重でなければならず,1回のみの検尿で判断すべきではない.
(4)糖尿
著者: 堺秀人
ページ範囲:P.32 - P.33
はじめに
臨床検査においては,患者に対する肉体的,精神的ならびに経済的負担をできる限り軽減することを絶えず心がけねばならない.尿検査は,多くの場合,比較的簡便かつ安価に施行できるため,基本的検査,特にスクリーニング検査として重要な意義を持つものである.糖代謝異常による各種疾患のスクリーニングにおいても,尿中の糖検出は第1次の検査法として重視されている.
(5)血尿,ヘモグロビン尿,ミオグロビン尿
著者: 副島昭典 , 長沢俊彦
ページ範囲:P.34 - P.35
血尿は蛋白尿と並んでもっとも重要な尿異常のひとつである.肉眼的にも尿の色調の変化が認められる肉眼的血尿では,尿1,000 mlに対して1ml以上の割合で血液が混入しているといわれている1).肉眼的には尿に色調の変化が認められず,尿沈渣の鏡検で赤血球が認められる場合を顕微鏡的血尿という.試験紙法による尿潜血反応は試薬中の過酸化水素クメンが尿中ヘモグロビン(Hb)のペルオキシダーゼ様反応によって指示薬のオルトトリジンを酸化し,酸化型オルトトリジンに青変する反応を用いたものである.しかし,尿の潜血反応はきわめて鋭敏であるものの,血尿のみでなくHb尿,ミオグロビン(Mb)尿でも陽性を示すことに注意が必要である.
(6)膿尿,細菌尿
著者: 小野寺昭一
ページ範囲:P.36 - P.37
膿尿
膿尿とは,尿中に白血球が混入している状態をいい,一般には尿路・性器における感染症の存在を示す.しかし,尿中の白血球数は採尿の方法や利尿の状態(尿比重)により容易に変動するため,膿尿の存在をそのまま尿路・性器感染症の診断に結びつけることは危険である.適切な採尿法すなわち,女性の場合はカテーテルによる導尿か中間尿によって行われた場合,男性では二杯分尿法(はじめの第1尿を30〜50 mlとり,残りを第2尿とする)によって行われた場合で,尿沈渣の無染色標本の鏡検(400倍)で毎視野5個以上の白血球が認められれば尿路感染の存在が疑われる.
女性では,採尿法が適切でないと,外尿道口周囲あるいは腟前庭部の分泌物が混入し,膀胱尿が清澄でも結果として膿尿がみられることがしばしばある.特に,尿中の白血球とともに扁平上皮がみられる場合には腟分泌物が混入している可能性が高い.このようなときは,カテーテルによる導尿によって確認するか,正しい中間尿の採取法,すなわち,陰唇をよく拡げ,外尿道口部をよく清拭したのち10〜20ml程度の最初の尿を捨て,厳重に中間尿を採取して検尿を行うようにすべきである.
(7)結晶尿
著者: 小磯謙吉 , 赤座英之 , 大谷幹伸
ページ範囲:P.38 - P.39
結晶尿とは
尿は腎臓による体液・電解質調節の最終産物として生体に不要となった物質の排泄されたものである.この排泄物を含んだ尿から沈渣を作成した場合,種々の塩類を含んだ結晶がみられる.
これらの結晶は大きく分けて次のように2つに分類することができる.
4.腎機能検査の意義
(1)腎血流
著者: 海老原功 , 小出輝
ページ範囲:P.40 - P.41
腎のもつ機能のうちもっとも重要なものは,尿生成の過程を介して,体液量や水・電解質バランス,体液浸透圧の調節,酸・塩基平衡の調節,代謝産物の排泄を行い,生体の内部環境を一定に保つ,すなわちホメオスターシスを維持することである.
腎は血管のきわめて豊富な臓器であり,心拍出量の20〜25%,毎分1,000〜1,200 mlの血液が供給されている.組織1g当たりの血液量はあらゆる臓器のうちでもっとも多い.多量の血流量を処理するため,腎は複雑かつ特異的な血管構築を呈している.腎血管は栄養血管というよりはむしろ機能血管としての色彩が強く,腎機能は腎循環に密接な関係がある.したがって,全身血管系に種々の変化が起きると,直ちに腎機能に影響が現れる.
(2)糸球体
著者: 海老原功 , 小出輝
ページ範囲:P.42 - P.43
糸球体
糸球体(図1)は毛細血管の束より成り,血液がこの毛細血管腔を流れる間に限外濾過が行われる.毛細血管腔よりボウマン腔内(図2)へ濾過された限外濾過液は,蛋白成分を除き血漿とほぼ同一の成分を含み,尿細管腔へと入る.そのほとんどは尿細管上皮で選択的再吸収を受け,尿細管周囲の毛細血管を経て全身循環へ戻って行く.糸球体と,尿細管(近位,移行部,遠位)は腎臓の単位構造=ネフロンと称される.
(3)近位尿細管
著者: 鈴木誠 , 若林良則 , 川口良人
ページ範囲:P.44 - P.46
近位尿細管(PT)は原尿の70〜80%を再吸収する.Naは細胞間隙の受動輸送のほかに細胞膜を通過する機構として,Naチャンネル,Na共輸送,Na交換輸送の3つの経路で再吸収される(図1).
溶質のうちPO4,ブドウ糖,アミノ酸はこの共輸送によってNaとともに細胞内に運ばれる.HCO3は原尿の85%が再吸収される.Na/H交換輸送で管腔内にHが分泌されH2CO3となり炭酸脱水素酵素によりCO2とH2Oに分解される.分泌されるH+は細胞内においてH2CO3から与えられるので,残ったHCO3-はNa共輸送により血管側へ再吸収される.総和としてHCO3を再吸収することになる.またPAHは2カルボン酸交換輸送によって血管側から管腔側へ排泄される.薬剤は血管側と管腔側のpHの違いにより非イオン型が受動輸送により管腔側へ移行する.また管腔側による能動輸送(ATP-dependent multidrug transporter)によっても排泄されると考えられている.
(4)遠位尿細管
著者: 鈴木誠 , 百瀬光生 , 川口良人
ページ範囲:P.47 - P.49
遠位尿細管は,近位尿細管で再吸収された残りの尿の組成を修飾する.近位尿細管より負荷される溶質はCNa+K+CH2Oで与えられる.CNa+Kはヘンレ上行脚で(Na/K/2Cl輸送により)再吸収される溶質が主であることを考慮すると,CClとも書ける(図1).CH2Oは,水利尿時でNa排泄がないときには,遠位尿細管で再吸収されるNaの総量に一致すると考えられている.
また,遠位尿細管では抗利尿ホルモン(ADH)に反応して水チャンネルが活性化する.そのため対向流(counter current)系で高浸透圧となった間質にH2Oが移動し尿は濃縮される.飲水制限をし内因性のADHを活性化させた結果がフィッシュバーグ(Fishberg)試験である.外因性にADH(ピトレッシン)を注射して,反応を調べることもできる.
5.尿検体の取り扱い
尿検体の取り扱い
著者: 伊藤機一
ページ範囲:P.50 - P.56
尿は(一般的にみて)なんら苦痛を伴わず繰り返し簡単に採取できるきわめて優れた検査材料である.しかし正しい採尿法,正しい保存法を守らないと正確度の高い結果は得られない.
尿はあらゆる生体成分のなかでもっとも清浄とされている.しかし感染性の危惧も秘めており,検査全体を通してその対策(universal precaution)を怠ってはならない.
6.尿検査の精度管理
尿検査の精度管理
著者: 森三樹雄
ページ範囲:P.57 - P.60
はじめに
臨床検査の精度管理に関しては,以前から生化学検査,血液検査,血清検査などについてはx-R管理図,双値法などを用いた,内部精度管理や外部精度管理が実施されている.しかし,尿検査の精度管理に関しては系統だった精度管理がされておらず不十分な状況にある.尿検査の精度管理の基本は,他の検査と同様に外部精度管理に参加し,さらに検査部内で内部精度管理を実施することである.尿の精度管理は検査精度の向上,検査過誤の発見と修正,過誤を起こさないシステムの構築などが目的であり,このためにいろいろな方法が考案されている.ここでは尿検査の精度管理として,尿一般定性検査と尿沈渣の精度管理について述べてみたい.
II.各論 1.試験紙法
試験紙法
著者: 水田亘
ページ範囲:P.62 - P.67
Comer(1956)のTes-Tape1),Freeら(1957)のClinistix2)に始まった尿検査試験紙法は,わが国においてもすでに約30年の実績を踏まえ,検査項目の拡張とともに日常診療のスクリーニング検査手法として欠くことのできないものとなっている.一方,学童定期検診,成人病検診のほか糖尿病,腎疾患患者などの自己管理にも利用面が広がりつつある.
本稿では,試験紙による主要検査項目の反応原理,取り扱い上の注意を主として述べ,各メーカーの製品相互の相違点や問題点について触れるが,誌面の都合上個々の検査項目と臨床的意義については別項を参照されたい.本文の解説は各社製品の使用説明書,Freeら3),BM試験紙による尿検査4),尿試験紙による検査5)などを参考とした.
2.尿糖
(1)グルコース(ブドウ糖)
著者: 佐々木禎一
ページ範囲:P.68 - P.69
古くから尿糖といわれてきたのは,多くは尿中主成分であるグルコース(Glc)のことを指している.日常臨床的には,健康人の尿中グルコースは陰性と表現することが多いが,血糖に由来した微量(0.001%,<30mg/24時間尿)が排泄されている.
尿中グルコースは後述の多くの病態で増量し,糖尿(glycosuria)を呈する.血液中のグルコースは腎糸球体で濾過され,尿細管で再吸収されるが,閾値(160〜180mg/dl)を超えた高血糖となると腎で再吸収されず,糖尿病で代表されるようにグルコースの尿中排泄量が異常高値となる.血糖値が正常範囲内にあっても,腎機能が低下して閾値が下がり,その結果やはり糖尿となることがある(腎性糖尿病).
(2)フコース
著者: 佐々木禎一
ページ範囲:P.70 - P.71
はじめに
生体内ではL-フコース(L-F;6-deoxygalactose)は,シアル酸と同様に複合糖質の糖鎖の非還元末端に存在し,分子間の情報伝達や血液型抗原決定に関与している.1952年Dische & Osnosにより血中に存在することが示され1),その後癌患者で血中濃度が上昇しているとして注目されたが,近年多くの癌関連糖鎖抗原の非還元末端にL-フコースが含まれることが知られ,血液型抗原とともに注目されている.
また癌患者ではL-フコースの上昇のほか,L-フコースを含む糖脂質の異常蓄積,L-フコースの代謝に関与する酵素(α-L-フコシダーゼ,フコシルトランスフェラーゼなど)の増加や,リンパ球やマクロファージに対するL-フコースの病態に対する役割が指摘されている2,3).さらに近年肝癌,肝硬変で尿中L-フコース量が増加することが報告され4),尿中L-フコースが腫瘍マーカーとして,および胃潰瘍や肝硬変のマーカーとしての病態情報をもたらすものと考えられている3).
(3)その他の糖
著者: 佐々木禎一
ページ範囲:P.72 - P.73
はじめに
尿中のグルコース以外の糖の量は,表11)のように微量で,先天性代謝異常や糖吸収試験の場合などのほかは日常検査の対象となることは少ない.しかし負荷試験後に,尿中のガラクトース(肝疾患),キシロース(消化不良症候群,腎不全),キシリトール(肝硬変,五炭糖尿症),果糖(良性果糖尿症,遺伝性果糖不耐症),マルトース(腎不全),ショ糖(シュクロース,イソマルトース;吸収不全症)などの排泄量を測定することがある.またガラクトキナーゼ(EC 2.7.1.6)やUDP-グルコース4-エピメラーゼ(EC 5.1.3.2)の異常症や,キシリトールレダクターゼ(xylitol reductase;Xyli-R,EC 1.1.1.10)欠損症,遺伝性果糖不耐症,先天性家族性乳糖不耐症などの代謝異常症では,それぞれガラクトース,キシリトール,果糖および乳糖(Lact)の測定が,実施される.そのほか,妊娠中および授乳中の婦人では乳糖が,腎不全でマルトースを補液した後にはマルトースが,そして高血糖時には果糖が検査の対象となることが多い.
最近糖尿病や腎不全などの症例では,尿中の1,5-アンヒドログルシトール(1,5-anhydroglucitol;1,5-AG)の増減が,また各種の癌,胃潰瘍あるいは肝硬変の際の尿中フコース量の増加も注目されている2).
3.尿蛋白
(1)尿蛋白
著者: 石本二見男
ページ範囲:P.74 - P.75
はじめに
尿蛋白の有無をチェックすることは臨床検査の第一歩である.尿蛋白の検出はそれほどむずかしくはないが,“尿蛋白陽性”という事実の内容は広範で,かつ,時代とともに内容が増加している.
正常人の尿には,現行の臨床検査法では蛋白は検出されない.したがって尿蛋白陽性は「異常」である.しかしこれが即,腎疾患を意味するものではない.一般に膀胱尿(終末尿)に蛋白が出現する原因には図1のようなものがある.このなかには生理的蛋白尿や,腎・尿路系に異常が認められても特に処置の必要がない「異常尿蛋白」と,直ちに処置を必要とする「病的蛋白尿」が混在している.尿蛋白検査はこれらの鑑別を第一としており,このためいろいろな尿蛋白の検出・分析法が開発され,実地面で使用されている.
(2)微量アルブミン
著者: 前田士郎 , 吉川隆一
ページ範囲:P.76 - P.77
はじめに
従来,糖尿病性腎症の診断は持続性蛋白尿(0.5g/日以上)の出現をもってなされてきたが,近年尿中微量アルブミンの測定が可能となり,それ以前に微量アルブミン尿(microalbuminuria)を呈する時期があることが明らかとなって,この時期を早期腎症と診断する傾向にある1).微量アルブミン尿の時期には,厳格な血糖の管理や血圧の管理などにより病変は可逆性であると報告されており,微量アルブミン尿の患者を診断することは糖尿病臨床上きわめて重要であると考えられる.微量アルブミン尿の診断には尿中アルブミンの測定が必須であるが,診断基準などに関しては未だ統一されていないのが現状である.
(3)尿中低分子蛋白—α1-ミクログロブリンを中心に
著者: 伊藤喜久
ページ範囲:P.78 - P.79
はじめに
低分子蛋白質(low molecular weight protein;LMWP)は分子量5万以下の蛋白質群で(表1),正常状態では腎糸球体基底膜を容易に通過して血漿から濾過され,そのほとんどが腎近位尿細管において再吸収,異化分解されて,ごく一部が尿中に排泄されるにすぎない.尿細管が選択的に障害されると,再吸収,異化分解不全によってLMWPの排泄量が増加する.これに対して,アルブミンも含めて,これ以上の分子量の血漿蛋白質は糸球体からほとんど濾過されていないために尿中濃度は正常とほとんど変わりがない.このようにLMWPが高い比率で高濃度尿中に排泄される蛋白尿を尿細管性蛋白尿と呼び,LMWPの定性,定量分析がもっとも重要な適応となる.
ここでは,β2-ミクログロブリン(β2-microglobulin;β2-m)に次いで広く臨床的応用がはかられているα1-ミクログロブリン(α1-m)を中心に紹介する.「β2-ミクログロブリン」の項と対照しながら相補的に理解を深めてほしい.
(4)β2-ミクログロブリン
著者: 伊藤喜久
ページ範囲:P.80 - P.81
はじめに
β2-ミクログロブリン(β2-microglobulin;β2-m)は,1968年,Berggårdらによってカドミウム中毒症患者から分離精製された分子量11,800,アミノ酸残基99個から成る単一ポリペプチドである.β2-mは,主要組織適合抗原であるHLAクラスⅠ抗原のL鎖として,全身有核細胞の細胞膜表面,ことにリンパ球,単球細胞など免疫担当細胞に豊富に存在分布し,免疫応答に重要な役割を担っている.
β2-mは低分子であるために,腎糸球体基底膜を容易に通過し,腎尿細管上皮で異化,再吸収されて,ごく一部が尿中に排泄されるにすぎない.このことから血中,尿中β2-mの測定は,自己免疫疾患,ウイルス感染症や悪性腫瘍(腎前性増加),糸球体障害,尿細管障害などの病態診断,治療予後の指標のひとつとして広く用いられている.
(5)ベンス ジョーンズ蛋白
著者: 大谷英樹
ページ範囲:P.82 - P.83
はじめに
免疫グロブリンフラグメントのひとつであるベンスジョーンズ蛋白(Bence Jones protein;BJP)は,通常2量体(ダイマー;dimer)として存在し,分子量は44,000と小さいため糸球体から容易に濾過され尿中に排泄される.したがって,BJPは血清よりも尿のほうが証明しやすい.
BJPは,単一のL鎖からなるので,単クローン性L鎖(monoclonal light-chain)とも呼ばれ,免疫グロブリンと同様に2つの型に区別される.すなわち,BJP-κとBJP-λである.他方,構造上多少異なった数多くのL鎖からなる多クローン性(polyclonal)L鎖があり,免疫電気泳動によりBJPと区別することが可能であるが,両者の鑑別には注意を要する6).
(6)ミオグロビン,ヘモグロビン
著者: 片山善章
ページ範囲:P.84 - P.86
はじめに
尿中ミオグロビンおよび尿中ヘモグロビンは,臨床的にはそれぞれミオグロビン(Mb)尿症とヘモグロビン(Hb)尿症として取り扱われ,種々の臨床症状を呈する.また,同時に両者が起こる場合もある.
原因疾患 ミオグロビンは筋肉(骨格筋,心筋)の酸素転送色素であるため,筋肉の傷害により崩壊壊死を起こした場合にミオグロビンが血中に逸脱(血清ミオグロビン)し,さらに尿中に排泄されるのである.したがって筋肉の傷害,なかでも骨格筋傷害では筋ジストロフィを伴う疾患(遺伝性ミオグロビン尿症),運動や行軍などでしばしば起こる運動性ミオグロビン尿症,行軍性Mb尿症(これらは特発性ミオグロビン尿症として分類される),そして心筋傷害では心筋梗塞(虚血性ミオグロビン尿症)が原因疾患としてあげられる.その他,アルコール,一酸化炭素,バルビタールなどの中毒で起こる場合の代謝性ミオグロビン尿症がある.
(7)フィブリン分解産物(FDP)
著者: 髙宮脩
ページ範囲:P.88 - P.89
はじめに
FDP(fibrinogen/fibrin degradation product)は,フィブリノゲンまたは血液凝固によって生じたフィブリンが線維素溶解酵素-プラスミンによって溶解されて生じた分解産物の総称である.尿中へは腎局所の凝固・線溶亢進のみならず,さまざまな病態で出現する.
尿中へのFDPの出現機序は,①DIC(disseminated intravascular coagulation;播種性血管内凝固)によって血中で異常に増加したFDPの尿中への排泄,②糸球体基底膜の蛋白質透過性亢進による血中へのフィブリノゲンおよびFDPの排泄,③糸球体局所で凝固によって生成されたフィブリンが溶解して生じたFDPの排泄,④尿路系の炎症や腫瘍により生じたフィブリンの溶解により生じたFDPの排泄などが考えられている1〜2).
(8)THムコ蛋白
著者: 白髪宏司
ページ範囲:P.90 - P.91
はじめに
Tamm-Horsfall糖蛋白(THムコ蛋白;以下TH蛋白と略)は,図1に説明されるように腎臓遠位尿細管上皮細胞から特異的に分泌される.尿中の主たる蛋白であるにもかかわらず,現在まで本蛋白の存在意義,役割は明確にされていない.近年,生体免疫ネットワークの中核であるところのサイトカインとの相互作用が唱えられ,免疫調節機構に参与している可能性が注目されている1).
4.非蛋白性窒素化合物
(1)尿素窒素
著者: 小林一二美
ページ範囲:P.92 - P.93
はじめに
尿素は蛋白質の分解産物のアンモニアからOrunithine cycleを経て生成され,腎臓から尿中に排泄される,尿の有機成分のなかで重要な意義を有する物質である.病態として蛋白質分解が増大するような場合には,その排泄量が増加し,肝硬変症の末期など尿素生成能が衰えると排泄量は減少する.定量は尿素窒素として測定しg/日で表わされる.
(2)尿酸
著者: 影山信雄
ページ範囲:P.94 - P.95
はじめに
尿酸はヒトにおける核酸代謝の最終産物で,主に肝臓で生成される.
核酸はヌクレアーゼで加水分解され,数個のヌクレオチド(プリン塩基+リボース+リン酸)が結合したオリゴヌクレオチドとなり,さらにホスホジエステラーゼで加水分解されてモノヌクレオチドにまでなる.このようにして,核酸は構成単位であるヌクレオチドのアデニル酸(AMP)とグアニル酸(GMP)に分解される.AMPとGMPは,いろいろな特異的酵素の触媒で代謝されたり回収されたりするが,最終的には尿酸となる1).
(3)クレアチニン
著者: 大澤進
ページ範囲:P.96 - P.97
はじめに
筋収縮活動のエネルギー源であるクレアチンリン酸とADPはクレアチンキナーゼの作用によりクレアチンとATPを生成し,そのATPは主要なエネルギー源として利用される.クレアチニンは主にクレアチンリン酸から非酵素的な脱リン酸化反応によって,またクレアチンからも1分子の水が取れて生成する.クレアチニンはこれら代謝の老廃物で,腎糸球体で容易に濾過され,尿細管ではほとんど再吸収されない.
尿クレアチニン排泄量は筋組織量と相関し,筋ジストロフィー症といった筋萎縮による組織量の減少や甲状腺疾患でも低下する.そのほか,腎機能検査であるクレアチニンクリアランス試験として尿中クレアチニン値が利用される.
(4)クレアチン
著者: 大澤進
ページ範囲:P.98 - P.99
クレアチンは主に肝,腎でグリシン,アルギニン,メチオニンから合成される.このクレアチンは筋肉内に蓄えられ,ここでクレアチンキナーゼの作用によってATPからリン酸を受けてクレアチンリン酸となり,筋肉収縮のエネルギー源として利用される.クレアチンは1日当たり約2%が非酵素的にクレアチニンとして尿中に排泄されるが,クレアチンは尿細管で再吸収され,成人男子では尿中にはほとんど存在しない.しかし,未成年者や妊婦では少量のクレアチンが尿中に排泄される.
尿のクレアチンは血清濃度が0.58mg/dl以上で尿中排泄がみられ,病的な増加は飢餓,熱疾患,進行性筋ジストロフィー症,甲状腺機能亢進症,糖尿病などで起こる.また,甲状腺機能低下,肝障害では排泄が低下する.尿クレアチン測定の診断価値は疾患特異性の点や新しい診断法の開発によって薄らいできたが,筋疾患では利用されている.
(5)アンモニア
著者: 伏見了 , 豊川真弘 , 住ノ江明美
ページ範囲:P.100 - P.101
はじめに
食事として摂取した窒素および代謝により産生した窒素の大部分は腎臓から尿中に排泄されるが,それ以外に糞便中(主体は消化液,粘膜からの分泌物および粘膜の剥離細胞)および皮膚(外皮の剥離および汗)からも排泄されている.腎臓から排泄される窒素の80〜90%が尿素であり,クレアチニン,尿酸,アンモニアおよび馬尿酸が10〜20%といわれている.
アンモニアの排泄量は通常の食事摂取では500〜1,000mg/日(腎臓におけるアンモニア産生の代謝過程を図11)に示す)であるが,急性アシドーシスの場合には酸・塩基平衡調節のために尿中へのアンモニア排泄が著明に増加する2)(図2).
(6)グアニジノ化合物
著者: 石崎允
ページ範囲:P.102 - P.103
グアニジノ化合物に関しては,その測定機器のみならず測定法,特に酵素法的測定がわが国で世界に先駆けて開発され,非常に注目を浴びている.中でもメチルグアニジン(MG)とグアニジノ酢酸(GAA)が酵素法で測定できるようになり,大量の検体処理が可能となった.これらの腎疾患に対する臨床応用が大変期待されつつある.
MGはuremic toxinsのひとつであるが,その産生機構が青柳らにより解明され,クレアチニン(Cr)を前駆体としてフェントン(Fenton)反応によるヒドロキシルラジカルや炎症細胞からの活性酸素により産生されることが判明した.したがって,MGの産生能を測定することにより,尿毒症の種々の病態が活性酸素によってもたらされていることが証明されつつある.今後慢性腎不全の治療において,尿中および血中のMG/Cr値は保存的治療や的確な透析導入の指標として,また長期透析患者の適切な維持管理の指標として応用可能であり,ルーチン検査としての導入が期待されている.
5.ケトン体
ケトン体
著者: 原田祐治 , 遠藤治郎
ページ範囲:P.104 - P.105
はじめに
ケトン体はアセトン体と一般に同義語として用いられており,アセト酢酸,アセトン,β-ヒドロキシ酪酸(β-オキシ酪酸)の総称である.尿ケトン体はアセト酢酸,β-ヒドロキシ酪酸が大部分を占める.
これらはいずれも肝における脂肪酸分解の中間代謝産物であるが,糖質の摂取不足や組織におけるブドウ糖の利用障害により脂肪酸分解が亢進し,組織の処理能力を越えたケトン体が産生されると,これらは血中に増加して尿中に排出されるようになる(図1).
6.電解質
(1)ナトリウム,カリウム,クロール
著者: 高橋勝幸
ページ範囲:P.106 - P.110
はじめに
健康状態における尿中へのナトリウム(Na),カリウム(K),クロール(Cl)の排泄量はその摂取量におおむね比例するが,腎の糸球体濾過率や尿細管の再吸収・排泄に関与する各種ホルモンの分泌,血液の酸・塩基平衡などのバランスが失われる病的状態においてはその排泄量が変動するとされている.
血液中のNa,K,Clは,そのほとんどが糸球体から濾過されるが尿細管で再吸収され,尿中にはNa,Clが1%程度,Kは10%程度が排泄される.Kについては排泄のほとんどが尿細管の分泌によるものとされている.したがって,腎障害あるいは血液の電解質バランスを崩すような疾患,電解質成分の摂取量により尿中のNa,K,Cl濃度は変動する.Na,K,Clの排泄および再吸収は,副腎皮質機能や酸・塩基平衡に支配されており,尿中Na,K,Clの測定は各種疾患の鑑別に重要となっている.また高血圧症と密接な関係があるとされている食塩摂取量の推定ができることから予防医学的にも重要とされていることより,その測定意義は高い1).
(2)カルシウム,リン,マグネシウム
著者: 芳賀利一
ページ範囲:P.111 - P.113
尿中のカルシウム(Ca),無機リン(IP),マグネシウム(Mg)は,血中ほど調節力がなく,諸々の影響を受けやすい.そのため正常範囲を定めるのはむずかしいが,血中値との比較やクリアランスを求めるなど,方法によっては臨床的有用性が高い場合もある.次に,尿中Ca,IP,Mgの臨床的意義について述べる.
(3)重炭酸イオン
著者: 高橋修 , 久保野勝男
ページ範囲:P.114 - P.115
はじめに
生体の体重の約60%は体液であって,そのうち2/3が細胞内液に,約1/3が細胞外液に分布する.さらに細胞外液は,血漿,間質液,経細胞液(消化管液,胸水・腹水,髄液)とに分類される.体液組織は,図に示すごとくであって,細胞外液の主体はNa+,Cl-,HCO3-で,また細胞内液の主体はK+,リンである1).
生体内では,多くの緩衝系(重炭酸系,血色素系,血漿蛋白系およびリン酸系)が平衡状態にありpHが維持されている.なかでも生理学的に重炭酸系がもっとも重要である.
7.胆汁成分
胆汁成分
著者: 眞重文子
ページ範囲:P.116 - P.119
ビリルビン
ビリルビンは,そのほとんどが赤血球の崩壊により生じたヘモグロビンから網内系細胞で産生される.生成されたビリルビンは,血液中でアルブミンと結合して肝に運ばれ,肝細胞でグルクロン酸抱合型となり,その大部分は胆汁中に排泄される.腸管に排泄された抱合型ビリルビンは,腸内細菌によって脱抱合され,次いで還元されてウロビリノゲンとなり,さらに酸化されてウロビリンとなる.ビリルビン,ウロビリノゲン,ウロビリンの多くは糞便中に排泄されるが,一部は血中に入り,大循環を経て腎から尿中に排泄される1).
血清ビリルビンは,ジアゾ試薬を加えるだけで反応する直接ビリルビンと,メタノールなどの反応促進剤を加えると反応する間接ビリルビンとに分類される.直接ビリルビンはグルクロン酸のモノおよびジ抱合型で,間接ビリルビンは非抱合型ビリルビンである.近年,血清ビリルビンを高速液体クロマトグラフィーで分画するとα(非抱合型ビリルビン),β(モノグルクロン酸抱合型ビリルビン),γ(ジグルクロン酸抱合型ビリルビン),δ(δビリルビン:アルブミンと共有結合している)の4分画に分画され,δビリルビンの約80%がジアゾ試薬と直接反応し,直接ビリルビンに含まれることがわかった.
8.ポルフィリン体
ポルフィリン体
著者: 大門真 , 佐々木英夫
ページ範囲:P.120 - P.123
尿ポリフィリン体はポルフィリンの前駆物質であるδ-アミノレブリン酸(ALA)とポルホビリノゲン(PBG),およびウロポルフィリン(UP),コプロポルフィリン(CP)の4種が主なものである.これらは図1に示したヘム合成経路の中間物質(ALA,PBG)およびその代謝産物(UP,CP)であり,尿中に主に排泄され,ヘム合成の盛んな造血系と肝の異常で増加を示す.尿ポルフィリン体は健常者では微量であり,増加した場合はすべて病的と考えられる.尿ポルフィリン体の増加する疾患を表1に示したが,著増を示した場合はポルフィリン症か鉛中毒であり,他の疾患では軽度の増加にとどまる.
ALAとPBGは無色であり,これらが増加しても尿の色は原則として変化しないが,PBGは放置すると酸化されて褐色のポルホビリンとなるため尿の褐色調を強める.UPとCPは紫赤色であり,増加すると尿を特有のブドウ酒色にする(ポルフィリン尿).尿ポルフィリン体が多ければその色により肉眼でも判断できるが,種々の定性法および定量法にてその増加を確認しなければならない.
9.尿中金属
尿中金属
著者: 野本昭三
ページ範囲:P.124 - P.129
はじめに
生体内の金属が尿中へ排泄されるようすを,その金属の体内濃度との関係からみた場合,H+,Na+,K+,Cl-,HCO3-などの電解質の場合と同様に血漿中の濃度(過不足)を反映して排泄されるものと,まったく反映されないものの2種類に大別される.前者,すなわち血漿中濃度を反映するものは,多くの場合,腎の尿細管域に閾値(threshold)があって,血漿中濃度が一定の水準を越えて低下した場合には尿への排泄量が著しく低下する.Mg2+,Zn2+などがこの範疇に入るものとみられている.これに対して後者,血漿濃度を反映しないものには,血清Cu2+,血清Fe3+などがあげられるが,これらの金属はいずれも血清中で特定の(専用の)蛋白に保持された形で運搬されている点が前者と異なる.一方,非必須元素または毒性金属が,異常な生活環境下にあって,または医学的治療が原因になって,生体内に侵入したような場合には,多くの場合,これを反映して多量に尿中への排泄がみられる.
これらのことから,尿中金属の測定は,体内での過不足を探る場合と,異常な侵入の有無をチェックする場合に行われるということができよう.
10.酵素
(1)アミラーゼ
著者: 杉田収
ページ範囲:P.130 - P.131
はじめに
アミラーゼ(amylase;AMY,EC 3.2.1.1)は膵臓と唾液腺で主に産出され,消化管に分泌される.アミラーゼの分子量は,ヒト膵型は6万,唾液腺型は6.1万と6.4万の2種類である1).尿にはどちらのアミラーゼも排出されるが,分子量の小さい膵型アミラーゼは,より排出されやすい.
アミラーゼの測定は,主に急性膵炎の診断に有用であるが,このほかの膵型アミラーゼの上昇する疾患としては,慢性膵炎の再燃時,膵癌,膵嚢腫,逆行性胆道膵管造影術施行後,胆道系の炎症性疾患などがあげられる.また唾液腺由来のアミラーゼ上昇を伴う疾患としては,流行性耳下腺炎,ショック後,神経性食思不振症,糖尿病,人工心肺使用後,肺癌,肺炎,オピスタンなどの薬剤使用などがあげられる.一方,血清アミラーゼは高値であるにもかかわらず,尿アミラーゼが低値の場合は,マクロアミラーゼが推定される.
(2)NAG
著者: 風間武
ページ範囲:P.132 - P.133
はじめに
N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(N-acetyl-β-D-glucosaminidase;NAG,EC 3.2.1.30)は組織細胞のライソゾームに存在する加水分解酵素のひとつで,ムコ多糖類や糖蛋白の分解に関与している.
NAGは組織中に広く分布し血清中にも存在するが,腎では近位尿細管上皮細胞に多く含まれ,尿中に排泄されるNAGはほとんどが尿細管由来と考えられている.腎障害により尿中NAG排泄量は増加し,腎不全,糸球体腎炎,ネフローゼ症候群などの各種腎疾患で活性値が上昇するほか,腎移植後の拒絶反応の早期診断や,アミノグリコシド系抗生物質の腎毒性の指標としてもその有用性が報告されている.尿中NAGアイソザイムには通常A,B分画があり,糸球体障害を中心とする疾患ではA分画,間質性腎障害ではB分画の上昇傾向がみられる1).
(3)γ-GTP
著者: 長裕子
ページ範囲:P.134 - P.135
はじめに
γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-glutamyl transpeptidase:γ-GTP,EC 2.3.2.2)はヒトの臓器分布では腎にもっとも多く,組織学的には近位尿細管刷子縁膜に高濃度に存在する.尿γ-GTPの測定は1962年Orlowskiにより初めて報告されたが,尿中のγ-GTPは血中から漏れて出てきたものではなく,腎に由来するものであるため,その測定は各種腎疾患,薬物の腎障害の病態把握のパラメーターになるとされている.本稿では,尿γ-GTPの測定に関する諸条件,正常値,臨床的意義について概説する.
(4)その他の酵素
著者: 杉田収
ページ範囲:P.136 - P.137
はじめに
ヒト尿酵素は30数種1)認められているが,日常的に測定される尿酵素は数項目からせいぜい10項目程度である.健常者の尿酵素は血清,腎組織,腎盂から膀胱までの上皮細胞,女性生殖器の分泌物などから供給される.尿酵素はその分子量が尿中活性に大きく影響する.分子量8万以下の酵素は,血清中の酵素の活性レベルをよく反映した尿中活性を示す.そして活性値も高く,尿を濃縮せずにそのまま測定できる場合が多い.一方,分子量が9万以上になると,低レベルの活性値になる.しかし腎病変が生ずると,その程度に応じて大分子量の尿酵素も出現してくる.
ここではアラニンアミノペプチダーゼ(AAP,EC3.4.11.2,分子量約23万),アルカリホスファターゼ(ALP,EC 3.1.3.1,分子量7.5万〜16万),乳酸脱水素酵素(LDH,EC 1.1.1.27,分子量約14万)について述べる.
11.アミノ酸
アミノ酸
著者: 小島洋子
ページ範囲:P.138 - P.141
はじめに
アミノ酸とは 同一分子内にアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)とを持つ化合物の総称である.ただし,一般には,そのアミノ基の水素が分子内結合し二級アミンとなった環状化合物であるイミノ酸(プロリン,ヒドロキシプロリン)も含める.アミノ酸は水溶液中では両性電解質であり,ある特定のpH(等電点)ではnetの荷電(正味の荷電)が0となる.それより酸性側では+,アルカリ側では-の荷電を持つ.
蛋白質構成アミノ酸 それぞれの蛋白質は,特有のアミノ酸が固有の配列で脱水縮合(ペプチド結合)した重合体である.哺乳動物の蛋白質を構成しているアミノ酸はイミノ酸を含めて22種類である.蛋白質を構成するアミノ酸は,アミノ基とカルボキシル基が同じ炭素原子(C-2)に結合しているα-アミノ酸である.一般式は次のように示される.
12.有機酸
(1)ピルビン酸
著者: 戸谷誠之
ページ範囲:P.142 - P.143
はじめに
ピルビン酸(pyrvic acid,CH3-CO・COOH)はα-ケト酸のひとつであり,図に示すように糖代謝や数種のアミノ酸代謝路の交差点に位置する主要な中間代謝産物である.特に,解糖系にあってはその最終産物である乳酸の前駆体であり,このことからも明らかなように,生体代謝の指標として以下に述べるように重要な役割を果たしている1).
乳酸とピルビン酸の血中濃度比はほぼ10:1に保たれている.この比率に乱れを生じさせる原因には,①NADH:NAD比は一定であるがピルビン酸の量が急増する場合,②NADH:NAD比は増大するがピルビン酸量は変動しない場合,③NADH:NAD比とピルビン酸量のいずれもが変動する場合,がある.①に示す病態には重症の糖尿病や尿毒症,解糖系の酵素欠損症の一部(例えば,ピルビン酸脱水素酵素欠損症)がある.大量出血やショックなどの急性の循環不全,および呼吸不全による組織の低酸素状態から示される乳酸アシドーシスの状況下では上述の②または③の状態となり尿中ピルビン酸値の著変はない.このように尿中のピルビン酸に影響が現れるのは①の場合であり,②,③の場合は大きな変動を示さない.
(2)乳酸
著者: 久保野勝男
ページ範囲:P.144 - P.145
はじめに
乳酸(CH3CH(OH)COOH)は,嫌気的解糖の終末代謝物として,骨格筋や赤血球,脳などの生体内のあらゆる組織で産生され,大部分は肝臓と腎臓でTCAサイクルや糖新生系の基質として利用されている.
ピルビン酸脱水素酵素欠損症,ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症,糖原病Ⅰ型などの先天性代謝異常症では高乳酸血症を伴い,患者尿中の乳酸排泄量が増加していることが知られている1).これらの診断には,血中の乳酸を測定することが一般的に行われているが,特にこれら先天性疾患の検査を行う乳幼児からの採血はその負荷を考えると極力避けたいものであり,尿によるスクリーニングが望ましいと思われる.
(3)シュウ酸
著者: 伊藤晴夫
ページ範囲:P.146 - P.147
はじめに
人体中ではシュウ酸イオンは生理学的あるいは生化学的機能をもっていない.病理学的には,シュウ酸カルシウムが水にきわめて難溶であるために,カルシウムとシュウ酸が尿中で過飽和の状態となると結晶核が形成され,これが成長ないし凝集して尿路(腎)結石が形成される1).腎結石の約9割はシュウ酸カルシウムを主成分とする.ただし,尿中にはシュウ酸カルシウム結晶の成長・凝集に対する抑制物質が含まれているので,結石形成は尿中の溶質濃度と抑制物質とのかね合いで決まる2).尿中シュウ酸は内因性に産生されるものと,食事に由来するものとがあるが,結石形成に対しては尿中のシュウ酸はカルシウムよりもはるかに強い影響を与える.また,尿中シュウ酸濃度が正常より少し高くなっただけでも,尿中のシュウ酸結晶量が急激に上昇する.
これらのことから,尿中のシュウ酸の測定は正確でなければならないことが理解される.
13.ムコ多糖
ムコ多糖
著者: 本田進
ページ範囲:P.148 - P.150
はじめに
ムコ多糖とは本来粘性のある多糖を意味していたがMeyerの提案によりアミノ糖を含む多糖を総称するようになった.最近ではグリコサミノグリカンの名称で呼ばれることが多い.ムコ多糖は蛋白コアと結合して存在し,この複合体はプロテオグリカンと呼ばれる.
尿中にはコンドロイチン硫酸A,B(別名デルマタン硫酸)およびC,ヘパラン硫酸,ケラタン硫酸などのムコ多糖が存在し,ケラタン硫酸を除く他のムコ多糖は,いずれもヘキソサミン残基とウロン酸残基が交互に繰り返し縮合した構造をもつ.ヘキソサミン残基はグルコサミンかガラクトサミンのいずれかであり,ウロン酸残基はグルクロン酸かイズロン酸のいずれかである.また,ヘキソサミンのアミノ基はアセチル化または硫酸化された状態で存在し,ヘキソサミン残基およびウロン酸残基の水酸基の一部は硫酸化されている.ケラタン硫酸ではウロン酸がなく,代わりにガラクトースが含まれている.それらの構造は表に要約する.
14.糖蛋白
シアル酸
著者: 菅原和行
ページ範囲:P.152 - P.153
はじめに
シアル酸は,カルボキシル基,カルボニル基,水酸基およびアミノ基をもつ炭素数9個の化合物ノイラミン酸(アミノデオキシノンウルソン酸;aminodeoxynonulsonic acid)のアセチル誘導体の総称で,脊椎動物には,N-アセチルノイラミン酸とN-グリコリルノイラミン酸とが存在する.シアル酸は生体内では,オリゴ糖,ホモおよびヘテロ多糖体,糖脂質,糖蛋白質の構成成分として幅広く存在し,生物機能の発現に深く関与している.血漿中でのシアル酸は,諸種の急反応性物質と呼ばれる糖蛋白質や他の多くのシアロ蛋白質の,主に糖鎖未端に存在し,通常は血漿中には遊離型のシアル酸はほとんど存在しない.また,尿中へは,正常人でも極微量ながらシアル酸含有オリゴ糖として排出されている.
15.中毒性薬物
(1)エタノール,メタノール
著者: 塚本昭次郎
ページ範囲:P.154 - P.155
エタノール(ethanol;分子量46,液体,沸点78.5℃,比重0.789),メタノール(methano1;分子量32,液体,沸点64.7℃,比重0.790)が尿中に出現するのは,これらを経口的に摂取したときである.エタノールでは主として飲酒したときであり1),メタノールでは誤飲したか自殺目的に用いたときである2).また産業衛生上,アルコール類の曝露によっても排泄される.正常者の尿中のアルコール類はいずれも微量で,尿1ml中0.5〜5μg程度である3).
エタノール・メタノールは,それ自身脳の働きを抑制する,いわゆる酩酊状態を起こす物質である.生体内で代謝されることによってその代謝物が毒性を示すことになる.特にメタノール中毒では代謝物のホルムアルデヒド,ギ酸塩の共存により,頭痛,嘔吐,悪心,チアノーゼ,アシドーシスを起こす.この中毒の特徴である視力障害を起こして失明し,また死亡した例も多い.エタノール・メタノールのヒトの致死量はそれぞれ3〜6ml/kg,1〜2ml/kgである.
(2)サリチル酸誘導体
著者: 川合眞一 , 柳川明
ページ範囲:P.156 - P.157
はじめに
アスピリン(acetylsalicylic acid)をはじめとするサリチル酸(salicylic acid)系の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は,NSAIDが40種類以上も発売されているわが国でもなお代表的鎮痛・解熱薬および抗炎症薬といえる.
一般に,NSAIDの投与量と血中濃度は正比例する.しかし,吸収率の違いや年齢,病態による代謝速度の変化などの個体差が大きく,臨床的に血中濃度を確認することが必要になることがある.例えばアスピリンは体内で加水分解を受けて速やかにサリチル酸となり作用すると考えられているが,そのサリチル酸の血中濃度により,図のような効果および副作用を示すことが知られている1).
(3)催眠薬
著者: 高須伸克 , 藤井真澄 , 高松邦樹
ページ範囲:P.158 - P.159
はじめに
わが国における急性中毒の発生頻度は,軽症例を含めると年間13万〜40万人に達する.急性中毒の原因物質には医薬品,農薬,工業用品,家庭用品など,さまざまなものがある.特に入院を要する重症急性中毒は医薬品によるもの(その多くは自殺企図例)がもっとも多く,医薬品のなかでも催眠薬による中毒が総数2,360件中880件(37.3%)ともっとも多い(急性中毒物質に関する全国アンケート調査より).
急性中毒の治療は,①体内への薬毒物の吸収の阻止(経口摂取:胃洗浄・腸洗浄・活性炭投与,体表面への付着:水洗),②血液中からの薬毒物の除去(血液浄化法:血液透析・血液吸着・血漿交換など),③拮抗薬の投与(有機リン剤:PAM,シアン:チオ硫酸Na,亜硝酸Na,重金属:BAL,CaNa2EDTA,麻薬:レバロルファンなど),④呼吸・循環管理を中心とした全身維持療法が行われる1).もちろんこれと並行して,原因物質の薬毒物分析を行う.
(4)アルカロイド
著者: 東海林洋子 , 柳川明
ページ範囲:P.160 - P.163
アルカロイドは植物体内に含有される塩基性含窒素環化合物の総称である.微量で強力な生理活性を示すが,毒性も概して強いとされている.表1にアルカロイドならびに関連化合物の分類を示しておく.数百種類あるアルカロイドのなかでも臨床で繁用されているのはモルヒネであり,鎮痛剤としては代表的な薬剤となっている.その反面,身体的,精神的依存性があるため一般には「麻薬」という総称で呼ばれ,大きな社会問題にもなっている.しかし,日常の臨床の場においては,癌性疼痛や各種疾患に起因する激痛には,今なおその強力な薬理効果から,しばしば用いられているのが現実である.麻薬のうち実際に臨床に用いられているのは麻薬性鎮痛薬と局所麻酔薬である.
日本薬局方に記載されている麻薬は,①ケシから採取される麻薬およびヘロイン(アヘンアルカロイド21種類),②コカ葉から取れるコカアルカロイド3種類,③合成麻薬62種類に大別できる.なお1%以下のコデイン,ジヒドロコデイン,またはこれらの塩類を含有する薬物はこの範疇からは除外されている.
(5)覚醒剤
著者: 屋敷幹雄 , 宮崎哲次 , 小嶋亨
ページ範囲:P.164 - P.165
覚醒剤とはフェニルアルキルアミンに属する中枢興奮剤を総称するものであり,日本で主に問題とされるのはフェニルメチルアミノプロパン(メタンフェタミン;MA)である.覚醒剤はナルコレプシーなどごく一部の臨床応用を除いて,今日では「覚せい剤取締法」によりその使用は厳しく規制されている.法的に規制された薬毒物を検査する際には,人権にかかわることであるから慎重に分析しなくてはならない.1984年ころ,キムチを食べた人の尿からMAが検出されたと報道されて世間を騒がせたことがあったが,膨大な追試検査からキムチ由来のMA産生説は否定されて器具の汚染が疑われた.
MAを摂取すると未変化体がもっとも多く尿中に排泄され,その代謝物であるアンフェタミン(A)などを合わせると,投与量の60〜80%が48時間以内に尿中へ排泄される.MAの尿中排泄は尿のpHにより大きく異なり,酸性尿ではアルカリ性尿の数十倍も多く排泄されることが知られている.一般に長期乱用者では尿中排泄期間が延長される傾向があり,筆者らの経験では最高36日まで尿中からMAを検出することができた.
(6)農薬
著者: 角田紀子
ページ範囲:P.166 - P.167
わが国の登録農薬数は約450種,製剤数は6,000種以上あり,薬毒物中毒患者の尿から中毒原因物質の農薬を特定することは簡単ではない.まして,本稿にすべての農薬の検査法を網羅することはできないので,詳細は文献1〜6などを参照願いたい.
16.腎機能検査
(1)クリアランス試験
著者: 折田義正
ページ範囲:P.169 - P.171
クリアランスの定義
クリアランスの正式の定義は,外部より生体に投与された物質xに対して,
Cx=物質xの全消失量/AUC=Ct
として示される.ただし,物質xの全消失量=全投与量であり,AUC(area under the curve)とは物質xの投与されてから消失するまでの血中濃度の時間に対する関数の積分値である.また,
Ct=Cr+Cnr
Cr:腎クリアランス,Cnr:非腎クリアランス
腎に関する物質xのクリアランス(Cx)は,
Cx(ml/分)=Ux・V/Px
Ux:尿中の物質xの濃度(mg/dl)
V:尿量(ml/分)
Px:血漿(清)中の物質xの濃度(mg/dl)
これは,血漿(清)中xの濃度がPxであるとき,Cxml/分のxを含む血漿(清)に含まれるxが腎より除去されることを意味する.
(2)PSP試験
著者: 堀江重郎 , 東原英二
ページ範囲:P.172 - P.173
はじめに
PSP(フェノールスルホンフタレイン)排泄試験は手技が簡便であるため,腎機能のスクリーニングに広く使われてきた.
静注されたPSPは体内で約80%がアルブミンと結合し,20%が遊離の状態で存在する.遊離のPSPのうち約20%(全体の4%)が糸球体で濾過され,残りの96%は近位尿細管から排泄される.したがって,PSP排泄試験は,近位尿細管の排泄能力を反映しうるが,試験時に注射するPSPの血中濃度(0.2mg/dl)は,近位尿細管における分泌極量(40mg/dl)よりかなり低いため,PSP排泄量は,近位尿細管機能よりも腎血漿流量(RPF)に左右される.PSP排泄試験の15分値(PSP・U15)がもっともRPFと相関が強いため,15分値により,腎血流量,および大まかなGFRの推定ができる.またPSPの経時排泄量の変化は,尿路死腔,尿路通過状態や残尿の有無の推定,および採尿が完全かどうかのチェックに用いられる.
(3)濃縮試験
著者: 齊藤寿一
ページ範囲:P.174 - P.175
はじめに
濃縮試験は,下垂体後葉の抗利尿ホルモン(ADH)が水制限に反応して分泌され,分泌されたADHに腎集合尿細管が反応して尿が濃縮されるという正常の尿濃縮過程が起こるかどうかを検討する試験である(図1).このうち,腎のADH反応性はデスモプレシン(DDAVP)試験により,下垂体後葉からのADH分泌能とは切り離して検査することもできる.下垂体後葉からのADH分泌能を含む腎の濃縮力検査としては水制限試験が行われる.濃縮力検査は水制限試験単独で,あるいはデスモプレシン試験と組み合わせて行われる.
濃縮試験の対象となる疾患は,慢性腎疾患のほか多尿,低張尿を伴うものが多く,主として腎病変の評価あるいは下垂体後葉機能低下症などの多尿の鑑別に有効である.
(4)尿酸性化試験,炭酸水素ナトリウム負荷試験
著者: 荒井純子 , 二瓶宏
ページ範囲:P.176 - P.177
腎尿細管での酸排泄は重炭酸(HCO3)の再吸収とHの排泄によって行われる.表に示したような臨床症候に加えて,糸球体機能低下の程度に比例しない高クロール(Cl)性代謝性アシドーシスのある場合に腎尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis;RTA)が疑われ,尿細管間質性腎炎に伴う場合も多い.本稿では図1のRTA診断過程の第2段階に示した尿酸性化試験および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)負荷試験を中心に述べる.
蛋白代謝などで生じた不揮発性の酸(1mEq/kg/日)は腎排泄により調節を受ける.糸球体で濾過されたHCO3の90%近くは近位尿細管で再吸収され,H分泌と密接に関係する.すなわち,近位尿細管内では炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase;CA)によりH2CO3がCO2とH2Oに分解され,CO2は細胞内へ入りCAによってH2CO3になること,細胞内H2CO3はHとHCO3に分解され,HはNaとの交換により管腔に分泌され,HCO3は血管系に入ることが重要な点である.一方,遠位尿細管では,濾過された緩衝物質であるHPO4や主として近位尿細管細胞で作られたNH3を滴定するため,管腔内pHを下げるようH分泌を行っている.この反応は遠位系へのNa供給量,電気化学的勾配,アルドステロンの作用により影響される.
(5)その他の負荷試験
著者: 木村正人 , 菱田明
ページ範囲:P.178 - P.179
腎機能検査としての負荷試験はこれまで述べられてきたもののほかに,水負荷試験(希釈試験),グルコース負荷試験(尿細管再吸収極量),運動負荷試験,蛋白負荷試験などがある.前二者は日常臨床で用いられることはほとんどないので,ここでは後二者の運動負荷試験と蛋白負荷試験とについて説明する.
17.尿沈渣
尿沈渣
著者: 今井宣子
ページ範囲:P.180 - P.187
尿沈渣鏡検はもっとも一般的に実施されている検査であり,手技的には簡単な検査でありながら,得られる臨床情報量は多く,時には診断に直結するほどの重大な情報が得られることもある.尿沈渣標本の作製法や成分の分類法,結果の記載法については,すでに日本臨床衛生検査技師会から標準法が提示されているので1),これに準ずることとし,ここでは主に医療情報としての尿沈渣成分の見かた・考えかたについて述べる.
18.結石
結石
著者: 高崎悦司
ページ範囲:P.188 - P.193
はじめに
尿路結石は尿中に排泄される晶質が析出した凝固物(concrement)であり,これが形成される機序の詳細は十分にわかっていないが,まず結石形成の核となる原基(stone embryo)があり,これに尿中に過飽和に存在する晶質が析出して成長および凝集し(crystal nucleation,growth and aggregation),この結果として結石という病態を生ずる.結石形成の原基にはいろいろな仮説があり,また尿中に剥離した上皮や細菌なども原基になりうると考えられる.一方,尿中に通常でも過飽和に存在する晶質が,普通では析出凝固して結石にならないのは,ひとつには良好な尿の流れにより析出する時間を与えないことと,ほかには尿中に結石形成を阻止する因子(inhibitor)があるためとされる.
近年,体外衝撃波砕石術の発達により,以前より格段に結石治療が容易になったが,破砕小片の残留による結石再発率の増加が懸念される.また,結石のなかで尿酸とシスチンは衝撃波により破砕しがたいが,この両者は薬物による溶解縮小の可能性があり,結石の化学的組成を知り,結石形成を促進している要因を求めて,治療や予防の方策を定めるのが重要となる.各種尿路結石の形状を一括して表1に示す.
19.ホルモンおよび関連物質 1)下垂体関連
(1)成長ホルモン
著者: 森理
ページ範囲:P.194 - P.195
はじめに
低身長を主訴とした成長ホルモン(GH)分泌不全症は,身長SDスコアが-2.0以下の低身長者の約10〜20%に発見される.GH分泌不全症は成長ホルモン注射による治療が確立されており,現在もっとも有効で安全な方法である.その確定診断は,採血法による成長ホルモン分泌負荷試験あるいは夜間睡眠中GH分泌能の生理的な検査で行われる.近年,夜間睡眠中の生理的GH分泌能を反映する指標として早朝尿中のGH濃度の測定が,本疾患をスクリーニングする有用な手段であることが判明した.
この分野での研究は,わが国の小児内分泌学のなかで飛躍的な発展を遂げている.すなわち,本測定法は宮崎医大生化学教室の石川栄治教授および橋田誠一博士らが世界に先駆けて開発した高感度エンザイムイムノアッセイ(EIA)法により,初めて尿中の微量な成長ホルモン濃度が測定可能になったためである.現在は商品化され,住友ピコイアHGH測定用EIAキットとして発売されている.この方法によれば,従来のRIA法に比べ約1,000倍の感度が得られ,尿中では1pg/mlから測定が可能となった.また,従来のRIA法と違って放射性物質を使用しないために,廃棄物の処理に特別な配慮がいらなくなった.尿中GH濃度測定は平成2年度から健保適用され,現在大塚アッセイ研究所に測定が依頼できる.
(2)黄体形成ホルモン
著者: 田坂慶一
ページ範囲:P.196 - P.197
はじめに
黄体形成ホルモン(LH)は脳下垂体より分泌され,性腺刺激作用を持つ卵胞刺激ホルモン(FSH)が主に卵胞発育を促すのに対し,LHは主に排卵前に働く.LHは上位中枢の視床下部黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRHまたはGnRH)により促進的な調節を受けている.LHRHは60〜90分間隔の律動的刺激となっており,LHもそれに応じて律動性分泌となっている.年齢別では小児期は比較的低値で律動分泌も欠如しているが,思春期に夜間よりLH律動的分泌が始まり,やがて昼夜に及ぶ.性成熟期にはLHの分泌は卵巣周期性変化とともに変動し,閉経とともに卵巣ホルモンによる抑制がとれて高値となる.性周期では卵胞期および黄体期には比較的低値であるがFSHにより卵胞が発育し,エストロゲンが一定以上産生されるとLHがスパイク状に分泌される.
血中,尿中LHを検査したりその評価をする場合には以上のことを念頭におき,検査する目的に応じ,患者の年齢,背景を考慮して検体採取日を設定し,評価に当たってもそれらの条件を考慮しなければならない.現状では下垂体機能の評価は,月経5〜7日目の血中LH値で行われている.単に下垂体機能検査として尿中LHを測定し評価することはほとんどない.最近は不妊症の治療に際し排卵予知に尿中LHを指標とする機会が多くなっている.
(3)卵胞刺激ホルモン
著者: 田坂慶一
ページ範囲:P.198 - P.199
はじめに
卵胞刺激ホルモン(FSH)は脳下垂体より分泌される性腺刺激ホルモンのひとつである.同じ性腺刺激ホルモンの黄体形成ホルモン(LH)は排卵作用を有するのに対し,FSHは主に卵胞発育作用をもつ.FSHもLHと同様律動的分泌をしている.成熟女性では,卵胞が発育するにしたがってインヒビンが卵巣より分泌され,卵胞期後期にはやや低下する.FSHも排卵前のLHピークに一致してスパイク状分泌をするが,LHほど顕著ではない.男性ではほぼ一定の値をとる.
下垂体機能を評価する場合,血中LHと血中FSHで判定するのが普通である.現在の時点で尿中FSHを指標とする場合はほとんどない.また尿中FSH値を排卵予知に利用することも現実的でない.ここでは尿中FSHのRIAによる測定法とその評価につき簡単に述べておく.
(4)抗利尿ホルモン
著者: 椎名達也 , 吉田尚
ページ範囲:P.200 - P.201
はじめに
抗利尿ホルモン(ADH)は視床下部-下垂体後葉系において合成されるホルモンで,腎集合管に作用して水の再吸収の調節を行っている.下垂体後葉からのADHの分泌の減少(欠乏)した病態である中枢性尿崩症と心因性多尿との鑑別や,不適切にADHの分泌が亢進することにより生じるSIADH(syndrome of inappropriate secretion of ADH)を診断するうえでADHの測定は重要である.しかしながら,その血中濃度はきわめて低値であり,また血漿中にはADH様免疫活性物質が存在しており,これらの夾雑物を除去しないと,見かけ上の値が高値を呈する.
一方,尿中ADHの測定も以前は抽出操作により夾雑物を取り除いた後行っていたが,尿中ADH濃度は血中に比べて比較的高値であり,また最近開発されたADH測定キットは高感度なため低濃度まで正確に測定できることから5),尿を希釈することにより抽出操作を行うことなく,夾雑物の影響を受けずに測定が可能であるといわれている.
2)副甲状腺関連
(1)副甲状腺ホルモン
著者: 富田明夫 , 安藤高宣 , 木沢仙次 , 渡部和近
ページ範囲:P.202 - P.203
はじめに
副甲状腺ホルモン(PTH)はカルシウム調節ホルモンのひとつとして生体内のCaホメオスターシスにもっとも重要な役割を演じている.このPTHの主な生理作用としては,①骨における骨吸収(骨融解)促進作用,②腎におけるCa再吸収促進作用,P再吸収抑制作用,ビタミンDの活性化(25-OH-Dから1,25-(OH)2-Dへの合成促進)があげられており,腸管におけるCa吸収促進作用はPTHによって活性化されたビタミンDを介するものと考えられている.
副甲状腺から分泌されるPTHは,正常状態ではアミノ酸84個よりなるintact PTH(分泌型PTHともいう)であるが,このintact PTHは血中に放出されると主として肝,腎において代謝されamino-terminal PTH(N-PTH),carboxy-terminal PTH(C-PTH),midregion PTH(M-PTH),その他の小フラグメントに分断される.したがって,末梢血中のPTHはintactのほかこれらのフラグメントの形でも存在する.
(2)カルシトニン
著者: 多久和陽
ページ範囲:P.204 - P.205
はじめに
カルシトニンは,主として甲状腺によって産生されるアミノ酸32個からなるペプチドホルモンである.カルシトニンは骨吸収を抑制し,血清カルシウム濃度を低下させる.しかし,ヒトではカルシトニンの主要産生臓器である甲状腺を全摘出した患者においても目だったカルシウム代謝異常がみられないことから,カルシトニンのカルシウム代謝調節作用は,副甲状腺ホルモンや活性型ビタミンDなど他のカルシウム調節ホルモンのそれに比較してはるかに弱いものと考えられている.
日常診療においてカルシトニンの測定を必要とする場合は必ずしも多くないが,カルシトニンの測定は甲状腺髄様癌の診断において威力を発揮し,必要欠くべからざる検査となっている1).甲状腺髄様癌はカルシトニンを過剰に産生し,本症患者ではカルシトニンの血中濃度は異常高値を呈する.甲状腺髄様癌の診断には通常血中カルシトニン基礎値の測定で十分であり,尿中カルシトニンの測定を必要とすることは少ない.しかし,早期の甲状腺髄様癌患者では血中カルシトニン基礎値が正常域との境界値を示し,診断に苦慮することがある.また,血中カルシトニンが正常値から異常高値にかけて変動を示す症例も知られている.これらの症例では,甲状腺のカルシトニン分泌能をよりよく反映すると考えられる尿中カルシトニンの測定が有用であると報告されている2,3).
3)膵臓,消化器関連
C-ペプチド
著者: 青木雄次 , 柳沢康敏 , 矢崎国彦
ページ範囲:P.206 - P.207
はじめに
C-ペプチドは,膵β細胞よりインスリンと等モルで分泌され,インスリンに比べて多量に尿中に排泄される.このことを利用して,ある特定の時間,特に24時間のインスリン分泌量の指標として,頻回の採血を行うかわりにその時間帯の尿中C-ペプチドが測定されている.その測定の簡便性から広く普及しており,インスリン分泌が枯渇しているインスリン依存性糖尿病(IDDM)の検索には特に有用な方法とされている.しかし,C-ペプチドの尿中排泄率は個人差が大きいため1,2),IDDM以外を対象とする場合には,その解釈に注意が必要である.
4)副腎皮質関連
(1)17-KS
著者: 武部和夫
ページ範囲:P.208 - P.210
はじめに
17-ケトステロイド(17-ketosteroids;17-KS)はステロイド核のC17位にケトン基を有するステロイドの総称(図1)であり,メタジニトロベンゼンにより呈色(Zimmerman反応)し,主に副腎皮質網状層および男子性腺(Leydig細胞)で産生される.健康男子では尿中17-KS排泄量の約2/3が副腎皮質由来であり,残りの約1/3は睾丸由来である.健康な小児および女子では副腎由来である.尿中17-KSとして測定されるステロイドを表1に示した.デヒドロエピアンドロステロンサルフェートはそのままの型で尿中に排泄されるが,その他のものはグルクロン酸または硫酸抱合型として排泄される.
尿中17-KSの測定は副腎皮質機能亢進症や副腎性器症候群の診断上たいせつである.
(2)17-OHCS
著者: 武部和夫
ページ範囲:P.211 - P.213
はじめに
17-ヒドロキシコルチコステロイド(17-hydroxycorticosteroids;17-OHCS)はC17,21位にジヒドロオキシアセトン側鎖をもつステロイドホルモンの総称である(図1).副腎皮質束状層からコルチゾール(F)とコルチコステロン(B)が分泌され,肝で還元されてテトラヒドロ型(THF,THB)となり,グルクロン酸抱合されて尿中に排泄される.コルチゾールの一部は肝,腎で11β-ヒドロオキシステロイドデヒドロゲナーゼの作用を受けてコルチゾン(E)となり,肝で還元されてテトラヒドロ型(THE)となってグルクロン酸抱合され,尿中に排泄される(表1).正常者において尿中17-OHCSとして測定される主なものはTHF,THEである.
尿中17-OHCSの測定は副腎皮質機能の日常検査として有用であり,また視床下部-下垂体前葉-副腎皮質系の機能状態をも反映している.また,視床下部-下垂体前葉機能検査としてのメトピロン試験,デキサメサゾン試験,副腎皮質機能検査として行われる連続ACTH-Z試験の指標としても用いられている.
(3)コルチゾール
著者: 相良祐輔 , 岡谷裕二
ページ範囲:P.214 - P.215
はじめに
副腎皮質からは主に3種類のステロイドホルモン,すなわちグルココルチコイド,ミネラルコルチコイドおよび性ステロイドが分泌されている.コルチゾール(cortisol)はグルココルチコイドの主要ホルモンであり,副腎皮質束状層から分泌され,成人では1日産生量は15〜25mgに及ぶ.コルチゾールの合成と分泌は下垂体のACTHにより調節され,ACTHの分泌は視床下部のCRF(corticotropin releasing factor)により調節されている.CRF,ACTHは血中コルチゾール濃度によって調節され,いわゆるネガティブフィードバック機構を構成している.
血中分泌されたコルチゾールは,その90〜95%がCBG(corticosteroid binding globulin)とアルブミンに結合し,残り5〜10%が遊離コルチゾールとして存在する.血中コルチゾールの大部分は肝,腎で代謝され二重結合およびケト酸の還元により不活性化され,さらにグルクロン酸抱合,硫酸塩として尿中へ排泄される.尿中へ遊離型として排泄されるコルチゾールは,副腎で分泌されるコルチゾールの1%以下と少ないが,蛋白結合型コルチゾールは腎の糸球体を通過できないので,尿中に排泄されるコルチゾール量を測定すれば血中の遊離型コルチゾール濃度の指標となりうる.また,尿中コルチゾール排泄量はコルチゾール産生量とよく相関することが知られている.
(4)アルドステロン
著者: 西川哲男 , 吉田明子 , 大村昌夫
ページ範囲:P.216 - P.217
はじめに
アルドステロンは副腎皮質ステロイドホルモンの一種であり,腎尿細管に作用してナトリウムの再吸収とカリウムの尿中への排泄を促進する.したがって尿中アルドステロン定量は,高血圧症,電解質代謝異常の診断・病態解明に有用である.
アルドステロンは副腎皮質最外層の球状層で合成・分泌される.その調節には,ACTH,レニン・アンギオテンシン系,カリウムなどが刺激的に作用している.最近では,心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP),脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP),calcitonin generelated peptide(CGRP)がアルドステロン合成を抑制,エンドセリンが促進することが明らかとなっている.
5)副腎髄質関連
(1)カテコールアミンとその分画
著者: 中井利昭
ページ範囲:P.218 - P.220
はじめに
カテコールアミンの3分画としては,アドレナリン,ノルアドレナリン,ドーパミンがある.ノルアドレナリンは主として交感神経より分泌され神経伝達物質として,アドレナリンは副腎髄質より分泌され循環ホルモンとして,ドーパミンはノルアドレナリンの前駆物質であるとともにそれ自体中枢神経系,腎,循環器系などに対し作用を及ぼしている.
尿中カテコールアミンの測定が診断上役立つのは,褐色細胞腫と神経芽細胞腫に限るといってよい.後者の神経芽細胞腫は,HVA(ホモバニリン酸),VMA(バニルマンデル酸)の定量がまず第一選択であるので,実際上は褐色細胞腫ひとつが重要ということになる.
(2)バニリルマンデル酸
著者: 山内穣滋 , 大石誠一 , 佐藤辰男
ページ範囲:P.221 - P.223
はじめに
バニリルマンデル酸(vanillylmandelic acid;VMA)は,カテコールアミンの最終代謝産物(図)であり,尿中へはすべて遊離型で排泄され,量もmg単位と多く,その尿中排泄量は生体内のカテコールアミン合成量を知る際に有用である.したがって,カテコールアミン産生腫瘍の診断や治療効果判定,経過観察に利用されている.
(3)ホモバニリン酸
著者: 吉村学
ページ範囲:P.224 - P.225
はじめに
ホモバニリン酸(homovanillic acid;HVA,3-methyl-4-hydroxy phenyl acetic acid)はドーパならびにドーパミンの最終代謝物であり,これらアミンの増減する疾病の診断に利用される.ドーパはドーパミンおよびメラニンの前駆体であり,またドーパミンもノルアドレナリンやアドレナリンの前駆体であるのみならず,それ自体がカテコールアミンの一種であり(図),生体内の主要な神経伝達物質またはホルモンとして,中枢神経系,交感神経ならびに末梢組織において種々の生理活性を示す.
血中,尿中,髄液中HVA濃度測定は体内でのドーパまたはドーパミン放出・代謝の動態を反映することから,中枢および交感神経機能の評価を行うことができるのみならず,クロム親和細胞腫や悪性黒色腫の診断に有用である.近年,乳幼児の神経芽細胞腫スクリーニング検査として,尿中HVA濃度測定は広く行われている.
(4)5-ヒドロキシインドール酢酸
著者: 重富秀一
ページ範囲:P.226 - P.227
はじめに
5-ヒドロキシインドール酢酸(5HIAA)は,胃・腸管のエンテロクロマフィン細胞,血小板,脳,松果体,神経組織(5HT作動神経細胞)などに含まれているセロトニンの代謝産物である(図).セロトニンは,体内で速やかに5HIAAに変換され,90%以上が尿中に排泄されるので,尿中5HIAAは生体のセロトニン分泌量をよく反映すると考えられる.日常の臨床では,セロトニン過剰分泌による顔面紅潮,下痢,浮腫など多彩な症状を有するカルチノイド腫瘍(消化管腫瘍)の診断のために尿中5HIAAの測定を行うことが多い.
6)性腺機能関連
(1)エストロゲンとその分画
著者: 綾部琢哉
ページ範囲:P.228 - P.229
はじめに
エストロゲンは主としてエストロン(E1),エストラジオール(E2),エストリオール(E3)の3分画よりなるステロイドホルモンの総称である.生物学的活性はE2がもっとも高く,E1がそれに次ぎ,E3はE2の約1/100の活性しか持たない.
(2)プレグナンジオール,プレグナントリオール
著者: 坂田寿衛 , 山田祐士 , 佐藤和雄
ページ範囲:P.230 - P.231
はじめに
プロゲステロン(以下P4)は,卵巣の黄体および胎盤で合成され,子宮に働き受精卵の着床と妊娠の維持に大きな影響を及ぼしている.つまり,黄体機能不全によってP4が低下すると,着床障害や妊娠初期の流産を引き起こすといわれている.したがって,卵巣黄体機能と胎盤機能の指標として,血中P4の値を測定することはきわめて有用で,またRIAまたはEIAによって簡便に測定できるため広く用いられている.しかし血中P4は日内変動,日差変動があるため,1回の測定では診断は困難であり,日を変えて測定してその血中濃度の推移から判断しなければならない.
一方,血中P4は図1に示すように,代謝されてプレグナンジオール(以下P2)となり,尿中にグルクロン酸抱合体,つまりプレグナンジオール-3-グルクロニド(Pd-3G)として排出される.この24時間尿中P2は血中P4の1日産生量を反映しており,患者にも無侵襲で,黄体機能あるいは胎盤機能を知るのによい指標となる1〜3).
(3)テストステロン
著者: 寺園崇 , 宮地幸隆
ページ範囲:P.232 - P.233
はじめに
テストステロンは精子の形成や第2次性徴の発現に欠くことができない.陰茎の肥大,体毛の発生を促し,声帯の肥厚や甲状軟骨の肥大によって声を低音化する.蛋白同化作用を示して骨格や筋に作用し,成長や肥大を促し男性らしい体型をつくる.
男性では,テストステロンの産生のほとんどは睾丸において行われる.女性では卵巣での産生が少ないので,量的には男性と同等である少量の副腎皮質での産生が重要となってくる.
7)胎盤機能関連
(1)絨毛性ゴナドトロピン
著者: 伊吹令人
ページ範囲:P.234 - P.236
はじめに
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin;hCG)は胎盤から分泌される性腺刺激ホルモンである.hCGは分子量約38,000の糖蛋白で,αサブユニットとβサブユニットからなり,αサブユニットのアミノ酸配列は下垂体前葉から分泌されるLH,FSH,TSHのそれとよく類似している.それに対しβサブユニットのアミノ酸配列はFSH,TSHのそれとはかなり異なるが,LHのβサブユニットとはよく似ており,そのためhCGとLHとは生物学的にも免疫学的にも類似している.
1960年に免疫学的測定法が,1965年には放射免疫学的測定法が開発されて測定法は飛躍的に進歩したが,構造的にも免疫学的にもよく類似したヒトLHとの交差反応の問題が発生した.しかし,モノクローナル抗体やサンドイッチ法の開発によってこの問題はほぼクリアーされたが,hCG免疫活性物質(hCG like substance)の問題は残されており,低単位hCG測定の問題はまだ完全に解決されたとはいえない.本稿では,主として低単位hCGの測定について述べる.
(2)妊娠反応
著者: 伊吹令人
ページ範囲:P.237 - P.239
はじめに
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin;hCG)は胎盤から分泌される性腺刺激ホルモンで,受精卵が着床すると絨毛から分泌されるので妊娠かどうかの判定に用いられる.1960年にhCGの免疫学的測定法が開発されるまでは,煩雑で時間のかかる生物学的方法によるほかはなかったので,妊娠かどうかの判定に使用するよりは,胞状奇胎などの異常妊娠の鑑別や,絨毛性疾患の治療効果の判定などに使用されることが多かった.
ところが,hCGの免疫学的測定法が次第に進歩するとともに感度は次第に上昇し,3,000〜5,000IU/lの感度しかなかったものから,現在は0.2IU/lのものまで開発され,測定に要する時間も3時間から2〜3分まで短縮された.したがって,現在では患者さんに尿をとってもらい,あらかじめ結果を知って診察し,かつこの結果を加味して患者さんと話ができ,また必要な検査を先に進められるようにもなった.
20.生理活性物質
(1)プロスタグランジン
著者: 林陽子
ページ範囲:P.240 - P.243
はじめに
プロスタグランジン(PG)類の測定には,主として,ガスクロマトグラフィ・マススペクトロメトリー(GC-MS)と免疫測定法があるが,実際には,簡便なラジオイムノアッセイ(RIA)やエンザイムイムノアッセイ(EIA)が繁用されている.RIAの例としては,最近,その測定意義が注目されている11-デヒドロトロンボキサンB2(TXB2)を,筆者らの方法を中心に述べることにする.また,EIAの例として,尿中プロスタグランジンE2(PGE2)について簡単に記す.測定用キットは各社で市販され,これを使用する際は,説明書どおり忠実に行えば,測定系としての信頼度は高い.問題は,尿試料から,いかにして夾雑物質を除き,PGを抽出分離するかである.
(2)カリクレイン
著者: 木付和幸
ページ範囲:P.244 - P.245
はじめに
これまでに,尿中カリクレイン排泄量測定による各種病態解析を試みた多くの研究がある.しかし,本態性高血圧症患者では尿中カリクレイン排泄量が減少しており,バーター症候群,原発性アルドステロン症患者では排泄量が増えているなどの例が知られているが,尿中カリクレイン排泄と特定の疾病との関連が明確になっているものは,きわめてまれである.
尿カリクレインの大部分は,腎臓で産生されるカリクレインの一部が尿中に排泄されているものと考えられる.しかし,血中には微量ではあるが組織性カリクレインが分泌されて存在しており,尿カリクレインの一部はこの組織性カリクレインが腎臓で濾過されて排泄されているとみることもできる1).また,尿中には,プロカリクレインが排泄されており,活性型とプロ体との比率は,1:2〜4で,プロ体のほうが多い.従来,尿中排泄カリクレインの測定は,主に活性型だけを測定してきたが,このプロカリクレインをどう評価するかが,今後の問題となる.
(3)サイクリックAMP
著者: 横田一成
ページ範囲:P.246 - P.248
はじめに
サイクリックAMP(アデノシン3',5'-モノリン酸:cAMP)は,各種のホルモンが標的細胞表面の受容体に結合した後,ATPよりアデニル酸シクラーゼの作用でつくられる細胞情報伝達物質,すなわち“セカンドメッセンジャー”として働くよく知られた化合物である(図1).多くの場合,cAMP依存性プロテインキナーゼを活性化することにより特定の酵素の活性を調節する.cAMPは,多くの生体反応にかかわることがよく指摘されているが,cAMP測定の臨床診断に有効なものは限られている.血液中のcAMP量の測定だけではその意義は少ない.
一方,尿中cAMPの源は大きく半分の2つに分けられる.ひとつは血液中のcAMPが腎糸球体で濾過されたもので,もう一方は,副甲状腺ホルモン(PTH)が腎臓に作用して腎臓から排泄されたものである(図2).この腎排泄(nephrogenous)cAMP量の測定は,PTHを分泌する副甲状腺機能のよい指標となり,PTHを測定するよりも信頼性が高くその臨床的意義は高い1〜3).例えば,高Ca2+血症を伴う原発性および続発性副甲状腺機能亢進症では尿中cAMPが上昇し,特発性や持続性の副甲状腺機能低下症では尿中のcAMPが低下しているが,PTH負荷試験でcAMPが上昇する.
(4)サイトカイン
著者: 笠原忠 , 高余洲
ページ範囲:P.250 - P.253
はじめに
1970年代より,造血因子であるエリスロポエチンやコロニー刺激因子(CSF)が尿中から精製され,尿中にサイトカインの存在することが証明された.サイトカインは感染や炎症時に種々の刺激が加わったとき,主として局所で産生され,作用するもので,通常血中にはきわめて微量しか存在しない.しかしながら,局所で大量につくられたり,もしくは人為的に体内に大量に導入した場合,遠隔臓器や全身性に作用することもある.
腎機能正常時,血漿蛋白の糸球体での透過性は蛋白の大きさ,形,濃度とその荷電によって決定される.主なサイトカインの分子量は8kD(IL-8)から80kD(M-CSF)くらいまでであり,血中にサイトカインが大量に存在すれば,尿中にも検出されうる.これまで,尿中サイトカインについての報告は少ない.その理由として,尿検体の処理方法,各サイトカイン局所での産生,生体内分布と分解,クリアランスの差異,血中あるいは尿中におけるサイトカインのレセプター(R)やインヒビターあるいは結合蛋白(BP)による影響など,まだ未解決の問題が多く,尿中でのサイトカイン量測定の臨床的意義が未知であることによる.
21.腫瘍マーカー
腫瘍マーカー
著者: 増田富士男
ページ範囲:P.254 - P.257
腫瘍マーカー(tumor marker)は組織の癌化に伴う生物学的変化を反映する物質で,癌細胞が産生し,これを血中,尿中より検出,定量することにより,腫瘍の存在の目印となるものである.しかし癌細胞のみに存在するものではなく,癌細胞中に増加してくるものであるので,癌のみに陽性または増加するというものではない.腫瘍マーカーは癌の病勢と並行することが多く,癌の診断とともに,治療効果の判定,再発の発見の一手段としても用いられている.尿中の腫瘍マーカーとしてはポリアミンが代表的なものである.
22.その他の物質
(1)オキシプリン
著者: 徳永賢治 , 村瀬光春
ページ範囲:P.258 - P.258
尿酸の前駆物質であるオキシプリンは,ヒポキサンチンおよびキサンチンに分類され,核酸を構成する成分であるプリンヌクレチドの代謝産物である.したがってオキプリンを測定すればプリン代謝異常の解明に有用な情報が得られる.
代謝異常の臨床症状としては,知能障害,巨赤芽球性貧血,高尿酸血症,低尿酸血症,免疫不全症など種々の症状を示す.
(2)アデニン
著者: 野呂忠夫
ページ範囲:P.259 - P.259
はじめに
プリン体代謝において,サルベージ酵素のひとつであるアデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)の先天性欠損症では,アデニンの代謝産物である2,8-ジヒドロキシアデニン(DHA)の尿路結石症と,それによる腎障害が問題となっている.この疾患において,蓄積されたアデニンが大量に尿中に排泄されることが証明された.また,アデニン製剤の使用によりしばしば尿中にアデニンが排泄されることも認められている.
アデニンの測定には,蛍光分光法と高速液体クロマトグラフィ(HPLC)による方法などがある.また,HPLC法においても,筆者らは紫外線(UV)分析法と蛍光分析法を試みたが,ここでは蛍光分光法を述べる.
(3)アスコルビン酸
著者: 内田清春
ページ範囲:P.260 - P.260
はじめに
アスコルビン酸(ascorbic acid;AsA,ビタミンC)は強力な還元力を有し,酸化されたものはデヒドロアスコルビン酸あるいは酸化型アスコルビン酸(DAsAまたはDHA)と呼ばれている.DAsAは生体内ではアスコルビン酸と同等のビタミン作用を持つといわれる.DAsAはアルカリ域で容易に加水分解されて2,3-ジケト-L-グロン酸(DKG)に変化するが,これはビタミンC効果は持たない.
アスコルビン酸は生体内では合成することができないため,これを摂取する必要がある.最近では保健薬のほかさまざまな食品中に多量に含まれているが,一定の体内貯蔵量を越えたものは尿中に排泄される.
(4)ホモゲンチジン酸
著者: 久保野勝男
ページ範囲:P.261 - P.261
はじめに
ホモゲンチジン酸(homogentisic acid;C8H8O4:2,5-ジオキシフェニル酢酸)は,チロシンの体内における分解の過程でp-ヒドロキシフェニルピルビン酸酸化酵素の作用によって生ずる中間生成物である.
先天性代謝異常症のひとつであるアルカプトン尿症は肝においてホモゲンチジン酸オキターゼが欠損しており,ホモゲンチジン酸を酸化できず,これが蓄積するまれな先天性疾患であり,患者の尿中にホモゲンチジン酸が多量に排泄されることが知られている.
23.微生物検査
3)尿路感染症の生化学的検査
著者: 中川卓夫
ページ範囲:P.290 - P.291
はじめに
尿路感染症(urinary tract infection;UTI)のスクリーニングには,尿中白血球と尿中細菌の検出が不可欠である.これらを化学的に短時間で検出する方法として,尿中白血球検出には好中球のエステラーゼ活性試験がある.一方の尿中細菌検出には,細菌の代謝産物によるTTCの還元発色をみるTTC法,尿中細菌や細胞のカタラーゼによる過酸化水素の分解発泡をみる尿カタラーゼ反応,細菌による尿中の糖減少や亜硝酸塩の生成などを検出する方法がある.
本稿では,普及度が高く,UTIの診断法に有用性があるといわれる試験紙法によるエステラーゼ活性と亜硝酸塩反応を中心に解説する1).
4)尿路感染症の迅速診断法
著者: 菅野治重
ページ範囲:P.292 - P.293
はじめに
他の感染症と同様に,尿路感染症においても迅速に治療を行う必要があるが,他の領域の感染症に比べ,迅速検査の開発が遅れている.この理由のひとつとして,尿路感染症は髄膜炎や肺炎などに比べて重症例が少ないことがあげられる.しかし基礎に糖尿病や血液疾患を持つ患者では,容易に菌血症を発症し重篤化することもあり,患者の背景因子によっては迅速な診断と適切な治療が必要となる.
尿路感染症の診断には,尿路における炎症の存在の確認と,起炎微生物の検出が必要である.炎症の確認には膿尿の確認が重要であるが,尿中エステラーゼや亜硝酸塩の検出なども迅速検査として用いられている.
5)尿路感染症の部位診断
著者: 田吹和雄
ページ範囲:P.294 - P.295
はじめに
尿路感染症は,臨床症状や経過から急性と慢性に,また基礎疾患の有無により単純性と複雑性に分類されている.一方,感染部位の面からは,尿の逆流を防止する膀胱尿管移行部を境として,上部尿路感染(腎盂腎炎,腎盂炎)と下部尿路感染(膀胱炎,尿道炎,前立腺炎)の区別がある.尿路感染症の感染部位診断は,治療や予後判定に重要な問題であり,従来から種々の方法が報告されている.本稿では,日常診療において有用な検査法を中心とした各種感染部位診断法についての概要を述べる.
1)尿路感染症と原因微生物
(1)下部尿路感染症
著者: 吉田正樹 , 柴孝也
ページ範囲:P.262 - P.263
はじめに
尿路感染症は,一般に尿中の微生物の定着と,腎から尿道に至る尿路系臓器組織の細菌感染と定義される.また,前立腺や副睾丸のような隣接臓器の感染症もこのなかに含まれる.尿路感染症は,腎盂腎炎,腎膿瘍を含む上部尿路感染症と,膀胱,尿道,前立腺,副睾丸などに感染を起こした下部尿路感染症に大別される.本稿では下部尿路感染症について略記する.
(2)上部尿路感染症
著者: 吉田正樹 , 柴孝也
ページ範囲:P.264 - P.265
はじめに
尿路感染症は,一般に尿中の微生物の定着と,腎から尿道に至る尿路系臓器組識の感染と定義される.以下,上部尿路感染症について述べる.上部尿路感染症は,腎盂腎炎と腎膿瘍とに大別できる.
(3)無症候性細菌尿
著者: 吉田正樹 , 柴孝也
ページ範囲:P.266 - P.267
はじめに
無症候性細菌尿は,尿路系臓器の感染症状を欠き,尿における細菌の定着(有意の細菌尿)が唯一の異常である.そこで,まず有意の細菌尿について述べる.
(4)特殊な微生物による尿路感染症
著者: 吉田正樹 , 柴孝也
ページ範囲:P.268 - P.269
はじめに
尿路感染症は,一般に尿中の微生物の定着と,腎から尿道に至る尿路系臓器組織の感染と定義される.一般的には細菌が多いが,酵母菌,真菌,クラミジアやウイルスも認めることがある.そのなかでも,表1に示されるようにクラミジア,ウレアプラズマ,トリコモナス,カンジダなどさまざまな微生物が尿路感染症の原因となる.
以下,特殊な微生物による尿路感染症について略記する.
2)尿路感染症の検査法
(1)採尿法と保存法
著者: 成田真奈美
ページ範囲:P.270 - P.271
尿路感染症の診断,治療において細菌尿の証明はもっとも重要である.ここでは,臨床的意義の高いデータを得るための採尿法,保存法および輸送法について述べる.
(2)尿沈渣成績と塗抹検査法
著者: 尾崎京子
ページ範囲:P.272 - P.273
はじめに
尿路感染症の診断は,Kassら1)が提唱したように,定量培養法による細菌尿の証明がもっとも重要である.しかし,多くの尿路感染症では膿尿が認められるし2),尿を染色鏡検して細菌がみられれば,細菌尿が強く示唆される.培養に先立ち,尿の生鮮標本や染色標本を直接鏡検することは,迅速に細菌尿を検出する方法としてきわめて有用である.
(3)培養法—a.一般細菌
著者: 畠山靖子
ページ範囲:P.274 - P.277
はじめに
現在,尿中細菌の定量培養は腎盂腎炎,膀胱炎,尿道炎などの尿路感染症,および無症候性細菌尿の診断に不可欠な検査である.
一般には,Kass1)の尿中細菌数≧105CFU/mlを原因菌とする考えが広く受け入れられている.Vincent2)の報告では,中間尿において,尿中細菌数が104CFU/ml以上検出された場合は汚染菌の混入の可能性が高く,105CFU/ml以上検出された場合は真の細菌尿と考え,104〜105CFU/mlのときは汚染菌の混入か真の細菌尿か不明であり,再検を要する.
(3)培養法—b.特殊な微生物
著者: 設楽政次 , 佐野純子
ページ範囲:P.278 - P.281
尿から検出される菌種は尿路感染症が単純性か複雑性かにより異なるが,グラム陰性桿菌では大腸菌,Klebsiella,Enterobacter,Proteusなどの腸内細菌や,Pseudomonas aeruginosaをはじめとするグルコース非発酵菌,グラム陽性球菌ではコアグラーゼ陰性ブドウ球菌,Enterococcus,真菌ではCandida albicansが検出されることが多い.これらの菌種は血液寒天培地,BTB培地またはCLED培地に好気培養で発育するため,日常細菌検査では多くの場合これらの培地が使用されている.また簡易培養法の一種であるディップスライド法もこれらの菌種を対象とした培地を組み合わせて使用している.
しかし,これらの培養条件で発育しないMycobacterium tuberculosisをはじめとする抗酸菌,嫌気性菌,Salmonella,Leptospiraや性感染症(STD)の原因菌であるNeisseria gonorrhoeae,Haemophilus,Gardnerella vaginalis,Mycoplasma,Ureaplasma urealyticum,Trichomonas vaginalis,Chlamydia trachomatis,Herpesvirus,Cytomegalovirusなども尿から検出される場合がある.
(4)薬剤感受性検査
著者: 熊坂一成
ページ範囲:P.282 - P.283
はじめに
薬剤感受性検査は臨床材料から分離された細菌が,どの薬剤に感受性があるか,あるいは耐性であるかをin vitroで推定できる方法である.しかし,この方法は細菌培養に時間がかかり,医師が抗菌剤の投与を決める初診時に,この検査情報は間に合わない.培養時間を短縮するために,尿を直接培地に接種する方法もあるが,この方法では,時に,原因菌の感受性が推定不能なことがある1).
また,ここ数年間,わが国の薬剤感受性検査の標準化の動きは,必ずしも臨床細菌検査の精度管理の現実にそぐわない面がある.
(5)検出菌の臨床的評価法
著者: 広瀬崇興
ページ範囲:P.284 - P.289
はじめに
尿路感染症(主に腎盂腎炎と膀胱炎)を大きく分類すると,基礎疾患(尿流停滞,尿路異物結石など)を有しない単純性尿路感染症と,基礎疾患を有する複雑性尿路感染症がある.これらの尿路感染症は,いうまでもなく治療をした場合の反応性(難治性)の違いもあるが,そのほかに起炎菌分布や複数菌による感染頻度にも大きな違いがある.また,単純性尿路感染症はほとんど発熱や排尿痛などの自覚症状を有する急性感染症であるのに対し,複雑性尿路感染症では,自覚症状が軽微である慢性感染症と,それが増悪して症状が出現する急性増悪症がある.さらに感染部位としては上部尿路感染症と下部尿路感染症,その両者にまたがった感染症があるが,これらの起炎菌には違いはほとんどない.
そこで本稿では,主に尿路感染症を単純性尿路感染症(I群),カテーテルを有しない複雑性尿路感染症(II群),カテーテルを有する複雑性尿路感染症(III群)の3つの病態群に分類して,それぞれの尿路感染症における起炎菌について臨床的に評価してみたい.
24.尿細胞診
(1)尿細胞診の臨床的意義
著者: 関根英明
ページ範囲:P.296 - P.297
尿細胞診の歴史と特殊性
今日,尿細胞診の臨床的有用性は広く認められているが,歴史的にみると,それは比較的最近の発展によるところが大きい.
近代尿細胞診の実質的幕開けはPapanicolaou and Marshall(1945)の報告によるといわれている.しかしながら,報告者によって尿細胞診の診断精度に大きな開きがあったことや,偽陽性率がかなり高かったことなどにより,その有用性はなかなか認められるに至らなかった.一方で,内視鏡や尿路造影法などの画像診断技術には急速な発展がみられ,尿細胞診は取り残される状況となっていた.
(2)検体処置と標本作製
著者: 平田守男
ページ範囲:P.298 - P.299
泌尿器細胞診の材料としては,自然尿のほかに膀胱洗浄液,カテーテル尿などが用いられるが,いずれの検体においても尿中の剥離細胞は形態的変化が著しいため,標本作製はすばやくなされなければならない.自然尿では30分以内,蛋白分解酵素使用の膀胱洗浄液では20分以内に塗抹固定しなければならない.
(3)スクリーニングの進めかた
著者: 西国広 , 藤利夫
ページ範囲:P.300 - P.301
はじめに
尿細胞診は,腎・尿路系(一部生殖器)における良性疾患(ウイルス感染症,結石症,腎炎,膀胱炎など)や悪性腫瘍(膀胱癌,尿管癌,腎癌,前立腺癌,横紋筋肉腫など)の診断のみならず,職業性膀胱癌の早期発見のためのマススクリーニングや,尿路系腫瘍再発の有無を知るためのフォローアップの手段としてもその有用性が高く評価されている.
上記疾患を詳細に鑑別診断するにあたっては,スクリーニングの進めかたおよび注意点を熟知することである.それにはまず,鏡検前に重要な情報として患者の性別,臨床所見,検体の種類(自然尿,カテーテル尿,洗浄尿など),標本作製手技(塗抹法,固定法,細胞の保存性,染色法など)の優劣などを知っていなければならない.そして,全視野をスクリーニングするとともに,個々の細胞ばかりでなく,細胞の相互関係,出現パターン,背景などの所見をすべて考慮し,観察する必要がある.
(4)判定の実際・1(良性を中心に)
著者: 田中文彦 , 瀬田章 , 石田剛
ページ範囲:P.302 - P.303
はじめに
尿細胞診が,尿路系悪性腫瘍のスクリーニングや治療効果判定,フォローアップに欠かせない検査になっていることは明らかであるが,どのような形態学的検査でも悪性に対応する良性の所見が取れなければ,検査の意味がない.本稿では,尿中に出現する正常細胞と若干の良性病変について記載する.
(5)判定の実際・2(良性・悪性境界を中心に)
著者: 三井邦洋 , 大須賀明子
ページ範囲:P.304 - P.306
はじめに
尿路に発生する腫瘍の大部分は移行上皮性腫瘍で,その多くは乳頭状に増殖する腫瘍であり,良性である乳頭腫と悪性である乳頭状癌がある.この腫瘍の良性,悪性の境界を考えると乳頭腫(G0)と分化型乳頭状癌(G1)の細胞像を論ずることになるが,現在ではこれら乳頭腫と分化型乳頭状癌の細胞形態的差異を定めるのは困難といわざるをえない.
また,非乳頭状移行上皮癌の前癌状態であろうと考えられている尿路上皮の異形成(dysplasia)についてもその研究は浅く,細胞形態学的にはほとんど確立されていないのが現状であり今後の研究課題である.
(6)判定の実際・3(悪性を中心に)
著者: 荒井祐司 , 都竹正文
ページ範囲:P.307 - P.309
泌尿器系悪性腫瘍は,移行上皮癌,扁平上皮癌,腺癌,非上皮性腫瘍などがあるが,尿細胞診検査において対象となる悪性腫瘍の多くは,膀胱や尿路系(腎盂,尿管)上皮由来の移行上皮癌である.この移行上皮癌は発育形態によって乳頭状と非乳頭状に分けられ,乳頭状腫瘍は細胞および構造の異型度でG1からG3までに分類(grade分類)されている.G1は細胞および構造の異型度がもっとも弱く,G3になるにしたがって強くなっていく.この異型度は予後と密接に関係するので,細胞診からも推定することは重要である.
一般的に泌尿器細胞診としては自然尿を用いることが多いが,自然剥離による細胞変性をきたすため細胞像のみでgrade分類をすることは必ずしも容易ではない.
(7)判定の実際・4(変性とアーチファクト)
著者: 提嶋眞人
ページ範囲:P.310 - P.311
尿細胞診の利点として,簡便に検査を繰り返すことが可能であり,苦痛を伴わず泌尿器系腫瘍の診断や治療後の経過観察に非常に適していることがあげられる.一方,上皮細胞は剥離後尿中にある時間浮遊するため浸透圧の影響を受けて変性しやすいといわれており,さらに炎症や治療などが加わると良性異型細胞や癌細胞の場合に特に良性・悪性の判定に迷うことが少なくない.また鑑別困難な病変(乳頭腫,移行上皮癌G1,過形成)に変性が加わった場合,鑑別はいっそう困難となる.
本稿では出現しうる変性細胞像について記述し,さらに判定するうえでのいくつかの留意点について述べ参考に供したい.
(8)尿細胞診における特殊検査
著者: 伊藤仁 , 長村義之
ページ範囲:P.312 - P.313
尿細胞診は,良性病変ではクラミジア,ヘルペスなどの感染症,癌では膀胱腫瘍をはじめ尿管,尿道,腎,前立腺などの腫瘍細胞およびその他の転移性腫瘍などが対象となる.出現しうる癌細胞は移行上皮癌,腺癌,扁平上皮癌などと多彩であるが,尿中で見られる悪性細胞のほとんどは移行上皮癌である.尿細胞診に応用されている特殊染色としては,PAS染色,アルシアン青染色や酵素抗体法などがある.PAS,アルシアン青は主として腺癌と移行上皮癌との鑑別に有用である.酵素抗体法は各種感染症の病原体の同定や癌の組織型および原発巣の推定などに応用される.
本稿では,種々の抗原の観察を可能にする酵素抗体法につき,その方法と細胞診への応用について述る.
(9)尿路系腫瘍の組織学的特徴
著者: 坂本穆彦
ページ範囲:P.314 - P.315
尿路系腫瘍の組織学的特徴としてまずあげられる点は,移行上皮癌の出現頻度の高さである.尿流にそって腎臓,尿管,膀胱,尿道と部位は変わっても,ほとんどは移行上皮で被覆されており,その内腔を尿は流れる.移行上皮由来の腫瘍のなかでもっとも多いものは移行上皮癌,次いで移行上皮乳頭腫である.病変発生部位としては膀胱が第1位を占める.
資料
尿沈渣検査の標準化—日本臨床衛生検査技師会 尿沈渣検査法
著者: 青木千鶴
ページ範囲:P.326 - P.327
尿沈渣にみられる有形成分の種類とその出現量を正確に精度よく把握することは,腎および尿路系の病変を知るうえできわめて有用であり,いわゆるスクリーニング検査として広く用いられている.しかしながら標本作製の手技,有形成分の分類法とその成績の記載法などは各施設がさまざまで,経験年数と技術の違いなどにもより技師間,施設間差が大きく,精度の向上を期して手法の統一化が求められてきた.
社団法人日本臨床衛生検査技師会一般検査研究班では,長年にわたり各種学会,研修会で論議を重ね研鑽に努めた.また,総合臨床検査精度管理事業の一環として,標準化部会へ尿沈渣標準法を提案した.その内容は,尿沈渣の標本作製法,尿沈渣成分の分類法,尿沈渣成績の記載法の3項に分かれている.初心者にも十分理解でき,施設の規模にかかわらず取り入れられる検査法の作成を目的に,今まで積み重ねられた技術の研鑽と標準化部会における討論をもとに,臨床病理学会をはじめ腎臓病学会,泌尿器科学会,小児科学会に指導とテキストの監修をお願いし,日臨技標準化事業として「日臨技尿沈渣検査法」をまとめた.その主な内容を以下に順次述べる.
尿生化学検査の基準値
著者: 奥村次郎
ページ範囲:P.328 - P.330
基準値設定の意義
尿中生化学成分は,代謝産物の最終排泄あるいは血中過剰物質の排泄といった性格のために,血中濃度のように,一定の狭い範囲に厳しく調節されるというものではなく,食事・服薬や運動の影響も受けやすいし,腎機能も大きく関与する.ゆえに,その正常範囲を設定することは非常に困難であり,項目によっては無意味な場合もありうる.また,正常範囲を設定しても,血中濃度の場合に比してその診断的意義が低いことも多い.
しかし,一方において,尿は非侵襲的に,容易に,大量にそしていつでも材料を採取できるという大きな特徴があり,ある物質が体内で過剰生産されているのか,停滞しているのか,あるいは喪失しているのかを判定する指標として,尿中濃度測定に意義のある場合もあり,臨床検査の現場では比較的検査依頼が多いので,決しておろそかにできない検査である.
測定に与える主な薬物の影響
著者: 林康之
ページ範囲:P.331 - P.332
尿検査への薬物の影響は偽陽性,偽陰性,判定不能の形で現れる.診療に与える影響からいえば,偽陰性がもっとも大きい.しかし,偽陰性は主治医のクレームがない限り発見不能なことを銘記すべきである.薬剤の影響が出現しやすい条件としては以下の事項があげられる.
1)特定薬物の大量与薬:例えば抗生物質,輸液.
2)蛋白結合率の小さい薬物:例えばペニシリン,色素類,ビタミン剤などで,服薬後2〜3時間尿中に濃縮されて排出される.
3)分析対象物質を薬物として与えたとき:ステロイドホルモンなど各種ホルモン,ブドウ糖,ビタミン剤など.
尿検査試験紙
著者: 永峰康孝
ページ範囲:P.332 - P.334
尿検査試験紙は,1956年にフリーとコーマーによって開発された酵素法による尿糖試験紙がその嚆矢である.以後,蛋白,ケトン体,潜血と項目が増加し,1960年代になると徐々に検査室に導入されるようになった.尿検査は患者に苦痛を与えない非侵襲性の検査であり,特に,試験紙法は簡便,迅速に情報を得ることができるため,臨床の場において,年々飛躍的に増加してきた.現在では,さらに開発改良が加えられ,表(次頁)に示すように,1枚の試験紙で最大10項目まで測定可能になった.
測定原理は,各社の表現法に若干の差異があるが,ほとんどの項目は同じ反応原理に基づいている.
話題
腎移植と尿検査
著者: 田辺一成 , 髙橋公太
ページ範囲:P.336 - P.337
シクロスポリンをはじめとした免疫抑制剤の進歩により腎移植の成績は飛躍的に向上している.これにともなってわが国でも腎移植を施行する施設が増加しており,移植患者の尿を検査することも多くなるものと思われる.
尿検査は腎移植後の検査のなかでも,もっとも重要な検査のひとつであるが,本稿では腎移植後の日常診療で尿検査がどのように利用されているのか簡単に述べることにする.
集団検尿
著者: 五十嵐すみ子
ページ範囲:P.337 - P.341
今日,日本においては各種の健康診断のなかで検尿が行われ,集団検尿を受ける対象人口は年々増加している.本人がまったく自覚していないのに偶然発見される異常尿が多い1,2).この異常尿のなかに腎尿路系に由来しているものがあり,集団検尿は腎疾患の早期発見,早期治療の成果をあげるために重要である.発見された症例の早期からのフォローアップは腎炎,ネフローゼの発症,進行防止に対する予測につながり,わが国における腎不全対策の推進に役立つと指摘されている.本稿では,全国で実施されている各種の集団検尿実施上の問題点と今後の展望について触れる.
尿検査の自動化 (1)定性検査
著者: 小泉文明
ページ範囲:P.342 - P.343
はじめに
尿の定性検査は従来,目視により判定されてきたが,近年各種の半自動ないしは全自動の機械が相次いで開発され実用化されている.以下,定性検査の自動化の現状について概説するとともに,データマネジメントも含めたシステム化についても一部触れることとする.
尿検査の自動化 (2)尿沈渣
著者: 柴田綾子 , 菊池春人
ページ範囲:P.344 - P.346
尿沈渣は,遠心分離・スライド作製など前処理が煩雑なため自動化が遅れていた.しかし,近年,アメリカで最初の尿沈渣自動分析装置として,YELLOW IRIS(YI)が開発された1).YIは,尿中有形成分を画像解析し,自動的に粗分類を行う装置で,遠心操作を必要としないため尿沈渣の作業の効率化がはかれる.しかし,画像は詳細な部分の鮮明さが不十分であったり,検出力の点で問題を残していた.
その後,YIの原理を利用した国内で最初の尿沈渣自動化装置UA-1000(東亜医用電子)が開発された結果2),鮮明な画像が得られるようになり,尿中有形成分の判定が容易になった.そこで,本稿では,以下UA-1000について,原理,操作手順,特徴,長所・短所と当検査室での検討成績を述べる.
尿検査の自動化 (3)細菌検査
著者: 常岡英弘
ページ範囲:P.347 - P.348
近年,臨床微生物検査部門においても,細菌尿スクリーニング,菌種の同定,薬剤感受性を中心に自動化が急速に進められている.細菌尿スクリーニング検査では,特に自動機器の導入による迅速化,省力化の効果が大きい.
検査室に提出される培養材料のうち,尿検体の占める割合は高いが,その多くは有意細菌陰性尿である.これを短時間にスクリーニングできれば,即座に陰性結果を臨床に報告できるとともに,陽性尿のみ効率よく検査を進めることができ,迅速化,省力化につながる.したがって,細菌尿スクリーニングの機器は陰性尿をいかに簡単に,正確かつ迅速に除外できるか,またランニングコストが安いかが要求される.
尿微生物検査をめぐって (1)尿培養における偽陽性,偽陰性
著者: 小濱康彦
ページ範囲:P.349 - P.351
はじめに
尿中細菌検査は,鏡検,定量培養,分離培養,同定,薬剤感受性試験が主な項目であり,尿中細菌の定量培養法は尿路感染症の診断,治療効果の判定にきわめて有用である.投与された抗菌剤の影響により血液培養が偽陰性(false negative)となることは日常よく知られている.そこで,尿中細菌培養に与える抗菌剤の影響について検討を行った.
尿微生物検査をめぐって (2)UTI診断基準
著者: 岡田敬司 , 稲土博右
ページ範囲:P.352 - P.353
非特異的尿路感染症は症状から急性と慢性に,また基礎疾患の有無により単純性と複雑性に分けられており,感染部位により腎盂腎炎,膀胱炎に分けられる(表1).
尿路ではあるが,尿道炎はSTD(性感染症;sexually transmitted diseases)あるいは性器感染症で扱われる.これは原因微生物,診断法が異なるためもある.同様に前立腺炎も診断法が多少異なるので,急性細菌性前立腺炎が膀胱炎を併発するとはいえ,性器感染症に入れることが多い.
基本情報
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49巻12号(2021年12月発行)
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49巻11号(2021年11月発行)
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49巻10号(2021年10月発行)
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49巻9号(2021年9月発行)
増刊号 病態別 腹部エコーの観察・記録・報告書作成マスター
49巻8号(2021年8月発行)
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49巻7号(2021年7月発行)
技術講座 生理
49巻6号(2021年6月発行)
技術講座 生理
49巻5号(2021年5月発行)
技術講座 生理
49巻4号(2021年4月発行)
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41巻11号(2013年10月発行)
技術講座 生化学
41巻10号(2013年9月発行)
増刊号 解剖と正常像がわかる! エコーの撮り方完全マスター
41巻9号(2013年9月発行)
技術講座 微生物
41巻8号(2013年8月発行)
技術講座 生理
41巻7号(2013年7月発行)
技術講座 生理
41巻6号(2013年6月発行)
技術講座 微生物
41巻5号(2013年5月発行)
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40巻10号(2012年9月発行)
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40巻9号(2012年9月発行)
技術講座 生理
40巻8号(2012年8月発行)
技術講座 細胞診
40巻7号(2012年7月発行)
技術講座 生理
40巻6号(2012年6月発行)
技術講座 生理
40巻5号(2012年5月発行)
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40巻4号(2012年4月発行)
技術講座 血液
40巻3号(2012年3月発行)
技術講座 生理
40巻2号(2012年2月発行)
技術講座 輸血
40巻1号(2012年1月発行)
技術講座 遺伝子
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疾患と検査値の推移
39巻10号(2011年9月発行)
増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典
39巻9号(2011年9月発行)
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38巻10号(2010年9月発行)
増刊号 免疫反応と臨床検査2010
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37巻10号(2009年9月発行)
増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
37巻9号(2009年9月発行)
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30巻5号(2002年5月発行)
技術講座 微生物
30巻4号(2002年4月発行)
技術講座 一般
30巻3号(2002年3月発行)
技術講座 生化学
30巻2号(2002年2月発行)
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30巻1号(2002年1月発行)
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29巻9号(2001年8月発行)
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29巻8号(2001年7月発行)
技術講座 生理
29巻7号(2001年6月発行)
増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
29巻6号(2001年6月発行)
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29巻5号(2001年5月発行)
技術講座 生理
29巻4号(2001年4月発行)
技術講座 病理
29巻3号(2001年3月発行)
技術講座 微生物
29巻2号(2001年2月発行)
技術講座 微生物
29巻1号(2001年1月発行)
技術講座 一般
28巻13号(2000年12月発行)
技術講座 病理
28巻12号(2000年11月発行)
技術講座 病理
28巻11号(2000年10月発行)
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技術講座 微生物
28巻8号(2000年7月発行)
技術講座 生理
28巻7号(2000年6月発行)
増刊号 血液検査実践マニュアル
28巻6号(2000年6月発行)
技術講座 免疫
28巻5号(2000年5月発行)
技術講座 血液
28巻4号(2000年4月発行)
技術講座 一般
28巻3号(2000年3月発行)
技術講座 生理
28巻2号(2000年2月発行)
技術講座 生化学
28巻1号(2000年1月発行)
技術講座 一般
27巻13号(1999年12月発行)
技術講座 病理
27巻12号(1999年11月発行)
技術講座 一般
27巻11号(1999年10月発行)
技術講座 生化学
27巻10号(1999年9月発行)
技術講座 免疫
27巻9号(1999年8月発行)
技術講座 病理
27巻8号(1999年7月発行)
技術講座 病理
27巻7号(1999年6月発行)
増刊号 緊急検査実践マニュアル
27巻6号(1999年6月発行)
技術講座 生化学
27巻5号(1999年5月発行)
技術講座 血液
27巻4号(1999年4月発行)
技術講座 一般
27巻3号(1999年3月発行)
技術講座 生理
27巻2号(1999年2月発行)
技術講座 微生物
27巻1号(1999年1月発行)
技術講座 生理
26巻13号(1998年12月発行)
技術講座 一般
26巻12号(1998年11月発行)
技術講座 病理
26巻11号(1998年10月発行)
技術講座 病理
26巻10号(1998年9月発行)
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26巻9号(1998年8月発行)
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26巻8号(1998年7月発行)
技術講座 生理
26巻7号(1998年6月発行)
増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
26巻6号(1998年6月発行)
技術講座 病理
26巻5号(1998年5月発行)
技術講座 一般
26巻4号(1998年4月発行)
技術講座 病理
26巻3号(1998年3月発行)
技術講座 一般
26巻2号(1998年2月発行)
技術講座 生理
26巻1号(1998年1月発行)
技術講座 血液
25巻13号(1997年12月発行)
技術講座 一般
25巻12号(1997年11月発行)
技術講座 一般
25巻11号(1997年10月発行)
技術講座 生理
25巻10号(1997年9月発行)
技術講座 血液
25巻9号(1997年8月発行)
技術講座 一般
25巻8号(1997年7月発行)
技術講座 一般
25巻7号(1997年6月発行)
増刊号 輸血検査実践マニュアル
25巻6号(1997年6月発行)
技術講座 免疫
25巻5号(1997年5月発行)
技術講座 生理
25巻4号(1997年4月発行)
技術講座 生理
25巻3号(1997年3月発行)
技術講座 微生物
25巻2号(1997年2月発行)
技術講座 生理
25巻1号(1997年1月発行)
技術講座 一般
24巻13号(1996年12月発行)
技術講座 生理
24巻12号(1996年11月発行)
技術講座 一般
24巻11号(1996年10月発行)
技術講座 生理
24巻10号(1996年9月発行)
技術講座 管理
24巻9号(1996年8月発行)
技術講座 生理
24巻8号(1996年7月発行)
技術講座 生理
24巻7号(1996年6月発行)
増刊号 感染症検査実践マニュアル
24巻6号(1996年6月発行)
技術講座 病理
24巻5号(1996年5月発行)
技術講座 生理
24巻4号(1996年4月発行)
技術講座 生理
24巻3号(1996年3月発行)
技術講座 生理
24巻2号(1996年2月発行)
技術講座 生理
24巻1号(1996年1月発行)
技術講座 一般
23巻13号(1995年12月発行)
技術講座 生理
23巻12号(1995年11月発行)
技術講座 病理
23巻11号(1995年10月発行)
技術講座 微生物
23巻10号(1995年9月発行)
技術講座 生理
23巻9号(1995年8月発行)
技術講座 一般
23巻8号(1995年7月発行)
技術講座 免疫
23巻7号(1995年6月発行)
技術講座 生理
23巻6号(1995年5月発行)
技術講座 一般
23巻5号(1995年4月発行)
増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
23巻4号(1995年4月発行)
技術講座 病理
23巻3号(1995年3月発行)
技術講座 病理
23巻2号(1995年2月発行)
技術講座 一般
23巻1号(1995年1月発行)
技術講座 生理
22巻13号(1994年12月発行)
技術講座 一般
22巻12号(1994年11月発行)
技術講座 一般
22巻11号(1994年10月発行)
技術講座 一般
22巻10号(1994年9月発行)
技術講座 一般
22巻9号(1994年8月発行)
技術講座 生理
22巻8号(1994年7月発行)
技術講座 病理
22巻7号(1994年6月発行)
技術講座 一般
22巻6号(1994年5月発行)
技術講座 一般
22巻5号(1994年4月発行)
増刊号 免疫検査実践マニュアル
22巻4号(1994年4月発行)
技術講座 生理
22巻3号(1994年3月発行)
技術講座 免疫
22巻2号(1994年2月発行)
技術講座 一般
22巻1号(1994年1月発行)
技術講座 生理
21巻13号(1993年12月発行)
技術講座 一般
21巻12号(1993年11月発行)
技術講座 一般
21巻11号(1993年10月発行)
技術講座 一般
21巻10号(1993年9月発行)
技術講座 生理
21巻9号(1993年8月発行)
技術講座 一般
21巻8号(1993年7月発行)
技術講座 病理
21巻7号(1993年6月発行)
技術講座 一般
21巻6号(1993年5月発行)
技術講座 生理
21巻5号(1993年4月発行)
増刊号 臨床化学実践マニュアル
21巻4号(1993年4月発行)
技術講座 生理
21巻3号(1993年3月発行)
技術講座 病理
21巻2号(1993年2月発行)
技術講座 生理
21巻1号(1993年1月発行)
技術講座 生理
20巻13号(1992年12月発行)
技術講座 一般
20巻12号(1992年11月発行)
技術講座 一般
20巻11号(1992年10月発行)
技術講座 一般
20巻10号(1992年9月発行)
技術講座 一般
20巻9号(1992年8月発行)
技術講座 一般
20巻8号(1992年7月発行)
技術講座 血液
20巻7号(1992年6月発行)
技術講座 一般
20巻6号(1992年5月発行)
増刊号 尿検査法
20巻5号(1992年5月発行)
技術講座 生理
20巻4号(1992年4月発行)
技術講座 生理
20巻3号(1992年3月発行)
技術講座 病理
20巻2号(1992年2月発行)
技術講座 一般
20巻1号(1992年1月発行)
技術講座 生理
19巻13号(1991年12月発行)
技術講座 管理
19巻12号(1991年11月発行)
技術講座 生理
19巻11号(1991年10月発行)
技術講座 生理
19巻10号(1991年9月発行)
技術講座 一般
19巻9号(1991年8月発行)
技術講座 一般
19巻8号(1991年7月発行)
技術講座 生理
19巻7号(1991年6月発行)
増刊号 臨床血液検査
19巻6号(1991年6月発行)
技術講座 生理
19巻5号(1991年5月発行)
技術講座 生理
19巻4号(1991年4月発行)
技術講座 一般
19巻3号(1991年3月発行)
技術講座 生理
19巻2号(1991年2月発行)
技術講座 生理
19巻1号(1991年1月発行)
技術講座 一般
18巻13号(1990年12月発行)
技術講座 生理
18巻12号(1990年11月発行)
技術講座 微生物
18巻11号(1990年10月発行)
技術講座 生理
18巻10号(1990年9月発行)
技術講座 一般
18巻9号(1990年8月発行)
技術講座 一般
18巻8号(1990年7月発行)
技術講座 一般
18巻7号(1990年6月発行)
技術講座 一般
18巻6号(1990年5月発行)
増刊号 血液・尿以外の体液検査法
18巻5号(1990年5月発行)
技術講座 一般
18巻4号(1990年4月発行)
技術講座 一般
18巻3号(1990年3月発行)
技術講座 血液
18巻2号(1990年2月発行)
技術講座 生理
18巻1号(1990年1月発行)
技術講座 生理
17巻13号(1989年12月発行)
技術講座 一般
17巻12号(1989年11月発行)
技術講座 一般
17巻11号(1989年10月発行)
技術講座 一般
17巻10号(1989年9月発行)
技術講座 一般
17巻9号(1989年8月発行)
技術講座 生理
17巻8号(1989年7月発行)
技術講座 血清
17巻7号(1989年6月発行)
技術講座 一般
17巻6号(1989年5月発行)
感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
17巻5号(1989年5月発行)
技術講座 一般
17巻4号(1989年4月発行)
技術講座 生理
17巻3号(1989年3月発行)
技術講座 病理
17巻2号(1989年2月発行)
技術講座 一般
17巻1号(1989年1月発行)
技術講座 生理
16巻13号(1988年12月発行)
技術講座 一般
16巻12号(1988年11月発行)
技術講座 一般
16巻11号(1988年10月発行)
技術講座 一般
16巻10号(1988年9月発行)
技術講座 生理
16巻9号(1988年8月発行)
技術講座 一般
16巻8号(1988年7月発行)
技術講座 一般
16巻7号(1988年6月発行)
免疫化学検査法 資料
16巻6号(1988年6月発行)
技術講座 一般
16巻5号(1988年5月発行)
技術講座 一般
16巻4号(1988年4月発行)
技術講座 病理
16巻3号(1988年3月発行)
技術講座 生理
16巻2号(1988年2月発行)
技術講座 一般
16巻1号(1988年1月発行)
技術講座 血液
15巻13号(1987年12月発行)
技術講座 一般
15巻12号(1987年11月発行)
技術講座 病理
15巻11号(1987年10月発行)
技術講座 細胞診
15巻10号(1987年9月発行)
技術講座 一般
15巻9号(1987年8月発行)
技術講座 細胞診
15巻8号(1987年7月発行)
技術講座 病理
15巻7号(1987年6月発行)
技術講座 病理
15巻6号(1987年5月発行)
技術講座 病理
15巻5号(1987年4月発行)
臨床生理検査と技術 座談会
15巻4号(1987年4月発行)
技術講座 生理
15巻3号(1987年3月発行)
技術講座 血液
15巻2号(1987年2月発行)
技術講座 一般
15巻1号(1987年1月発行)
技術講座 病理
14巻13号(1986年12月発行)
技術講座 一般
14巻12号(1986年11月発行)
技術講座 病理
14巻11号(1986年10月発行)
技術講座 血清
14巻10号(1986年9月発行)
技術講座 血清
14巻9号(1986年8月発行)
技術講座 生理
14巻8号(1986年7月発行)
技術講座 血清
14巻7号(1986年6月発行)
技術講座 病理
14巻6号(1986年5月発行)
技術講座 生理
14巻5号(1986年4月発行)
形態学的検査と技術 血液と病理
14巻4号(1986年4月発行)
技術講座 病理
14巻3号(1986年3月発行)
技術講座 細菌
14巻2号(1986年2月発行)
技術講座 病理
14巻1号(1986年1月発行)
技術講座 細菌
13巻12号(1985年12月発行)
技術講座 病理
13巻11号(1985年11月発行)
技術講座 病理
13巻10号(1985年10月発行)
技術講座 生理
13巻9号(1985年9月発行)
技術講座 病理
13巻8号(1985年8月発行)
技術講座 病理
13巻7号(1985年7月発行)
技術講座 血液
13巻6号(1985年6月発行)
技術講座 一般
13巻5号(1985年5月発行)
技術講座 病理
13巻4号(1985年4月発行)
技術講座 一般
13巻3号(1985年3月発行)
技術講座 血液
13巻2号(1985年2月発行)
技術講座 一般
13巻1号(1985年1月発行)
技術講座 血液
12巻12号(1984年12月発行)
技術講座 血液
12巻11号(1984年11月発行)
技術講座 病理
12巻10号(1984年10月発行)
技術講座 輸血
12巻9号(1984年9月発行)
技術講座 一般
12巻8号(1984年8月発行)
技術講座 細菌
12巻7号(1984年7月発行)
技術講座 細菌
12巻6号(1984年6月発行)
技術講座 生理
12巻5号(1984年5月発行)
技術講座 一般
12巻4号(1984年4月発行)
技術講座 病理
12巻3号(1984年3月発行)
技術講座 血液
12巻2号(1984年2月発行)
技術講座 一般
12巻1号(1983年12月発行)
技術講座 血清
11巻12号(1983年12月発行)
技術講座 一般
11巻11号(1983年11月発行)
技術講座 細菌
11巻10号(1983年10月発行)
技術講座 細胞診
11巻9号(1983年9月発行)
技術講座 一般
11巻8号(1983年8月発行)
技術講座 血清
11巻7号(1983年7月発行)
技術講座 細菌
11巻6号(1983年6月発行)
技術講座 一般
11巻5号(1983年5月発行)
技術講座 病理
11巻4号(1983年4月発行)
技術講座 一般
11巻3号(1983年3月発行)
技術講座 血液
11巻2号(1983年2月発行)
技術講座 一般
11巻1号(1983年1月発行)
技術講座 血液
10巻12号(1982年12月発行)
技術講座 一般
10巻11号(1982年11月発行)
技術講座 生理
10巻10号(1982年10月発行)
技術講座 血清
10巻9号(1982年9月発行)
技術講座 細菌
10巻8号(1982年8月発行)
技術講座 一般
10巻7号(1982年7月発行)
技術講座 病理
10巻6号(1982年6月発行)
技術講座 細菌
10巻5号(1982年5月発行)
技術講座 病理
10巻4号(1982年4月発行)
技術講座 血清
10巻3号(1982年3月発行)
技術講座 生化学
10巻2号(1982年2月発行)
技術講座 病理
10巻1号(1982年1月発行)
技術講座 生化学
9巻12号(1981年12月発行)
技術講座 細菌
9巻11号(1981年11月発行)
技術講座 生理
9巻10号(1981年10月発行)
技術講座 一般
9巻9号(1981年9月発行)
技術講座 血清
9巻8号(1981年8月発行)
技術講座 血清
9巻7号(1981年7月発行)
技術講座 生理
9巻6号(1981年6月発行)
技術講座 細菌
9巻5号(1981年5月発行)
技術講座 一般
9巻4号(1981年4月発行)
技術講座 一般
9巻3号(1981年3月発行)
技術講座 血清
9巻2号(1981年2月発行)
技術講座 一般
9巻1号(1981年1月発行)
技術講座 生化学
8巻12号(1980年12月発行)
技術講座 一般
8巻11号(1980年11月発行)
技術講座 生理
8巻10号(1980年10月発行)
技術講座 検体の取り扱いと保存
8巻9号(1980年9月発行)
技術講座 病理
8巻8号(1980年8月発行)
技術講座 生化学
8巻7号(1980年7月発行)
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8巻6号(1980年6月発行)
技術講座 生理
8巻5号(1980年5月発行)
技術講座 生化学
8巻4号(1980年4月発行)
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8巻3号(1980年3月発行)
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8巻2号(1980年2月発行)
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7巻12号(1979年12月発行)
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7巻10号(1979年10月発行)
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7巻9号(1979年9月発行)
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7巻7号(1979年7月発行)
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7巻6号(1979年6月発行)
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7巻4号(1979年4月発行)
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6巻9号(1978年9月発行)
技術講座 細菌
6巻8号(1978年8月発行)
技術講座 生化学
6巻7号(1978年7月発行)
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6巻6号(1978年6月発行)
技術講座 病理
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6巻4号(1978年4月発行)
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6巻3号(1978年3月発行)
技術講座 病理
6巻2号(1978年2月発行)
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技術講座 病理
5巻12号(1977年12月発行)
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技術講座 細菌付録
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5巻4号(1977年4月発行)
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4巻9号(1976年9月発行)
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4巻8号(1976年8月発行)
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4巻7号(1976年7月発行)
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4巻6号(1976年6月発行)
技術講座 一般
4巻5号(1976年5月発行)
技術講座 一般
4巻4号(1976年4月発行)
技術講座 一般
4巻3号(1976年3月発行)
技術講座 一般
4巻2号(1976年2月発行)
技術講座 一般
4巻1号(1976年1月発行)
技術講座 一般
3巻12号(1975年12月発行)
技術講座 一般
3巻11号(1975年11月発行)
技術講座 一般
3巻10号(1975年10月発行)
技術講座 一般
3巻9号(1975年9月発行)
技術講座 一般
3巻7号(1975年8月発行)
特集 必修 日常検査の実技
3巻6号(1975年6月発行)
技術講座 生理
3巻5号(1975年5月発行)
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3巻4号(1975年4月発行)
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3巻3号(1975年3月発行)
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3巻2号(1975年2月発行)
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3巻1号(1975年1月発行)
技術講座 一般