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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術21巻6号

1993年05月発行

雑誌目次

病気のはなし

C型肝炎

著者: 中尾國明 ,   岩田滉一郎 ,   金井弘一

ページ範囲:P.388 - P.392

サマリー
 1989年にC型肝炎ウイルス抗体(HCV抗体)の検査法が実用化されて以来,今まで非A非B型とされていた肝炎のほとんどがC型肝炎であったと判明した.C型肝炎に血液を介して感染する.以前は輸血後肝炎の95%はC型肝炎であったが,HCV抗体検査の採用により輸血後C型肝炎の発症は激減している.C型肝炎の臨床経過はA型,B型肝炎とは異なり,急性肝炎が鎮静化せず,慢性肝炎に移行する率が高い.C型慢性肝炎患者の約50%に輸血歴がある.慢性肝炎の活動性が強いまま持続すると肝硬変に移行し,高頻度に肝細胞癌を合併してくる.これまで対症的にしか対応できなかったC型急性肝炎,慢性肝炎に対し,ウイルスを排除する目的でインターフェロン療法が導入され奏功している.しかし,慢性活動性肝炎での最終的な有効率はまだ40%程度である.肝細胞癌に対する治療法には肝動脈塞栓術,腫瘍へのエタノール注入療法など独特なものがあり,また手術技術の進歩により,根治的な肝切除術も広く行われるようになった.

検査法の基礎

MRSAスクリーニング培地とその使用法

著者: 林智恵子 ,   菅原和行 ,   賀来満夫

ページ範囲:P.393 - P.399

サマリー
 MRSAスクリーニング培地には直接法と間接法の2とおりがあり,いずれの方法においてもMRSA検出用抗菌薬としては主にオキサシリン,セフチゾキシムが用いられ,薬剤耐性度を確実にとらえるために4〜7%のNaClが添加されている.直接法にはS.aureusの性状検出成分や選択剤などが加えられMDRS寒天培地,MRSA SELECTIVE AGARなどがあり,また間接法にはMRSAスクリーン寒天培地やMS寒天培地などがある.しかし,これら諸種の添加物質は,逆にMRSA自身の発育遅延や性状欠損の誘発などの問題点を提起している.このためMRSAスクリーニング培地は使用目的,培地組成,機能性を十分に熟知して正しく使用することが重要である.

心電図検査で使用する電極の特性

著者: 加納隆

ページ範囲:P.401 - P.406

サマリー
 心電図測定用の電極には標準12誘導用電極以外にも,さまざまな種類のディスポーザブル電極が市販され使用されている.本稿では,電極の基本的な特性である電極接触インピーダンスと分極電圧に関して,その意味と測定への影響について解説すると同時に,各種電極の構造や材質の違いによる特徴についても考えてみる.さらに,電極を適正に使用しなかったことによるトラブルについても紹介する.

技術講座 生化学

1,5アンヒドログルシトール(1,5AG)

著者: 山内俊一

ページ範囲:P.407 - P.412

サマリー
 1,5アンヒドログルシトール(1,5AG)は,1991年7月より保険採用となった新しい血糖指標で,グルコース類似の構造を持つ生体内最大のポリオールである.1,5AGは血糖変動を受けてリアルタイムに変化するため,直近の血糖状況をより強く反映する.またその変化は鋭敏かつ解析的である.したがって短期間の治療効果や血糖の流れを迅速に知ることもできる.軽度高血糖領域に強く,合併症予防の見地から厳格な血糖コントロールが志向されている時代の要求に合致した指標である.測定はグルコースの影響を受けやすいため困難であったが,近年簡便な測定キットが開発され,大量ルーチン測定化への道が開けた.

免疫

免疫複合体

著者: 安倍正博 ,   小阪昌明

ページ範囲:P.413 - P.417

サマリー
 血中免疫複合体(IC)は抗原抗体反応によって生じる産物で,補体の活性化および貪食細胞やリンパ球を介する多彩な免疫反応を惹起し,組織を損傷する作用を持っている.多数のIC測定法があるが,近年は感度が高く,精度の良いキットが普及している.今回,頻用されているClq固相法、抗Clq抗体法,抗C3d抗体法,モノクローナルリウマチ因子法およびRaji細胞法の測定原理を解説し,それらの特徴と問題点を述べた.いずれの方法も多様性に富んだICの一部分のみを認識して測定しており,測定値の解釈には注意が必要である.現時点では測定原理の異なる複数の方法でICを測定し,その臨床的意義を評価するのがよい.

微生物

細菌検査における検体の輸送と保存

著者: 西山泰暢 ,   清水聖一

ページ範囲:P.419 - P.424

サマリー
 臨床細菌検査において,培養前の検査材料の管理は大変重要なことである.材料の保存・輸送が不適切であると,材料中の常在菌が増殖してあたかも病原菌のような状態を示すことがある.また,逆に病原細菌が減少,あるいは死滅しているような場合もある.材料の保存・輸送は,材料に適した輸送容器と,検査目的に合った保存培地を使用するとともに,乾燥,温度,酸素や化学物質などの影響を考慮した保存・輸送法が必要である.

生理

目で見る不整脈—[2]徐脈性不整脈

著者: 谷川直

ページ範囲:P.425 - P.432

サマリー
 徐脈をきたす不整脈には房室ブロック,洞機能不全症候群などがある.II度,III度の房室ブロックや長い洞停止はペースメーカー植め込みの適応を考えるうえで重要であり,いずれの不整脈もP波を正確に認識することが基本で,長いRR間隔をみたら,P波がどこにあるのか,QRS波との関係は一定であるのか判断が必要である.

マスターしよう検査技術

モニタ心電図導出法

著者: 白井康之

ページ範囲:P.437 - P.441

はじめに
 モニタ(monitor)とは本来,警告をする人のことである.医療においては長時間にわたって信号を監視し,その結果を判断して警報あるいはなんらかの情報を人にもたらす方法,あるいはそのための装置としてモニタという用語が使用されている.
 心電図をモニタする目的は多様で,それぞれ導出法も異なってくる.心電図波形から考えると,主に心筋虚血を監視するためのモニタと不整脈を監視するモニタに分けられる.患者の状態から考えると,ほぼ正常でスクリーニングのためのもの(例えばホルター心電図),心機能評価や心疾患の予後判定のために運動負荷をかけながら行うもの(例えばトレッドミル運動負荷心電図など),重症心疾患患者の異常を早期に発見するためのもの(例えば心電図テレメータによるモニタ)などに分けられる.

生体のメカニズム 脂質代謝・5

LDLレセプターとスカベンジャーレセプター—その機能と検査

著者: 福生吉裕

ページ範囲:P.449 - P.456

はじめに
 動脈硬化発症進展にとってコレステロール(LDL)を取り込むレセプターの働きは重要である.動脈硬化の主なリスクファクターである高コレステロール血症はLDLを細胞内へ取り込むレセプター側の異常により生じる場合が多い.一方,変性したLDLを取り込みマクロファージの泡沫化を促進するのはスカベンジャーレセプターである.
 まずはじめに発見されたLDLレセプターはほとんどの細胞表面に存在し,LDLを取り込み血中のコレステロールをその数と機能で調節していることが知られている.このLDLレセプターの数が減少したり,取り込み機能に障害が生じると高コレステロール血症(家族性高コレステロール血症familial hypercholesterolemia;FH)が生じる.次に,実際の粥状動脈硬化巣の初期像においては,リポ蛋白由来のコレステロールを大量に取り込んだ泡沫細胞が内膜平滑筋細胞間に存在している.そのほとんどは単球由来のマクロファージより構成されており,しかもこのマクロファージはLDLレセプターを発現させずに変性したLDLを認識して取り込む,もう1つのレセプターを発現させている.これをスカベンジャーレセプターという.今回はこの2つのレセプターを中心にその意義と検査のしかたについて述べる.

検査データを考える

FDP

著者: 遠藤武 ,   久米章司

ページ範囲:P.457 - P.462

はじめに
 血管内における血液の流動性に関する最近の知見は,血管壁・血小板・凝固線溶系の相互作用により巧みにコントロールされていることを示しており,これらの機能の破綻は出血傾向や血栓傾向を生ずることになる.
 血管内では血液は固まることなく流れているが,血管壁の損傷などで凝固系が活性化されると止血血栓が形成される.血液凝固過程はフィブリノゲンのフィブリン転化で終わるが,血栓のできた状態が長期間続くことは生体にとって必ずしも都合のよいことではなく,血栓溶解機構が同時に働き,合目的的に血栓の溶解(線溶現象)が起こる.

講座 英語論文を読む・29

無症候性B型肝炎ウイルス表面抗原キャリアの自然経過

著者: 弘田明成

ページ範囲:P.442 - P.443

 目的:肝機能検査が正常であるB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)キャリアにおける生存率,重症肝臓疾患や肝癌の発症に関しての長期的予後を評価するため.
 方法:平均追跡期間130か月のコホート調査を用いた.

検査ファイル

ニューロコンピュータ

著者: 岸真司

ページ範囲:P.444 - P.445

[1]定義
 「脳の基本素子ニューロン(neuron;神経細胞)やそれらが結合したニューラルネットワーク(neural network;神経回路網)の構造や情報処理メカニズムにヒントを得て,脳の持つ優れた情報処理能力の,人工的実現を目指すコンピュータ」というのが,合原によるニューラルコンピュータ(neural computers)の定義である.しかし,ニューロコンピュータについて明確に定義している成書は意外に少なく,その概念が研究者の立場によって一定でないことの反映と思われる.
 臨床医学では,たとえそれが脳の情報処理機構の厳密な意味でのモデルではなくても,役に立つ道具であれば積極的に利用しようという応用の立場からニューロコンピュータをとらえることが多い.したがって本稿では,「単純化された神経回路網の動作を従来のデジタルコンピュータ上のソフトウェアでシミュレートしたもの」としてニューロコンピュータを扱う.

グリコペプタイド系抗生剤

著者: 小林芳夫

ページ範囲:P.446 - P.446

 アクチノマイセタレス目を生産菌とする本系統の抗生物質で,現在入手可能な薬剤はリストセチンとバンコマイシンである.しかしリストセチンにはヒトの血小板を凝集させる作用があり,抗生剤として人体に投与はされていない.ただしvon Willebrand病患者の血小板はリストセチンによる凝集が,そうでない人の血小板の凝集より悪いという事実が発見されて以後,この性質を利用して本疾患の診断薬として使用されている.
 一方,バンコマイシンは現在本系統唯一の抗生剤として広く使用されている.本剤の抗菌スペクトルの特徴を一口でいえばグラム陽性菌にのみ抗菌力を有し,グラム陰性菌には抗菌力を有さない狭域抗生剤であるということである.すなわちレンサ球菌属,ブドウ球菌属,腸球菌属およびクロストリジウム属に優れた抗菌力を有する.試験管内におけるその抗菌作用は殺菌的である.本邦における厚生省で許可された適応症ならびに適応菌種は以下のように非常に限られたものである.すなわち経口投与薬としてはクロストリジウムディフィシルによる偽膜性腸炎に,注射薬としてはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)感染症のみに適応が限定されている.

コントラスト心エコー図

著者: 吉田清 ,   吉川純一

ページ範囲:P.447 - P.447

 心臓カテーテル時,生理的食塩水やインドサイアニングリーン(indocyanine green)を心腔内に急速に注入すると雲状ないし粒状のエコーが出現する.このことを最初に報告したのはGramiakらであり,彼らはこの方法をコントラスト心エコー図法と名づけた.彼らはカテーテルを通して心腔内に生理的食塩水や5%デキストランなどを急速注入し,本法が心臓内各組織のエコー源の同定に役立つことを示した.その後,末梢静脈からこれらを注入してもコントラスト効果が得られることが判明し,急速な進歩を遂げた.まず,この末梢静脈コントラスト心エコー図法は先天性心疾患における構造異常や心臓内および心臓外短絡の評価に応用され,その有用性が確立した.最近では,肺の毛細血管を通過するコントラスト製剤(加熱したアルブミンでコーティングされたmicro bubble)が作られ,末梢静脈からの注入により左心系の造影が可能となっており,コントラスト心エコー図法は新たな展開を見せている.

ラボクイズ

問題:寄生虫

ページ範囲:P.434 - P.434

4月号の解答と解説

ページ範囲:P.435 - P.435

明日の検査技師に望む

求められる生涯教育

著者: 清瀬闊

ページ範囲:P.400 - P.400

 医学の進歩は著しいものがあるが,それは生物学,音響学,電磁学などの進歩によって広く支えられていることは間違いのないことである.もちろんCTもMRIもエコーもその一端を示すにすぎないし,HIVなどと騒がれるのも進歩あればこそのことである.
 私が医師になったころ,医師が尿検,血算,肝機能などを診療の片手間に行っていた.それが医師の宿命でもあるように思われており,この分野を他人の手に委ねるとは夢にも考えられないことであった.私は検査に興味があって,1952〜1953年ごろ蛋白分画を斉藤先生の方法でデュボスクの比色計を使って計ってみたところ,何とγ-グロブリン分画がマイナスになってしまったことがあった.私の測定技術が著しく悪いことを証明するものであった.もちろん比色計も悪かったことも事実であるが,つくづく検査を専門にやる人がほしいと思った.当時インターン生がその代わりのような仕事もしていたので,某先生に血算を依頼したところ,かなり多い白血球数であった.私はそれを信じたばかりに大恥をかいた記憶がある.そこで彼に聞きただしてみると,何とやみくもに答えたものであった.さらに問い詰めると,彼はやりかたをまったくというほど知らなかった.ニュートンリングの作りかたも,カウントのしかたも完全には知らなかった.学校でも教えていないので,金井さんの本を頼りに自分で勉強するより方法がなかった時代であった.

けんさアラカルト

ヒトの大脳半球の機能的,形態的非対称性の起源

著者: 小嶋祥三

ページ範囲:P.418 - P.418

 ヒトとその他の動物を分けるもの,それはなんだろうか.ヒトは二足で歩き,言葉を話し,道具を作り,使う.また,ヒトは利き手を持ち,巧みに模倣する動物でもある.このように考えてくると,ヒトを人間らしくしているものは,ヒトの大脳左半球であることに気がつく.すなわち,ヒトの利き手は右であり,主に左半球がその運動を制御している.左半球の言語関連領域が損傷されると,言葉を話したり理解することに障害が出てくる(失語症).観念失行や観念運動失行は道具(物品)使用や模倣などの高次運動機能の障害であるが,やはり左半球の損傷によって生ずる.ところで,これらヒトを特徴づけるものの萌芽が,チンパンジーなどの大型類人猿にみられることが最近明らかになってきた.
 このようにヒトの大脳半球の機能には左右差がみられるが,形態的にも左右で異なっていることがわかっている.ゲシュヴィントらは音声言語に関係する左の側頭平面が右よりも大きいことを報告し,広く認められるようになった.さて,脳の機能的,形態的非対称はヒト以外の霊長類にまでさかのぼることができるのだろうか.類人猿を含め,サルがヒトのように右利きであることを十分な根拠を持って示した論文はない.

トピックス

カテーテル感染

著者: 松野容子

ページ範囲:P.463 - P.464

はじめに
 カテーテル感染とは,生体内へのカテーテル留置によって引き起こされる局所および全身の感染症をいうが,単にカテーテルを介した外界からの菌の侵入ということにとどまらず,その発症に至る過程には,異物として存在するカテーテルを中心として,宿主および菌のさまざまな要素が複雑に関与しており,種々の原因による感染症の中でも独特な病像を呈する.また,カテーテル感染のうち,特に経中心静脈高カロリー輸液(intravenous hyperalimentation;IVH)のための挿入カテーテルによる感染症は,今日もなお5〜15%の発生頻度とされており1),IVHの施行対象の多くが重篤な基礎疾患を持つcompromised hostであり,施行が長期間に及びやすい点からも,今日大きな問題となっている.以下にIVHをはじめとする血管内留置カテーテル感染を中心に述べる.

蛋白と結合するDNA

著者: 西田淳二 ,   平井久丸

ページ範囲:P.464 - P.465

■蛋白からDNAへ
 転写調節領域など特定の塩基配列に結合する蛋白質を解析する方法はすでに確立されていて,ゲル移動度シフト法,サウスウェスタンブロッティング,UVクロスリンク法などが知られている.また結合蛋白質の遺伝子単離法としてDNAアフィニティーカラムによる配列特異的結合蛋白質の精製,サウスウェスタン法による発現スクリーニング,トランスフェクションによる発現スクリーニングなどが用いられている.しかし逆に蛋白質から結合DNAを知る必要性が生ずることがある.癌遺伝子や染色体切断点に存在する遺伝子,あるいは既知の遺伝子との相同性などDNA結合能以外の指標で単離されてきた遺伝子が,zinc fingerなどDNA結合蛋白質としての構造的特徴を有している場合,その蛋白質の認識する塩基配列と,結合する標的遺伝子を知ることは機能を解析するうえで必須のステップである.また既知の転写因子についても最適の認識配列を決定することは重要である.この問題に対し,近年二,三の方法が開発され成果を挙げているので紹介する.

レーザーサーミア

著者: 不破信和

ページ範囲:P.465 - P.467

■レーザーサーミアとは
 レーザーサーミアはレーザーとハイパーサーミアを合わせた造語であり,レーザーを用いた癌の温熱療法と理解してもらえればよい.従来のNd:YAGレーザー,CO2レーザーは非常に高温で組織を一瞬にして凝固,蒸散させる方法であるが,レーザーサーミアはもっと低い温度で広範囲を加温する方法で,同じレーザーといってもその作用機序はまったく異なる.レーザーサーミアの使用レーザーは,Nd:YAGレーザーであるが,従来用いられている出力より,はるかに低い2〜3Wという出力を用いる.Nd:YAGレーザー照射には組織とファイバー先端部(プローブという)を接触させる接触照射法と,接触させない非接触法とがある.レーザーサーミアにも両者の方法が可能であるが,現在広く用いられている方法は人工サファイアあるいはセラミックス製のプローブを組織内に刺入する接触照射法で,周囲組織にレーザーを拡散させることにより発熱させる.
 レーザーサーミアの歴史はまだ新しく,1983年Bown1)の穿刺型プローブを用いた実験が世界で初めてとされているが,臨床面では1985年頭頸部癌で昇2),1986年消化器癌で田尻ら3)が最初であり,わが国で臨床応用が進められたといってよいであろう.

けんさ質問箱

Q 緊急臨床検査士

著者: 早田繁雄 ,   S.H.

ページ範囲:P.468 - P.469

 検査室内の移動で緊急検査担当となりました.本誌で緊急臨床検査士があることを知りました.認定制度の内容や試験範囲などを教えてください.また,他院での緊急検査は専門としての人員配置がなされているのでしょうか.お教えください.

Q 腹部エコー肝のFNH

著者: 小林佐江子 ,   遠田栄一 ,   S.K.

ページ範囲:P.469 - P.470

 腹部エコーで,肝の肝細胞癌に似た所見で,FNH(限局性過形成)というのがあるようですが,①これは肝における疾患なのか,②HCCとの区別,③フォローはどのようにすべきか,についてご教示ください.

Q M蛋白の同定

著者: 大谷英樹 ,   K.K.

ページ範囲:P.470 - P.471

 M蛋白の同定でχ型とλ型に同定しますが,その意義について教えてください.

今月の表紙

肝細胞癌

著者: 星利良 ,   都竹正文 ,   坂本穆彦

ページ範囲:P.436 - P.436

 肝の悪性腫瘍は,原発性肝癌と転移性肝癌に分けられ,原発性肝癌は肝癌全体の10%の割合で認められる.
 原発性肝癌には,肝細胞由来の肝細胞癌(hepatocelluar carcinoma)と,胆管上皮由来の胆管細胞癌(cholangiocellular carcinoma)がある.このうち肝細胞癌は,わが国の全悪性腫瘍の6〜7%を占めており,好発年齢は,40〜60齢で男女比は2:1で,男性に多い.肝硬変(特に乙型)と密接な関連があり,肝癌の80%が肝硬変を伴っているといわれている.他臓器への転移が比較的少なく,また癌細胞は腹水中にも出現しにくい.肝内門脈枝の腫瘍塞栓は高頻度に認められ,これによる閉塞が起こると急激な門脈圧亢進症状を示す.検査所見では,GOT,アルカリホスファターゼ,γ-GTPなどが高値を示す.肝細胞癌の25%にHB抗原が陽性を示しているという報告もある.腫瘤は軟らかく,肉眼的には結節型・塊状型・びまん型の3型に分類される.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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