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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術22巻1号

1994年01月発行

雑誌目次

病気のはなし

パーキンソン病

著者: 神宝知行

ページ範囲:P.6 - P.10

サマリー
 パーキンソン病は生として50から60歳代に発病する変性疾患で,中脳黒質の変性とそれに基づく線条体のドーパミン濃度の低下を示す.原因は不明だがMPTP投与により同様の症状と病理変化が作られることから,なんらかの中毒である可能性が示唆されている.主な症状は振戦,筋固縮,無動,姿勢反射障害である.症状は一側から始まることが多く,病状の進行に伴って両側性となり,無動,姿勢反射障害による起立歩行障害が顕著になる.治療薬には,L-dopa,ドーパミン受容体賦活薬,塩酸アマンタジン,抗コリン薬,L-dopsがある.L-dopaが最も強力であるが,長期使用によりさまざまな問題が生ずる恐れがあるので初期から大量投与することは避ける.パーキンソン病と類似の病像を呈する他の疾患との鑑別に留意することが必要である.

検査法の基礎

パルスオキシメータ

著者: 鵜川貞二

ページ範囲:P.11 - P.16

サマリー
 パルスオキシメータは無侵襲かつ連続的に動脈血の酸素飽和度を測定する装置である.動脈血酸素飽和度を知ることは呼吸機能を評価するうえで重要である.
 パルスオキシメータは光電脈波を利用することによって,採血することなく動脈血酸素飽和度の測定を可能にした.
 動脈血酸素飽和度というパラメータの臨床上の有用性に加え,校正を必要としない操作の簡便さもあり,近年広く臨床の場で使用されている.

トロンボモジュリン測定法と臨床的意義

著者: 木崎景一郎 ,   石井秀美

ページ範囲:P.17 - P.22

サマリー
 トロンポモジュリン(thrombomodulin;TM)は,血管内皮細胞膜表面に存在する抗血栓性蛋白質である.近年TMは内皮細胞だけではなく,循環血漿中や尿中に低分子の分解物として存在することが明らかにされ,特に血漿中TMレベルの増加は内皮細胞障害を反映する分子マーカーとして注目を集めている.事実,全身性の血管障害を伴う糖尿病,全身性エリテマトーデス,播種性血管内凝固症候群などの疾患において血漿中のTM抗原量が高値を示す.今まで内皮細胞障害を反映する臨床検査的な指標はなかったが,血漿中のTM抗原量を測定することによって,内皮細胞障害の程度を推測し得るようになった.

技術講座 生化学

ドライケミストリーによる血清酵素活性値の正確さの合わせかた

著者: 白井秀明 ,   桑克彦

ページ範囲:P.25 - P.30

サマリー
 血清酵素活性測定値の基準は,常用基準法である.そしてすでに溶液法である自動分析による日常検査法は,この常用基準法に合わせられる.そこでドライケミストリーは,この溶液法に合わせればよい.
 こうして得られた校正係数は,項目ごとに固有の値となる,この校正係数を用いることで測定値の正確さが得られる.さらにこのときの許容限界は,基準範囲の上限付近で目標値±20%以内になる.

血液

骨髄像の読みかた—[3]間違いやすい細胞間の鑑別

著者: 八幡義人

ページ範囲:P.31 - P.37

サマリー
 骨髄像を読む際に,各血液細胞の分類に時として苦慮することがある.そこで,間違いやすい細胞間の鑑別を,(Ⅰ)鑑別しやすい細胞群,(Ⅱ)小型細胞群,(Ⅲ)中型細胞群,(Ⅳ)芽球群,(Ⅴ)大型細胞群,に各々分けて,その鑑別上でたいせつな点を述べる.

生理

腹部の超音波の見かた—[1]肝臓,脾臓

著者: 土肥美智子 ,   辻本文雄

ページ範囲:P.38 - P.47

サマリー
 腹部の超音波像の見かたとして,まず肝臓と脾臓についてその基本的な超音波解剖,走査法,正常像および疾患について説明した,実際の超音波画像を呈示し,その理解を助けるためにシェーマを付加し,特徴的所見を述べた.

マスターしよう検査技術

エッペンドルフ型マイクロピペットの使いかた

著者: 柳澤勉

ページ範囲:P.51 - P.59

はじめに
 臨床化学分析をはじめ,臨床検査では種々の液体の生体試料を定量的に採取することが多い.この際,試料間で相互の汚染もなく衛生的に扱うことができて,容量が正確に,かつ再現性よく迅速に採取できる器具として,押しボタン式マイクロピペットがよく用いられる.気密なシリンダー内をピストンあるいはプランジャーが移動するのに伴ってシリンダーの空気も出入りするので,これにより器具先端部のチップから試料溶液を吸引,吐出するものである.このタイプのピペットには採取容量が固定式のものや,複数の容量を選択できるもののほか,ある範囲の容量を連続的に採取できる可変方式のものなどがある(0.5〜2,500μlの間で各種容量サイズがある).また,試料の吸引,吐出をモーターで操作する電動式のピペットも作られるようになった.
 今回は,手で操作する押しボタン式マイクロピペットの使いかたを紹介する.この型のものはエッペンドルフピペットをはじめ,ピペットマン,フィンピペット,オックスフォードマイクロピペット,その他,多くのメーカーから出されているが,主にエッペンドルフピペットで解説する.基本的な操作は各マイクロピペットに共通である.

生体のメカニズム 遺伝子の異常・1

遺伝子の発現制御—特に転写制御について

著者: 大川淳 ,   多比良和誠 ,   武部豊

ページ範囲:P.61 - P.65

はじめに
 さまざまな生命現象の源には遺伝子が存在し,その働きは巧妙かつ複雑な機構のもとに制御されている.セントラルドグマ(図1)に示されるように,遺伝子の発現とは,基本的にはDNAからRNAを経て最終産物である蛋白質が合成され,機能することを意味している.この一連の流れは各段階で綿密に制御され,必要なときに,必要な場所で,必要な量だけその遺伝子がコードする蛋白質が合成される.もし,制御に乱れが生じれば,病気へとつながり,最悪の場合は死への転帰をたどることになる.それゆえ遺伝子発現制御機構は神業ともいえる精密さを備えており,また一種の芸術的美しさがあり,この研究分野は多くの研究者を引き付けている.さて,遺伝子発現制御の最初の段階が,DNAからRNAへの転写であるが,真核生物ではこの段階の制御が最も重要であると認識されている.この制御は,遺伝子上(あるいはDNA上)の転写制御領域と転写調節因子との相互作用に基づいており,さらにこの相互作用は転写調節因子の量的制御,質的制御,DNAの構造変化と大きく分けて3つの要因により支配されている.本稿ではこれら3つの要因に注目し,遺伝子発現制御の中核を成す転写制御について述べてみたい.

検査データを考える

細胞診と組織診の結果が一致しないとき

著者: 堀内啓 ,   坂本穆彦

ページ範囲:P.69 - P.72

はじめに
 臨床各科より細胞診に求められる診断レベルは近年飛躍的に高度化し,それに伴い,精度管理の問題は一段と重要性を増している.言うまでもなく,精度管理上は細胞診と組織診の結果が一致することが望ましいわけであるが,さまざまな原因により,両者が不一致となる場合が経験される.細胞診と組織診の不一致には,細胞診と組織診の陽性・陰性の判定が異なる場合と,細胞診の推定組織型診断と組織診での結果が一致しない場合の2つがある.どちらの場合もその原因は多岐にわたり,すべてを網羅するのは本稿では不可能と考えられるので,細胞診と組織診の陽性・陰性の判定が異なる場合について,代表的な例を挙げ,その原因,防止対策について論じてみたい.

わかりやすい学会スライドの作りかた 総論

学会スライドの作製と発表の基本ルール

著者: 桑克彦

ページ範囲:P.48 - P.49

当シリーズを始めるに当たって
 学会で口頭発表するときに用いるスライドは,見やすく,わかりやすいことが必要である.このようなスライドでは発表内容もわかりやすくなり,聴衆を十分納得させることができる.
 学会用スライド原図の作製は,IBMやマッキントッシュなどの専用プログラムを使うことにより,作製そのものは容易にはなった.しかし情報をどのような形に表現し,そしてレイアウトするかは作製者自身の頭脳にかかっている.そのためにはまずスライド作製の基本を身につけることである.

検査ファイル

イオン化カルシウム測定時の低濃度ヘパリン採血法

著者: 多田三男

ページ範囲:P.73 - P.73

 体内におけるイオン化カルシウム(Ca2+)は,筋収縮,血液凝固,神経伝達,ホルモン刺激など,極めて多くの重要な機能を有している.最近では手術中のモニタリングとして,血液ガス分析と同様に欠かせない項目となっている.そのため小量の全血で血液ガス・電解質の同時測定装置が普及している.特にイオン選択電極1,2)の進歩の中でCa2+が全血で簡単かつ迅速に測定できるようになったことは,大変便利である.しかし,全血採血に用いられるヘパリンがCa2+値を低下させることも指摘されている.その改善には,通常使用される血液ガス分析用採血シリンジのヘパリン濃度よりも,さらに低濃度ヘパリン採血シリンジを用いることで,その影響を最少限に抑えることができる.

BAL

著者: 古田知行 ,   工藤翔二

ページ範囲:P.74 - P.74

はじめに
 気管支肺胞洗浄(broncho-alveolar lavage;BAL)は,1974年,Reynoldsらが開発した手技である.当初は各種肺疾患の病態生理解明に用いられたが,現在は主にびまん性間質性肺疾患の診断法として利用されている.

C1-インヒビター

著者: 三上恵世

ページ範囲:P.75 - P.75

 補体は11の蛋白成分から成る生体の防御機構であり,その活性化によりさまざまな働きを行っている.
 この活性化には,2つの主な経路があることが知られている(図).C1,C4,C2,C3からC9まで反応する古典的経路(classical pathway)と,C3,B,Dの各因子によりC1,C4,C2の関与なしにC9まで反応する第2経路(alternative pathway)である.補体が活性化されることにより本来の目的である生体防御反応を担うが,他方においては活性化された補体やそのfragmentにより炎症や組織破壊を伴う病変を起こすこともよく知られている.そのため,この2つの経路はいくつかの段階において,図に示すようなそれぞれの制御因子によりコントロールされている.

カウンター親和電気泳動法

著者: 藤田清貴

ページ範囲:P.76 - P.76

はじめに
 日常のアイソザイム検査では,酵素結合性免疫グロブリンなどの異常パターンがまれながら観察される.酵素結合性免疫グロブリンは,酵素蛋白よりも免疫グロブリン側に異常があることがわかっているが,酵素結合性を示す免疫グロブリンは全体のごく一部であり,それを精製し性状について検索することは非常に困難である.カウンター(counter)親和電気泳動法とは,その問題に対処し,微量な試料で酵素蛋白と免疫グロブリンとの親和性を確認するために考案された1つの分析法1)である.ここでは,カウンター親和電気泳動法の原理や操作法,特徴などについて,LDH結合性免疫グロブリン(以下LDH-Ig)を例に述べる.

ラボクイズ

問題:白血球増加症の2例

ページ範囲:P.66 - P.66

12月号の解答と解説

ページ範囲:P.67 - P.67

明日の検査技師に望む

暖かい,協調性のある検査技師

著者: 熊坂一成

ページ範囲:P.23 - P.23

■毎日の臨床検査が楽しい,明るい検査技師
 “自称”内科医であった私は,血液像や細菌のコロニーの判定ができず,臨床化学や血清学の知識も欠如していた.十数年前,突然,検査室に闖入したこの未熟な内科医は,日大病院の若い臨床検査技師の皆様に,手取り足取り検査の基本を教えていただいた.今,皆様からのご親切に改めて感謝をしている.検査室の旅行やコンパに誘っていただき,ルーチン業務が終わった後に安い酒を一緒に飲みながら,臨床検査の将来について夜明けまで語り明かしたこともある.そんな若い私たちを横目に,「内科の医者にそんなに検査のことを教える必要はない」と聞こえよがしに言った年上の技師がいた.また彼は「検査技師なんて,男子一生の仕事ではない.俺はいずれこの病院を辞めるんだ」ともうそぶいていた.私は呆れた.そして,この新しい職種の将来に一抹の不安を感じた.毎日の仕事が苦痛と不満に満ちている人生は辛い.本誌の読者は臨床検査を愛する,日々の仕事が楽しく明るい検査技師であってほしい.プライドとは,決して与えられるものではなく,日々の実践と反省の中から生まれるものである.

けんさアラカルト

生理学的検査の業務拡大

著者: 松本佶也

ページ範囲:P.50 - P.50

 新たに臨床検査技師が行うことのできる生理学的検査として「熱画像検査」[磁気共鳴画像検査」「眼底写真検査(散瞳薬を投与して行うものを除く)」「毛細血管抵抗検査」「経皮的血液ガス分圧検査」(「臨床検査技師,衛生検査技師等に関する法律施行令の一部を改正する政令(政令第159号)平成5年4月28日公布,施行」)の5項目,同じく「政令第318号,9月29日公布,施行」で「眼振電図検査(冷水若しくは温水,電気又は圧迫により刺激を加えて行うものを除く.)」「重心動揺計検査」の2項目が加えられた.従前の制限業務8項目と加えて合計15項目になる.
 臨床検査に携わる技師として,またその基幹団体である(社s)日本臨床衛生検査技師会が総力を挙げて取り組んでいる“法改生運動”の懸案であった生理学的検査の業務拡大の一端が開かれたことは,喜ばしいことである.現代の疾病構造および医療の質的変化に伴い,臨床検査は不可欠となり,検査技師の責務も増しているが,臨床検査技師が行える業務の範囲は一部生理学的検査で規制されるのみで,検体検査業務は無資格者でも行えるという矛盾などを社会的にアピールし,法的に条件整備を図ろうというのがその端緒である.一方から,業務として分担してほしいと要請しても,検査技師が法的に,また多忙を理由に避けたり拒んできたとの批判もあったことも背景にある.

トピックス

OPA(orphan peak analysis)法による遺伝子変異の検出

著者: 神谷重樹 ,   服部正平

ページ範囲:P.78 - P.79

 一般に,遺伝子解析における多型,変異の検出,同定は現在ゲノム解析のみならず,臨床面でも遺伝子疾患の病因解析,確定診断にとって重要である.遺伝病や癌に関連する遺伝子の最終的な同定や診断は正常のDNA塩基配列との比較から結論される.したがって,患者の染色体DNAからPCRにより増幅させたDNA断片を解析し塩基置換,欠失,付加などの変異を捜し出す作業が必要となる.未知の変異を見つける方法としては,SSCP(single strand conformation polymorphism)法1)およびDGGE(denaturing gradient gel electrophoresis)法2)が簡便であり,現在最も盛んに用いられているが,いずれの検出方法も変異部位の最終的な同定は塩基配列の決定を必要とする.
 自動DNAシークエンサーによる変異の検出は迅速で正確である.この方法では塩基配列を自動シークエンサーを用いて決定し,その配列を正常の配列と1対1で比較することにより変異を検出する.ヘテロ置換は重なった2つのピークにより判断される.しかし,この方法では同時に大量のサンプルを処理することは困難であり,反応にアーチファクトが生じたときに問題を生じる.以上の問題点を克服するために,筆者らは自動シークエンサーの特徴を活かした新しい塩基置換検出法を開発した3)

腎症候性出血熱

著者: 富山哲雄

ページ範囲:P.79 - P.81

■腎症候性出血熱とは
 1951年5月,朝鮮戦争に出兵した国連軍は鉄原,金化,平康を中心とする中部戦線で未知の熱性疾患に遭遇し,この年,患者は827名に達し,1954年までに3,000名を超えた.この熱性疾患は,高熱,食欲不振,悪心,筋肉痛,腹痛,腎不全を伴い,当時15%の死亡率を示す重大なものであった.初めは発疹チフス,レプトスピラ症などが疑われたが,その後の研究から,1942年日本陸軍石井部隊により旧満洲から報告された流行性出血熱,あるいは旧ソ連の出血性ネフローゼ腎炎に相当するものと判定され,韓国型出血熱と呼ばれた.1982年,WHOはこれを腎症候性出血熱(hemorrhagic fever with renal syndrome;HFRS)と称するよう勧告した.
 国連軍はこの疾患に対処するため,1952年広壮里に出血熱センターを設置し,以後10年余り,米国の多数のウイルス学者を動員し,チンパンジーまで使って病原ウイルスの分離,伝播様式の解明に努めたが成功しなかった.

染色体,DNA分析と病理組織診断

著者: 土橋洋

ページ範囲:P.81 - P.82

 古典的な病理学の分野に,分子,遺伝子の概念が導入されたのは1941年のことであった.この年,鎌状赤血球症ではβ鎖,6番のアミノ酸に置換が生じていることが発見され,その疾患の実体が分子レベルで明らかになったのである.
 その後1960年代に入り,“分子病理学(molecular pathology)”の名称が学術雑誌などでも用いられるようになり,疾患を分子レベルで解明しようとする分子病理学の立場もしだいに普及していった.当初は,病理学のイメージのみで片づけられていた疾患を分子機序で解明し,その病因論に迫ろうという立場であった分子病理学が,近年急速な進歩を遂げた結果,病理診断への応用という形となり,両者はより密接なかかわりを持つようになった.

ホルター心電図によるST変化の新しい表現方法

著者: 原正壽 ,   金子睦雄

ページ範囲:P.82 - P.83

 ホルター心電図におけるST変化は,主に虚血性心疾患の診断に利用されている.しかし,ST部分は虚血のほかにもさまざまな要因で変化する.したがって,労作性狭心症にみられる虚血性ST変化(下向型ST下降)や,異型狭心症および急性心筋梗塞に発現するST上昇を的確に表示する必要がある.このため,STレベル(高さ)だけでなくSTスロープ(傾き)のトレンドグラムの変化様式を観察し,虚血性ST変化を検出する方法が最も一般的である.この方法は,STの変化を表示する方法として画期的なものだが,2種類のパラメータから判別を行うため,判読に経験を要する.また,波形の詳細な変化が観察できないため,体位性ST変化あるいは心拍依存性ST変化などの非虚血性ST変化との鑑別が,ときとして困難となる場合がある.そこで,最近ST変化の経過のみならず,ST部分の形状を時系列表示する試みがされている.ここでは,新しい2種類のST表示法を紹介する.

けんさ質問箱

Q 血清による血糖検査

著者: 佐藤忠弘 ,   本原邦子 ,   中村のり子 ,   本山玲子 ,   松下悟 ,   R.S.

ページ範囲:P.85 - P.86

 血糖検査に関して,当院では現在,NaF入り容器に採血し,血漿で検査していますが,最近では,生化学用に採血された血清で検査している検査室もあると聞きました.このようなことは可能なのでしょうか.もし可能であるならば,血漿と血清ではどの程度データに違いがあるのでしょうか.また,採血後何時間以内のものならば信頼性のあるデータといえるのでしょうか.教えてください.

Q 真菌症の免疫学的検査法

著者: 阿部美知子 ,   久米光 ,   H.T.

ページ範囲:P.86 - P.88

 深在性真菌感染症の補助的診断法として,免疫学的検査法が登場し,注目を集めているようですが,この検査法(カンジテック)の運用法をご教示ください.真菌は迅速診断の必要性がないため,施設によっては終業間際に依頼された検体を翌日,あるいは連休明けに報告するということもままあるようですが,こういった運用法の下でもこのカンジテック運用に問題はないのでしょうか.

Q 不規則性抗体の血球試薬のアンチグラムパターン

著者: 刀根勇一 ,   加藤俊明 ,   関口定美 ,   K.H.

ページ範囲:P.88 - P.89

 不規則抗体のスクリーニングや同定に使用する血球試薬のアンチグラムパターンは,なぜロットによって変わるのでしょうか.

今月の表紙

扁平上皮癌細胞

著者: 古田則行 ,   都竹正文 ,   坂本穆彦

ページ範囲:P.24 - P.24

扁平上皮癌とは
 扁平上皮癌は病理組織学的には重層扁平上皮組織類似の構築がみられる癌と定義される.組織学的分化度によって,おおむね3段階に分けられる.角化が著明なものを角化型あるいは高分化型扁平上皮癌とし,角化のみられないものを低分化型,両者の中間を中分化型扁平上皮癌と分けることが多い.また,角化のみられないものを非角化型と分類することもある.しかし,発生臓器によって診断基準や用語の使いかたが若干異なる.
 発生部位は通常,皮膚,口腔,咽頭,食道,子宮腟部などの扁平上皮組織に由来するが,正常では扁平上皮の存在しない気管支,副鼻腔,子宮頸部にも発生する.実際に細胞診の対象となるのは後者が多く,とりわけ子宮頸部,気管支を対象とする細胞診の比重は重い.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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