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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術24巻5号

1996年05月発行

雑誌目次

病気のはなし

前立腺癌

著者: 島崎淳

ページ範囲:P.394 - P.402

新しい知見
 PSAは感度および特異性に優れたマーカーであり,早期診断や経過の把握に広く応用されている.検診において前立腺肥大症との鑑別のためPSAを体積で除したPSA密度や年間増加率の応用が提唱された.また血中の癌細胞検出にPSAのmRNAを用いるという方法も検討されはじめた.内分泌療法の治療中に使用している薬剤による増悪の可能性が見いだされ,アンチアンドロゲン除去症候群といわれるようになった.アンドロゲンレセプターの変異との関係が推測されている.

技術講座 生化学

内因性クレアチニンクリアランスの推算法

著者: 真鍋史朗 ,   折田義正 ,   阪田光彦 ,   堀尾勝

ページ範囲:P.403 - P.408

新しい知見
 GFRの指標として臨床の場においてはクリアランス試験が広く行われているが,そのクリアランス物質として体内でクレアチンから生成されるクレアチニンを用いた内因性クレアチニンクリアランスが主として実施されている.
 しかし,蓄尿を要する内因性クレアチニンクリアランスは最近の検査件数の増加や,蓄尿における尿量測定誤差の問題,緊急時に求められる即時性などについて問題があるため,従来の内因性クレアチニンクリアランス試験に代わって体重および血清クレアチニン濃度などを利用して,迅速にクレアチニンクリアランスを求める計算方法が多数発表されてきている.

標準品の作りかた—CRPキャリブレーターへの値付け

著者: 筒井聰明 ,   塩沢重樹 ,   鈴木光一

ページ範囲:P.409 - P.414

新しい知見
 検査値の施設間差が問題となっており,検査の標準化が関係者の間で進められている.免疫血清分野では,WHO,国内,IFCC各標準品が制定されている.CRPについてはWHO標準品に準拠した国内標準品(ロット4)が制定され,国内ではこれを利用した実用キャリブレーターが製品化されている.
 標準品間の値の移し替えには各標準品間の並行性(免疫学的同等性)が重要である.CRP国内標準品(ロット4)と精製CRPを用いた社内基準品,高CRP血清より調製された実用キャリブレーター間にはラテックス免疫比濁法で並行性があり,値の移し替えが可能である.

免疫

血清蛋白電気泳動の解析のしかた

著者: 米川修

ページ範囲:P.415 - P.426

新しい知見
 血清蛋白電気泳動は,5分画されたパターンを認識して病態を解析するものである.急性炎症での変化をはじめ,それぞれの病態に対応する基本的パターンが知られている.現在は,パターン認識を得意とするコンピュータを駆使した自動解析装置が実用化されており,満足すべき成績を上げている.

微生物

微生物検査室の地震対策

著者: 木下承晧

ページ範囲:P.427 - P.432

新しい知見
 危機管理対策マニュアルには地震以外にも台風,水害,事故など多くのことを想定して作成する必要がある.地震に対しての対策は日ごろから危機管理を考えて,実際に起こったときのことをシュミレーションしておくとよい.局部的な防火・防災対策は必ず決めておくべきで,病原菌の飛散対策や地域支援チーム作りも行う.地震後の対策は情報を確実につかむことと記録をつけることが重要である.

病理

粘液の染色法

著者: 横川和子 ,   塩澤佳子 ,   加藤洋

ページ範囲:P.433 - P.440

新しい知見
 粘液染色を行う意義は,組織の状態(炎症か腫瘍かなど)を知ることのほかに,腫瘍の原発部位を推測するための一助とすることにある.
 古くから,ムチカルミン,PAS,アルシアン青,high iron diamine(HID)染色など粘液を組織化学的に分類する多くの染色法が行われてきた.この流れにある,やや複雑な染色法としてPATS/KOH/PAS,あるいはPATS/PBT/KOH/PAS染色がある,その後,ConA,PNAなどレクチンを使う研究が盛んになり,これらはそれぞれマンノース,ガラクトースなどの特定な糖質と結合するとされている.

生理

運動負荷心電図の行いかたと読みかた

著者: 川久保清

ページ範囲:P.441 - P.447

新しい知見
 わが国における運動負荷心電図検査の流れをみると,1970年ころの初期の時代から,1980年代の確立の時代を経て,1990年代は多様化の時代に入ったといえる.このような時代背景から,わが国の実情に合った検査の標準化の必要性が高い.わが国では,検査の多くをマスター2階段試験に依存している状況であり,安全性確保のための指針が望まれている.トレッドミル試験においては,Bruce法にこだわらない日本人に合ったプロトコールを使う時期にきているものと思われる.負荷心電図自動解析装置は普及したが,その精度についてさらに標準化が必要と思われる.

マスターしよう検査技術

分子生物学的検索に有用な組織標本の保存法

著者: 鈴木宏明 ,   高橋文誉 ,   長嶋和郎

ページ範囲:P.451 - P.458

はじめに
 分子生物学的検索法と一言で言っても研究領域では多種多様な研究方法がすでに用いられており,現在もなお新たな方法の開発が続けられている.一部では悪性リンパ腫におけるPCRを用いた遺伝子再配列の検索など臨床的な応用もなされており,今後さらに多くの分子生物学的検索法が臨床の場で一般化されていくものと考えられる.今回は分子生物学的検索に有用な組織標本の保存法について解説する.有用な保存とは言い換えれば高品質のDNA,RNAおよび蛋白質をいかに保つかということであるが,同時に,目的に応じて保存法を選択していくことが大切である.例えば,RNA解析や一部の形態の保存を必要とする検索法などでは特に注意深く試料を保存しなければならないが,PCRを使ったある種のDNAの検索法などでは必ずしも極めて高品質な試料が必要とされるわけではない.すべての手術標本をやみくもに各種の方法で保存することが可能な施設も限られよう.多様な分子生物学的手法の中で目的を考慮し,各手法に適した保存法を選択しなければならない.
 おおむね分子生物学的検索法は組織の構築あるいは細胞形態を残した状態でDNA,RNA,あるいは蛋白質の局在(定量性はあまりない)を検索する方法〔insitu hybridization(ISH)法,免疫組織学的検索法など〕とそれ以外のDNA,RNA,蛋白質を抽出することから始まる定量的および定性的な多くの方法論とに分けることが可能である.

生体のメカニズム 凝固・線溶系・1

凝固機序

著者: 高橋芳右

ページ範囲:P.463 - P.465

はじめに
 生体には出血を起こさず,また血管になんらかの破綻あるいは異常が起こった場合に生ずる出血を止める機構が存在する.この止血機構には,血管,血小板,血液凝固,線溶,凝固線溶阻止因子,血行力学的要因,血管周囲の結合織が密接に関与し,通常互いによくバランスを保っている.また全身の血管壁は抗血栓性を有する血管内皮細胞で覆われており,血液は凝固することなく循環できる.
 血管壁が損傷を受けると,血管の収縮反応とともに,傷害部位に血小板が粘着・凝集し,血小板血栓を形成する.この初期の反応を一次止血と呼ぶ.血小板血栓の周りをしっかりとしたフィブリン血栓で覆い,止血栓として完成させるのが二次止血反応で,この二次止血には血液凝固系が働き,凝固因子が連続的かつ増幅的なカスケード反応機構により活性化されて生じたトロンビンによってフィブリンが生成される.

検査データを考える

血液から分離された表皮ブドウ球菌

著者: 小林芳夫

ページ範囲:P.459 - P.462

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)による感染症が医師・看護婦・検査技師などの医療従事者のみならず社会的に広く関心を持たれてすでに10年以上を経過した1).これに伴い,同じStaphylococcus属である表皮ブドウ球菌すなわちStaphylococcus epidermidis(S. epidermidis)に代表されるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase negative Staphylococci;CNS)に対しても関心が深まってきている.この原因としてこれらCNSの多くがMRSAと同様にmecA遺伝子を所有している2,3)という遺伝子検査法の発達に伴う関心の深まりと,現実問題としての臨床材料からの分離株数の増加,という2点が挙げられる.言うまでもなく,すべてのブドウ球菌属は人と最もかかわりが深い菌属の1つであり,いわば皮膚の常在菌叢を形成しているともいえる菌属である.したがって,これら菌種が臨床材料から分離されたからといって,それは直ちに感染症の原因菌というわけではない.したがって分離株数の増加が直ちに感染症の増加を意味するものでもない.ここではさまざまな臨床検体の中でも,本来無菌であり,どのような菌種であろうがそれが検出されればなんらかの病的状態にあると通常考えるべきである.

検査法の基礎検討のしかた 臨床化学検査・5

採血管の影響試験法

著者: 飯野昌則 ,   五内川里子 ,   桑克彦

ページ範囲:P.466 - P.469

 新しい試薬キットの測定に用いることができる試料について,それが血清あるいは血漿での挙動をあらかじめ調べておく必要がある.ここでは,そのための採血管の材質および分離剤と抗凝固剤の試験法について示す.

ラボクイズ

問題:カラードプラ法による心疾患

ページ範囲:P.448 - P.448

4月号の解答と解説

ページ範囲:P.449 - P.449

オピニオン

技師諸君,臨床現場に出向こうではないか!

著者: 中原一彦

ページ範囲:P.470 - P.470

 わが国における臨床検査は今や世界のトップ・レベルにあり,そのような環境で働くことができるのは大変幸せなことだと思う.しかし一方では,急速な機械化,オートメーション化やコンピュータ・システムの導入,それに伴う大量の検体処理,検査結果の迅速返却,省力化など以前と比べて,また新たな対応を迫られるようになってきている.そのような中で,日常の業務に追われて,つい自分を見失ってしまいがちにならないように努力することも非常に大切なことだと思う.つまり,自分が臨床の場でいかに大切な位置にあるか,自分たちが扱っている検体がいかに貴重なものであるか,そんな基本的なこともつい忘れがちになってしまっていないだろうか.
 さて,私がここで提案したいのは,臨床検査技師諸君はもっと臨床の現場に出向くべきである,ということである.臨床現場に出向くといってもいろいろな方法があると思う.例えば,私が以前在籍していた杏林大学では,毎日午後3時になると,当番の技師諸君が割り当てられた病棟に出向き,医師からオーダーのあった,翌日の採血用試験管の準備を行っている.たったこれだけのことであるが(とはいえ日常業務を中断して出向くわけであるから,やはり相当な努力を伴うが),このことにより,実際に病棟の雰囲気を肌で感じることができる.

けんさアラカルト

認定輸血検査技師制度

著者: 倉田義之

ページ範囲:P.450 - P.450

 平成7年度より発足することになった認定輸血検査技師制度について,本制度発足までの経緯,本制度の目的および概要,今後の展望などにつき簡単に紹介したい.
 輸血検査分野は他の検査分野と少し異なったところがある.輸血検査である血液型検査,不規則抗体検査,交差適合試験を行う以外に,血液製剤の在庫管理およびその有効利用,血液製剤の適正使用の推進,輸血副作用発生時の臨床側への対応など非常に臨床に密接した重要な業務もこなす必要がある.これらの業務を行うに当たっては臨床側の医師などと密接にコミュニケーションをする必要がある.それには輸血検査の知識だけでなく臨床医学の知識も身につけておく必要がある.

トピックス

光測定による骨粗鬆症診断の可能性

著者: 竹内晃 ,   板橋明 ,   荒木隆一郎

ページ範囲:P.471 - P.473

はじめに
 近年,人口の高齢化,QOLの重視などの点から骨粗霧症に対する意識が高まっている.
 この傾向は新しい治療薬の開発などにより,さらに顕著になると予想され,今後,骨組織の非侵襲的な測定法の役割は大きくなると思われる.現在,従来の単純X線写真での形態評価に加えて,DXA(dualenergy X-ray absorptiometry)法による骨塩〔骨カルシウム(Ca)密度〕定量法は,骨強度の重要な評価法となっている.また,超音波による踵骨測定法は,その簡便さから1次スクリーニングに最適である.しかし,DXA法はX線のCaに対する吸収特性を利用しているため,得られる情報は2次元的な透過吸収像であり,立体構造の評価には不向きである.超音波法は,骨組織中の伝導速度がCa含量,減衰は構造に左右されるとされ,今後を期待されているが,現時点では簡易なDXA法といった印象が強い.骨組織は複雑な構造体であり,Ca密度以外に,外力に対する支持構造も重要な強度規定因子となる.また,近年はコラーゲン,骨髄内の状態など骨密度以外の因子(骨質)の重要性が問われており,新たな測定法の開発が期待されている.

アルツハイマー病とカルシウム代謝

著者: 羽生春夫

ページ範囲:P.473 - P.474

■老年病とカルシウム代謝
 カルシウムは体中のほぼあらゆる機能に関係し,細胞や生体が機能,生存していくうえでカルシウム恒常性は常に保たれなければならない.カルシウムは主に腸管からの吸収,腎からの排泄,骨における出入り(骨吸収と骨形成)の間の動的平衡関係からバランスが維持されている.この過程で副甲状腺ホルモン(PTH),カルシトニン(CT),ビタミンDなどのカルシウム代謝調節因子による調節機構が働き,細胞内・外液のカルシウム濃度は一定に保たれている.
 一般に,老年者では慢性的なカルシウム欠乏状態にあり,血清カルシウム濃度を一定に維持するためにPTHの分泌亢進が起こる.PTHには骨吸収を促進する作用があり,軟部組織,特に動脈壁へのカルシウム沈着が増加して動脈硬化の原因となる.また細胞レベルでは細胞膜のカルシウム透過性が亢進し,細胞内のカルシウム増加につながり機能障害へと進む.このような病態は,老年者の多くの疾患,例えば骨粗鬆症や動脈硬化,高血圧,癌患者などで認められ1,2),さらに最近老年期痴呆,とりわけアルツハイマー病との関連も指摘されている(図).

Fas抗原

著者: 長藤宏司

ページ範囲:P.474 - P.476

 従来,細胞の増殖についての研究が主流であったが,最近は,いかに細胞が死ぬかについての研究が盛んである.細胞の死にかたには,形態学的に2とおりのものがある.壊死(necrosis;ネクローシス)と,アポプトーシスまたはアトポーシス(apoptosis)である.壊死は細胞膜の透過性が亢進し,核,細胞内小器官の膨大と細胞膜の伸展が起こり,細胞融解し細胞質内容物の細胞外流失が起こる.結果として周辺に炎症を引き起こす,汚い死にかたである.一方,アポトーシスは,細胞質や核が濃縮し,核や細胞内小器官を含む小体(apoptotic body)に分断され,この小体は周辺の貪食細胞により速やかに処理される.周辺には炎症などを引き起こさない,潔い死にかたである1)
 アポトーシスを惹起する経路は数多くあるが,その中の1つとして,Fas-Fasリガンドシステムが発見された.1989年,米原らは,種々のヒト細胞に対しアポトーシスを誘導する抗Fas抗体を得た2).その後Fas抗原の遺伝子構造が決定された.Fas抗原は335個のアミノ酸からなり,N末端16個のアミノ酸はシグナル配列,中央に疎水性アミノ酸17個よりなる膜貫通領域が存在する.細胞外領域に18個のシステイン残基が存在し,3つのサブ領域に分けられる.

軟部腫瘍と染色体異常

著者: 野島孝之

ページ範囲:P.476 - P.478

はじめに
 腫瘍細胞では必ずといってよいほど染色体異常が観察される.染色体異常では切断点にある癌遺伝子や癌関連遺伝子が構造異常を起こすことにより,また,癌抑制遺伝子の欠失により,変異遺伝子が異常発現し細胞が癌化すると考えられている.しかしながら,観察される大部分の染色体異常は非特異的なものが多く,腫瘍形成の初期段階にかかわる特異性を明らかにするためには,多数症例に共通した異常所見の集積が必要である.染色体の変化が発癌機構のどの部分に関与しているかは,造血系腫瘍の一部で明らかにされてきたが,固形腫瘍,特に軟部腫瘍においては解析が遅れていた.その理由は,固形腫瘍の分裂中期細胞の染色体分析は技術的に非常に難しいからであった.近年,染色体分析技術の進歩に伴い軟部腫瘍に特異的な染色体異常が報告され,一部の腫瘍では変異遺伝子の解析がなされている.

アンチセンス療法

著者: 北島勲

ページ範囲:P.478 - P.479

■アンチセンス療法とは
 生物の設計図ともいうべき遺伝子の本体はDNAである.DNAはリン酸と糖が交互に連なった鎖になっていて,この鎖にアデニン(A),グアニン(G),チミン(T),シトシン(C)の4種類の塩基が糖に結合する形で作られている.DNAは核の中で二重らせんとして存在しているが,この二重らせんはセンス鎖とアンチセンス鎖から成り立っている.アンチセンス鎖を鋳型としてそれに相補的な配列を持ったメッセンジャーリボ核酸(mRNA)が転写され,このmRNAはリボソームで翻訳され,蛋白が翻訳される.アンチセンス療法は,アンチセンスDNAがセンス配列のmRNAとワトソンクリックの塩基対(AはT,GはCと水素結合する)を作り,ハイブリッドを形成させることを目的としている.このRNA-DNAハイブリッドはRNaseHの作用により分解されるが,またはリボソームにおいて翻訳を阻止することにより蛋白合成をブロックしてその生物活性が抑えられる(図1)1,2)

LCR法によるクラミジアの検査

著者: 萩原敏且

ページ範囲:P.479 - P.480

はじめに
 クラミジア(Chlamydia trachomatis)は尿道炎や子宮頸管炎など性感染症(sexually transmitted disease;STD)の主要な起因菌であることから,臨床診断法が種々開発されているが,ligase chain reaction(LCR)法もその1つである.LCR法はpolymerasechain reaction(PCR)法と同様にクラミジア遺伝子の検出を目的としているが検出方法が異なる.すなわち,LCR法は標的とするDNAの塩基配列にそれぞれ2対のオリゴヌクレオチド(プローブ)を用いて検体中のDNAとハイブリダイズさせ,2本鎖とした後,1対のプローブの切れ目をリガーゼで修復して新しい1本のオリゴヌクレオチドとするもので,標的とするDNAの全域に相補的なプローブを複製・増幅して検出する方法である.以下にアボット社で開発したLCRChlamydia(国内ではダイナボット(株)が取り扱っている)を中心に,LCR法の測定原理およびその有用性について紹介する.

けんさ質問箱

Q ミクロトーム用潤滑油

著者: 金子伸行 ,  

ページ範囲:P.482 - P.483

 ミクロトーム用潤滑油にホームセンターによくあるような安価な油を使いたいと思いますが,どのような油を使用すればよいでしょうか.粘度,品質,価格など.

Q 研究室に勤める人の健康診断

著者: 矢内充 ,   熊坂一成 ,  

ページ範囲:P.483 - P.485

 製薬研究所でラット,ウサギ,ネコを使った実験や研究をしています.健康診断をしてもらうためにどのような検査が必要か考えております.どのような菌,ウイルス,寄生虫の抗体を調べるべきでしょうか.そして,検査結果の解釈も教えてください.抗体陰性が望ましいとは思いますが不顕性感染というのもあると思うし,学生時代の教科書では,患者の検査結果の解釈は書かれていません.
 不顕性感染でもいい(安心)といえるものと,今後も保菌者として経過観察が必要と考えなければならないものは,どんなものでしょうか.

今月の表紙

血液細胞と収縮蛋白

著者: 巽典之 ,   田窪孝行 ,   津田泉

ページ範囲:P.426 - P.426

 これまで血液検査新技術と血液細胞の動きにかかわってシリーズを重ねてきましたのでもう少し私のわがままを重ねさせていただきたいと思います.
 血液細胞の中で最も動きの大きいのは好中球です.この細胞は化学刺激を受けると,その刺激源へと走っていき,オプソナイズされたものならこれを貪食・顆粒放出し,取り込んだ異物を消化すると同時にアポトーシスが誘導され,自己死へとばく進して行きます.そこではファゴゾーム→ファゴリソソームが形成されます.すなわち粘着・運動・異物補足・貪食・消化・排泄が連鎖的に行われます.血小板においても刺激を受けると粘着・凝集・顆粒放出のチェーン・リアクションが生じます.結果として前者では殺菌作用,後者では血栓形成作用が遂行されますが,その影武者として激しい動きを示すのは細胞内収縮蛋白であるアクチンとミオシンです.骨格筋においては,ミオシンで形成される太い縞とアクチンで形成される細い縞帯が相互に滑走することで収縮が完成されると説明したHuxleyの写真は有名ですが,血球など遊離細胞の場合,光顕では細胞質内アクチン・ミオシン線維はさっぱりみえてきません.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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