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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術25巻12号

1997年11月発行

雑誌目次

病気のはなし

敗血症

著者: 舟田久

ページ範囲:P.1002 - P.1009

新しい知見
 敗血症は,感染が惹起した炎症性サイトカインの過剰産生に起因する全身性の炎症反応と把握され,血管内皮障害を共通の基礎病態とする全身性炎症反応症候群(SIRS)に含められる.敗血症は,重症敗血症,敗血症性ショックを経て,多臓器機能障害症候群へと重篤化するが,この連続性の中で各病態が明確に定義され,適切な臨床対応への道が開けてきた.特に重症敗血症が敗血症性ショックの前段階として予後の分岐点に位置づけられた.また,低血圧の主因が一酸化窒素(NO)の過剰産生であることも明らかにされた.最近は抗菌薬治療に加えて,抗サイトカイン治療の臨床応用も考えられている.

技術講座 病理

FISH法による癌の染色体異常の検査

著者: 高見聡 ,   木下盛敏

ページ範囲:P.1011 - P.1017

新しい知見
 従来の染色体分析は,分裂中期核をG,Q,Rなどの各種分染法で染色したものを観察しており,その判定には熟練した技術と経験を要していたが,FISH法が開発されたことにより,簡便に,しかも間期核での染色体分析が可能となった.
 FISH法は当初,ダイレクトR-バンディングFISH1)などで遺伝子マッピングに研究的に利用されていたが,近年,臨床の分野においても応用されるようになり,腫瘍細胞遺伝学や染色体異常症候群の解析や診断に有用な技術として注目されている.

生化学

ELISA法によるANA,ENAの検査法

著者: 久保田浩司 ,   松岡瑛

ページ範囲:P.1019 - P.1026

新しい知見
 近年,抗核抗体の対応抗原蛋白をコードするcDNAが分離され,これを用いて産生された抗原蛋白を利用して,ELISA法による抗核抗体測定が可能となった.一方,このような手法によらず,高度に精製されたネイティブ抗原を利用したELISA法も開発され,徐々に普及している.
 これらは従来の間接蛍光抗体法や二重免疫拡散法などによる抗核抗体検査と大きく異なり,蛍光染色型に幻惑されたり,沈降線の判定に苦慮することはないが,広く普及するには検査ならびに臨床側の十分な理解も必要である.

微生物

結核菌の新しい培養法

著者: 阿部千代治

ページ範囲:P.1027 - P.1031

新しい知見
 近年,核酸増幅法の導入により,抗酸菌の検査が迅速化されるようになった.しかし,非結核性抗酸菌の菌種名や感染菌の薬剤感受性を知るためには培養菌が必要である.酸素センサーあるいはCO2センサーを用いた迅速検査法が開発されてきている.これらの培養法を用いることにより,初代分離を2〜3週間,薬剤感受性試験を1週間で終えることが可能となった.さらに分離菌の鑑別同定に核酸の相同性を利用することにより,すべての検査を1か月で終了する道が開けた.

生理

わかりにくい脳波の読みかた[2]

著者: 市川忠彦

ページ範囲:P.1033 - P.1040

新しい知見
 われわれの健康な日々の営みに,睡眠は欠かすことのできないものであり,人生のおよそ1/3は眠っていると言ってもいい.
 知らぬ間に過ぎ去る何時間かのうちに,脳や身体の中ではどんなことが起こっているのだろう?

一般

尿一般検査および尿化学検査のためのサンプリング法

著者: 松田ふき子 ,   松田儀一

ページ範囲:P.1041 - P.1047

新しい知見
 高度に進歩した臨床検査の中で,サンプリングの問題は盲点になりつつある.精度が向上し標準化が行われるようになっても,正しいサンプリングが行われていなければ意味がなく,特に尿検査においては検体の採取や保存による影響が大きい.また蓄尿の自動化や多項目同時測定といった時代の変化にも即した対応をしていかなければならない.最も大切なことは,患者の状態を正しく表す検査結果を報告することである.

日常染色法ガイダンス 結合組織の日常染色—膠原線維の染色

マッソン・トリクローム染色

著者: 野村利之

ページ範囲:P.1057 - P.1060

目的
 線維性結合組織は生体内に広く分布し,膠原線維,細網線維,弾性線維の3種の線維に分類される.この中の膠原線維,細網線維を選択的に染める代表的染色法がマッソン・トリクローム(Masson-Trichrome)染色である.
 マッソン(Masson,1929年)がマロリー(Mallory)の原法とワンギーソン(van Gieson)染色法を加味して考案した方法で,核をヘマトキシリンで黒く染め,膠原線維をアニリン青で青く,その他の細胞質,筋線維などを酸性フクシンで赤く染める3色染色法(trichrome stain)である.

細菌・真菌の日常染色

グラム染色—マッカラム・グッドパスチャー変法

著者: 市川つわ ,   町田大輔 ,   阿部美知子 ,   久米光 ,   亀谷徹

ページ範囲:P.1061 - P.1063

目的
 組織内の病原体を証明する代表的な方法としてグラム染色がある.グラム染色はグラム陽性菌とグラム陰性菌の識別が目的であり,ワイゲルト(Weigert)法,ハッカー・コン(Hucker-Conn)法,マッカラム・グッドパスチャー(MacCallum-Goodpasture)法,ブラウン・ブレン(Brown-Brenn)法,ブラウン・ホップス(Brown-Hopps)法,テイラー(Taylor)法など種々の方法がある.いずれの方法もグラム陽性菌はクリスタル紫(またはゲンチアナ紫)で染色後,ルゴール液で媒染してから分別しており,濃青色に染色されるが,グラム陰性菌はケルンエヒトロート,サフラニン,塩基性フクシンなど種々の赤い染色液で染めている.したがって,それぞれの染色法の相違は,グラム陽性菌の染めかたは同じであるが,グラム陰性菌や組織背景の染めかたの違いによるものであるといえる.
 グラム陽性菌と陰性菌の細胞壁には化学的構成成分に著明な差がみられ,これを利用してクリスタル紫・ヨードの複合体が菌体内に残るか否かでグラム陽性菌,または陰性菌と呼んでいる.グラム陽性菌の細胞壁は脂質含量に乏しくペプチドグリカン層が厚いので,アルコール系の溶剤が作用すると壁は緻密になり,沈着したクリスタル紫・ヨードの複合体は細胞壁内にとどまる.

検査報告書の書きかた 細菌検査・1

便培養検査

著者: 菅野治重

ページ範囲:P.1065 - P.1068

はじめに
 細菌検査の主要な目的は“感染症の起炎菌の決定”であるが,最近は近い将来感染症を発症する可能性が高い患者に対する“常在菌叢の監視”や,院内感染防止のためにMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの“特定菌の検出”を目的として細菌検査が依頼されることが多い.このような検査目的の多様化に検査室が対応するために,当検査室では細菌検査をその目的から,“起炎菌の決定”,“常在菌叢の監視”,“特定菌の検出”の3種類の検査依頼用紙を作成し,各々の検査目的に対応させて検査内容を変えている.
 細菌検査には多種の検体が提出されるが,便や咽頭粘液は検査目的や患者背景によって検出対象となる微生物の種類が大きく異なる検体であり,目的別検査依頼システムが特に有効に機能する領域である.いずれの検体も患者に関する情報を入手することが検査を行ううえで重要であるが,特に便検査では,旅行歴(特に外国旅行歴),動物との接触,同様の症状を呈する者の有無,予想される原因食品,下痢の性状(血性,水様など),最高体温,嘔吐の有無,腹痛の部位,抗菌薬の投与歴などの情報が原因菌を推測するうえで重要である.

検査データを考える

便潜血反応と便ヘモグロビン検査

著者: 伊豆蔵正明 ,   丹治芳郎

ページ範囲:P.1069 - P.1073

便潜血反応とは何か
 便潜血反応とは,大便中に含まれる血液を証明する検査のことであるが,実際は赤血球中のヘモグロビン(Hb)による反応を利用するため,便ヘモグロビン反応ともいう.
 便潜血反応は消化管内の出血の有無を検索するために行う.したがって,消化管出血が疑われる患者のみならず,無症状者に対するスクリーニング検査として有用であり,後述するごとく大腸癌検診に広く用いられている.

検査法の基礎検討のしかた 微生物検査・3

薬剤感受性試験

著者: 相原雅典

ページ範囲:P.1075 - P.1079

はじめに
 薬剤感受性検査に関して基礎的検討が必要となるのは,なんらかの理由で検査法の変更を迫られた場合,検査成績の信頼性に疑問が生じた場合,既存の検査法になんらかの欠陥が認められた場合,検査法の適用から外れた菌種の感受性検査を検討する場合,および新薬のディスク化とそれに伴う判定基準や精度管理限界の設定が必要となる場合であろう.これらの中には一般の検査室ではあまり日常性のないケースもあるが,例えば現在ディスク法で検査を行っている施設で,臨床医から特定の薬剤を使って菌の最小阻止濃度(minimal inhibitory concentration;MIC)値を測定してほしいと求められた場合や,検査を合理化する必要上,自動機器の導入を検討しなければならない場合などは,検討対象となる方法が信頼に値する成績を出し得るか否かについて検討する必要がある.
 日常の実務的な検討の多くは,標準化(またはオリジナル)された術式を厳密に遵守し,規定された管理菌株を使って繰り返し試験して,得られた成績が規定の管理限界内におさまっていれば,方法上誤りなく試験が行われたと判断できる.しかし,ときには設定された判定基準そのものに不都合が感じられることもしばしばある.

ラボクイズ

問題:骨髄像

ページ範囲:P.1054 - P.1054

10月号の解答と解説

ページ範囲:P.1055 - P.1055

オピニオン

検体検査管理加算と検査医

著者: 清水章

ページ範囲:P.1010 - P.1010

はじめに
 1996年4月1日の保険点数改定に当たって,検体検査管理加算が設定され,それから1年経過した.このことは大病院中検に所属する専任常勤医師たちに大きな励みとなり,また一方では重大な試練を課せられたといってよい.これは中検の水準が一定以上であると認められた場合,入院患者1人当たり1か月100点加算するというものである.水準とは,専任の医師が配属されて活動していること,緊急検査項目を常時実施できること,検査の精度管理が適切に実施されていること,などである.細かい運用は各病院の良識ある裁量に任されていると理解している.私たちの病院では1996年2月に加算導入の情報を得てから直ちに準備にかかり,委員会の発足,当直体制による緊急検査の実施,種々の書類の整備などを進めて,ようやく1997年2月から加算が認められるようになった.この保険点数改定の以前より十分に条件が整っていて,早期より加算を請求している病院も多いと聞く.一方,“検体検査管理加算”という言葉さえご存じない検査部責任者もおられると聞いている.
 専門医師の任務とは,精度管理をはじめ検査部の管理,臨床医に対して検査の適切な取捨選択を勧告し,コンサルテーションをすることが挙げられている.それによって医療費を抑制できることが期待されていると考えられる.

けんさアラカルト

足の裏の血流計測

著者: 嶋津秀昭

ページ範囲:P.1032 - P.1032

 最近,日ごろの研究テーマとは無関係に,足の裏の血流測定を2つのテレビ局から依頼された.それぞれつま先部分の血流測定,かかと部分の測定であり,測定結果として放送局側の期待するものとはまったく相反するものであった.つま先部分の血流測定は,ハイヒールの靴がいかに足に負担をかけるものであるかを血行動態として観測する目的で行った.これに対して,かかとの測定はフラットな靴底が“かかと”の血流に対しては必ずしも適当とはいえず,これが寒冷期のひび割れなどにも関与するという結論を導くためのものであった.足の裏の血流には重力の影響や,接地面にかかる体重による圧力が作用するので,仰臥位での値と立位や座位での値には当然大きな差があり,できるだけ自然な姿勢で測定することが必要となる.
 筆者らは,すでにレーザードップラー血流計を基本とした測定システムを,さまざまな姿勢の下で複雑な表面形状を持つ体表面での血流を安定に測定する方法として開発している.図1は測定システムの概要である.この血流計は経皮的にレーザー光を照射する.入射光は皮下の真皮層の血管系で反射する.反射光に観測されるドップラー効果による周波数変化から当該部位の流速を求め,これと同時に計測した反射光量から測定部容積を算出し,両者から組織血流量を求める方法である.

トピックス

血液製剤のウイルス光不活化法

著者: 阿部英樹 ,   関口定美

ページ範囲:P.1081 - P.1082

はじめに
 最近,輸血の安全性に対する関心が特に高まってきているが,先日,遂にわが国では初めて,献血の血液による輸血によってヒト免疫不全ウイルス(human immuodeficiency virus;HIV)感染したことが確認された.輸血後ウイルス感染の防止には,スクリーニング検査技術の向上が大きな役割を果たしてきた.しかし,今回のケースのように,ウイルス感染後,生体が抗体をつくるまでのいわゆる検査の空白期間(ウインドウピリオド)の血液を輸血用血液から排除することは現時点では困難である.こうした危険を排除し,血液製剤の安全性をより高める一手段として,混入ウイルスの不活化が考えられる.
 本稿では,最近注目を集めている光増感色素と光照射を組み合わせたウイルス光不活化法について述べる.

胸腺外分化T細胞

著者: 川村俊彦 ,   安保徹

ページ範囲:P.1083 - P.1085

はじめに
 T細胞のTは胸腺(thhymus)のTに由来する.つまり,T細胞は胸腺を経由して分化・成熟するリンパ球と考えられてきた.しかし,最近になって胸腺を経由しないで分化するT細胞(胸腺外分化T細胞)の存在が明らかになってきた.
 免疫系を形成するうえで重要なことは,自己と非自己との違いを認識することである.生体は,外界からの病原体や老朽化した自己細胞を非自己と認識して,効率よく排除する.自己を攻撃してはならないのである.胸腺は,このような自己と非自己との違いを認識するのに重要な役割を果たしている.つまり,胸腺を通って分化・成熟するリンパ球は,非自己だけを攻撃し,自己を攻撃しないようにしっかりと教育を受けたリンパ球である.胸腺外で分化するT細胞は,胸腺を経由しないがゆえの特徴がある.

わが国の急性肝炎におけるHGVの関与率

著者: 八橋弘 ,   矢野右人

ページ範囲:P.1085 - P.1087

■HGVとは
 1989年にC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)の存在が明らかとなり,A型,B型,C型,D型,E型肝炎の診断が可能となった.その結果,これらの肝炎ウイルスに属さない,なおかつウイルス肝炎の存在が否定できないnon-ABCDE型肝炎の存在が明らかとなった.その新たな肝炎ウイルスの候補として,1995年,米国Abbott社がhepatitis GB virus-C(HGBV-C)を報告1),次いで1996年に,Genelabs Technologies社がhepatitis G virus(HGV;G型肝炎ウイルス)を報告した2).HGBV-CとHGVはそれぞれ異なる施設で発見されたが,遺伝子配列の相同性の分析結果から,両ウイルスは同じウイルスであることが判明した.
 HGVは一本鎖(+)鎖RNAウイルスであり,HCVと同様にフラビウイルス属に属していると考えられている.また,HGVは輸血など血液を介して感染する血液伝搬性ウイルスであることは確認されているが,病原性,ウイルスの増殖部位などの詳細に関しては不明であり,特に肝疾患との関連に関しても多くの問題点が提起されている.

インスリン抵抗性改善剤

著者: 梶沼宏

ページ範囲:P.1087 - P.1090

■インスリン抵抗性とは
 かつては1日のインスリン必要量が100単位以上の糖尿病患者はインスリン抵抗性があると考えられ,そのような症例はある種の遺伝性疾患や特殊な病態に伴う極めてまれな場合と考えられていたが,近年,糖尿病の病態の研究が進むと,一般的なインスリン非依存型糖尿病でもインスリン分泌不足ばかりでなく,大なり小なりインスリン抵抗性のあることが明らかになってきた.インスリン抵抗性とは,インスリンの絶対量は不足していないのに,その効果が十分に発揮されないことを指すが,インスリン不足の場合と同様に高血糖をきたし,糖尿病を発症する(図1).
 一方,耐糖能異常の程度とは関係なく,動脈硬化をきたしやすい症候群が注目されるようになり,syndrome X,deadly quartet,内臓脂肪症候群などと呼ばれているが(表),耐糖能異常,脂質代謝異常,高血圧症などの動脈硬化の危険因子の原因としてインスリン抵抗性が関与していると考えられている.そこで,これらは“インスリン抵抗性症候群”と総称されている.

フローサイトメトリーによる細胞表面抗原定量化の試み

著者: 池田忠子

ページ範囲:P.1090 - P.1092

はじめに
 細胞生物学の飛躍的な発展は測定技術の進歩に負うところが大きい.その1つにフローサイトメトリー(flow cytometry;FCM)の開発がある.FCMにより細胞のさまざまな生物学的特性が単細胞レベルで迅速かつ的確に分析できるようになった.FCMは臨床的にもすでに広く利用されており,特に蛍光標識モノクローナル抗体(monoclonal antibody;MoAb)を用いた細胞表面抗原の解析は,白血病など造血器腫瘍や免疫疾患などの診断に大いに役だっているが,解析過程で得られる各種情報,すなわち前方散乱光(forward light scatter;FSC)や蛍光強度(fluorescence intensity;FI)などの情報は,細胞選別や抗原検出に利用される程度にとどまり,その臨床的意義や相互関係については十分な検討はなされていない現況にある.細胞当たり抗原量を反映するFIと細胞サイズ(FSC)との関連についての研究は,検索した限りでは,急性リンパ性白血病共通抗原(common acute lymphoblastic leukemia antigen;CALLA)発現に関するLookらの報告1),巨核球上の糖蛋白発現に関するTomerら2)の報告など比較的少数である.

HCV感染症における糸球体腎炎

著者: 金井達也

ページ範囲:P.1092 - P.1095

はじめに
 今日,糸球体腎炎の発症には,抗原抗体複合物の糸球体内沈着など,免疫学的機序が関与すると考えられているが,その惹起抗原や糸球体障害の詳細なメカニズムなどにはいまだ不明な点が多い.1989年,C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)の検出法が開発されて以来,HCV感染に伴う糸球体障害が報告され,その発症にはクリオグロブリン(cryoglobulin;CG)を介したHCVの関与が示唆されており,新たな腎炎惹起抗原による特異な糸球体障害機序として注目されている.
 本稿では,このHCV関連腎症という疾病概念が提唱されるに到った経緯を述べるとともに,本症における現時点での検討課題について概説する.

けんさ質問箱

Q 上腸間膜動脈症候群の超音波所見

著者: 林仁守 ,   安田建郎 ,   山下安夫 ,  

ページ範囲:P.1049 - P.1050

 上腸間膜動脈症候群(superior mesenteric artery syndrome;SMA syndrome)における十二指腸の第3,4部位の位置,また十二指腸,大動脈,上腸間膜動脈の構築につきまして,SMA syndromeのエコー写真などを加えてご教示ください.

Q 脳血管障害における心電図変化

著者: 石川敏仁 ,   浅利潤 ,   児玉南海雄 ,  

ページ範囲:P.1050 - P.1052

 脳梗塞や一過性脳虚血発作の患者の心電図で,ST低下やgiant negative T波など虚血性心疾患のような変化がみられますが,脳の疾患が心筋に与える機序についてご教示ください.

今月の表紙

血球計数装置の研究的利用

著者: 巽典之 ,   樋口智子

ページ範囲:P.1017 - P.1017

 女性だけでなく,男性でも最近は体重と肥満度にやたら関心を示すご時世です.体脂肪量は体重とは違う意味があるとのことで,健康診断でその測定値が記され,その結果を見て,去年より増えた,減ったと一喜一憂しているようです.さて,その体脂肪率の簡易計測には,皮脂厚法,近赤外分光法,立位生体インピーダンス(BIA法),二重X線吸収法(DEXA法)などがありますが,患者への負担,再現性,経済性などの点でBIA法が最も優れているものの,早朝・運動・発汗・飲酒時にバラツキが生ずるので,昼食後2〜3時間ごろが最適測定時となっているようです.
 さて,血球計数装置の血球容積原理もやはりインピーダンス法と呼ばれていて,その計測精密性と正確性は極めて素晴らしいことは読者諸兄姉がよくご存じでしょう.このインピーダンス法の優秀さを活用することで,血球計数装置を血球膜物質輸送能分析装置として転用できます.その一例として,赤血球膜の糖輸送能の検討例を紹介してみましょう.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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