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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術25巻4号

1997年04月発行

雑誌目次

病気のはなし

出血性大腸菌感染症

著者: 川村智行 ,   西本佳代

ページ範囲:P.308 - P.313

新しい知見
 病原性大腸菌O157:H7の脅威はその診断法を進歩させた.近年はDNA解析により病原菌の遺伝子を同定することで診断に用いられるようになった.従来の方法では,検体保存条件が悪い場合など病原菌が死んでしまっていて同定することは不可能であった.さらに培養に長時間を要することは治療法の決定や公衆衛生的に感染拡大の防止のうえでも問題である.その点,DNA診断を用いると,菌由来のDNAが検体の中に存在する限りは同定が可能である.PCR法でDNAを増幅することで感度を上げ,さらに検査時間を短縮することができるようになった.また,毒素をコードしている遺伝子や薬剤耐性をコードしている遺伝子を同定することで病原菌の性格や病態まで予想することができる.今回O157に対してのDNA診断法が多数開発・改良された.

技術講座 生化学

ミオグロビン,心筋ミオシン軽鎖Ⅰ,心筋トロポニンT

著者: 石井潤一 ,   石川隆志

ページ範囲:P.315 - P.321

新しい知見
 急性心筋梗塞の早期診断と再灌流療法の治療効果の判定には細胞質蛋白で,分子量が小さく,しかも迅速測定が可能なミオグロビンが有用である.発症から数日を経過した症例の診断や心筋梗塞量の推定には構造蛋白であるトロポニンTやミオシン軽鎖Ⅰの測定が,微小心筋傷害の診断には心筋特異性の高いトロポニンTの測定が適している.それぞれの生化学的マーカーの特性を理解し,臨床上の目的に応じて使い分けることが重要である.

免疫

アレルギー特異的IgG4抗体検出法

著者: 石井彰

ページ範囲:P.323 - P.328

新しい知見
 抗原特異IgG4抗体は遮断抗体とアナフィラキシー抗体の相反する役割が報告されている.わが国では減感作療法との関係で,アレルギー反応を阻止する遮断抗体としての役割が比較的重視されているが,1995年のアメリカアレルギー学会では,現時点ではIgG4抗体の測定をアレルギー性疾患患者の診断や治療の一部とすべきではないとしている.その測定意義は今後の研究により明らかになってくると思われる.

血液

好中球形態異常の見かた

著者: 東克巳

ページ範囲:P.329 - P.333

新しい知見
 好中球の形態異常における先天性異常については従来からの知見とほぼ変わりはないようである.
 後天性異常では白血病をはじめ種々の抗癌剤が開発され,また,その薬理作用も多様なため好中球形態にも変化をきたすことが多くなったようである.特に代謝拮抗剤によるDNA合成阻害や葉酸拮抗などで著明である.また,本稿では取り上げなかったが,白血病の分化誘導剤使用時には成熟好中球内にアウエル小体を認めることにもしばしば遭遇するようになった.

微生物

新しい腸管寄生原虫の検査

著者: 井関基弘

ページ範囲:P.335 - P.341

新しい知見
 最近,腸管寄生原虫症が世界的に注目されている.日本でも,水道汚染によるクリプトスポリジウム症の大規模な集団発生が起こったり,旅行者下痢症の原因としてランブル鞭毛虫症,メニール鞭毛虫症,腸トリコモナス症などの症例も増えているし,サイクロスポーラのように最近になって原虫であることが判明したものもある.微胞子虫症もエイズの日和見感染症として重要視されている.
 診断は糞便材料から虫体を証明すれば確定するが,それぞれの虫種に適した方法を実施しなければ検出できない.例えば,クリプトスポリジウムは従来のホルマリン・エーテル法や直接塗抹法では検出不可能で,ショ糖遠心沈殿浮遊法や抗酸染色法が必須であるし,サイクロスポーラは蛍光顕微鏡で自然蛍光を観察したり,試験管内で約1週間発育させてみる必要がある.

病理

病理におけるコンピュータの活用

著者: 宇於崎宏

ページ範囲:P.343 - P.348

新しい知見
 従来から日常の病理業務にはコンピュータが広く用いられている.患者情報や検体情報,診断情報をコンピュータで処理することで,省力化,ミスの減少,診断や研究の補助など大いに役だっている.最近では,診断情報の1つとして,マクロや顕微鏡などの画像もコンピュータ上に蓄える傾向にある.また,ハイビジョンなどの画像を利用し,遠隔地からの病理診断も行われている.これらの電子画像は,医療の質の向上,医学の発展の一助となっている.インターネットを利用した最新情報の入手も欠くことができない.病理でも情報の電子化は必須の事項といえよう.

生理

狭心症の心電図

著者: 斎藤靖浩

ページ範囲:P.349 - P.356

新しい知見
 狭心症の診断には,心電図,心エコー,核医学,心臓カテーテルなどが用いられている.
 心電図による診断は,他の検査法から得られた心筋虚血の所見と対比され,進歩している.運動負荷心電図による心筋虚血の判定には従来ST低下が重視されてきたが,検査の対象により特異度が低下する.そこでST低下の有無のみでなく,ST下降の形態,心拍補正に基づくST偏位の解析や,T波とU波の変動パターンに注目することが大切である.

日常染色法ガイダンス 一般的な日常染色法

ギムザ染色

著者: 松本荻乃

ページ範囲:P.357 - P.359

目的
 ギムザ染色は,細胞質,特に顆粒の性状,核クロマチンパターンなどの観察に適しており,種々系統の,各成熟段階の細胞を区別する目的で,血液や骨髄などの塗抹標本の染色として極めて有用な染色法である.骨髄やリンパ節などの造血組織の薄切切片にも同様の目的で従来から用いられてきた.
 染色にはいくつかの方法があるが,その中ではPappenheimが提唱したMay-Grünwald液とGiemsa液を用いたギムザ二重染色法は,骨髄組織標本でも塗抹標本の染色に匹敵するほど良好な結果が得られ,広く行われている.

検査報告書の書きかた 血液検査・1

赤血球—正しい検査報告書の書きかたとその際の留意点

著者: 巽典之 ,   田窪孝行 ,   津田泉

ページ範囲:P.364 - P.368

はじめに
 血液検査は一般血液検査,止血・凝固検査,特殊検査に大別できる.そのうち,一般血液検査では赤血球・血小板系測定値と白血球・白血球分類が基本検査項目であり,それらは全自動型血球計数装置でもって計測が行われているのが現状である.臨床検査において,臨床医との接点は検体の受け取りと1枚の報告害であり,このわずかな機会でもって医師に高質で,かつ十分検討された測定結果を伝えるとともに検査室の検査への最大限の努力に対する理解を求めることになる.このためには1枚の報告書に対しても,限られた枠の中で検査室が知り得た検査情報が十二分に盛り込めるように,細心の配慮が求められることになる.今回は限られた誌面であるので,血球計数装置としてわが国で繁用されている東亜医用電子社の赤血球系を中心とした測定結果を実例として記述することにする.

検査データを考える

血中エンドトキシン

著者: 大林民典

ページ範囲:P.369 - P.373

エンドトキシンとは何か?
 エンドトキシンとは,大腸菌や腸チフス菌などのグラム陰性菌の表面を覆っている高分子で,多糖鎖(ポリサッカライド)と脂肪(リピド)からできている.そこでエンドトキシンのことをリポ多糖またはリポポリサッカライド(lipopolysaccharide;LPS)ともいう.細菌の表面を形作っているものは細胞壁であるが,グラム陰性菌と陽性菌とではその様子がずいぶん違う.グラム陽性菌の場合,細胞壁の大部分は厚いペプチドグリカン層からできているが,グラム陰性菌の場合,ペプチドグリカン層は薄く,その代わり,さらにその外側に外膜と呼ばれる構造物を持っている.この外膜に対して,形質膜のことを内膜という.内膜はリン脂質の2重層であるが,外膜もやはり2層構造になっていて,内側のリン脂質層を内葉,外側のリポ多糖層を外葉という.エンドトキシンとは,この外葉の大部分を構成しているリポ多糖のことである(図1).

検査法の基礎検討のしかた 血液検査・3

凝固検査—[2]抗原量測定のための免疫学的測定法

著者: 島津千里

ページ範囲:P.375 - P.380

 凝固因子の抗原量測定は凝固時間法や合成基質法に比べ,日常検査としてはさほど普及していない.これらの検査法は生化学や血清検査で実施されている,ホルモンや免疫成分の測定原理を応用して開発され,これらと共通の自動分析器で実施されているものが多い.したがって,新規の測定試薬や機器を導入する際の評価方法もこれらに準じて行われている.
 本稿ではできるだけ免疫検査の項との重複部分を省き,血液部門に特徴的な点を中心に解説する.なお,統計的手法などは本シリーズの血清検査に関する論文を参照していただきたい.

ラボクイズ

問題:呼吸機能検査

ページ範囲:P.362 - P.362

3月号の解答と解説

ページ範囲:P.363 - P.363

オピニオン

検査の成熟化

著者: 植田寛

ページ範囲:P.314 - P.314

●検査を取り巻く環境変化
 検査を取り巻く経営環境は,これまで経験したことのない,従来の手法が通用しない厳しい構造不況の様相を示している.環境の変化を考えるうえで,主要なポイントを3つ挙げる.①検査のマルメ化:検査室の運営上多大な影響を与えたのが,検査のマルメ化であり,強化されればされるほど,外注に絞り出される院内検査が増加する.そしてこの背景には,そうせざるを得ない,国による医療費抑制策の強化,検査浸けと批判の高い検査差益の存在,出来高払いの見直しなど,医療の抱える構造的問題が存在する.②技術開発の停滞:保険収載項目は,トータルで増加はしているものの,実際には似たような項目が増えているだけで,次代をリードするようなブレーク・スルー技術が育っていない.唯一,遺伝子検査の新しい技術に期待がかかるが,収入の面からはいまだ微々たるものである.③検査の情報化:基本的に情報化とは,“物を動かす社会”から“情報をやり取りする社会”に変化が進むことを示している.検査の現場でもベルトラインシステムの導入などで,2〜3名の技師で生化学件数の80%程度をほとんど直接手を触れずに処理可能となり,検査をするという部分の比重はますます軽くなった.多量に生み出されるデータを前に,臨床検査は“情報処理検査”といった姿に変貌した.

けんさアラカルト

リポソーム免疫比濁法によるCRPの測定法

著者: 上野貴久

ページ範囲:P.322 - P.322

 汎用生化学自動分析機を用いた免疫測定試薬は,検体と試薬を混ぜるだけで機械が自動的に測定するという操作性の簡便さや,迅速性に加えて多項目が一度に測定できることから数多くの試薬が販売されている.なかでも,免疫血清分野のラテックス凝集法は,抗原抗体反応に依存したラテックスの凝集を透過光の減少として測定する方法であり,多くの項目が試薬化されている.しかし,ラテックスを用いた試薬はその担体表面の疎水性が高く,物理強度が強いために測定機器の反応セルを傷つけやすい問題があった.そこで今回,担体表面が親水性であり,測定機器への影響が少ないと考えられるリポソームを用いてCRP測定用試薬を開発したので,ラテックス試薬との比較を中心に報告する.
 リポソームとは,図1に示すように両親媒性のリン脂質が親水部分を外側に疎水部分を内側に向けた二重層構造の小胞体であり,一般的には生体膜の構成成分であるリン脂質とコレステロールから調製される.そして,抗体のリポソーム表面への固相化にはアミノ基を導入したリポソームを調製し,これに二官能性試薬を用いて抗体を共有結合させる.これにより,リポソーム表面と共有結合された抗体間には一定の距離が生じるために,一般的に担体凝集系で問題となる担体表面電位による反応阻害を受けにくくなることや,感作された物質の自由度が大きいために反応性が良くなるなどのメリットが得られる.

トピックス

微量残存白血病

著者: 平井久丸

ページ範囲:P.381 - P.384

■微量残存白血病
 白血病は比較的未熟な造血細胞の腫瘍化であり,通常単クローン性である.急性白血病の診断時には成人の場合,1012個程度の白血病細胞が体内に存在する.化学療法で完全寛解に導入された場合にも,白血病細胞は1010個程度は体内に残存している.骨髄移植などによりさらに治療された場合でも,白血病細胞は107から108個程度は体内に残存するといわれる.したがって,白血病細胞がどの程度残っているかをモニターすることは,治療効果の判定,治療方針の決定,予後判定にとって重要な問題である.このように,治療後に白血病細胞が少量残存する状態を微量残存白血病(minimal residual disease;MRD)という.白血病は通常,遺伝子変異に基づく細胞の単クローン性増殖の病態をとるため,原因遺伝子変異や免疫系遺伝子再構成を利用して,単クローン性白血病細胞の残存状態をモニターすることができる.
 白血病に対する微量残存白血病の診断はさまざまな観点から進められており,方法論としても各種の技術が取り入れられている.白血病は大別してリンパ性白血病と非リンパ性白血病に分類される.この分類には免疫グロブリン遺伝子およびT細胞抗原受容体遺伝子を用いる診断法が有用である.リンパ球ではB細胞およびT細胞の分化の初期に,それぞれ免疫グロブリン遺伝子およびT細胞抗原受容体遺伝子が再構成されることが知られている.

CTスキャンによる体脂肪測定法

著者: 新井武志 ,   松沢佑次

ページ範囲:P.384 - P.387

はじめに
 肥満とは「身体に占める脂肪組織(体脂肪)が過剰に蓄積した状態」であり,糖尿病,高脂血症,高血圧症,虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞),脳血管障害(脳出血や脳梗塞)などの成人病を合併しやすいことはよく知られた事実である.体脂肪の測定は従来,水中体重法によって体比重を測定する方法や3H2Oにより体水分量を計算する方法,また体内カリウムによりlean body mass(LBM,体の構成成分のうち脂肪組織以外の部分)を求める方法,皮下脂肪厚をキャリパーや超音波によって計算する方法などがあり,また最近ではインピーダンス法,CTスキャン1)やMRIによる方法,DEXA(dual energy X-ray absorptometry)による方法などが行われている.
 一方,1940年代,フランスのVagueらが肥満者の体型と臨床像との関連に注目して以来,脂肪量の量的な増加よりも,脂肪の付きかたの質的差異(脂肪分布,どこに脂肪が蓄積しているか)がより重要であることが明らかとなっている.例えば,糖尿病などの合併症の頻度は肥満度が高くなるほど増加するが,個々の例をみると,その程度(重症度)は必ずしも肥満度と一致せず,脂肪分布と強く関係している.言い換えれば,肥満は脂肪分布を検討することで,臨床上あまり問題のない良性肥満と種々の合併症を持つか,あるいは将来合併する可能性の高い悪性肥満に分けられる2,3)

出現実績ゾーン法による検査結果検証

著者: 千葉正志 ,   堀本光

ページ範囲:P.388 - P.390

■出現実績ゾーン法の位置づけ
 臨床検査の精度管理には,管理血清や患者試料測定値の統計的処理による内部精度管理,各種の機関が実施している外部精度管理,さらには患者試料測定値の個別管理がある.これらの内部精度管理および外部精度管理方法は,系統的誤差の検出には強力な威力を発揮し,臨床検査の正確度や精密度の精度向上に大いに貢献している.
 一方,個別管理は臨床検査結果の信頼性を検証する方法であり,NosanchuckとGottmann1)がデルタ・チェック法を提唱したことに始まり,現在では異常値チェック,特定項目の組み合わせによる相関チェツク,同一患者の過去データと比較するデルタ・チェツクなど2〜10)が実施されている.個別管理法は検体取り違いや分析中の偶発誤差による検査過誤の検出に有効と考えられ多用されており,その個別管理法として新しく開発されたのが出現実績ゾーン法11〜13)である.

アクリノール製剤の細菌汚染

著者: 尾家重治 ,   神谷晃

ページ範囲:P.390 - P.392

はじめに
 消毒剤は微生物を殺菌する目的で用いられるので,消毒剤の微生物汚染はあり得ないと考えられがちである.しかし,実際にはグルタラール(ステリハイド®,サイデックス®),次亜塩素酸ナトリウム(ミルトン®,テキサント®),およびアルコールを除いて,消毒剤は高濃度の細菌汚染を受けることがある1,2).今回は,消毒剤の細菌汚染例のうち,市販アクリノール製剤の汚染について紹介する3)
 B. cepacia汚染を受けていた0.2%アクリノールガーゼ液から0.05mlずつを採り,8種類の試料(0.1,0.2,0.5%アクリノール液,精製水,およびこれらの4種類の液にそれぞれガーゼを添加したもの)に注加して,経時的にこれらの8種類の試料中の生菌数を調べた(図2).ガーゼ添加の0.1,0.2,0.5%アクリノール液およびガーゼ添加の精製水では,いずれもB. cepaciaの速やかな増殖がみられた.すなわち,ガーゼが汚染菌の栄養源となっていることが推定された.アクリノールガーゼ液の高頻度汚染は,ガーゼの添加に起因することが推定された.

PSAは前立腺癌のスクリーニングに役だったか?

著者: 冨田京一 ,   河邉香月

ページ範囲:P.392 - P.394

はじめに
 前立腺癌は欧米では男性の中で一番罹患率が高く,その診断方法と治療が非常に注目されている.本邦においても,泌尿器科癌の中では一番罹患率が高く増加傾向にあり,関心が高まってきている.
 前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)は前立腺上皮細胞で産生される単鎖糖蛋白で,237位のアミノ酸と4個の炭水化物側鎖によりなり,その分子量は34kD(キロダルトン)と算定される.このPSAをコードする遺伝子は常染色体の19番目に存在する.PSAの働きはカリクレイン様作用を持っセリン・プロテアーゼで,通常,精液中に分泌され,精液が凝結した後,その融解に働く.血中にも出現し,その半減期は2.2±0.8日または3.2±0.1日といわれている.従来,前立腺癌の腫瘍マーカーは前立腺酸性ホスファターゼ(prostate acid phosphatase;PAP)であったが,近年はPSAにとって代わられている.その理由の第1はPSAは臓器特異性が高いことで,他臓器由来の酸性ホスファターゼとの交差反応をその測定上,示さない点である.PSAと並んで,同一蛋白であるγ-セミノプロテインがあるが,これはα1-アンチキモトリプシンと結合しないフリーのPSAを測定しているとされ,結合している部分が測定できないためPSAに比べると頻用されていない.

けんさ質問箱

Q 巨核球の形態と血小板生成能検査

著者: 寺田秀夫 ,  

ページ範囲:P.395 - P.396

 血液疾患の分類診断や病態の変化を知るために行われる髄液穿刺液検査の中で,特に巨核球の形態と血小板生成能検査についてご教示ください.

Q CRPのコントロール

著者: 亀子光明 ,  

ページ範囲:P.396 - P.398

 CRPのコントロールにはどんなものがあるか教えてください.

今月の表紙

尿検査自動化

著者: 巽典之

ページ範囲:P.360 - P.360

 日本列島は地震でガタガタ,政治はドタバタ,医療政策は高齢者人口の増加でフラフラし,これに揺り動かされる検査の進歩はモタモタしている現状にある.検査のシステム化,自動化も1つのピークを迎えた今,各企業が探し求めているのは“一定の市場需要が見込めて,しかも臨床的意義の高い新しい検査”であろう.それを受けて開発競争になっている代表的なものの1つがDNA分析であり,それは細菌検査から血液細胞分析へと流れている.
 隠れたニュートレンドとしては尿検査の自動化システムがある.以前の尿検査は試験紙検査が主流であり,顕微鏡的沈渣分析は“再現性の不確かさ”から臨床医の信頼に十分応えきれないものであった.そこで,精密性と迅速性を求め,それまで不可能と考えられていた尿沈渣解析の自動化を求めた機器の開発が開始された.最初は顕微鏡的方法を踏襲したパターン認識機としてフローセル下で細胞形態をコンピュータ解析するものであり,現在2社から発売されて,図左がその一機種の分析結果ディスプレイである.画像分析方式は,細胞像のスキャニングに時間がかかり,結果として処理速度が遅くなる.このことから蛍光フローサイトメトリーで沈渣を解析しようとして完成されたのが図右に示してあり,1分で精密測定できる.これでもって数的・質的分析をし,病的細胞の存在が光学的に疑われる検体を顕微鏡で再検査する方法が勧められる.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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