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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術27巻4号

1999年04月発行

雑誌目次

病気のはなし

ウイルス性髄膜炎

著者: 岩田敏

ページ範囲:P.324 - P.328

新しい知見
 ウイルス性髄膜炎の主要な原因ウイルスであるエンテロウイルスのうち,エンテロウイルス71型は手足口病の原因ウイルスとしても知られている.手足口病はコクサッキーウイルスA16型,A10型,エンテロウイルス71型を原因ウイルスとし,乳幼児,小児に流行する急性発疹性疾患で,その名のとおり,手と足と口腔内に皮疹,粘膜疹が出現する疾患である.一般に軽症であるが,1997年にマレーシアでの流行の際に多数の死亡例が報告され,その後台湾,大阪でも同様の症例が報告されたため問題となっている.いずれもエンテロウイルス71型が関与している可能性が高く,肺水腫を伴う急性呼吸不全から心肺停止に陥っている.髄液細胞数増多を伴っている症例が多く,脳幹脳炎などの重篤な中枢神経系合併症も認められた.手足口病の流行に際しては今後も十分な注意が必要と思われる.

技術講座 生化学

無機リンの酵素的分析法

著者: 北尾政光 ,   深田靖彦

ページ範囲:P.331 - P.336

新しい知見
 従来,無機リン測定にはリンモリブデン酸還元法が用いられていた.多量の有機リンが共存する血球中または組織中の無機リンの定量には,還元剤として色素の一種であるマラカイトグリーンを用いる方法があるが,器具などに色素が付着する難点があった.また,還元物質などの共存物質が多量に共存する尿中の定量にも問題があり,尿の希釈が必要であった.酵素的測定法では,無機リンに特異的に反応するため,有機リン共存下でも,正確に無機リンを定量することが可能となった.また,直線性が伸び,原尿でも還元物質などの共存物質の影響を受けずに測定が可能となり,腎疾患,副甲状腺機能,骨疾患などの診断・治療の精度を高めるうえでより有用となってきている.

微生物

腸球菌の同定法

著者: 大野章

ページ範囲:P.337 - P.342

新しい知見
 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の出現と動物飼 料薬との関係
 最近,グリコペプチド系に属する家畜成長促進剤アボパルシンの長期にわたる使用がVREの出現に関係しているのではないかとの指摘が相次いでいる.その証拠として,ヨーロッパを中心にvanA遺伝子保有VREが家畜家禽の糞便から多数分離されている.そして一方で,下水などの環境からもVanAタイプVREが検出されている.
 これらの事実は,環境から家畜家禽類の腸管内に一過性に定着したvanA保有VREが,飼料中に含まれるアボパルシンによって選択増殖し糞便内に排泄され,さらにこれが環境を汚染するサイクルが成立していることを示唆している.また食肉からもVREが分離されており,VRE汚染食肉を介して再びヒトの腸管内に定着する食物連鎖の可能性も考えられている.このためヨーロッパでは一部の国でアボパルシンの使用は禁止,または制限されており,日本でも最近アボパルシンの使用が禁止されている.

生理

MRI検査法

著者: 佐藤光也

ページ範囲:P.343 - P.351

新しい知見
 近年,MR装置のハードおよびソフト両面にわたる技術進歩により,画質の向上,あるいは検査時間の短縮が可能となり,従来の存在診断や質的診断を含む形態診断だけでなく,臓器の機能診断にも応用可能となり,多種多様な方法が報告されている.特に超高速撮像法として提唱されていたEPI(echo planar imaging)が臨床で使われるようになり,脳機能画像(functionalMRI,図1),拡散強調画像(diffusion weighted image),血液灌流画像(perfusion image)が最近の技術として,あるいはMTC(magnetization transfer contrast)がMR画像に新しくコントラストを加える方法として報告され,頭,腹部,心臓などの領域で臨床応用されている.

一般

尿沈渣のための免疫細胞化学的染色法

著者: 川辺民昭

ページ範囲:P.353 - P.360

新しい知見
 免疫染色(酵素抗体法)は病理細胞診部門などで日常検査として用いられているが,尿沈渣を対象とした一般検査の領域においても利用され始めている.
 現在,免疫染色はアビジン(またはストレプトアビジン)とビオチンの反応を利用したLSAB法やABC法が多く使用されているが,近年,比較的操作の簡便な高感度間接法(ENVISION法)や高感度直接法(EPOS法)が開発され,一般検査部門でも免疫染色が行われやすくなってきている.

日常染色法ガイダンス 多糖類の日常染色法—複合糖質(ムコ物質)の染色法

コロイド鉄染色(Mowry変法)

著者: 田村邦夫

ページ範囲:P.365 - P.368

目的
 本染色法は酸性粘液多糖類を染める染色法である.酸性粘液多糖類が鉄イオンとの間に親和性があることは古くから知られていた.本染色法は酸性粘液多糖類に結合したコロイド状の水酸化第二鉄がフェロシアン化カリウムと反応としてプロシア青を生成する化学反応を利用するものである.この反応はHale反応と呼ばれ,Fe2+とは反応せずにFe3+と鋭敏に反応するため,Fe3+に対する特異性が高いとされている.
 一方,生体内で鉄はその大半は蛋白質などと結合して仮面鉄の形で存在しているため,鉄イオンとして遊離しているものは少ないとされている.このことから,鉄イオンを染め出すことによって間接的に酸性粘液多糖類を染め出す反応原理であるが,生体中で遊離鉄イオンの分布が少ないことから,本染色の陽性部は酸性粘液多糖類である確率が高くなることになる.ただし,肺などに見られるヘモジデリンを貪食した組織球は塩酸フェロシアン化カリウムと直接反応して偽陽性所見を示すものがある.これを除外するため,コロイド鉄液と反応させず,塩酸フェロシアン化カリウム液の操作から,反応させたコントロール切片で陽性部分が酸性粘液多糖類とは異なるものであることを確認しなければならない.

多糖類の日常染色法—酸性粘液多糖類の染色法

高鉄ジアミン-アルシアン青pH2.5重染色

著者: 羽山正義 ,   百瀬正信 ,   小野謙三

ページ範囲:P.369 - P.373

目的
 高鉄ジアミン-アルシアン青pH2.5(high irondiamin-alcian blue pH2.5;HID/AB pH2.5)重染色法は,同一切片上で酸性ムコ物質のカルボキシル基と硫酸基を同時に検出することを目的とする方法である.すなわち,主として上皮性粘液細胞の分泌する粘液に存在するシアロムチンとスルフォムチンの鑑別や,間質組織の構成成分であるプロテオグリカンを,硫酸基を有するコンドロイチン硫酸,ヘパラン硫酸およびケラタン硫酸などと,硫酸基を有しないヒアルロン酸とに識別するのに用いられる.
 ところで生体内の酸性ムコ物質は,粘液細胞の分泌するムチン,刷子縁,2型肺胞上皮,線毛上皮,乳腺導管上皮,頸管円柱上皮などの膜に特に多く見られ,surface coatやfuzzy coatなどと呼ばれる糖蛋白質と,結合組織,軟骨,滑膜,椎間板,心弁膜,大動脈,臍帯などに存在するプロテオグリカンに分類される.これらの多くはカルボキシル基または硫酸基,あるいは両者を含有するため,アルシアン青などの塩基性色素により検出することができる.

検査データを考える

汎血球減少症

著者: 奈良信雄

ページ範囲:P.375 - P.379

はじめに
 汎血球減少症とは,血球成分である赤血球,白血球,血小板のいずれもが減少した病態をさし,単一の疾患を意味するわけではない.
 白血球が著しく減少すると重症の感染症を引き起こし,血小板が高度に減少すれば脳出血や消化管出血など出血傾向を発症する.いずれも致命的になることがあり,汎血球減少症は危険な状態といえる.このような汎血球減少症をきたす原因疾患は,表1に示すように種類が多い.しかも再生不良性貧血や急性白血病など,極めて重症の疾患が含まれている.

検査の作業手順を確立しよう 生化学検査・5

ビタミン類の検査—HPLCによるビタミンB1測定を中心に

著者: 石黒紀昭

ページ範囲:P.380 - P.384

はじめに
 現在,ビタミンの測定は蛍光法,高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography;HPLC),ラジオイムノアッセイ法(radioimmunoassay;RIA),化学発光免疫測定法(chemiluminescent immunoassay;CLIA),競合性蛋白結合分析法(competitive proteinbinding assay;CPBA)など,目的物質により種々の方法で行われている1,2)
 本稿では,HPLCによるビタミンB1の測定を例にして,検査の作業手順の標準化について述べる.一般的に,衛生検査所の登録やCAP(College of American Pathologists)の認定取得に際しては,検査標準作業弄順書(standard operation procedure;SOP)や機器保守管理標準作業手順書(manual;ML)の配備と,手順書にのっとった検査を実施し,それを裏付ける証拠としての作業および品質記録の保持が求められる.HPLCなどの汎用分析機器による検査法では,機器の取り扱い,検体の前処理,データ処理などに検査員の経験やノウ・ハウに属する事項も多く含まれる.

機器性能の試験法 血液ガス測定装置の性能確認試験法・1

pH

著者: 福永壽晴

ページ範囲:P.385 - P.391

はじめに
 pHの測定はPCO2とともに酸-塩基平衡障害評価のための指標として,日常臨床だけではなく,緊急時におけるプライマリケアのための重要な検査として,その需要はますます増える傾向にある1〜3)
 一方,マイクロプロセッサーに代表される高度のエレクトロニクス技術の導入により,血液ガス測定装置は測定精度や操作性が飛躍的に向上しており,装置の較正や洗浄,電極応答の読み取りタイミングなど,従来は熟達した技師が行っていた作業のほとんどが自動的に行われるので,オペレーターは試料を装置に注入するだけでよく,数分後には結果が画面に表示され,報告書もプリントアウトされる.

ラボクイズ

問題:肝機能検査【1】

ページ範囲:P.362 - P.362

3月号の解答と解説

ページ範囲:P.363 - P.363

オピニオン

これからの検査部運営—量から質への転換

著者: 木口良章

ページ範囲:P.330 - P.330

 民間病院の技師長としてこのような場で意見を述べる機会を与えられ,これが何年か前であればよかったのにと思う.変化は緩やかであれば,それに順応することができるが,ドラスティックであれば多くの混乱と痛みを伴うものである.医療保険制度の改革が叫ばれている中,この変化は1987年に国民医療総合対策本部がまとめた“中間報告”が下敷きとなって始まっており,“質の良い”医療サービスを“効率的に”供給していくためのシステムづくりが,これからの医療改革の基本と記されている.何とか順応できた今までは,まだ緩やかな変化のときであり,21世紀に向けて,診療報酬支払い方式にも,出来高払いから疾患群別包括支払い方式(DRG)へと,急激な変化が起ころうとしている.今まで業務量を増やすことを考えてきた検査部にとって,検査数を必要最小限に抑えること,経営面から考えれば,できるだけ検査しないほうがよいとなると,今後の検査部運営をどうするか,その方法を真剣に考えている.
 高度先進,急性期医療の現場において,臨床検査の必要性は今後とも変わることはないし,確定診断を行う客観的な情報としての重要性が失われるわけではない.しかし,今後どの病院でも高度先進,急性期医療ができるわけではない.医療施設機能の体系化が進んでいるのである.所属している病院が,どのような機能で今後の医療を展開しようと考えているのか,しっかりと把握する必要がある.

けんさアラカルト

尿蛋白の保存容器への吸着による影響

著者: 原文子

ページ範囲:P.374 - P.374

はじめに
 尿中微量蛋白のアルブミン,トランスフェリン,そしてβ2-ミクログロブリンなどが種々の疾患での早期診断の指標や病態の把握,予後の判定に役だつことから,近年,測定されるようになった.尿検体の保存については多くの場合,保存温度は一昼夜程度の短期間ならば冷蔵庫保存,やや長期になれば-20℃あるいは-80℃に凍結保存することが多いと思われる.筆者らは保存温度や保存期間などにより,尿中微量アルブミンの測定値が低下することを報告1)している.そして,測定値が低下する原因の1つとして,保存容器内面へ微量蛋白が非特異的に吸着されることを推測し,尿を保存した容器内面を直接,酵素免疫染色法による染色を試みたところ,アルブミン容器内面への吸着が明らかであった.そこで,保存によるアルブミン値の低下と容器内面への吸着との関連について紹介する.

トピックス

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

著者: 菅野治重

ページ範囲:P.398 - P.400

はじめに
 日本における感染症対策はこれまで明治30年に公布された“伝染病予防法”に基づいて施策が講じられてきた.しかし,医学・医療の向上,衛生水準の向上などによって,従来,伝染病として重要な存在であったコレラ,細菌性赤痢,猩紅熱,流行性脳脊髄膜炎などは患者数・死者数とも著しく減少した.その一方で,腸管出血性大腸菌感染症,エイズなど,新たに登場した感染症が大きな社会問題となってきた.このような感染症の変貌に対応するため“伝染病予防法”の大幅な改訂が渇望されていたが,ようやく1998年10月2日に“感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律”(以下新法と略す)が公布され,1999年4月1日から施行されることとなった.ここに新法の要点について解説する.

カンピロバクターとギラン・バレー症候群

著者: 古賀道明 ,   結城伸𣳾

ページ範囲:P.400 - P.403

はじめに
 ギラン・バレー症候群(Guillain Barré syndrome)は,急性に発症する四肢筋力低下や深部反射消失を主徴とする末梢神経疾患である.四肢筋力低下を急性発症する神経・筋疾患の中で最も頻度が高く,人口10万人あたり年間1〜2人の発症を数える.神経症状発現の1〜3週間前に,感冒様症状や下痢などの先行感染症状を多くの症例で認め(図1),感染因子として各種ウイルスや細菌が知られている.未治療でも1か月以内に神経症状はピークとなり,その後はしだいに軽快することから,従来は予後良好の疾患と考えられていた.しかし,1〜2割の患者は遷延化する筋力低下により寝たきりになるなど,必ずしも予後良好な疾患ではなく,積極的に治療を行うべきと考えられている.治療法として,患者の血漿成分を捨て,アルブミン製剤で補充する単純血漿交換療法が第一選択であり,発症後,より速やかに治療を開始することが,後遺症の軽減および罹病期間の短縮に有効である.
 本稿では,ギラン・バレー症候群の中でも,特に機能的予後が不良とされているCampylobacter jejuni腸炎後ギラン・バレー症候群に関して,臨床的特徴と血清学的な診断法について述べたい.

高血圧の予防,発見,診断および治療に関する米国合同委員会の第6次勧告(JNC6)

著者: 平田恭信

ページ範囲:P.403 - P.405

はじめに
 高血圧の治療に関するガイドラインにはいろいろあるが,米国合同委員会(Joint National Committee;JNC)のガイドラインは世界保健機関(WHO)/国際高血圧学会(ISH)のそれと並んで,内容が豊富で十分な根拠に基づいていて説得力があるので,大きな影響力を持っている.これまで約4年ごとに新しい勧告が出されてきて,今回(1997年11月)が6回目である.
 1988年に出された第4次勧告,いわゆるJNC4では有名な個別段階的降圧療法が提唱された(図1).これは,まず減量,減塩,節酒,運動などの非薬物療法を試みて,十分に降圧しない場合には利尿薬,β遮断薬,アンギオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)阻害薬,カルシウム(Ca)拮抗薬のうち,1剤を投与する.それでも降圧が不十分な場合は現在の薬を増量するか,第2薬を加える.それでもなお不十分な場合は第3薬をという具合いに,第4薬まで投与する方法である.このいずれかの段階で血圧が長期間コントロールできたら,今度はこの階段を降りていく,つまり薬を減らすことを考えるという方法である.現在もこの方法で降圧薬を投与している医師が最も多いのではないかと思われる.

NKT細胞

著者: 宮路智香子 ,   安保徹

ページ範囲:P.406 - P.409

はじめに
 リンパ球にはT細胞,B細胞,そしてナチュラルキラー(natural killer;NK)細胞というそれぞれに異なった機能を持つ3種類の細胞系列がある.ところが最近,NK細胞の抗原レセプターの1つであるNK1.1抗原を持つユニークなT細胞,すなわちNKT細胞の存在が明らかになってきた.NKT細胞は各リンパ組織にも少数存在するが,肝臓に最も多く,T細胞抗原レセプター(T cell receptor;TCR)Vα14など,非常に偏ったTCRレパートリーを発現し,機能的にもインターロイキン(interleukin;IL)-4やインターフェロン(interferon;IFN)-γを多量に産生することなどから,胸腺で分化,成熟する通常のT細胞とは異なり,胸腺外で分化する可能性が示唆されている1).一方,肝臓には胸腺由来のT細胞のほかに,CD3(αβ-TCR)の発現量が中等度(intermediate)で,NK細胞のマーカーでもあるIL-2レセプター(interleukin-2 receptor;IL-2 R)β鎖を常時発現している独自の細胞,intermediate TCR(int TCR)細胞が存在する2).これは胸腺を先天的に欠損したヌードマウスにも見られることなどから,胸腺外分化T細胞の1つであるといわれる.
 そこで,本稿ではNKT細胞とint TCR細胞の特徴および種々の疾患との関連性について紹介する.

けんさ質問箱

Q 重心動揺計の検査法

著者: 川手信行 ,  

ページ範囲:P.411 - P.413

重心動揺計はまだ検査している施設が少ないと思いますが,教科書,施設によって方法がさまざまで,統一されていないようです.検査に際して患者を測定する板の上に立たせるとき,かかと・つま先をぴったりつけて立たせるか,つま先を30°開いて立たせるか(些細なことですが)など,迷っている点が多々あります.正しい測定のしかたをご教示ください.(福岡市東区 生)
A 重心動揺検査は,直立起立姿勢に現れる重心動揺を重心動揺計を用いて記録し,その記録の観察,計測,解析によって,平衡障害の有無,程度の把握(平衡障害のスクリーニング),疾患経過の観察,治療効果の判定,病巣局在診断を行う検査です1,2)

Q 細菌検査における定量培養

著者: 三澤成毅 ,   小栗豊子 ,   T.S.

ページ範囲:P.413 - P.415

 最近,臨床側(医師)から菌量を調べるよう依頼されます.そこで,定量培養の意義と,現在推奨されている手法,またすべての検体に対して行う必要があるのかどうか,実施してはいけない検体などについてご教示ください.

今月の表紙

CAPD排液の検査

著者: 小栗豊子 ,   三澤成毅

ページ範囲:P.352 - P.352

 症例 患者は67歳,女性.心不全,低栄養,免疫不全状態にある.慢性腎不全のため人工透析を受けている.CAPD排液が混濁したため,腹膜炎を疑い,起炎菌検索のため,排液そのものと排液の一部を血液培養瓶に接種したものが提出された.
 材料の外観と塗抹検査:CAPD排液は著しく白濁し,沈殿物が認められた(写真1).CAPD排液のグラム染色では多数の好中球を認めるものの,細菌は陰性であった.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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