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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術30巻12号

2002年11月発行

雑誌目次

病気のはなし

梅毒

著者: 大西健児

ページ範囲:P.1284 - P.1287

新しい知見
 梅毒はTreponema pallidumの感染症で,重要な性病である.先天梅毒と後天梅毒に分けられ,後天梅毒はさらに第I期,II期,III期,IV期に分けられる.代表的な症状にはI期で初期硬結や硬性下疳,II期でバラ疹や丘疹性梅毒疹,III期でゴム腫,IV期で進行麻痺や脊髄癆がある.臨床症状と血清抗体価を組み合わせて診断される場合がほとんどで,血清抗体はSTS(serologic test for syphilis)法とTPHA(Treponemapalldum hemagglutination)法の両者を測定することが広く行われている.治療にはペニシリン系抗菌薬が用いられる.

技術講座 生化学

免疫グロブリン(G,A,M)の測定法

著者: 髙橋和男 ,   家入蒼生夫

ページ範囲:P.1289 - P.1297

新しい知見
 免疫グロブリン(immunoglobulin;lg)G,AおよびMの測定は,SRID法による用手法から免疫比朧法や免疫比濁法を利用した専用自動分析装置による全自動測定を経て,現在では汎用型(免疫反応以外の測定原理による項目を同時搭載可能)の自動分析装置による測定が主流となってきている.しかし,従来から一貫して変わらないのは,免疫反応(抗原抗体反応)による測定であり,目的lgの蛋白量を直接定量する方法は日常の臨床検査で行われていない.つまり,lgの免疫反応性に変化が生ずる特異(または異常)蛋白(M蛋白〔単一クローン性免疫グロブリン,monoclonal immunoglobulin〕やBJP〔Bence Jones protein,ベンスジョンズ蛋白〕,クリオグロブリン,パイログロブリンなど)は,正確な測定値を求めることができない.また,測定法(反応原理や抗lg抗体の種類)や用いる標準品により測定値に差が生じる.これらのことを理解したうえで測定法を選択することが大切である.

微生物

細菌遺伝子検査によるセプシスの診断

著者: 松久明生

ページ範囲:P.1299 - P.1308

新しい知見
 セプシスの診断薬としてin situ hybridization(ISH)法を用いた細菌遺伝子検査法がキット化された.これは血中の白血球に貪食された細菌ゲノムをジゴキシゲニン(Dig)ラベル化DNAプローブとハイブリダイゼーション(hybridization)反応させた後,検出系として抗Dig抗体-ALP(アルカリホスファターゼ)を用いて貪食細胞内の発色シグナルを光学顕微鏡で検出する方法である.本法はSIRS(systemic inflammatory response syndrome,全身性炎症反応症候群)の概念を導入して,菌血症の証明が難しい血液培養陰性セプシスを診断しようとするものである.検出可能菌としては日和見感染からセプシスを惹起する主要原因菌である黄色ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌,緑膿菌,腸球菌,大腸菌群である.本法を用いた多施設検討試験では血液培養の4倍ほどの検出率であった.本キットは保険点数が収載されており,さらなる臨床的有用性が期待される.

病理

脂肪組織を含む凍結標本の作製法

著者: 大森康旨 ,   小野久子 ,   守安岳征 ,   西村知己 ,   雑賀興慶

ページ範囲:P.1309 - P.1313

新しい知見
 包埋剤,固定法,クリオスタットの改良が進み,最近では迅速診断が極めて容易になってきている.今回,界面活性剤を用いることにより脂肪組織の凍結切片作製が可能になることを示した.このことにより①脂肪組織の多い乳癌断端の精密な迅速診断が可能になる,②脂肪肉腫の色々な脂肪染色,③生組織を使う免疫染色,組織化学への応用可能性が示された.

生理

末梢循環障害のサーモグラフィ

著者: 芝田宏美

ページ範囲:P.1315 - P.1319

新しい知見
 1993年生理検査7項目の法改正により,サーモグラフィは検査技師の業務として正式に認知され,多くの施設で適応が拡大した.そして同時期に熱画像検査診断基準が発表された.しかしその診断基準も過去のものになりつつある.サーモロジー学会では新しいガイドラインに着手しており,乳癌・糖尿病・神経根障害からの作成が始まろうとしている.正常値の概念も新たな応用が試みられている.また解析方法として定型化処理ソフト1)が開発され,解剖学的位置を正確に反映し,従来の解析方法より優れた差画像が得られるようになった,この方法により,正常者の平均画像を描出し患者との差画像をみることができ,片側性疾患の場合,左右の差画像で異常部位をより明確化することが可能となった.

オピニオン

生物テロと微生物検査

著者: 浅利誠志

ページ範囲:P.1288 - P.1288

生物テロに対する国と国民性の違い
 2001年10月17日以降,私のカバンの中そして自宅の防災袋にはシプロフロキサシンが新たに加わりました.ご存じ,炭疽菌治療薬です.
 幸か不幸か私は10月17日に大阪のアメリカ領事館で起こった“白い粉事件”の現場で極めて貴重な体験をした後“1つの確信”を得ました.それは,この日本は現状のままでは“NBC(nuclear-biological-chemical)テロ対策も院内感染対策も徹底できない”ということです.なぜなら,“オウム真理教事件”や米国での“炭疽菌テロ”に関する教訓が,現場で対応していたテロ対策班に活かされていなかったためです.一方,大使館職員は全く慌てることもなく冷静に検査,投薬,その後の対応に関する説明を聞いていました.危機管理意識の低い日本人ならさしずめ大パニックになっていたと思われます.この違いは,国が絶えず臨戦体制にあって危機感を持っている米国と,太平洋戦争以来57年間平和が継続し危機感が低迷している日本との差なのでしょうか.

ラボクイズ

問題:寄生虫【3】

ページ範囲:P.1324 - P.1324

10月号の解答と解説

ページ範囲:P.1325 - P.1325

見開き講座 分子細胞遺伝学への道しるべ・23

染色体15.出生前診断

著者: 田村高志

ページ範囲:P.1330 - P.1331

 染色体検査は出生後の染色体異常が疑われる新生児および乳幼児が対象となるばかりではなく,妊娠初期の胎児においても行われている.胎芽期や胎児期に遺伝性疾患の診断を行うのが出生前診断(prenatal diagnosis)である.
 出生前診断には羊水細胞(aminiotic fluid cell),絨毛細胞(chorionic villus cell),胎児血(fetalblood)を用いた細胞遺伝学的検査のほかに,生化学的検査,分子遺伝学的検査など先天代謝異常,遺伝性疾患を対象にした検査も含まれる.

絵で見る免疫学 基礎編・35

リンパ球の表面マーカー(その2)

著者: 高木淳 ,   玉井一

ページ範囲:P.1332 - P.1333

血管系とリンパ系の遊走を補助する接着分子
 胸腺で誕生して間もないナイーブT細胞は,血管系とリンパ系の両方を循環して自らに特異的な抗原を探しまわる.ナイーブT細胞は単に血液やリンパ液の流れにまかせて血管とリンパ管を漂っているわけではない.流れに逆らい止まって血管からリンパ管に入ったり,リンパ節内をゆっくり遊走したりしなければ特異的な抗原に出会うチャンスは少ない.そのためにナイーブT細胞は血管系やリンパ管系の壁細胞と抗原非特異的な結合をする.
 この非特異的結合をするのは接着分子である.接着分子とは細胞どうしの接着を助ける分子である.主な接着分子はセレクチンと糖鎖(アドレッシン)やLFA-1(インテグリン)とICAM(intercellular adhesion molecule,細胞間接付着分子)-1の結合である(図1).T細胞と血管壁には,セレクチンとそのリガンドである糖鎖が双方に存在する.食細胞は細菌を貪食するとIL(interleukin)-1,6,8,12,TNF(tumor necrotizing factor,腫瘍壊死因子)-αやケモカインなどのサイトカインを分泌する.まず,TNF-αが放出されると血管内皮にセレクチンが,次いでLFA-1のリガンドであるICAM-1が発現される.セレクチンと糖鎖の結合は強くないので,くっついたり離れたりしてリンパ管に至るすき間を探しながら血管壁をゆっくり遊走する.

検査データを考える

透析前後の検査値の変動

著者: 土井俊夫

ページ範囲:P.1345 - P.1348

はじめに
 透析医療が始まり30年が経過し,腎不全治療における1つの医療分野として確立されるようになった.一般診療でも長期透析患者を診療する機会があり,それら患者の病態を正確に理解するためには,その患者の検査値を正しく判断し,解釈する必要がある.ここでは透析療法における検査値変動の要因とその意義について述べる1〜3)

けんさアラカルト

感受性検査と臨床効果の不一致

著者: 青木泰子

ページ範囲:P.1349 - P.1350

はじめに
 感染症の起因菌として検出された細菌の感受性検査と臨床効果が一致しない場合,考えられる原因を表に示した.一般に,感受性結果と臨床効果の不一致が臨床側から指摘された場合,検査室がまず懸念するのは,検査技術に問題があるのではないかということであろう.しかし,実際には検査自体に問題がある例はむしろまれで,検査結果の解釈に問題があることが多い.その原因は検査依頼者(医師)と実施者(技師)のコミュニケーション不足である.本来,医師が結果を正しく解釈できるべきであるが,すべての微生物検査の意味を専門家の助言を受けずに正しく把握できる医師はまれである.医師の卒前卒後教育の改善が急務ではあるが,当面の解決策として結果を正しく解釈させ,適切な検査を依頼させるよう,検査室からも働きかけるべきである.そのちょっとしたコツを表の分類に従って考えてみた.

けんさ質問箱

Q 小規模病院における検査の日常的精度管理法

著者: 杉山弘 ,   高木康 ,  

ページ範囲:P.1351 - P.1352

 ベッド数60床,救急指定病院(内科系)の個人病院です.生化学,血算のルーチン検査は外注していますが緊急の場合のみ,院内で検査します.外部精度管理は年に1回参加していますが,日常の院内での生化学(ドライケム),血算の精度管理方法がわからないので教えてください.

Q ブロメリン非特異反応の血球凝集機序

著者: 神白和正 ,  

ページ範囲:P.1352 - P.1354

 生食法,ブロメリン法,アルブミン法,クームス(Coombs)法により交差適合試験を行っています.よくブロメリン法でのみ,自己血球を含むすべての血球を凝集させる反応がみられます.このブロメリン非特異反応のときの血球の凝集機序について教えてください.

Q 胸毛の濃い患者の心電図検査での対応策

著者: 杉田秀和 ,  

ページ範囲:P.1354 - P.1356

 胸毛の濃い患者では,電極が剥がれやすいので,手で軽く押さえて記録することがありますが,波形に影響はないのでしょうか.影響があるとすればどのようにすればよいか教えてください.

Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる

体腔液(1) 体腔液に出現する非腫瘍性細胞

著者: 堀内啓 ,   原田弥生 ,   松谷章司

ページ範囲:P.1320 - P.1323

体腔の解剖-組織学(図1,2)
 体腔には,胸腔,腹腔,心嚢,関節腔があるが,本稿では,関節腔を除く体腔について解説する.これらの体腔は,漿膜に覆われた体内の腔であり,その表面には中皮が存在する.中皮は発生学的には中胚葉由来であり,病理学的には非上皮性組織に属する.
 組織学的には,中皮細胞の基底側には基底膜が見られる.中皮細胞の下には中皮下層(submesothelial layer)があり,ここには線維芽細胞と共に,豊富な膠原線維や弾性線維が見られる.胸腔と腹腔は,臓側と壁側では漿膜の構造が異なる.臓側の漿膜は,中皮細胞が連続して表面を覆っているが,壁側では中皮細胞が非連続で,そこにstomaという直径2〜12μmの穴があり,リンパ管が開口している.stomaは特に横隔膜の腹側面で発達している.

血液 骨髄塗抹標本の見かた 異常細胞の見かた・5 2系統以上の細胞の異常

1.数の異常 減少

著者: 清水長子

ページ範囲:P.1326 - P.1329

形態学的所見
 症例1の骨髄像は,低形成を呈している.骨髄巨核球は著減しており脂肪滴の部分が多い(図1).症例2の骨髄像は,やや低形成を呈しており赤血球や血小板を貪食した組織球が右に認められる(図2).

トピックス

EGCg(緑茶力テキン類)のHTLV-1増殖抑制

著者: 吉永光裕 ,   山元志奈子 ,   園田純一郎 ,   屋敷伸治 ,   園田俊郎

ページ範囲:P.1357 - P.1358

はじめに
 HTLV-1(human T-cell lymphotropic virus type1)が原因である成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia;ATL)について,その発症機序が明らかでなく,根治療法がまだ確立していない現状では,HTLV-1による感染の予防対策が最も有効な手段である.実際,鹿児島や沖縄などのendemic areaでは断乳や短期授乳の母乳コントロールにより,HTLV-1母児感染はほぼ克服されている.したがって,今後は既に感染しているキャリア妊婦の発症予防対策が重要な課題である.
 ATLの発症は,HTLV-1がヒトT細胞に感染し,この感染T細胞が急激なクローン性の増殖を起こすことであり,HTLV-1のプロウイルス量の増殖を抑制することがATLの発症予防につながると予想される.園田らは,緑茶ポリフェノール成分のエピガロカテキンガレート(epigallocatechin-gallate;EGCg)の癌細胞などに対する増殖抑制作用に注目し,HTLV-1感染T細胞のアポトーシスを誘導することを明らかにした.

ラピッド・ティシュー・プロセッサー(Rapid Tissue Processor)

著者: 石塚悟

ページ範囲:P.1358 - P.1360

はじめに
 rapid tissue processor1)(迅速標本作製装置)は,次世代の新しい病理検査室のコンセプトとなり得る革新的なシステムである.変革が進む医療の中で,病理検査がどのように変貌すべきかを考えるうえでこの技術が非常に重要な意味を持つものと考えられる.今回この誌面を借り,医療を取り巻く背景より,病理検査の課題を導き出し,解決の方向性にも言及したうえで,米国で実現されつつあるRapid Tissue Processor(以下RTPと略す)を解決策の1つとして紹介したい.

B型肝炎ウイルス外被抗原(HBs抗原)検出用試薬の再点検

著者: 水落利明

ページ範囲:P.1360 - P.1363

はじめに
 わが国では,全人口の約1%(100〜150万人)がHBV(hepatitis B virus, B型肝炎ウイルス)キャリアであると推定されており,B型肝炎の迅速かつ適確な診断は医療および公衆衛生上非常に重要である.HBVキャリアの診断に関しては,一次スクリーニングとしての血清学的診断法としてB型肝炎ウイルス外被抗原(HBs抗原)の検出が広く用いられている.HBs抗原の検出を目的とする体外診断用医薬品(以下「HBs抗原検査薬」)は,これまでに40種類以上の製品が厚生省(現厚生労働省)の認可を受けて市販され臨床現場で使用されている.国立感染症研究所(以下「感染研」)は2001年に,現在国内で販売されているすべてのHBs抗原検査薬について性能再点検を行った.本稿ではその概要を述べる.

検査センター悲話・秘話・疲話

第7話 検体受領

著者: ラボ検査研究会

ページ範囲:P.1298 - P.1298

 検査センターが顧客から検体を受け取ることを“検体受領”と呼びます.受け取る場所は顧客の所であったり,顧客が検査センターに持参する場合や郵送(配送)してくる場合は検体受領場所は検査センターとなります.顧客は,①医療機関,②健診センター,③治験機関,④検査センター,⑤その他の5つに大別できます.⑤の「その他」には,給食業者や飲・食料品を取り扱う業者など検便を義務づけられているところや,最近は環境衛生検査として浴場やプールなど水の細菌検査を行う施設などもあります.今回,紹介するのは①の医療機関についてです.

検査じょうほう室 生化学:おさえておきたい生化学の知識

健常者に出現するIDLの臨床的意義

著者: 西尾博至

ページ範囲:P.1336 - P.1339

はじめに
 近年の疫学研究により,総コレステロール(total cholesterol;TC),中性脂肪(triglyceride;TG),LDL(low density lipoprotein)コレステロール,Lp(a)などは単独の動脈硬化危険因子として確立している1〜3).しかしながら高脂血症はさまざまな脂質代謝異常が原因と考えられ,その量的異常のみならず,リポ蛋白粒子の性質が変化した質的異常も注目されつつある.酸化LDLや小粒子高密度LDL(small dense LDL)を代表とする変性LDLは,血管内皮における分子レベルの研究で,動脈硬化巣の形成に密接に関連していることがわかってきた4).これとは別にカイロミクロン(chylomicron;CM)やVLDL(very low density lipoprotein)といったTG-richリポ蛋白の中間代謝物のレムナントリポ蛋白も変性LDLと同様,動脈硬化の発生・進展に強く関与し,両者はともに動脈硬化惹起性リポ蛋白と呼ばれている.表題のIDL(intermediate density lipoprotein)はVLDLからLDLへと代謝される課程での中間代謝物であり,前述のVLDLレムナントと同一である.本稿ではIDLの代謝,測定法と健常者における臨床的意義について述べることとする.

一般:一般検査のミステリー

アプトテストの信頼性

著者: 佐々木美幸

ページ範囲:P.1340 - P.1341

はじめに
 アプト(Apt)テスト(アルカリ抵抗試験)は,新生児の吐物や便が血性であった場合,新生児自身の消化管出血によるもの(新生児メレナ)なのか,あるいは,出生時に飲み込んだり,授乳時に乳首が切れて乳汁に混じって嚥下された母体血(仮性メレナ)なのかを鑑別するための検査法です.新生児由来の出血であれば原因の追及と治療が必要ですが,母体血であれば治療の必要はありません.
 アプトテストは手技が非常に簡便で,迅速に行えることからfirst choiceのふるい分け検査とされていました1).しかしながら,本法のみでふるい分けを行えるものではなく,患児の持続的観察と原因追及のための検査が必須であることから,今ではほとんど実施されなくなっています.

病理:病理標本に見られる不思議な現象

固定による組織の変化

著者: 布施恒和

ページ範囲:P.1342 - P.1344

はじめに
 病理検査室には,生検や手術などで摘出された種々の組織がホルマリン液に入った状態で提出されてきます.それらをよく見ると,同じ臓器でも赤く軟らかいものと,淡黄白色や淡い茶褐色を呈して硬くなっているものがあります.なぜこのような現象(変化)が起こるのでしょうか.
 前者はまだ固定されていない新鮮組織で,後者は十分固定された組織であるからと考えてよいでしょうか.また別の理由があるのでしょうか.
 解答を述べる前に病理検査における固定について考えたいと思います.

今月の表紙

ヒプスアリスミア(Hypsarrhythmia)

著者: 蓜島皆子 ,   小口由美

ページ範囲:P.1350 - P.1350

 【症例】10か月,女児.ダウン症候群(Down syndrome)で8か月より上肢を挙上する強直発作を起こし,シリーズ形成がある.
 【脳波所見】睡眠時脳波であり,全体的に高振幅で不規則な徐波(θ波)を認め,棘波,鋭波が混在し,棘徐波複合を形成している.これはヒプスアリスミアを呈する所見であることから,ウエスト症候群(West syndrome)と診断された.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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