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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術30巻9号

2002年09月発行

雑誌目次

病気のはなし

播種性血管内凝固症候群

著者: 岡嶋研二

ページ範囲:P.802 - P.808

新しい知見
 播種性血管内凝固症候群(dissminated intravascular coagulation;DIC)では,微小血栓が形成されると考えられているが,実際に,血管内フィブリンの分解が抑制され,微小血栓が形成される場合は,重症感染症に合併するDICである.これを直接反映する検査は,可溶性フィブリン濃度定量で,2002年に臨床応用された.また,重症感染症の予後を改善する治療はこれまでに報告がなかったが,2001年にリコンビナント活性化プロテインCが,重症敗血症の予後を改善することが報告され,TNF-α産生と微小血栓形成の両方を抑制することが,重症感染症のDIC治療には重要であることが示された.

技術講座 病理

子宮内膜におけるACF標本からの組織標本作製法

著者: 尾野緑 ,   椎名義雄

ページ範囲:P.809 - P.812

新しい知見
 子宮内膜細胞材料は重積性の高い細胞集塊として採取されることが多く,詳細な観察が困難な症例にしばしば遭遇する.この問題を解決する方法の1つとして,Auto Cyto Fix(ACF)標本から組織標本を作製する方法を紹介する.ACF標本を観察し,問題となる細胞集塊が存在した場合,カバーガラスを外して,目的とする細胞集塊が塗抹された部分をフィルターごと切り取る.脱色は行わず,フィルターをそのままパラフィン包埋し,薄切する.ACF標本からの組織標本作製は細胞をフィルターとして扱え,従来の包埋,薄切法が利用できるので,手技が簡便である.また,最大の利点は細胞標本に見られたものと同一細胞集塊の観察が組織標本上で可能なことである.

免疫

イムノクロマトグラフィ法によるHBs抗原検出

著者: 柴崎光衛

ページ範囲:P.813 - P.819

新しい知見
 イムノクロマトグラフィ法(immunochromatography assay;ICA)は,HBs抗原検査を含め感染症スクリーニング検査に広く利用されつつある.試料が毛細管現象により拡散移動しながら抗原-抗体反応を展開するICAは簡便性,迅速性,経済性(機器,特殊器具,光熱が不要)に優れており,緊急検査への適応とその臨床的有用性においても,高い評価が多く報告されている.免疫学的検査の分野でも迅速かつ高感度な測定法が求められており,最も迅速性に優れたICAには,今後EIAや化学発光法と同等な検出感度を有することも期待されている.現在,HBs抗原検出のためのICAは,オリゴヌクレオチドで捕捉する新しい方法も加え,6社の製品が国内で市販されている.

一般

精液検査とその臨床的意義

著者: 小倉啓司

ページ範囲:P.821 - P.825

新しい知見
 精液検査は男性不妊症の診断あるいは治療効果判定を主な目的とした検査である.大別して,一般精液検査と精子機能検査の2つがあるが,精子機能検査は一般精液検査では評価できない授精能を調べるために行われる.最近の体外授精技術の進歩により従来挙児が望めなかった疾患〔クラインフェルター(Klinefelter)症候群など〕でも出産が報告されている.精液検査は,現時点では男性の妊孕性を最も評価しうる検査であるため,体外授精技術が広く行われるようになった現在その需要も以前に増して拡大してきている.また最近では,いわゆる内分泌攪乱物質(ダイオキシンなど)により男性の生殖能の低下が示唆されているが,これも精液検査によって評価されている.

微生物

サイトメガロウイルス感染症の検査—CMV抗原血症検査

著者: 西功 ,   豊川真弘 ,   浅利誠志

ページ範囲:P.827 - P.830

新しい知見
 臓器移植の技術的進歩および移植施設数の増加に伴い,サイトメガロウイルス(CMV)感染症は予後を左右する重要な感染症の1つとして認識が高まっている.
 これまでのウイルス感染症の検査法は,結果を得るまでに時間を必要とするウイルス培養同定法,血清学的検査法が用いられてきた.しかし,近年CMV感染症の診断はCMV抗原血症検査,PCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)法およびNASBA(nucleic acid sequence-based amplification)法など遺伝子技術の導入により検査後数時間で特異性の高い結果が得られ,さらに,これまでの検査法では診断不可能であった「発症予測」や「薬剤治療効果判定」までもが可能となり感染症診断技術は新たな局面を迎えている.

オピニオン

21世紀の病院検査室—脱中央化による多忙な医療現場への貢献

著者: 諏訪部章

ページ範囲:P.826 - P.826

 筆者は2001年5月1日より,岩手医科大学医学部附属病院の中央臨床検査部を担当することになりました.着任後,今後の検査室をどのように運営してゆくかを模索し,検査関連のあらゆる学会に出席し,勉強している最中です.検査部の運営については,どの学会でもシンポジウムやパネルディスカッションで取り上げられ,熱い議論が交わされています.
 日本経済の発展の下,現代医学も著しい発展を遂げてきましたが,検査部門も例外に漏れず分析機器の自動化・高度化,新しい検査項目の増加など,著しい変貌を遂げてきました.しかし,バブル崩壊後の先行きが見えない経済不況の中で,医療経済も打撃を受け,コスト削減のために,検査部の人員・機器・試薬などすべてを外部業者に委託するブランチラボ構想やFMS(facilitated management system)などの導入が叫ばれています.

ラボクイズ

問題:寄生虫【2】

ページ範囲:P.850 - P.850

8月号の解答と解説

ページ範囲:P.851 - P.851

見開き講座 分子細胞遺伝学への道しるべ・21

染色体13.均衡型転座保因者における染色体分離様式

著者: 田村高志

ページ範囲:P.852 - P.853

 今回は均衡型転座保因者(balanced translocation carrier)の配偶子形成過程における染色体分離様式について解説を行い,次世代への染色体異常について話を進めていく.

絵で見る免疫学 基礎編・33

補体(4)

著者: 高木淳 ,   玉井一

ページ範囲:P.854 - P.855

CRPとMBLの補体への協力
 炎症局所での補体反応により小さな断片C5aが産生され,血管内のマクロファージや好中球が活性化される(本誌第30巻8号本欄,図-②).活性化されたマクロファージはIL-1やIL-6などのサイトカインを分泌し,急性期反応を誘導する.急性期反応とは,細菌感染による炎症反応において,肝臓における血中蛋白の合成に変化を来たし,非特異的な防御機構によって直ちに宿主を保護する働きを指す.よく知られているのは,2つの急性期蛋白,CRP(C反応性蛋白,C-reactive protein)とMBL(マンナン結合レクチン,mannan-binding lectin)の産生である.CRPはある種の細菌膜に共通に存在するリポ蛋白のホスホリルコリンに結合する.CRPが細菌に結合すると,オプソニン化の促進のみならず,CRPはClqのコラーゲン部分(球形の頭部ではなく長い棒の部分)に結合して古典経路を活性化させる.MBLはClqと似た構造を持ち,Clqと同様に細菌膜上のマンノース残基に結合して,オプソニン化を促進し,さらにC4とC2を分解する酵素を活性化してレクチン経路を活性化する(図1).微生物感染2日前後に起こる急性期反応によって産生されるCRPとMBLは,細菌に対する非特異的な防御であり,補体と共同で適応免疫が始まるまで抗体に代わって宿主を保護する働きをする.

検査データを考える

尿試験紙法と尿沈渣検査法の乖離

著者: 岩田敏弘 ,   小池真由美

ページ範囲:P.865 - P.869

はじめに
 日常検査の中でしばしば奇妙なデータの乖離に遭遇することがある.尿検査ではこういった乖離がみられた場合,外観・定性・定量・尿沈渣・関連項目の血中濃度などを注意深く観察し,その原因を解明しなければならない.
 まず表1をご覧いただきたい.当センターに提出された外来患者の尿検査事例である.蛋白定性(試験紙法)は陽性,蛋白定量(ピロガロールレッド法)値はほぼ正常,尿沈渣は疾患を示唆するものを認めない.皆さんならこのような検体に遭遇したとき,どう考え,どう対処していくだろうか.解答は後に回すとして,本稿ではこのようなデータの乖離の中で,特に尿定性検査と尿沈渣に着目し,乖離の原因と対処方法を検討したい.

けんさアラカルト

大腸癌スクリーニング偽陰性の原因

著者: 志和正明

ページ範囲:P.872 - P.873

はじめに
 便潜血検査(fecal occult blood test;FOBT)は定性法が広く使用されているが,近年数値化が可能となり,われわれは定性法の限界と問題点を明確にすることで,便中ヘモグロビン(Hb)精密測定の有用性について報告を行った.便中Hb精密測定の有用性の1つとして,Cut off indexのEBM(evidence based medicine)に基づく設定が可能であることが挙げられるが,FOBTを用いた大腸癌スクリーニングにおいては,偽陰性と偽陽性が問題となる.その1つに,進行癌においてもFOBT偽陰性が存在することである.しかし,その発生のメカニズムはいろいろ論議されているが,いまだ解決されていないのが現状である.その1つの理由にFOBTが定性法主流であることに起因していると考えられる.近年,便中Hb精密測定が行えるようになり,定性的視点から定量的視点でFOBTを捉らえることができるようになった.定性法ではわからなかった大腸癌の出血動態が明らかになり,それに伴い偽陰性の発生メカニズムも明らかになってきた.今回は,偽陰性の発生メカニズムについて述べたい.

けんさ質問箱

Q 血漿で測定できるFDP試薬

著者: 猪瀬芳子 ,   川合陽子 ,  

ページ範囲:P.875 - P.877

 血漿で測定できるFDP(fibrin/fibrinogen degradation product,フィブリン/フィブリノゲン分解産物)試薬がありますが従来の試薬とどう違うのでしょうか.原理や測定上のポイントについて,また,DダイマーとFDPの使い勝手などどちらが有用性が高いでしょうか,教えてください.

Q 眼圧が上がらない緑内障に対する検査は

著者: 正化圭介 ,  

ページ範囲:P.877 - P.879

 眼圧が上がらない緑内障はどのような検査で発見できますか.

Laboratory Practice 血液 骨髄塗抹標本の見かた 異常細胞の見かた・5 2系統以上の細胞の異常

1.数の異常 増加(2)

著者: 清水長子

ページ範囲:P.832 - P.836

はじめに
 慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia;CML)は慢性期と移行期および急性転化後の急性期に分けることができる.表1に慢性骨髄性白血病の病期分類を示した.移行期,急性期は経過中に原因不明の発熱,脾腫の増大,体重減少など多彩な症状を示すようになる.また血液学的検査で白血球数の増多,血小板数の減少,貧血の進行などの所見を示す移行期後,末梢血,骨髄に芽球が増加する急性転化期に至る.急性転化は,骨髄性白血病が一番多く,次にリンパ性,巨核球性,単球性と続く.また,骨髄外に腫瘤を形成することもある.この章では特に骨髄性とリンパ性の急性転化の症例について示す.

病理 細胞像からここまでわかる

呼吸器(12) 肺クリプトコッカス症,肺アスペルギルス症

著者: 堀内啓 ,   荒井政和 ,   松谷章司

ページ範囲:P.838 - P.840

肺クリプトコッカス症
1.臨床的特徴
 クリプトコッカス症は,酵母型真菌の一種であるCryptococcus neoformansの感染症である.鳩の糞便中に菌体が含まれ,経気道的にヒトに感染する.肺クリプトコッカス症は,単発性の境界明瞭な結節を形成し,肺癌との鑑別が問題となる.自然治癒する場合もある.

トピックス

心筋コントラストエコー法

著者: 伊藤浩

ページ範囲:P.841 - P.843

■心筋コントラストエコー法とは
 心筋コントラストエコー法(myocardial contrast echocardiography;MCE)は冠微小循環に到達した微小気泡が超音波反射源となることにより,心筋エコー輝度の増強(心筋染影)として心筋血流を可視化する方法である.以前は冠動脈に留置したカテーテルから直接微小気泡を含むコントラスト剤を注入していたが,近年,超音波コントラスト造影剤,レボビストTM(田辺,シェーリング),が市販され,静脈投与しても心筋染影が得られるようになった.
 レボビストTMはガラクトースとパルミチン酸を999:1の割合で含む1バイアル2.5gの白色の粉末である.蒸留水に溶ける際にガラクトース結晶の間隙に含まれている空気が放出され平均直径1.2μmの微小気泡を形成する.このサイズの気泡は容易に肺循環を通過し左心室から心筋に到達する.レボビストTMはボーラス法あるいは(ボーラス法+)持続注入法で投与される.

ビオチン関連物質

著者: 藤田之彦 ,   熊坂一成 ,   福井徹

ページ範囲:P.843 - P.846

■ビオチンとは
 Boasらは動物実験により体重減少,皮膚炎,脱毛,やがて死にいたる卵白障害を発見しそれらを予防する因子が食物中に含まれることを示した1).1940年Gyorgyら2)は卵白に含まれる蛋白(アビジン)がビオチンと強固に結合することによりビオチンの消化管からの吸収を引き起こすことが卵白障害の本体であることを証明し,ビオチンはビタミンとして認識されるようになった.ビオチン(vitamin H,coenzyme R)は水溶性ビタミンの一種であり動物や植物に広く存在するが,哺乳類はビオチンの生合成ができないため,体外から摂取することになる.ビオチンの体内動態の特徴は,①食物中のビオチンの遊離と腸管吸収,②血中ビオチンの細胞内移行,③ビオチン酵素と細胞内動態,④ビオチンの再利用と排泄,に大別される3).ビオチンの体内動態を図1に示した3).ビオチンの吸収から排泄までの過程で中心的な役割を果たす酵素はビオチニダーゼとホロカルボキシラーゼ合成酵素である.ビオチニダーゼはビオシチン(biotinyllysin)やビオチニールペプチドからビオチンを遊離し,細胞への輸送蛋白として働く.

スタチンの効果

著者: 臼井真 ,   江頭健輔

ページ範囲:P.846 - P.849

はじめに
 日本における死亡率は,悪性腫瘍を筆頭として心血管障害,脳血管障害となっている.特に後者の2つを合わせると悪性腫瘍を上回る.すなわち多くの人は血管障害で死亡しており“人は血管とともに老いる”といわれるゆえんである.フラミンガム研究1)の発表において血管障害(脳血管障害や粥状動脈硬化を主因とする虚血性心臓病など)の危険因子(risk factor)の概念が導入され高血圧,肥満,糖尿病,喫煙とともに高脂血症が含まれることとなった.そのため多くの血中コレステロール降下薬の開発がなされた.現在,コレステロール低下療法により心血管イベントが抑制されることが多くの大規模臨床試験で証明されている.しかし,これらのサブグループ解析から,高コレステロール血症薬のなかでもハイドロキシ-3-メチルグルタルコエンザイムA(3-hydroxy-3-methyl glutaryl coenzyme A;HMG-CoA)還元酵素阻害薬(以後スタチン)の効果はコレステロール低下作用だけでは説明できないことが示唆されている.そのため,それ以外の多彩な作用(pleiotropic effect)が注目され始めている.本稿では,高コレステロール治療薬のなかで中心的役割を果たしているスタチンに注目し,その特徴を述べる.

検査センター悲話・秘話・疲話

第6話 検査に適さない検体—情報の足りない検体

著者: ラボ検査研究会

ページ範囲:P.837 - P.837

 検査センターに検体を出す医療機関では,その検体で何の項目を検査するのかを検査センターに指示するための検査依頼書を記入する必要があります.どの検査を依頼したかを医療機関で控えるために検査依頼書は複写式の複数枚綴りのものが多く使われています.この検査依頼書には,各依頼書(一般血液検査用・病理検査用・微生物検査用など)ごとにその検査に必要な患者属性や臨床情報を記入する欄が設けられています.この欄を埋めることは,正しい検査データを得ようとする検査依頼者にとって,必要最低限しなければならないことです.
 ここで担当医と書かずに「検査依頼者」と書いた理由は後で述べます.

検査じょうほう室 生化学:おさえておきたい生化学の知識

富士ドライケムを用いたCRP測定における輸液中マルトースの影響

著者: 鈴木登紫江 ,   牧内肇

ページ範囲:P.856 - P.857

はじめに
 血液中のC反応性蛋白(C reactive protein;CRP)は,各種の炎症性および組織破壊性疾患において早期に増加する急性相反応蛋白の一種である.CRP検査は炎症性疾患の早期診断だけではなく,疾患の予後の経過や治療効果の判定にも有用であるといわれている.

生理:脳波検査のスキルアップ

ベッドサイドの脳波記録

著者: 石田哲浩 ,   山口巌 ,   寺田裕美子 ,   村野和枝 ,   斎藤正範

ページ範囲:P.858 - P.861

 普段,恵まれた環境や機器に囲まれた検査室内から,一般病室や電気的環境の劣悪な集中治療室(ICU)などの検査では,原因不明のアーチファクトが混入して,戸惑うこともしばしばあるのではないだろうか.
 今回は,ベッドサイドでの記録法のうち,交流障害除去法と脳電気的無活動(Electro Cerebral Inactivity;ECI)記録時に出現したアーチファクトの事例について述べる.

一般:一般検査のミステリー

尿中変形赤血球の考えかたと観かた—誤判定要因は何か

著者: 三浦秀人

ページ範囲:P.862 - P.864

検査は宝の山である
 (社)日本臨床衛生検査技師会出版ライブラリー「尿沈渣検査法2000」の尿中赤血球形態に関する大略は,非糸球体性の血尿と考えられる場合をisomorphic RBC(均一赤血球,図1)とし,金平糖状,円形状などで,ほぼ均一で単調であり,ヘモグロビン(Hb)色素に富む.一方,糸球体性の血尿を推定する場合をdysmorphic RBC(変形赤血球,図2,3)とし,コブ状,断片状,ねじれ状,標的状など,多彩な形態を示し,大きさは大小不同または小球性を示し,特に,acanthocyte(コブ状,有棘状,出芽状)は,診断的価値が高く,注目すべき所見である.
 このように尿中の赤血球形態から血尿の出血場所を推定できると最初に報告したのは,BirchとFairley(1979年)である.彼らは最初から,出血場所によりその赤血球形態は異なるだろうと想定した訳ではないと想像される.恐らく,われわれが毎日しているのと同じように鏡検をしていたのであろうが,ある日突然,どうしてこんなおかしな赤血球が観られるのだろうかと疑問を持ったのだろう.読者の皆様も検査技師になってから,検査業務の中でこのような疑問を持たれたことは多々あるのではないだろうか.凡人は疑問を疑問として置き去りにして,挙げ句の果ては忘れてしまうのであるが,Birchらはその疑問を解明したところに非凡さがある.

二級臨床病理技術士実技試験のポイント

血清学

著者: 小林理

ページ範囲:P.870 - P.871

はじめに
 血清学二級臨床病理技術士(血清学二級試験)の資格認定試験は臨床病理同学院主催で毎年夏に行われる.今年もまた例年どおりに行われるであろう.受験される多くの方々に合格していただけるよう祈念しつつ,実技問題を中心に,血清学二級試験のいわば「傾向と対策」を述べる.

今月の表紙

気管支喘息

著者: 中山美奈 ,   星川久義

ページ範囲:P.874 - P.874

はじめに
 気管支喘息では,種々の刺激に対して気道の反応性が亢進し,Tリンパ球を中心として,Bリンパ球,肥満細胞,好酸球など多くの炎症細胞が関与する気道炎症の結果,気道平滑筋萎縮,粘膜浮腫あるいは剥離,気道内粘液過分泌により,広範な気道の狭窄を生じて呼吸困難となる.気管支喘息はアトピー型(アレルギー型),混合型,感染型と3型に分類され,アトピー型は,遺伝子的要因で起こり小児発症例に多く,感染型は後天的要因で起こり中年以降発症例に多い.混合型はもともとアトピー型の喘息であったものが,感染が誘発因子となって発症したもので,発症期は小児〜成人期が多いとされている.気道狭窄と呼吸困難は自然に,または治療により改善される.発作間歇時には,健常者と全く変わらない生活ができる.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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