現在,わが国の臨床検査,特に検体検査を取り巻く状況が厳しいものであることは周知のとおりである.経済効率が重視されるあまり,コスト削減のターゲットとして臨床検査は縮小傾向にあり,包括医療の導入・推進によりその傾向はますます強くなっている.また,病院の検査室で行っていた検査の外注化の動きも進んでいる.しかし,臨床検査の現代医療における重要性は,それにも増して明らかなことであり,現在も新しい有用な検査が着実に臨床応用されている.とどまるところを知らない生命科学・医学研究の発展を考えると,今後,ますます,疾病の診断・病態の評価に役立つ新しい臨床検査が登場すると考えられ,その点では,臨床検査の未来は明るいと考えられる.
今回「新しい臨床検査・未来の臨床検査」と題する『検査と技術』増刊号を発行する案が本誌編集委員会から出されたのも,以上のような状況を踏まえ,臨床検査の重要性,将来性を再認識するためであった.筆者もその一人として企画構成に関与したが,そのねらいは単純・明快で,未来・将来性を感じさせるような臨床検査を選んで紹介させていただき,臨床検査の新しい息吹・将来性を読者に実感していただくことであった.
雑誌目次
検査と技術34巻11号
2006年10月発行
雑誌目次
増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
序 フリーアクセス
著者: 矢冨裕
ページ範囲:P.997 - P.997
総論
1 遺伝子検査の新しい流れ
著者: 舩渡忠男
ページ範囲:P.1000 - P.1006
はじめに
医療はポストゲノム時代といわれ,遺伝子に基づくオーダーメイド医療に対する期待はますます高まっている.遺伝子研究の進歩は,遺伝子検査として臨床の場で多くの恩恵をもたらすものとおおいに期待されている.遺伝子検査は研究段階にあるものから感染症のように既にキット化されているものまで,項目またそれらを実施する施設は拡大している.しかし,臨床検査のうち遺伝子検査は当初の期待に反して,明らかに伸び悩んでいるのが現状である.その原因としては,遺伝子検査の保険適応がまだ一部の感染症に限られており,諸経費がかかるなど採算ベースに載りにくいことが大きいと考えられる.そのため病院検査室では積極的な初期投資および導入拡大はなされず,大手ラボや大学の研究室に検査を依頼するケースが多い.さらに,臨床診断として厳しい管理の下,精度・品質を保証するという視点に欠けていたことは否めない.これは仕様の十分な標準化がされてこなかったためと分析している.遺伝子検査は遺伝子市場拡大の観点からまさしく再考を行う時期に来ているといえる.臨床検査分野で遺伝子検査を広く普及させるには臨床的意義が見いだされるものでなくてはならず,同時に将来それを担う人材の育成と,診断薬と自動化技術の開発導入が急務である.
そこで,遺伝子検査を進歩させるには,現状を十分に把握し,あらゆる問題点を抽出して,精度を保証するために必須な方策(ガイドラインの作成や技術の向上)を行い,臨床検査全体の活性化につながるいっそうの努力をすることが必要である.さらに,臨床の現場に新しい検査技術を積極的に導入する機運を促し,それらに関する有用な情報を診療に提供できればより未来に開けた遺伝子検査の拡大につながるものと考える.
これからの遺伝子検査は,遺伝子解析の研究レベルの議論だけではなく,技術開発や市場拡大を視野に入れ,産業界や診療現場との積極的な情報交換および取り組みから発展させていき,実学としての遺伝子検査学を臨床検査および日常診療の中で認知させていく必要があろう.そのためには常に具体的な戦略を提示し,実行し展開していくことが重要である.
2 疾患プロテオミクスの現状と将来展望
著者: 野村文夫
ページ範囲:P.1007 - P.1012
はじめに
ポストゲノムあるいはポストシークエンス時代に入り,トランスクリプトーム,プロテオームが盛んに論じられるようになった.公式の論文上1995年に初めて登場したとされるproteomeという用語も既に市民権を得ている.プロテオーム解析技術の進歩はめざましく,ノーベル化学賞につながった田中耕一氏のMALDIを利用した質量分析ベースの方法を初めとして,近年急速な展開をみせている.包括的プロテオーム解析において蛋白質の同定が容易になってきたことはヒトゲノム計画の成果により,ヒト遺伝子のデータベースが整った結果であることはいうまでもない.いわゆる疾患プロテオミクスは,近い将来,臨床検査への応用も可能となることが期待されている.
本稿では臨床検査からみた疾患プロテオミクスについて自験例を含めて述べる.
3 メタボリックシンドロームと動脈硬化の臨床検査
著者: 廣井直樹 , 芳野原
ページ範囲:P.1013 - P.1020
メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)とは
1988年にReaven1)は高血圧,耐糖能異常,高脂血症などを有する動脈硬化発症高リスク患者群に対しsyndrome Xと命名した.Kaplan2)によるdeadly quartet,DeFronzoら3)によるインスリン(insulin)抵抗性症候群,わが国では松沢ら4)が提唱した内臓脂肪症候群がほぼ同様の概念であると考えられている.このようなmultiple risk factor症候群の診断に関しては,個々の学会独自の診断基準が作られておりしばらくの間混乱を生じていたが,2005年のメタボリックシンドロームに関する国際会議において内臓脂肪の重要性が確認され,それに沿うような形でIDFやわが国から腹部肥満を必須項目とするメタボリックシンドロームの診断基準が発表された5).AHA/NHLBIの基準では必須項目は設定されておらず,またADAやEASDはメタボリックシンドロームの存在に疑問を呈する見解を出していることから6,7),メタボリックシンドロームの診断における混乱はいまだ続いていると考えられる(表1).
メタボリックシンドロームという疾患概念の確立は,高脂血症や高血圧,糖尿病といった動脈硬化性疾患発症の単独リスクを管理するよりも,それらの上流に存在する内臓脂肪の蓄積を是正することの重要性を示唆している.そのことは取りも直さずこれまでの個々の疾患を管理するという治療医学から,生活習慣の改善による内臓脂肪の減少を主体とした予防医学を重要視することを意味している(図1).
4 栄養アセスメント蛋白
著者: 〆谷直人
ページ範囲:P.1021 - P.1026
はじめに
現在,わが国においては医療経費削減に伴う診療報酬制度の変革や少子・高齢化など,多くの問題があり,非常に厳しい医療経済状況のなかで21世紀を生き残らなければならない.そのためには,もう一度医療のあり方を基礎から見直し,基本的な医療を各疾患治療を行う前に確立しておく必要がある.
基本的な医療を行う重要な基盤のひとつが栄養管理で,栄養評価は医療の原点である.患者の合併症を未然に防ぎ,よりよい管理治療を行うためには,患者の栄養状態を的確に把握することが不可欠であり,病院経営戦略のひとつとしてもそうした観点からのアプローチが重要となりつつある.
5 腫瘍マーカー検査の将来展望と適切な活用の仕方
著者: 堀光雄 , 大倉久直
ページ範囲:P.1027 - P.1032
はじめに
現在使われている腫瘍マーカーという名称は正確には狭義的で,腫瘍(これも狭義的に使われており,いわゆる癌のこと)によってのみ産生される物質またはそれによって過剰に産生される物質を呼び,それをモノクローナル抗体で検出するという手法が盛んに取られてきた.
歴史を振り返ってみれば腫瘍マーカーの第一歩は1848年に英国のBence Jones医師が多発性骨髄腫患者の尿中に煮沸すると凝固し,温度が下がると沈殿する蛋白質を見いだした1)ことによる.この蛋白質は現在もBence Jones蛋白質として知られており,異常形質細胞から作られる免疫グロブリンの軽鎖部分であり,多発性骨髄腫の診断に重要な知見となっている.その後,癌細胞に特異的な代謝があるのではないかといった研究から腫瘍マーカーを探る動きがあった.
1960年代に入ると,胎児期細胞と癌細胞とに類似点が多く,初期胚の発育段階で特異的に発現する蛋白質が癌細胞からも大量に放出されていることがわかり,現在でも使用されているAFP(α-fetoprotein,アルファフェトプロテイン),CEA(carcinoemblionic protein,癌胎児性蛋白質)など2)が知られるようになった.
1975年にKohler とMilstein3)によってモノクローナル抗体の作成法が樹立されてからは,それまでになかった多数の腫瘍マーカーが世に出ることになった.これら多くのモノクローナル抗体はヒト癌細胞を丸ごとマウスに免疫させ,脾細胞とミエローマ細胞〔HAT(hypoxanthine-aminoprotein-thymidine)感受性〕を細胞融合させて作製したため,癌細胞だけでなくヒトの正常細胞に対する抗体も作製された.おびただしい数の抗体のうちから,ヒト癌細胞に特異的な抗体をつり上げていくといった時間も根気も必要な作業を繰り返し特異的な抗体を単離していった.この結果今日,日常的に用いられているCA19-9,CA125といったなじみのある腫瘍マーカーができあがったのである.これらの抗体の多くが癌細胞表面に存在する糖鎖を認識することが知られており,糖鎖の基幹構造から1型と2型とに分かれる.1型の糖鎖抗原はCA19-9など消化器系の腫瘍抗原が多く,2型糖鎖抗原は肺癌や卵巣癌由来が多いといわれている.これらの違いは多くの優れた総説が出ているのでご参照願えれば幸いである.糖鎖というと堅苦しく聞こえがちであるが,血液型の判定は糖鎖の違いを基にしている.また糖鎖研究は,わが国が世界を一歩リードしている領域であり,第三の生体物質(正確には鎖状物質)と呼ばれ細胞の受容体機能や個体の免疫反応に至るまで多くの機能調節が行われていることが知られている.現在の糖鎖研究は多岐にわたっているが,腫瘍マーカーの範囲を飛び越し腫瘍ワクチンの世界にまで飛び出そうとしている.
腫瘍抗原の検知によってその腫瘍の医療全体を変える腫瘍マーカーが出現した例がある.それは前立腺の腫瘍マーカーであるPSA(prostate specific antigen,前立腺特異抗原)である.この腫瘍マーカーはその感度と特異性の高さから,前立腺癌の早期発見に多大な効果をもたらした.米国NCI(National Cancer Institute)のレポートによるとPSAを診断に用いたことにより1989年から1996年の間に米国内の前立腺癌の発生率を2.5%も引き上げた4)という報告がある.また良性疾患と前立腺癌との区別がその値によって区別できることから,不必要な生検を劇的に減少させた5).
6 薬剤応答性遺伝子検査と個別薬物療法
著者: 横田浩充 , 矢冨裕
ページ範囲:P.1033 - P.1038
はじめに
薬物に対する反応性は患者ごとに異なることが知られている.これは,等量のお酒(アルコール)を飲んで,その酔いかたに明らかな個人差があることを連想するとわかりやすい.
薬物反応の個人差は,多くの研究者が研究を進めてきた結果,薬物動態学(pharmacokinetics,PK)および薬力学(pharmacodynamics,PD)の両面からその機序が解明されてきている.すなわち,薬物代謝にかかわるPKや,薬物受容体などの薬物感受性にかかわるPDに関連する遺伝子が個人によって異なるため,結果として薬物反応性が異なるというものである.人の薬物反応性はこのPK要因とPD要因に関係するので,遺伝子多型と薬物反応性の個人差を解明するにはPK・PDの双方を考慮する必要がある.
安全で効果的な薬物治療を行うには,患者個人の代謝能力に合った薬物投与計画が望まれる.いわゆるオーダーメイド医療である.実際,21世紀の医療は個別薬物療法が主流になると予想されており,既に海外においては遺伝子多型判定に基づくオーダーメイド医療が実現している.
本稿では,個別薬物療法における遺伝子検査として,今後の臨床検査に取り込まれるであろう薬剤応答性遺伝子に焦点を絞り概説する.
7 超音波検査にかかわる新技術
著者: 谷口信行 , 桑田知之
ページ範囲:P.1039 - P.1043
はじめに
超音波検査は,その装置,探触子,内部のソフトウェアの進歩により,最近ではもともとの断層像が明瞭,高解像度になるとともに,他の画像診断と同様に三次元表示などの表示上の工夫がみられている.ここでは,最近の超音波検査法の進歩について触れてみたい.
8 POCT
著者: 松尾収二
ページ範囲:P.1044 - P.1049
はじめに
検査の進歩により新米の医師でもベテラン医師でも容易に検査データを入手できるようになった.しかも良質のデータを大量かつ迅速に活用できるようになった.しかし昨今の医療費抑制の流れのなかで,検査を無分別に行うことを戒める一方,迅速化に対する要求はとどまることを知らない.このような中で診察現場での検査,すなわちPOCT(point of care testing)が注目されている.POCTとして,血液ガス・電解質を中心とした緊急検査,感染症診療のためのCBC(complete blood count,全血球計算)やCRP(C-reactive protein,C反応性蛋白質),糖尿病モニターのための血糖検査など広く行われてるが,今後,対応の範囲は広がっていくであろう.
POCTは,医療従事者が検査し診断・治療に活用する検査の仕組みである.患者自らが検体採取したり測定する在宅検診やOTC(over the counter)とは異なる.本項の目的は,POCTとは操作が簡便な検査の機器や試薬を指すのではなく検査の仕組みであることを理解して頂き,適切な管理,運用を促すことにある.
9 無侵襲血液検査の現状と将来
著者: 桑克彦
ページ範囲:P.1050 - P.1056
Ⅰ. 無侵襲計測法
無侵襲あるいは非侵襲(non-invasive)の検査は,痛みなどを伴わないことから究極の検査法である.痛みを伴わない検査という点では,古くから尿検査がその代表とされてきた.また,いわゆる生理検査の多くも同様である.このうち生体情報の計測技術の進歩により,その画像化も含めて新しい臨床検査が開発されている.表1には無侵襲計測法による臨床検査の例を示した.
1 . 光を利用した生体情報計測装置
1) 近赤外線分光法
近赤外線分光法(near infrared spectroscopy,NIR)としては,ヘモグロビン量の計測とグルコースのモニタ(後述)に利用されている.
10 災害時における臨床検査
著者: 上道文昭
ページ範囲:P.1057 - P.1062
はじめに
平時における臨床検査は医療において欠かせないものである.災害時における医療においても例外でなく,必要なときに必要とされる検査を,迅速かつ的確に提供することが要求される.しかしその災害時における具体的取り組みを臨床検査中心に述べられたものは少ない.本稿では災害時における臨床検査の視点からそのありかたについて,多様化する災害状況の中から地震災害を中心にまとめてみたい.
11 今後の臨床検査の経済的側面―2006年度診療報酬改定をふまえて
著者: 宮澤幸久
ページ範囲:P.1063 - P.1069
はじめに
2006年(平成18年)度の診療報酬改定が3月6日に厚生労働省から告示され,4月1日から施行された.これまで診療報酬の改定には厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が大きな影響力を持っていた.しかし,政府は診療報酬改定に絡む中医協歯科委員の贈収賄事件が昨年発覚したことを捉え,中医協の権限を大幅に縮小した.なかでも特筆することは,医療費の総額を規定する改定率の決定権を,内閣に移譲したことである.今回の改定においては,小泉首相(当時)が医療制度改革を「既得権益にとらわれない改革」の目玉として挙げ,経済諮問会議の答申も踏まえて改定率は3.16%とこれまでに例を見ない高いマイナス査定となった.このうち,薬価などの1.8%分を除いた1.36%が診療報酬本体から引き下げられた.個別項目については,これまで通り中医協で論議され,それぞれの点数は厚生労働省が決定している.
検査料についてみると,前回の2004年(平成16年)改定では診療報酬本体がゼロ査定のなかにあって,10%近い検体検査実施料引き下げが行われたが,今回の引き下げ幅は前回より縮小されたとのことである.
本稿では,今回の診療報酬改定の概要を検証し,経済的側面からみた今後の臨床検査について検討してみたい.
各論 1.血液検査
1 最新の自動血球計数器の付加機能
著者: 田窪孝行
ページ範囲:P.1072 - P.1077
1 . 赤血球粒度分布
全自動血球計数器から血球計数と同時に赤血球直径の分布曲線であるPrice-Jones曲線と相似性を示す赤血球粒度分布が表示される(図1).小球性及び大球性貧血の鑑別診断や治療のモニタリングに有用である.
臨床的意義
小球性貧血(鉄欠乏性貧血など)では曲線全体が左に推移し,大球性貧血(悪性貧血など)では右に推移したヒストグラムが表示される.このようなヒストグラムを用いることで上記の貧血が容易に鑑別される.鉄欠乏性貧血が治療により奏効した場合には,治療一週目に粒度分布の右肩に正常な赤血球の出現がみられ,5週目には二峰性の山となり約4か月後にほぼ正常な赤血球粒度分布に回復するのが観察される(図1).このように治療のモニタリングにも有用である.
2 フローサイトメトリーによる白血病タイピング
著者: 米山彰子
ページ範囲:P.1078 - P.1082
はじめに
血球の種類や分化段階により細胞表面や細胞質内抗原の発現が異なる.白血病細胞など,腫瘍化した細胞においてもその正常対応細胞の形質が保たれていることが多い.したがって,造血器腫瘍の診断や病型分類に際して,形態診断や特殊染色に加えて免疫学的な形質解析を併用すると,詳細で確実な診断が可能である.造血器腫瘍の新WHO分類においても遺伝子や免疫学的表現型の解析が重視され,造血幹細胞移植や分子標的療法を含む多数の選択肢から,病型ごとの予後や治療反応性を考慮した治療方針の選択に役立っている.また,治療効果判定や,造血器腫瘍が他の組織に浸潤した場合の診断にも用いられる.
ノート 新WHO分類
著者: 米山彰子
ページ範囲:P.1083 - P.1087
新WHO分類とは
従来,急性白血病および骨髄異形成症候群の分類としてFAB分類(French-American-British classification)が広く用いられてきた.また,悪性リンパ腫の分類は時代とともに変遷し血液内科医にとってもわかりにくい点があった.1999年に発表され,2001年にその詳細が単行本として出版された新WHO(World Health Organization,世界保健機関)分類は,骨髄系・リンパ系を併せ白血病・骨髄異形成症候群からリンパ腫まで含んだ造血器腫瘍の包括的分類である.その作成には病理学者と臨床血液専門医が協同してあたり,形態所見に加えて免疫学的表現型や遺伝子異常が診断・分類に重視されていることが特徴である.
新WHO分類の概要
WHO分類では,大きく骨髄系腫瘍とリンパ系腫瘍に分かれ,骨髄系腫瘍が①慢性骨髄増殖性疾患,②骨髄異形成/骨髄増殖性疾患,③骨髄異形成症候群,④急性骨髄性白血病に,リンパ系腫瘍が,①BおよびT前駆細胞の腫瘍,②成熟B細胞腫瘍,③成熟T細胞・NK細胞(natural killer cell)腫瘍,④ホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma)に分類されている.
3 粒子計測法による血小板凝集能検査
著者: 佐藤金夫
ページ範囲:P.1088 - P.1090
はじめに
血小板は生理的な止血・血栓形成や病的血栓形成において重要な役割を果たしており,血小板数の減少や機能低下(血小板無力症やベルナール-スーリエ症候群など)は出血傾向をきたす.また,心筋梗塞,脳梗塞,糖尿病合併症などにおいて血小板機能亢進が認められており,これら動脈硬化性疾患を有する患者では再発予防のため血小板機能を抑制する抗血小板薬が処方されているが,薬剤の服用にもかかわらず血栓症のリスクが低下しない患者群の存在が報告されている1)(薬剤に対する抵抗性,レジスタンスと呼ばれている).そのため,抗血小板薬の薬効を判定する測定系が今後,必要になってくると思われる.
ノート 血小板機能亢進を評価するための検査
著者: 佐藤金夫
ページ範囲:P.1091 - P.1095
はじめに
脳梗塞,心筋梗塞,狭心症などの動脈硬化を基盤とした血栓性疾患は日本人における死亡原因の上位を占め,その予防や早期発見は重要な課題となっている.これらの疾患では血小板機能亢進が認められることから,機能亢進状態の評価を通じて診断や治療に寄与できると考えられる.
血小板機能亢進状態では,血小板凝集能の反応性が亢進したり生体内での顆粒内容物の放出に伴う種々の変化が現れたりするので,それらを指標にして血小板の機能亢進状態を評価することができる.検査法として,in vitroで血小板活性化物質に対する反応性の亢進を評価する方法と,ex vivoで血小板活性化に伴って変化する成分を評価する方法とがあり,前者には血小板凝集能検査,後者には活性化GP(glycoprotein,糖蛋白)IIb/IIIaやCD(cluster of differentiation)62Pなどの血小板表面マーカー,血小板由来マイクロパーティクル,流血中血小板凝集塊などに関する評価法がある.本稿では最初に血小板活性化機構について概説し,続いて検査法について解説する.
4 vWF切断酵素(ADAMTS13)
著者: 矢冨裕
ページ範囲:P.1096 - P.1098
はじめに
血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura,TTP)は,血小板減少を引き起こす基礎疾患として極めて重要である.長らく,本疾患の原因は不明であり,類縁疾患である溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome,HUS)との鑑別も困難な場合が多かった.しかし,ADAMTSファミリーに属する亜鉛型メタロプロテアーゼであるADAMTS13(a disintegrin-like domain, and metalloprotease, with thrombospondin type 1 motif13)がvWF切断酵素として2001年に単離・同定されたことにより,大きな進展が認められた.この酵素はvWFのA2ドメインに存在するTyr842-Met843間のペプチド結合を特異的に切断する.なんらかの原因によりADAMTS13の欠損,機能不全が惹き起こされるとvWFが切断されなくなり,血小板凝集活性の強い超高分子量vWFマルチマー(unusually large vWF,ULvWF)が血漿中に出現することになる.これによる血小板血栓形成の過剰促進が,TTPの発症要因と理解されるようになった.そして,この事実から推察できるように,血漿ADAMTS13の測定はTTP診断に極めて有用であることが示されている.
5 可溶性フィブリン
著者: 尾川智美 , 北島勲
ページ範囲:P.1099 - P.1100
はじめに
血栓症や播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)において,患者の凝固・線溶状態把握は治療法選択などの臨床的に極めて重要である.トロンビン・アンチトロンビン複合体(thrombin-antithrombin complex,TAT),プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2),フィブリノペプタイドA(FPA),Dダイマーなど多くの凝血マーカーが現在臨床現場で利用されているが,どのマーカーが有用性を示すのか疾患により評価が一定していない.近年,モノクローナル抗体IF-43により可溶性フィブリン(soluble fibrin,SF)を特異的に検出することが可能となった.IF-43はフィブリンモノマー(fibrin monomer,FM)1分子がフィブリノゲン(fibrinogen,Fbg)2分子と結合した,SF形成時にEドメイン上に出現する抗原決定基を認識する.SF測定することにより,血中でのトロンビンが活性化状態,すなわち,Fbgがフィブリンへ変換される初期段階を検査できる.さらに,トロンビンの生体内活性化状態を迅速に診断できることのみならず,SF自体が新しく形成される血栓量を反映する.したがって,SFは血液凝固亢進状態を示す優れた分子マーカーと評価できる.
6 フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)
著者: 和田英夫 , 別所由梨
ページ範囲:P.1101 - P.1103
はじめに
血栓形成後に,血栓を除去するため線維素溶解(線溶)現象は起こる.線溶現象は,プラスミノゲンアクチベータ(plasminogen activator,PA)がプラスミノゲンを活性化し,プラスミンを生成させることで開始される.プラスミンはフィブリンだけでなくフィブリノゲンにも作用し,フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation product,FDP)を形成する.フィブリン/フィブリノゲンの分解過程において各種の分解産物(亜分画)が共存する.プラスミンによりフィブリノゲンのAα鎖およびBβ鎖の一部が切断されX分画となり,さらにY分画とD分画に切断され,最終的にE分画とD分画となるのが,一次線溶で産生されるFDP(fibrinogen degradation product,FgDP)である.一方,二次線溶で産生されるFDPは,血栓形成による安定化フィブリンがプラスミンにより分解を受け,互いに異なる分子に由来するD分画2分子の結合体とE分画1分子を最小単位とするさまざまな分子のXDP(Dダイマー)である(図).
ノート 最新のDIC診断基準
著者: 和田英夫 , 山田絵梨
ページ範囲:P.1104 - P.1107
はじめに
播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation,DIC)1)という言葉が使われ始めたのは1950~1960年代で,病理学的概念が尊重されて微小血栓の証明が必要とされた.1972年にはColmanの診断基準2)が発表され,大きな検査室でのDIC診断が可能になった.1979年に厚生省のDIC診断基準3)が作成され,基礎疾患の有無,臨床症状,global coagulation testsによるスコアリングによりDICが診断され,一般病院でのDIC診断が可能になった.1987年には厚生省診断基準改訂版4)ができ,補助診断項目として止血系分子マーカーやプロトロンビン時間(prothrombin time,PT)比が採用された.近年,全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome,SIRS)5)という概念が提唱され,重症敗血症に活性化プロテインC(activaed protein C,APC)6)やアンチトロンビン(antithrombin,AT)7)などの臨床試験が行われた.その結果,重症敗血症は高頻度にDICを合併するとともに,DICの診断/治療が重症敗血症の予後に大きなウエイトを占めることが示唆された.2001年に国際血栓止血学会(International Society of Thrombosis and Haemostasis,ISTH)の科学的標準化委員会(Scientific Standardization Committee,SSC)がovert-DIC診断基準を発表した8).また,日本救急医学会からはより簡易で,感度の良い急性期DIC診断基準9)が発表された.
一方,DICの定義や概念には,病理学的なものから臨床検査学的なものまで種々のものがある10).近年,国際血栓止血学会(ISTH),日本血栓止血学会,日本救急医学会,日本DIC研究会などで活発な議論がなされた結果,DICに関して一定の見解が得られつつあり,DICの定義や概念は表1に示すISTHのものが最も妥当と考えられている.すなわち,DICの病態としては出血ではなく血栓症状を主体としたものが重視され,基礎疾患は感染症などの炎症性疾患に重点が置かれ,臨床検査のみによりDICの診断できるようになりつつある.Pre-DICについても,近年ではほとんどの臨床家がDICの早期治療に肯定的である.また,DICの診断はすべての基礎疾患で同じであるというのが共通認識であったが,近年では感染症DICの早期診断は困難であることから,感染症のDIC診断基準を作ろうという動きが加速されてきている11).DICの概念・定義・診断基準は,その時代の社会的基盤に従いどんどん変化してきている.
2.生化学検査
1 シスタチンC
著者: 斉藤憲祐
ページ範囲:P.1110 - P.1113
はじめに
現在わが国で臨床的に用いられている主なGFR測定法は,内因性クレアチニンクリアランス(creatine clearance,Ccr)や外因性チオ硫酸ナトリウムクリアランス(Cthio)などがあり,また,GFRを推定するための腎機能マーカーとして血清クレアチニン値,血液尿素窒素(blood urea nitrogen,BUN)および低分子蛋白質の血清β2-マイクログロブリン(β2-microglobulin,β2-m)値などが用いられている.
Cthioを測定するには,静脈注射(静注)や正確な蓄尿が必要で患者への負担が大きい.また,測定操作も煩雑であるという問題点がある.一方,Ccrを算出するためには,標準的に24時間の蓄尿が必要なので,その正確性が問題点として指摘されている1).BUN値は,食事としての蛋白質摂取量の影響を強く受ける.血清クレアチニンは食事の影響は少ないが,筋肉量に関係するため運動の影響を受ける.また,血清クレアチニン値が1mg/dl以下は,GFRの低下を反映しにくいブラインド領域と呼ばれており,腎疾患早期の診断には適していない.血清β2-m値は,悪性腫瘍および自己免疫疾患の場合でも高値を示す.このように腎前性の影響がある場合には,かならずしも理想的なGFRの血清マーカーではない.
シスタチンCは,シスタチンスーパーファミリーに属し,分子量13kDaの塩基性低分子蛋白である.シスタチンCは全身の有核細胞に存在しており,プロテアーゼインヒビターとして細菌の産生するプロテアーゼから細胞を防御する働きがある.他の血漿蛋白と複合体を形成せず,腎糸球体から濾過され近位尿細管で再吸収される2,3).そのため,GFRの低下とシスタチンC濃度は相関すると言われており4,5),GFRの低下は,シスタチンC濃度を上昇させる.また,血清クレアチニンと違い筋肉量の影響も受けない.これらのことから,腎前性の影響の少ない,早期腎機能マーカーとしてシスタチンCが注目されている.
2 ペントシジン
著者: 大友秀一 , 宮田敏男
ページ範囲:P.1114 - P.1114
はじめに
ペントシジンはAGEsの一種であり,高血糖や酸化ストレス下において,糖から変化したカルボニル化合物と生体蛋白との非酵素学的反応によって生成される.
糖尿病では,ペントシジンの前駆物質である糖由来のカルボニル化合物の増加が,また腎不全ではカルボニル化合物の排泄低下と酸化ストレスの亢進が,炎症性疾患では酸化ストレスの亢進に基づくカルボニル化合物の産生が亢進し,ペントシジンレベルが上昇する.特に腎不全患者は極度の上昇を認め,健常人と比較し20倍程度上昇する.カルボニル化合物を消去する酵素であるグリオキシラーゼを欠損する患者では50倍程度上昇する.ペントシジン値は,糖尿病や腎不全の血管合併症などの指標となることが報告されている.
ノート 腎機能マーカーの有用性と活用の仕方
著者: 宮田敏男
ページ範囲:P.1115 - P.1121
増加する腎臓病と社会背景
日本の透析患者数は,世界第2位であり(人口当たりでみると世界1位),世界透析患者の約1/5が日本にいる.一方,日本の腎移植数は欧米に比べ圧倒的に少なく,ここ数年増加していない.日本の高齢化に伴い透析患者もますます長期化・高齢化してきた.驚くべきことに,透析の予備軍である慢性腎臓病患者は予想以上に多いことが日本腎臓学会の調査で明らかとなった.わが国の約36万人分の健康診断などのデータを評価・推計した結果,日本人の約2千万人あまりが既に糸球体濾過値(glomerular filtration rate,GFR)60ml/分未満,うち480万人あまりが50ml/分未満と推定されることが2005年の日本腎臓学会総会で報告された.増加する腎臓病の背景には,高齢化に伴う高血圧(腎硬化症),糖尿病(糖尿病性腎症),肥満などのメタボリック症候群の増加が指摘されている.
高度蛋白尿を呈するネフローゼ症候群などの例を除いて,慢性腎臓病の多くは自覚症状をあまり示すことなく進行する.腎臓機能低下に伴う症状は,腎臓機能の約2/3以上をなくした場合に初めて尿毒症として発現してくるが,腎機能がまだ過半数保たれているときは全く症状としては出てこないので,腎臓病はなかなか気づかないことが多い.しかし,後述するように,この段階で既に腎臓の形態・機能の障害はかなり進行している.
3 BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
著者: 島田英実
ページ範囲:P.1122 - P.1125
はじめに
BNPはナトリウム利尿ぺプチドファミリーに属し,ANP(arterial natriuretic peptide,心房性ナトリウム利尿ペプチド)に続き1990年に松尾らのグループによりブタの脳より単離された.
そのためBNPと命名されたが,その後の検討によりANP同様心臓から分泌されるホルモンであることが明らかとなった.またANPが主として心房から分泌されるのに対しBNPは主に心室から分泌されることも明らかとなった.BNPはアミノ酸32個から成り,中央にリング構造をもつユニークな環状ペプチドである.同ファミリーに属するANP,CNP(C-type natriuretic peptide,C型ナトリウム利尿ペプチド)も同様の構造をもち,リング構造部分での相同性は高い(図1).
BNPの生理学的作用としてはANP同様,血管拡張作用,利尿作用,ナトリウム利尿作用,交感神経系およびレニン-アンジオテンシン系の抑制作用など心臓を保護し心不全の病態を改善する方向に働くといわれている.CNPは血管内皮細胞やマクロファージから分泌されANP,BNPのような心臓ホルモン的な作用は有さない.
BNPは心筋細胞において前駆体(preproBNP)の形で合成され酵素的切断を受けてproBNP(108アミノ酸残基)となり血中に活性型BNP(32アミノ酸残基)と不活性型のN末端BNPフラグメント(NT-proBNP)の形で放出される.代謝経路としてはナトリウム利尿ペプチドのクリアランス受容体を介する機序のほか,腎近位尿細管や血管内皮に存在するニュートラルエンドペプチダーゼ(NEP)による分解を受ける.
4 ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)
著者: 渡辺利夫 , 大久保雄一 , 大軽靖彦
ページ範囲:P.1126 - P.1129
はじめに
心疾患のうちでも急性心筋梗塞(acute myocardial infarction,AMI)は,強い胸痛を伴って突然発症し,生命予後が脅かされることも少なくない致死率の高い疾患である.AMIの一般的治療法として経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention,PCI)の有用性は広く認識されているが,可及的早期にこの療法を実施することが患者の予後向上に大きく影響するため,いわゆる,door-to-needle-timeの短縮が非常に重要である.これを達成するため,迅速な診断と的確な治療処置が要求されることはいうまでもない.
心臓由来脂肪酸結合蛋白(heart-type fatty acid-binding protein,H-FABP)は心筋の細胞質に豊富に存在する可溶性の低分子量蛋白(MW.14.9kDa)である.FABPは,組織ごとにアミノ酸配列の異なる分子種が発現しており,H-FABP以外にも,脳型(B-FABP),肝臓型(L-FABP),小腸型(I-FABP)など9種が知られているが,それぞれアミノ酸配列が異なるためH-FABPだけを免疫学的に区別することが可能である.心筋細胞が心筋梗塞や虚血によって傷害を受けると,心筋細胞中の可溶性低分子蛋白であるH-FABPは速やかに血流中に逸脱する.よって,H-FABPの検出はAMIをはじめとする急性冠症候群の早期診断に非常に有用である1).
われわれはAMI診断マーカーとしてのH-FABPに着目し,イムノクロマト法を検出原理とした全血中ヒトH-FABP検出試薬「ラピチェック(R)H-FABP」を開発した2).本試薬は,検体の前処理や特別な機器を必要とせず,わずか15分で判定が可能であるため,ベッドサイドでのAMI診断用Point-of-care-testing(POCT)検査薬として,非常に簡便である.既に2002年より市販され,現在では広く臨床現場で利用されており,その有用性について多数報告されている3).
5 心筋トロポニンI
著者: 石井潤一
ページ範囲:P.1130 - P.1133
はじめに
トロポニン複合体はトロポニンI,トロポニンTおよびトロポニンCの三つのサブユニットから構成されている.これらのサブユニットのうち,トロポニンIとトロポニンTとの心筋アイソフォーム,すなわち心筋トロポニンI(分子量22.5kDa)と心筋トロポニンT(分子量37kDa)に対する特異性の高い高感度測定系が日常臨床で用いられている.
心筋トロポニンIと心筋トロポニンTとはともに心筋特異性が高い.しかも,急性心筋梗塞(acute myocardial infarction,AMI)発症後の異常値を示す期間が長い(広い時間的diagnostic window)ため,クレアチンキナーゼ(creatine kinase,CK)やそのMBアイソザイム(CK-MB)などの従来の心筋傷害マーカーにより検出できなかった不安定狭心症患者の微小心筋傷害を診断することができる.
多数の臨床試験により,トロポニンIもしくはトロポニンTが上昇している急性冠症候群〔不安定狭心症(acute myocardial infarction,AMI)と虚血性突然死を包括した疾患群〕疑い患者は心電図で明らかなST上昇を認めなくても,心臓死の危険性が高い“高リスク群”であることが示されている1).
さらに,これらの臨床試験の成績をふまえて,2000年9月にAMIの診断基準が改定された2).この新しい診断基準によると,トロポニンIもしくはトロポニンTが上昇している急性冠症候群はすべてAMIと診断される.
ノート 急性心筋梗塞における各種マーカーの使い分け
著者: 説田浩一 , 清野精彦
ページ範囲:P.1134 - P.1137
はじめに
急性心筋梗塞(acute myocardial infarction,AMI)は,そのほとんどが冠動脈内粥腫(プラーク)の破裂・びらんにより生じた血栓が冠動脈またはその分枝を閉塞することにより起こる.今日では,AMIは発症早期に冠疾患集中治療室(coronary care unit,CCU)に収容し,より早期に冠血管インターベンションなどの再灌流療法が行われるようになったが,なおCCU収容例においてさえその死亡率は7~8%である.AMIの予後は,AMI発症後いかに早期に治療を開始するかにより左右されるが,早期の治療開始のためにはより早期に診断することが重要であることは言うまでもない.本稿では,AMI診断に重要である血液マーカーの使い分けにつき概説する.
6 グリコアルブミン
著者: 高妻卓司
ページ範囲:P.1138 - P.1141
はじめに
血糖コントロール状態の把握は,糖尿病の治療,管理や合併症の予防において非常に重要である.特に近年厳格な血糖管理が望まれるようになり,ヘモグロビンA1c(hemoglobin A1c, HbA1c),グリコアルブミン(glycated albumin,GA),1,5-アンヒドログルシトール(1,5-anhydroglucitol,1,5-AG)などの血糖コントロール指標の検査が多用されるようになった.なかでもHbA1cはDCCT(diabetes control and complications trial)やUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)をはじめ合併症予防のための多くのエビデンスが示されており,第一選択となっている.
HbA1cは赤血球寿命が約120日であることから,過去1~2か月の血糖コントロール状態を示す指標である.一方,GAは過去4週間,特に直近の2週間の血糖コントロール状態を反映する2)ことから,過去数週間の血糖コントロール状態を確認したい場合,例えば糖尿病治療開始時の治療効果の確認に有用と考えられている.治療開始時期は血糖値が大きく,急激に変化する場合が多く,HbA1cではすぐに変化を捉えることができない.一方GAは,血糖コントロール状態の変化を迅速にとらえ薬剤投与量の調整等に検査結果を生かすことができる(図1).
また,血糖値の変動が激しい場合,厳格な血糖コントロールを必要とする糖尿病妊婦の場合やHbA1cが正しく血糖値を反映しない症例(血液透析,肝障害,貧血,異常へモグロビン血症等)においても有用な指標と考えられている2).
7 レムナント様リポ蛋白(RLP)コレステロール
著者: 多田紀夫
ページ範囲:P.1142 - P.1145
はじめに
レムナントリポ蛋白(レムナント粒子あるいは単にレムナントとも呼ばれる)は小腸由来リポ蛋白であるカイロミクロン(chylomicron,CM)や肝由来リポ蛋白である超低比重リポ蛋白(very low-density lipoprotein,VLDL)などのトリグリセリド(TG)-richリポ蛋白が血中に分泌された後,毛細血管床に存在するリポ蛋白リパーゼの作用を受け変化した中間代謝産物であり,CMレムナントとVLDLレムナントの両者を総称する呼び名である.CMレムナントとVLDLレムナントは,ともにTGに富み,アポEとコレステロールに富むリポ蛋白粒子であり,アポB(CMレムナントは主としてアポB-48,VLDLレムナントはアポB-100)を構造アポ蛋白とする共通点を持つ1).
レムナントは低比重リポ蛋白(LDL)と同様に動脈硬化を促進させるリポ蛋白の1つである(コラム参照).Ⅲ型高脂血症,家族性複合型高脂血症,糖尿病性高TG血症,メタボリックシンドロームにおける高頻度の冠動脈疾患発症はレムナントの増加によるところが大きい(表).近年,食後高脂血症の動脈硬化促進性が話題になっているが,レムナントはここに関与するリポ蛋白でもある.家族性高コレステロール血症においてもレムナントが増加することがあり,この場合は家族性高コレステロール血症の易動脈硬化性をさらに助長する.1993年10月より血中レムナント濃度を反映する測定法としてRLP-C(remnant-like particles cholesterol,レムナント様リポ蛋白-コレステロール)が保険収載され,臨床の場においてレムナントの定量的把握が容易となった.
8 small dense LDLコレステロール
著者: 平野勉 , 伊藤康樹
ページ範囲:P.1146 - P.1149
はじめに
LDLコレステロール(c)が動脈硬化,とりわけ冠状動脈疾患(CHD)の最も重要な危険マーカーであることは異論なき事実であり,大規模な疫学調査や薬剤の介入試験によって明らかとなっている.しかしながらLDL-C値が正常であってもCHDを発症する場合が稀ならず存在することもまた事実である.そこで注目されているのがLDLの質的異常であり,その代表格と目されているのが粒子サイズが小さく,比重の重いLDL(small dense LDL,以下sd LDL)である.最近ではメタボリックシンドロームで増加するためその関連因子として注目されてきている.従来よりsd LDLの検出にはLDLのサイズを濃度勾配電気泳動を用いて計測するのがスタンダードな方法であったが,近年はサイズ以上にsd LDLの濃度が重要視され1),その定量法に関心が集まっている.われわれはsd LDLの簡便な測定法としてポリアニオンと二価陽イオンから成る分離剤を用いて通常サイズのLDLを含む比重d<1.044g/mlのリポ蛋白を凝集させ,sd LDLを分離するステップと,分離後のLDL-Cを測定するステップから成るsd LDL-C測定法を開発した.本測定法はフィルター遠心チューブを用いることにより高カイロミクロン検体などでも正確に分離することができる.本測定法は,簡便であり特別な測定機器も必要としないことから,sd LDLの定量法として広く普及することが期待される.
9 酸化LDL
著者: 益成利幸
ページ範囲:P.1150 - P.1151
はじめに
粥状動脈硬化巣のマクロファージは,スカベンジャー受容体から酸化LDLを取り込んで泡沫化すること,血管内皮細胞や血管平滑筋細胞を活性化し炎症性サイトカインや接着分子の発現を誘導することなどが報告されていることから,酸化LDLは動脈硬化性疾患の発症から成熟までの様々な過程で,低比重リポ蛋白質(low density lipoprotein,LDL)と異なった機序により動脈硬化を促進すると考えられている.このような酸化LDLの生理活性が研究される一方で,血中酸化LDLと動脈硬化との関連が予測され,血中酸化LDL測定法開発が進められてきた.しかし,酸化LDLはLDLを構成する種々の成分が酸化変性された多種多様な成分の複合体であり,均一な物質とは考えにくい.酸化LDL中の酸化変性成分を特異的に認識するモノクローナル抗体により免疫学的に酸化LDLを測定することは可能だが,用いる抗体の認識部位により測定される酸化LDL量の臨床的意義は異なると考えられる.
10 レプチン
著者: 小川佳宏
ページ範囲:P.1152 - P.1153
はじめに
肥満遺伝子産物(レプチン)は脂肪組織により分泌される代表的なアディポサイトカインであり,視床下部を介して強力な摂食抑制作用とエネルギー消費亢進作用をもたらし,肥満の制御や体重増加の抑制に関与すると考えられている.また,レプチンは,視床下部・下垂体機能調節にも関与することが明らかになってきており,神経内分泌調節因子としての意義が注目されている.レプチンの測定系が開発されて以来,種々の病態におけるレプチンの分泌調節が急速に明らかになってきており,新しい内分泌学的検査としての臨床的意義が注目されている.
11 ヒアルロン酸
著者: 上野隆登
ページ範囲:P.1154 - P.1155
はじめに
ヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンと D-グルクロン酸が重合した高分子量の粘液性ムコ多糖類である(図).他のグルコサミノグリカンとともに生体内の結合組織に広く分布しており,臍帯,関節液,硝子体などには特に豊富に存在し,関節潤滑作用や細菌侵入に対する生体防御作用および電解質と水の調節作用を担っている.産生遊離されたヒアルロン酸は血流に乗ってリンパ組織へ移行し,さらに肝臓に移行して,SECでその大半は代謝・分解される1).
ノート 骨粗鬆症診断における血清骨代謝マーカー
著者: 中塚喜義 , 三浦雅一
ページ範囲:P.1156 - P.1162
はじめに
高齢社会の到来により骨粗鬆症が注目され,有効な治療薬が使用されるに伴いその診断や治療判定の手段の一つとして骨代謝マーカーの測定が普及しつつある(表1).骨代謝マーカーのうち骨形成マーカーに分類されるものは,骨芽細胞に由来し血清を用いる.特に,Ⅰ型プロコラーゲンに関連したものでは,Ⅰ型プロコラーゲンC,N末端プロペプチド(typeⅠprocollagen-C-/-N-propeptide,PICP/PINP)が骨形成マーカーに分類されており,特に,骨代謝を鋭敏に反映するPINPの免疫測定法が商業ベースで用いられるようになった.一方,Ⅰ型コラーゲンに関連した骨吸収マーカーとしては,Ⅰ型コラーゲン架橋C-,N-テロペプチド(typeⅠcollagen crosslinked C-/N-telopeptide,CTX/NTX)が尿中のみならず,血中にも存在し,血清濃度の測定に適した免疫測定法も開発されている.また,破骨細胞に由来する酸フォスファターゼも,以前は酒石酸耐性の分画を酵素活性で測定されていたものが,感度の良好な免疫測定法での測定されるようになり有望な骨代謝マーカーとして見直されている.各種,血清を用いた骨代謝マーカーとその測定法を表1に示す2).
12 骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)
著者: 竹内靖博
ページ範囲:P.1163 - P.1165
はじめに
骨代謝を非侵襲的に評価するために,多くの生化学的指標が骨代謝マーカーとして検討されている(表).骨代謝は吸収と形成の過程に分けられることから,骨吸収を反映するマーカーと骨形成を反映するマーカーが存在する.骨芽細胞が合成・分泌する骨型アルカリフォスファターゼ(bone alkaline phosphatase,BAP)は骨形成の代表的な指標であり,各種の骨疾患やカルシウム代謝異常症を診療するうえで重要な役割を果たしている.
BAP以外の骨形成マーカーにはオステオカルシンがある.生理的状態や骨粗鬆症ではBAPとオステオカルシンとは共通の変化を示すが,骨転移や糖尿病などの病態では両者の挙動に乖離を認めることがあり注意が必要である.
13 シアル化糖鎖抗原 KL-6
著者: 大成洋二郎 , 横山彰仁 , 河野修興
ページ範囲:P.1166 - P.1169
はじめに
肺炎とは肺実質(肺胞上皮細胞とそれに囲まれた肺胞腔)および肺間質(肺胞腔以外の肺胞を構成している組織)を含む肺胞領域に起こる炎症性疾患を総称した名称である.この肺実質性肺炎と間質性肺炎とは病変の部位だけでなくその成り立ちが大きく異なる.前者では肺胞腔内に炎症細胞の浸潤が生じるが,肺胞壁への影響が少ないため抗菌剤治療などにより治癒すると肺胞は元の状態に戻る.一方,間質性肺炎は肺胞隔壁に主病変が存在し,炎症の修復過程に線維化が生じることが多い.臨床の場ではこれらの肺炎の鑑別診断は,しばしば困難なことが多い.KL-6は実質性肺炎では正常値を示し,間質性肺炎では高値となる場合が多く,間質性肺炎の補助診断として有用である.
間質性肺炎のうち原因不明なものについては特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias,IIPs)とし,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis,IPF)およびIPF以外に大別される.IPF以外のものとして,非特異的間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia,NSIP),特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia,COP)/閉塞性細気管支炎症性器質化肺炎(bronchiolitis obliterans organizing pneumonia,BOOP),急性間質性肺炎(acute interstitial pneumonia,AIP),呼吸細気管支炎関連間質性肺疾患(respiratory bronchiolitis-causing/associated interstitial lung disease,RB-ILD),剝離性間質性肺炎(desquamative interstitial pneumonia,DIP),リンパ球性間質性肺炎(lymphocytic interstitial pneumonia,LIP)が含まれる.厚生労働省のびまん性肺疾患研究班による「特発性間質性肺炎(IIPs)の臨床診断基準―第4次改訂―」が作成されているが,この診断基準で重要なことはIPFを的確に診断することである.現時点ではIPFの診断には高分解能CT(high-resolution CT,HRCT)所見が最も有用である.典型的なIPFのHRCT所見は肺底部,胸膜直下優位に明らかな蜂巣肺所見を伴う網状影である.しかしHRCTの読影は個人の技量の差によって左右される.血清マーカーであるKL-6は第4次改訂の特発性間質性肺炎の臨床診断基準に導入されており,KL-6はIPFの補助診断,および病勢の指標として有用であることが示されている.しかし,IPF以外のIIPsについてのKL-6値の検討は乏しいのが現状である.
ノート 肺線維化マーカーの測定意義
著者: 服部登 , 河野修興
ページ範囲:P.1170 - P.1171
はじめに
現在,厳密な意味で,肺に発生している線維化を検出・評価しうるマーカーは存在しない.線維化は,コラーゲンを中心とした細胞外マトリックスの過剰な沈着と捉えることができるので,血液中にて検出されるヒアルロン酸やⅣ型コラーゲン,プロコラーゲンⅢペプチドは,体内における細胞外マトリックスの過剰産生を意味し,肺における線維化を検出するマーカーとなりうる可能性は示唆される.しかしながら,これらの細胞外マトリックスを反映するマーカーは,体内で最大重量をもつ臓器である肝臓における線維化の指標として使用されることがほとんどであり,肺線維症の存在下にて上昇することは指摘されているもののその頻度などは不明であり,実際には臨床応用されてはいない.
現在,肺線維化に関連した血清マーカーとして臨床応用されているのは,肺の線維化が同時発生している場合が多い間質性肺炎の病態下で上昇することが知られているKL-6やサーファクタント蛋白質(surfactant protein)AおよびD(SP-A,SP-D)などである.これらの間質性肺炎関連マーカーは,実地臨床では肺線維化マーカーとして誤認・代用されている感があるが,間質性肺炎と肺線維症は本来区別されるべき病態であることは,しっかり認識しておかねばならない.
14 血清アミロイドA蛋白質
著者: 安東由喜雄 , 立石多貴子 , 姫野真悟
ページ範囲:P.1172 - P.1174
はじめに
SAAは,IL-1β,IL-6,TNF-αなどのサイトカインの刺激により,肝臓,血管内皮細胞,脂肪細胞をはじめとする全身のあらゆる部位で産生される11.7kDaの糖鎖を含まない蛋白質である.SAAは,N末端に疎水性の領域を持ち,この部位で高比重リポ蛋白質(high density lipoprotein,HDL)と結合して血中を循環している.
SAAは以前から関節リウマチや炎症性腸炎などの炎症性疾患に続発して起こる二次性アミロイドーシスにおいて,組織に沈着するアミロイドの前駆蛋白質として知られており,血中のSAAの持続的高値は発症のリスクファクターとなることが知られている1).また,SAAは炎症時に10~1,000倍に上昇し,CRPよりも変動幅が大きいことから,急性炎症マーカーとして有用である2).
ヒトSAAには,SAA1~4までの4種類の遺伝子多型が知られている3).このうち,急性炎症において著明に発現するのは,主にSAA1および2である.特にSAA1においてはSAA1.1,SAA1.3,SAA1.5のサブタイプが存在し,その中でもSAA1.5を有すると,血中SAA濃度は高値となる傾向がある3).また,アミロイドの前駆体となるのも,主にSAA1と2であり,特にSAA1由来のものが多いとされている.その中でもRAでは,SAA1.3を持つと発症のリスクが数倍高いことが知られている.
SAA3はpseudo geneであり,以前は蛋白質を産生しないと考えられてきたが,最近,プロラクチンやリポポリサッカライドにより乳腺上皮細胞を刺激すると,一過性に発現することが知られるようになってきた.SAA4は,炎症とは無関係に常時発現しているが,疾患との関連性など不明な点が多い.
ノート 各種炎症マーカーの特性
著者: 安東由喜雄
ページ範囲:P.1175 - P.1178
はじめに
生体内で炎症が起こると,まず白血球の動員が起こり,それにより種々のサイトカインが産生される.このとき生じたサイトカインの作用によりC反応性蛋白(C-reactive protein,CRP),血清アミロイドA蛋白質(serum amyloid A,SAA),α1-酸性糖蛋白質(α1-acid glycoprotein,α1-AGP),シアル酸などの急性期炎症蛋白質が産生されるが,この動きと呼応してアルブミン,トランスサイレチン(transthyretin,TTR),レチノール結合蛋白質(retinol binding protein,RBP),トランスフェリン(transferring,Tf)などの反急性期蛋白質(anti-acute phase protein)は上記の急性期炎症蛋白質の動きと鏡面対象のようにその血中濃度が低下する1).これらの蛋白のうち,アルブミンは血中半減期が約3週間と比較的長いのに対して,半減期が短く,炎症時や栄養状態によって変動するTTR,RBP,Tfなどの蛋白を一括りにし,rapid turnover protein(RTP)と呼ぶ場合もある2).
15 セロトニン
著者: 山口政俊
ページ範囲:P.1179 - P.1181
はじめに
セロトニンは,必須アミノ酸であるL-トリプトファンからトリプトファンヒドロキシラーゼ,ついでL-芳香族アミノ酸デカルボキラーゼにより生合成されるインドールアミンである.セロトニンは大半が末梢に存在し(90%が胃腸管のエンテロクロマフィン細胞,8%が血小板),1~2%が中枢神経系に含まれる.セロトニンの生理作用は広範で,血管平滑筋収縮,血小板凝集促進,胃腸管刺激などの末梢作用のほか,中枢において精神機能や神経内分泌の活動にもかかわっている.セロトニンは脳血液関門を通過しないので,脳機能は末梢セロトニンの影響はほとんど受けない.血液または尿中のセロトニン量を測定することで,末梢のセロトニン動態および病態を知ることができる.しかし,中枢セロトニンの変動を知るためには脳脊髄液中のセロトニンの測定が必要である.
16 環境ホルモン
著者: 丸尾直子 , 白石寛明
ページ範囲:P.1182 - P.1187
はじめに
内分泌撹乱化学物質(endocrine disrupters,いわゆる環境ホルモン)は,「外来性の物質であり,無処置の生物の内分泌系に対してその個体もしくはその子孫の世代のいずれかのレベルで健康障害性の変化を起こさせるもの」と定義がされている(European Workshop on the Impact of Endocrine Disruters on Human Health and Wildwife,1996).近年,これら化学物質のレセプター結合,情報伝達,遺伝子発現機序について研究が進み,環境中に存在する化学物質について,種々のホルモン受容体に対するアゴニスト作用,アンタゴニスト作用が明らかとなってきた.それに伴い,当初の生殖器系にとどまらず,甲状腺機能を介した小児神経発達,免疫機能など広範な生理機能に対する作用を示唆する報告が発表されている.
今までに化学物質暴露との関連が明らかになっている作用について表1に示す.
環境中にある化学物質のうち環境省が選定した物質については,毎年環境中濃度を測定して「化学物質と環境」にて公表しているが,外来性化学物質と生体影響についての国内疫学研究はほとんどなく,長期的な影響も含めた関連について議論するには知見が少なすぎる.一方で,物質文明の繁栄とそれを支える化学物質の新規製造,汎用により,現在人類は非常に多くの化学物質に接触しながら生活し,高濃度量の暴露を受ける危険性が常に存在している.
胎児・小児が成人へと成長するに当たり,さまざまな器官が生理学的に発達・成長していくが,器官ごとにその構造と機能が成熟する時期は異なる.環境ホルモン作用で考慮しなければならないのはその作用に時間的な「窓」を考慮しなければならないことである.例えば,性ホルモン関係では,8~9歳以前では黄体形成ホルモン(luteinizing hormone,LH)や性ホルモン(エストラジオール,テストステロン)の血中濃度は極めて低く保たれる必要があるとともに,発生段階においては適切な濃度が保たれている必要がある.また,脳中に必要な物質のみを取り込むためのバリア(障壁)である血液脳関門は生後6か月まで不完全である.発達途上にある脳への有害な物質の侵入は,発達中における影響のみならず,後の発達過程にも影響を及ぼすものと考えられる.多環芳香族炭化水素,メチル水銀,エタノール,PCB,DDT,鉛などの有害物は胎盤を通じて胎児の血中に入り込むことが知られており,さまざまなホルモン受容体が活性化している胎児期においては,ことさらに内分泌撹乱作用をもつ化学物質よる暴露とその影響が懸念される.
また,成長によって特有の行動様式があり,それに伴う暴露があるという考慮も必要である.母乳は乳児にとって重要な栄養源であるが,その一方で,母親の体内に蓄積された脂溶性の化学物質の暴露源となりうる.また,幼児期においては,成人に比べて果実や乳製品などの摂取が多いことが知られ,摂取する食品の多様性にも乏しいことから,特定の食品から有害物質を予想外に暴露する可能性がある.発達期には,手や物を口に入れる特有の行動(マウジング),匍匐や遊びによって成人と異なった暴露を受ける可能性がある.図2に小児の発達・成長に応じた生活環境・行動の変化を示した.
3.免疫血清検査
1 抗ガラクトース欠損 IgG抗体(anti-agalactosyl IgG antibody)
著者: 渥美達也
ページ範囲:P.1190 - P.1193
はじめに
抗ガラクトース欠損IgG(immunoglobulin G,免疫グロブリンG)抗体はわが国で開発された新しいリウマトイド因子の検出法である.関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)患者のIgGの糖鎖にはガラクトースが選択的に欠損していることに注目し,生化学的に調整したガラクトース欠損IgGを抗原としてリウマトイド因子を測定し,RAとの相関を高めることを目的とした.すなわち,抗ガラクトース欠損IgG抗体検査はRAに特異的な自己抗原を利用した臨床検査といえる.
2 マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)
著者: 小柴賢洋 , 林伸英 , 熊谷俊一
ページ範囲:P.1194 - P.1196
はじめに
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(matrix metalloproteinase-3,MMP-3)は別名ストロメライシン-1(stromelysin-1)とも呼ばれ,インターロイキン-1(inter leukin-1,IL-1)などの炎症性サイトカインや酸化ストレスなどの刺激により関節滑膜細胞や軟骨細胞,線維芽細胞,マクロファージなどで産生誘導される蛋白分解酵素である.MMP-3はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)のなかで最も基質特異性が低く,細胞外マトリックス,特にプロテオグリカンを分解し軟骨破壊を起すとともに,Ⅰ型やⅡ型コラーゲンを分解するMMP-1の活性化を誘導するなど,関節破壊に深く関与している.関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)患者の関節液には大量のMMP-3が含まれ,血清中でも活動期に増加しC反応性蛋白質(C-reactive protein,CRP)や赤沈などの炎症マーカーと相関することが報告され1,2),また血清MMP-3のレベルが関節病変の予後予測に使用できる可能性が示唆された.一方,痛風,変形性関節症,外傷性関節炎などでは一般に高値を示さないとされる.すなわちMMP-3は関節破壊の指標として,炎症マーカーと並んでRAの病勢を反映するマーカーであると同時に,RAの鑑別診断にも有用なマーカーであると考えられる.
3 抗CCP抗体
著者: 大田俊行
ページ範囲:P.1197 - P.1199
はじめに
リウマトイド因子(rheumatoid factor,RF)は関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)の診療において極めて重要な臨床検査として半世紀以上にわたり診断,活動性,関節破壊の予後予測などのために用いられてきた.RFはRA患者のいずれかの病期において85~90%の頻度で陽性となるが,他の膠原病,肝疾患,感染症などでもしばしば検出されるので,決してRAに特異的な検査ではない.一方,約40年前に発見された抗核周囲因子(anti-perinuclear factor,APF)およびその後に発見された抗ケラチン抗体(anti-keratin antibodies,AKA)はRAに対する高い特異性を有する抗体であるが,後にシトルリン化フィラグリン(citrullinated filaggrin,cFg)がその抗原であることが判明した.抗CCP抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibodies,抗環状シトルリン化ペプチド抗体)は抗フィラグリン抗体研究の延長線上の産物として登場した.当初(第一世代抗CCP抗体測定キット)はRAに対する特異度は90%以上と良好であったが,感度は41~68%でありRFより劣っていた.改良された第二世代キットの感度は64~88%と改善を示す一方で特異度は変わりなく,RA診療に有用な検査として欧米ではRFとともにRA診療の重要な検査として使用されている.しかし,わが国では保険未収載であり,早期の収載が待ち望まれる.
ノート 関節リウマチの早期診断
著者: 大田俊行
ページ範囲:P.1200 - P.1202
はじめに
関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)はその多くが潜行性に発症し慢性に経過して多関節に障害を及ぼす関節疾患であると同時に関節以外の臓器障害をきたすことのある全身性炎症性疾患であり,さらにリウマトイド因子(rheumatoid factor,RF)などの自己抗体の出現や免疫担当細胞の異常を認めることから自己免疫疾患でもある.その診断は米国リウマチ学会(American College of Rheumatology,ACR)の1987年改定分類基準1)に照らし合わせることで行われている.しかし,この基準は発症して時間の経過した典型的なRA患者を集めて作成された経緯があり,発症早期の関節炎患者は対象となっておらず早期RAの診断には適さない2).そのため発症して日の浅い関節炎患者をプライマリーケア医が診察し,ACR基準を満たさないがRA疑いの患者は直ちにリウマチ専門医の常駐する施設(早期関節炎クリニック:early arthritis clinic,EAC)に紹介することが望ましいとされている.この紹介制度は欧州では1990年代から始まっており,早期RAという概念の確立,早期から疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti-rheumatic drugs,DMARDs)投与による寛解率の向上・骨破壊進行の鈍化といったRA医療の向かうべき道が明瞭に示された.さらに,軟骨菲薄・骨びらんなどの関節破壊は徐々に起こるのではなく発症後2年以内に急速に生じること,また発症早期にしか開いていないが治癒に導けるかもしれない「window of(therapeutic)opportunity(治療機会の窓)」との魅力的な概念もこのEACによる臨床研究から発生した.
4 抗デスモグレイン1,3抗体
著者: 天谷雅行
ページ範囲:P.1203 - P.1205
はじめに
デスモグレイン(desmoglein,Dsg)は,上皮細胞間接着装置であるデスモゾームの膜構成蛋白であり,カドヘリン型細胞間接着分子である.Dsgは4種のアイソタイプの存在が知られており,そのうちDsg2はDsgの中で最も初期の発生段階から発現されており,消化管,肝臓,腎臓,心筋などのデスモゾームを持っているすべての細胞において広範囲に発現が認められる.Dsg1とDsg3は,原則的に重層扁平上皮にのみ発現が認められる.Dsg1およびDsg3に対する自己抗体が,自己免疫性水疱性疾患である天疱瘡において水疱形成を誘導する病的役割をしている.
天疱瘡の基本的病態は,IgG自己抗体がその標的抗原であるDsgの細胞間接着機能を阻害することにより,表皮あるいは上皮の細胞間接着が傷害され,水疱ならびにびらんを形成することである.天疱瘡は,従来から疾患概念の確立している天疱瘡(古典的天疱瘡)として,尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris,PV)と落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus,PF),新しい天疱瘡の1群として,腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus,PNP)の大きく分けて3型に分類される.
Dsg ELISA法は平成15年(2003年)7月より疱瘡の血清学的診断薬として保険収載され,日常診療において稀少難治性疾患のひとつである天疱瘡の診断がより迅速に確実に下せるようになり,血清中の抗体価をELISA法によりモニタリングすることにより病勢の客観的評価が可能となった.
5 抗LKM-1抗体
著者: 宮川浩 , 北澤絵里子 , 菊池健太郎
ページ範囲:P.1206 - P.1211
はじめに
C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)の発見後のHCV感染診断の確立によって,わが国の慢性肝炎の原因の大部分はHCVやB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)感染によることが明らかにされた.同時に,肝炎ウイルス以外の原因とされる薬剤性やアルコール性肝障害と,自己免疫異常に基づく自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis,AIH)の疾患概念も,ウイルス肝炎の除外が容易になったため,より明確になった.
AIHは中年以降の女性に好発し,肝細胞障害の成立に自己免疫機序が想定され,免疫抑制薬,特にコルチコステロイドが著効を奏する慢性肝炎である.わが国の厚生省班会議でまとめられた診断指針1)のうち,主要所見を表1に示した.AIHでは表2に示すように,抗核抗体(antinuclear antibody,ANA),抗平滑筋抗体(anti-smooth muscle antibody,ASMA)などの自己抗体が血中に検出されることが血清学的な特徴の1つである.このうち,ANAが最も高頻度に検出されるが,本抗体は全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus,SLE)をはじめとする全身性膠原病でも極めて高率に検出され,疾患特異性は低い.さらにAIHのうち,通常の臨床像とは異なり,重症肝炎や劇症肝炎様の経過を示す一群があり,これらの疾患群の血清マーカーの候補として,抗LKM-1抗体が注目されるに至った.
6 ループス抗凝固因子
著者: 鏑木淳一
ページ範囲:P.1212 - P.1214
はじめに
ループス抗凝固因子(ループスアンチコアグラント,lupus anticoagulants,LA)をはじめとする抗リン脂質抗体は,現在,後天性血栓症に対する危険因子と考えられている1).LAの研究は,1963年,Bowieらが,in vitroにおいては凝固時間が延長していることにかかわらず,in vivoで血栓症を呈した全身性エリテマトーデス(SLE:systemic lupus erythematosus)を報告し,この要因として,LAを提唱したことに始まる.このLAは,1982年,Shapiroらにより,個々の凝固因子活性を抑制せずに,リン脂質依存性凝固時間を阻害する免疫グロブリンと定義された.1983年,Hughesは,臨床的に,LAが,血栓症,自然流産,中枢神経障害に関連することを指摘した.この報告以降,主に,SLEを対象とする履歴研究から,抗リン脂質抗体陽性例の臨床特徴が明らかにされ,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome,APS)の疾患概念が明らかにされた.これに伴い,LAの測定は,APSの診断・分類のために必須となった.
ノート 抗リン脂質抗体症候群の臨床検査
著者: 鏑木淳一
ページ範囲:P.1215 - P.1217
はじめに
抗リン脂質抗体は,基礎的には,その抗原に対する特異性が多様であることが明らかにされてきた1,2).すなわち,本抗体は,カルジオリピンなどのリン脂質のみならず,β2-グリコプロテインI(β2-glycoprotein I,β2-GPI),プロトロンビンなどのリン脂質に結合する蛋白質にも反応する.
抗リン脂質抗体は,臨床的には,血栓症に対する後天性危険因子のひとつとして把握され,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome,APS)という疾患概念が確立されてきた.現在,抗リン脂質抗体は,40歳以下でみられる動静脈血栓症(脳梗塞,深部静脈血栓症など),習慣流産といった妊娠合併症の症例では測定されるべき検査となった.
7 サイトカインと可溶性サイトカインレセプター
著者: 窪田哲朗 , 宮坂信之
ページ範囲:P.1218 - P.1222
はじめに
サイトカインは炎症,免疫,造血,代謝などにかかわる細胞から分泌される分子量の小さい蛋白質で,それぞれのサイトカインに特異的なレセプターを発現している細胞にのみ作用を及ぼす.一般にサイトカインは複数の作用を有しており,しかも異なるサイトカイン同士で作用が重複する部分もある.複数のサイトカインが働くことによって作用が増強する組み合わせもあるが,互いの作用が抑制される組み合わせもある.したがって,in vitroの単純な系で実験している場合はともかく,in vivoではある刺激に反応してさまざまなサイトカインの産生が連鎖反応的に亢進してネットワークを形成し,臨床病態に複雑な効果をもたらしている.
近年,微量物質を特異的に定量する技術も進歩して,以下に紹介するようにさまざまな病態における各種サイトカインの動態が盛んに研究されている.今後,臨床的意義の確立したものから順次,臨床検査にも利用されるようになると思われる.
8 プロカルシトニン
著者: 舟田久
ページ範囲:P.1223 - P.1225
はじめに
プロカルシトニン(procalcitonin,ProCT)はカルシトニン(calcitonin,CT)のプロペプチドである.分子量は13kDaで,アミノ酸116個からなる.その構造はN末端ペプチド(N-ProCT),CT,カタカルシン(CCP-)を含む(図1).血中にはCTのほかにもCT前駆体(CTpr)のProCT,NProCT,CT-CCP-Ⅰ結合体,CCP-Ⅰが検出される.生理的条件下で,CTは高Ca血症に反応して甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)で生成・分泌される.C細胞の癌化した甲状腺髄様癌では無症候性の高CT血症が臨床マーカーとなる.一方,ProCTは重症細菌感染症や敗血症の患者の血中に著増するだけでなく,その濃度が重症度や死亡率と相関する.このため,ProCTには敗血症や細菌感染症の炎症マーカーとしての臨床的意義が強調されている.
ノート 敗血症の診断の現況と新しいマーカーの活用
著者: 舟田久
ページ範囲:P.1226 - P.1228
敗血症とその診断に対する最近の考え方―全身性炎症反応症候群の概念の導入
敗血症に相当する用語として,sepsisが使用される.sepsisは本来腐敗を意味するが,最近は菌血症の有無を問わず,感染病態の重篤性(感染症に対する全身性の反応)を強調する表現である.敗血症は特定の病原菌によって起るわけではなく,また特異的な病理学的所見ももたないことから,原発巣だけでは説明できないほど重篤で多彩な症状を呈する病態が漠然と敗血症と呼ばれてきた.その臨床的な特徴は,原発巣や原因菌の違いを超えて,高熱,頻脈,頻呼吸,白血球増加で表現される全身性の炎症反応が顕著なことである.一方,敗血症と同様の病像が重症の膵炎,熱傷,多発外傷などの非感染性の侵襲でもみられる.それで,1991年の敗血症に関する用語と定義のコンセンサスカンファレンスで,全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome,SIRS)の概念が導入された.SIRSは感染性と非感染性とを問わず種々の重篤な臨床的侵襲に対して全身性の炎症反応が起こっている病態である.SIRSは,①体温>38℃ないし<36℃,②心拍数>90/分,③呼吸数>20/分,④白血球数>12,000/mm3,<4,000/mm3ないし桿状核好中球>10%,といった4項目の診断基準のうちの少なくとも2項目を満たす病態と定義される.それで,敗血症は感染症に起因したSIRSと定義される.敗血症は,重症敗血症(低灌流による臓器機能障害を伴う敗血症)を経て敗血症性ショック(重症敗血症の最重症病型;持続的低血圧を伴う敗血症)により多臓器機能不全症候群(恒常性の維持困難な臓器機能障害)へと連続的に重症化する1).この定義は菌血症の証明を必要としないが,敗血症の重症化に伴う血液培養の陽性率は敗血症で約20%,重症敗血症で20~40%,敗血症性ショックで40~70%である.
全身性炎症の血液生化学的マーカー
SIRSの診断項目は炎症性と非炎症性のみならず,感染性と非感染性の疾患の鑑別診断の特異性に欠けるとの批判がある.敗血症の診断基準は重症敗血症や敗血症性ショックへと重症化する危険性の高い感染症患者を早期に識別する基準にすぎず,重症度や予後の評価には不適当である.敗血症の病態生理が急速に解明されてきたことから,敗血症の病態である全身性の炎症を裏付ける血液生化学的な指標となるだけでなく,その重症度(敗血症,重症敗血症と敗血症性ショックの段階的重症化の区別)や予後の評価も可能にする指標の追加が必要と考えられる1).実際,新生児,術後症例,多発外傷,熱傷や膵炎の症例,好中球減少や臓器移植の症例では感染症合併の有無が予後を左右するが,その診断は非常に困難で信頼できる鑑別法もない.これまで,敗血症の特異的な指標として,プロカルシトニン(procalcitonin,ProCT),C反応性蛋白質(C-reactive protein,CRP),腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor,TNF),インターロイキン(interleukin,IL)-1,IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1 receptor antagonist,IL-1ra),IL-6,IL-8,E-セレクチン,可溶性細胞間接着分子(ICAM)-1,内因性protein C,好中球エラスターゼ,顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor,G-CSF),補体成分C3a,エリトロポイエチン,血清アミロイドA蛋白(serum amyloid A protein,SAA),血漿NO/NO2-濃度,脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide,BNP),エンドトキシン,可溶性CD14サブタイプ(sCD14-ST)が検査マーカーの候補に挙げられてきた.これらのなかでは,特にProCTとCRPがSIRSの感染性と非感染性の鑑別に有用であると考えられている2).
4.腫瘍マーカー
1 HER2蛋白質(血清中,乳頭分泌液中)
著者: 渡辺亨 , 森玄 , 向井博文 , 猿丸修平
ページ範囲:P.1230 - P.1233
はじめに
癌遺伝子HER2/neuはc-erbB2とも呼ばれ,17番染色体(17q21.1)に存在し,細胞の分化,増殖,生存の制御に関与し,腫瘍の増殖に重要な役割を果たしている[Yamamoto,1986#523].癌遺伝子HER2/neuによりコードされているのが,細胞膜表面に存在する「HER2蛋白質」である.HER2はヒト上皮増殖因子受容体(Human Epidermal Growth Factor Receptor)type2の頭文字をとったもので,構造類似性からHER1,HER2,HER3,HER4の4種類の細胞膜貫通受容体型糖蛋白質が「HER受容体ファミリー」として知られている.このうち,HER1はEGFに対する受容体である.「HER2受容体」は,分子量185kDaの糖蛋白質(p185HER2)で,細胞膜を貫通する構造を有している.細胞外ドメインには,増殖刺激物質(ligand:リガンド)結合部位を持ち,細胞内ドメインには,細胞増殖刺激に働くチロシンキナーゼ活性を有する.HER受容体は細胞表面では,monomer(単量体)として存在している.HER受容体にリガンドが結合することにより,安定したdimer(二量体)を形成する.HER受容体ファミリーのうち,同じ単量体が結合する場合(homodimer)と異なった単量体が結合する場合(heterodimer)がある.HER2受容体は,EGF様物質(EGFおよびTGF-αなど)の刺激によりHER1/HER2 heterodimerを形成し,neuregulinesの刺激により,HER2/HER3またはHER2/HER4 heterodimerが形成される[Sundaresan,1999#524].そして,HER2受容体が含まれるdimerが形成されると,チロシンキナーゼが活性化され,細胞増殖刺激が細胞内に伝達されると考えられている.癌遺伝子HER2/neuは正常細胞にも相同染色体に1コピーずつ,計2コピー存在する.HER2/neuによってコードされるHER2受容体も正常細胞膜表面に存在する.
2 乳頭分泌液中CEA
著者: 西敏夫 , 弥生恵司
ページ範囲:P.1234 - P.1236
はじめに
乳頭異常分泌は妊娠・授乳期以外に自然に,持続的にみられる乳頭からの分泌であり,諸家の報告では一般乳腺外来患者の4~9%とされており,予想外に多い.腫瘤を伴っている場合はその精査を行えばよく,分泌液の診断的価値は乏しいが,腫瘤のない場合は慎重に対処する必要がある.
乳頭異常分泌の原因としては乳腺の器質的変化を伴わない機能的なものと器質的変化を伴うものとがある(表).前者は,両側性で多孔性のことが多く,後者は一側性で単孔性のことが多い.頻度としては後者が圧倒的に多く,乳管内乳頭腫,乳腺症など乳腺の良性疾患が大部分を占めているが,乳癌も全体の5%にみられる1).そしてこのなかには乳頭異常分泌が唯一の症状である非腫瘤性乳癌が少なからず含まれているため,この症状を認めた場合,適切かつ効果的に診断を進めることが求められる.まず問診,視触診から始まり,マンモグラフィ,乳腺超音波検査を行い,そのうえに分泌液および分泌乳管に対する診断が加わることになる.
癌胎児性抗原CEAは大腸癌を中心に広範囲な腫瘍マーカーとして用いられているが,乳癌の腫瘍細胞でも産生され乳管内に放出されることが報告されている.このことから乳頭分泌液中の腫瘍マーカーCEAを測定することにより特異的に乳癌をスクリーニングする方法が考案された.本検査は非侵襲性であり,視・触診や乳腺超音波検査などでは診断が困難な無腫瘤性乳癌の簡便なスクリーニング法の一つとして,分泌液の細胞診を補完する検査方法として,日常外来診療によく用いられている.
3 テロメラーゼ活性
著者: 神森眞 , 田久保海誉 , 上西紀夫
ページ範囲:P.1237 - P.1239
はじめに
染色体の末端に存在するテロメアは細胞分裂,活性酸素被曝やexonucleaseにより短縮する.末端複製の問題により,培養細胞では細胞分裂ごとに約50~200bpずつ短縮する.テロメアの伸長はテロメラーゼおよびテロメラーゼに依存しないメカニズムにより行われる.多くの癌(細胞)組織ではテロメア伸長酵素であるテロメラーゼを発現しているが,対応する正常組織よりもテロメア長は短縮していることが普通である.テロメラーゼは一種の逆転写酵素であり,テロメラーゼ構造の鋳型となるRNA成分(human telomerase RNA component,hTERC)と,触媒サブユニットであるhTERTからなる.hTERCは普遍的に発現しているが,hTERTはテロメラーゼ活性と並行して発現していることが多い.
現在までに,ほぼ全身臓器組織に発生した肉腫を含む悪性腫瘍のテロメラーゼ活性が報告されているが,概略として悪性腫瘍の80%以上が陽性である.このことは,テロメラーゼの発現が癌化過程におけるきわめて重要なステップであることを示している.しかし,正常消化管上皮の幹細胞でも,7日以内の組織交代時間を考慮すると,テロメラーゼが陽性であることが想像できる.食道上皮(特に基底層の細胞での発現が確かめられている)は実際にテロメラーゼを発現している.加齢などによりテロメアの短縮した細胞は,テロメアのキャップ機能の喪失(テロメア長がM1-M2に至って短縮すると喪失するといわれている),染色体の不安定性の増加,染色体の癒合にいたる.これは発癌過程の初期で生じると考えられる.この段階では癌抑制遺伝子として知られているp53は機能することなく細胞分裂は可能であり,最終的には細胞の形質の変化や癌のイニシエーションを引き起こす.さらに細胞分裂を可能にするためには安定したテロメア長の維持が必要であり,テロメラーゼが発現すれば,癌に進展し発育する.しかし,発現のないときには,細胞はテロメアが機能せず細胞回転の停止か,形質変換した細胞はアポトーシスに至る.これらのテロメアの機能不全による効果は,p53に部分的に依存しているが,機能不全が高度になると,p53とは独立した経路によるアポトーシスにより腫瘍の成長を抑制すると考えられている.Rb遺伝子(癌抑制遺伝子の1つで,Retinoblastoma感受性遺伝子の意味である)やmutant p53を培養系線維芽細胞に導入すると,一部の細胞はテロメラーゼを獲得しM2クライシス(細胞がテロメラーゼを獲得して生き続けられるテロメア長の限界点)を越えて不死化することが知られている.つまり,テロメラーゼは,テロメアの蓄えが使い果たされたときに生じる2つの応答,すなわち,複製に伴う細胞の老化と増殖の危機をテロメアの長さを維持することにより予防する.これらのことからも,テロメア短縮とテロメラーゼの獲得は,老化と癌化に密接な関連をもつといえる.よって,癌の補助診断法としてテロメラーゼもしくはhTERT発現の測定は有用であるといえる.
5.感染症検査
1 ヘリコバクター・ピロリ関連検査
著者: 高木敦司
ページ範囲:P.1242 - P.1243
はじめに
H. pyloriは,胃粘膜に特異的に定着して慢性胃炎を引き起こすグラム陰性(Gram-negative)の細菌であるが,消化性潰瘍や胃癌からも高率に検出される.消化性潰瘍は,いったん治療を中断すると,高率に再発するために,酸分泌抑制剤による維持療法が必要であった.しかしながら本菌の除菌により潰瘍の再発が防止されることが明らかになり,潰瘍患者はH. pyloriの感染診断をして除菌を行うよう胃潰瘍診療ガイドラインでも推奨されている.H. pyloriの検出方法は内視鏡を用いて検体を採取する侵襲的診断法と内視鏡を用いない非侵襲的診断法に分けられる.侵襲的診断法としては,培養法,迅速ウレアーゼ試験,組織鏡検法が挙げられる.非侵襲的診断法としては,尿素呼気試験,便中抗原検査法,抗体検出法(血清,尿)が挙げられる.H. pyloriは高いウレアーゼ活性を有していて胃内の尿素を分解してアンモニアを産生して酸性環境下の胃内での定着が可能であるが,ウレアーゼ活性が迅速ウレアーゼ試験や尿素呼気試験として診断にも応用されている.非侵襲的検査法である尿素呼気試験と便中抗原検査法が今後診断法の中心となってくると考えられる.
ノート ヘリコバクター・ピロリ感染の診断と治療の手順
著者: 高木敦司
ページ範囲:P.1244 - P.1245
はじめに
消化性潰瘍は,いったん治療を中断すると,容易に再発がみられるために,酸分泌抑制薬による維持療法が必要であった.ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は,慢性胃炎患者の胃粘膜より分離培養されたグラム陰性の桿菌である.H. pyloriは胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者からも,高率に検出される.一方,本菌の除菌により潰瘍の再発が防止されることが明らかにされて,わが国においても2000年11月には胃潰瘍・十二指腸潰瘍に対してのH. pyloriの除菌療法が保険で認められている.本稿では,H. pylori感染の診断と治療の手順についてまとめた.
2 抗抗酸菌抗体
著者: 猪狩英俊
ページ範囲:P.1246 - P.1247
はじめに
日本の登録結核患者は29,736人(10万人対23.3,2004年)のうち,結核菌培養陽性者は70.2%,喀痰塗抹陽性者は52.7%である.これは,他者へ感染を及ぼす危険のある塗抹陽性者が半数を超えており,結核への注意を喚起するために使用される数値である.
診療の立場からは,喀痰塗抹陽性者は約半数であり,培養陽性者も加えても70%であるともいえる.残る30%は,胸部X線写真などの臨床診断をもとに治療が開始されていることを示している.このような判断は,結核の診療経験が少ない施設の医療従事者にはわかりにくく,診断や治療の遅れに影響することも考えられる.
ここで取り上げる抗抗酸菌抗体検査は,結核を含む抗酸菌症の診断を,短時間で客観的数値で判定できるもので,とりわけ排菌のない症例の診断に有用な検査である.
3 結核菌群抗原
著者: 斎藤武文 , 林原賢治 , 守屋任
ページ範囲:P.1248 - P.1249
はじめに
わが国の結核新登録者数,罹患率は5年連続で減少しているものの,その低下割合は少なく,平成16年(2004年)では29,736人の新発生,2,328人の結核死亡が報告されている.また結核と類似した病態を示す非結核性抗酸菌症は近年増加する傾向にあり,結核の感染拡大防止,治療方針決定のための両者の鑑別は,以前に増して重要になっている.結核の確定診断は菌を証明することであり,臨床検体からの培養分離菌の同定は重要な検査プロセスである.従来,固形培地上のコロニー観察,ナイアシン試験から同定され,最近ではDNA-probe法が加わっている.しかし,前者による同定は菌量を多く必要とするうえ,判定まで4~8週と結果報告まで長い期間を要する.また後者による方法は感度,特異度は優れているが,操作が煩雑であり,習熟度が要求される,特別な装置,設備が必要といった問題がある.結核菌群特異抗原であるMBP64を用いた結核菌群同定法が近年,開発され臨床応用された.本稿では同検査法について解説する.
4 結核菌群リファンピシン耐性遺伝子同定検査
著者: 福永肇
ページ範囲:P.1250 - P.1252
はじめに
近年,薬剤耐性の結核菌が問題となっている.結核の治療に用いられる薬剤に対してそれぞれ一定の頻度で耐性菌が出現するので,結核の治療は多剤併用が一般的である.ところが治療前の結核菌が特定の薬剤に耐性の場合,多剤併用の治療効果が損なわれるだけでなく,多剤耐性結核菌を生み出してしまう可能性もある.これを防ぐためには,薬剤感受性を調べて適切な薬剤を選択する必要がある.
ノート 結核診断のための検査の使い分け
著者: 佐々木結花
ページ範囲:P.1253 - P.1256
はじめに
結核の確定診断は,結核菌の証明が必須となる.感染症において菌を証明する方法として,菌自体の検出,抗体値の測定,病理組織などさまざまな手法があるが,結核菌検出においては他菌と異なり補助診断が少なく,菌の発育も遅く,迅速に診断し難い場合が稀ではない.今回,院内感染対策としても重要な肺結核診断のための検査について報告する.
5 インフルエンザの迅速診断
著者: 三田村敬子
ページ範囲:P.1257 - P.1258
はじめに
インフルエンザはA型およびB型インフルエンザウイルスの感染による急性感染症で,わが国では毎冬国民の少なくとも5~10%,小児の30%以上が罹患するといわれる罹患率の高い疾患である.高齢者のインフルエンザによる肺炎は冬季の超過死亡の原因であるが,呼吸器系に限らず様々な合併症を引き起こし,小児では冬季の入院の主たる原因疾患であるばかりでなく,わが国では重症の脳症の発生が問題になっている.インフルエンザのリスクは臨床の様々な場面で配慮されねばならないが,従来のインフルエンザの診断はインフルエンザ様症状と周囲の流行や接触歴を合わせて臨床判断にのみ頼る状況であった.しかし,インフルエンザ抗原検出迅速診断キット(以下キット)によって一般臨床の場でリアルタイムのインフルエンザ検査診断が可能となった.現在はA型とB型を鑑別できるようになり,冬季の基本的な検査のひとつとなっている.
6 高病原性トリインフルエンザウイルスの検査
著者: 高桑弘樹
ページ範囲:P.1259 - P.1260
はじめに
H5N1高病原性トリインフルエンザ(high pathogenic avian influenza,HPAI)が2003年からアジアに発生し,これが世界の家禽に広がり,2億羽以上の家禽が淘汰されたが,その勢いは止まらない.その原因H5N1HPAIウイルスが野鳥にも浸潤し,ガン,白鳥などの大量死を引き起こしている.さらに,このウイルスはこれまで200人以上のヒトに感染し,その半数以上が死亡していることから,もはや畜産上の問題のみならず公衆衛生上の観点からも世界の注目を集めている.このウイルスがヒトからヒトに感染伝播する能力を獲得すれば,新型インフルエンザウイルスとしてパンデミックを引き起こす恐れがあるためである.今やトリインフルエンザがヒトの疾病名であるかのように錯覚されていることは正されなければならない.すなわち,トリインフルエンザは,家禽のA型インフルエンザウイルス感染症であり,家禽の疾病として制圧されるべきものである.獣医領域では精度と感度とを備えた迅速かつ的確な家禽のインフルエンザの診断法を確立するための努力が払われてきた.このウイルスがヒトに侵入した際には,的確な診断と防疫対策が執られなければならない.これを基に現在用いられているインフルエンザの検査法および将来改良され普及しうる検査法について紹介する.
7 抗クラミジア・ニューモニエ IgM抗体
著者: 岸本寿男 , 安藤秀二
ページ範囲:P.1261 - P.1262
はじめに
肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae以下,C. pneumoniae)は,ヒトを宿主として飛沫感染し,急性上・下気道感染症,また慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease,COPD)を主とする慢性呼吸器疾患の感染増悪を起こし,市中肺炎の約一割に関与することが知られている.時に集団発生があり,本邦でも家族内感染や幼稚園,小中学校,高齢者施設などにおける集団発生が報告されている.診断において,分離,抗原検出,遺伝子検出などの病原体検出は一般的でなく,血清診断が主に用いられている.血清診断には,種特異抗体を検出できる測定法として,micro immuofluorescence test(micro-IF法)が標準法とされる.しかし,キットがなく抗原作製が繁雑で大量の検体には不向きであり,判定も熟練を要するため,限られた施設で実験室診断として行われる.本邦で開発されたELISAによる抗体測定キット(ヒタザイムC.ニューモニエ)が,保険適応での臨床応用が認可されている.いずれもIgG,A,Mが測定可能であるが,IgMは特に急性感染を示唆する抗体として診断的意義が高いとされる.
8 尿中レジオネラ抗原
著者: 渋谷理恵 , 舘田一博
ページ範囲:P.1263 - P.1265
はじめに
レジオネラ症は,レジオネラ属菌〔主にLegionella(L.)pneumophila〕に汚染されたクーリングタワー,噴水,温泉・循環式浴槽などのエアロゾルを吸入することにより発症する.本菌は細胞内寄生菌であることから,β-ラクタム薬やアミノグリコシド薬などの細胞内移行性が低い抗菌薬は無効である.レジオネラ属細菌は通常ルチンで使用される培地には発育しないことからその診断は困難であり,基礎疾患を有する宿主における本症の死亡率は20~30%と依然として高い.
近年,ELISA法(enzyme-linked immunosorbent assay method)とともに免疫クロマト法による尿中抗原検査が保険収載となり,レジオネラ症の迅速診断法として身近な存在になってきた.ただし,レジオネラ尿中抗原検査法にはいくつかの改善点・問題点も知られていることから,本法を有効に活用するためにはその長所と短所について熟知しておく必要がある.
9 尿中肺炎球菌莢膜抗原
著者: 二木芳人
ページ範囲:P.1266 - P.1267
はじめに
肺炎球菌は呼吸器感染症や小児の髄膜炎あるいは中耳炎などで重要な感染病原菌である.特に呼吸器感染症では高齢者の肺炎起炎菌として最も頻度も高く,また,初期治療の失敗は時に患者の予後を不良なものにする可能性が低くはない.加えて最近では本菌の多剤耐性化が進んでおり,治療薬の選択にも慎重さが要求されている.無論,初診時に起炎菌を明確にできれば,より正しい抗菌薬の選択が可能であり,呼吸器感染症ではその起炎菌を決定するために,喀痰のグラム染色(Gram stain)が推奨される.しかし,現実にはその実施率は低く,また,喀痰が得られなかったりする例もしばしばある.したがって臨床の場では,起炎菌不明のままでいわゆるエンピリックセラピーを開始せざるを得ないこととなるが,より強力で,時には併用療法なども考慮することの多いエンピリック・セラピーは,さまざまな問題を含んだ治療法と考えられる.
10 HCVコア蛋白質
著者: 伊藤敬義 , 井廻道夫
ページ範囲:P.1268 - P.1270
はじめに
慢性肝炎の多くは肝炎ウイルスの持続感染による.急性肝炎から移行した慢性肝炎は最終的には肝硬変に進展し,肝癌を発症する例も存在する.現在,慢性肝炎の70%がC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV),20%がB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)による.C型慢性肝炎の診断として,一般肝機能検査でトランスアミナーゼ(AST,ALT)値,胆道系酵素(ALP,γGTP,LAP)値が高値を示す場合は肝炎ウイルスマーカー,腹部超音波検査が行われる.HCV抗体が陽性であればC型肝炎と診断し,HCV RNAなどの追加検査を行う.HCV RNA陽性であれば現在の感染を意味する.次にHCV RNA量とHCVジェノタイプもしくはセログループを決定し,インターフェロン(interferon,IFN)療法の適応,種類の選択をする.HCVジェノタイプ/セログループやHCV RNA量,肝生検からの肝線維化の程度からIFN(interferon,インターフェロン)療法の著効率がどれくらいかが予測できる.一般に日本人の70%を占めるHCV genotype1b/group1はIFN抵抗性であり,genotype2a,2b/group2はIFN感受性と報告されている.また,高ウイルス量群は低ウイルス量群と比較して治療抵抗性である.しかし,以前はHCV genotype1b/group1かつ高ウイルス量群の患者はIFN療法抵抗性のため,治療が見送られるケースも多かった.しかし,最近のペグ化IFN・リバビリン併用療法が同群の患者にも有効性を示していることから高ウイルス量の正確な定量が必要とされ,HCVコア蛋白質定量や高濃度までのHCV RNA量が測定可能なHCV RNA定量(ハイレンジ法)が用いられるようになってきている.本稿ではHCVコア蛋白質定量について解説する.
11 HCV核酸検査
著者: 稲田麻里 , 横須賀收
ページ範囲:P.1271 - P.1273
はじめに
C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)感染によるC型慢性肝炎はわが国で最も多い慢性肝炎である.HCV感染後,約7割は持続感染となり,肝炎に伴って約10~15%の割合で肝硬変へ進展するとされる.また肝硬変になると年率5~7%の高率で肝癌が発症する.肝発癌の予防のためにも慢性肝炎の時期に治療が必要である.
ノート HCV検診における検査の手順
著者: 横須賀收 , 稲田麻里
ページ範囲:P.1274 - P.1279
はじめに
わが国には,100~200万人のC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)感染者がいると推定され,また年間3万人を超える肝癌死亡総数の約8割がHCV感染を伴っている.そこでC型肝炎ウイルス感染に起因する死亡を効果的に減らすことを目的として,厚生労働省では平成14年度(2002年)からC型肝炎等緊急総合対策を推進する一環として,C型肝炎ウイルス検診事業を開始した.検診を行うことにより,肝炎ウイルスに関する正しい知識を普及させるとともに,住民が自身の肝炎ウイルス感染の状況を認識し,必要に応じて保健指導などを受け,医療機関に受診することにより,肝炎による健康障害を回避することを目指すものである.
12 血清中のHBVプレコア変異およびコアプロモーター変異遺伝子同定検査
著者: 田中靖人 , 溝上雅史
ページ範囲:P.1280 - P.1283
はじめに
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)HBVは不完全2本鎖DNAウイルスで,ヘパドナウイルスに属する.感染源としては母子感染が主体であったが,ワクチン等の普及により母子感染は減少傾向であるが,東南アジアを中心として罹患率は非常に高く依然として大きな問題である.日本ではキャリア率1%以下であるが,インドネシアやマレーシアでは約5%,タイ6~10%,特に人口の多い中国ではキャリア率10%といわれており,肝細胞癌の主要な原因となっている.中国や台湾では肝疾患の70~80%にこのHBV感染が関与しており,大きな問題となっている.
一般的にDNAウイルスはRNAウイルスに比較して遺伝子変異が少ないとされているが,このHBVは逆転写過程を持つため高率に変異を起こすことが知られており,DNAウイルスの中では変異しやすいウイルスと考えられている.この遺伝子変異を利用することでHBV遺伝子配列の比較が可能であり,近年の分子進化学の発展によりA型からH型までの8つの遺伝子型(genotype)に分類されている.また,病態に寄与する特異的なHBV点変異も様々報告されているが,代表的なものとしてプレコア(preC)変異とコアプロモーター(core promoter,CP)変異がある.本稿では臨床的意義が比較的明らかにされているpreC変異やCP変異の検出法を中心に解説する.
13 白血球中細菌核酸同定検査
著者: 小林芳夫
ページ範囲:P.1284 - P.1286
はじめに
血液中に存在する細菌(菌血症)の検査診断は血液培養が行われてきたが,本法は培養を行うことなく迅速に血中菌を検出する方法である.
14 黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白 2′(PBP2′)
著者: 保科定頼
ページ範囲:P.1287 - P.1288
はじめに
黄色ブドウ球菌〔Staphylococcus (S.) aureus〕は,グラム陽性球菌で細胞膜の外側にペプチドグリカン網目構造を有する.細胞壁は,立体構造を持ち細胞質で合成されたグルコサミンとムラミンはそれぞれ糖転移酵素と架橋酵素によってペンタペプチド末端のD-Alaが切り離されペンタグリシンとの架橋が成立する.テトラペプチド末端にD-Alaが結合した,D-Ala-D-Alaの構造はカビが作るβラクタム環と類似しているため,ブドウ球菌の架橋酵素はβラクタム環と結合し,細胞壁合成が阻害されてしまう.それで,架橋酵素をペニシリン結合蛋白質とも呼ぶ.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-Resistant S. aureus,MRSA)は1960年に英国で発見されて,S. aureusが本来有する架橋酵素PBP1~PBP4以外にPBP2′(PBP2a,78kDa)をもち,メチシリン耐性のメカニズムは説明される(Y. Utsui,T. Yokota,1985).mecAの転写因子としてペニシリナーゼプラスミド上bla1が産生する蛋白質(blaR1)があり,PBP2′発現量が規定されている.bla1の発現調節は広域にβラクタム抗生剤が信号伝達を介して行っていると推定される.その結果,PBP2′を誘導発現しているものと考えられる.近年,黄色ブドウ球菌の全ゲノムが解読された.
15 クラミジアトラコマチス核酸増幅同定検査
著者: 村谷哲郎 , 松本哲朗
ページ範囲:P.1289 - P.1290
はじめに
Chlamydia trachomatisはNeisseria gonorrhoeae(淋菌)と並んで,性感染症の主要起炎微生物である.自己エネルギー産生能力がないため,感染した宿主細胞内で封入体を形成し,宿主細胞からエネルギーの供給を受けて,増殖する偏性細胞内寄生微生物である.宿主はヒトであり,性行為により感染する.患者数は10年前と比較すると明らかに増加しており,若年女性での増加が顕著である.主な感染部位は子宮頸管と男性尿道であるが無症候に経過することが多く,男性50%,女性70~80%が不顕性感染と言われている.不顕性の率が高くまた,有症状の場合も淋菌感染症と比較すると症状は軽い.しかしながら,放置されると感染源となるため感染拡大の原因となるだけでなく,男性では精巣上体炎,前立腺炎,女性では卵管炎などの骨盤内炎症性疾患という重症感染症を引き起こす可能性があるため,早期に適切な診断がなされ除菌されるべき微生物である.また,近年性行動の多様化を反映して咽頭や直腸に感染している症例も多く,感染源となっている.
16 淋菌核酸増幅同定精密検査
著者: 村谷哲郎 , 松本哲朗
ページ範囲:P.1291 - P.1292
はじめに
N. gonorrhoeae(淋菌)はChlamydia trachomatisと並んで,性感染症の主要起炎微生物である.宿主はヒトで,性行為により感染するグラム陰性双球菌である.患者数は10年前と比較すると明らかに増加しており,若年女性での増加が顕著である.主な感染部位は子宮頸管と男性尿道である.男性の場合,激烈な排尿痛を伴い発症する場合が大半を占めるが10%程度は無症候に経過する.女性の場合は多くの場合,不顕性感染であるが,男性と同様に強い尿道炎を発症することも少なくない.不顕性感染が放置されると感染源となるため感染拡大の原因となるだけでなく,男性では精巣上体炎,前立腺炎,女性では卵管炎などの骨盤内炎症性疾患という重症感染症を引き起こす可能性があるため,早期に適切な診断がなされ除菌されるべき微生物である.近年性行動の多様化を反映して咽頭や直腸に感染している症例も多く,感染源となっている.
17 クラミジア・トラコマチス/淋菌核酸同時増幅同定検査
著者: 三鴨廣繁 , 田中香お里 , 渡邉邦友
ページ範囲:P.1293 - P.1294
はじめに
わが国における性感染症は,漸増傾向にあるが,そのなかでもクラミジア感染症および淋菌感染症によるものが多く,国家的な対策が求められている.特に,性感染症の初期診断において,C. trachomatisと淋菌を同時に検出することは,潜在的な感染を明らかにする意味でも重要と考えられている.性感染症の検査法としては,その性格上,①検査が高感度であること,②他の微生物との交差反応を示さないこと,③患者にとって侵襲性の低い検査であること,④検査に当たって生体試料などに含まれる種々の物質による反応阻害を受けないこと,などが求められるが,近年,従来の遺伝子DNAの検出法に対して,RNAを検出する方法が検討されてきた.
18 SARSコロナウイルス核酸増幅検査
著者: 森内昌子 , 森内浩幸
ページ範囲:P.1295 - P.1297
はじめに
SARSは2003年春に世界的規模の脅威となり多くの犠牲者を出したが,幸いなことに4か月以内に封じ込めに成功し,その後の流行は認められていない.原因ウイルスは新型のコロナウイルスであることも突き止められ,SARSコロナウイルスと名付けられた.新たな流行を阻止するために臨床の現場で求められる最も重要なことは,発端者(集団発生の最初の一例)とそれに続く感染の拡大の早い時期にSARS疑い患者を隔離加療することであるが,症状が非特異的であるために,高い信頼性で迅速診断検査を行うことが求められる.
19 ノロウイルス検査
著者: 宇田川悦子
ページ範囲:P.1298 - P.1302
はじめに
冬期嘔吐下痢症および集団食中毒の原因ウイルスの一つであるノロウイルスは,小型球形ウイルス(small round structured virus,SRSV)の一部でノルウォーク様ウイルス(Norwalk-like virus,NLV)と以前呼称されていたが,遺伝子解析が進んだ結果,2002年国際命名委員会がカリシウイルス科ノロウイルス(GenotypeⅠとGenotypeⅡの2群)と命名した.本ウイルスは,冬期の集団食中毒事件だけでなく,ヒト-ヒト感染による散発例や家族内感染例も多数報告されており,公衆衛生上重要なウイルス性疾患である.
20 DNAチップを用いた細菌の同定
著者: 江崎孝行 , 大楠清文
ページ範囲:P.1303 - P.1307
はじめに
細菌の分類体系は16S rDNAの系統関係のデータが過去20年間に蓄積され,ほぼ再構築されたので,病原細菌は16S rDNAを調べれば,系統的な位置は容易に決定できるようになった.また菌種だけでなく,ひとつの菌種の株のデータも重要な菌群に関しては,多数蓄積し,菌種内の株の配列の違いも検討できるようになってきた.
データの蓄積から,16S rDNA菌種を同定する際に,下記の点が明らかになっている.
(1)菌種の分類学位置の決定:通常は500塩基程度の配列決定で,その菌株の属する属が特定できる.
(2)菌種の同定:ほぼ全塩基配列を決定し,種の決定ができる場合が多いが,腸内細菌をはじめ,医学細菌学上重要な菌種は分類が細かく分かれており,16S rDNAの全配列を決定しても菌種の特定ができないことがしばしばある.
菌種を同定する場合も16S rDNA配列の遺伝子多型が集中している箇所(16S rDNA配列の5末端から,150-250,および1100-1400の領域の決定を行えば,通常の同定は問題なくできる.
ところが,腸内細菌科の菌種では16S rDNA配列が同一属の中で極めて類似している.例えばKlebsiella属の菌種間の配列はほとんどの菌種で99%以上類似しており,配列決定の誤差を考慮すれば500塩基程度の配列決定では同定できないことが多い.
そこで国際命名委員会は勧告を出し,「配列を決定した16S rDNAが既存の菌種と3%未満の類似度があった場合は,全染色体のDNA/DNA類似度を計測し,70%以上の類似度があるかどうかで最終判定を行う」という方法を推奨した1).しかしこの方法は比較の標準となる菌株が必要で,実験室間の誤差が多いので,分類学者の間でしか利用されていない.わが国ではレジオネラや抗酸菌の同定にDDH(DNA-DNA hybridization)として利用されている.
そこで,命名委員会は上記の方法に代わる新しい菌種の同定方法に関する勧告を出した.新しい勧告では5種類程度の多型のあるハウスキーピング遺伝子配列を決定し,16S rDNA情報とともに多変量解析し,種を最終的に決定する2,3).
この勧告に従いGyrB,Hsp,Tuf,RpoB,など,16S rDNA配列より配列多型が多い遺伝子配列の急速な蓄積が行われている.その結果,16S rDNAとこれらの遺伝子を組み合わせることで菌種の同定を配列決定だけで容易にできる環境が整備されつつある.
さらに医学細菌学では病原体の最終決定に病原因子を決定する必要がある.特に下痢性疾患の病原体では16S rDNAや上記の多型遺伝子だけでは目的を達成できない.具体的には大腸菌は腸内フローラの好気性菌として106~108CFU/g生息するため,便の解析では必ず選択培地に発育してくる.集落に特徴をもたせて病原菌を見つけやすくするchromogenic agarが多数発売されているが,直接病原因子を検出しないため,見逃しのない検査はできない.
そこで大腸菌の病原因子(LT,ST,Shiga,EAE,Invなど)を検出する検査方法を追加する必要がある.
21 結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロン-γ測定
著者: 原田登之
ページ範囲:P.1308 - P.1310
はじめに
結核感染診断法は,従来唯一ツベルクリン反応(ツ反)が使用されていたが,ツ反の診断感度は優れているものの,その特異性の点で重大な欠点を持つ.その理由は,ツ反で用いるPPD(tuberculin purified protein derivative,精製ツベルクリン蛋白質)には数百種類もの異なった結核菌抗原が混在し,そのほとんどのものがBCG(bacillus Calmette-Guérin,カルメット-ゲラン桿菌)や非結核性抗酸菌の抗原と高い類似性を持ち,抗原としての高い交差性を持つためである.したがって,結核未感染のPPD被投与者においても,BCG接種あるいは非結核性抗酸菌感染によってツ反が陽性になる場合がある.このため,BCG接種が広範に行われている日本では,ツ反により正確な結核感染診断を行うことは極めて困難である.しかし,近年結核菌抗原の同定や遺伝子解析が進んだ結果,BCGには存在しない結核菌特異抗原ESAT-6およびCFP-10が発見され,これらは結核菌感染宿主のエフェクターT細胞よりインターフェロン-γ(interferon-γ,IFN-γ)の産生を強く誘導することが報告された.その結果,これらの抗原を用いた高感度・高特異度を持ち合わせた結核感染診断法クオンティフェロン(R)TB-2G(QFT-2G)が開発され,2005年4月に診断試薬として承認された.
6.遺伝子検査
1 bcr-abl mRNA
著者: 上平憲
ページ範囲:P.1312 - P.1314
はじめに
bcr-abl融合遺伝子は,Nowellら(1962年)1)によって慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia,CML)にPh1染色体として発見された染色体異常に始まる.当初,21番の長腕の欠損とされていたが,その後,9番と22番染色体の長腕の相互転座,t(9;22)(q34;q11)であることが明らかにされた2).分子生物学的には,9番染色体上の癌原遺伝子c-ablが22番染色体の限られた切断部位(bcr)の近傍に転座し,後天的に新たにつくり出された融合遺伝子である.
c-ablはproto-oncogeneで,正常細胞では145kDaの蛋白を少量産生しているのみでin vitroではほとんどチロシン活性を示さないとされている.しかし,bcrと融合したbcr-abl融合蛋白は,強力な非受容体型チロシンキナーゼ活性を有しており,Ras・PI3キナーゼ・Stat5の細胞内シグナル伝達経路を介して細胞周期を「正」に制御してCML細胞などの増殖に関与する.
また,bcrの主要な切断部位は,Major(M)-bcr,minor(m)-bcr,μ-bcrの3か所に集中しており,各々M-bcrはCML,m-bcrは急性リンパ性白血病(acute lympho-blastic leukemia,ALL), μ-bcrは好中球性白血病(CNL)に特異的である.
したがって,本融合遺伝子は,Ph陽性白血病の診断と切断部位の差による病型診断,Imatinibの適応や管理,治療後の緩解の深さ(分子緩解)および腫瘍量(MRD)のモイニターとしての重要な分子バイオマーカーである.
ノート 白血病遺伝子定量検査
著者: 上平憲
ページ範囲:P.1315 - P.1319
はじめに
白血病を含む「がん」は,遺伝子異常の蓄積した病気である.がんにかかわる遺伝子異常は,変異・欠損・転座などの構造的変化を伴うもの,構造異常を伴わない量的異常,およびその両者がある.遺伝子検査には,このような遺伝子の構造異常の有無を検査する定性検査と構造異常の有無を問わず量的変化をみる定量検査がある.定量検査は,定性検査の代役になるのみでなく,定性検査ではわからない10万から100万分の1単位で微量の腫瘍細胞集団を腫瘍量(minimal residual disease,MRD)としてを評価できる分子マーカーとして臨床的価値が高い.そのうえに,最近のPCR法を取り巻く測定プラットホームの進歩で検査の簡略化,精度の向上があり,既に一部の遺伝子は実用化されている.しかし,白血病遺伝子定量検査には解決すべき問題点もまだ多く,本稿では現場での経験をとおしてPCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)法を中心に白血病遺伝子の定量検査の理論,現状,問題点などをレビューする.
2 糖尿病と肥満の遺伝子検査
著者: 門脇弘子 , 門脇孝
ページ範囲:P.1320 - P.1325
はじめに
糖尿病と肥満は年々増加している.
糖尿病とは種々の原因によって生じるインスリン作用不足に起因する持続的な高血糖を主徴とする代謝障害である.その発症には遺伝因子と環境因子の相互作用が重要である.
近年,全ゲノムマッピング/候補遺伝子アプローチを組み合わせたヒト糖尿病疾患感受性遺伝子の解明,SNPに関する情報の蓄積,モデル動物作製をはじめとする機能的解析による糖尿病発症過程の解明などの研究が著しく進歩した.同時に,ob/obマウスや脂肪細胞の研究から肥満研究も進んだ.糖尿病と肥満は単一ではなく多遺伝子変異と考えられ,本稿では現在までに糖尿病と肥満に関連して明らかにされている遺伝子異常について概説する.
3 HLAタイピング
著者: 柏瀬貢一
ページ範囲:P.1326 - P.1330
はじめに
HLA(human leukocyte antigen)は免疫応答において,自己と非自己を識別するための遺伝マーカーとしてその中心的役割を担っている.現在,HLAタイピングは臓器移植や造血幹細胞移植の患者と提供者の適合性試験として必要不可欠の臨床検査として定着している.HLAは高度な多型性を示すゆえ,そのタイピングには同時に多数の塩基置換を解析することが必要で,単一塩基多型(single nucleotide polymorphism,SNP)の検査とは大きく異なる.近年,HLAタイピング法は,マイクロアレイの開発によって急速な展開を見せている.その典型的な例が蛍光ビーズ法いわゆるLuminex法と言えるだろう.本稿では,HLAタイピングの有用性とLuminex法の実際を紹介し,さらにHLAタイピングの将来像についても概説したい.
7.病理検査
1 HER2(免疫組織化学とFISH)
著者: 梅村しのぶ
ページ範囲:P.1332 - P.1335
はじめに
HER2/neu遺伝子が発見されたのは1981年である.HER2蛋白質は細胞膜貫通型の増殖因子受容体であり,細胞外からの細胞増殖刺激はMAPK, Akt kinaseシグナル系を介して伝達される.HER2遺伝子増幅の臨床的意義は大きく,予後因子としての意義と治療感受性・適応決定因子としての意義が挙げられる.HER2遺伝子増幅のある乳癌患者の予後は特にリンパ節転移陽性症例で不良である.近年,転移再発乳癌のみならず原発性乳癌についても抗HER2抗体療法の有効性が報告され,HER2検査の重要性がますます高まっている.現在進行中の原発性乳癌に対する抗HER2抗体療法(Trastuzumab)の治療効果に関する臨床試験としては,NSABP-B31,NCCTG(N9831),BCIRG006,HERA studyがあるが,昨年のASCOにおいてNSABP-B31-NCCTG(N9831)合同中間解析およびHERA trialの中間報告として,原発性乳癌術後補助療法におけるTrastuzumab併用の優位性が報告された.また,第9回St.Gallenコンセンサス会議において,HER2遺伝子増幅の有無がリスクカテゴリーに取り上げられたことから,今後原発性乳癌についてもHER2検索が求められることとなろう.
HER2検査に関して,2005年いくつかの注目すべき論文が報告された.一つは,2000年ASCOでMass Rらが報告したIHC法とFISH法とによる検討結果を論文にしたものである.このDybdal,Massらの報告は,623例のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いた検討で,Clinical Trial Assay(CTA;clone 4D5+CB11)として知られている抗体を用いた検討である.FISH法によるHER2遺伝子過剰発現の頻度は3%(IHC;0),7%(IHC;1+),24%(IHC;2+),89%(IHC;3+)と報告しており,この頻度はHER2検査(IHC,FISH)の一つのスタンダードとして知られている.IHC法,FISH法それぞれに利点があるが,FISH法をgold standardとしたときのIHC法の感度,特異度のばらつきについては,多くの報告がある.ばらつきの原因は,一つはIHC法2+の割合であり,もう一つはIHC法2+症例のFISH法陽性率の違いである.IHC2+症例の割合は12.7~39.5%,2+症例におけるFISH陽性率についても,17.9~48.1%と幅がある.これは抗体の特異性の特徴,方法論の的確性,判定の精度,各施設における患者層の違いなど複合的な要因によると考えられる.
もう一つの精度管理上の重要な流れとしては,臨床試験登録に際して,各施設検査室(local laboratory)における結果と登録管理施設(central laboratory)における結果との整合性に関する報告である.NSABP-B31において,検査室で扱っている症例数が多い登録施設(local)ほど,登録管理施設(central)の結果との一致率が高かったと報告している.また,BCIRGの経験からは,登録管理施設(central)において,モノクローナル抗体clone10H8を用いたIHC法による結果のカテゴリー別のFISH法による陽性率は,5.4%(IHC;0),14.5%(IHC;1+),80.6%(IHC;2+),98.9%(IHC;3+)と報告している.各登録施設(local)の結果のなかでFISH法が登録管理施設(central)との一致率が最も高かった.
以上のように,HER2検査の臨床的意義はますます重要となってきている.
2 テレパソロジーによる病理組織迅速顕微鏡検査
著者: 澤井高志
ページ範囲:P.1336 - P.1339
はじめに
遠隔病理診断(テレパソロジー)は遠隔医療の一つに含まれるが,テレパソロジーは,「伝送された臓器のマクロ,組織のミクロ,細胞画像に基づいて遠隔地から医療,教育,研究に関連した行為を行うこと」と定義されている.
テレパソロジーが普及してきた背景には手術中の迅速診断など病理診断が医療にとって重要であるにもかかわらず,これに携わる病理診断医の数が少ないこと,これに対して最近の目覚ましい情報機術(information technology,IT)の開発,進歩によって画像を容易に伝送できるようになったことが挙げられる.以下,テレパソロジーの内容と現状,さらに問題点について説明したい.
8.生理検査
1 血管内超音波法
著者: 福本優作 , 廣高史 , 松﨑益德
ページ範囲:P.1342 - P.1346
はじめに
血管内超音波法(intravascular ultrasound,IVUS)は,直径約1mm(3Fr)のカテーテルを直接血管内に挿入し,その先端に装着した深触子(20~40MHz)を約1,500~2,000rpmの速度で回転させることで,血管壁の断層像を描出する方法である.本稿では,本法についての概要や冠動脈疾患治療における意義について述べる.
2 頸動脈エコー
著者: 堤由紀子
ページ範囲:P.1347 - P.1352
はじめに
頸動脈エコーは,動脈硬化の原因(高血圧・糖尿病・高脂血症・喫煙・肥満・加齢・男性)を有する例や,脳梗塞・心筋梗塞症例には必須となりつつあり,時間で検査が可能なため,患者さんに喜ばれることが多い.また肥満,高血圧,糖尿病,高脂血症の四つすべてを満たしている症例では成人病検診の二次検診項目となっている.ただし短所として,頸,肥満,高位内外頸動脈分岐の症例では観察困難であることと,石灰化部位での狭窄率評価は不能なことが挙げられる.本頸動脈エコー検査法は,日本脳神経超音波学会の頸動脈エコーによる動脈硬化性病変評価のガイドライン(案)1)に基づき解説する.ただし,本ガイドラインは不十分なところもあるので,最近の知見を加えた.
3 神経磁気診断
著者: 西谷信之
ページ範囲:P.1353 - P.1357
はじめに
生理検査としての神経磁気診断は,現在「原発性および続発性てんかん,中枢神経疾患に伴う感覚障害および運動障害の患者に対する手術部位の診断や手術方法の選択を行う場合に限り,手術前の1回のみ算定できる」という制限が設けられている.この適用の対象となる検査手法が脳磁場計測法である.
脳磁図(magnetoencephalogram,MEG)計測の基礎研究は,1960年ごろより始められたが,当初計測チャンネルの少ない磁場計測装置であったために,脳全域からの同時記録が不可能であった.また地磁場に比べて約10億分の1程度と非常に微弱なために安定した脳磁場の計測が困難であった.しかしその後1970年代に入り,極低温下における超伝導技術を用いた超伝導量子干渉素子(superconducting quantum interference device,SQUID)が開発され,磁場計測が実用されるようになった.さらに計測コイルの多様化と,チャンネル数が増加し,現在ではほぼ頭部全体を覆う多チャンネル脳磁場計測装置が開発されている.
脳磁場計測の特徴は,優れた時間・空間分解能にある.1ミリ秒のレベルで複数の脳活動部位の時間的関係を明らかにすることができる.また頭蓋骨・脳脊髄液・脳・硬膜などの頭部の構成組織の透磁率は均一とみなされるために,頭部術後や頭部挫傷後などの構成組織の変化による頭皮上の磁場信号とその分布には歪みが生じない.その結果,計測された磁場信号に基づく脳内活動源を数mm以内の誤差で推定することができる.また活動の大きさは,脳波のような基準電極との相対値ではなく,絶対値として求められる.
MEGを用いて,てんかん源性発作波焦点の同定に始まり,認知・記憶・言語などの高次脳機能に関して,多くの基礎研究および臨床応用が実施されてきた.また軽度認知障害,アルツハイマー型認知症にとどまらず,び漫性軸索損傷に代表されるような構造学的に著明な変化のない症例での認知障害などの高次脳機能の病態解明にも応用されている.
4 ポリソムノグラフィー(PSG)
著者: 長田尚彦
ページ範囲:P.1358 - P.1360
はじめに
睡眠構築や睡眠に伴う生体現象を客観的に評価するための検査が睡眠ポリグラフ(polysomnograph,PSG)である.最小限この検査で必要とされているパラメーターは脳波,眼球運動,オトガイ筋電図であり,近年睡眠医療の発展ともにPSGは各種必要項目が増えてきている.睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome,SAS)の診断には最も高いゴールデンスタンダードといわれている.一般には,先の3種類の測定項目に加え,口鼻気流,呼吸運動(胸部,腹部),いびきセンサー,動脈血酸素飽和度(SpO2),心電図,前脛骨筋筋電図,体位センサーなどが加えられ,PSGが施行されることが多い.さらに専門の施設では食道内圧,食道内pH,室内ビデオ撮影などを加えて検査することもある.検査中には監視下で検査することが望ましいとされている1).
ノート 睡眠時無呼吸症候群の臨床検査
著者: 神澤葉子
ページ範囲:P.1361 - P.1362
はじめに
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome,SAS)の確定診断には,睡眠や呼吸に関係するさまざまな生体信号を同時に記録する終夜ポリソムノグラフィー(Polysomno-graphy,PSG)が必須である.しかし,その施行や解析の習得に時間を要することや,設備や勤務体制の整備などの制約により,全例にPSGを施行することは難しい.よって,スクリーニングや簡易検査などによって,病態の重症度を把握し,さらに詳しい検査としてPSGを施行する.
基本情報
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31巻10号(2003年9月発行)
増刊号 包括医療と臨床検査
31巻9号(2003年9月発行)
技術講座 一般
31巻8号(2003年8月発行)
技術講座 微生物
31巻7号(2003年7月発行)
技術講座 病理
31巻6号(2003年6月発行)
技術講座 免疫
31巻5号(2003年5月発行)
技術講座 一般
31巻4号(2003年4月発行)
技術講座 病理
31巻3号(2003年3月発行)
技術講座 生化学
31巻2号(2003年2月発行)
技術講座 免疫
31巻1号(2003年1月発行)
技術講座 免疫
30巻13号(2002年12月発行)
技術講座 生理
30巻12号(2002年11月発行)
技術講座 生理
30巻11号(2002年10月発行)
技術講座 生化学
30巻10号(2002年9月発行)
増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
30巻9号(2002年9月発行)
技術講座 微生物
30巻8号(2002年8月発行)
技術講座 生化学
30巻7号(2002年7月発行)
技術講座 微生物
30巻6号(2002年6月発行)
技術講座 生化学
30巻5号(2002年5月発行)
技術講座 微生物
30巻4号(2002年4月発行)
技術講座 一般
30巻3号(2002年3月発行)
技術講座 生化学
30巻2号(2002年2月発行)
技術講座 一般
30巻1号(2002年1月発行)
技術講座 免疫
29巻13号(2001年12月発行)
技術講座 病理
29巻12号(2001年11月発行)
技術講座 生理
29巻11号(2001年10月発行)
技術講座 病理
29巻10号(2001年9月発行)
技術講座 病理
29巻9号(2001年8月発行)
技術講座 病理
29巻8号(2001年7月発行)
技術講座 生理
29巻7号(2001年6月発行)
増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
29巻6号(2001年6月発行)
技術講座 微生物
29巻5号(2001年5月発行)
技術講座 生理
29巻4号(2001年4月発行)
技術講座 病理
29巻3号(2001年3月発行)
技術講座 微生物
29巻2号(2001年2月発行)
技術講座 微生物
29巻1号(2001年1月発行)
技術講座 一般
28巻13号(2000年12月発行)
技術講座 病理
28巻12号(2000年11月発行)
技術講座 病理
28巻11号(2000年10月発行)
技術講座 免疫
28巻10号(2000年9月発行)
技術講座 微生物
28巻9号(2000年8月発行)
技術講座 微生物
28巻8号(2000年7月発行)
技術講座 生理
28巻7号(2000年6月発行)
増刊号 血液検査実践マニュアル
28巻6号(2000年6月発行)
技術講座 免疫
28巻5号(2000年5月発行)
技術講座 血液
28巻4号(2000年4月発行)
技術講座 一般
28巻3号(2000年3月発行)
技術講座 生理
28巻2号(2000年2月発行)
技術講座 生化学
28巻1号(2000年1月発行)
技術講座 一般
27巻13号(1999年12月発行)
技術講座 病理
27巻12号(1999年11月発行)
技術講座 一般
27巻11号(1999年10月発行)
技術講座 生化学
27巻10号(1999年9月発行)
技術講座 免疫
27巻9号(1999年8月発行)
技術講座 病理
27巻8号(1999年7月発行)
技術講座 病理
27巻7号(1999年6月発行)
増刊号 緊急検査実践マニュアル
27巻6号(1999年6月発行)
技術講座 生化学
27巻5号(1999年5月発行)
技術講座 血液
27巻4号(1999年4月発行)
技術講座 一般
27巻3号(1999年3月発行)
技術講座 生理
27巻2号(1999年2月発行)
技術講座 微生物
27巻1号(1999年1月発行)
技術講座 生理
26巻13号(1998年12月発行)
技術講座 一般
26巻12号(1998年11月発行)
技術講座 病理
26巻11号(1998年10月発行)
技術講座 病理
26巻10号(1998年9月発行)
技術講座 生理
26巻9号(1998年8月発行)
技術講座 生理
26巻8号(1998年7月発行)
技術講座 生理
26巻7号(1998年6月発行)
増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
26巻6号(1998年6月発行)
技術講座 病理
26巻5号(1998年5月発行)
技術講座 一般
26巻4号(1998年4月発行)
技術講座 病理
26巻3号(1998年3月発行)
技術講座 一般
26巻2号(1998年2月発行)
技術講座 生理
26巻1号(1998年1月発行)
技術講座 血液
25巻13号(1997年12月発行)
技術講座 一般
25巻12号(1997年11月発行)
技術講座 一般
25巻11号(1997年10月発行)
技術講座 生理
25巻10号(1997年9月発行)
技術講座 血液
25巻9号(1997年8月発行)
技術講座 一般
25巻8号(1997年7月発行)
技術講座 一般
25巻7号(1997年6月発行)
増刊号 輸血検査実践マニュアル
25巻6号(1997年6月発行)
技術講座 免疫
25巻5号(1997年5月発行)
技術講座 生理
25巻4号(1997年4月発行)
技術講座 生理
25巻3号(1997年3月発行)
技術講座 微生物
25巻2号(1997年2月発行)
技術講座 生理
25巻1号(1997年1月発行)
技術講座 一般
24巻13号(1996年12月発行)
技術講座 生理
24巻12号(1996年11月発行)
技術講座 一般
24巻11号(1996年10月発行)
技術講座 生理
24巻10号(1996年9月発行)
技術講座 管理
24巻9号(1996年8月発行)
技術講座 生理
24巻8号(1996年7月発行)
技術講座 生理
24巻7号(1996年6月発行)
増刊号 感染症検査実践マニュアル
24巻6号(1996年6月発行)
技術講座 病理
24巻5号(1996年5月発行)
技術講座 生理
24巻4号(1996年4月発行)
技術講座 生理
24巻3号(1996年3月発行)
技術講座 生理
24巻2号(1996年2月発行)
技術講座 生理
24巻1号(1996年1月発行)
技術講座 一般
23巻13号(1995年12月発行)
技術講座 生理
23巻12号(1995年11月発行)
技術講座 病理
23巻11号(1995年10月発行)
技術講座 微生物
23巻10号(1995年9月発行)
技術講座 生理
23巻9号(1995年8月発行)
技術講座 一般
23巻8号(1995年7月発行)
技術講座 免疫
23巻7号(1995年6月発行)
技術講座 生理
23巻6号(1995年5月発行)
技術講座 一般
23巻5号(1995年4月発行)
増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
23巻4号(1995年4月発行)
技術講座 病理
23巻3号(1995年3月発行)
技術講座 病理
23巻2号(1995年2月発行)
技術講座 一般
23巻1号(1995年1月発行)
技術講座 生理
22巻13号(1994年12月発行)
技術講座 一般
22巻12号(1994年11月発行)
技術講座 一般
22巻11号(1994年10月発行)
技術講座 一般
22巻10号(1994年9月発行)
技術講座 一般
22巻9号(1994年8月発行)
技術講座 生理
22巻8号(1994年7月発行)
技術講座 病理
22巻7号(1994年6月発行)
技術講座 一般
22巻6号(1994年5月発行)
技術講座 一般
22巻5号(1994年4月発行)
増刊号 免疫検査実践マニュアル
22巻4号(1994年4月発行)
技術講座 生理
22巻3号(1994年3月発行)
技術講座 免疫
22巻2号(1994年2月発行)
技術講座 一般
22巻1号(1994年1月発行)
技術講座 生理
21巻13号(1993年12月発行)
技術講座 一般
21巻12号(1993年11月発行)
技術講座 一般
21巻11号(1993年10月発行)
技術講座 一般
21巻10号(1993年9月発行)
技術講座 生理
21巻9号(1993年8月発行)
技術講座 一般
21巻8号(1993年7月発行)
技術講座 病理
21巻7号(1993年6月発行)
技術講座 一般
21巻6号(1993年5月発行)
技術講座 生理
21巻5号(1993年4月発行)
増刊号 臨床化学実践マニュアル
21巻4号(1993年4月発行)
技術講座 生理
21巻3号(1993年3月発行)
技術講座 病理
21巻2号(1993年2月発行)
技術講座 生理
21巻1号(1993年1月発行)
技術講座 生理
20巻13号(1992年12月発行)
技術講座 一般
20巻12号(1992年11月発行)
技術講座 一般
20巻11号(1992年10月発行)
技術講座 一般
20巻10号(1992年9月発行)
技術講座 一般
20巻9号(1992年8月発行)
技術講座 一般
20巻8号(1992年7月発行)
技術講座 血液
20巻7号(1992年6月発行)
技術講座 一般
20巻6号(1992年5月発行)
増刊号 尿検査法
20巻5号(1992年5月発行)
技術講座 生理
20巻4号(1992年4月発行)
技術講座 生理
20巻3号(1992年3月発行)
技術講座 病理
20巻2号(1992年2月発行)
技術講座 一般
20巻1号(1992年1月発行)
技術講座 生理
19巻13号(1991年12月発行)
技術講座 管理
19巻12号(1991年11月発行)
技術講座 生理
19巻11号(1991年10月発行)
技術講座 生理
19巻10号(1991年9月発行)
技術講座 一般
19巻9号(1991年8月発行)
技術講座 一般
19巻8号(1991年7月発行)
技術講座 生理
19巻7号(1991年6月発行)
増刊号 臨床血液検査
19巻6号(1991年6月発行)
技術講座 生理
19巻5号(1991年5月発行)
技術講座 生理
19巻4号(1991年4月発行)
技術講座 一般
19巻3号(1991年3月発行)
技術講座 生理
19巻2号(1991年2月発行)
技術講座 生理
19巻1号(1991年1月発行)
技術講座 一般
18巻13号(1990年12月発行)
技術講座 生理
18巻12号(1990年11月発行)
技術講座 微生物
18巻11号(1990年10月発行)
技術講座 生理
18巻10号(1990年9月発行)
技術講座 一般
18巻9号(1990年8月発行)
技術講座 一般
18巻8号(1990年7月発行)
技術講座 一般
18巻7号(1990年6月発行)
技術講座 一般
18巻6号(1990年5月発行)
増刊号 血液・尿以外の体液検査法
18巻5号(1990年5月発行)
技術講座 一般
18巻4号(1990年4月発行)
技術講座 一般
18巻3号(1990年3月発行)
技術講座 血液
18巻2号(1990年2月発行)
技術講座 生理
18巻1号(1990年1月発行)
技術講座 生理
17巻13号(1989年12月発行)
技術講座 一般
17巻12号(1989年11月発行)
技術講座 一般
17巻11号(1989年10月発行)
技術講座 一般
17巻10号(1989年9月発行)
技術講座 一般
17巻9号(1989年8月発行)
技術講座 生理
17巻8号(1989年7月発行)
技術講座 血清
17巻7号(1989年6月発行)
技術講座 一般
17巻6号(1989年5月発行)
感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
17巻5号(1989年5月発行)
技術講座 一般
17巻4号(1989年4月発行)
技術講座 生理
17巻3号(1989年3月発行)
技術講座 病理
17巻2号(1989年2月発行)
技術講座 一般
17巻1号(1989年1月発行)
技術講座 生理
16巻13号(1988年12月発行)
技術講座 一般
16巻12号(1988年11月発行)
技術講座 一般
16巻11号(1988年10月発行)
技術講座 一般
16巻10号(1988年9月発行)
技術講座 生理
16巻9号(1988年8月発行)
技術講座 一般
16巻8号(1988年7月発行)
技術講座 一般
16巻7号(1988年6月発行)
免疫化学検査法 資料
16巻6号(1988年6月発行)
技術講座 一般
16巻5号(1988年5月発行)
技術講座 一般
16巻4号(1988年4月発行)
技術講座 病理
16巻3号(1988年3月発行)
技術講座 生理
16巻2号(1988年2月発行)
技術講座 一般
16巻1号(1988年1月発行)
技術講座 血液
15巻13号(1987年12月発行)
技術講座 一般
15巻12号(1987年11月発行)
技術講座 病理
15巻11号(1987年10月発行)
技術講座 細胞診
15巻10号(1987年9月発行)
技術講座 一般
15巻9号(1987年8月発行)
技術講座 細胞診
15巻8号(1987年7月発行)
技術講座 病理
15巻7号(1987年6月発行)
技術講座 病理
15巻6号(1987年5月発行)
技術講座 病理
15巻5号(1987年4月発行)
臨床生理検査と技術 座談会
15巻4号(1987年4月発行)
技術講座 生理
15巻3号(1987年3月発行)
技術講座 血液
15巻2号(1987年2月発行)
技術講座 一般
15巻1号(1987年1月発行)
技術講座 病理
14巻13号(1986年12月発行)
技術講座 一般
14巻12号(1986年11月発行)
技術講座 病理
14巻11号(1986年10月発行)
技術講座 血清
14巻10号(1986年9月発行)
技術講座 血清
14巻9号(1986年8月発行)
技術講座 生理
14巻8号(1986年7月発行)
技術講座 血清
14巻7号(1986年6月発行)
技術講座 病理
14巻6号(1986年5月発行)
技術講座 生理
14巻5号(1986年4月発行)
形態学的検査と技術 血液と病理
14巻4号(1986年4月発行)
技術講座 病理
14巻3号(1986年3月発行)
技術講座 細菌
14巻2号(1986年2月発行)
技術講座 病理
14巻1号(1986年1月発行)
技術講座 細菌
13巻12号(1985年12月発行)
技術講座 病理
13巻11号(1985年11月発行)
技術講座 病理
13巻10号(1985年10月発行)
技術講座 生理
13巻9号(1985年9月発行)
技術講座 病理
13巻8号(1985年8月発行)
技術講座 病理
13巻7号(1985年7月発行)
技術講座 血液
13巻6号(1985年6月発行)
技術講座 一般
13巻5号(1985年5月発行)
技術講座 病理
13巻4号(1985年4月発行)
技術講座 一般
13巻3号(1985年3月発行)
技術講座 血液
13巻2号(1985年2月発行)
技術講座 一般
13巻1号(1985年1月発行)
技術講座 血液
12巻12号(1984年12月発行)
技術講座 血液
12巻11号(1984年11月発行)
技術講座 病理
12巻10号(1984年10月発行)
技術講座 輸血
12巻9号(1984年9月発行)
技術講座 一般
12巻8号(1984年8月発行)
技術講座 細菌
12巻7号(1984年7月発行)
技術講座 細菌
12巻6号(1984年6月発行)
技術講座 生理
12巻5号(1984年5月発行)
技術講座 一般
12巻4号(1984年4月発行)
技術講座 病理
12巻3号(1984年3月発行)
技術講座 血液
12巻2号(1984年2月発行)
技術講座 一般
12巻1号(1983年12月発行)
技術講座 血清
11巻12号(1983年12月発行)
技術講座 一般
11巻11号(1983年11月発行)
技術講座 細菌
11巻10号(1983年10月発行)
技術講座 細胞診
11巻9号(1983年9月発行)
技術講座 一般
11巻8号(1983年8月発行)
技術講座 血清
11巻7号(1983年7月発行)
技術講座 細菌
11巻6号(1983年6月発行)
技術講座 一般
11巻5号(1983年5月発行)
技術講座 病理
11巻4号(1983年4月発行)
技術講座 一般
11巻3号(1983年3月発行)
技術講座 血液
11巻2号(1983年2月発行)
技術講座 一般
11巻1号(1983年1月発行)
技術講座 血液
10巻12号(1982年12月発行)
技術講座 一般
10巻11号(1982年11月発行)
技術講座 生理
10巻10号(1982年10月発行)
技術講座 血清
10巻9号(1982年9月発行)
技術講座 細菌
10巻8号(1982年8月発行)
技術講座 一般
10巻7号(1982年7月発行)
技術講座 病理
10巻6号(1982年6月発行)
技術講座 細菌
10巻5号(1982年5月発行)
技術講座 病理
10巻4号(1982年4月発行)
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10巻3号(1982年3月発行)
技術講座 生化学
10巻2号(1982年2月発行)
技術講座 病理
10巻1号(1982年1月発行)
技術講座 生化学
9巻12号(1981年12月発行)
技術講座 細菌
9巻11号(1981年11月発行)
技術講座 生理
9巻10号(1981年10月発行)
技術講座 一般
9巻9号(1981年9月発行)
技術講座 血清
9巻8号(1981年8月発行)
技術講座 血清
9巻7号(1981年7月発行)
技術講座 生理
9巻6号(1981年6月発行)
技術講座 細菌
9巻5号(1981年5月発行)
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9巻4号(1981年4月発行)
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9巻3号(1981年3月発行)
技術講座 血清
9巻2号(1981年2月発行)
技術講座 一般
9巻1号(1981年1月発行)
技術講座 生化学
8巻12号(1980年12月発行)
技術講座 一般
8巻11号(1980年11月発行)
技術講座 生理
8巻10号(1980年10月発行)
技術講座 検体の取り扱いと保存
8巻9号(1980年9月発行)
技術講座 病理
8巻8号(1980年8月発行)
技術講座 生化学
8巻7号(1980年7月発行)
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技術講座 生理
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8巻4号(1980年4月発行)
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8巻3号(1980年3月発行)
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8巻2号(1980年2月発行)
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8巻1号(1980年1月発行)
技術講座 生化学
7巻12号(1979年12月発行)
技術講座 一般
7巻11号(1979年11月発行)
技術講座 一般
7巻10号(1979年10月発行)
技術講座 細菌
7巻9号(1979年9月発行)
技術講座 生理
7巻8号(1979年8月発行)
技術講座 病理
7巻7号(1979年7月発行)
技術講座 生理
7巻6号(1979年6月発行)
技術講座 一般
7巻5号(1979年5月発行)
技術講座 血液
7巻4号(1979年4月発行)
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7巻3号(1979年3月発行)
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7巻2号(1979年2月発行)
技術講座 細菌
7巻1号(1979年1月発行)
技術講座 生化学
6巻12号(1978年12月発行)
技術講座 細菌
6巻11号(1978年11月発行)
技術講座 病理
6巻10号(1978年10月発行)
技術講座 血清
6巻9号(1978年9月発行)
技術講座 細菌
6巻8号(1978年8月発行)
技術講座 生化学
6巻7号(1978年7月発行)
技術講座 一般
6巻6号(1978年6月発行)
技術講座 病理
6巻5号(1978年5月発行)
技術講座 生理
6巻4号(1978年4月発行)
技術講座 一般
6巻3号(1978年3月発行)
技術講座 病理
6巻2号(1978年2月発行)
技術講座 一般
6巻1号(1978年1月発行)
技術講座 病理
5巻12号(1977年12月発行)
技術講座 生理
5巻11号(1977年11月発行)
技術講座 一般
5巻10号(1977年10月発行)
技術講座 細菌付録
5巻9号(1977年9月発行)
技術講座 一般
5巻8号(1977年8月発行)
技術講座 生理
5巻7号(1977年7月発行)
技術講座 一般
5巻6号(1977年6月発行)
技術講座 一般
5巻5号(1977年5月発行)
技術講座 一般
5巻4号(1977年4月発行)
技術講座 一般
5巻3号(1977年3月発行)
技術講座 一般
5巻2号(1977年2月発行)
技術講座 一般
5巻1号(1977年1月発行)
技術講座 一般
4巻12号(1976年12月発行)
技術講座 一般
4巻11号(1976年11月発行)
技術講座 一般
4巻10号(1976年10月発行)
技術講座 一般
4巻9号(1976年9月発行)
技術講座 一般
4巻8号(1976年8月発行)
技術講座 一般
4巻7号(1976年7月発行)
技術講座 一般
4巻6号(1976年6月発行)
技術講座 一般
4巻5号(1976年5月発行)
技術講座 一般
4巻4号(1976年4月発行)
技術講座 一般
4巻3号(1976年3月発行)
技術講座 一般
4巻2号(1976年2月発行)
技術講座 一般
4巻1号(1976年1月発行)
技術講座 一般
3巻12号(1975年12月発行)
技術講座 一般
3巻11号(1975年11月発行)
技術講座 一般
3巻10号(1975年10月発行)
技術講座 一般
3巻9号(1975年9月発行)
技術講座 一般
3巻7号(1975年8月発行)
特集 必修 日常検査の実技
3巻6号(1975年6月発行)
技術講座 生理
3巻5号(1975年5月発行)
技術講座 一般
3巻4号(1975年4月発行)
技術講座 一般
3巻3号(1975年3月発行)
技術講座 一般
3巻2号(1975年2月発行)
技術講座 一般
3巻1号(1975年1月発行)
技術講座 一般