臨床医からの質問に答える
術中神経刺激検査―刺激強度設定の詳細について
著者:
竹内豊
,
山口秀樹
,
上原信夫
,
師田信人
,
田中敏章
ページ範囲:P.290 - P.298
はじめに
脳神経外科手術では,神経機能を温存し手術を行わなければならない.そのため術中神経刺激により神経機能や神経組織の確認を行いながら手術を進めていく必要がある.
術中神経刺激検査はマッピングとモニタリングに分けられる.マッピングとは脳神経や脊髄神経の機能や支配領域の同定を行う.また,モニタリングは神経活動や機能の経時的変化の監視を行う.
脳神経は,感覚性と運動性に分けられ,感覚神経は感覚神経受容器などに刺激を与え,主に神経や頭皮上から記録する.また,運動神経は中枢の神経細胞・脳神経に電気刺激を加え誘発筋電図(evoked electromyogram,EMG)を測定する.術中に使用される頻度の高い検査は,運動誘発電位(motor evoked potentials,MEP),体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential,SEP),聴性脳幹反応(auditory brainstim response,ABR),視覚誘発電位(visual evoked potential,VEP),EMG,球海綿体反射(bulbocavernosus reflex,BCR)1)などがある.術中神経刺激検査では,患者や術式により刺激強度をコントロールする必要があり,しばしば立ち会い医師より刺激強度の設定や各検査法の使い分けについて質問を受ける.本稿では,MEP,EMG,BCR検査について各検査の意義・記録設定などについて当センターで施行している方法を説明する.