微生物
ノロウイルス迅速抗原検査
著者:
田中智之
,
加藤大介
,
鎌田公仁夫
,
三好龍也
,
内野清子
,
吉田永祥
,
田尻仁
,
奥田真珠美
,
中山佳子
,
平山吉朗
,
北元憲利
,
武田直和
ページ範囲:P.235 - P.239
新しい知見
ノロウイルス(Norovirus)の検出方法は,このウイルスが発見された1978年当時は電子顕微鏡,免疫電子顕微鏡が使われていた.その後,回復期患者抗体を用いた放射性免疫測定法(radio immunoassay,RIA),酸素免疫測定法(enzyme immunoassay,EIA)が開発されたが,特異性,感度は低く満足できるものではなかった.2000年にノロウイルス全塩基配列が判明し,逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(reverse transcription polymerase chain reaction,RT-PCR)法などの遺伝子診断が可能となった.同時にウイルス様粒子(virus-like particles,VLPs)を免疫源として作製されたモノクローナル抗体を用いた固相酵素免疫検定法(enzyme-linked immunosorbent assay,ELISA)が開発され,2005年11月に厚生労働省からノロウイルス感染症の体外診断用医薬品として承認された.その後,より簡便かつ迅速なイムノクロマトグラフ法(immunochromatography)が開発され,2007年10月に体外診断用医薬品として承認された.測定時間は15分間,検体搬入から約30分間で診断できる.ベッドサイドでの診断が可能で,ノロウイルス感染症の感染拡大防止対策が速やかに構築されるようになった.