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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術37巻2号

2009年02月発行

雑誌目次

病気のはなし

潰瘍性大腸炎

著者: 新美惠子 ,   藤城光弘 ,   小野敏嗣 ,   後藤修 ,   小田島慎也 ,   山道信毅 ,   小俣政男

ページ範囲:P.102 - P.106

サマリー

 潰瘍性大腸炎は,「主として粘膜を侵し,しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異的炎症である」と定義される.発症年齢は20代がピークだが,小児や高齢者も稀ではない.病変範囲,重症度によってさまざまな症状を呈し,個々に合わせて治療していく.薬物療法として,ステロイド剤,サリチル酸塩剤〔サラゾスルファピリジン(salazosulfapyridine,SASP),5-アミノサリチル酸(5-aminosalicylic acid,5-ASA)〕,免疫抑制剤〔アザチオプリン,6-メルカプトプリン(6-mercaptopurine,6-MP),シクロスポリンなど〕などがあり,活動期は当然であるが,緩解期においても再燃を予防するために維持療法を行う必要がある.重症例や難治症例には,血球成分除去療法〔顆粒球除去療法(granulocyte apheresis,GCAP),白血球除去療法(leukocyte apheresis,LCAP)〕やシクロスポリン持続静注療法が有効である.インフリキシマブは,クローン病で有効性が確立している腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor-α,TNF-α)を抑制するキメラ抗体であるが,潰瘍性大腸炎に対しても効果を示すことが報告されている.

技術講座 生理

―臨床生理検査シリーズ・5―呼吸器疾患と肺機能検査

著者: 安部信行 ,   高井雄二郎

ページ範囲:P.107 - P.113

はじめに

 呼吸器疾患は気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD),びまん性汎細気管支炎(DPB),間質性肺炎が代表的な疾患であり,後者の3疾患は慢性の咳嗽や喀痰,労作性の呼吸困難などの症状を呈し徐々に進行する.

 わが国で呼吸器疾患に罹患している患者は,潜在的なものを含めるとかなりの人数になると言われている.具体的には気管支喘息で235万人(厚生労働省長期慢性疾患総合研究事業報告),COPDで530万人〔The Nippon COPD Epidemiology(NICE)Study〕と言われ,近年増加傾向にある.それに伴い日本呼吸器学会などから呼吸器疾患の診断,治療に関するガイドラインが相次いで出されるようになった.また,喫煙はすべての呼吸器疾患に負の影響を及ぼし,COPDの原因の80%を占めるとされている.

 近年は関連各学会が禁煙宣言を行い,2003年5月に受動喫煙防止を求める健康増進法が制定され,2007年には世界保健機関(World Health Organization,WHO)から受動喫煙防止のための政策勧告がされるなど,全世界的に禁煙活動が盛んになってきている.

 呼吸器疾患の診断には,胸部X線やCTなどの画像検査,血液検査に加え,肺機能検査が重要なポイントとなる.肺機能検査を実施するには患者の病状や喫煙歴などの十分な情報を把握しておくことが必要であり,検査時の患者対応や検査データの見方に必ず役立つものと確信する.そこで,今回は主な疾患の臨床と呼吸機能検査のデータの見方について概説する1~6)

生化学

―臨床化学応用技術シリーズ・5―期待される検出試薬と検出機器

著者: 大澤進

ページ範囲:P.115 - P.121

検出試薬の変遷1)

 臨床化学検査に用いられる検出系試薬のほとんどは,可視部域で発色する試薬を中心に開発されてきた.これは用手法の時代から分光光度計として可視部を検出する機器の性能に起因する.1975年前後から自動分析装置が普及し始め,紫外部を検出できる機器が組み込まれた.そして,補酵素の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide,NADH)を340nmで検出し,酵素活性検査を中心に検出系として利用されるようになった.

 酵素活性検査が自動分析装置で容易に初速度を計測できるようになったこと,そして同時に試料をまとめて測定する必要のあった放射性免疫測定法(radioimmunoassay,RIA)による検査から,個々の試料をランダムに測定できる酵素免疫測定法(enzyme immunoassay,EIA)による検査への移行が進んだ.

血液

新しい抗血小板抗体検査

著者: 桑名正隆

ページ範囲:P.123 - P.128

新しい知見

 血小板はさまざまな病態において自己抗体,同種抗体の標的となる.抗血小板抗体の検出に用いられている血小板関連IgG(platelet associated IgG,PAIgG),血小板結合性IgG(platelet binding IgG,PBIgG)は自己抗体の検出法としては感度または特異度に大きな問題があり,診療における有用性は極めて低い.近年,GPb/aなど血小板膜糖蛋白に特異的な抗体を産生するB細胞を半定量的に検出するアッセイ法が提案された.抗GPb/a抗体産生B細胞の測定は,抗血小板自己抗体によって惹起される免疫性血小板減少性紫斑病の診断に有用である.本法は少量の末梢血で検査可能で,迅速に結果が得られるなどの多くの利点を有することから,今後の普及と保険収載が期待される.

疾患と検査値の推移

細菌感染症における炎症反応の推移

著者: 斧康雄

ページ範囲:P.130 - P.136

はじめに

 感染症の炎症マーカーとしては,末梢血白血球数とその分画,血清C反応性蛋白(C-reactive protein,CRP)値,赤血球沈降速度(以下,赤沈)が主に測定されるが,これらの炎症マーカーは,①感染症であるかどうかの診断,②細菌性かウイルス性かの鑑別,③感染症の重症度判定,④感染症の経過観察,⑤抗菌薬の治療効果の判定や中止時期,薬剤変更の決定,などに用いられている1).しかし,これらの炎症マーカーだけでは上記の病態把握には限界があるため,その評価においては,臨床症状や他の検査所見,画像所見などと併せて総合的に判断する必要がある.本稿では,細菌感染症におけるこれらの炎症マーカーの推移について概説する.

オピニオン

―国立大学病院新技師長としての抱負―顔の見える検査部を目指して

著者: 山下政宣

ページ範囲:P.122 - P.122

 “光陰,矢のごとし”は現在の心境である.技師長に昇任した春から今日まで,実に早かった.昨年までは感染症の業務をこなしながら,技師長をサポートはしていたが,いざ自分がその立場にたつと計り知れないほどの重責を感じる.

 さて当世,臨床検査技師(以下,検査技師)の知名度はとても低く,一般人のみならず,学内の他部門の職員でさえもわれわれの職務を知らない者が多い.筆者が20代のころなどは検査を検査部内で行い,部外との接点がほとんどなかった.しかし,近年は診療支援やチーム医療に参画,診療科との共同研究などを活発に行い,部外にアピールしている検査部も多くなってきている.

目指せ!一般検査の精度向上

―検出を高める寄生虫検査のポイント:2―日常検査で遭遇する寄生虫卵

著者: 山縣数弘

ページ範囲:P.140 - P.143

はじめに

 医療従事者の寄生虫に関する知識が乏しくなってきている現在,いざというときに臨床検査技師が中心となって適切に対処することが望まれる.筆者のところに臨床から送られてきたことがある寄生虫は,ランブル鞭毛虫,赤痢アメーバ,回虫,蟯虫,糞線虫,アニサキス,日本海裂頭条虫,無鉤条虫,大複殖門条虫,ウェステルマン肺吸虫,異形吸虫である.本稿ではこれらのなかで,特に虫卵について述べる.

今月の表紙

腎盂癌

著者: 渡辺光人 ,   平野美和 ,   手島伸一

ページ範囲:P.129 - P.129

【症例の概要】

 75歳男性,右側腹部痛を主訴に来院.超音波検査や順行性腎盂造影で右腎盂癌が指摘され,カテーテル尿で尿路上皮癌と診断された.手術材料では,右腎盂下部から腎盂尿管移行部に展開後で6.5×3cmの乳頭状隆起性の腫瘍が認められた.組織学的にはG3(低分化)の尿路上皮癌である.乳頭状の部のみでなく,拡張した腎盂粘膜から腎実質へも癌が浸潤していた.術後12か月後に浸潤性の膀胱癌が診断された.

ラボクイズ

細胞診

著者: 高平雅和 ,   手島伸一

ページ範囲:P.138 - P.138

1月号の解答と解説

著者: 片岡容子 ,   種村正

ページ範囲:P.139 - P.139

臨床医からの質問に答える

緊急異常値の設定について

著者: 飯塚儀明

ページ範囲:P.163 - P.168

はじめに

 臨床検査,特に臨床化学成分測定の標準化は,多くの項目でトレーサビリティ体系が確立されている.酵素活性項目における常用酵素標準物質(enzyme reference material,ERM)や検量用酵素標準物質をはじめ,多くの濃度項目において実試料標準物質が設定され,日常検査法で測定値のトレーサビリティが容易に確保できるようになった.このことによって,施設間のデータの互換性は飛躍的に向上した.

 これらの標準化の作業は,臨床支援を行うための手段である.したがって,これらの標準化をベースに精度管理の判断基準や臨床評価などについて共通の判定基準を作ることができる.臨床支援の重要な業務には,共通基準範囲の設定や疾病の診断基準の統一化など数多くの支援活動が考えられるが,緊急異常値(critical value)の設定や緊急異常値速報システムの構築も,その一つに挙げられる.

 そこで本稿では,臨床化学成分における緊急異常値の設定と緊急異常値報告システムの構築を目的として,臨床医へ緊急異常値についてのアンケート調査を行った結果と,緊急異常値の出現頻度を算出した結果について述べ,最後に当院での緊急異常値報告システムを紹介する.

Laboratory Practice 〈生化学〉

レムナント様リポ蛋白質コレステロール測定の直接法

著者: 桑山和哉 ,   大仲一善

ページ範囲:P.144 - P.146

はじめに

 レムナント様リポ蛋白質コレステロール(remnant like particle-cholesterol,RLP-C)は小腸由来のカイロミクロン(chylomicron,CM)や肝臓で合成される超低密度リポ蛋白質(very low density lipoprotein,VLDL)の中間代謝物であり,動脈硬化惹起性リポ蛋白質として知られている.

 従来,RLP-Cの測定には抗アポA-1抗体と抗アポB-100抗体を使用した免疫吸着法・酵素法が用いられていた.しかし,この方法では前処理を必要とし,結果報告までに時間を要した.CMレムナントおよびVLDLレムナント中のコレステロールを選択的に測定するのが特徴である界面活性剤・酵素を用いた直接法測定試薬が新たに開発された.この試薬によって汎用自動分析装置でほかの脂質項目と同じタイミングで報告することが可能となった.

 本稿ではRLP-C直接測定試薬メタボリード(R)RemL-C(協和メデックス製)の紹介と,自施設で実施したRLP-Cの検討について報告する.

〈微生物〉

接触者健診におけるクオンティフェロンの有用性

著者: 矢野修一

ページ範囲:P.147 - P.149

はじめに

 以前は院内感染対策の一環として職員の二段階ツベルクリン反応(以下,ツ反)検査が行われていた.しかし,BCG接種および非結核性抗酸菌症の影響を受けるため,ツ反検査では正確な結核感染の診断は困難であった.BCGの影響を受けないクオンティフェロン(R)TB-2G(Cellestis社,オーストラリア;以下,QFT)は高い感度・特異性をもつことが報告されている1~3)

 2005年米国食品医薬品局(Food and Drug Administration,FDA)は潜在性結核感染および結核症を含む結核診断の手段としてQFTを承認した4).また,米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention,CDC)もツ反に代わってQFTを推奨した.わが国でもさまざまな施設でQFTに関する知見が蓄積されつつある.当院でのQFT活用の現状を踏まえ接触者健診におけるQFTの有用性について検討する.

〈病理〉

悪性リンパ腫の新WHO分類

著者: 吉野正 ,   田中健大

ページ範囲:P.150 - P.153

はじめに

 2008年9月,血液腫瘍の新WHO分類(第4版)が発刊された1).第3版と比較して88ページの増量があり,疾患項目の増加が認められた.悪性リンパ腫に関する部分を表に記すが,分類の基本的姿勢は2001年に出された第3版を踏襲し,その後の臨床病理学的進展によって新たな項目などが追加されたものである.本稿では,まず新版と旧版の違いについて概略し,その後に,わが国からの発信について記載する.

〈生理〉

超音波検査士に求められる専門性とは

著者: 畠二郎

ページ範囲:P.154 - P.157

はじめに

 超音波検査は機器の改良と知見の蓄積に伴い,今や日常臨床において必須の検査法として広く普及するに至った.しかしながらCTやMRIなどほかの画像診断法も長足の進歩を遂げており,最近では特に腹部救急の分野などにおいてCTが第一選択となることが多いようである.一方で医師の業務は多様化,煩雑化の一途をたどり,一般病院において医師が実際に超音波検査に携わる機会は減少し,超音波検査士(以下,検査士)への依存度が増大している.

 筆者がこの現状を鑑みるに,今後検査士がCTを凌駕する診断能を臨床の場に提供しない限り,広く普及した今こそ腹部超音波検査は衰退の危機にあると思っている.本稿では,どうすれば腹部超音波検査は存続しうるのか,そのために検査士に何が要求されるのか,について論じてみたい.ただし,流行りのエビデンスに基づく総説ではなく,個人的見解による一種のエッセイと思って気軽に読み進んでいただければ幸いである.

〈遺伝子〉

ISO15189取得に向けた遺伝子検査室の取り組み

著者: 小野佳一

ページ範囲:P.158 - P.162

はじめに

 ISO15189:2007「臨床検査室―質と適合能力に対する特定要求事項」は,診療に不可欠な医療情報を提供する臨床検査室の質の向上と業務能力を認定する国際的な認定制度である1).したがって,ISO15189の取得は検査室の実力が証明でき,病院内の存在意義を高めるとともに,職員の意識向上にも役立つ.

 ISO15189では,広く普及し標準化された生化学検査や血液検査を中心に審査される.一方,遺伝子検査の多くは確立された方法がなく,各施設で実施方法や感度が大きく異なる.独自の方法で行っている遺伝子検査こそ,検査データの品質維持のうえで,ISO15189の要求事項2)に基づき,業務を標準化し,根拠に基づく検査が必要になると思われる.当院検査部は2007年1月19日付でISO15189の認定を受けた.今回,ISO15189取得に向けた遺伝子検査室の取り組みについて記述する.

けんさ質問箱

心電図による自律神経機能の評価

著者: 大宮一人

ページ範囲:P.169 - P.171

Q.心電図による自律神経機能の評価

 心電図のR-R間隔の測定検査で変動係数(HRV)がどれくらいまでを正常とし,どれくらいからを異常ととらえるのでしょうか.また,HRVの臨床的意義,心電図で自律神経機能を評価する方法など教えてください.(東京都 M.A.生)

 

A.大宮一人

 広い意味での循環器系を介して,多くは心電図や心拍数,血圧などを用いて自律神経機能を検査する方法は表のように多くのものがあり,日常臨床でも広く行われています.その理由として,心電図検査や血圧・心拍数などの測定は非侵襲的に簡便に行える検査であり,しかもダイナミックな変動をとらえやすいという特徴があるからだと思われます.

 循環器系のみならず動物の臓器は交感神経と副交感神経(迷走神経)による二重支配を受けており,恒常性が維持されるようになっています.この相互作用をsympathovagal balanceと呼び,呼吸による調節を受けることが知られています1).また,交感神経調節は内分泌経路を介して行われるのに対し,副交感神経経路は神経系のみを介して行われます.呼吸によって変動する洞結節の周期的変動は心拍変動(heart rate variability,HRV)と呼ばれています.

 本稿では特に日常臨床で汎用される心電図を用いた自律神経機能検査について簡単に解説します.

トピックス

抗癌剤感受性試験

著者: 阿部定範 ,   久保田哲朗

ページ範囲:P.172 - P.174

はじめに

 抗癌剤療法においては,効果がなく日常生活に影響を及ぼす副作用のみが発生し,患者のQOL(quality of life)を著しく損なう場合も少なくない.これは,“同一の臓器由来で同一の組織型を有する癌においても抗癌剤に対する感受性は異なる”という現象に由来し,抗癌剤治療には個々の患者に投与してみなければ効くかどうかわからないという弱点がある.このため,場合によっては無効な抗癌剤を投与されることによって,効果が望めないばかりか医療費および副作用のみを負担しなければならないケースも想定される.このような現状を踏まえて抗癌剤感受性試験は抗癌剤の“効く”,“効かない”を事前にチェックする抗癌剤感受性予測を目的に開発されてきた.

 現在,広く行われている抗癌剤感受性試験の方法は,細胞生物学的な抗癌剤感受性試験であり,原理的には手術などで摘出した癌の組織を対象として,in vitro(試験管内)でなんらかの方法で癌細胞を生存させ,各種抗癌剤を一定期間接触させることによって癌細胞の生残率を観察する方法である.癌細胞の培養方法や判定法による違いはあるが,効果のある抗癌剤に接触した癌細胞は“死に”,効果がない抗癌剤のなかでは癌細胞は“死なない”という生物現象を主に発色によって判定する方法である.理論的には培養可能なすべての癌種を対象としうるが,現状で多く施行されている対象は消化器癌,頭頸部癌,乳癌,肺癌,婦人科腫瘍などである.

磁気マーカーを用いた免疫検査システム

著者: 隈博幸 ,   円福敬二 ,   濱崎直孝

ページ範囲:P.174 - P.177

はじめに

 医療診断の場では,患者から得られたサンプル(検査試料)中に含まれる化学物質を効率よく高感度に検出できる技術の開発が求められている.現在,その中心を担っているのは抗原抗体反応を利用した免疫検査法であり,目的物質に反応した抗体の定量法の現在の主流は,発色・発光法である.そこでわれわれは,この光学的手法に対抗しうる技術として,磁気微粒子標識と高性能な超電導磁気センサー(superconducting quantum interference device,SQUID)を組み合わせた新しい検出システムの開発に取り組んでいる.

 現在,本法によって従来の光学的手法と比較して10倍以上高感度な免疫検査が可能であることが既に示されており,さらなる高感度化を目指して改良を進めている途上である.本稿では,本法の測定原理と本法を用いた免疫検査実験について述べる.

学会印象記 日本臨床検査自動化学会第40回大会

人に思いをはせた検査を

著者: 山本はるな

ページ範囲:P.178 - P.178

 去る2008年10月9日(木)~11日(土),パシフィコ横浜において日本臨床検査自動化学会第40回大会が開催され,桑克彦大会長(筑波大学大学院人間総合科学研究科)のもと,340題もの一般演題が発表された.今大会のテーマは「臨床検査のイノベーション-フロンティア技術の応用」である.土曜日を会期に組み込むとメーカー側の苦労は大きいと聞いたが,演題発表する側の私としては心置きなく学会へ参加できた.学会運営担当者各位に感謝したい.

 私の参加した3日目は,あいにくの雨模様.小雨の降るなか,横浜へと向かった.今大会からランチョンセミナーは整理券方式となり,10時半までに配布されるとのこと.しかし,興味のあった演題の整理券は,10時前には既に無くなっていた.残念!

本大会に参加して,私が感じたこと

著者: 高橋克典

ページ範囲:P.179 - P.179

 自動化学会の開催が差し迫ってきたある日,群大病院に私宛の一本の電話が鳴りました.はじめは,怪しい類の勧誘かと思いましたが,よく話を聞いてみると本誌の編集室からで,学会印象記の執筆を依頼したいという内容でした.なぜ私が選ばれたのか疑問に思いましたが,徹夜明けだった私はあまり深く考えずにうっかり引き受けてしまいました.

 日本臨床検査自動化学会第40回大会は「臨床検査のイノベーション-フロンティア技術の応用」をメインテーマとし2008年10月9日から11日までの3日間にわたりパシフィコ横浜・会議センターで開催されました.今回私は,執筆依頼を受けたということもあり,できれば3日間すべて参加したかったのですが,仕事の都合で横浜に着いたのは,9日の夜でした.それでも,横浜の夜を仲間と中華街で過ごせたのは幸運でした.

コーヒーブレイク

恋の波紋

著者: 加奈子

ページ範囲:P.137 - P.137

 「今日,好きだった恋人を連れてくると,ぽつんと言っていたよ」.赤坂にあるジャズの生バンドが入っているお店のマスターに言われた.私にとってはじめての店なので,もちろんマスターとは全く面識がなかったが,10数人連れ立っての中年グループの中にいた私に向かってささやいた言葉は少なからず私を動揺させた.

 学生のころ,なんとなく仲良くなった人たちが,50歳を過ぎた今でも年に3回ほど会い旧交を温める会の2次会での出来事である.前々からその人がジャズを聴くのが好きなのは知ってはいたが,もう何十回とやっているその会でも一度として,ジャズを聞く場所に行ったことはなかった.

あとがき

著者: 曽根伸治

ページ範囲:P.224 - P.224

 2009年新しい年を迎え,今年もよろしくお願いいたします.

 本年1月号から国立大学法人附属病院の新技師長の先生方に“オピニオン”をいただいて掲載しています.法人化された大学病院は,取り巻く環境が変わり,検査技師にとっても大きな変革期です.検査技師が病院組織で何ができるのか,どのような検査技師が組織に求められるのかを各大学の特徴も含め,多くの先生に語っていただけると思います.皆様はこれらの言葉を心に留め,仕事に励んでいただきたいと思います.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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