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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術39巻1号

2011年01月発行

雑誌目次

病気のはなし

ハンチントン病

著者: 吉田邦広

ページ範囲:P.6 - P.10

サマリー

ハンチントン病はhuntingtin遺伝子(HTT)の変異に起因する常染色体優性遺伝病である.患者ではHTTエクソン1内のCAGリピート数の過剰伸長がみられる.臨床的には舞踏病,精神症状(抑うつ,易怒性,無頓着・無関心,など),認知症を主症状とする.発症年齢や臨床経過はCAGリピート数に大きく依存し,一般にCAGリピート数が長い患者ほど若年発症で臨床経過も早い(表現促進現象).病変の主座は尾状核,被殻であり,頭部画像では尾状核の萎縮に伴う側脳室前角の開大がみられる.病状は進行性の経過をとり,発症後の平均余命は15~18年とされる.現時点での治療は舞踏病や精神症状に対する対症療法にとどまる.

技術講座 一般

腸管寄生原虫ブラストシスチスとその検査法

著者: 𠮷川尚男

ページ範囲:P.11 - P.17

新しい知見

 ブラストシスチスは新興・再興感染症の一つに取り上げられており,諸外国,特に発展途上国における感染率は高く,糞便検査材料の半数以上に検出される国も少なくない.ブラストシスチスは健康人からも検出されるが,下痢症や腹痛など消化器症状を示す患者からも検出されることから,病原性について議論されている.最近では,過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome,IBS)との関連性についても議論されているだけでなく,人獣共通感染症として重要視されている.さらに,ブラストシスチスに遺伝的多型(9種類のサブタイプ)が知られるようになり,サブタイプと病原性の関連性について検討されている.今後,検査技術の向上に伴って,単にブラストシスチスの有無を調べるだけでなく,どのサブタイプに相当するのかを識別要求される時代が訪れるかもしれない.

生化学

日常検査値の不確かさの推定法

著者: 多田正人 ,   尾崎由基男

ページ範囲:P.19 - P.27

新しい知見

不確かさの推定は,新たな測定法の導入時や,測定法の変更時に実施され,日常検査値の信頼性を表現する指標であり,従来の測定法の正確さ・精密さ評価に対応する概念である.すなわち,不確かさは測定法の性能特性の一つであり,測定に関するトレーサビリティ連鎖に対し,その体系からのゆらぎを具体的な大きさで表したものが不確かさといえる.不確かさの推定に当たり実践上の留意点としては,事例ごとの測定したデータに対し,それぞれに関与する不確かさの成分がすべて含まれて,またデータの内容に適合した適切な統計手法を用いて解析することが重要である.日常検査値の不確かさの推定には,①日常検査値の不確かさの推定(基本実験),②校正による成分を別に求める日常検査値の不確かさの推定,③内部精度管理データを用いた日常検査値の不確かさの推定,の3種類のプログラムが用意されており,実施した推定実験に対応したソフトを利用する必要がある.

疾患と検査値の推移

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対するヘリコバクターピロリ菌除菌療法

著者: 藤村欣吾

ページ範囲:P.31 - P.36

はじめに

 特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura,ITP)は後天性の血小板減少症で,皮膚や粘膜の紫斑を主体とする出血症状を主徴とする疾患である.血小板膜に対する抗体が関与して発症する自己免疫疾患の一つで,慢性に経過するいわゆる慢性型は成人に多く,特に女性が男性の2.5倍多い.わが国における最近の調査では年齢分布は男女とも20歳頃から増加し始め,51~70歳にピークを認めている.

 新患発生率は人口10万人当たり2.2人(2007年度)で,発症機序の解明,診断・治療法の確立を目指して厚生労働省の難病指定を受けている疾患である.

 治療として副腎皮質ステロイドを中心とした免疫抑制療法や血小板破壊場所,ならびに抗体産生の中心的役割を果たす脾臓の除去(摘脾療法)が定着している.これらによる全体的な治療成績は,約40%が完全寛解,日常生活にはなんら支障がないが軽度の血小板数減少が持続する部分寛解と考えられる症例が約40%,血小板減少や出血傾向に対するなんらかの治療介入が必要ないわゆる難治症例が約20%であり難治性疾患の所以である.

 1998年Gasbarriniら1)によって,ヘリコバクターピロリ菌(以下,ピロリ菌)陽性ITP症例は除菌療法群において未除菌群に比し有意に血小板数が増加することが報告された.以来,ピロリ菌陽性ITP症例に対して除菌療法が世界各地で行われるようになり,わが国でも今年6月から本疾患に対する除菌療法が保険適用になっている.以下,ITPとピロリ除菌療法について述べる.

オピニオン

診療報酬の病理項目の概説と今後の課題

著者: 稲山嘉明

ページ範囲:P.18 - P.18

 前回の診療報酬改定で,第13部として検査からの独立を果たした病理診断であるが,今回の改定でもかなり大きな成果があったので,その内容を概説する.

今月の表紙

セミノーマ

著者: 柗本紗里 ,   手島伸一

ページ範囲:P.30 - P.30

【症例の概要】

 26歳の男性.発熱,腰痛で受診し,CTで傍大動脈リンパ節,腸間膜リンパ節腫大を認めた.開腹リンパ節生検を行い,病理学的に胚細胞腫瘍(胎児性癌+セミノーマ)のリンパ節転移が疑われた.精巣の触診,CT,MRIでは精巣腫瘍を特定できなかった.超音波で右精巣に径11mm程度の低エコー域を指摘された.右高位精巣摘除術を行い,右精巣を原発とするセミノーマと後腹膜リンパ節転移と診断した.

ラボクイズ

一般検査

著者: 伊瀬恵子

ページ範囲:P.38 - P.38

2010年12月号の解答と解説

著者: 杉山重幸 ,   山崎家春

ページ範囲:P.39 - P.39

ワンポイントアドバイス

黄疸患者の尿中ビリルビン―試験紙検査陰性例から

著者: 矢内充

ページ範囲:P.28 - P.29

ビリルビンの代謝と黄疸

 正常人のビリルビンの大部分は,老化赤血球の崩壊や骨髄での無効造血で生じたヘモグロビンに由来する.老化赤血球は脾臓や肝臓のクッパー細胞などの組織マクロファージに貪食され,ヘモグロビンはヘムとグロビンに分解される.ヘムはヘムオキシゲナーゼによりビリベルジンとなり,さらにビリベルジン還元酵素によりビリルビンとなる.ここで生成されたビリルビンは脂溶性であり,血中では主にアルブミンと結合(間接ビリルビン)して運搬される.間接ビリルビンは肝臓に移動し,肝細胞に取り込まれた後,グルクロン酸抱合を受けて水溶性の抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)となり,毛細胆管腔から胆汁中に排泄され,腸管に排出される.腸管に排泄されたビリルビンは腸内細菌の作用で脱抱合と還元を受け,ウロビリノゲンとなり,80%は便中に排泄,残りの20%は腸管から吸収され血中に入り,尿へ排泄される(図).

 黄疸とは,これらの代謝過程のいずれかが破綻することにより,ビリルビンが体内で増加し,全身の組織や体液にビリルビンが貯留した状態である.通常,血清総ビリルビンが2~3mg/dlを超えると肉眼的に黄疸が認められるようになる.

役に立つ免疫組織化学●免疫組織化学で注目すべき抗体

精巣腫瘍とOCT4

著者: 森永正二郎

ページ範囲:P.40 - P.43

はじめに

 精巣腫瘍の9割以上は胚細胞腫瘍という特異な一群の組織型が占めており,その内訳は表1のように分類されている1).胚細胞腫瘍の免疫組織化学的マーカーとしては,これまでセミノーマや精細管内悪性胚細胞の診断には胎盤性アルカリホスファターゼ(placental alkaline phosphatase,PLAP)やc-kit(CD117),D2-40,胎児性癌の診断にはCD30,卵黄囊腫瘍にはAFP,絨毛癌や合胞性栄養膜細胞成分にはhCGなどが用いられてきた(表2)2,3).最近では卵黄囊腫瘍のマーカーとしてGlypican-3も登場している4).これらは現在でも頻繁に使用されているが,胎児性癌と卵黄囊腫瘍,胎児性癌と奇形腫の区別を明瞭につけることのできるマーカーはこれまで存在しなかった.OCT4は,この問題点を解決する新たな免疫組織化学的マーカーとして注目されている.OCT4の免疫染色の意義を知るためには,まず,精巣の発生と分化,および胚細胞腫瘍の組織発生を理解しておく必要がある.

Laboratory Practice 〈病理〉

自動免疫染色装置のピットフォールとトラブルシューティング

著者: 桑尾定仁 ,   河村淳平 ,   傳田珠美

ページ範囲:P.44 - P.47

はじめに

 近年,病理検査領域でも自動化が進んでいる.特に,免疫組織化学の分野での自動化がめざましく,自動免疫染色装置の導入が当たり前となった感がある.背景にあるのは分子標的治療に関連して,標的蛋白の異常(過剰)発現や標的遺伝子の増幅状態を組織切片で再現することが求められるようになったためである.具体的な事例としては,乳癌におけるHER2蛋白やHER2遺伝子の検査が挙げられる1).検査結果に高い客観性と相関性が求められるため,個人の力量に裏付けされた用手法よりも,一定の条件下で正確に検査が行われる自動免疫染色(機械法)が時代のニーズにマッチしたからである.言い換えればヒューマンエラーをなくすためとも言える.だが,機械に任せれば染色トラブルは本当に起きないのであろうか.答えは否である.本稿では自動免疫染色装置のピットフォールとトラブルシューティングについて述べ,それを取り巻くヒューマンエラーとの関係について述べる2,3)

〈一般〉

蓄尿検査の意義と注意点

著者: 小川真

ページ範囲:P.48 - P.51

はじめに

 生命活動の過程で産生された老廃物を最小限の水とともに尿として排泄し,その蓄積を防ぐことは陸上生活を営むうえで必要不可欠である.また摂取した水・電解質についても,最終的に摂取量とほぼ同量が尿中に排泄されることにより体内の恒常性が維持されている1).したがって,尿は腎泌尿器系の病態の把握に必須であるだけでなく,物質の摂取量やその代謝プロセスの状況を把握するうえで極めて重要な情報を提供している2~4).尿検査の特色としては,①非侵襲的であり,②定量測定が可能であり,③経時的変化も評価できることが挙げられる1).上述の②の特色が最も生かされるのが蓄尿検査である.最近は簡便迅速な随時尿検査が選択されることが多く,やや煩雑な蓄尿検査は敬遠されがちである2~4).さらに院内感染,特に多剤耐性緑膿菌伝播の原因の一つに蓄尿検査が挙げられており5),その適応は以前よりも厳密に考えるべきである.しかし蓄尿による一日尿排泄量の正確な測定が必要な物質も多い.本稿では最初に尿試料の特色を述べ,次に比較のために随時尿検査の概要を述べたうえで蓄尿検査の意義について述べる.

〈診療支援〉

SST―基礎理論から医療従事者教育へのSSTの活用

著者: 舳松克代

ページ範囲:P.52 - P.55

はじめに

 社会生活技能訓練(social skills training,SST)は,認知行動療法という心理療法の一つで,社会生活で欠かすことのできない対人関係を学習し,よりよい人間関係を構築し,生活の質を向上させることを目的としている.本稿では,SSTの基礎理論を解説し,医療従事者のコミュニケーションにターゲットを当てていく.

〈生化学〉

心筋マーカの使い分け

著者: 石津智子

ページ範囲:P.56 - P.60

はじめに

 WHOの心筋梗塞診断基準は従来,①胸痛,②心電図変化,③心筋マーカの三つのうち二つをもって心筋梗塞の診断とすることを推奨していた.しかし,心電図のST上昇や異常Q波は心筋梗塞の特異度が非常に高いが,心筋梗塞症例の約半数では認められず,心筋梗塞症例の4分の1は典型的な胸痛を訴えない.一方で,心筋梗塞は胸痛を訴えて救急外来を受診する症例の20%に満たない.したがって,心筋梗塞を診断する,あるいは除外する目的で,心筋マーカの役割は大変重要である.2000年ACC/AHA(American College of Cardiology/American Heart Association)ガイドライン1)によって心筋梗塞の定義が変更となり,心筋マーカとして従来のCK-MBに加えトロポニン(TおよびI)が心筋梗塞の診断に不可欠な位置づけとなった.トロポニンは感度の高い心筋マーカであり,従来は心筋梗塞と診断できなかった微小心筋障害を検出することにより,2000年のACC/AHAによる心筋梗塞再定義後は心筋梗塞の診断が従来の1.3倍に増加した.

 一方,このように心筋梗塞の確定診断には心筋マーカは重要ではあるが,実際の臨床現場では,ST上昇型心筋梗塞症例では心筋マーカの測定結果を待たずに心電図診断に基づき治療を優先させるべきであることには注意が必要である.

 心筋の傷害によって,サルコメア膜の透過性が亢進し,細胞内可溶性分画である血清心筋マーカが心筋間質へ拡散を始める.間質へ拡散した心筋マーカは梗塞部位の微小血管やリンパ管へと流れ込む.さらに心筋壊死が進行すると,細胞内の蛋白分解酵素の活性化を経て筋原線維の分解が起こり,血中へと遊出する(図1)2,3).心筋マーカとして理想的な特性は,心筋内には高濃度に存在するが,他の臓器にはない物質であることである.さらに心筋障害が起こったときに速やかに血中に検出されること,血中濃度と心筋障害量との間に相関関係があることが望ましい.かつ,血中にある程度安定して存在し,容易に測定できることも大切である.急性心筋梗塞のバイオマーカとしては,研究段階のものを合わせると図2のように多岐にわたる4).本稿では,現在臨床応用されている主な心筋マーカであるクレアチンキナーゼ(creatine kinase,CK),CKアイソザイム,心筋特異的トロポニン,心臓型脂肪酸結合蛋白(heart-type fatty acid-binding protein,H-FABP),ミオグロビン,ミオシン軽鎖,白血球数,C反応性蛋白(C-reactive protein,CRP)について述べる(表).

臨床医からの質問に答える

耐性菌検出時の考え方および院内感染菌が検出されたときの対応

著者: 木下承晧

ページ範囲:P.63 - P.65

はじめに

 医療関連施設では医療安全の一環として市中・院内感染予防対策が必須である.インフルエンザ,結核,薬剤耐性菌などの院内感染拡大に対応すべき事項が多くある.近年,市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(community acquired methicillin-resistant Staphylococcus aureus,CA-MRSA),NDM-1(New Dehli metallo-β-lactamase)産生の腸内細菌科,多剤耐性アシネトバクター(multi-drug resistant Acinetobacter baumannii,MDRAB)などが報告され1),これら耐性菌の問い合わせも増えている.

トピックス

JCCLS標準物質戦略検討委員会―JCCLS/JACRI標準化事業会議

著者: 濱﨑直孝

ページ範囲:P.67 - P.68

はじめに

 日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards,JCCLS)は2010年4月より“標準物質戦略検討委員会”を設立し活動を開始している.本稿では,その経緯を概説する.

テロメラーゼ

著者: 檜山桂子 ,   檜山英三

ページ範囲:P.68 - P.70

はじめに

 染色体末端を保護するテロメアは細胞分裂のたびに短縮し,究極的に短くなると細胞は老化して分裂停止もしくは死滅する.このテロメアを延長する酵素がテロメラーゼで,ヒトでは,無限増殖が可能な胚細胞(生殖系列細胞)と不死化がん細胞では発現しているが,正常体細胞では発現していない(分化した細胞),もしくは発現していても活性が不十分である(幹細胞など)ため分裂寿命は有限となる1).ゆえに,ヒトテロメラーゼ研究は当初もっぱらがん領域で注目されたが,次第に非がん疾患にも重要であることが判明し,2009年のノーベル生理学・医学賞はテロメラーゼ発見者に授与された.本稿では,ヒト疾患におけるテロメラーゼのかかわりと診断意義を概説する.

けんさ外国語会話・1【新連載】

採血〈英語編〉

著者: 医療通訳研究会

ページ範囲:P.71 - P.71

日本語

採血
①○○さん,どうぞ(△番の方,どうぞ).
②このイスに座って,楽にしてお待ちください.
③検査のために○ml採血を行いますので,お名前を確認させてください.
④採血を行いますので,腕を出していただけますか.
⑤上腕を縛ります.
⑥アルコールで消毒しますが,アレルギーなどはありませんか.
⑦はりを刺しますので,少し痛みを感じます.
⑧採血は終了しました.このバンドエイドを数分間押さえていただけますか.
⑨バンドエイドは数時間したら剝がして結構です.
⑩うまく採血できなかったので,もう一度採血させていただけますか.

コーヒーブレイク

飛行機と医療の深い関係―②機内で起こりやすい急変とその対応体制

著者: 佐藤健一

ページ範囲:P.37 - P.37

 今回は,機内でどのような急変が多く,それらが起きたときにはどうなるかについてみていきましょう.

 急変で多いのは意識障害,消化器症状,胸痛・動悸などです.このあたりは前回の気圧の変化からも予想できたのではないでしょうか.意識障害の原因として不整脈や心筋梗塞などが多いと予想された方も多いかもしれませんが,実際にはトイレ付近で倒れられる方が多いようです.これはぎりぎりまでトイレを我慢し,我慢しきれなくなって排尿した後に血圧がストンと下がることによって失神が起こるのです.血管迷走神経反射による失神なのですが,誘因としては長時間座っていること,水分を摂らないで脱水状態になっていることなどが挙げられます.

ブランチラボから自主運営回帰―第3回 戦略編

著者: 木村浩則

ページ範囲:P.61 - P.61

 病院における経営資源とは,人,もの,金,情報,安全である.検査室も例外なくこの条件を確保しないことには,運営など到底できるものではない.病院というところは赤字に転落すると,とにかくケチりたがる.ケチるとそのひずみが医療の質を低下させる.医療の質が低下すれば患者サービスが低下し安全性さえ失いかねない.医療事故でも起こせばたちまちマスコミの餌食となり患者が激減し,倒産にさえ追い込まれかねない.まさに負のスパイラルへ急加速するわけである.

 どうすれば事務長をはじめとする病院経営部門を納得させることができるだろう.事務長がしきりに私にいう.「経営に強い病院とは,部門間に隙間がないことが重要だ」という.「委託すればするほど融通が利かない」ともいう.そして「ブランチは本意ではなかった」という.ブランチが本意でないのであれば,答えは簡単である.病院が望む検査室をつくればいい.しかしそれは,検査室にとっては大変なストレスである.検査技師がどこまでその可能性を広げられるかは一つの挑戦でもある.第一,部下がついてこなかったらお手上げである.破れかぶれ,色々な学会で耳にする検査業務を片っ端から取り込もうとした.ちょっとハッタリではあるが手をこまねいて,やらないよりはマシである.中央採血・内視鏡検査の介助・機器管理・健診業務・排尿機能検査・外来のサテライト検査,まぁ,こんなもんだろう.これをするから人を採用してほしいということは簡単である.馬鹿でもできる.でも失敗すれば,部下に文句を言われ,仕事がきつくなれば当然辞めていくだろう.しかも検査室の運営費を抑制しなければ経営部門は納得しない.これを両立するにはどうしたらいい???

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臨床検査技師・衛生検査技師募集広告について

ページ範囲:P.10 - P.10

投稿論文募集のお知らせ

ページ範囲:P.17 - P.17

『臨床検査』1月号のお知らせ

ページ範囲:P.60 - P.60

バックナンバーの取り扱い

ページ範囲:P.70 - P.70

あとがき・次号予告・ラボクイズ正解者

著者: 曽根伸治

ページ範囲:P.72 - P.72

 2011年の新しい年を迎え,年末年始をいかがお過ごしでしたでしょうか.昨年の夏が猛暑のため,今年は近年珍しく寒さの厳しい冬と聞いております.

 本誌は,皆様のお役に立てる検査関連雑誌を目指して,新しいシリーズなども企画しています.これからも最新の臨床検査や皆様に必要な情報をできる限り掲載していきますので,今年もよろしくお願い致します.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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