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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術40巻12号

2012年11月発行

雑誌目次

病気のはなし

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

著者: 一ノ瀬正和

ページ範囲:P.1324 - P.1329

サマリー

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease,COPD)は,「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である.呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す.気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用することにより起こり,進行性である.臨床的には徐々に生じる体動時の呼吸困難や慢性の咳,痰を特徴とする」1)と定義される.すなわち,従来,「喀痰症状が年に3か月以上あり,それが2年以上連続して認められる」といった臨床症状から診断された慢性気管支炎と,「終末細気管支より末梢の気腔が肺胞壁の破壊を伴いながら異常に拡大しており,明らかな線維化は認められない」といった形態学的・病理学的所見から診断された肺気腫を合わせた疾患概念である.

技術講座 輸血

輸血検査におけるリファレンス抗Dコントロール(0.1U/ml)キットを用いた精度管理

著者: 上村知恵

ページ範囲:P.1330 - P.1335

新しい知見

輸血検査の原理は,赤血球抗原と抗赤血球抗体の反応を凝集で捉え目視判定するというものである.これは1901年にLandsteinerがABO血液型を発見し発表したときから全く変わらない.ABO血液型オモテ検査のように,通常強い凝集がみられる検査を主にしてきたからか,長い間輸血検査での精度管理は普及してこなかった.1998年以降,医療機関向きの輸血検査の自動機器が普及してきて,輸血検査にも精度管理が必要であることが認識されるに至ったのではないか.試験管法においては,間接抗グロブリン試験用コントロール試薬が昨年より市販され,ようやく標準手順として運用され始めたところである.

免疫血清

ゲルカラム凝集法による輸血検査

著者: 小黒博之

ページ範囲:P.1336 - P.1344

新しい知見

輸血に先立って実施される血液型検査,不規則抗体スクリーニング,交差適合試験などの検査は,従来主として試験管法による用手法によって実施されてきた.しかし,試験管法は検査手技,凝集判定など検査実施者による個人差が大きいなどのデメリットがあり,近年輸血検査の標準化を目的とした新しい輸血検査法が普及してきており,その一つとしてゲルカラム凝集法がある.また,ゲルカラム凝集法により輸血検査の自動化が可能となり,輸血検査の標準化のみならず,輸血検査部門における業務効率化やヒューマンエラー回避による輸血検査の安全性向上を目的として自動輸血検査機器の導入,システム化が進んでおり,今後さらなるゲルカラム凝集法の導入,輸血検査の自動化・システム化が予想される.

生理 シリーズ 骨と関節の超音波検査・5

整形外科における超音波の有用性と野球肘検診への活用

著者: 鈴江直人

ページ範囲:P.1345 - P.1350

新しい知見

近年,整形外科領域,特にスポーツ整形外科の分野で超音波検査の有用性が広く知られるようになってきた.これには体表に近い運動器疾患を観察しやすい高周波プローブの改良や,ポータブル機種の進歩などによる恩恵が大きく関与している.特に全国各地で行われている野球肘の現場検診では,ポータブル超音波検査機器を用いて障害を早期に発見しようとする試みが拡がってきている.筆者らのグループでも約30年前より野球肘検診を行っていたが,近年,超音波検査を併せて行うことで障害の見落としが減少した.こういった運動器検診に超音波検査を活用する動きはさらに拡がっていくものと考える.

疾患と検査値の推移

閉塞性黄疸と血清ビリルビン

著者: 海老原裕磨 ,   加藤健太郎 ,   松本譲 ,   土川貴裕 ,   七戸俊明 ,   田中栄一 ,   平野聡

ページ範囲:P.1351 - P.1354

はじめに

 黄疸とはビリルビン代謝が疾患により破綻し,血清をはじめとする体液にビリルビンが貯留した状態である.ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンが変化してできた物質で,肝臓で作られる胆汁の主成分の一つである.赤血球が分解され,血液中から肝臓へ運ばれたビリルビンは肝細胞内にてグルクロン酸抱合を受け,胆汁の成分として胆管内に排泄される.これらのビリルビン代謝のいずれかが障害されることにより高ビリルビン血症(黄疸)となる.黄疸をきたす疾患は数多くあるため,鑑別診断を行う際には原因となる病態を正しく理解することが重要となる.本稿ではまず正常のビリルビン代謝について述べ,次いで黄疸の鑑別診断ならびに閉塞性黄疸に対する術前減黄法などについて解説する.

オピニオン

臨床検査の実際を理解してもらうために―臨床検査担当者と医師との意思の疎通と一般への啓蒙

著者: 土屋達行

ページ範囲:P.1355 - P.1355

 近年,外来診療で診察前検査が普及し,病院内の検査室では多くの労力が診察前検査に当てられるようになった.外来採血室の患者のピークは9時前になり,検査部受付を開いてからすぐに患者が採血の順番待ちの行列を作るようになった.患者にかかる負担は,検査結果を聞くためだけに何回も受診する必要がなくなり少なくなった.医師は診察時間が短縮でき,しかもワルファリンなどの治療薬剤の調節も適切に行えるようになった.しかし,1時間以内で診察室のコンピュータ画面で検査結果が参照できることが当たり前になってしまったために,1時間で結果が参照できないと,問い合わせの電話が頻繁にかかるようになった.検査室では1時間以内で結果を出すための大変な努力をしているが,医師はどのようにしてこのような短時間で結果が出てくるのかを知ろうともしない.

 また,医師は検査結果を言うときに数字だけでほとんど単位を付けない.どのような小さな値を自分たちが扱っているかを認識しない医師も増えた.ナノテクノロジーなどというが,検査結果はナノなどはるかに通り過ぎて,貧血の分類に使用するMCVの単位がflであることも知らない医師もいる.このような小さい値を正確に出すための精度管理にどのくらい臨床検査技師たちが努力をしているのかも理解されていない.

ワンポイントアドバイス

HbA1cの国際標準化

著者: 小野佳一 ,   金子誠

ページ範囲:P.1356 - P.1358

はじめに

 HbA1cは,血糖測定と同様に重要な糖尿病関連検査の一つで,糖尿病の血糖コントロール評価方法として確立している.ただし,以前よりわが国ではJDS(Japan Diabetes Society)値で報告されており,HbA1c測定系は世界的に統一されていなかった.さまざまな経緯の後に,2010年“新しい糖尿病診断基準と国際標準化HbA1cの運用について”,2012年1月“日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針”が日本糖尿病学会,糖尿病関連検査の標準化に関する検討委員会から提出され,わが国においてもNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値を採用するに至った.本稿では,この国際標準化の動向と自施設での対応について述べる.

今月の表紙

陶器様胆囊炎に合併した胆囊癌

著者: 内藤善哉 ,   彭為霞 ,   髙田英志

ページ範囲:P.1359 - P.1359

【症例の概要】

 70歳代,男性.胆石症および慢性胆囊炎の経過観察中にCA19-9の上昇を認め,腹部精査施行.腹部CT,MRI検査などで,胆石症と軽度の壁不整はみられたが,明らかな腫瘤形成やリンパ節腫脹は認めなかった.しかし,腫瘍マーカー高値のため手術となり,術中迅速診断で腺癌と診断されたため,胆囊摘出術,肝部分切除術,総胆管切除術およびリンパ節郭清が施行された.

Laboratory Practice 〈管理運営〉

臨床検査室におけるクオリティインディケータとは

著者: 細萱茂実

ページ範囲:P.1360 - P.1363

はじめに

 病院や臨床検査室は,そこで提供するサービスやシステムが技術的,社会的な要求事項に適合しているかどうかを評価するプロセスが重要であり,その過程が組織の改善や信頼性の維持・向上につながる.臨床検査室は,疾病の診断・治療・予防に有用な医療情報の提供が直接的な目的であり,そこには高い信頼性が求められる.臨床検査における“質”は,検査精度,迅速性,安全性,経済性など多面的である.病院機能評価やISO15189に基づく検査室認定に代表されるように,臨床検査の信頼性に関連するクオリティインディケータを積極的に開示し,第三者への情報公開が求められる時代となった.

〈輸血〉

ヒトパルボウイルスB19の遺伝子型

著者: 坂田秀勝 ,   加藤俊明 ,   髙本滋

ページ範囲:P.1364 - P.1368

はじめに

 ヒトパルボウイルスB19(以下,B19)は,小児における伝染性紅斑(リンゴ病)の原因ウイルスである.また溶血性貧血患者での赤芽球癆や妊婦での胎児水腫など,多様な臨床症状を呈することもよく知られている.B19の感染経路は主に飛沫感染であるが,感染者の血液中に高濃度のウイルスが存在するため,血液製剤や輸血による感染報告もある.このような血液製剤による感染リスクを軽減するため,わが国の血液センターではすべての献血者血液に対して,B19の抗原スクリーニング検査を実施している.近年になって,B19は3種類の遺伝子型(1型,2型および3型)に分類された.本稿では遺伝子型に関する話題とともに,筆者らが検討してきたB19の遺伝子型検出の現状について述べる.

〈移植医療〉

―移植医療と検査⑬―ニューモシスチスの検査

著者: 髙橋孝 ,   後藤美江子

ページ範囲:P.1369 - P.1373

ニューモシスチスとニューモシスチス肺炎

 以前,ニューモシスチス(Pneumocystis,Pc)はPneumocystis carinii f. sp. hominisと呼ばれていたが,ラットなどの動物より分離されるもの(P. carinii)とヒトより分離されるものとを分ける目的で,2005年,P. jirovecii(ニューモシスチス・イロベチイ)と命名された.これは,Pcが酵母様真菌に属するため国際植物命名規約に従ったものである.命名の前半は本菌の寄生部位や生体内での病態(ニューモ→空気・肺+シスト→囊胞)を意味し,命名の後半は乳児の剖検肺より本真菌を同定した寄生虫学者の人名(Jirovec)が表記されている1)

 生活史上,Pcは活発に増殖する栄養型と休眠期である囊子に分類され,生体内では肺胞にてその増殖が進展する.すなわち,囊子内小体が脱囊して小型の栄養型となり,合体して大型栄養型を呈する.この栄養型はⅠ型肺胞上皮細胞に接着寄生しながら,囊子を経て急速に分裂増殖することで,栄養型と囊子の両者が肺胞内に充満する状態を呈する2).このような病態から,肺画像所見としてスリガラス陰影(肺内の血管陰影の濃度よりも低い淡い陰影)を呈し,血液ガス交換上は拡散障害〔肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)の上昇〕を伴うⅠ型の呼吸不全(PaCO2の増加を伴わないPaO2の低下)を示すこととなる.

〈微生物〉

LAMP法によるMycoplasma pneumoniaeの迅速診断

著者: 潮崎裕也 ,   畑中徳子

ページ範囲:P.1374 - P.1378

はじめに

 近年,遺伝子解析技術の発展に伴い,各種感染症の診断にpolymerase chain reaction(PCR)法やloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法などが使用されるようになってきた.昨年11月よりLAMP法によるマイコプラズマP検出キットが保険収載され,本稿ではLAMP法を用いたMycoplasma pneumoniaeの迅速診断およびその有用性について解説する.

ラボクイズ

微生物検査

著者: 大楠清文

ページ範囲:P.1380 - P.1380

10月号の解答と解説

著者: 山口孝一 ,   大畑雅彦

ページ範囲:P.1381 - P.1381

検査値を読むトレーニング 信州大学R-CPC・11

腹痛にて転院した60代男性

著者: 本田孝行 ,   菅野光俊

ページ範囲:P.1384 - P.1390

信州大学のreversed clinicopathological conference(R-CPC)では,なるべく多くの検査を行った症例を選び,経時的検査値で解析している.しかし,決して多くの検査を行うことを推奨しているわけではない.陰性データも陽性データと同じように重要と考え,できる限り多くのルーチン検査を行った症例を選択してR-CPCで検討している.ある病態において,検査値が陰性になることを知って初めて必要のない検査と認識できる.その結果,必要な検査を最小限に行える医療従事者になれると考えている.また,検査値は基準値内でも動くことに大きな意味があり,動いている検査値を読むことによってより詳細な病態が解明できる.時系列検査結果を読むことができれば,異常値の出るメカニズムを理解できたことになり,入院時のみのワンポイントの検査値であっても容易に理解できるようになる.

臨床検査のピットフォール

尿沈渣検査のピットフォール―酸性尿で認められた尿酸アンモニウム結晶

著者: 油野友二

ページ範囲:P.1391 - P.1394

小児科から依頼のあったある尿検査

 患者:2歳8か月,女児.

 主訴:嘔吐,水様下痢.

 既往歴:特記事項なし.

 現病歴:症例は3~4日続く嘔吐,水様下痢のため当院を受診した.便中ロタウイルス抗原陽性でロタウイルス胃腸炎による急性脱水症と診断され,入院となる.

 入院時検査所見(表1):血液検査所見ではWBC 11,700/μl,CRP 1.00mg/dl,高尿酸血症(14.1mg/dl)を認めた.尿所見は淡黄色調の強い混濁尿を呈し,尿ケトン体は強陽性,白血球反応・亜硝酸塩反応陰性であった.尿沈渣所見では血球類,上皮細胞類および円柱類の増加はなく,球状,淡黄色の結晶を多数認めた.一部はいわゆる「サンザシ(山査子)の実」様の周囲に棘を有するものもあった(図1).

トピックス

ApoM

著者: 蔵野信

ページ範囲:P.1395 - P.1397

はじめに

 細胞・組織の代謝,機能維持に必要なコレステロールや中性脂肪は,疎水性であり,それ単独では循環血液中では存在できない.そのため,生物の循環血液中では,コレステロールや中性脂肪は,蛋白質とともに低比重リポ蛋白(low density lipoprotein,LDL)や高比重リポ蛋白(high density lipoprotein,HDL)のようなリポ蛋白という複合体の形をとって,組織間でやり取りされる.このリポ蛋白の形成に重要な蛋白は,アポ蛋白〔アポリポ蛋白(apolipoprotein,Apo)〕と呼ばれる.すなわち,アポ蛋白は,「血中での存在様式が主にリポ蛋白上である蛋白質」と定義されている.現在,日常臨床において測定されているアポ蛋白は,ApoA-Ⅰ,ApoA-Ⅱ,ApoB,ApoC-Ⅱ,ApoC-Ⅲ,ApoEであるが,その他,日常臨床にはいまだ導入されていないが,現在までに十数種類のアポ蛋白が同定されている.

 アポ蛋白は,以前はリポ蛋白代謝にのみかかわる蛋白質であると考えられてきたが,多種多様の生物学的作用をもつと考えられてきているアポ蛋白もある.そのなかで本稿では,比較的マイナーなアポ蛋白であるが,特に近年,血管生物学,免疫学をはじめとするさまざまな分野において重要な生理活性をもつリゾリン脂質であるスフィンゴシン1-リン酸(sphingosine-1-phosphate,S1P)との関連が注目を集めているApoMについて概説する.

男性の子宮内膜症

著者: 福永真治

ページ範囲:P.1397 - P.1398

 子宮内膜症(endometriosis)とは子宮内膜が異所性にみられる病変で,卵巣,卵管,骨盤内組織などに発生することが多い.子宮筋層にてみられる場合は腺筋症(adenomyosis)と呼ぶ.この異所性内膜組織は本来の内膜と同様に周期性を示す.卵巣では血性内容を容れる囊胞を形成し,チョコレート囊胞とも呼ばれる.子宮内膜症は,組織学的には内膜腺とその周囲の内膜間質組織よりなり,ヘモジデリンを貪食した組織球の浸潤を伴うことが多い.内膜腺がなく内膜間質成分よりなる子宮内膜症を間質内膜症(stromal endometriosis)という.本来,子宮内膜症は女性特有の疾患であるが,極めて稀に男性においてみられる.報告は英語論文で10例以下であり,その多くは泌尿生殖器組織である1~7)

 傍睾丸に発生した自験例1)を紹介する.患者は69歳の男性で,左陰囊水腫の臨床診断のもと両側除睾術が施行された.本患者は9年前に針生検により前立腺癌(腺癌,Gleason score:4+5=9)と診断され,その後今回の手術まで長期の女性ホルモン療法を受けている.手術検体は,肉眼的に左睾丸は5.2×3.1×3.0cm大,多囊胞性で血性の漿液性内容を容れる.囊胞壁には出血,ヘモジデリンの沈着をみる.睾丸実質は高度の萎縮を呈す(図1).組織学的には囊胞内壁はほぼ一層の円柱状細胞で被覆される.間質では子宮内膜間質細胞に類似した均一な小型類円形細胞の増生,豊富な毛細血管,ヘモジデリンを貪食した組織球の浸潤が観察される(図2).その中に少数の小型腺管状の構造を認める.免疫組織学的には,囊胞の被覆細胞と小腺管組織はCAM5.2,vimentin,calretininに陽性,estrogen receptor,progesterone receptorは陰性であり,上皮細胞ではなく中皮細胞と考えられる.一方,間質細胞はCD10,estrogen receptor,progesterone receptorが陽性であり,内膜間質細胞と考えられる.部位,組織像,免疫染色より陰囊水腫の壁に出現した傍睾丸の間質内膜症と診断される.

コーヒーブレイク

はじめてみようツボ刺激⑥

著者: 永江学

ページ範囲:P.1399 - P.1399

 今回は,頭痛とむくみに効果のあるツボについて説明します.

 東洋医療での頭痛は,頭蓋内に器質的疾患がないことが前提です.頭痛治療は,症状によってツボを使い分けます.頭全体が痛い,重いときは百会(ひゃくえい)穴,陶道(とうどう)穴,肓兪(こうゆ)穴,崑崙(こんろん)穴,太衝(たいしょう)穴を刺激します.百会穴は第1回(6月号,544頁)に掲載されています.陶道穴は第1・第2胸椎棘突起間の所です(図1).肓兪穴は臍の外1cmの所です(図2).崑崙穴は第4回(9月号,846頁)に掲載されています.太衝穴は第5回(10月号,1309頁)に掲載されています.

けんさ外国語会話・23

呼吸機能検査②〈スペイン語編〉

著者: 医療通訳研究会

ページ範囲:P.1400 - P.1400

VC(肺活量)
⑨ 普通の呼吸を数回してください.
⑩ 次にゆっくり息を吐き出し,最後まで吐ききります.
⑪ 続いて息を最大まで吸って,もう一度ゆっくり吐き出し,最後まで吐ききります.

FVC(努力性肺活量)
⑫ 普通の呼吸を数回してください.
⑬ 次に大きく,最大まで吸った息を一気に鋭く吐き出して,最後まで吐ききります.
⑭ ローソクの火を一気に吹き消すイメージで「フーッ」と強く吹くようにします.
⑮ これで呼吸機能検査は終わりました.
⑯ お疲れさまでした.お大事にどうぞ.

書評

臨床微生物検査ハンドブック 第4版

著者: 熊坂一成

ページ範囲:P.1382 - P.1382

 小栗豊子博士(亀田総合病院臨床検査部技術顧問)編集の「臨床微生物検査ハンドブック 第4版」が三輪書店から出版された.

 本書には,臨床微生物検査の基本的重要事項から最新の知見までが含まれている.そのすべてを紹介することはできないが,巻頭のカラーアトラスでは,喀痰のMiller & Jonesの分類,Gecklerの分類,主な検体のグラム染色標本,各種分離培地上の集落と確認培地,さらに微量液体希釈法とEテスト,迅速診断キットまでが網羅されている.本文では,基本的事項である患者検体の採取法と保存,グラム染色の鏡検や集落性状から菌種を推定することの重要性が強調されており,標準的な同定法と薬剤感受性検査が掲載されている.同定キットの使用ミスの解説の部分は是非,読者の方に熟読していただきたい.読者が実際に検査をする際の利便性を考え,臨床材料から検出される主な菌種の感染部位,日常検出される細菌の学名(新旧の学名),由来材料を表にまとめてある.

INFORMATION

第42回日本臨床神経生理学会学術大会

ページ範囲:P.1335 - P.1335

会 期:2012年11月8日(木)~10日(土)

大会長:片山容一(日本大学医学部脳神経外科学系神経外科学分野)

副会長:山本隆充(日本大学医学部先端医学系応用システム神経科学分野)

テーマ:ヒトの脳科学として:基礎から最前線へ

会 場:東京・京王プラザホテル

第49回日本臨床神経生理学会技術講習会

ページ範囲:P.1335 - P.1335

会 期:2012年11月9日(金)~10日(土)

会 場:東京・新宿NSビル

呼吸機能検査研修会―第19回琵琶湖セミナー―

ページ範囲:P.1368 - P.1368

期 日:2012年12月8日(土)・9日(日)

会 場:滋賀県守山市今浜町十軒家2876『ホテルラフォーレ琵琶湖』(TEL:077-585-3811)

千里ライフサイエンスセミナーD4「細胞の“こころ”を生きた個体で観察する―蛍光生体イメージングの最前線」

ページ範囲:P.1398 - P.1398

日 時:2013年1月23日(水) 10:00~17:00

場 所:千里ライフサイエンスセンタービル 5階ライフホール(大阪府豊中市新千里東町1-4-2,地下鉄御堂筋線/北大阪急行千里中央下車)

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『臨床検査』11月号のお知らせ

ページ範囲:P.1329 - P.1329

医学書院ウェブサイトをご利用ください

ページ範囲:P.1358 - P.1358

あとがき・次号予告・ラボクイズ正解者

著者: 矢冨裕

ページ範囲:P.1402 - P.1402

 10月8日,わが国の医学界において,たいへん嬉しいニュースがありました.もちろん,京都大学の山中伸弥教授のノーベル医学・生理学賞の受賞です.体のさまざまな組織や臓器になりうるiPS細胞を初めて開発し,医療に革命を起こそうとされているわけで,本当に天才的なお仕事です.そこに至るまでには多くの挫折と失敗を繰り返され,それでも研究を続け,大発見を成し遂げられたとのことです.また,ガタゴト鳴る洗濯機の修理中にノーベル賞受賞の電話を受けられたとのこと,私もそうですが,多くの方が本当に勇気をいただき,また,微笑ましくも思われたと感じます.最後の素晴らしい成果はもちろんですが,それまでの道程のご苦労も,われわれは学ばなくてはいけません.

 その地道な一歩として,検査と技術の11月号のゲラ刷りを,背筋を伸ばして目を通させていただいておりますが,今月号も,盛りだくさんの内容で充実しています.“病気のはなし”では,慢性閉塞性肺疾患(COPD)が取り上げられていますが,呼吸機能検査が重要な役割を果たす本疾患の病態がわかりやすく解説されています.また,“技術講座”では,輸血関連検査が二つ取り上げられており,精度管理,自動化をテーマとした重要なものである一方,生理検査として,野球肘検診への超音波検査の活用が興味深くまとめられています.他にも,重要かつタイムリーな記事が満載されていますので,是非,ご熟読下さい.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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