icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

検査と技術41巻2号

2013年02月発行

雑誌目次

病気のはなし

風疹

著者: 黒崎知道

ページ範囲:P.88 - P.90

サマリー

風疹(rubella)は,発熱,発疹,リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症である.近年国内においてもその発生は減少傾向にあったが,2012年に入ってからは主に成人,特に男性を主体に罹患数増加がみられる.これは,風疹ワクチン接種の対象は現在,生後12か月以上~90か月未満の男女(標準は生後12か月以上~36か月以下)であるが,1994年以前は中学生の女子のみが風疹ワクチン接種の対象であった.そのため,風疹抗体を有さない成人が多く,これに起因した増加である.脳炎,血小板減少性紫斑病,先天性風疹症候群など重篤な合併症予防のために,ワクチン対策が重要な疾患である.

技術講座 病理

甲状腺細胞診のベセスダシステム

著者: 坂本穆彦

ページ範囲:P.91 - P.95

新しい知見

現在,ベセスダシステムと呼ばれている細胞診報告様式は,子宮頸部と甲状腺の2領域で用いられている.子宮頸部では1988年に初版が公表され,現在では改訂版(2001年)が国際的にも広く流布している.一方,甲状腺では2007年に新しい報告様式として提唱されたあと,諸外国において急速に広まり,わが国以外のほとんどで用いられるに至っている.両者に共通する点の一つは,鏡検に適した標本が作製されているか否かをまず問うことである.これはパパニコロウ分類にはなかった視点である.判定区分では,甲状腺は“良性”,“悪性”および“中間的な病態”に分けたうえで推定病変を記載するのに対し,子宮頸部ではまず推定病変を記載し,判別の難しいものは別途定められたASC-US(atypical squamous cells of undetermined significance),ASC-H(atypical squamous cells cannot exclude HSIL)などに割り振る.

分子病理学的検索を目的とした新規組織固定法

著者: 鈴木雄太 ,   畑中豊 ,   松野吉宏

ページ範囲:P.102 - P.106

新しい知見

遺伝子関連検査では,主として血液や喀痰などの臨床検体が用いられているが,最近の体細胞遺伝子検査の増加に伴い,病理組織検体,なかでもホルマリン固定パラフィン包埋(formalin-fixed paraffin-embedded,FFPE)検体の利用が急速に進んでいる.ホルマリンを用いた固定は組織や細胞の形態保持に優れている一方,その反応性の高さから生体高分子に化学的修飾を起こすことが知られており,これにより引き起こされる検体品質低下がプレアナリシス段階での課題とされている.近年こうした課題への取り組みの一環として組織固定を含めた新規の検体処理システムが開発されつつあり,欧州ではその有用性の検討が活発化している.

生理 シリーズ 肝臓の超音波検査・2

腫瘤性病変の特徴を覚えよう

著者: 望月幸子 ,   南里和秀 ,   米山昌司

ページ範囲:P.96 - P.101

新しい知見

第二世代の超音波造影剤である“Sonazoid®(ソナゾイド®)”が広く普及し,肝腫瘤の鑑別診断や存在診断,治療に活用されている.この検査では,血流動態をリアルタイムに描出する血管相と,10分以降の肝実質を造影する後血管相が得られる.後血管相での造影は複数回のスキャンも可能で,Bモードでは視認できない腫瘤が後血管相で検出された場合,腫瘤に対して再度ソナゾイド®を投与することにより動脈血の有無を確認できる.これにより,肝腫瘤の鑑別診断と微小病変の検出がより可能となった.また,CTやMRIの造影剤と比べ副作用が少なく,呼気排泄のため腎機能が低下している患者にも使用できるという利点がある.

オピニオン

“日臨技”を新生させ,未来を切り拓く

著者: 宮島喜文

ページ範囲:P.107 - P.107

はじめに

 今日,わが国はいまだ経験したことのない少子・高齢化時代を迎え,政治・経済をはじめ医療,教育の分野でも20年後,30年後の将来像について国民の総意形成が図られていない状況である.そのようななか,臨床検査技師の未来に不安を抱く人も多く,また,日本臨床衛生検査技師会(以下,日臨技)としても,今までの運営手法では対応できない時代を迎えている.私は,15代目会長として未来に向け道標を立て,改革・改善に取り組み始めた.

疾患と検査値の推移

B型肝炎の最新情報およびガイドライン―核酸アナログ製剤中止とHBs抗原定量値の推移

著者: 松居剛志 ,   新海登 ,   田中靖人

ページ範囲:P.108 - P.113

はじめに

 ウイルス性肝炎は国内最大級の感染症であり,わが国においては約350~400万人がB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)あるいはC型肝炎ウイルスに感染していると推測されている.これらのうちHBVは,1964年にBlumbergらによって発見されて以来約50年経過したものの1),現在でも世界中で約4億人のHBVキャリアが存在し,年間約50~70万人が死亡していると推定されている.また,わが国では約150万人のHBVキャリアが存在し,肝癌の原因としてC型肝炎ウイルスに次いで2番目に多い.さらには近年,免疫・化学療法中のHBV既感染者におけるHBVの再活性化という新たな問題も生じている.本稿では,核酸アナログ製剤中止とHBs抗原定量値の推移を含めたB型肝炎の最新情報およびガイドラインを中心に述べる.

ワンポイントアドバイス

Campylobacter jejuniの感受性検査

著者: 丸山英行

ページ範囲:P.114 - P.115

はじめに

 カンピロバクター(Campylobacter)は初めヒツジやウシの流産菌として獣医学分野で注目されていたが,その後ヒトにも感染する人畜共通疾患の原因菌として認識されるようになった.1977年,Skirrowにより分離培養法が確立してからその報告例は飛躍的に増加した.2011年度ではカンピロバクターの食中毒発生時件数はウイルスによる発生件数を上回り,第1位となっている1).ヒトへは食品を介して感染するが,主な原因食材としてトリ,ブタ,ウシなどの畜産動物の肉や卵などがある.特にトリでは腸管内の常在菌としてCampylobacter jejuniが高率に分離される.これら畜産動物の育成段階において使用される抗菌薬の恒常的な選択圧により,耐性を獲得したと思われるカンピロバクターが臨床からも検出されるようになっている.従来,カンピロバクターによる感染性下痢症は,感受性試験に頼らずとも,エンピリックセラピー(経験的治療)による投薬によって問題なく治癒せしめていたが,耐性株の増加に伴い感受性検査の必要性が増している.

ラボクイズ

微生物検査

著者: 大楠清文

ページ範囲:P.116 - P.116

1月号の解答と解説

著者: 寺尾裕美子 ,   前澤圭亮 ,   山口孝一 ,   大畑雅彦

ページ範囲:P.117 - P.117

今月の表紙

甲状腺微小癌

著者: 廣川満良 ,   延岡由梨 ,   大下真紀

ページ範囲:P.118 - P.118

【症例の概要】

 60歳代,女性.検診の超音波検査にて,両側甲状腺腫瘤を指摘され,来院した.末梢血検査では遊離サイロキシン(FT4)0.92ng/dl(0.7~16ng/dl),甲状腺刺激ホルモン(TSH)1.721μIU/ml(0.3~5μIU/ml),サイログロブリン49.9ng/ml(0~35ng/ml),抗サイログロブリン抗体(TgAb)≦28.0U/ml(0~39.9U/ml)であった.超音波検査では,甲状腺両葉に多発性の結節がみられた.左葉中央にみられる結節は,5×3×4mm大で,形状はやや不整,境界は不明瞭粗雑,内部は低エコー・均質で,微小癌が疑われた.穿刺吸引細胞診にて乳頭癌と診断され,微小癌のため経過観察が推奨されるも,本人の希望で左葉峡部切除術および中央区域リンパ節郭清が行われた.

Laboratory Practice 〈生化学〉

疑似血液を用いた生化学精度管理調査

著者: 三宅一徳

ページ範囲:P.119 - P.122

はじめに

 外部精度管理調査は,臨床検査値の施設間互換性の確認と改善・是正に重要な役割を果たしている.日本医師会精度管理調査や日本臨床検査技師会精度管理調査など大規模精度管理調査の結果から見ると,わが国の生化学検査の精確度は極めて良好である.

 しかし,これらの大規模調査は管理用試料を用いたオープン調査であり,多くの参加施設が試料を複数回測定して平均値あるいは中央値を報告しており1),日常検査の精確度そのものではないことが指摘されている.さらには“測定値に関する情報交換”を行うなど,明らかに不適切な対応が行われる場合もあるとされる2)

 また,管理試料による調査では検査前誤差など分析外プロセスに起因する誤差要因は全く評価されない.一般開業医の大部分は未分離全血をそのまま衛生検査所に提出して血清生化学検査を実施しており,搬送プロセスや検体取り扱いが検査精度に大きく影響しうる.

 このような背景から,東京都衛生検査所精度管理事業では東京都医師会から患者試料同等の外観をもつ試料を用いたブラインド精度管理調査を実施したいとの強い要望を受けてきた.これに応じて,平成22年(2010年)度から生化学項目についても疑似血液(全血)試料を用いたブラインド調査を開始した.本稿では疑似全血試料による生化学精度管理調査について,上記の実施例を中心に方法と成績,問題点などを紹介する.

〈病理〉

病理業務上における有機溶剤の再利用

著者: 田所猛

ページ範囲:P.123 - P.126

はじめに

 廃棄物から有限な資源を効率的に活用するリサイクルシステムの推進や廃棄物抑制は環境保全の点からも注目され,循環型リサイクルシステムの構築が迫られている.環境影響物質の廃棄は難しく専門家でも意見が分かれることがある.当病理科においては,キシレン,アルコールを可能なかぎり再利用し,試薬購入費および廃液処理費の削減効果と有効な再利用法,安全性について検討したので報告する.

〈生理〉

術中の神経モニタリング―臨床検査技師のチーム医療への参画

著者: 真々田賢司 ,   岩立康男

ページ範囲:P.127 - P.130

はじめに

 平成22年(2010年)度の診療報酬改定は,救急,産科,小児,外科などの医療の再建・病院勤務医の負担軽減を重点項目の一つに挙げ,その対応として医師事務作業補助体制加算の評価の充実,多職種からなるチーム医療の評価が,項目の一つとして掲げられた.

 さらに平成24年(2012年)度の診療報酬改定でも,重点課題の一つとして急性期医療などの適切な提供に向けた,病院勤務医などの負担の大きな医療従事者の負担軽減が挙げられ,病棟薬剤師や歯科医師などを含むチーム医療の促進が掲げられている1)

 厚生労働省のチーム医療の推進に関する検討会報告書(2010年3月19日)1)によると“チーム医療とは,医療に従事する多種多様な医療スタッフが,各々の高い専門性を前提に,目的と情報を分担しつつも互いに連携・補完し合い,患者の状況に的確に対応した医療を提供すること”と解説されている.

 現在チーム医療の一員として臨床検査技師が携わって活動しているものに,感染症管理チーム(infection control team,ICT),栄養サポートチーム(nutrition support team,NST)そして糖尿病療養指導などがある.これらは,平成24年度に新たに認められたものを含めすべて加算項目として保険収載できるため,多くの施設が積極的に導入を図っている.

 さらに病院内を見渡すと,臨床検査技師がチーム医療に参画している分野が他にも存在する.当院で行っている業務は,手術室での術中神経モニタリングや不整脈のカテーテルアブレーション治療である.十数年前までは,測定機器の性能や技術的なこともあり,術中神経モニタリングはほとんど行われていなかった.実施していた施設でも,専門の医師が自ら実施していたものにすぎなかった.しかし,近年手術種類の多様化に安全な手術操作の追求が加わり,件数が激増してきている.そのため,診療科のモニタリング専門の医師だけでは対応しきれなくなり,臨床検査技師が手術室に入りモニタリングに従事する施設が多くなってきている.

 本稿では代表的な術中神経モニタリングについて簡単に説明し,臨床検査技師がどのようにチーム医療の一員としてかかわっているのか述べることにする.

〈一般〉

蛋白誤差を利用した尿蛋白質定性検査における偽陽性の分光光度法による識別

著者: 鈴木優治

ページ範囲:P.131 - P.134

 試験紙法による尿蛋白質定性検査は,簡便に実施できることから,広く普及している.しかし,検査成績に影響を及ぼすさまざまな妨害物質の存在が知られている1,2).特に試験紙法による尿蛋白質の検出原理である蛋白誤差による発色は,pH依存性を示すため3),試験紙法による尿蛋白質測定は検出系pHを一定に保持して行われる.しかしpH3.0に調整されている検出系pH4,5)は,生理的変動範囲がpH4.6~7.8の尿に試験紙を浸漬した場合には,尿試料によってはアルカリ側にずれる.検出系pHの上昇は,発色試薬自身の発色を増加させるために偽陽性の発生につながる6).アルカリ尿では偽陽性が発生しやすくなり7,8),偽陽性が疑われるときには,試験紙上の発色が蛋白質によるものであるかどうかを識別する必要がある.偽陽性を確認する方法としてスルホサリチル酸法4,7)があるが,この方法にも判定に影響する妨害物質が存在する1).本稿では,試験紙上の発色が蛋白質によるものであるのか,それとも共存成分による検出系pHの上昇によるものかをブロムフェノールブルー(bromphenol blue,BPB)試薬を用いて分光学的に確認する方法9)について解説する.

検査値を読むトレーニング 信州大学R-CPC・14

黄疸を認めた40代男性

著者: 本田孝行 ,   菅野光俊

ページ範囲:P.136 - P.142

信州大学のreversed clinicopathological conference(R-CPC)では,なるべく多くの検査を行った症例を選び,経時的検査値で解析している.しかし,決して多くの検査を行うことを推奨しているわけではない.陰性データも陽性データと同じように重要と考え,できる限り多くのルーチン検査を行った症例を選択してR-CPCで検討している.ある病態において,検査値が陰性になることを知って初めて必要のない検査と認識できる.その結果,必要な検査を最小限に行える医療従事者になれると考えている.また,検査値は基準値内でも動くことに大きな意味があり,動いている検査値を読むことによってより詳細な病態が解明できる.時系列検査結果を読むことができれば,異常値の出るメカニズムを理解できたことになり,入院時のみのワンポイントの検査値であっても容易に理解できるようになる.

臨床医からの質問に答える

試験紙法はどの製品でも同じですか?

著者: 菊池春人

ページ範囲:P.143 - P.146

はじめに

 厳密にいえば試験紙法は尿検査に限らないが,最も一般的なのが尿試験紙検査であるので,ここでは尿試験紙について述べる.この質問は「尿試験紙は標準化されているか」と言い換えることができると思われるが,これには二つのレベルがあると思われる.一つは臨床化学検査における日本臨床化学会の勧告法のように試験紙法の各項目の試薬組成が標準的なもので統一されているか,という質問であるという解釈である.これについては“No”ということになる.例えば,代表的な尿試験紙項目である蛋白はpH指示薬の蛋白誤差を測定原理とするが,そのpH指示薬としてテトラブロモフェノールブルー(tetrabromophenol blue,TBPB)を用いているものが大部分ではあるが,一部別の指示薬を用いている試験紙もある.

 もう一つのレベルは試薬,反応原理は異なっていても,同じ尿検体を測定したときに同じ結果が得られる,という意味で「同じ」かどうかという解釈である.これについては一言で述べると,「蛋白,ブドウ糖,潜血の1+については国内の試験紙で標準化されているが,他のランクおよび他の項目については標準化されておらず,同じとはいいにくい」ということになる.以下尿試験紙の標準化についてかかわっている立場から(後述)その経緯と現状を述べていきたい.

トピックス

ブレイン・マシン・インターフェース

著者: 平田雅之 ,   吉峰俊樹

ページ範囲:P.147 - P.151

はじめに

 ブレイン・マシン・インターフェース(brain machine interface,BMI)とは脳信号を計測してこれをコンピュータで解読して,脳活動の内容を推定し,外部機器を操作することにより,障害された機能を代行する技術である.重症の筋萎縮性側索硬化症や頸髄損傷などでは完全四肢麻痺,意思伝達障害による生活の質低下が著しい.こうした機能障害に対してBMI技術を用いて機能補填を図ろうとする研究が盛んになりつつある.本稿ではBMIについて概説し,臨床検査とのかかわり,最近の話題について解説する.

医療機器の集中管理

著者: 岩藤晋

ページ範囲:P.151 - P.153

■医療機器の集中管理の現状

1.医療機器の安全管理

 2007年の医療法の改正では,医療機関に対して,良質な医療を提供する体制の確保が求められ,「医療機器に係る安全確保のための体制の確保」が義務化された.各医療機関に対しては,医療機器に関する十分な知識を有する医療機器安全管理責任者を配置し,①従事者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施,②医療機器の保守点検に関する計画の策定および保守点検の適切な実施,③医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医療機器の安全使用を目的とした改善のための方策の実施,が求められた.

 医療機器は,薬事法において「人若しくは動物の疾病の診断,治療若しくは予防に使用されること,又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具などであって,政令で定めるもの」とされている.そして,人体に与えるリスクに応じた安全対策を講ずることを目的として,高度管理医療機器(クラスⅢ/Ⅳ),管理医療機器(クラスⅡ),一般医療機器(クラスⅠ)に分類されている.また,この分類とは別に,保守点検,修理その他の管理に専門的な知識および技能を必要とする医療機器を特定保守管理医療機器としている(図1).さらに,特定保守管理医療機器のなかには,設置に当たって,保険衛生上の危害の発生を防止するため,組み立てにかかわる管理が必要となる設置管理医療機器がある.

学会印象記 第44回日本臨床検査自動化学会

「臨床検査の総力結集と医療への新たな貢献」を実感

著者: 佐藤謙一

ページ範囲:P.154 - P.154

 日本臨床検査自動化学会第44回大会が,宮島栄治(横浜市立大学医学部臨床検査医学)大会長のもと,「グローバルスタンダード&インテグレーション─臨床検査の総力結集と医療への新たな貢献」をテーマに掲げ,10月11日(木)~13日(土)の日程でパシフィコ横浜にて開催された.大会の核となる一般演題は口演とポスター発表併せて350演題にも上り,四つのシンポジウムが大会テーマを具現化する内容にて企画され,さらに今大会オリジナル企画である「画像検査と検体検査のインテグレーションセミナー」が,四つの臓器(群)別に行われた.また,例年通り,教育講演やランチョンセミナー,機器展示も行われ,機器展示に関しては“ハンズオンセミナー”といった新しい企画もあった.以上のように大会プログラムは大変密度が濃いものであった.

 私の今大会参加の第一の目的は,遺伝子検査セクションの一般演題口演であり,職場での協力を得て,3日間にわたって参加することができた.初日は,夕方からの遺伝子・プロテオミクス技術セミナーに参加した.当セミナーの特色として,講演会と実習の2部構成からなることが挙げられる.実習の部では,検査・解析装置の解説を聞きながら実際に操作の体験ができる.2008年から始まったこの実習の部は,今大会新企画の“ハンズオンセミナー”の先駆けといえるかもしれない.

普段とは異なる視点から検査を見つめることの大切さ

著者: 中村明子

ページ範囲:P.155 - P.155

 2012年10月11~13日にかけて,神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で日本臨床検査自動化学会の第44回大会が開催された.この会場ではこれまでも数多くの学会が開催されており,私も幾度となく通っている.当初は新横浜駅からの乗り換えに戸惑っていたが,今では下車駅ホームの階段に近い車両の位置や会場までの近道もマスターし,既に勝手知ったるルートといった感がある.

 さて,本学会のテーマは「グローバルスタンダード&インテグレーション─臨床検査の総力結集と医療への新たな貢献─」であった.プログラムは350題もの一般演題と数多くのシンポジウム,講演,セミナーなどで構成されていた.なかでも,学会初日に開催された技術セミナーは盛況であったとのこと.注目されている新しい検査法や,従来からある検査技術をより活用するための知識,基準範囲の求め方など,気になる内容ばかりである.私は2日目からの参加であったため聴講できなかったのが悔やまれる.

ニーズに応じた検査技術の発展を学ぶ

著者: 水本好美

ページ範囲:P.156 - P.156

 日本臨床検査自動化学会第44回大会が,2012年10月11日(木)~13日(土)にパシフィコ横浜にて開催され,演者として13日に参加してきた.心地よい秋晴れの空気のなか,遠方からも大勢の参加者が集い,会場は活気に満ち溢れていた.

 今回のテーマは「グローバルスタンダード&インテグレーション─臨床検査の総力結集と医療への新たな貢献」であった.大会長の宮島栄治先生のご意向から,第44回大会オリジナル企画として画像検査と検体検査のインテグレーションセミナーや教育講演など,検体検査・生理検査などの枠にとらわれない臨床検査全体の発展を目指すうえで有益なプログラムが非常に充実していた.

けんさ外国語会話・26

腹部エコー検査〈英語編〉

著者: 医療通訳研究会

ページ範囲:P.157 - P.157

①○○さん,(お部屋に)お入りください.
②これから腹部エコー検査を行います.上半身はお腹が出るようにして,ズボン(スカート)は腰まで下げて足を伸ばしベッドに仰向けに寝てください.
③検査のために,ゼリーをお腹につけます.両手は頭の上に上げてお腹は触らないようにしてください.
④大きく息を吸って,止めてください.
⑤息を吐いて楽にしてください.
⑥次は体の左側を下にして横向きに寝てください.
⑦仰向けに戻ってください.
⑧起き上がり後ろに手をつき,ベッドに座った状態になってください.
⑨検査終了です.
⑩このタオルでゼリーを拭き取ってください.
⑪ゆっくり起き上がり,洋服を着てください.

INFORMATION

細胞検査士養成機関学生募集要項(2013年,平成25年度)

ページ範囲:P.101 - P.101

 臨床(衛生)検査技師の資格のある者に細胞診の検査業務に関する高度の知識と技能を授けることを目的とする.

教育機関:

がん研究会有明病院付設細胞検査士養成所

東京都がん検診センター細胞検査士養成所

加計学園細胞病理学研究所(倉敷芸術科学大学内)

第10回大阪臨床検査ISO15189研究会

ページ範囲:P.106 - P.106

 2012年9月の時点で国内でのISO15189認定施設は60施設以上となり,徐々にではありますが認定施設が増加している現状です.今回の研究会では,最近認定を取得されましたご施設に取得経験談をご講演いただきます.また,第2部は,臨床検査にかかわる標準規格の最新動向についてご講演いただきます.ISO15189の認定取得を検討中の施設の方はもちろん,ISO15189に関心のある方は,是非ご参加いただきますようお願い申し上げます.また,今回も意見交換会を設けておりますので,こちらにも奮ってご参加くださいますようお願いいたします.

日 時:2013年2月16日(土) 14:00~19:00

 (13:30開場)

会 場:大阪医科大学 新講義実習棟1F 101号室

(http://www.osaka-med.ac.jp/others/campus_map/index.html)

JR「高槻」駅より徒歩約8分,阪急京都線「高槻市」駅より徒歩約3分

アクセスマップ(http://hospital.osaka-med.ac.jp/access.html)

KCJL(近畿心血管治療ジョイントライブ)2013 Co-medical

ページ範囲:P.134 - P.134

 Co-medical Theaterでは2日間を通して看護,虚血,不整脈の各セッションを行います.Basicな内容から最近のトピックスまで幅広くお届けいたしますので,初心者の方からベテランの方まで満足して頂ける構成にしたいと考えています.今回は基礎的なレクチャーを交えたAMIのビデオライブを用意しましたので,緊急症例を通して看護師,臨床工学技士,放射線技師の方々による討論を行いたいと思っています.不整脈のセッションでは,毎年恒例となっていますアブレーションに直結する心電図セミナーと,昨年好評であった3DCTを用いた心臓の解剖セミナーを今回も開催いたします.また,新企画としてカテ室びふぉー&アフター(仮題)を計画中です.例年好評を頂いています冠動脈模型制作も開催いたしますので,模型作りを通して冠動脈の走行をより理解できると思います.皆様のご参加をお待ちしています.

開催日:2013年4月19日(金)~4月20日(土)

会 場:メルパルク京都

第4回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会

ページ範囲:P.146 - P.146

会 期:2013年5月17日(金)~19日(日)

会 場:仙台国際センター

--------------------

『臨床検査』2月号のお知らせ

ページ範囲:P.115 - P.115

あとがき・次号予告・ラボクイズ正解者

著者: 種村正

ページ範囲:P.160 - P.160

あとがき

 寒中お見舞い申し上げます.近年,だんだん春と秋が短くなり,夏は暑く,冬は寒くなったと感じるのは私だけでしょうか?

 実は,「検査と技術」は1月号から表紙の一部が変わっています.気付いていただけたでしょうか? そうでなかったらとても残念です(笑).最も大きな変更点は“MODERN MEDICAL LABORATORY”というサブタイトルがなくなり,“臨床検査技師の「知りたい!」にこたえる”というキャッチコピーが付加されたことです.私が編集委員になって3年が経とうとしていますが,これを変更するために議論した時間が今までで最も長かったと思います.他には“技能と知識が未来を拓く”,“確かな技術が未来を創る”,“ひとり立ちする技師のあなたに”などの案が挙がりました.こんなに小さなことですが長年続けてきたことを変えるのは何事も大変ですね.新しいキャッチコピーが皆様の目に留まってくれれば嬉しいです.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?