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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術41巻5号

2013年05月発行

雑誌目次

病気のはなし

播種性血管内凝固症候群(DIC)

著者: 朝倉英策

ページ範囲:P.364 - P.370

サマリー

播種性血管内凝固症候群(DIC)は,基礎疾患(急性白血病,固形癌,敗血症など)の存在下に全身性持続性の著しい凝固活性化をきたし,細小血管内に微小血栓が多発する重篤な病態である.凝固活性化(TAT上昇)とともに線溶活性化(PIC上昇)がみられるが,その程度は基礎疾患により相当な差異がみられる.進行すると血小板や凝固因子と言った止血因子が低下し,消費性凝固障害の病態となる.線溶抑制型DICは敗血症に代表され臓器症状がみられやすいのに対して,線溶亢進型DICはAPLや動脈瘤に代表され出血症状がみられやすい.線溶均衡型DICは中間的病態であり,固形癌例で多い.

技術講座 生理 シリーズ 基礎から学ぶ神経伝導検査─信頼されるデータを導き出すために・2

感覚神経伝導検査

著者: 髙橋修

ページ範囲:P.371 - P.376

新しい知見

痛み刺激による痛覚検査:痛み刺激による痛覚認知に関連する研究は,主観的な要素が強く技術的に難しいことと,ある程度非侵襲的な方法を用いなければならないことで開発が遅れていた.また,痛みを誘発させるために皮膚侵害受容器を選択的に刺激できなければならないことが大きな問題点であった.

 近年,病院などの神経生理検査部門で通常に設置されている筋電計を利用し,特殊な機器を必要としない痛み刺激電極が表皮内刺激電極(Inter-epidermal electrical stimulation,IES電極)として,岡崎国立共同研究機構生理学研究所の乾幸二先生によって発明された.

 IES電極は,自由神経終末のある表皮内に短い針電極を刺し,そこに微弱な電流を流し,自由神経終末を興奮させる.痛覚にかかわる自由神経終末が表皮内で終わるのに対し,触覚にかかわる受容器はそれより深い層にあるため,表皮内を微弱な電流で刺激することによって自由神経終末のみの刺激が可能となり,Aδ線維を選択的に刺激できることになる.電極の形状は画鋲のようであるが,針電極は0.1mmと非常に短く,皮膚表面より刺入するが深さは一定であり,表皮には血管がないため電極刺入による出血はない.また,感染予防のため電極はディスポーザブルであり,安全である.

 臨床応用としては,簡易で安定した痛覚関連電位を検査することにより中枢性や末梢性の病態が明らかにされ,本稿で述べる感覚神経伝導検査や体性感覚誘発電位検査ほど一般的とはならないまでも,診療および治療の補助となることが期待される.

 本稿では日常臨床で行われている一般的な感覚神経伝導検査のコツや注意点について述べる.

輸血

小児の輸血―赤血球製剤の分割使用

著者: 伊井野潤子 ,   曽根伸治 ,   津野寛和 ,   髙橋孝喜

ページ範囲:P.377 - P.381

新しい知見

新生児・小児に対する輸血療法について,「血液製剤の使用指針」では,成人とは別に小児に特有な生理機能を考慮した指針を策定する必要性を挙げている.しかし,小児一般に対する血液製剤の投与基準については,十分なコンセンサスが得られているとは言いがたい.そのような現状のなか,未熟児の早期貧血への赤血球濃厚液の投与方法,新生児への血小板濃厚液および新鮮凍結血漿の投与方法にのみ限定して指針が定められている.

新生児や未熟児に対する輸血療法は1回の輸血量が少量であることが多く,指針には輸血副作用の軽減・血液製剤の有効利用の観点からも赤血球製剤の分割使用の有用性について記載している.しかし,実際の分割製剤の作製法や管理については言及されておらず,施設ごとに基準を定め独自の方法で行われているのが現状である1~3)

一般

尿沈渣における血球形態

著者: 宿谷賢一 ,   田中雅美 ,   下澤達雄

ページ範囲:P.382 - P.386

新しい知見

国内の尿中赤血球形態の判定基準はかつて,日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards:JCCLS)尿沈渣検査法検討委員会による「判定基準試案(2005)」が『血尿診断ガイドライン』に掲載され,具体的に取り上げられた.近年では,尿沈渣検査法GP1-P4の付記として「尿中赤血球形態の判定基準(2010)」が『尿沈渣検査法2010』に掲載された.白血球については,1995年に日本臨床衛生検査技師会から尿沈渣検査法が発刊されたことによって国内の尿沈渣鏡検の技術は著しく向上し,日常検査においても白血球分画が可能となった.

疾患と検査値の推移

乳癌

著者: 杉山和義

ページ範囲:P.387 - P.393

疾患・病態の概説

 乳房は母乳を作る乳腺と,乳汁を運ぶ乳管,それらを支える靭帯・脂肪などの間質組織,これらを覆う皮膚からなっている.乳腺・乳管・乳頭部皮膚より生ずる悪性腫瘍が乳癌であるが,その約80%は乳管由来の乳管癌である.乳癌は現在のわが国において女性に最も多い癌として注目されている(図1).

 統計上乳癌罹患率は40歳代後半から50歳代前半が最も高くなり,その後は次第に低下する.乳癌の発生には女性ホルモン(主にエストロゲン)が深くかかわるとされ,経口避妊薬の使用や,閉経後のホルモン補充療法によってリスクが高くなる可能性がある.また,近い親族(母親,姉妹,娘)に2人以上乳癌の家族歴がある場合,発癌リスクが5~6倍になるとの統計があり,定期検診の推奨と乳癌の遺伝子検査が考慮される.乳癌遺伝子はBRCA1とBRCA2が現在同定されているが,いずれか1つの遺伝子をもつ女性が乳癌になるリスクは極めて高く,80歳までに50~85%の確率で癌ができると推計されている.

臨床検査のピットフォール

乳腺の優れた固定法

著者: 桑尾定仁

ページ範囲:P.395 - P.397

はじめに

 近年,日本人女性における癌の罹患数第1位は乳癌であり,病理検査室で取り扱う乳癌症例も増加しつつある.また,縮小手術の普及により,提出検体は切除マージンの多い乳房全摘(胸筋温存手術)材料から切除マージンの少ない乳房温存手術材料へと質的に変わってきている.切除マージンが少ない分だけ,より正確な取り扱いを要求されてきている.

 本稿では,当院で行っている乳腺の固定法について言及し,陥りやすい過信(ピットフォール)について述べる.

けんさ質問箱

尿定性検査(試験紙法)には偽陽性反応がありますが,ウロビリノゲンやビリルビンの確認方法や強アルカリ尿の蛋白陽性についての対応を教えてください.

著者: 伊瀬恵子

ページ範囲:P.398 - P.399

 尿定性検査は,濾紙に試薬をしみこませた試験紙と尿中の目的物質が反応して生じる色調変化を,目視または分析機で測定します.投与された薬剤や食事で摂取された物質は,代謝されて尿中に排泄されます.これらのなかには,試験紙法の反応系に影響を与えて偽陽性や偽陰性を起こし,測定値に影響するものもあります.本稿では,日常検査でよくみられる偽反応の確認方法と対応について述べます.

ラボクイズ

一般検査

著者: 佐々木正義

ページ範囲:P.400 - P.400

4月号の解答と解説

著者: 大楠清文

ページ範囲:P.401 - P.401

ワンポイントアドバイス

日当直帯の髄液検査を円滑に行うためのポイント

著者: 石山雅大

ページ範囲:P.402 - P.404

はじめに

 髄液検査は少量の検体で生化学検査から細胞の鏡検,培養検査など幅広い手技が求められる1,2).また,日当直帯で緊急検査として扱われることが多く,ルーティン業務の担当者以外となればなおさら苦慮される検査の1つである3).しかし,髄液検査で本来急がなければならない検査は脳炎や髄膜炎といった中枢神経系の炎症や出血性の疾患が中心であり,急ぐ検査項目はあるのか,どこまで検査をするのかを考慮すれば,慌てることなく円滑に髄液検査を進めることができる.

Laboratory Practice 〈管理運営〉

ISO15189におけるアドバイスサービス

著者: 清水力

ページ範囲:P.405 - P.408

はじめに

 2005年秋にISO15189:2003「臨床検査室―質と適合能力に対する特定要求事項」の初回認定がなされて以来,2012年12月14日現在で64の検査室が認定を受けており,ISO15189への関心は高まりつつある.筆者の所属する北海道大学病院検査・輸血部(2007年輸血部と統合し検査・輸血部となる)は,2005年9月,大学病院検査部としてわが国で初めてISO15189:2003(現在はISO15189:2007に改訂,以下ISO15189)を取得し1),その後の部署運営は,本規格に則ってなされてきた.

 ISO15189は「品質マネジメントシステムの要求事項」と「臨床検査室が請け負う臨床検査の種類に応じた技術能力に関する要求事項」で構成されており,本稿で求められている,ISO15189における「アドバイスサービス」は前者に記載されている要求事項である.当部ではISO15189取得時からアドバイスサービスの関連事項は副部長の責務とされており,取得当初より関わってきた者として経験を踏まえ概説する.

〈病理〉

胃底腺型胃癌

著者: 八尾隆史 ,   上山浩也

ページ範囲:P.409 - P.413

はじめに

 胃癌の組織学的分類として,世界的にはLauren分類(腸型:intestinal type,びまん型:diffuse type),わが国では中村分類(分化型:differentiated type,未分化型:undifferentiated type)を用いて2群に分けることで臨床病理学的特徴が異なることが指摘されてきた.その後の免疫染色の発達によって粘液形質的に胃癌を胃型と腸型に分類可能となり,それらの違いがより明瞭に示されるようになってきた.

 胃底腺への分化を示す胃癌は2007年にTsukamotoら1)が最初に報告し,2010年に筆者らが胃底腺への分化を示す腺癌を胃癌の新しい組織型“胃底腺型胃癌”として提唱した2).この癌はHelicobacter pylori感染と無関係な胃癌と考えられ3),今後注目すべき胃癌である.

 本稿では,胃底腺型胃癌の特徴と鑑別について解説するが,その理解のための基礎知識として免疫染色による胃粘膜および胃癌の細胞分化の評価方法についても解説する.

オートプシー・イメージング―その「可能性」と「限界」を正しく理解するために

著者: 稲井邦博 ,   法木左近 ,   西島昭彦 ,   内木宏延

ページ範囲:P.414 - P.418

はじめに

 筆者が医学生だった1980年代中頃より急速に普及したコンピュータ断層撮影(computed tomography,CT)は,今や国内で1万台以上が稼働している.当時,それまで見たこともなかった断層像に驚愕したことを懐かしく思う.当時の撮影は「息を止めてください」 「楽にしてください」という音声アナウンスに合わせて,被検者は緊張しながらガントリーの駆動音を聞いたものである.しかし,その後の技術革新は多列検出器を有するヘリカルCTを登場させ,今では息止めはほとんど必要なくなった.臨床現場へのCT登場から四半世紀を経て,遺体を画像診断するという概念が確立したのは必然かもしれない.遺体のCT撮影では,画質に影響を与える呼吸と体動を気にする必要がないからである.

検査値を読むトレーニング 信州大学R-CPC・17

1病日ショック状態で入院となった80代男性

著者: 本田孝行 ,   菅野光俊

ページ範囲:P.419 - P.426

信州大学のreversed clinicopathological conference(R-CPC)では,なるべく多くの検査を行った症例を選び,経時的検査値で解析している.しかし,決して多くの検査を行うことを推奨しているわけではない.陰性データも陽性データと同じように重要と考え,できる限り多くのルーチン検査を行った症例を選択してR-CPCで検討している.ある病態において,検査値が陰性になることを知って初めて必要のない検査と認識できる.その結果,必要な検査を最小限に行える医療従事者になれると考えている.また,検査値は基準値内でも動くことに大きな意味があり,動いている検査値を読むことによってより詳細な病態が解明できる.時系列検査結果を読むことができれば,異常値の出るメカニズムを理解できたことになり,入院時のみのワンポイントの検査値であっても容易に理解できるようになる.

今月の表紙

集合管癌

著者: 星野夏那 ,   森水文 ,   熊谷二朗

ページ範囲:P.427 - P.427

【症例の概要】

 51歳,男性.検診超音波検査にて左腎下極に腫瘍を指摘され来院.来院後の超音波検査では腫瘍は中心部エコーの消失した境界不明瞭な病変で範囲がはっきりせず,右腎に比べて左腎が著しく腫大する所見が際立つなど,腎実質に強く浸潤する腫瘍であることが考えられた(図1).

 左腎摘出術を施行,術後の病理検査で著しい腎実質浸潤および下大静脈にまで達する強い血管侵襲を伴った集合管癌と診断された(図2).術後2年で多発肝転移および腹水中の腫瘍細胞の出現を認めた.

臨床医からの質問に答える

細菌の菌量の表示法を教えてください

著者: 柳沢英二

ページ範囲:P.428 - P.429

■一般細菌検査

 一般細菌の菌量を報告する検査項目には,尿定量,グラム染色結果,培養検査結果があります.

 尿定量は,市販品のディップスライドがあるのでほぼ統一されていますが,グラム染色結果,培養検査結果はわが国では量的表現方法の統一された基準はないため,各施設で表現方法が違っているのが現状です.

トピックス

新しい経口抗凝固薬

著者: 小嶋哲人

ページ範囲:P.430 - P.432

はじめに

 ワルファリンは,半世紀以上もの間,強力な経口抗凝固薬として汎用されてきたが,治療至適用量域が狭く出血性副作用が問題となるため,モニタリングをもとに投与量の調節が必要である.近年,抗血栓薬剤の有効性と安全性の向上を目的に,構造が均一でかつ単一凝固因子をターゲットにした新しい抗凝固薬の合成が行われている(図1).本稿では,ワルファリンに代わる新しい経口抗凝固薬として開発されている経口可能な直接抗トロンビン(第IIa因子)薬や直接抗活性化第X因子(Xa)薬の特徴について概説する.

ヒト爪を用いた糖尿病リスク診断

著者: 閔俊哲 ,   豊岡利正

ページ範囲:P.432 - P.434

はじめに

 糖尿病の初期段階は「痛い」「つらい」といった自覚症状に乏しく,病態を慢性的に持続させることとなるため,「未病状態での早期発見」が治療の鍵である.今日,臨床検査に汎用されている血液,尿は短時間内の健康状態を反映可能な利点をもち合わせているが,衛生面上の問題や採取に伴う苦痛,感染の可能性,採取者の限定,長期間の栄養変動および健康状態が反映できないなどの問題点がある.また,その他の唾液,毛髪では採集の際の時間帯,口内細菌の影響,毛髪の状態,生え部位により個人差が大きく,これらは臨床検査への抵抗感の強い児童・高齢者の健康モニタリングや疾病診断には向いていない.また,増加の一途をたどっている糖尿病は,日常的な健康管理や早期診断が最も重要な課題となっているが,慢性疾患の長期間病態変化をモニタリング可能な生体試料がないのが現状である.一方,筆者らが着目したヒト爪は構造上の特徴から,非侵襲的に採取が可能で痛みを伴わず,長期保存が可能であり,また,数カ月以上の長期期間の体内の栄養状態や過去の薬物使用履歴が残されている特徴がある.

 本稿では,糖尿病リスク診断における新規非侵襲的な生体試料としてのヒト爪の可能性と有用性について解説する.

学会印象記 第59回日本臨床検査医学会学術集会

第59回日本臨床検査医学会学術集会に参加して

著者: 恩地由美

ページ範囲:P.436 - P.436

 2012年11月29日から開催された第59回日本臨床検査医学会学術集会に参加し,病院業務との関連性の高い演題を中心に聴講してきましたのでレポートさせていただきます.

 今回の会場,国立京都国際会館は,京都駅から地下鉄に乗り20分ほどのところにあり,改札を通り外に出ると,赤く色づいた木々が会場を囲み,見渡せば美しい山々が目に映る,閑静な場所にあり,深まりゆく京都の風情を感じるに十分な場所でした.

検査データから患者を診る

著者: 石井里佳

ページ範囲:P.437 - P.437

 紅葉の季節を迎えた2012年11月29日~12月2日,国立京都国際会館で第59回日本臨床検査医学会学術集会が開催された.会期中は時折雪がちらつき,連日とても寒かった.しかし,会場では専門性の高い研究や検討の発表が行われ大変興味深く,聞き逃すことがないように必死にメモを取っていたため寒さを感じることはなかった.

 本学術集会のメインテーマは「臨床検査の再生」である.会長の一山智先生は,手作業中心の検査から多検体一括処理の自動化へ,さらにITテクノロジーを組み合わせたデータの精度向上と,われわれが生み出す検査情報は膨大になっている一方,それらが臨床診断に果たす役割や経済効率が問われてくる時代になったといえる,と述べている.つまり,臨床検査とそこから生み出される検査情報を臨床の現場に役立たせていくことが臨床検査の再生につながるということである.

けんさ外国語会話・29

腹部エコー検査〈スペイン語編〉

著者: 医療通訳研究会

ページ範囲:P.438 - P.438

①○○さん,(お部屋に)お入りください.
②これから腹部エコー検査を行います.上半身はお腹が出るようにして,ズボン(スカート)は腰まで下げて足を伸ばしベッドに仰向けに寝てください.
③検査のために,ゼリーをお腹につけます.両手は頭の上に上げてお腹は触らないようにしてください.
④大きく息を吸って,止めてください.
⑤息を吐いて楽にしてください.
⑥次は体の左側を下にして横向きに寝てください.
⑦仰向けに戻ってください.
⑧起き上がり後ろに手をつき,ベッドに座った状態になってください.
⑨検査終了です.
⑩このタオルでゼリーを拭き取ってください.
⑪ゆっくり起き上がり,洋服を着てください.

INFORMATION

第40回臨床検査技師研修会

ページ範囲:P.397 - P.397

日 時:2013年6月20日(木)8:30~21日(金)17:05

開催場所:自治医科大学地域医療情報研修センター

(自治医科大学構内施設)

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-160

(申込住所と同じ)

千里ライフサイエンスセミナーE2 エピジェネティクス制御からの生命活動の理解とその展望

ページ範囲:P.408 - P.408

日 時:2013年7月4日(木) 10:00~17:00

場 所:千里ライフサイエンスセンタービル 5F ライフホール

(地下鉄御堂筋線千里中央駅 北口すぐ)

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第59回臨床検査技師国家試験―解答速報

著者: 本誌編集委員会

ページ範囲:P.439 - P.439

『臨床検査』5月号のお知らせ

ページ範囲:P.413 - P.413

あとがき・次号予告・ラボクイズ正解者

著者: 手島伸一

ページ範囲:P.442 - P.442

◎あとがき

 この「あとがき」を書いている本日は,東日本大震災から2年が経過しました.福島第一原発の炉心のメルトダウンによる放射能漏れがいまだ解決できず,深刻な問題となっています.使用済み核燃料の処理方法が確立せず,原発のそばに使用済み核燃料が貯蔵されつづけています.そういえば,当院の検査科でも,規制が緩かったころに入手した微量の劣化ウランを引き取り手や廃棄処理方法が見つからないまま使わずに保管し続け,25年以上も年2回の管理報告書を提出し続けています.いつになったら正しい廃棄方法が見つかり,報告書が完了するのでしょうか.

 「今月の表紙」は「腎の集合管癌」を取り上げました.腎癌の発見には超音波検査が威力を発揮し,初期の腎癌の段階から見つけることができるようになりました.しかし,今回取り上げました集合管癌は予後不良な腎癌として近年注目されている組織型です.まれな腎癌ですが,超音波検査に携わる臨床検査技師は当然知っておくべき疾患と考えます.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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