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膀胱原発MALTリンパ腫
著者: 寺畑信太郎1
所属機関: 1市立砺波総合病院病理科
ページ範囲:P.129 - P.129
文献購入ページに移動【症例の概要】
80歳代の男性.胃潰瘍の既往があり,その経過観察で施行されたCTで膀胱憩室および膀胱壁の肥厚を指摘され,泌尿器科を紹介され受診した.慢性膀胱炎の診断にて加療され,膀胱憩室に対しては電気凝固が行われ,憩室は消失し残尿の改善はみられたが,膿尿は続いていた.再度,他科で施行されたCTで膀胱腫瘤が指摘されたため,泌尿器科にて再精査が行われた.経腹部膀胱超音波検査で,膀胱後壁に部分的にエコーレベルの高い膀胱粘膜の不均一な肥厚があり,ドプラ法では内部に比較的豊富な血流信号が得られ,悪性腫瘍が指摘された.浸潤性膀胱癌が疑われたが,尿細胞診は陰性で,膀胱鏡では粘膜の浮腫状変化を伴う限局性肥厚を認め,通常みられる尿路上皮癌とは異なり,粘膜下腫瘍を思わせる像であった.経尿道的切除術(transurethral resection, TUR)による腫瘤の組織生検では,上皮下に小型~中型異型リンパ球の密な結節状~びまん性増殖像が認められた.免疫染色ではこれらの異型リンパ球はCD3(-),CD5(-),CD10(-),CD20(+),CD79a(+),CD43(+),bcl-2(+)で,免疫グロブリンの軽鎖はkappa>lambdaを示した.遺伝子検査(PCR法)にてIgκ遺伝子,Ig H遺伝子に再構成が認められ,これらの結果と併せ,膀胱原発のMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫と診断された.
80歳代の男性.胃潰瘍の既往があり,その経過観察で施行されたCTで膀胱憩室および膀胱壁の肥厚を指摘され,泌尿器科を紹介され受診した.慢性膀胱炎の診断にて加療され,膀胱憩室に対しては電気凝固が行われ,憩室は消失し残尿の改善はみられたが,膿尿は続いていた.再度,他科で施行されたCTで膀胱腫瘤が指摘されたため,泌尿器科にて再精査が行われた.経腹部膀胱超音波検査で,膀胱後壁に部分的にエコーレベルの高い膀胱粘膜の不均一な肥厚があり,ドプラ法では内部に比較的豊富な血流信号が得られ,悪性腫瘍が指摘された.浸潤性膀胱癌が疑われたが,尿細胞診は陰性で,膀胱鏡では粘膜の浮腫状変化を伴う限局性肥厚を認め,通常みられる尿路上皮癌とは異なり,粘膜下腫瘍を思わせる像であった.経尿道的切除術(transurethral resection, TUR)による腫瘤の組織生検では,上皮下に小型~中型異型リンパ球の密な結節状~びまん性増殖像が認められた.免疫染色ではこれらの異型リンパ球はCD3(-),CD5(-),CD10(-),CD20(+),CD79a(+),CD43(+),bcl-2(+)で,免疫グロブリンの軽鎖はkappa>lambdaを示した.遺伝子検査(PCR法)にてIgκ遺伝子,Ig H遺伝子に再構成が認められ,これらの結果と併せ,膀胱原発のMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫と診断された.
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