3 末梢性T細胞リンパ腫,非特定型(PTCL,NOS)
著者:
増田亜希子
ページ範囲:P.1004 - P.1005
末梢性T細胞リンパ腫(peripheral T-cell lymphomas:PTCL)は,胸腺での分化成熟を経て末梢臓器に移動したT細胞に由来する種々のリンパ系腫瘍の総称であり,わが国ではリンパ系腫瘍の約10%を占める5).WHO分類第4版では,多くのPTCLは,血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(angioimmunoblastic T-cell lymphoma:AITL),未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)などのように,明確な疾患単位として分類されている.明確に分類できないPTCLは,除外診断的に末梢性T細胞リンパ腫,非特定型(peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified:PTCL, NOS)として分類される.そのため,PTCL, NOSに含まれる症例は,形態学的にも生物学的にも多様である1,2).WHO分類第3版では,PTCL-U(PTCL-unspecified)と呼ばれていた6).
PTCL, NOSは,わが国ではリンパ腫全体の約7%を占め,成熟T/NK細胞腫瘍の中では成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia-lymphoma:ATL)と並んで頻度の高い病型である5).成人に多く,男女比は2:1と男性に多い.病変部位としては,末梢のリンパ節が多いが,骨髄,肝臓,脾臓などにも浸潤を認めることがある.節外病変では,皮膚や消化管が多い.骨髄浸潤は約20%で認められる.化学療法抵抗性であり,5年生存率20〜30%と予後不良である2).