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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術43巻12号

2015年11月発行

雑誌目次

病気のはなし

関節リウマチ

著者: 夏本文輝 ,   庄田宏文 ,   山本一彦

ページ範囲:P.1172 - P.1177

Point

●関節リウマチ(RA)は,全身関節の滑膜炎を主病変とする自己免疫疾患である.

●炎症が持続すると軟骨破壊や骨びらんを生じ,進行すると,関節変形やそれによる運動機能障害から日常生活能力の低下をきたす.

●肺病変,リウマトイド結節,血管炎など種々の関節外病変を伴うことがある.

技術講座 病理 シリーズ 検査技師に求められる感染防御対策・2

病理検査における感染防御対策

著者: 渡具知克

ページ範囲:P.1192 - P.1197

Point

●病理検査は新鮮検体を扱うため感染の危険性が高く,特に結核菌,肝炎ウイルス,ヒト免疫不全ウイルス(HIV),プリオンの4種に対して感染防御対策が必須です.

●提出される検体全てが感染性を有するとみなすことが最も重要で,感染源に則した処理を行える環境の構築が大切です.

●バイオハザード対策用キャビネットとクリーンベンチの決定的な違いを理解し,作業者の安全性を確保することが重要です.

臨床検査技師として必要な病理解剖手技について

著者: 渋谷秀徳 ,   古賀裕 ,   小田義直

ページ範囲:P.1198 - P.1204

Point

●はさみ,メスでスムーズに切るための基本は,切るところを“張る”ことです.執刀医が引っ張るのと反対方向に引っ張る=常に組織がピーンと張った状態を心掛けましょう.ただし,張りすぎると弱い組織は裂けるので,その加減が重要です.

●臓器摘出は,周囲組織をはさみ,メスで切ることにより臓器が上に持ち上がるように行いましょう.

●臓器摘出の際,はさみ,メスで周囲の組織や臓器を傷つけることがないように,解剖学にて位置を確認しておきましょう.

●病理解剖を速やかに進行させるために,器具の使用方法,特徴を検証して,安全かつ適正に使用できるようにしましょう.

●ご遺体のエンバーミングについては,縫合方法を工夫するなど,剖検前と同じ状態でお返しするという意識が重要です.

採血 シリーズ 最新の採血方法・4

血液採取法による血液成分の変動

著者: 児玉明好 ,   澤部祐司 ,   野村文夫

ページ範囲:P.1206 - P.1213

Point

●採血に不適切な血管(手関節部の橈骨茎状突起より中枢側,下肢の表在静脈など)や,血管と神経との位置関係を事前に把握しておく.

●血球計数,凝固・線溶検査は採血に起因するアーティファクトを敏感に受けやすい.特に凝固・線溶検査は治療に直結する検査であり,治療の影響を受けやすい検査でもある.

●検査に精通する臨床検査技師が検体採取業務を率先して行うことにより,検査の質の向上と,患者の利益を確保することができる.

生化学

免疫抑制薬と抗菌薬の血中薬物濃度(TDM)

著者: 吉年正宏

ページ範囲:P.1214 - P.1220

Point

●血中薬物濃度の測定法の多くは,他の生化学項目検査と同様に免疫化学的測定法を利用した,簡便で高精度,迅速測定が可能である.

●免疫抑制薬は赤血球に移行するため,血中濃度の測定は必ず全血で行い,測定前には十分に転倒混和し,均一試料としたうえで使用する.

●除蛋白などを目的とした前処理を行う場合,測定者の熟練度が測定値の精度に影響する場合がある.

●一部の薬物では血清分離剤へ吸着するものがあるため,分離剤入りの真空採血管を使用する際には注意が必要である.

トピックス

ヒトパレコウイルス感染症

著者: 相澤悠太 ,   齋藤昭彦

ページ範囲:P.1178 - P.1181

はじめに

 2014年の夏から秋にかけて,ヒトパレコウイルス3型(human parechovirus type 3:HPeV3)感染症の流行が新潟県で起こり1),また,全国各地からその報告が相次いだ2〜4).患者のほとんどが新生児から生後3カ月にかけての乳児であり,敗血症や脳炎を呈し,また,集中治療室で全身管理,人工呼吸管理が必要となった症例も報告された.ここでは,ヒトパレコウイルス(human parechoviruses:HPeVs)のなかでも特に臨床的に重要なHPeV3を中心に,その特徴と検査方法について解説する.

体液検査の自動分析—「体液細胞数自動算定ガイドライン」(ICSH 2014)の概要

著者: 田部陽子

ページ範囲:P.1182 - P.1185

はじめに

 多くの検査室において,体液細胞数の自動計数が導入されつつある.国際血液学標準化委員会(International Council for Standardization in Haematology:ICSH)は,2014年に「体液細胞数自動算定ガイドライン」を作成し,国際検査血液学会誌上で発表した1).同ガイドラインには,体液細胞数の自動算定を導入する際に必要な自動分析装置の導入前性能試験(verification)が具体的に提示された.本稿では,同ガイドラインの概要を紹介するとともに,ガイドライン作成にあたって米国,カナダ,英国,日本で実施されたアンケート調査結果から,日本と欧米諸国における体液検査の自動分析の現状を概説する.

次世代プロテオミクス技術がもたらす個別化医療の新展開

著者: 吉岡進 ,   松本雅記 ,   中山敬一

ページ範囲:P.1186 - P.1190

はじめに

 “オミクス(-omics)”という言葉を耳にしたことはあるだろうか.近年の分析技術の発展により,生命を構成する分子を網羅的に計測・研究する“オミクス”が,医学・生物学研究の世界を大きく変えようとしている.オミクスには遺伝子“ゲノミクス(genomics)”,蛋白質“プロテオミクス(proteomics)”,代謝産物“メタボロミクス(metabolomics)”などが存在し,特にプロテオミクス・メタボロミクス分野の発展には,近年の質量分析計の技術革新が大きく貢献している.本稿では,今後臨床検査分野にも導入が期待される質量分析計を用いたプロテオミクスに関し,その基本技術から医学応用について概説する.

過去問deセルフチェック!

問題 疾患マーカー

ページ範囲:P.1177 - P.1177

過去の臨床検査技師国家試験にチャレンジして,知識をブラッシュアップしましょう.以下の問題にチャレンジしていただいたあと,別ページの解説と解答をお読みください.

解答と解説

ページ範囲:P.1235 - P.1235

 本年度第61回国家試験から新しく国家試験出題基準(新ガイドライン)が適用となりました.そこで前回(本誌43巻11号)に引き続き,臨床化学分野で新しく追加になった3項目のうち疾患マーカーからの出題を取り上げてみました.

 疾患マーカーとして,今回(A)〜(E)の5項目が追加されています.(A)肺疾患:KL-6(問題2),アンギオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)(問題1),(B)感染症:(1→3)β-D-グルカン,プロカルシトニン(procalcitonin:PCT),(C)心疾患:脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP),トロポニン,(D)腎疾患:シスタチンC,(E)その他:アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase:ADA),アルドラーゼ,脂肪酸結合蛋白(fatty acid binding protein:FABP)となっています.問題1の3.ACEは,肺や腎の内皮で産生され,アンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換させる酵素です.レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系で働き,体液量および血圧の調節に関与しています.一方,サルコイドーシスは,肺,リンパ節,皮膚,眼,心臓,筋肉などに類上皮細胞肉芽腫が形成される疾患です.肉芽腫の類上皮細胞(マクロファージ由来)が産生し,3.ACEが高値となります.ほかに珪肺症などの肉芽腫性疾患,甲状腺機能亢進症などで上昇します.問題2の1.KL-6はⅡ型肺胞上皮細胞で産生されるシアル化糖鎖抗原の一つで,間質性肺炎(活動期)で高値となります.2.トロポニンは急性心筋梗塞,3.シスタチンCは腎不全,腎機能低下など,4.エンドトキシンはグラム(Gram)陰性菌感染症,エンドトキシン血症,5.プロカルシトニンは敗血症(細菌性),ウイルス感染症,真菌感染症,自己免疫疾患,手術後,外傷後などで上昇します.

教科書には書いていない採血のコツ・8

成功につながる患者確認法:「○○さん,○○さんは名前を何とおっしゃいますか?」

著者: 杤尾人司

ページ範囲:P.1221 - P.1221

 採血を始める前には,患者確認というリスクマネージメント上重要な最初のステップがある.システムの電子化によって患者間違いは激減したが,本人確認のために患者自身に姓名を述べてもらうことは依然原則である1)

 しかしながら,システムが出力した受付番号で患者を採血ブースまで誘導しておいて,「確認のため,名前を言ってください」と,マニュアル通りに名乗らせる手法は,患者にとってはあまり好感が得られることではない.どこかオートメーション化された工場のようで,物として扱われているような気にもなる.

疾患と検査値の推移

ギラン・バレー症候群

著者: 寒川真 ,   楠進

ページ範囲:P.1222 - P.1229

Point

●ギラン・バレー症候群(GBS)は急性発症の四肢筋力低下を主徴とする末梢神経障害であり,多くは先行感染を認め,自己免疫機序により発症する.

●急性期血清中に末梢神経の構成成分である糖脂質に対する抗体が高頻度に検出され,病態への関与が知られている.診断に必須ではないが,特異度が高く,確定診断のための有用性が高い.

●脳脊髄液検査では蛋白細胞解離が認められることがあるが,特異度は低い.また発症直後にはみられず,7〜10日ほどしてから明らかになってくることが多く,急性期の感度も高くはない.

●神経伝導検査(NCS)は発症数日〜1週間以内の急性期においても異常がみられる頻度が高く,診断あるいは他疾患との鑑別の初期評価の手段として有用である.

オピニオン

認定認知症領域検査技師に期待するもの

著者: 浦上克哉

ページ範囲:P.1230 - P.1231

認定認知症領域検査技師制度の背景と目的

 2014年に,厚生労働省から認知症患者は462万人,軽度認知障害が400万人と報告され1),国家戦略として認知症対策に取り組むことが打ち出されている.しかし,認知症医療に対応できる専門職は極めて少ない.医師には認知症専門医,看護師には認定看護師があるが,その数は極めて少なく,現場のニーズに対応できていない.臨床検査技師には,認知症に対応できる専門制度そのものが存在していなかった.

 2012年4月から髄液中タウ蛋白の測定がクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease:CJD)を,髄液中リン酸化タウ蛋白の測定が認知症を対象として保険収載され,680点がついた.そのため,臨床検査技師が認知症診断に直接関与する検査を行うことが可能になった.その他,認知症の病態把握に役立つ検査や治療評価に有用な検査は多くある.これからは認知症医療の現場で臨床検査技師が診断,治療効果判定に役立つ検査を積極的に行う必要がある.このような状況から,認知症医療に対応できる臨床検査技師が必要と考え,日本認知症予防学会と日本臨床衛生検査技師会が協力して認定認知症領域検査技師制度を立ち上げた.

Q&A 読者質問箱

アルブミン製剤の一元管理の意義

著者: 山田千亜希 ,   竹下明裕

ページ範囲:P.1232 - P.1234

Q アルブミン製剤の一元管理の意義

A 当施設ではアルブミン製剤の一元管理を2006年より開始,さらに2008年には,アルブミンが含まれる抗悪性腫瘍剤を始め,全ての特定生物由来血漿分画製剤の完全一元管理を行っています.管理を容易にするため,外来および手術部を含む全病棟の血漿分画製剤の備蓄を取りやめ,輸血部門に集約しました.輸血管理料を取得するという目的でのアルブミン製剤の一元管理の要件を満たすことは,第一目標といえるでしょう.この目標に到達することにより,病院収入は増加し,健康保険審査上の査定を受けにくくなり,輸血部門への評価は高まります.しかし,重要なのは,医療費の高騰や国内需給の問題を背景に,血液製剤全体を管理し,院内の適正使用を推進していくことです.そして結果的に,患者には,負担の少ない安全な輸血療法を提供することになります.

 輸血管理料の内容を簡単に述べます.管理料Ⅰ(1名につき220点/月)は,医療機関において,新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma:FFP)の使用量を赤血球濃厚液の使用量で除した値が0.54未満(FFPの全使用量から血漿交換療法における使用量の1/2量を引いた量で計算),かつ,アルブミン製剤の使用量を赤血球濃厚液の使用量で除した値が2未満であること1).管理料Ⅱ(1名につき110点/月)は,前者が0.27未満,後者は2未満とされています(2015年9月現在).輸血管理料を取得するには,その他満たすべき条件はありますが,上述の数値は,各医療機関においてわかりやすい目標となっています.

臨床医からの質問に答える

血液培養陽性時に,質量分析法による菌種同定はできるのですか?

著者: 清祐麻紀子

ページ範囲:P.1236 - P.1239

はじめに

 血流感染症は重要な死亡要因の一つであり,初期の敗血症管理に優先的に実施すべき項目として,血液培養および早期の適切な抗菌薬投与が挙げられる.敗血性ショック後における早期の抗菌薬投与が生存率を決定し,不適切な抗菌薬治療が重症患者の死亡率に対するリスクファクターとなることも証明されている1)

 血液培養検査は,血液から微生物をダイレクトに培養・検出できる重要な検査である.菌種名が判明することで起炎菌が明確となり,薬剤感受性検査や侵入門戸の検索も可能となる.国内でも,血液培養の複数セット採取が普及しており,血液培養検査の重要性はますます注目されている.血流感染症の原因菌を迅速かつ正確に同定することは,敗血症の診断と治療に重要な情報提供となる.

ワンポイントアドバイス

臨床検査技師とNST

著者: 嵐田恵美子

ページ範囲:P.1240 - P.1242

はじめに

 栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:NST)は,職種の壁を越えた医療チームによって,患者に最も適した方法で栄養状態の改善に取り組むチームである.

 当院のNSTは2005年9月に発足し,現在は日本静脈経腸栄養学会(Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition:JSPEN)より“NST稼働施設”の認定をうけて,病院長直属の組織として活動している.スタッフは,医師・歯科医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・臨床検査技師・リハビリテーションスタッフ〔理学療法士(physical therapist:PT),言語聴覚士(speech therapist:ST),作業療法士(occupational therapist:OT)〕・歯科衛生士・医事課職員で構成され, 参加者が一皿ごとに料理を持ち寄るパーティー形式に例えたPPM(potluck party method)と呼ばれる活動形式を採用している1)

連載 やなさん。・11

それぞれの思い

著者: 柳田絵美衣

ページ範囲:P.1243 - P.1243

 「ワン・ツゥ・フック! 膝! ストレート!」.18歳のプロキックボクサーの指導のもと,「俺は本気で格闘技がしたい!」という遠藤,「腹筋を割る!」という柳田に加え,「あぁ! 18歳! キラキラしてまぶしいぃ!」とメロメロの今川.この窓際族3人で,週2回,キックボクシングのジムに通っている.家族には,「健康のためにエクササイズしてるよ! うふ」とか言っておりますが,本気の格闘技のやつです.素直な今川は,「キックボクシングをする」と言って父君をあぜんとさせたそう.そんな今川の最終兵器は「やなさんも一緒だから!」だ.この言葉でOKがもらえるそうだが……きっと「うちの娘は,ヤバイ先輩に捕まったな」と思われているのだろうと不安である.

 遠藤と今川は身長・体重ともに同じで,柳田は身長・体重ともに2人の数値から“−10”.柳田は小さいのでパンチも軽く,ミットに当てても「パスパス」という情けない音しかしない.だが今川のパンチは,「バン! ボフッ!」とものすごい音がする.彼女なら世界を目指せる…….

今月の表紙

インフルエンザ

著者: 新庄正宜

ページ範囲:P.1244 - P.1245

Point!

Q.感染症の特徴は?⇒ 発熱・悪寒・感冒症状

Q.診断方法は?⇒ 迅速抗原検査,抗体価,ウイルス分離,PCR

Q.どのような細胞で増やす?⇒ MDCK細胞(イヌの腎臓由来細胞),発育鶏卵

Q.有効な治療薬は?⇒ ノイラミニダーゼ阻害薬

Q.予防法は?⇒ 皮下注の不活化ワクチン(海外では経鼻生ワクチンも)

ラボクイズ

血液検査

著者: 中川浩美

ページ範囲:P.1246 - P.1246

10月号の解答と解説

著者: 米岡麻記

ページ範囲:P.1247 - P.1247

書評

出生前診断—出産ジャーナリストが見つめた現状と未来

著者: 高木康

ページ範囲:P.1249 - P.1249

医療関係者,特に臨床検査技師,技師学校生徒にぜひとも読んでほしい1冊

 女優の奥山佳恵さんが次男のダウン症を告白して注目されている.ダウン症は高齢出産ではリスクが高まり,20歳では1,667分の1であるが,30歳では952分の1に,40歳では106分の1に,そして45歳で30分の1にまで上昇することが報告されている.わが国では,年々出生率が低下しているにもかかわらず,ダウン症での出生児は増加し,1995年の約6人/1万人に対して2011年には約14人/1万人と2倍強に増加している.これは,母親の年齢別出生数が,1970年は25〜29歳が最多で,30〜34歳は25〜29歳の約1/3であるのに対して,2012年では30〜34歳が最多で,35〜39歳もその80%前後と高齢出産が多い(本書より).また,2011年の調査では,ダウン症の赤ちゃんは約2,300人生まれるはずであったが,実際に生まれたのは約1,500人であり,約800人は人工中絶で失われた赤ちゃんであると推測されている.このような事態となったのは,出生前診断の進歩であり,出生前診断は医学の進歩とともに日常的になり,誰しも出生前にわが子の性別だけでなく,病気の有無までも検査して知ることができる時代となった.

 河合蘭氏の『出生前診断─出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』は,この出生前診断についての賛否とその手法を世に問うた本である.女性たちの出生前診断体験,“羊水検査”で出生前検査は始まった,1990年代の“母体血清マーカー検査”をめぐる混乱,超音波検査とグローバリゼーションの波,動き出した次世代の検査と歴史的変遷を多くの関係者への聞き取り調査により記載してある.女性たちの出生前診断体験での記載はまさに,出生前診断の問題点を克明に描き出している.そして,遺伝カウンセリングの重要性も述べている.これらは,事実を精緻かつ客観的に記載しているようで,筆者の出生前診断に関する熱い思いが感じられる.

糖尿病に強くなる!—療養指導のエキスパートを目指して

著者: 和田幹子

ページ範囲:P.1250 - P.1250

痒いところに手が届き,振り返りにも役立つ

 “療養指導のエキスパート”には,患者さんの心理状態を踏まえた個別指導ができ,糖尿病教室での集団指導の講義内容もわかりやすく,カンファレンスでも専門的知識に裏付けられた根拠をもって積極的に発言して糖尿病医療チームを牽引する……というイメージがあります.この本は,隅から隅まで読むことで,「熟練者」であり,「専門家」でもあるエキスパートになれる!と思わせる一冊です.

 私が糖尿病ケアの初心者だったら,第1章,第2章の基礎的な部分を,専門用語などが解説されている“NOTE”を使いながら,重要なところに付箋をたくさん貼って読み進めます.そして,患者さんへの個別指導の時はもちろんのこと,カンファレンスの時も,糖尿病教室の時も,すぐ開けるように近くに置きます.そして来たるべき療養指導士の認定に向けて,付録の自験例の記録を参考に,自分が指導した患者さんを思い出しながら事例をまとめます.

今日から使える医療統計

著者: 香坂俊

ページ範囲:P.1251 - P.1251

第一線で活躍する統計家が,現実的な視点で,知りたかった問題に答えてくれる

 自分は最近,無謀にも 臨床系の大学院を開設するなどして1),院生と循環器疾患の大規模レジストリからの分析を行ったりしている.そこでよく「統計難しいっすね」などという趣旨の発言を耳にしたりもするのだが,厳密にはそれは間違った認識であると思う.

 実は統計の理論そのものはそれほど難しいことではない.高校数学の新課程では「データ解析」が【数Ⅰ】に織り込まれ(2012年〜),高校生でもその基本的なコンセプトは習得可能,とされている.実際,進研ゼミのQ&Aなどをみても十代にして彼らの理解度は恐ろしく高い2)

INFORMATION

呼吸機能検査研修会 第22回琵琶湖セミナー

ページ範囲:P.1181 - P.1181

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医学書院ウェブサイトをご利用ください

ページ範囲:P.1185 - P.1185

『臨床検査』11月号のお知らせ

ページ範囲:P.1213 - P.1213

「ラボクイズ」解答/読者アンケート

ページ範囲:P.1253 - P.1253

あとがき・次号予告

著者: 種村正

ページ範囲:P.1256 - P.1256

あとがき

 質量の基準である1キログラムがどのように決められているかをご存じでしょうか?

 実は,1キログラムは“国際キログラム原器”の質量に等しいとされ,120年以上にわたり全世界の質量の基準となっています.国際キログラム原器はプラチナ90%,イリジウム10%からなる円柱状の金属塊で,パリ郊外にある国際度量衡局に保管されています.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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