Laboratory Practice 〈輸血〉
照射洗浄血小板-LR「日赤」(Ir-WPC-LR)の使用法
著者:
高瀬隆義
ページ範囲:P.1374 - P.1377
はじめに
血小板製剤の輸血を含め輸血療法は一定のリスクを伴うことから,リスクを上回る効果が期待されるかどうかを十分考慮し,適応を決定する必要がある1).輸血療法は多くの患者に恩恵をもたらしてきたが,反面,輸血に伴う副作用(非溶血性副作用)も少なからず発生しており,例年1,500件程度報告されている2).
なかでも血小板製剤は他の製剤と比べ副作用の発生頻度が1件/1,500本(供給本数)と高く,原因としては製剤中に含まれる血漿蛋白などが関与しているものと考えられ,対策として血小板の洗浄・置換術が有用とされている3).日本輸血・細胞治療学会では,「洗浄・置換血小板の適応およびその調製の指針」4)を示し,順次改定を重ね普及を図ってきた.
このような背景のもと,日本赤十字社は照射洗浄血小板-LR「日赤」(Irradiated Washed Platelet Concentrate, Leukocytes Reduced, NISSEKI:Ir-WPC-LR),照射洗浄血小板HLA-LR「日赤」(Irradiated Washed Platelet Concentrate HLA, Leukocytes Reduced, NISSEKI:Ir-WPC-HLA-LR)2品目(いずれも包装単位は10単位のみ)の製造販売承認を取得し,2016年9月から供給を開始している.今回はこれら2品目のうちIr-WPC-LRについて,製法・性状をはじめ特徴について紹介する.