Laboratory Practice 〈管理・その他〉
JLACの現状と課題
著者:
真鍋史朗
ページ範囲:P.592 - P.596
はじめに
検査結果を転記することを考えてみる.人が処理を行うときは,項目を見て書き写すため,項目名が漢字であろうとカタカナであろうと,少々間違いがあったとしても,それを補正して転記することができる(ただし,転記ミスが起きる可能性はある).しかし,コンピューターを用いて処理を行うときは,項目名が全く同じでないと,それは違うものとして捉えられるので,違った項目として転記されることになる.コンピューターを用いてデータ処理を行う際は,その間違いが極力少なくなるよう,項目名などはコードに置き換えられる.
医療におけるビッグデータの代表的なものとして,臨床検査データがある.臨床検査データをいろいろな施設から集めて,個人の検査値の推移を見る,臨床研究などで比較するためのデータとして利用するなど,さまざまな活用方法が考えられるが,そのためには,同じ項目は同じコードにしなければならない.そのような用途で使えるコードとして,わが国では,一般財団法人医療情報システム開発センター(Medical Information System Development Center:MEDIS-DC)の臨床検査マスターが標準コードとして厚生労働省より認可されている.ただ,臨床検査マスターは,臨床検査医学会が管理・運用している臨床検査項目分類コード(japan laboratory code:JLAC)を基に作成されているため,生化学などの検体検査に関しては実質的にJLACが標準コードとなっている.現在使われているのは,第10回改訂版のJLACであり,これはJLAC10(JLAC version10)と呼ばれている.