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雑誌目次

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検査と技術47巻3号

2019年03月発行

雑誌目次

増刊号 エキスパートが教える 心・血管エコー計測のノウハウ

執筆者一覧

ページ範囲:P.186 - P.186

はじめに

著者: 種村正

ページ範囲:P.187 - P.187

 「こういう症例はどうやって計測すればよいのだろう?」

 本増刊号はその疑問に答えることをコンセプトにしました.

1章 心エコー

左室計測

著者: 種村正

ページ範囲:P.192 - P.211

Key Point

1.左室内径と壁厚
①左室拡張末期径,②左室収縮末期径,③心室中隔壁厚,④後壁壁厚

・胸骨左縁左室長軸断面,または左室短軸断面で計測する.

・腱索レベルで計測する(ただし,ASEガイドラインでは僧帽弁尖レベルでの計測を推奨).

・断層法では線の内側〜内側(trailing edge to leading edge)で行ってもよいとされている.

・壁厚計測では中隔帯や調節帯,腱索や肉柱は除いて計測する.

左房計測と右房計測

著者: 種村正

ページ範囲:P.212 - P.220

Key Point

1.左房径と左房容積
①左房前後径,②短径,③長径,④左房容積,⑤左房容積係数

・斜め切りの場合,Mモード法では左房前後径(LAD)を過大評価するため,断層法で計測したほうがよい.

・心尖部四腔断面の長径・短径は,LADよりも実際の左房の大きさを反映する.

・左房容積(LAV)計測にはbiplane area-length法,またはbiplane disk summation法が推奨されている.

・LAVが最大になる心尖部四腔断面と心尖部二腔断面を描出し,肺静脈や左心耳を除いてトレースする.

・長径を決めるラインが偏っている場合は修正し,心尖部の2断面の長径差を5mm以内にする.

右室計測

著者: 西尾進

ページ範囲:P.222 - P.235

Key Point

1.右室径
①右室基部径,②右室中部径

・心尖部アプローチで,右室に焦点を当てた四腔断面を描出する.

・拡張末期の時相で計測する.

・左室計測と同様に,肉柱などの右室内構造物は除いて計測する.

大動脈計測

著者: 酒巻文子

ページ範囲:P.236 - P.247

Key Point

1.大動脈径

・大動脈径はバルサルバ洞径を意味する.

・胸骨左縁左室長軸断面をガイド下にMモード法を用いて計測する.

・拡張末期の時相で線の上端〜上端(leading edge to leading edge)で計測する.

狭窄弁の弁口面積(planimetry法)

著者: 酒巻文子

ページ範囲:P.248 - P.258

Key Point

1.僧帽弁口面積

・僧帽弁口レベル左室短軸断面で僧帽弁口(解剖学的弁口)を直接トレースして計測する.

・planimetry法による僧帽弁口の計測は,心時相と計測場所に注意した弁口の断面設定が重要である.

・planimetry法は僧帽弁の最小弁口面積を最大開放時相である拡張早期に計測する.

左室流入血流と僧帽弁狭窄

著者: 川井順一

ページ範囲:P.260 - P.279

Key Point

1.E波,A波,DT,E/A

・カラードプラガイド下で左室流入血流方向とエコービーム方向が平行になるような断面を設定する.

・左室流入血流速波形の記録では,サンプルボリュームの位置を拡張早期の僧帽弁弁尖先端部に設定する.

・サンプルボリュームの幅は1〜3mmに設定する.

・ドプラゲインとフィルターを調整して,波形の開始点と終了点を明瞭に表示させる.

・時間計測の項目が含まれるので,スイープ速度は50mm/sec以上で記録する.

左室駆出血流と大動脈弁狭窄

著者: 中島英樹

ページ範囲:P.280 - P.294

Key Point

1.左室駆出血流の最大血流速度,時間積分値

・心尖部長軸断面で計測する.

・ドプラビームと左室流出路(LVOT)の通過血流の方向ができるだけ平行になるよう断面を描出する.

・左室流出路の時間速度積分値(TVILVOT)の計測はサンプルボリュームの位置を大動脈弁直下よりやや左室側に設定する.

・TVILVOTの計測はmodal velocityといわれるパルスドプラ波形の濃いシグナルの中央をトレースする.

右室流入血流

著者: 岡庭裕貴

ページ範囲:P.295 - P.301

Key Point

1.E波,A波,DT,E/A

・心尖部四腔断面または左胸壁四腔断面を用いる.

・パルスドプラ法のサンプルポイントは三尖弁弁尖部に置く.

・呼吸による変動が大きいため,安静呼気位で息止めをして計測する.

右室駆出血流

著者: 岡庭裕貴

ページ範囲:P.302 - P.314

Key Point

1.最大流速,右室駆出時間,駆出血流加速時間

・右室流出血流とエコービームが平行となる断面を描出する.

・サンプルボリュームは右室流出路の中心部に置く.

・右室駆出血流速波形パターンは肺動脈圧の上昇により変化する.

僧帽弁逆流

著者: 川井順一

ページ範囲:P.316 - P.337

Key Point

1.逆流ジェット面積(左房面積比)

・プローブを振り,逆流ジェット面積が最大に見える断面を描出して計測する.

・逆流ジェットが描出できたらカラー表示エリアを絞って,できるだけフレームレートを上げて表示する.

・逆流ジェットが偏位した症例では左房面積比が過小評価されることがあるので,多数の断面で計測する.

大動脈弁逆流

著者: 水上尚子

ページ範囲:P.338 - P.352

Key Point

1.vena contracta幅

・vena contracta幅は大動脈弁直下の逆流ジェット幅が最も細い部位を計測する.

・計測精度を上げるために,拡大した画像で観察する.

・複数の逆流ジェットを認める例では計測できない.

・最終的な重症度は,他の評価方法とともに総合的に判断する.

三尖弁逆流

著者: 岡庭裕貴

ページ範囲:P.353 - P.365

Key Point

1.三尖弁逆流血流速度,右室収縮期圧

・三尖弁逆流とドプラビームが平行となる断面を描出する.

・右室流出路狭窄がなければ,右室収縮期圧から肺動脈圧を推定することができる.

・三尖弁弁尖部が離開している場合には,右室収縮期圧の推定はできない.

下大静脈

著者: 岡庭裕貴

ページ範囲:P.366 - P.370

Key Point

1.血管径,呼吸性変動の有無

・血管径の計測と呼吸性変動の有無は心窩部アプローチにおける長軸断面で評価する.

・下大静脈は楕円形をしており,長軸断面で過大評価する場合は短軸断面で計測する.

・安静呼吸性変動に加え,sniffにより評価をする.

弁輪部運動速度波形

著者: 西尾進

ページ範囲:P.371 - P.376

Key Point

1.弁輪部運動速度波形
①僧帽弁中隔側,②僧帽弁側壁側,③三尖弁側

・僧帽弁輪運動速度,三尖弁輪運動速度ともに心尖部四腔断面を描出する.

・カラー組織ドプラ表示にする.

・パルスドプラ法のサンプルボリュームは10mm程度に設定する.

・僧帽弁輪運動速度,三尖弁輪運動速度を記録する.

・記録した波形を用い,収縮期波高(s'),拡張早期波高(e'),心房収縮期波高(a')の3点を計測する.

肺静脈血流

著者: 西尾進

ページ範囲:P.377 - P.381

Key Point

1.肺静脈血流
①肺静脈収縮期波高,②肺静脈拡張期波高,③肺静脈心房収縮期逆行波高,④肺静脈心房収縮期逆行波持続時間—左室流入血流心房収縮期波持続時間

・心尖部四腔断面または心尖部長軸断面を描出する.

・カラードプラ法を用い右肺静脈を同定する.このとき流速レンジは40cm/s程度に少し下げると,明瞭に描出できる.

・パルスドプラ法のサンプルポイントは,左房から1〜2cm程度肺静脈側に置くほうが明瞭な肺静脈血流速波形を記録できる.

・記録した波形から肺静脈収縮期波高,肺静脈拡張期波高,肺静脈心房収縮期逆行波高を計測する.

Tei index

著者: 水上尚子

ページ範囲:P.382 - P.388

Key Point

1.Tei index
①左室Tei index,②簡易的IRT,左室ICTの算出,③右室Tei index

・正確な計測のため,血流速波形のスイープ速度を高速にして記録した波形で計測する.

・血流速波形の立ち上がりの始点と終点を明瞭に認識するため,至適フィルターやゲインの設定に注意する.

・左室流入血流速波形と,左室流出路波形から簡易的に等容収縮時間(ICT),等容拡張時間(IRT)を計測できる.

・右室のTei indexは,三尖弁弁輪部の組織ドプラ法でも算出されるが,パルスドプラ法とは基準値が異なる.

GLS

著者: 中島英樹

ページ範囲:P.389 - P.393

Key Point

1.GLS(global longitudinal strain)

・GLSは,左室駆出率に先行して早期の収縮障害を検出できる.

・40〜80Hzのフレームレートで記録する.

・心内膜面のトレースは,乳頭筋や肉柱および腱索を含めない.

・関心領域は心筋の厚みに設定する.

・基準値はGLS>20%である.

その他の計測

著者: 松谷勇人

ページ範囲:P.394 - P.415

Key Point

1.血栓の大きさ

・心腔内に血栓を疑う腫瘤を認めた場合は,心臓腫瘍との鑑別が重要である.

・左房血栓の好発部位は左心耳,左室血栓の好発部位は心尖部である.

・心房細動,僧帽弁狭窄症,急性心筋梗塞,タコツボ型心筋症などの血栓を生じうる基礎疾患を認める.

・多断面で描出し,最も大きく見える断面で計測する.

・大きさのみならず,形状や可動性の有無に関する評価も行う.

1章の略語

ページ範囲:P.416 - P.416

2章 血管エコー

頸部動脈

著者: 小谷敦志

ページ範囲:P.418 - P.434

Key Point

1.血管径(総頸動脈,内頸動脈,椎骨動脈)

・血管径の計測は,血管長軸断面の中央径(最大径)を描出して行う.

・動脈径の計測は,内膜と血管内腔の境界を計測する血管内径(内膜間距離)と,外膜内輪径に近似したポイントを計測する血管外径(偽外膜間距離)が用いられている.

・血管径の計測時相は心拍の拡張末期(頸動脈では血管が最大に収縮した時点と近似)である心電図R波時相で計測する.

胸・腹部大動脈

著者: 小谷敦志

ページ範囲:P.436 - P.439

Key Point

1.瘤径

・腹部大動脈瘤の最大径の計測は,長軸断面で瘤が最大に描出される断面かつ血管長軸に対して垂直となる短軸断面を描出し,瘤の前後径となる最大短径を計測する.

・腹部大動脈瘤の最大短径は数回計測し再現性を確認する.計測ポイントは,外膜間距離で計測するとCTの計測部位と近似する.

・計測の時相は,動脈が最小径となる心電図QRS波相(拡張末期)とする.

腎動脈

著者: 八鍬恒芳

ページ範囲:P.440 - P.447

Key Point

1.腎動脈狭窄
①収縮期最高血流速度,②拡張末期血流速度,③RAR

・腎動脈の長軸断面で計測する.

・腹部正中横断像による腎動脈描出が基本であるが,困難な場合は背部や側腹部からの描出を行う.

・腎動脈の狭小化している部位を検索し計測する(狭小化が認められない場合は腎動脈起始部で計測する).

・腹部大動脈長軸像で腎動脈分岐部より中枢側で大動脈のパルスドプラ波形を得る.

下肢動脈

著者: 八鍬恒芳

ページ範囲:P.448 - P.459

Key Point

1.下肢動脈血流波形
①収縮期加速時間,②波形パターンの分類(Ⅰ〜Ⅳ),③収縮期最高血流速度

・パルスドプラにて総大腿動脈.膝窩動脈,後脛骨動脈.足背動脈の血流波形を捉える.

・得られた各部位の血流波形から,収縮期加速時間(AT),収縮期最高血流速度を計測する.部位によって波形パターンの分類を行う.

・ATの延長や波形パターンの変化が計測部位で認められたら,その計測部位より中枢側で狭窄・閉塞の有無を疑う.

下肢静脈

著者: 八鍬恒芳

ページ範囲:P.460 - P.469

Key Point

1.深部静脈血栓
①血栓口径,②血栓長

・圧迫法などを駆使して血栓像を捉える.

・血栓像が得られたら,血栓の口径を主要な部位で計測する.

・血栓長が画像上で計測可能であれば計測する.

・画像に入りきらない広範囲血栓は大まかな領域を記載する.

2章の略語

ページ範囲:P.470 - P.470

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目次

ページ範囲:P.188 - P.189

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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